JP2012115788A - 塗布液の塗布方法及び塗布装置、並びに、塗布物の製造方法 - Google Patents

塗布液の塗布方法及び塗布装置、並びに、塗布物の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】可撓性を有する基材シートの表面にダイコータを用いて塗布液を塗布する場合に、欠陥が生じるのを防止することができる塗布液の塗布方法及び塗布装置、並びに、塗布物の製造方法を提供する。
【解決手段】張力が付与された状態で搬送されている基材シート1の表面からダイコータ7に設けられた塗布液の吐出口74を離した状態で、吐出口74から基材シート1の表面に塗布液を塗布する。これにより、基材シート1に対する擦れが発生せず、基材シート1に皺やスジが生じて欠陥となるのを防止することができる。
【選択図】図2

Description

本発明は、ダイコータを用いて、可撓性を有する基材シートの表面に塗布液を塗布するための塗布液の塗布方法及び塗布装置、並びに、塗布物の製造方法に関する。
可撓性を有するフィルムなどの基材シート(ウェブ)の表面に、ダイコータを用いて塗布液を塗布する技術が知られている。この種の技術の一例として、下記特許文献1には、2つのサポートロール間を搬送される基材シートの表面に対して、スロットダイコータの先端部で押圧しながら塗布液を塗布する構成が開示されている。
特開平2−229571号公報
しかしながら、上記のような従来の構成では、スロットダイコータの先端部で表面を押圧しながら基材シートを搬送するため、基材シートに対する擦れが発生し、基材シートに皺やスジが生じて欠陥となる場合があった。また、塗布する塗布液の厚みが大きい場合には、塗布液を所望の厚みに形成することが比較的難しいという問題があった。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、可撓性を有する基材シートの表面にダイコータを用いて塗布液を塗布する場合に、欠陥が生じるのを防止することができる塗布液の塗布方法及び塗布装置、並びに、塗布物の製造方法を提供することを目的とする。
本発明に係る塗布液の塗布方法は、ダイコータを用いて、可撓性を有する基材シートの表面に塗布液を塗布する方法であって、張力が付与された状態で搬送されている前記基材シートの表面から前記ダイコータに設けられた塗布液の吐出口を離した状態で、前記吐出口から前記基材シートの表面に塗布液を塗布することを特徴とする。
本発明によれば、張力が付与された状態で搬送されている基材シートの表面に対して、ダイコータの吐出口を離した状態で塗布液を塗布するので、基材シートに対する擦れが発生せず、基材シートに皺やスジが生じて欠陥となるのを防止することができる。なお、前記張力は、5〜200N/mであることが好ましく、20〜150N/mであればより好ましい。
前記基材シートは、2つのロール間において張力が付与された状態で搬送され、前記ダイコータの吐出口が、塗布液の吐出方向に前記2つのロールが対向しないように設けられていることが好ましい。
本発明によれば、塗布液の吐出方向に2つのロールが対向しないように設けられたダイコータの吐出口から基材シートの表面に塗布液を塗布する場合のように、基材シートを平坦な状態で搬送することが比較的難しい位置で塗布液を塗布する場合であっても、基材シートの表面に対してダイコータの吐出口を離した状態で塗布液を塗布するので、塗布液を安定して塗布することができ、基材シートに対する擦れが発生するのを防止することができる。
前記基材シートに塗布される塗布液の湿潤膜厚が、10〜150μmであることが好ましい。
本発明によれば、10〜150μmという比較的厚い湿潤膜厚で塗布液を塗布する場合に、欠陥が生じるのを効果的に防止することができる。10μm以上の比較的厚い湿潤膜厚で塗布液を塗布することにより、基材シートに対してダイコータを押圧せずに塗布液を塗布することができ、この場合には、基材シートにスジなどが発生するのを効果的に防止することができる。また、150μm以内の湿潤膜厚で塗布液を塗布することにより、乾燥時間が長くなりすぎるのを防止して、塗布液の表面の平滑性を保ちやすくすることができるとともに、乾燥コストが高くなるのを防止することができる。
前記基材シートに塗布される塗布液中の固形分の重量パーセント濃度が、5〜70%であることが好ましい。
本発明によれば、塗布液中の固形分の重量パーセント濃度を5〜70%とすることにより、例えば水系の塗布液において欠陥が生じるのを効果的に防止することができる。
本発明に係る塗布液の塗布装置は、ダイコータを用いて、可撓性を有する基材シートの表面に塗布液を塗布する装置であって、張力が付与された状態で搬送されている前記基材シートの表面から塗布液の吐出口を離した状態で、前記吐出口から前記基材シートの表面に塗布液を塗布するダイコータを備えることを特徴とする。
前記基材シートは、2つのロール間において張力が付与された状態で搬送され、前記ダイコータの吐出口が、塗布液の吐出方向に前記2つのロールが対向しないように設けられていることが好ましい。
前記基材シートに塗布される塗布液の湿潤膜厚が、10〜150μmであることが好ましい。
前記基材シートに塗布される塗布液中の固形分の重量パーセント濃度が、5〜70%であることが好ましい。
本発明に係る塗布物の製造方法は、前記塗布液の塗布方法により、前記基材シートに前記塗布液が塗布された塗布物を製造することを特徴とする。
本発明の一実施形態に係る塗布液の塗布装置の一例を示した概略図である。 基材シートに塗布液を塗布する際の態様について説明するための概略断面図である。
図1は、本発明の一実施形態に係る塗布液の塗布装置の一例を示した概略図である。本実施形態における塗布装置は、可撓性を有する基材シート1に塗布液を塗布した後、当該塗布液を乾燥などにより硬化させて塗布層を形成し、当該塗布層の表面にフィルム部材2を積層することにより、積層体からなる長尺のシート状製品3を形成するものである。すなわち、本実施形態における塗布液の塗布方法により、基材シート1に塗布液が塗布された塗布物を製造することができる。ただし、本発明は、このような装置に限らず、基材シート1に塗布液を塗布するような各種装置に適用可能である。
基材シート1としては、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系ポリマー、ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース等のセルロース系ポリマー、ポリカーボネート系ポリマー、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系ポリマー等の透明ポリマーからなるフィルムが挙げられる。また、ポリスチレン、アクリロニトリル・スチレン共重合体等のスチレン系ポリマー、ポリエチレン、ポリプロピレン、環状ないしノルボルネン構造を有するポリオレフィン、エチレン・プロピレン共重合体等のオレフィン系ポリマー、塩化ビニル系ポリマー、ナイロンや芳香族ポリアミド等のアミド系ポリマー等の透明ポリマーからなるフィルムも挙げられる。さらに、イミド系ポリマー、スルホン系ポリマー、ポリエーテルスルホン系ポリマー、ポリエーテルエーテルケトン系ポリマー、ポリフェニレンスルフィド系ポリマー、ビニルアルコール系ポリマー、塩化ビニリデン系ポリマー、ビニルブチラール系ポリマー、アリレート系ポリマー、ポリオキシメチレン系ポリマー、エポキシ系ポリマーや前記ポリマーのブレンド物等の透明ポリマーからなるフィルムなども挙げられる。特に光学用途に用いる場合には、透明であり、かつ複屈折の少ないものが好適に用いられる。
ただし、基材シート1は、可撓性を有する支持体であれば、上記のようなものに限らず、他の各種材料により構成することができる。この例では、長尺のプラスチックフィルムからなる基材シート1が巻回されることによりロール体4が形成されており、当該ロール体4から基材シート1を繰り出して搬送しながら、当該基材シート1の表面に塗布液を塗布するようになっている。ロール体4から繰り出される基材シート1は、複数の搬送ロール5によって搬送される。基材シート1の搬送速度(塗工速度)は、特に制限されるものではなく、例えば5〜300m/分程度が好ましい。
