JP2012116354A - 車両の制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】加減速度のある旋回に拡張したスタビリティファクタを適正化することのできる制御装置を提供することを目的とする。
【解決手段】車両が実際に旋回走行した際の互いに異なる値の三つの前後加速度を求め(ステップS2,S7,S9)、それらの前後加速度が求められた各走行時の実スタビリティファクタを求め(ステップS4)、加減速度のある旋回時に拡張したスタビリティファクタの関係式に前記前後加速度と前記実スタビリティファクタを代入して三元連立一次方程式を立てて前記係数および他の係数ならびに定数項の定数についてそれぞれの値を求め(ステップS10)、その求められた前記係数および他の係数ならびに定数項の定数を前記関係式に代入して、加減速度のある旋回に拡張したスタビリティファクタの定義式を更新する(ステップS11)。
【選択図】図1

Description

この発明は、旋回安定性など車両の挙動を制御する装置に関し、特に車両の挙動に大きく影響するスタビリティファクタを適正化するように構成された装置に関するものである。
車両の挙動に大きく影響する要因としてスタビリティファクタが知られている。車両のスタビリティファクタは、加速や減速のない定常的な旋回状態を想定した場合には、慣性質量、ホイールベース、前後輪のコーナリングパワー(コーナリングフォース)、車両重心点と前後車軸との間の距離によって表され、あるいは実舵角、ホイールベース、横加速度、車速に基づいて求めることができる。これを、駆動あるいは制動を伴う旋回状態にまで拡張できることが知られており、前後加速度に係数を掛けた項と、前後加速度の二乗に係数を掛けた項とを、加減速ない状態でのスタビリティファクタに加算する二次式で与えられる。なお、それらの係数は、駆動あるいは制動による荷重移動およびトー角変化とコンプライアンスによるもの、ならびに駆動力や制動力の働くタイヤのコーナリング特性によるものである。
スタビリティファクタの大小に応じて旋回時のヨーレートや旋回半径などが大小に異なり、したがってスタビリティファクタは車両のステア特性を支配する重要なパラメータである。そのスタビリティファクタは、基本的には、車両の構造やタイヤの特性などに基づいて決まるが、前後輪のコーナリングパワーは前後輪に掛かる荷重や経時劣化などによって変化することがあり、またいわゆる拡張されたスタビリティファクタでは、前後加速度の一次の項の係数や二次の項の係数が設計上定めた値のとおりにならない場合がある。
従来、車両の挙動制御のためにスタビリティファクタを補正することが試みられており、例えば特許文献1には、設計上設定したスタビリティファクタと実スタビリティファクタとの差が大きい場合には,車両の挙動制御や駆動力制御に使用するスタビリティファクタを、実スタビリティファクタに置き換えるように構成された方法が記載されている。すなわち、特許文献1に記載された方法では、車両の工場出荷時などに定常円旋回走行を行ってその際の各種の特性を実測し、その実測して得たデータに基づいて実スタビリティファクタを演算し、その実スタビリティファクタと予め格納しているスタビリティファクタとを比較し、その比較の結果に基づいて、必要に応じてスタビリティファクタを置換している。
また、特許文献2にはドライバ操作外乱や路面外乱による影響を抑圧して車両の挙動を安定させるように構成されたシステムが記載されている。すなわち、特許文献2に記載されたシステムは、スタビリティファクタが前後車輪の接地荷重の影響を受けることに着目し、スタビリティファクタを決める要因である、前後輪のコーナリングパワーとその車両重心点からの距離との積(すなわち前後輪のコーナリングパワーに基づくモーメント)の差が、目標値に追従するように車軸トルクを補正するように構成されている。
特開2006−131052号公報 特開2005−256636号公報
特許文献1に記載された方法は、一定車速で所定の操舵パターンで走行しながら車両の特性値を求め、その特性値に基づいて実スタビリティファクタを演算する方法である。したがって定常円旋回走行を想定したスタビリティファクタを求めることになるが、駆動あるいは制動を伴う円旋回の際の駆動力もしくは前後加速度を求めるためにそのスタビリティファクタを使用すると、制動あるいは駆動を考慮したものとなっていないので、適切な駆動力あるいは前後加速度もしくはそれらの補正値を得ることができない。
