以下、図1ないし図20を参照して、本発明を実施したシャッター装置およびシャッター装置を備えた撮像装置について説明する。
図20は、本発明を実施した撮像装置としてのデジタル一眼レフカメラ本体101および交換レンズ201の中央断面図である。
カメラ本体101に対して着脱可能な交換レンズ201は、カメラ側のマウント部102と交換レンズ側のマウント部202によって固定される。交換レンズ201が装着されると、カメラ本体101の接点部103と交換レンズ201の接点部203とが電気的に接続される。これによりカメラ本体101は交換レンズ201が装着されたことを検知する。
さらに、この接点部103および203を介してカメラ本体101から交換レンズ201へ電力の供給や交換レンズ201を制御するための通信を行う。交換レンズ201のフォーカスレンズ204を透過した光束は、カメラ本体101のメインミラー6に入射する。メインミラー6は撮影光路内を進退可能なミラーである。メインミラー6はハーフミラーとなっており、このメインミラー6により反射された光束はファインダーへと導かれる。
また、このメインミラー6を透過した光束は、サブミラー105により下方へ反射され、焦点検出ユニット106へと導かれる。この焦点検出ユニット106は、フォーカスレンズ204のデフォーカス量を検出し、フォーカスレンズ204が合焦状態となるようにフォーカスレンズ204を移動するためのレンズ駆動量を演算する。そして、その演算したレンズ駆動量を接点部103および203を介して交換レンズ201へ送出すると、交換レンズ201は不図示のモーターを制御して、フォーカスレンズ204を移動させて焦点調節を行う。
メインミラー6は、メインミラー保持枠107に保持され、回転軸部6bによって回動可能に軸支されている。またサブミラー105は、サブミラー保持枠109に保持されている。このサブミラー保持枠109は不図示のヒンジ軸によってメインミラー保持枠107に対して回動可能に軸支されている。メインミラー6によってファインダーへと導かれた光束は、ピント板110に被写体像を結像する。使用者はペンタプリズム111および接眼レンズ112を介してこのピント板110上の被写体像を観察するように構成されている。
サブミラー105の後方にはシャッターユニット100が配置されており、羽根群は通常閉じた状態になっている。このシャッターユニット100の後方には、光学ローパスフィルター114が配置されている。この光学ローパスフィルター114の後方には、不図示のビスによって筐体に固定された撮像素子ホルダー115によって保持された撮像素子116と、撮像素子116を保護するカバー部材117が配置されている。118は光学ローパスフィルター114を保持すると共に、光学ローパスフィルター114と撮像素子116の間を密閉するためのゴム部材である。そして撮影時には、この光学ローパスフィルター114を透過した光束が、撮像素子116へと入射するように構成されている。
図1(a)はシャッターユニット100を正面から見た分解斜視図であり、図1(b)はシャッターユニット100を背面から見た分解斜視図である。
図1(a)に図示するように、シャッター地板1の中央部には開口1aが形成される。シャッター地板1には軸1b、軸1cおよび軸1dが形成される。軸1bには駆動レバー11、羽根レバー15およびラチェット16が回転可能に軸支されている。軸1cには第1のカムギヤ21が回転可能に軸支されている。軸1dには第2のカムギヤ22が回転自在に軸支されている。第1のカムギヤ21が第1の部材として機能し、第2のカムギヤ22が第2の部材として機能する。
軸1bに駆動レバー11およびラチェット16を軸支し、軸1cに第1のカムギヤ21を軸支し、軸1dに第2のカムギヤ22を軸支して、補助地板31をシャッター地板1に固定する。羽根レバー15は駆動レバー11に軸支されるが、駆動レバー11と同様に軸1bを中心として回動する。補助地板31には、軸1b、軸1cおよび軸1dがそれぞれ挿入される軸受孔が形成される。駆動レバー11、羽根レバー15、ラチェット16、第1のカムギヤ21および第2のカムギヤ22はシャッター地板1と補助地板31との間に挟まれる。