基材シート1の厚さは、適宜に決定し得るが、20〜100μmであることが好ましく、25〜80μmであればより好ましい。基材シート1の厚さが20μm以上であれば、基材シート1の厚さが比較的厚いため、塗布液の液圧により基材シート1を安定して平坦に維持しやすい。また、基材シート1の厚さが100μm以下であれば、搬送時の安定性、経済性の面や環境負荷が小さいといった観点から好ましい。
ロール体4から繰り出される基材シート1には、前処理装置6により前処理が施される。前処理としては、例えばコロナ処理、プラズマ処理、スパッタ処理、アルカリ水溶液でのケン化処理、イトロ処理のような表面改質処理、ラビング処理などが挙げられる。ただし、前処理装置6を省略することも可能である。
前処理後の基材シート1には、ダイコータ7により塗布液が塗布される。基材シート1は、張力が付与された状態で搬送ロール5により搬送され、その張力が付与された状態で搬送されている基材シート1の表面に対して、ダイコータ7の吐出口を離した状態で塗布液が塗布される。より具体的には、図1に示すように、複数の搬送ロール5のうち、2つの搬送ロール5間において張力が付与された状態で搬送される基材シート1の表面に対して、塗布液の吐出方向(図1における上下方向)に2つの搬送ロール5が対向しないように設けられたダイコータ7の吐出口から、塗布液が塗布されるようになっている。前記張力は、5〜200N/mであることが好ましく、20〜150N/mであればより好ましい。ただし、2つの搬送ロール5間で塗布液を塗布するような構成に限らず、張力が付与された状態で搬送されている基材シート1の表面に対して、その裏面を支持することなく塗布液を塗布するような構成であれば、例えばロール体4から繰り出された基材シート1が搬送ロール5に到達するまでの間に塗布液を塗布するような構成であってもよいし、搬送ロール5の近傍(ただし、基材シート1が搬送ロール5に当接しない位置)で塗布液を塗布するような構成であってもよい。
塗布液としては、ダイコータ7から吐出可能であり、塗膜層を形成することが可能なものであれば制限はなく、目的とする塗膜層の機能に応じて、塗布液を選択することができる。前記塗布液により形成できる塗膜層としては、偏光層、光学補償層、位相差層、ハードコート層、反射防止層、防眩層等の各種の光学機能層、帯電防止層、表面保護層、導電機能層、粘着剤層、接着性層、透明コート層、アンカー層、オリゴマー防止層などが挙げられる。また、前記塗布液の種類に応じて、前記前処理装置6により、当該塗布液の種類に応じた前処理を適宜に施すことができる。
また前記塗布液は、水溶液、水分散液、エマルション等の水系塗布液;有機溶剤を用いた溶液の溶剤系塗布液;ハイソリッド系塗布液;無溶剤型塗布液等の各種のものを用いることができる。
前記塗布液には、塗膜層に応じて各種の塗膜層形成材料を含有する。塗膜層形成材料としては、例えば、熱可塑型樹脂、熱硬化型樹脂、紫外線硬化型樹脂、電子線硬化型樹脂、二液混合型樹脂などのベース材料が挙げられる。前記硬化型樹脂には、ポリマーの他に、モノマー、オリゴマーを含む。また、塗布液には、ベース材料に加えて、各種粘度調整剤、剥離調整剤、粘着付与剤、可塑剤、軟化剤、ガラス繊維、ガラスビーズ、金属粉、その他の無機粉末等からなる充填剤、顔料、着色剤(顔料、染料など)、pH調整剤(酸または塩基)、酸化防止剤、紫外線吸収剤、シランカップリング剤等を含有することができる。
上記のように、本発明の塗布方法には、各種塗布液を用いることができるが、以下では、塗布液として、水分散型粘着剤を用いる場合を代表例として詳しく説明する。水分散型粘着剤は、溶剤型粘着剤に比べて固形分の重量パーセント濃度を高く設定することができ、また、粘度を比較的小さい範囲に設置することができ、本発明の塗布方法に用いる塗布液として好適である。
水分散型粘着剤は、少なくともベースポリマーが水中に分散含有されている水分散液である。当該水分散液としては、通常は、界面活性剤の存在下にベースポリマーが分散しているものが用いられるが、ベースポリマーが水中に分散含有されているものであれば、自己分散性ベースポリマーの自己分散によって、水分散液になっているものを用いることができる。
水分散液中のベースポリマーは、モノマーを乳化剤の存在下において乳化重合したり、または界面活性剤の存在下に分散重合したりして重合することにより得られたものが挙げられる。
また、水分散液は、別途製造したベースポリマーを、乳化剤の存在下に水中で乳化分散することにより製造することができる。乳化方法としては、ポリマーと乳化剤を予め加熱溶融し、または加熱溶融することなく、それらと水とを、例えば加圧ニーダー、コロイドミル、高速攪拌シャフト等の混合機を用いて、高剪断をかけて均一に乳化分散させた後、分散粒子が融着凝集しないように冷却して所望の水分散体を得る方法(高圧乳化法)や、ポリマーを予めベンゼン、トルエン、酢酸エチル等の有機溶剤に溶解した後、前記乳化剤及び水を添加し、例えば高速乳化機を用いて、高剪断をかけて均一に乳化分散させた後、減圧−加熱処理等により有機溶剤を除去して所望の水分散体とする方法(溶剤溶解法)等が挙げられる。
水分散型粘着剤としては、各種の粘着剤を用いることができ、例えば、ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ポリウレタン系粘着剤、ビニルアルキルエーテル系粘着剤、ポリビニルアルコール系粘着剤、ポリビニルピロリドン系粘着剤、ポリアクリルアミド系粘着剤、セルロース系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、フッ素系粘着剤などが挙げられる。前記粘着剤の種類に応じて粘着性のベースポリマーや分散手段が選択される。
前記粘着剤のなかでも、本発明では、光学的透明性に優れ、適宜な濡れ性と凝集性と接着性の粘着特性を示して、耐候性や耐熱性などに優れる点から水分散型のアクリル系粘着剤が好ましく使用される。
水分散型アクリル系粘着剤のベースポリマーである(メタ)アクリル系ポリマーは、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分とするモノマー成分を、乳化剤、ラジカル重合開始剤の存在下に乳化重合することにより共重合体エマルションとして得られる。なお、(メタ)アクリル酸アルキルエステルはアクリル酸アルキルエステルおよび/またはメタクリル酸アルキルエステルをいい、本発明の(メタ)とは同様の意味である。
(メタ)アクリル系ポリマーの主骨格を構成する、(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、直鎖状または分岐鎖状のアルキル基の炭素数1〜20のものを例示できる。例えば、前記アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、イソアミル基、ヘキシル基、ヘプチル基、2−エチルヘキシル基、イソオクチル基、ノニル基、イソノニル基、デシル基、イソデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ナノデシル基、エイコシル基等を例示できる。これらは単独であるいは組み合わせて使用することができる。これらアルキル基の平均炭素数は3〜9であるのが好ましい。特に、本発明においては、上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルとして、アクリル酸ブチルのような、水よりも沸点が高いモノマーが特に好適に使用される。
前記(メタ)アクリル系ポリマー中には、(メタ)アクリル酸アルキルエステル以外に、水分散液の安定化、粘着剤層の光学フィルム等の支持基材に対する密着性の向上、さらには、被着体に対する初期接着性の向上などを目的として、(メタ)アクリロイル基またはビニル基等の不飽和二重結合に係る重合性の官能基を有する、1種類以上の共重合モノマーを共重合により導入することができる。