また、特許文献2に記載されたシステムでは、スタビリティファクタを決める要因のうち、前後輪のコーナリングパワーによるモーメントを目標値に近づけるように車軸トルクを補正するものであるため、駆動や制動のない定常円旋回についてはステア特性を向上させることができるかも知れない。しかしながら、駆動や制動に伴う円旋回の場合には、いわゆる拡張されたスタビリティファクタに基づく制御が必要であり、またその拡張されたスタビリティファクタを適正なものとすることが好ましいが、特許文献2に記載されたシステムでは、拡張されたスタビリティファクタを実情に即したものとしたり、駆動や制動を伴う旋回走行時の挙動特性を向上させることは困難であり、新たな技術を開発する余地があった。
この発明は上記の技術的課題に着目してなされたものであり、駆動や制動を伴う旋回走行を安定的に行うようにスタビリティファクタを実際の車両に適したものとすることのできる制御装置を提供することを目的とするものである。
上記の目的を達成するために、請求項1の発明は、車両が実際に旋回走行した際に得られたデータに基づいてその車両についての加減速度のある旋回に拡張したスタビリティファクタを求める車両の制御装置において、前記車両が実際に旋回走行した際の互いに異なる値の少なくとも三つの前後加速度を求める加減速度検出手段と、それらの前後加速度が求められた各走行時の実スタビリティファクタを求めるスタビリティファクタ算定手段と、加減速度のある旋回時のスタビリティファクタが、前後加速度の二乗に係数を掛けた項と前後加速度に他の係数を掛けた項と定数項との和に等しくなる関係式に前記加減速度検出手段で求められた前後加速度と前記スタビリティファクタ算出手段で求められた実スタビリティファクタを代入して三元連立一次方程式を立てるとともに、それらの三元連立一次方程式を前記係数および他の係数ならびに定数項の定数についてそれぞれの値を求める係数算出手段と、その係数算出手段で求められた前記係数および他の係数ならびに定数項の定数を前記関係式に代入して、加減速度のある旋回に拡張したスタビリティファクタの定義式を更新する更新手段とを備えていることを特徴とするものである。
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記加減速度検出手段は、三つの前後加速度相互の差の絶対値が予め定めた基準値より大きくなるように前記三つの前後加速度を求める手段を含むことを特徴とする車両の制御装置である。
請求項3の発明は、請求項2の発明において、前記三つの前後加速度のうち既に求められている前後加速度に対して前記基準値より大きい差の前後加速度が求められるまでの経過時間が予め定めた時間を経過した場合に、既に求められている前後加速度との差の絶対値が前記基準値より大きくなる前後加速度を前記車両に生じさせる前後加速度発生手段を更に備えていることを特徴とする車両の制御装置である。
請求項4の発明は、請求項3の発明において、前記経過時間は、前記更新手段で前記スタビリティファクタの定義式が更新された時点からカウントを開始した時間を含むことを特徴とする車両の制御装置である。
駆動あるいは制動のある旋回に拡張したスタビリティファクタは、前後加速度の二次式で表すことができ、この発明によれば、その二次的における各係数および定数項を、車両が実際に走行した際の前後加速度および実スタビリティファクタに基づく連立方程式から求め、その求められた値を上記の二次式に代入して、駆動あるいは制動のある旋回に拡張したスタビリティファクタの定義式を更新する。したがって、この発明によれば、車両に適したスタビリティファクタを得ることができ、それに伴いステア特性や駆動力制御などを好適なものとすることができ、ひいてはドライバビリティを向上させることができる。
特に、請求項2の発明においては、相互に基準値を超える差異のある前後加速度およびそれぞれの前後加速度毎の実スタビリティファクタを使用して連立方程式を立てるので、得られる係数もしくは定義式を、精度の良いものとすることができる。
さらに、請求項3の発明によれば、既に求められている前後加速度との差の絶対値が基準値を超える前後加速度を積極的に生じさせるので、前記定義式の更新の遅れを回避もしくは抑制することができる。