補助地板31には軸31aが形成される。軸31aにはミラーレバー36が回転自在に軸支される。ミラーレバー36にはミラーレバー駆動バネ39がかけられる。ミラーレバー駆動バネ39はミラーレバー36を図1(a)にて時計方向、すなわちメインミラー6を上昇させる方向に付勢されている。
メインミラー6は、回転軸部6bを中心に往復回動する。これによって、撮影光束をペンタプリズム111の方向へ導くために撮影光軸に対して45°の角度に保持されるダウン位置と、撮像素子116の方向へ導くために撮影光束から退避した位置に保持されるアップ位置とを取り得る。
メインミラー6の軸部6aには、メインミラー駆動バネ7がかけられる。メインミラー駆動バネ7はメインミラー6をダウン方向に付勢している。
ラチェット16にはラチェット歯16aが形成されている。補助地板31には、ラチェット歯16aと係合する係合部材としての係合爪部31bが形成されている。
補助地板31には、羽根レバー15の回動位置を検出するフォトセンサー32が取り付けられている。
図1(b)に図示するように、ビス35によってヨーク33とコイル34が補助地板31に固定される。コイル34に電圧を印加することにより、ヨーク33に磁力を発生させる。
図1(a)に図示するように、フレキシブル配線板38には、補助地板31の固定される第1の固定部38aとシャッター地板1に固定される第2の固定部38bが形成される。フレキシブル配線板38は第1の固定部38aでコイル34およびフォトセンサー32と接続される。フレキシブル配線板38の第2の固定部38bには、第1のカムギヤ21に取り付けられる位相接片23の位相を検出する位相パターン部38cが形成される。
シャッター地板1の円弧状をした孔1eの上部には、ゴム等の弾性材料で形成された半月状の緩衝部材3が固定されている。
図1(b)に図示するように、カバー板2がシャッター地板1の背面側に固定される。カバー板2の中央部にはシャッター地板1の開口1aと略一致した位置に開口2aが形成され、開口1aおよび2aにより、シャッターユニット100を通過する光束を制限している。
シャッター地板1とカバー板2の間には羽根群を配置する羽根室が形成される。羽根群は1番羽根41、2番羽根42、主アーム43及び副アーム44で構成されている。
シャッター羽根としての1番羽根41と2番羽根42は黒色塗料を含有するポリエチレンテフタレートで形成される。ピン45によって1番羽根41は主アーム43と副アーム44に回転可能に軸支され、ピン45によって2番羽根42は主アーム43と副アーム44に回転可能に軸支される。
主アーム43はシャッター地板1に形成される軸1fに回転可能に軸支され、副アーム44はシャッター地板1に形成される軸1gに回転可能に軸支されている。主アーム43が軸1fを中心に回動し、副アーム44が軸1gを中心に回動することで、1番羽根41および2番羽根42は平行リンク運動を行う。
主アーム43には後述する羽根レバー15の係合部15aと係合するための穴43aが形成される。羽根レバー15は1番羽根41および2番羽根42と連結される羽根レバーとして機能する。副アーム44には羽根復帰バネ46がかけられる。羽根復帰バネ46は図1(b)において、副アーム44を時計回り方向に付勢している。すなわち、羽根復帰バネ46の付勢力によって1番羽根41および2番羽根42は開口1aおよび2aを開く方向に走行する。
羽根復帰バネ46の付勢力によって、1番羽根41および2番羽根42が開口1aおよび2aを開く方向に走行し終えると、1番羽根41および2番羽根42が羽根緩衝部材4に衝突する。羽根緩衝部材4はシャッター地板1に設けられた四角形の軸部1hに固定されている。羽根緩衝部材4は四角形の外形を有し、軸部1hも羽根緩衝部材4の外形と同じ四角形で形成される。そして、羽根緩衝部材4をシャッター地板1に取り付けた状態で、羽根緩衝部材4の外形の辺と軸部1hの辺が略平行となるように形成される。本実施例では羽根緩衝部材4および軸部1hは四角形であるが、上述した条件を満たす多角形であれば、同様の作用効果を奏する。
羽根緩衝部材4はクロロプレンゴム、ブチルゴム、ポリウレタンゴム、シリコンゴム等のゴム材料、あるいは、エラストマー等の衝撃を吸収する材料で形成される。羽根緩衝部材4の周囲には羽根接触部材5で覆われている。羽根接触部材5は金属、プラスティック等の羽根緩衝部材4より耐摩耗性の優れた材料で形成される。羽根接触部材5は羽根緩衝部材4に固定されている。1番羽根41および2番羽根42が羽根緩衝部材4に衝突するときに、1番羽根41および2番羽根42が羽根緩衝部材4に直接接触しないように構成される。これによって、1番羽根41および2番羽根42が羽根緩衝部材4に衝突することで、羽根緩衝部材4が摩耗することを防止する。