前記共重合モノマーの具体例としては、特に制限されず、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、カルボキシエチルアクリレート、カルボキシペンチルアクリレートなどのカルボキシル基含有モノマー;例えば、無水マレイン酸、無水イタコン酸などの酸無水物基含有モノマー;例えば、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ボルニル、(メタ)アクリル酸イソボルニルなどの(メタ)アクリル酸脂環式炭化水素エステル;例えば、(メタ)アクリル酸フェニルなどの(メタ)アクリル酸アリールエステル、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル類;例えば、スチレンやα−メチルスチレンなどのスチレン系モノマー;例えば、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸メチルグリシジルなどのエポキシ基含有モノマー;例えば、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチルなどのヒドロキシル基含有モノマー;例えば、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メチロールプロパン(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルホリン、(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸t−ブチルアミノエチルなどの窒素原子含有モノマー;例えば、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチルなどのアルコキシ基含有モノマー;例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのシアノ基含有モノマー;例えば、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートなどの官能性モノマー;例えば、エチレン、プロピレン、イソプレン、ブタジエン、イソブチレンなどのオレフィン系モノマー;例えば、ビニルエーテルなどのビニルエーテル系モノマー;例えば、塩化ビニルなどのハロゲン原子含有モノマー;その他、例えば、N−ビニルピロリドン、N−(1−メチルビニル)ピロリドン、N−ビニルピリジン、N−ビニルピペリドン、N−ビニルピリミジン、N−ビニルピペラジン、N−ビニルピラジン、N−ビニルピロール、N−ビニルイミダゾール、N−ビニルオキサゾール、N−ビニルモルホリンなどのビニル基含有複素環化合物や、N−ビニルカルボン酸アミド類などが挙げられる。
また、共重合性モノマーとして、例えば、N−シクロヘキシルマレイミド、N−イソプロピルマレイミド、N−ラウリルマレイミド、N−フェニルマレイミドなどのマレイミド系モノマー;例えば、N−メチルイタコンイミド、N−エチルイタコンイミド、N−ブチルイタコンイミド、N−オクチルイタコンイミド、N−2−エチルヘキシルイタコンイミド、N−シクロヘキシルイタコンイミド、N−ラウリルイタコンイミドなどのイタコンイミド系モノマー;例えば、N−(メタ)アクリロイルオキシメチレンスクシンイミド、N−(メタ)アクリロイル−6−オキシヘキサメチレンスクシンイミド、N−(メタ)アクリロイル−8−オキシオクタメチレンスクシンイミドなどのスクシンイミド系モノマー;例えば、スチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸、スルホプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシナフタレンスルホン酸などのスルホン酸基含有モノマーが挙げられる。
また、共重合性モノマーとしては、リン酸基含有モノマーが挙げられる。リン酸基含有モノマーとしては、例えば、下記一般式(1):
(一般式(1)中、R1は、水素原子またはメチル基を示し、R2は炭素数1〜4のアルキレン基、mは2以上の整数を示し、M1およびM2は、それぞれ独立に、水素原子またはカチオンを示す。)で表されるリン酸基またはその塩を示す。)で表されるリン酸基含有モノマーが挙げられる。
なお、一般式(1)中、mは、2以上、好ましくは、4以上、通常40以下であり、mは、オキシアルキレン基の重合度を表す。また、ポリオキシアルキレン基としては、例えば、ポリオキシエチレン基、ポリオキシプロピレン基等が挙げられ、これらポリオキシアルキレン基は、これらのランダム、ブロックまたはグラフトユニットなどであってもよい。また、リン酸基の塩に係る、カチオンは、特に制限されず、例えば、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属、例えば、カルシウム、マグネシウムなどのアルカリ土類金属などの無機カチオン、例えば、4級アミン類などの有機カチオンなどが挙げられる。
また、共重合性モノマーとして、例えば、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸ポリプロピレングリコール、(メタ)アクリル酸メトキシエチレングリコール、(メタ)アクリル酸メトキシポリプロピレングリコールなどのグリコール系アクリルエステルモノマー;その他、例えば、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリルや、フッ素(メタ)アクリレートなどの複素環や、ハロゲン原子を含有するアクリル酸エステル系モノマーなどが挙げられる。
さらに共重合性モノマーとして、シリコーン系不飽和モノマーが挙げられる。シリコーン系不飽和モノマーには、シリコーン系(メタ)アクリレートモノマーや、シリコーン系ビニルモノマーなどが含まれる。シリコーン系(メタ)アクリレートモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリロイルオキシメチル−トリメトキシシラン、(メタ)アクリロイルオキシメチル−トリエトキシシラン、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−トリメトキシシラン、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−トリエトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−トリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−トリエトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−トリプロポキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−トリイソプロポキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−トリブトキシシランなどの(メタ)アクリロイルオキシアルキル−トリアルコキシシラン;例えば、(メタ)アクリロイルオキシメチル−メチルジメトキシシラン、(メタ)アクリロイルオキシメチル−メチルジエトキシシラン、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−メチルジメトキシシラン、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−メチルジエトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−メチルジメトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−メチルジエトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−メチルジプロポキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−メチルジイソプロポキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−メチルジブトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−エチルジメトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−エチルジエトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−エチルジプロポキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−エチルジイソプロポキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−エチルジブトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−プロピルジメトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−プロピルジエトキシシランなどの(メタ)アクリロイルオキシアルキル−アルキルジアルコキシシランや、これらに対応する(メタ)アクリロイルオキシアルキル−ジアルキル(モノ)アルコキシシランなどが挙げられる。