この発明の制御装置で実行される制御の一例を説明するためのフローチャートである。 この発明の制御装置で実行される制御の他の例を説明するためのフローチャートである。 この発明で対象とすることのできる車両の駆動系統および制御系統を簡略化して示す模式図である。
この発明は、車両の前後加速度あるいは駆動力を、スタビリティファクタを使用して適正化するように構成された装置であり、その車両は、内燃機関やモータなどを動力源とした前輪駆動車や後輪駆動車あるいは四輪駆動車などであってよい。エンジンによって後輪を駆動する二輪駆動車の駆動系統および制御系統の一例を図3にブロック図で示してある。エンジン1の出力側に変速機2が連結され、その変速機2から出力された動力をデファレンシャル(終減速機)3を介して左後輪Rlおよび右後輪Rrに分配して伝達するように構成されている。また、左右の前輪Fl,Frは操舵輪であり、これらの四輪Fl,Fr,Rl,Rrのそれぞれの回転速度(回転数)を検出する車輪速センサ4が設けられ、また車体に生じるヨーを検出するヨーレートセンサ5が設けられている。
さらに、車両の全体の総合的な制御を行うマイクロコンピュータを主体とする車両用電子制御装置(車両ECU)6が設けられている。その車両用電子制御装置6は、主として、駆動力を制御するように構成されており、前述した車輪速センサ4やヨーレートセンサ5が出力する検出信号、前後加速度、横加速度、操舵角、アクセル開度、ブレーキ信号、路面摩擦係数などの各種の検出信号が入力されており、また車体重量やホイールベース、車体の重心から前後輪の軸までの距離(前後軸間距離)、前後輪のコーナリングスティッフネス(コーナリングフォース)などのデータおよびその他の予め設定した定数やマップが車両用電子制御装置6に記憶させられている。そして、車両用電子制御装置6は、これらの検出信号やデータ、マップなどに基づいて演算を行って目標スタビリティファクタや目標駆動力、目標前後加速度などを求め、必要な制御信号を出力するように構成されている。その制御信号が入力されてエンジン1や変速機2を制御するマイクロコンピュータを主体とするエンジン/変速機用電子制御装置(エンジン/TM ECU)7が設けられている。
この発明に係る制御装置は、車両のステア特性を適正化するために、旋回中に前後加速度が変化した場合に、その前後加速度に基づいてスタビリティファクタを決定する係数を求めて、いわゆる拡張されたスタビリティファクタを実測値に応じた値とするように構成されている。その制御の一例を図1にフローチャートで示してある。図1に示すルーチンは、短い時間間隔で繰り返し実行され、先ず、車両が旋回しているか否かが判断される(ステップS1)。これは、例えば検出された横加速度に基づいて判断することができ、旋回判定のための横加速度についてのしきい値を予め用意しておき、検出された横加速度がそのしきい値を超えた場合に、車両が旋回していると判断すればよい。車両が旋回していないことによりステップS1で否定的に判断された場合には、特に制御を行うことなくこのルーチンを一旦終了する。これとは反対に車両が旋回していて横加速度が大きいなどのことによりステップS1で肯定的に判断された場合には、ドライバによる現在のアクセル操作に基づく車両の前後加速度Gxcurr がi番目の加速度として格納される(ステップS2)。なお、図1において、Gx[i]は前後加速度格納変数であり、当初はGx[i]=Oである。また、その前後加速度Gxcurr は、加速度センサによって検出したものであってよく、あるいはアクセル操作量もしくはそれに対応したスロットル開度から駆動力を求め、その駆動力と車体重量などとから算出した前後加速度であってもよい。
つぎに、格納数iについて判定される(ステップS3)。すなわち、図1のルーチンを開始した直後では「i=1」か否かが判断される。1番目の前後加速度Gxcurr が得られている場合には、ステップS3で肯定的に判断され、その場合はその現在時点の横加速度Gyreal と、車速Vと、実舵角δとから実スタビリティファクタkhcurrが求められ、これが格納される(ステップS4)。すなわち、「kh[i]=khcurr」と置かれる。なお、実スタビリティファクタkhcurrは、
khcurr=(δ/LGyreal)−(1/V) (L:ホイールベース)
で演算される。