図2は駆動レバー11、羽根レバー15およびラチェット16を説明する図である。
図2(a)および図2(c)は駆動レバー11、羽根レバー15およびラチェット16をシャッター地板1側から見た図である。
図2(b)は図2(a)のA−A断面図で、駆動レバー11のアーマチャ保持部11aの断面図である。図2(d)は図2(c)のB−B断面図で、駆動レバー11のローラー保持軸11dと羽根レバー15のローラー受け部15dとの関係を説明する図である。
図2(a)および図2(c)に図示するように、駆動レバー11には、突出部11eが形成されており、羽根レバー15には突出部15bが形成される。図2(a)に図示する状態では突出部11eが突出部15bに当接し、図2(c)に図示する状態では突出部11eが突出部15bに当接しない。
図2(b)に図示するように、駆動レバー11には、アーマチャ保持部11aが形成される。アーマチャ保持部11aには貫通穴11bが形成される。アーマチャ軸12aの一端には外径が貫通穴11bの内径より大きなフランジ12bが設けられている。貫通穴11bにアーマチャ軸12aの他端が緩挿され、アーマチャ軸12aにアーマチャ12を取り付けた後、アーマチャ軸12aの他端がカシメられる。
アーマチャ12とアーマチャ保持部11aの間にはアーアチャ軸12aの周囲に圧縮バネであるアーマチャバネ17が配置されている。アーマチャバネ17はアーマチャ12をアーマチャ保持部11aから離反させる方向の付勢力を与えている。
アーマチャ保持部11aのフランジ12bに対向する位置には半球状の突起11cが形成される。
図2(a)、図2(c)および図2(d)に図示するように、駆動レバー11のローラー保持軸11dにはローラー13が回転可能に保持されている。ローラー保持軸11dとローラー13との間には潤滑油が塗布されている。ローラー13は第2のカムギヤ22の第2のカム面22cと接触する。
駆動レバー11には突出部11eが形成される。突出部11eは羽根レバー15の突出部15bと当接する。
羽根レバー15には突出した係合部15aが形成される。係合部15aはシャッター地板1の円弧状の孔1eを貫通し、シャッター地板1の背面側で主アーム43の穴43aと係合する。したがって、羽根レバー15の回動に連動して主アーム43が回動する。羽根レバー15にはカムフォロワー15eが形成される。カムフォロワー15eは第1のカムギヤ21のカム面21bと接触する。羽根レバー15には2つの遮光壁部15cが設けられ、遮光壁部15cがフォトセンサー32を遮光することにより、羽根レバー15の回動位置を検出する。すなわち、フォトセンサー32が検出手段として機能し、遮光壁部15cが被検出部として機能する。
羽根レバー15には、ローラー保持軸11dに保持されるローラー13が脱落しないように、ローラー保持軸11dに向けて延出するローラー受け部15dが形成される。
ローラー受け部15dは、羽根復帰バネ46の付勢力によって羽根レバー15を1番羽根41および2番羽根42が開口1aおよび2aを開く方向に駆動させる際に、ローラー保持軸11dが移動する範囲に形成される。
すなわち、駆動レバー11と羽根レバー15がどのような位置関係になっても、ローラー受け部15dはローラー保持軸11dに対向する。したがって、ローラー保持軸11dとローラー13との間に塗布した潤滑油が滲みだしたとしても、ローラー受け部15dに付着するだけで、シャッター地板1に滲みだすことはない。
図2(d)に図示するように、シャッター地板1の軸1bに駆動レバー11の円筒部11fを篏合させることで、駆動レバー11はシャッター地板1の軸1bに対して回動可能に軸支される。そして、羽根レバー15を駆動レバー11の円筒部11fに篏合させることで、羽根レバー15は駆動レバー11の円筒部11fに対して回動可能に軸支される。したがって、羽根レバー15はシャッター地板1に対して回動し、駆動レバー11は羽根レバー15と同じ軸でシャッター地板1に対して回動する。