また、シリコーン系ビニルモノマーとしては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリプロポキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリブトキシシランなどのビニルトリアルコキシシランの他、これらに対応するビニルアルキルジアルコキシシランや、ビニルジアルキルアルコキシシラン、例えば、ビニルメチルトリメトキシシラン、ビニルメチルトリエトキシシラン、β−ビニルエチルトリメトキシシラン、β−ビニルエチルトリエトキシシラン、γ−ビニルプロピルトリメトキシシラン、γ−ビニルプロピルトリエトキシシラン、γ−ビニルプロピルトリプロポキシシラン、γ−ビニルプロピルトリイソプロポキシシラン、γ−ビニルプロピルトリブトキシシランなどのビニルアルキルトリアルコキシシランの他、これらに対応する(ビニルアルキル)アルキルジアルコキシシランや、(ビニルアルキル)ジアルキル(モノ)アルコキシシランなどが挙げられる。
さらに、共重合性モノマーとして、水分散型粘着剤のゲル分率の調整などのために、多官能性モノマーを用いることができる。多官能モノマーとしては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基等の不飽和二重結合を2個以上有する化合物などが挙げられる。例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレートなどの(モノまたはポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレートや、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレートなどの(モノまたはポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレートなどの(モノまたはポリ)アルキレングリコールジ(メタ)アクリレートの他、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸と多価アルコールとのエステル化物;ジビニルベンゼン等の多官能ビニル化合物;(メタ)アクリル酸アリル、(メタ)アクリル酸ビニル等の反応性の不飽和二重結合を有する化合物等が挙げられる。また、多官能性モノマーとしては、ポリエステル、エポキシ、ウレタンなどの骨格にモノマー成分と同様の官能基として(メタ)アクリロイル基、ビニル基等の不飽和二重結合を2個以上付加したポリエステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレートなどを用いることもできる。
これらの共重合モノマーの中でも、水分散液(エマルション等)の安定化や、当該水分散液から形成される粘着剤層の被着体であるガラスパネルへの密着性の確保の観点から、アクリル酸等のカルボキシル基含有モノマー、リン酸基含有モノマー、シリコーン系不飽和モノマーが好ましく用いられる。
(メタ)アクリル系ポリマーは、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分とするものであり、その配合割合は、モノマー成分全量に対して、50重量%以上、好ましくは60重量%以上、さらに好ましくは70重量%以上である。また、その上限は、特に制限されず、例えば、100重量%、好ましくは99重量%、さらに好ましくは98重量%である。(メタ)アクリル酸アルキルエステルの配合割合が50重量%未満であると、粘着剤層の接着力などの粘着特性が低下する場合がある。
また、共重合性モノマーの配合割合は、モノマー成分全量に対して、例えば、50重量%未満、好ましくは、40重量%未満、さらに好ましくは、30重量%未満である。共重合性モノマーは、各共重合性モノマーの種類に応じて、配合割合を適宜選択することができる。例えば、共重合性モノマーが、カルボキシル基含有モノマーの場合、その割合はモノマー成分全量に対して0.1〜6重量%であるのが好ましく、リン酸基含有モノマーの場合その割合は0.5〜5重量%であるのが好ましく、シリコーン系不飽和モノマーの場合その割合は0.005〜0.2重量%であるのが好ましい。
前記モノマー成分の乳化重合は、常法により、モノマー成分を水に乳化させた後に、乳化重合することにより行う。これにより(メタ)アクリル系ポリマー水分散液を調製する。乳化重合では、例えば、上記したモノマー成分とともに、乳化剤、ラジカル重合開始剤、必要に応じて連鎖移動剤などを、水中において適宜配合される。より具体的には、例えば、一括仕込み法(一括重合法)、モノマー滴下法、モノマーエマルション滴下法などの公知の乳化重合法を採用することができる。なお、モノマー滴下法、モノマーエマルション滴下法では、連続滴下または分割滴下が適宜選択される。これらの方法は適宜に組み合わせることができる。反応条件などは、適宜選択されるが、重合温度は、例えば、0〜150℃程度であり、重合時間は2〜15時間程度ある。
乳化剤としては、特に制限されず、乳化重合に通常使用される各種の乳化剤が用いられる。例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸アンモニウム、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルスルホコハク酸ナトリウムなどのアニオン系乳化剤;例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマーなどのノニオン系乳化剤などが挙げられる。また、これらアニオン系乳化剤やノニオン系乳化剤に、プロペニル基やアリルエーテル基などのラジカル重合性官能基(ラジカル反応性基)が導入されたラジカル重合性乳化剤などが挙げられる。これら乳化剤は、適宜、単独または併用して用いられる。これらの乳化剤の中でも、ラジカル重合性官能基を有したラジカル重合性乳化剤は、水分散液(エマルション)の安定性、粘着剤層の耐久性の観点から、好ましく使用される。
前記乳化剤の配合割合は、前記(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分とするモノマー成分100重量部に対して、例えば、0.1〜5重量部程度、好ましくは0.4〜3重量部である。乳化剤の配合割合が、この範囲であると、耐水性、粘着特性、さらには重合安定性、機械的安定性などの向上を図ることができる。