実スタビリティファクタkhcurrを格納した後、格納数iが「3」になっているか否かが判断される(ステップS5)。格納数iは順に増大するので、格納開始当初はステップS5で否定的に判断され、その場合は、格納変数を一つ増大させ(ステップS6)、リターンする。続くサイクルのステップS1の判断を行う際に車両が直線走行に変化していれば、ステップS1で否定的に判断され、その場合は、特に制御を行うことなくリターンする。これとは反対に旋回中であれば、ステップS1で肯定的に判断されるので、再度ステップS2に進み、前述したのと同様に、ドライバによる現在のアクセル操作に基づく車両の前後加速度Gxcurr がi番目の加速度として格納される。
そして、ステップS3で格納数iが「1」か否かが判断されるが、この場合は前述したステップS6で格納数iが一つインクリメントされて「i+1」になっているから、ステップS3で否定的に判断される。その結果、ステップS7に進んで、今回格納した前後加速度Gx[i]と前回格納した前後加速度Gx[i-1]と差の絶対値が予め定めた基準値Xより大きいか否かが判断される。この基準値Xは、前後加速度Gxの実質的な変化の有無を判断するためのものであり、後述するように、拡張されたスタビリティファクタを定義する方程式における係数を求める三元連立一次方程式を得るのに十分に異なる前後加速度Gxを判断できる値として予め定めることができ、また比較的短時間の間に生じる前後加速度Gxの変化の範囲の値とすることができる。基準値Xが大きい値であると、(i+1)番目の前後加速度Gxを格納するまでに長時間を要してしまうからである。
したがって、前後加速度Gxの差の絶対値が基準値X以下であることによりステップS7で否定的に判断された場合には、特に制御を行うことなくリターンする。これに対して前後加速度Gxの差の絶対値が基準値Xを超えていることによりステップS7で肯定的に判断された場合には、格納数iが「2」になっているか否かが判断される(ステップS8)。前述したステップS6を初めて実行した後は、「i+1=2」になっているので、ステップS8で肯定的に判断される。
ステップS8で肯定的に判断されると、前述したステップS4に進み、現在時点の横加速度Gyreal と、車速Vと、実舵角δとから実スタビリティファクタkhcurrが求められ、これが格納される。すなわち、「kh[i]=khcurr」と置かれる。この場合、「i」は「2」である。なお、実スタビリティファクタを求める演算式は上述したとおりである。ステップS4の制御に続けて、ステップS5に進んで格納数iが「3」になっているか否かが判断される。前述したように、格納数iは順に増大するが、ステップS5の判断で2回目であれば、「i=2」であるからステップS5で否定的に判断され、その場合は、格納変数を一つ増大させ(ステップS6)、リターンする。
再度実行されるサイクルでステップS1の判断を行う際に車両が直線走行に変化していれば、ステップS1で否定的に判断され、その場合は、特に制御を行うことなくリターンする。これとは反対に旋回中であれば、ステップS1で肯定的に判断されるので、再度ステップS2およびステップS3に進み、前述したのと同様に、ドライバによる現在のアクセル操作に基づく車両の前後加速度Gxcurr がi番目の加速度として格納され、また格納数iが「1」か否かが判断されて否定的な判断結果となり、それに伴いステップS7に進んで今回の前後加速度Gx[i]と前回格納した前後加速度Gx[i-1]と差の絶対値が予め定めた基準値Xより大きいか否かが判断される。基準値Xを超える差が生じていない場合には、特に制御を行うことなくリターンし、これとは反対に基準値Xを超える差が生じていることにより肯定的に判断された場合には、前述したステップS8に進んで、格納数iが「2」になっているか否かが判断される。前述したステップS6を2回実行した後は、「i+1=3」になっているので、ステップS8で否定的に判断される。