図2(d)に図示するように、ラチェット16と駆動レバー11の間にはねじりバネである羽根駆動バネ14が配置される。羽根駆動バネ14の一方端14aは駆動レバー11に係止され、羽根駆動バネ14の他方端14bはラチェット16に係止されている。羽根駆動バネ14は図2(a)において、駆動レバー11を反時計方向に付勢している。羽根駆動バネ14の自由長は、駆動レバー11とラチェット16との間隔より長く設定されており、圧縮バネとして働き、駆動レバー11をシャッター地板1の方向に付勢している。
図2(d)に図示するように、羽根レバー15には傾斜部15fが形成される。傾斜部15fが形成されることで、羽根レバー15のローラー受け部15dは、羽根レバー15の回動中心から略円錐形状となるように延出される。ローラー受け部15dを羽根レバー15の回動中心から略円筒形状となるように延出させると、羽根レバー15が回動する際に、羽根レバー15に作用する慣性力が大きくなってしまう。本実施例ではローラー受け部15dを略円錐形状で形成することで、羽根レバー15の慣性力の増加を抑えてローラー受け部15dを形成することができる。
駆動レバー11を羽根レバー15に組み付ける手順について説明する。まずローラー保持軸11dにローラー13を挿入する。その後、羽根レバー15を図2(a)に図示する状態で、円筒部11fに挿入する。そして、羽根レバー15を駆動レバー11に対して反時計方向に回転させると、図2(c)に図示する状態となる。図2(c)に図示する状態では、ローラー保持軸11dがローラー受け部15dと遮光壁部15cとの間に位置するので、駆動レバー11が羽根レバー15から抜けてしまうことがない。また、ローラー保持軸11dがローラー受け部15dと遮光壁部15cとの間で軸方向に動く範囲は、ローラー13の厚みよりも小さい。したがって、ローラー13がローラー保持軸11dから脱落しない。
このように、駆動レバー11とローラー13と羽根レバー15とを一体化した上で、シャッター地板1の軸1bに駆動レバー11の円筒部11fを篏合させる。
図3は、駆動レバー11に羽根駆動バネ14およびラチェット16を組み付けた状態を説明する図である。図3に示すように、羽根駆動バネ14の一方端14aは駆動レバー11に係止され、羽根駆動バネ14の他方端14bはラチェット16に形成されるスリット16bに係止されている。図3に示す状態は羽根駆動バネ14がチャージしていないフリー状態である。この状態からラチェット16を時計方向に回転させると、羽根駆動バネ14をチャージする。ラチェット16を回転して、羽根駆動バネ14をチャージした状態で、補助地板31に形成した係合爪部31bがラチェット歯16aに係合する。ラチェット16の回転量を調整することで、羽根駆動バネ14が駆動レバー11を付勢する力を調整する。すなわち、ラチェット16はラチェット部材に相当する。
図4はラチェット16を説明する図である。図4(a)はラチェット16の外観を説明する図である。図4(a)に図示すように、ラチェット16は第1の円筒部16cと第2の円筒部16dで形成される二重円筒形状となっている。第1の円筒部16cの外周面にはラチェット歯16aが形成される。第2の円筒部16dは第1の円筒部16cと同心となる円筒部であって第1の円筒部16cの内側に形成される。第1の円筒部16cには一部が切り欠かれるスリット16bが形成される。スリット16bの端部には、第1の円筒部16cの内周面から第2の円筒部16dに向けて突出させる突出部16eが形成される。
したがって、突出部16eが形成される部分は、それ以外の部分と比較して第1の円筒部16cの径方向の厚みが厚くなっている。第2の円筒部16dの外周面のうち、スリット16bおよび突出部16eが対向する部分には、第1の円筒部16cに向けて突出させる突出部16fが形成される。
図4(b)は、第1の円筒部16cと第2の円筒部16dとの間に羽根駆動バネ14を配置し、羽根駆動バネ14の他方端14bをスリット16bに係止した状態を示している。図4(b)に示す状態は羽根駆動バネ14がチャージしていないフリー状態である。