ラジカル重合開始剤としては、特に制限されず、乳化重合に通常使用される公知のラジカル重合開始剤が用いられる。例えば、2,2´−アゾビスイソブチロニトリル、2,2´−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二硫酸塩、2,2´−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩、2,2´−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩、2,2'−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩酸塩などのアゾ系開始剤;例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなどの過硫酸塩系開始剤;例えば、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、過酸化水素などの過酸化物系開始剤;例えば、フェニル置換エタンなどの置換エタン系開始剤;例えば、芳香族カルボニル化合物などのカルボニル系開始剤などが挙げられる。前記ラジカル重合開始剤のなかでも、アゾ系のラジカル重合開示剤は、本発明において形成される粘着剤層の透明性を向上させることができ好ましい。これら重合開始剤は、適宜、単独または併用して用いられる。また、ラジカル重合開始剤の配合割合は、適宜選択されるが、モノマー成分100重量部に対して、例えば、0.02〜0.5重量部程度、好ましくは、0.08〜0.3重量部である。0.02重量部未満であると、ラジカル重合開始剤としての効果が低下する場合があり、0.5重量部を超えると、水分散型の(メタ)アクリル系ポリマーの分子量が低下し、水分散型粘着剤組成物の粘着性が低下する場合がある。
連鎖移動剤は、必要により、水分散型の(メタ)アクリル系ポリマーの分子量を調節するものであって、通常、乳化重合に通常使用される連鎖移動剤が用いられる。例えば、1−ドデカンチオール、メルカプト酢酸、2−メルカプトエタノール、チオグリコール酸2−エチルへキシル、2,3−ジメチルカプト−1−プロパノール、メルカプトプロピオン酸エステル類などのメルカプタン類などが挙げられる。これら連鎖移動剤は、適宜、単独または併用して用いられる。また、連鎖移動剤の配合割合は、モノマー成分100重量部に対して、例えば、0.001〜0.3重量部である。
このような乳化重合によって、水分散型の(メタ)アクリル系ポリマーを水分散液(エマルション)として調製することができる。このような水分散型の(メタ)アクリル系ポリマーは、その平均粒子径が、例えば、0.05〜3μm、好ましくは、0.05〜1μmに調整される。平均粒子径が0.05μmより小さいと、水分散型粘着剤の粘度が上昇する場合があり、1μmより大きいと、粒子間の融着性が低下して凝集力が低下する場合がある。
また、前記水分散液の分散安定性を保つために、前記水分散液に係る(メタ)アクリル系ポリマーが、共重合性モノマーとしてカルボキシル基含有モノマー等を含有する場合には、当該カルボキシル基含有モノマー等を中和することが好ましい。中和は、例えば、アンモニア、水酸化アルカリ金属等により行なうことができる。
本発明の水分散型の(メタ)アクリル系ポリマーは、通常、重量平均分子量は100万以上のものが好ましい。特に重量平均分子量で100万〜400万のものが耐熱性、耐湿性の点で好ましい。重量平均分子量が100万未満であると耐熱性、耐湿性が低下し好ましくない。また乳化重合で得られる粘着剤はその重合機構より分子量が非常に高分子量になるので好ましい。ただし、乳化重合で得られる粘着剤は一般にはゲル分が多くGPC(ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー)で測定できないので分子量に関する実測定での裏付けは難しいことが多い。
本発明の水分散型粘着剤は、上記のベースポリマーに加えて、架橋剤を含有することができる。水分散型粘着剤が水分散型アクリル系粘着剤の場合に用いられる架橋剤としては、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、アジリジン系架橋剤、カルボジイミド系架橋剤、金属キレート系架橋剤などの一般に用いられているものを使用できる。これら架橋剤は、官能基含有単量体を用いることにより重合体中に導入した官能基と反応して架橋する効果を有する。
ベースポリマーと架橋剤の配合割合は特に限定されないが、通常、ベースポリマー(固形分)100重量部に対して、架橋剤(固形分)10重量部程度以下の割合で配合される。前記架橋剤の配合割合は、0.001〜10重量部が好ましく、さらには0.01〜5重量部程度が好ましい。
次いで、粘着剤層の形成にあたっては、塗布された水分散型粘着剤に対して乾燥装置9により乾燥が施される。乾燥温度は、通常、80〜170℃程度、好ましくは80〜160℃であり、乾燥時間0.5〜30分間程度、好ましくは1〜10分間である。基材シート1が乾燥装置9を通過することにより、基材シート1には、湿潤状態の塗布液よりも膜厚が小さい塗布層が定着される。この例では、塗布液として粘着剤が用いられることにより、乾燥後の基材シート1には粘着剤層が形成される。ただし、塗布液は、乾燥装置9により基材シート1に定着されるものに限らず、例えばUV硬化装置を用いて硬化されることにより定着されるものであってもよいし、他の装置を用いて定着されるものであってもよい。
乾燥後の基材シート1には、粘着剤層を介してフィルム部材2が積層される。フィルム部材2としては、偏光板、位相差板、視角補償フィルム又は輝度向上フィルムなどの光学フィルムが挙げられる。この例では、ポリビニルアルコール系フィルムを用いて形成した偏光子の両面に保護フィルムが積層された偏光板が、フィルム部材2として用いられている。ただし、フィルム部材2は、偏光板に限らず、他の光学特性を有する光学フィルムであってもよいし、光学フィルム以外のフィルムからなるものであってもよい。
フィルム部材2は、基材シート1に対応する幅を有する長尺のフィルムからなり、当該フィルム部材2が巻回されることによりロール体10が形成されている。当該ロール体10から繰り出されるフィルム部材2には、下塗り装置11により下塗りが施される。例えば、粘着剤層との間の密着性を向上させるために、アンカー層を形成したり、コロナ処理、プラズマ処理などの各種易接着処理を施した後に粘着剤層を形成することができる。また、粘着剤層の表面には易接着処理をおこなってもよい。ただし、下塗り装置11を省略することも可能である。
基材シート1及びフィルム部材2は、互いに当接する1対の貼合ロール12間を通過する際に圧着され、基材シート1とフィルム部材2とが粘着剤層を介して積層されたシート状製品3が形成される。形成されたシート状製品3は巻回され、ロール体13として提供される。粘着剤層に対する基材シート1の粘着力は、粘着剤層に対するフィルム部材2の粘着力よりも弱く、シート状製品3から基材シート1を剥離する場合には、粘着剤層がフィルム部材2側に残るようになっている。
図2は、基材シート1に塗布液70を塗布する際の態様について説明するための概略断面図である。ダイコータ7は、例えば真空攪拌脱泡機などから脱泡されて搬送される塗布液70を、リップ71の先端に形成された吐出口74から吐出して基材シート1に塗布する。ダイコータ7は、基材シート1の幅方向(搬送方向に直交する方向)に対して平行な長尺形状を有しており、前記幅方向に沿ってライン状に延びるダイコータ7の吐出口74が、基材シート1の幅方向一端部から他端部に対向するように、基材シート1の幅とほぼ同幅又はそれ以上の幅で形成されている。
ダイコータ7内には、長手方向一端部から他端部まで延びる管からなるマニホールド72が形成されている。ダイコータ7における基材シート1に対向する面に形成されたリップ71は、基材シート1側に突出した突条からなり、ダイコータ7の長手方向一端部から他端部まで延びている。すなわち、ダイコータ7には、リップ71とマニホールド72とが互いに平行に延びるように形成されている。
ダイコータ7内には、マニホールド72からリップ71に連通する溝73が形成されている。溝73は、基材シート1に対して直交方向に延びており、当該溝73を介してリップ71に供給される塗布液70が、基材シート1の幅方向一端部から他端部に対向するリップ71の先端に形成された吐出口74から基材シート1の表面に塗布されるようになっている。したがって、基材シート1を搬送しながら、ダイコータ7から基材シート1の表面に塗布液70を供給することにより、基材シート1の表面全体に塗布液70を塗布することができる。
リップ71の先端に形成された吐出口74は、塗布液70の吐出口として機能する。基材シート1の搬送方向に沿った吐出口74の幅は、0.05〜10mmの範囲内であることが好ましく、0.10〜1mmの範囲内であることがより好ましい。ただし、リップ71の形状は、前記範囲内で塗布液70の粘度に応じて適宜設定するのが好適である。リップ71の先端は、基材シート1の表面に対して押圧されずに非接触の状態で塗布液を塗布するようになっている。基材シート1の表面からダイコータ7のリップ71までの距離は、3〜120μmであることが好ましく、5〜120μmであればより好ましく、5〜100μmであればさらに好ましい。