前述したように拡張されたスタビリティファクタを定義する二次方程式における係数を求めるための三元連立一次方程式を得るように前後加速度Gxを検出しているのであるから、現在の前後加速度Gx[i]が第一番目の前後加速度Gx[i-2]より前記基準値Xを超えて異なっていることが必要であり、そのためステップS8で否定的に判断された場合には、現在の前後加速度Gx[i]と第一番目の前後加速度Gx[i-2]との差の絶対値が基準値Xを超えているか否かが判断される(ステップS9)。このステップS9で否定的に判断された場合には、現在の格納された前後加速度Gxでは上記の係数を求めるための三元連立一次方程式を得るためには不十分であるから特に制御を行うことなくリターンする。これとは反対に現在の前後加速度Gx[i]と第一番目の前後加速度Gx[i-2]との差の絶対値が基準値Xを超えていることによりステップS9で肯定的に判断された場合には、前述したステップS4およびステップS5に順に進む。すなわち、「kh[i]=khcurr」と置かれる。この場合、「i」は「3」である。また、格納数iが「3」になっているか否かが判断される。
その場合、格納数iは既に「3」になっているので、ステップS5で肯定的に判断される。すなわち、既に三つの実スタビリティファクタkh[1],kh[2],kh[3]および前後加速度Gx1,Gx2,Gx3が得られているので、下記の三元連立一次方程式が成立する。
kh1=kh’0+kh’1Gx1+kh’2Gx1
kh2=kh’0+kh’1Gx2+kh’2Gx2
kh3=kh’0+kh’1Gx3+kh’2Gx3
したがってステップS5で肯定的に判断された場合には、上記の三元連立一次方程式に基づいて、拡張されたスタビリティファクタを定義する定数項kh0、一次の項の係数kh1ならびに二次の項の係数kh2が算出される(ステップS10)。そして、拡張されたスタビリティファクタkhを定義する下記の二次方程式
kh=kh0+kh1・Gx+kh2・Gx
における各係数kh0,kh1,kh2の値が、ステップS10で算出された値に更新される(ステップS11)。すなわち、kh0=kh’0、kh1=kh’1、kh2=kh’2に置き換えられる。
こうして拡張されたスタビリティファクタkhを定義する二次方程式を更新した後、格納数iをゼロリセット(ステップS12)した後、前述したステップS6で格納数iを一つインクリメントし、リターンする。
この発明に係る制御装置は、上記のようにして、実測された前後加速度Gxに基づいて、拡張されたスタビリティファクタkhを定義する二次方程式を更新する。すなわち、実際に走行している車両で得られる横加速度および車速ならびに実舵角に基づいて実スタビリティファクタkh[i]を求めるとともに、その時点の前後加速度Gxを求め、これらの値を使用して一次方程式を立て、未知数が三つあることにより互いに異なる前後加速度Gxおよび実スタビリティファクタを使用して三元連立一次方程式を得、その三元連立一次方程式を解いて係数の値を求め、その係数を使用したスタビリティファクタの定義式を求めている。したがってその定義式は、車両の個体差や特性の経時変化など、設計値との齟齬を是正したものとなっており、車両毎に適正なスタビリティファクタを得ることができる。また特に、この発明に係る制御装置では、三元連立一次方程式を求めるに当たり、前後加速度Gxとして前記基準値Xを超えて異なる値のものを使用するから、更新された各係数やそれを用いた定義式が実際の車両の特性あるいは個体差を反映したものとなり、各係数や定義式を精度良く更新することができる。ひいては、旋回時の駆動力をその定義式で得られる前後加速度となるように制御することにより、安定した旋回走行を行うことが可能になってドライバビリティを向上させることができる。
前述したように前記各係数を求めるための連立方程式を立てる場合、算出される値の精度を良くするために、前後加速度Gx[i]や実スタビリティファクタkh[i]は、外乱を可及的に含まずかつドライバのアクセル操作によるものであることに加えて、互いにある程度以上の差異があるものであることが好ましい。そのため、上述した具体例では、基準値Xを超える差異のある前後加速度Gxを採用するように構成されている。言い換えれば、ドライバの操作に基づく前後加速度Gxの変化が、前述した基準値Xを超えない場合には前述した連立方程式を立てることができず、拡張されたスタビリティファクタの定義式が長期に亘って更新されない事態が生じる可能性がある。そこで、ドライバのアクセル操作のバラツキが小さくて前後加速度Gxの変化が基準値Xを所定の時間に亘って超えない場合には、制御によって前後加速度Gxを生じさせて、前述した係数を未知数とした一次方程式を得るように構成してもよい。