図4(b)に図示するように、スリット16bの端部16b1の位置P0から時計方向に第1の角度位置P1となる範囲には、第1の円筒部16cの内周面から第2の円筒部16dに向けて突出させる突出部16eが形成されている。すなわち、羽根駆動バネ14をチャージする方向にラチェット16を回転させる際に、羽根駆動バネ14の他方端14bが当接するスリット16bの端部16b1から羽根駆動バネ14をチャージする方向とは反対方向に第1の角度位置となる範囲に、突出部16eが形成される。スリット16bの端部16b1の厚みHaは、スリット16bの端部16b2の厚みHbよりも大きくなる。スリット16bの端部16b1がスリット16bの一方端に相当し、スリット16bの端部16b2がスリット16bの他方端に相当する。
また、スリット16bの端部16b1がラチェット歯16aの歯先部分となるように、スリット16bは形成される。これによって、スリット16bの端部16b1の面積を最大にすることができる。
図4(b)に示す状態からラチェット16を反時計方向に回転させると、羽根駆動バネ14の一方端14aがスリット16bの端部16b1に当接して、羽根駆動バネ14をチャージする。羽根駆動バネ14がチャージされると図4(c)に示す状態になる。
羽根駆動バネ14をチャージする際に、スリット16bの端部16b1には大きな力が作用する。ラチェット16は樹脂材料で形成されているが、突出部16eが形成されることによって、スリット16bの端部16b1は十分強度を持っている。これによって、羽根駆動バネ14をチャージする際に、羽根駆動バネ14の一方端14aがスリット16bの端部16b1にめり込んでしまうという問題は発生しない。
図4(c)に図示するように、羽根駆動バネ14をチャージされ、羽根駆動バネ14が巻き締まることで、羽根駆動バネ14の直径は図4(b)に示すDaから図4(c)に示すDbになる。羽根駆動バネ14の直径が小さくなると、羽根駆動バネ14の一方端14aがスリット16bの端部16b1に当接する範囲が少なくなることが考えられる。
この点を考慮して、羽根駆動バネ14の一方端14aを長めに形成すると、羽根駆動バネ14のチャージ量が少ない場合には、スリット16bから羽根駆動バネ14の一方端14aが突出してしまう。この場合には、羽根駆動バネ14の一方端14aが突出する可能性のある空間には部品をレイアウトできなくなり、シャッター装置の小型化を妨げる。
これに対して、本実施例では、第2の円筒部16dの外周面のうち、スリット16bの他方端16b2の位置P2から突出部16eが形成される第1の角度位置P1となる範囲に、第1の円筒部16cに向けて突出させる突出部16fが形成される。これによって、羽根駆動バネ14がチャージされ、図4(c)に図示するように、羽根駆動バネ14の直径がDbとなっても、羽根駆動バネ14の一方端14aがスリット16bの端部16b1に当接する範囲を確保することができる。したがって、羽根駆動バネ14の一方端14aとスリット16bの端部16b1との当接する範囲が少なくなることで、羽根駆動バネ14の一方端14aがスリット16bの端部16b1にめり込んでしまうという問題は発生しない。また、羽根駆動バネ14の一方端14aを長めに形成する必要もなくなり、シャッター装置の小型化を妨げることもない。
図5は第1のカムギヤ21と第2のカムギヤ22を説明する図である。
第1のカムギヤ21には、ギヤ21a、カム21bが形成される。ギヤ21aは第2のカムギヤ22のギヤ22bと噛み合うことで回転が伝達される。ギヤ21aは第1のギヤ部として機能し、ギヤ22bは第2のギヤ部として機能する。カム21bは羽根レバー15のカムフォロワー15eがトレースするカムである。
図5(a)に図示する状態では、カム21bとカムフォロワー15eが当接している。この状態では、羽根レバー15は羽根復帰バネ46によって反時計周りの力が作用しているが、カム21bとカムフォロワー15eが当接することで、羽根レバー15の回動は阻止される。したがって、第1のカムギヤ21は、1番羽根41および2番羽根42が開口1aおよび2aを閉じる状態となるように羽根レバー15を保持する。
図5(b)に図示する状態は、図5(a)に図示する状態から第1のカムギヤ21が反時計方向に回転した状態を示している。図5(b)に図示する状態では、カム21bとカムフォロワー15eとの当接が解除され、羽根レバー15は羽根復帰バネ46によって反時計方向に回動する。
図5(b)に図示する状態から第1のカムギヤ21が反時計方向に回転すると、カム21bがカムフォロワー15eに当接して、羽根レバー15を時計方向に回動する。これによって、羽根復帰バネ46はチャージされる。