ダイコータ7としては、スロットダイコータ、スライドコータ、エクストルージョンコータなどが挙げられる。この例では、ダイコータ7としてスロットダイコータが用いられているが、これに限らず、他のダイコータ7を用いることも可能である。
本実施形態では、張力が付与された状態で搬送されている基材シート1の表面に対して、ダイコータ7の吐出口74を離した状態で塗布液を塗布するので、基材シート1に対する擦れが発生せず、基材シート1に皺やスジが生じて欠陥となるのを防止することができる。
水系塗布材料、特に水分散型塗布液、エマルション系塗布液の場合、ダイコータ7のリップ71を液がポンプ圧により押し出されて通過する際、チキソトロピックな性状により、一旦、粘度が低下し、これにより基材シート1に対してダイコータを押圧せずに塗布液を塗布することが可能となる。また、塗布直後には、粘度はそのチキソトロピックな性状の効果により上昇し、乾燥時の風圧などの摂動の影響を受けにくくなり、塗布液を塗布する面の平滑性を高めることが可能となるため好ましい。
特に、本実施形態のように、塗布液の吐出方向に2つの搬送ロール5が対向しないように設けられたダイコータ7の吐出口74から基材シート1の表面に塗布液を塗布する場合は、基材シート1を平坦な状態で搬送することが比較的難しい位置で塗布液を塗布することになるが、基材シート1の表面に対してダイコータ7の吐出口74を離した状態で塗布液を塗布することにより、基材シート1に対する擦れが発生するのを防止することができる。前記塗布液の吐出方向は、例えば基材シート1に対して直交する方向であり、ダイコータ7の溝73に対して平行な方向である。基材シート1に対して直交方向に2つの搬送ロール5と対向しないように設けられたダイコータ7の吐出口74から基材シート1の表面に塗布液を塗布するためには、基材シート1における各搬送ロール5の外周面に当接する領域と当接しない領域との境界ラインから塗布位置までの距離が、各搬送ロール5の半径以上である必要がある。
基材シート1に塗布される塗布液70の湿潤膜厚、すなわち乾燥装置9により乾燥される前の膜厚は、特に限定されるものではないが、10〜150μmであることが好ましい。このように、10〜150μmという比較的厚い湿潤膜厚で塗布液70を塗布する場合に、本実施形態によれば、欠陥が生じるのを効果的に防止することができる。10μm以上の比較的厚い湿潤膜厚で塗布液70を塗布することにより、基材シート1に対してダイコータ7を押圧せずに塗布液70を塗布することができ、この場合には、基材シート1にスジなどが発生するのを効果的に防止することができる。また、150μm以内の湿潤膜厚で塗布液70を塗布することにより、乾燥時間が長くなりすぎるのを防止して、塗布液70の表面の平滑性を保ちやすくすることができるとともに、乾燥コストが高くなるのを防止することができる。基材シート1に塗布される塗布液70の湿潤膜厚は、30〜150μmであればより好ましい。
基材シート1に塗布される塗布液70中の固形分の重量パーセント濃度(ベース)は、特に限定されるものではないが、5〜70%であることが好ましい。これにより、例えば水系の塗布液70において欠陥が生じるのを効果的に防止することができる。水系の塗布液70を用いる場合には、塗布液70のベースは20〜60%であることがより好ましく、30〜60%であればさらに好ましい。塗布液70のベースが70%以内であれば、塗布液70の粘度が著しく高くなることがないため好ましい。なお、塗布液70のベースが低い場合には、湿潤膜厚が大きくなりレベリングしやすいため、異物の存在等に起因して塗布液70の表面に凹状の欠陥が残存するといった問題が生じにくい。
塗布液70の粘度は、特に限定されるものではないが、5〜50000mPa・sであることが好ましく、100〜20000mPa・sであればより好ましい。水系の塗布液70を用いる場合には、塗布液70の粘度は200〜10000mPa・sであることがより好ましく、500〜3000mPa・sであればさらに好ましい。塗布液70の粘度が5mPa・s以上であれば、乾燥時に風などによる摂動を受けにくく、平滑性が得られやすいため好ましい。また、塗布液70の粘度が50000mPa・s以下であれば、安定したビードを形成しやすく、スジ等が発生しにくくなるため好ましい。
上記のような塗布液70のベースと粘度の点から見ると、本発明は、特に光学用粘着剤に使用される粘着剤溶液の塗布に有用である。また、水分散型粘着剤(エマルション)やハイソリッド型粘着剤の塗布に本発明を適用すれば、高ベースによる平滑性への寄与と凹状の欠陥の防止を両立することができ、産業的に特に有用である。
以下では、種々の条件下で基材シート1に粘着剤を塗布することにより離型フィルム上に粘着剤層を製造した。また当該粘着剤層により光学用粘着シート(粘着剤層付き偏光板)を製造した。各条件下で製造した光学用粘着シートについてスジの発生の有無及び粘着剤層の表面の粗さをそれぞれ観察した結果について説明する。この光学用粘着シートの製造工程では、基材シート1としてのポリエチレンテレフタレート製離型フィルム(厚さ38μm、幅1400mm)を繰り出し機により送り、2本のサポートロール(ロール径100mmφ、ロール間の距離300mm)により支持した状態(図1参照)で粘着剤を塗布した。その後、乾燥装置9により粘着剤を乾燥させ、乾燥後の粘着剤層にフィルム部材2として光学フィルム(偏光板)を貼り合わせた後、ロール状に巻回した。
各条件下で製造した光学用粘着シートにおけるスジの観察は、ポリエチレンテレフタレート製離型フィルムが積層された側の面について、反射光を用いて、スジ状の欠陥を目視でカウントすることにより行った。スジの観察においては以下のようにレベル分けを行い、レベル3以上であれば、スジ状の欠陥の発生を効果的に抑制できていると判断した。結果は下記表1に示す。
レベル1:全面に強いスジが認められる
レベル2:全面に21本以上の弱いスジが認められる
レベル3:1mあたりに6〜20本の弱いスジが認められる
レベル4:1mあたりに1〜5本の弱いスジが認められる
レベル5:全くスジが認められない
各条件下で製造した粘着剤層の表面粗さの観察は、ポリエチレンテレフタレート製離型フィルム(第1の離型フィルム)上に形成した粘着剤層の表面に第2のポリエチレンテレフタレート製離型フィルム(厚さ38μm、幅1400mm)を貼り合せて、粘着剤層の両面に2枚のポリエチレンテレフタレート製離型フィルムが貼付されたもの作製し、その後に、第1の離型フィルムを剥離し、塗工乾燥面とは反対側の塗工面をガラス(マツナミガラス社製、MICROSLIDE GLASS)に貼り付けたものをサンプルとした。当該サンプルについて、第2の離型フィルムが上になるように置き、WYKO NT3300(非接触三次元粗さ測定装置、日本ビーコ社製)を用いて、表面粗さを測定した。測定は、20mm×20mmの範囲で観察し、粘着剤層の塗工方向と垂直な方向に5mmおきに3点、表面粗さを算出した。表1には、表面粗さの平均値を示す。なお、表面粗さ(Ra)は、JISB0601に準拠して測定される値である。
(実施例1)
実施例1では、塗布液70として水分散型アクリル系粘着剤を用いた。この水分散型アクリル系粘着剤の調製に際しては、容器に、原料としてブチルアクリレート55554部、アクリル酸2776部、モノ[ポリ(プロピレンオキシド)メタクリレート]リン酸エステル(プロピレンオキシドの平均重合度5.0)1665部、及び3−メタクリロイルオキシプロピル−トリエトキシシラン(信越化学工業(株)製,KBM−503)5部を加えて混合し、モノマー混合物を得た。次いで、調製したモノマー混合物60000部に、反応性乳化剤としてアクアロンHS−10(第一工業製薬社製)1300部、イオン交換水38700部を加え、ホモジナイザー(特殊機化工業(株)製)を用い、10分間、7000rpmで攪拌し、モノマーエマルションを調製した。次に、冷却管、窒素導入管、温度計、滴下ロート及び攪拌羽根を備えた反応容器に、上記のようにして調製したモノマーエマルションのうちの20000部及びイオン交換水35000部を仕込み、次いで、反応容器を十分窒素置換した後、過硫酸アンモニウム10部を添加して、60℃で1時間重合した。次いで、残りのモノマーエマルションのうち80000部を、反応容器に3時間かけて滴下し、その後、3時間重合した。さらにその後、窒素置換しながら、65℃で5時間重合し、固形分濃度45%の水分散型粘着剤水溶液を得た。次いで、上記エマルション溶液を室温まで冷却した後、濃度10%のアンモニア水を30部添加し、さらに蒸留水で固形分を調製して39%とした。この液を、B型粘度計(東機産業製)を用いて、23℃、ローター回転数20rpmにて測定した結果、2000mPa・sであった。