図2はその一例を説明するためのフローチャートであって、前述した図1に示すルーチンに、時間をカウントするステップと、そのカウントされた時間を判断するステップと、前後加速度Gxを制御によって付与するステップとを加えたものである。したがって、図1に示すルーチンと異なる部分について説明し、図1に示すルーチンと同一の部分については図2に図1と同様のステップ番号を付してその説明を省略する。図2に示すルーチンは、所定の短時間毎に繰り返し実行され、先ず、前回、拡張されたスタビリティファクタの定義式を更新した時点からの経過時間がカウントアップされる(ステップS0)。ついで、前述したステップS1、およびステップS2、ならびにステップS3の制御が順に実行される。したがって、車両が旋回していなければ特に制御は実行されずにリターンする。また検出された前後加速度Gxの格納が第1回目であれば、ステップS3で肯定的に判断されることにより、ステップS4に進んで実スタビリティファクタkhcurrが求められるとともに、これが「kh[i]=khcurr」と置かれて格納される。その後、ステップS5で否定的に判断されてステップS6に進み、格納数iがインクリメントされた後、リターンする。
その後、再度、ルーチンが実行されることによりステップS0でタイマがカウントアップされ、また格納数iが「i+1=2」となっていることによりステップS3で否定的に判断され、それに伴いステップS7に進んで、今回の前後加速度Gx[i]と前回の前後加速度Gx[i-1]との差の絶対値が基準値Xを超えているか否かが判断される。この前後加速度Gxの差の絶対値が基準値Xを超えていないことによりステップS7で否定的に判断された場合、前述した図1に示す制御例ではリターンするように構成されているが、図2に示す制御例では、前回の更新時からの経過時間すなわちタイマのカウント値tが判定しきい値tx以上か否かが判断される(ステップS13)。その判定しきい値txは、設計上、前記定義式の更新期間の好ましいを規定する値として適宜に定めることができ、その場合、一定値としてもよく、あるいは車両の走行距離や使用年数などに応じて変化する変数として設定することもできる。
このステップS13で否定的に判断された場合、すなわち前回の更新からの経過時間が判定しきい値txに到っていない場合には、特に制御を行うことなくリターンする。これとは反対に前回の更新からの経過時間tが判定しきい値tx以上になっていてステップS13で肯定的に判断された場合には、制御によって前後加速度Gxを付与する(ステップS14)。この制御は、エンジン1のスロットル開度を変化させ、あるいは変速機2で変速を生じさせることにより実行することができる。また、制御によって変化させる前後加速度Gxの目標値Gxは、第2回目に格納する前後加速度Gx[i=2]については、下記の式(1)を満たすように設定される。
|Gx*−Gx[i-1]|>X …(1)
したがって、ステップS14の制御によって生じた前後加速度Gxが今回の前後加速度Gx[i]として格納され、またその際の実スタビリティファクタkhcurrがkh[i]として格納される(ステップS4)。以下、第1回目の格納の場合と同様に、ステップS5およびステップS6に進む。
求めるべき係数が三つ存在するので、再度、図2に示すルーチンが実行され、その際にもタイマがカウントアップされ(ステップS0)、その後、ステップS2およびステップS3に進んでステップS3で否定的に判断され、それに伴ってステップS7に進む。すなわち、前後加速度Gxの前回値と今回値との差の絶対値が前述した基準値Xを超えているか否かが判断される。このステップS7で肯定的に判断された場合には、ステップS8からステップS9に進んで、前後加速度Gxの今回の値と第1回目に格納された値との差の絶対値が基準値Xを超えているか否かが判断される。このステップS9で肯定的に判断された場合には、前述した図1に示す制御例と同様に、ステップS4からステップS5、ステップS10、ステップS11、ステップS12に進む。すなわち、前記係数の各値が求められるとともに、それらに基づいて拡張されたスタビリティファクタの定義式が更新される。したがってステップS12では、格納数iがゼロリセットされることに加えて、タイマのカウント値tがゼロリセットされる。