カム部21bの底面には位相接片23が配置される。位相接片23はFPC38のパターン部38cと接触し、第1のカムギヤ21の回転位相を検出する。
第2のカムギヤ22には、第1のカム22a、ギヤ22b、第2のカム22cが形成されている。ギヤ22bは不図示の伝達ギヤと噛み合い、不図示のモーターの駆動力が伝達される。
ギヤ22bとギヤ21aの歯数は同じ数に設定される。ギヤ22bとギヤ21aは所定の位相で噛み合っている。したがって、第1のカムギヤ21と第2のカムギヤ22は所定の位相でかつ同じ回転数で回転する。
第1のカム部である第1のカム22aはミラーレバー36のカムフォロワー36aに当接して、ミラーレバー36をアップ位置とダウン位置に回動させる。すなわち、第2のカムギヤ22は、第1のカム22aとミラーレバー36のカムフォロワー36aが当接する第1の位置となるときに、メインミラー6をダウンさせて撮影光路に進入させる。第2のカムギヤ22は、第1のカム22aとミラーレバー36のカムフォロワー36aとの当接が解除される第2の位置となるときに、メインミラー6をアップさせて撮影光路から退避させる。
第2のカム部である第2のカム22cは駆動レバー11に保持されたローラー13に当接して、駆動レバー11のチャージと解除動作を行う。
図6は、ミラーレバー36、メインミラー6、羽根レバー15、駆動レバー11、コイル34、羽根群、撮像素子116の動作タイミングを説明するタイミングチャートである。図6に示すAの状態からMの状態となるまでに、シャッターユニット100の動作を図7〜図15を用いて説明する。
図6に示すAの状態はレリーズ前待機状態である。図7はレリーズ前待機状態におけるシャッターユニット100の状態を示している。図7(a)はシャッターユニット100をメインミラー6側から見た図である。図7(b)はシャッターユニット100を撮像素子116側から見た図である。なお、各カムギヤおよび各レバーの動作を説明するために、シャッター地板1、カバー板2、補助地板31は省略している。
レリーズ前待機状態では、第1のカムギヤ21、第2のカムギヤ22は図7(a)および(b)に図示する位置で停止している。
駆動レバー11に保持されたローラー13は、第2のカムギヤ22の第2のカム22cのカムトップ部22dに当接している。駆動レバー11は羽根駆動バネ14をオーバーチャージした状態にある。羽根駆動バネ14をオーバーチャージした状態とは、コイル34に通電することでヨーク33がアーマチャ12を保持することができる位置を超えて、駆動レバー11を羽根駆動バネ14がチャージされる方向に移動させた状態である。図7(c)に図示するように、オーバーチャージ状態では、アーマチャ12はヨーク33と接触しているが、駆動レバー11のアーマチャ保持部11aはアーマチャバネ17を圧縮し、アーマチャ12のフランジ部12bと羽根駆動部材の突起部11cが離れる。
羽根レバー15のカムフォロワー15eは第1のカムギヤ21のカム21bのカムトップ21cに当接している。これによって、羽根レバー15を図示する状態に係止している。
図7(b)にて、羽根復帰バネ46は副アーム44を時計方向に付勢しているが、羽根レバー15が係止されている。したがって、1番羽根41および2番羽根42は、羽根復帰バネ46の付勢力に抗して開口1aおよび2aを閉じる状態に保持される。
このとき、羽根レバー15のローラー受け部15dは、ローラー13と対向する位置にあり、ローラー13がローラー保持軸11dから脱落することを防止している。
ミラーレバー36はカムフォロワー36aが第2のカムギヤ22の第1のカム22aのカムトップ部22eに当接して、図7(a)に図示するように、ミラーレバー駆動バネ39をチャージした状態に保持している。
メインミラー6はメインミラー駆動バネ7によりダウン方向に付勢されている。メインミラー6は不図示のストッパーと当接しミラーダウン状態となる。このとき、メインミラー6の軸部6aとミラーレバー36の当接部36bとの間には隙間ができる。そのため、ミラーレバー36の位置に誤差が生じてもメインミラー6の位置は不図示のストッパーにより正しい位置に位置決めされる。