実施例1では、図2のように基材シート1の表面からダイコータ7のリップ71の先端を離した状態で、当該リップ71の先端に形成された吐出口74から基材シート1の表面に塗布液70を塗布した。ダイコータ7のリップ71の先端と基材シート1の表面との間の距離Aを15μmに保つとともに、基材シート1に作用する張力を60N/mに保った状態で、基材シート1の表面に塗布液70を塗布した。塗布液70を塗布する際には、塗工幅を1250mmとし、塗工速度を20m/分とした。基材シート1の厚さは38μmである。塗布された塗布液70の湿潤膜厚は60μmであり、120℃で乾燥した後、最終的に偏光板と貼り合わせることにより、光学用粘着シートとして粘着剤層付き偏光板を得た。乾燥後の粘着剤層の膜厚は25μmであった。
製造した光学用粘着シートにおけるスジの観察結果はレベル5であり、スジ状の欠陥の発生を効果的に抑制できていることが分かった。また、製造した光学用粘着シートにおける表面粗さを観察した結果、35nmであった。
(実施例2)
実施例2においても、図2のように基材シート1の表面からダイコータ7のリップ71の先端を離した状態で、当該リップ71の先端に形成された吐出口74から基材シート1の表面に塗布液70を塗布した。ダイコータ7のリップ71の先端と基材シート1の表面との間の距離Aを5μmに保つとともに、基材シート1に作用する張力を100N/mに保った状態で、基材シート1の表面に塗布液70を塗布した。塗布された塗布液70の湿潤膜厚は31μmであり、120℃で乾燥した後、最終的に偏光板と貼り合わせることにより、光学用粘着シートとして粘着剤層付き偏光板を得た。乾燥後の粘着剤層の膜厚は12μmであった。その他の条件は、実施例1の場合と同様である。
製造した光学用粘着シートにおけるスジの観察結果はレベル5であり、スジ状の欠陥の発生を効果的に抑制できていることが分かった。また、製造した光学用粘着シートにおける表面粗さを観察した結果、38nmであった。
(実施例3)
実施例3においても、図2のように基材シート1の表面からダイコータ7のリップ71の先端を離した状態で、当該リップ71の先端に形成された吐出口74から基材シート1の表面に塗布液70を塗布した。ダイコータ7のリップ71の先端と基材シート1の表面との間の距離Aを100μmに保つとともに、基材シート1に作用する張力を80N/mに保った状態で、基材シート1の表面に塗布液70を塗布した。塗布された塗布液70の湿潤膜厚は150μmであり、120℃で乾燥した後、最終的に偏光板と貼り合わせることにより、光学用粘着シートとして粘着剤層付き偏光板を得た。乾燥後の粘着剤層の膜厚は58μmであった。その他の条件は、実施例1の場合と同様である。
製造した光学用粘着シートにおけるスジの観察結果はレベル4であり、スジ状の欠陥の発生をある程度効果的に抑制できていることが分かった。また、製造した光学用粘着シートにおける表面粗さを観察した結果、59nmであった。
(実施例4)
実施例4においても、図2のように基材シート1の表面からダイコータ7のリップ71の先端を離した状態で、当該リップ71の先端に形成された吐出口74から基材シート1の表面に塗布液70を塗布した。ダイコータ7のリップ71の先端と基材シート1の表面との間の距離Aを3μmに保つとともに、基材シート1に作用する張力を100N/mに保った状態で、基材シート1の表面に塗布液70を塗布した。塗布された塗布液70の湿潤膜厚は31μmであり、120℃で乾燥した後、最終的に偏光板と貼り合わせることにより、光学用粘着シートとして粘着剤層付き偏光板を得た。乾燥後の粘着剤層の膜厚は12μmであった。その他の条件は、実施例1の場合と同様である。
製造した光学用粘着シートにおけるスジの観察結果はレベル3であり、スジ状の欠陥の発生を比較的抑制できていることが分かった。また、製造した光学用粘着シートにおける表面粗さを観察した結果、70nmであった。
(実施例5)
実施例5においても、図2のように基材シート1の表面からダイコータ7のリップ71の先端を離した状態で、当該リップ71の先端に形成された吐出口74から基材シート1の表面に塗布液70を塗布した。ダイコータ7のリップ71の先端と基材シート1の表面との間の距離Aを120μmに保つとともに、基材シート1に作用する張力を50N/mに保った状態で、基材シート1の表面に塗布液70を塗布した。塗布液70を塗布する際には、塗工速度を35m/分とした。塗布された塗布液70の湿潤膜厚は150μmであり、120℃で乾燥した後、最終的に偏光板と貼り合わせることにより、光学用粘着シートとして粘着剤層付き偏光板を得た。乾燥後の粘着剤層の膜厚は58μmであった。その他の条件は、実施例1の場合と同様である。
製造した光学用粘着シートにおけるスジの観察結果はレベル3であり、スジ状の欠陥の発生を比較的抑制できていることが分かった。また、製造した光学用粘着シートにおける表面粗さを観察した結果、72nmであった。
(実施例6)
実施例6では、塗布液70として溶剤型アクリル系粘着剤を用いた。冷却管、窒素導入管、温度計、滴下ロート及び攪拌羽根を備えた反応容器に、ブチルアクリレート50000部、アクリル酸25部、ヒドロキシブチルアクリレート25部、過酸化ベンゾイル100部をトルエン120000部に溶解し投入した。次いで、反応容器を十分窒素置換した後、攪拌下、約70℃で3時間反応させて重量平均分子量70万のアクリル系ポリマー(固形分30%)を含有する溶液を得た。上記アクリル系ポリマー溶液にイソシアネート系多官能化合物である三井武田ポリウレタン社製タケネートD110Nを、ポリマー固形分100部に対して1.3部加えた。この液を、B型粘度計(東機産業製)を用いて、23℃、ローター回転数20rpmにて測定した結果、11000mPa・sであった。
実施例6においても、図2のように基材シート1の表面からダイコータ7のリップ71の先端を離した状態で、当該リップ71の先端に形成された吐出口74から基材シート1の表面に塗布液70を塗布した。ダイコータ7のリップ71の先端と基材シート1の表面との間の距離Aを45μmに保つとともに、基材シート1に作用する張力を70N/mに保った状態で、基材シート1の表面に塗布液70を塗布した。塗布された塗布液70の湿潤膜厚は77μmであり、120℃で乾燥した後、最終的に偏光板と貼り合わせることにより、光学用粘着シートとして粘着剤層付き偏光板を得た。乾燥後の粘着剤層の膜厚は23μmであった。その他の条件は、実施例1の場合と同様である。
製造した光学用粘着シートにおけるスジの観察結果はレベル3であり、スジ状の欠陥の発生を比較的抑制できていることが分かった。また、製造した光学用粘着シートにおける表面粗さを観察した結果、60nmであった。
(実施例7)
実施例7では、塗布液70として水分散型アクリル系粘着剤を用いた。この水分散型アクリル系粘着剤の調製に際しては、容器に、原料としてブチルアクリレート55554部、アクリル酸1667部、モノ[ポリ(プロピレンオキシド)メタクリレート]リン酸エステル(プロピレンオキシドの平均重合度5.0)833部、及び3−メタクリロイルオキシプロピル−トリエトキシシラン(信越化学工業(株)製,KBM−503)5部を加えて混合し、モノマー混合物を得た。次いで、調製したモノマー混合物58060部に、反応性乳化剤としてアクアロンHS−10(第一工業製薬社製)871部、イオン交換水24011部を加え、ホモジナイザー(特殊機化工業(株)製)を用い、10分間、7000rpmで攪拌し、モノマーエマルションを調製した。次に、冷却管、窒素導入管、温度計、滴下ロート及び攪拌羽根を備えた反応容器に、上記のようにして調製したモノマーエマルションのうちの10000部及びイオン交換水10703部を仕込み、次いで、反応容器を十分窒素置換した後、過硫酸アンモニウム10部を添加して、60℃で1時間重合した。次いで、残りのモノマーエマルションのうち72941部を、反応容器に3時間かけて滴下し、その後、3時間重合した。さらにその後、窒素置換しながら、65℃で5時間重合し、固形分濃度62%の水分散型粘着剤水溶液を得た。次いで、上記エマルション溶液を室温まで冷却した後、濃度10%のアンモニア水を20部添加し、さらに蒸留水で固形分を調製して60%とした。この液を、B型粘度計(東機産業製)を用いて、23℃、ローター回転数20rpmにて測定した結果、3000mPa・sであった。