一方、前後加速度Gxの今回値と前回値もしくは前前回値との差の絶対値が基準値X以下であることによりステップS7もしくはステップS9で否定的に判断された場合には、前述したステップS13およびステップS14の制御が実行される。すなわち、タイマのカウント値tが判定しきい値tx以上か否かが判断され、経過時間が短いことによりステップS13で否定的に判断された場合にはリターンし、経過時間が判定しきい値tx以上であれば、制御によって前後加速度Gxが前述したのと同様にして付与され、その際の目標値もしくは実際に生じた前後加速度Gxが今回の値Gx[i]として格納される。なお、この場合、制御によって付与する前後加速度Gxは、第3回目に格納するものであることにより、下記の式(2)を満たすように設定される。
|Gx−Gx[i-1]|>X かつ |Gx−Gx[i-2]|>X …(2)
そして、前後加速度Gxの今回値と前回値もしくは前前回値との差の絶対値が基準値Xを超えている場合と同様に、ステップS4以降の制御が実行されて、拡張されたスタビリティファクタの定義式が更新される。
上記の図2に示すように構成した場合には、ドライバの操作による前後加速度Gxが大きく変化することを待つことなく、いわゆる強制的に前後加速度Gxを変化させるので、拡張されたスタビリティファクタの定義式の更新に遅れが生じることが回避もしくは抑制される。そのため、実際の値に対してずれている値のスタビリティファクタで操舵や前後加速度あるいはヨーレートなどが制御されることが回避もしくは抑制されてドライバビリティが向上する。
ここで、上記の具体例とこの発明との関係を簡単に説明すると、上述したステップS2およびステップS7ならびにステップS9の制御を実行する機能的手段が、この発明における加減速度検出手段に相当し、ステップS4の制御を実行する機能的手段が、この発明におけるスタビリティファクタ算出手段に相当し、ステップS10の制御を実行する機能的手段が,この発明における係数算出手段に相当し、さらにステップS11の制御を実行する機能的手段が、この発明における更新手段に相当する。そして、ステップS13およびステップS14の制御を実行する機能的手段が、この発明における前後加速度発生手段に相当する。
1…エンジン、 2…変速機、 3…デファレンシャル(終減速機)、 4…車輪速センサ、 5…ヨーレートセンサ、 6…車両用電子制御装置(車両ECU)、 7…エンジン/変速機用電子制御装置(エンジン/TM ECU)、 Rl…左後輪、 Rr…右後輪、 Fl…左前輪、 Fr…右前輪。

Claims (4)

  1. 車両が実際に旋回走行した際に得られたデータに基づいてその車両についての加減速度のある旋回に拡張したスタビリティファクタを求める車両の制御装置において、
    前記車両が実際に旋回走行した際の互いに異なる値の少なくとも三つの前後加速度を求める加減速度検出手段と、
    それらの前後加速度が求められた各走行時の実スタビリティファクタを求めるスタビリティファクタ算定手段と、
    加減速度のある旋回時のスタビリティファクタが、前後加速度の二乗に係数を掛けた項と前後加速度に他の係数を掛けた項と定数項との和に等しくなる関係式に前記加減速度検出手段で求められた前後加速度と前記スタビリティファクタ算出手段で求められた実スタビリティファクタを代入して三元連立一次方程式を立てるとともに、それらの三元連立一次方程式を前記係数および他の係数ならびに定数項の定数についてそれぞれの値を求める係数算出手段と、
    その係数算出手段で求められた前記係数および他の係数ならびに定数項の定数を前記関係式に代入して、加減速度のある旋回に拡張したスタビリティファクタの定義式を更新する更新手段と
    を備えていることを特徴とする車両の制御装置。
  2. 前記加減速度検出手段は、三つの前後加速度相互の差の絶対値が予め定めた基準値より大きくなるように前記三つの前後加速度を求める手段を含むことを特徴とする請求項1に記載の車両の制御装置。
  3. 前記三つの前後加速度のうち既に求められている前後加速度に対して前記基準値より大きい差の前後加速度が求められるまでの経過時間が予め定めた時間を経過した場合に、既に求められている前後加速度との差の絶対値が前記基準値より大きくなる前後加速度を前記車両に生じさせる前後加速度発生手段を更に備えていることを特徴とする請求項2に記載の車両の制御装置。
  4. 前記経過時間は、前記更新手段で前記スタビリティファクタの定義式が更新された時点からカウントを開始した時間を含むことを特徴とする請求項3に記載の車両の制御装置。
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