レリーズ前待機状態にあるとき、レリーズ信号が入力されると、コイル34への通電が行われて、ヨーク33がアーマチャ12を吸着する。同時に不図示のモーターに通電されて、第1のカムギヤ21と第2のカムギヤ22が回転すると、図6に図示するBの羽根レバー係止解除状態となる。
図6に示すBの状態は羽根レバー係止解除状態である。図8は羽根レバー係止解除状態におけるシャッターユニット100の状態を示している。図8(a)はシャッターユニット100をメインミラー6側から見た図である。図8(b)はシャッターユニット100を撮像素子116側から見た図である。なお、各カムギヤおよび各レバーの動作を説明するために、シャッター地板1、カバー板2、補助地板31は省略している。
羽根レバー係止解除状態では、第1のカムギヤ21、第2のカムギヤ22は図8(a)および(b)に図示する位置で停止している。
図7に図示するレリーズ前待機状態から変化のある部分についてのみ説明し、レリーズ前待機状態から変化のない部分については説明を省略する。
図示のモーターに通電されることで、第1のカムギヤ21は図7に図示する状態から図8に図示する状態に回転する。第1のカムギヤ21が図8に図示する状態となるとき、羽根レバー15のカムフォロワー15eと第1のカムギヤ21のカム21bのカムトップ21cと当接が解除される。すなわち、カム21bが羽根レバー15のカムフォロワー15eの回動軌跡から退避し、羽根レバー15の係止が解除され、羽根レバー15は軸1bに対して回動可能な状態になる。
羽根レバー15の係止が解除されると、副アーム44を付勢している羽根復帰バネ46の付勢力によって1番羽根41および2番羽根42は開口1aおよび2aを開く方向に走行する。そして、これに従動して羽根レバー15も軸1bに対して回動する。
このとき、駆動レバー11のローラー保持軸11dに取り付けられたローラー13は、ローラー保持軸11dから外れないように、羽根レバー15のローラー受け部15dに沿って移動する。
羽根レバー係止解除状態では、図8(a)および(b)に図示するように、1番羽根41および2番羽根42が開口1aおよび2aを開く方向に走行した後、1番羽根41および2番羽根42が重なった状態となって、羽根緩衝部材4に衝突する。羽根緩衝部材4は、1番羽根41および2番羽根42の移動が完了したときに、1番羽根41および2番羽根42に作用する衝撃を緩和する。
羽根緩衝部材4の周囲は羽根接触部材5で覆われている。すなわち、1番羽根41および2番羽根42が重なった状態となって、羽根緩衝部材4に衝突するとき、羽根接触部材5は1番羽根41および2番羽根42からなる羽根群と羽根緩衝部材4との間に位置する。羽根接触部材5は羽根緩衝部材4よりも耐摩耗性が高い材料からなる。
1番羽根41および2番羽根42が羽根緩衝部材4に衝突する際に、1番羽根41および2番羽根42は羽根緩衝部材4に直接接触することなく、羽根接触部材5に直接接触する。羽根接触部材5は金属などの耐摩耗性が高い材料で形成されるため、1番羽根41および2番羽根42が直接接触したとしても、摩耗粉などが発生しにくい。また、羽根緩衝部材4は1番羽根41および2番羽根42が直接接触することがないので、摩耗粉などが発生しやすくても衝撃吸収性能の高い材料を使用することができる。
図8(a)および(b)に図示するように、1番羽根41および2番羽根42が羽根接触部材5と接触するとき、図8(c)に図示するように、駆動レバー11の突出部11eと羽根レバー15の突出部15bの間には隙間ができる。駆動レバー11は図7(c)に図示するように、羽根駆動バネ14をオーバーチャージした状態となっている。
この状態にて、羽根復帰バネ46の付勢力によって1番羽根41および2番羽根42を開き方向に走行させたとしても、羽根レバー15は駆動レバー11に当接することはない。したがって、羽根復帰バネ46の付勢力によって1番羽根41および2番羽根42を開き方向に走行させる際の衝撃が駆動レバー11に伝わることはない。羽根駆動バネ14をオーバーチャージした状態となっているとき、駆動レバー11はアーマチャ12をヨーク33に押し付けている。このとき、駆動レバー11に衝撃を加えてしまうと、アーマチャ12およびヨーク33の吸着面にダメージを与えてしまう。アーマチャ12およびヨーク33の吸着面へのダメージは露光精度の低下につながるが、本実施例ではアーマチャ12およびヨーク33の吸着面へのダメージを避けることができる。