実施例7では、図2のように基材シート1の表面からダイコータ7のリップ71の先端を離した状態で、当該リップ71の先端に形成された吐出口74から基材シート1の表面に塗布液70を塗布した。ダイコータ7のリップ71の先端と基材シート1の表面との間の距離Aを10μmに保つとともに、基材シート1に作用する張力を60N/mに保った状態で、基材シート1の表面に塗布液70を塗布した。塗布液70を塗布する際には、塗工幅を1250mmとし、塗工速度を20m/分とした。基材シート1の厚さは38μmである。塗布された塗布液70の湿潤膜厚は42μmであり、120℃で乾燥した後、最終的に偏光板と貼り合わせることにより、光学用粘着シートとして粘着剤層付き偏光板を得た。乾燥後の粘着剤層の膜厚は25μmであった。
製造した光学用粘着シートにおけるスジの観察結果はレベル5であり、スジ状の欠陥の発生を効果的に抑制できていることが分かった。また、製造した光学用粘着シートにおける表面粗さを観察した結果、40nmであった。
(実施例8)
実施例8では、塗布液70として水分散型アクリル系粘着剤を用いた。この水分散型アクリル系粘着剤の調製に際しては、容器に、原料としてブチルアクリレート55554部、アクリル酸2776部、モノ[ポリ(プロピレンオキシド)メタクリレート]リン酸エステル(プロピレンオキシドの平均重合度5.0)1665部、及び3−メタクリロイルオキシプロピル−トリエトキシシラン(信越化学工業(株)製,KBM−503)5部を加えて混合し、モノマー混合物を得た。次いで、調製したモノマー混合物58060部に、反応性乳化剤としてアクアロンHS−10(第一工業製薬社製)1300部、イオン交換水38700部を加え、ホモジナイザー(特殊機化工業(株)製)を用い、10分間、7000rpmで攪拌し、モノマーエマルションを調製した。次に、冷却管、窒素導入管、温度計、滴下ロート及び攪拌羽根を備えた反応容器に、上記のようにして調製したモノマーエマルションのうちの20000部及びイオン交換水35000部を仕込み、次いで、反応容器を十分窒素置換した後、過硫酸アンモニウム10部を添加して、60℃で1時間重合した。次いで、残りのモノマーエマルションのうち80000部を、反応容器に3時間かけて滴下し、その後、3時間重合した。さらにその後、窒素置換しながら、65℃で5時間重合し、固形分濃度45%の水分散型粘着剤水溶液を得た。次いで、上記エマルション溶液を室温まで冷却した後、濃度10%のアンモニア水を添加してpH8に調製し、さらに変性ポリアクリル酸系増粘剤SNシックナー640(サンノプコ(株)製)をエマルションの固形分100に対して1.5部添加し、さらにイオン交換水を加えて固形分20%に調製した。この液を、B型粘度計(東機産業製)を用いて、23℃、ローター回転数20rpmにて測定した結果、500mPa・sであった。
実施例8では、図2のように基材シート1の表面からダイコータ7のリップ71の先端を離した状態で、当該リップ71の先端に形成された吐出口74から基材シート1の表面に塗布液70を塗布した。ダイコータ7のリップ71の先端と基材シート1の表面との間の距離Aを5μmに保つとともに、基材シート1に作用する張力を60N/mに保った状態で、基材シート1の表面に塗布液70を塗布した。塗布液70を塗布する際には、塗工幅を1250mmとし、塗工速度を20m/分とした。基材シート1の厚さは38μmである。塗布された塗布液70の湿潤膜厚は125μmであり、120℃で乾燥した後、最終的に偏光板と貼り合わせることにより、光学用粘着シートとして粘着剤層付き偏光板を得た。乾燥後の粘着剤層の膜厚は25μmであった。
製造した光学用粘着シートにおけるスジの観察結果はレベル3であり、スジ状の欠陥の発生を効果的に抑制できていることが分かった。また、製造した光学用粘着シートにおける表面粗さを観察した結果、75nmであった。
(比較例1)
比較例1では、図2のように基材シート1の表面からダイコータ7のリップ71の先端を離さず、リップ71の先端を基材シート1の表面に押し付けた状態で(ダイコータ7のリップ71の先端と基材シート1の表面との間の距離Aは0μm)、当該リップ71の先端に形成された吐出口74から基材シート1の表面に塗布液70を塗布した。基材シート1に作用する張力を30N/mに保った状態で、基材シート1の表面に塗布液70を塗布した。塗布された塗布液70の湿潤膜厚は60μmであり、120℃で乾燥した後、最終的に偏光板と貼り合わせることにより、光学用粘着シートとして粘着剤層付き偏光板を得た。乾燥後の粘着剤層の膜厚は23μmであった。湿潤膜厚の制御は、吐出ポンプ圧の制御により調整した。その他の条件は、実施例1の場合と同様である。
製造した光学用粘着シートにおけるスジの観察結果はレベル1であり、スジ状の欠陥は防止できていないことが分かった。また、製造した光学用粘着シートにおける表面粗さを観察した結果、110nmであり、実施例1〜6と比較して極めて表面が粗いことが分かった。
実験結果は、下記表1の通りである。
1 基材シート
2 フィルム部材
3 シート状製品
4 ロール体
5 搬送ロール
6 前処理装置
7 ダイコータ
9 乾燥装置
10 ロール体
11 下塗り装置
12 貼合ロール
13 ロール体
70 塗布液
71 リップ
72 マニホールド
73 溝
74 吐出口

Claims (9)

  1. ダイコータを用いて、可撓性を有する基材シートの表面に塗布液を塗布する方法であって、
    張力が付与された状態で搬送されている前記基材シートの表面から前記ダイコータに設けられた塗布液の吐出口を離した状態で、前記吐出口から前記基材シートの表面に塗布液を塗布することを特徴とする塗布液の塗布方法。
  2. 前記基材シートは、2つのロール間において張力が付与された状態で搬送され、
    前記ダイコータの吐出口が、塗布液の吐出方向に前記2つのロールが対向しないように設けられていることを特徴とする請求項1に記載の塗布液の塗布方法。
  3. 前記基材シートに塗布される塗布液の湿潤膜厚が、10〜150μmであることを特徴とする請求項1又は2に記載の塗布液の塗布方法。
  4. 前記基材シートに塗布される塗布液中の固形分の重量パーセント濃度が、5〜70%であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の塗布液の塗布方法。
  5. ダイコータを用いて、可撓性を有する基材シートの表面に塗布液を塗布する装置であって、
    張力が付与された状態で搬送されている前記基材シートの表面から塗布液の吐出口を離した状態で、前記吐出口から前記基材シートの表面に塗布液を塗布するダイコータを備えることを特徴とする塗布液の塗布装置。
  6. 前記基材シートは、2つのロール間において張力が付与された状態で搬送され、
    前記ダイコータの吐出口が、塗布液の吐出方向に前記2つのロールが対向しないように設けられていることを特徴とする請求項5に記載の塗布液の塗布装置。
  7. 前記基材シートに塗布される塗布液の湿潤膜厚が、10〜150μmであることを特徴とする請求項5又は6に記載の塗布液の塗布装置。
  8. 前記基材シートに塗布される塗布液中の固形分の重量パーセント濃度が、5〜70%であることを特徴とする請求項5〜7のいずれかに記載の塗布液の塗布装置。
  9. 請求項1〜4のいずれかに記載の塗布液の塗布方法により、前記基材シートに前記塗布液が塗布された塗布物を製造することを特徴とする塗布物の製造方法。
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