羽根復帰バネ46の付勢力によって1番羽根41および2番羽根42を開き方向に走行させて、羽根接触部材5に当接させると、1番羽根41および2番羽根42は、図6に図示するようにバウンドする。
レリーズ前待機状態から羽根レバー係止解除状態となるとき、第1のカムギヤ21の回転にともなって、第2のカムギヤ22も回転する。第2のカムギヤ22は図8(a)に図示するように、ミラーレバー36のカムフォロワー36aが第2のカムギヤ22の第1のカム22aのカムトップ部22eに当接している。したがって、ミラーレバー36は、図7(a)に図示する状態と同様に、ミラーレバー駆動バネ39をチャージした状態に保持されている。
メインミラー6も図7(a)に図示する状態と同様に、メインミラー駆動バネ7によりダウン方向に付勢され、不図示のストッパーと当接しミラーダウン状態となる。すなわち、1番羽根41および2番羽根42は開口1aおよび2aを開く状態となるが、メインミラー6はミラーダウン状態のままとなる。
モーターへの通電が継続されると、第1のカムギヤ21と第2のカムギヤ22を回転させて、図6に図示するCのミラーレバーロック解除状態になる。
図6に示すCの状態はミラーレバーロック解除状態である。第1のカムギヤ21および第2のカムギヤ22は図6に図示する状態からさらに回転する。第2のカムギヤ22の回転によって、ミラーレバー36のカムフォロワー36aと第2のカムギヤ22の第1のカム22aとの当接が解除される。第1のカム22aがカムフォロワー36aの回動軌跡から退避すると、ミラーレバー36の係止が解除され、ミラーレバー36はミラーレバー駆動バネ39の付勢力によって、図8(a)における時計方向に回動する。
レリーズ前待機状態にて、メインミラー6の軸部6aとミラーレバー36の当接部36bとの間には隙間がある。したがって、ミラーレバー36はこの隙間分だけ図8(a)における時計方向に回動した後、ミラーレバー36の当接部36bがメインミラー6の軸部6aに当接する。ミラーレバー36の当接部36bがメインミラー6の軸部6aに当接すると、図6に図示するDの状態はミラーレバー当接状態となる。
図6に示すDの状態はミラーレバー当接状態である。この状態は、ミラーレバー36の当接部36bがメインミラー6の軸部6aに当接し、ミラーレバー36がメインミラー6をメインミラー駆動バネ7の付勢力に抗して、アップ方向への回動を開始する状態である。
メインミラー6が不図示のストッパーに当接すると、図6に図示するように、メインミラー6がバウンドした後、アップ位置に停止する。ミラーレバー駆動バネ39はメインミラー6のバウンド時間を短くするため、比較的強いばね力を有する。そのため、メインミラー6のバウンド時間は、羽根レバー係止解除状態における1番羽根41および2番羽根42のバウンド時間よりも短くなる。メインミラー6のバウンドが収束すると、図6に図示するEのミラーアップライブビュー状態となる。
図6に示すEの状態はミラーアップライブビュー状態である。図9はミラーアップライブビュー状態におけるシャッターユニット100の状態を示している。図9(a)はシャッターユニット100をメインミラー6側から見た図である。図9(b)はシャッターユニット100を撮像素子116側から見た図である。なお、各カムギヤおよび各レバーの動作を説明するために、シャッター地板1、カバー板2、補助地板31は省略している。
ミラーアップライブビュー状態では、第1のカムギヤ21、第2のカムギヤ22は図9(a)および(b)に図示する位置で停止している。
駆動レバー11および羽根レバー15は図8(a)および(b)に図示する状態と同様である。すなわち、1番羽根41および2番羽根42が開口1aおよび2aを開いて、羽根接触部材5と接触する状態となっている。ミラーアップライブビュー状態においても、駆動レバー11に保持されたローラー13は、第2のカムギヤ22の第2のカム22cのカムトップ部22dに当接しているので、羽根駆動バネ14をオーバーチャージした状態となっている。したがって、ミラーアップライブビュー状態においても、図8(c)に図示するように、駆動レバー11の突出部11eと羽根レバー15の突出部15bの間には隙間ができる。
また、上述したように、ミラーレバー36のカムフォロワー36aと第2のカムギヤ22の第1のカム22aとの当接が解除され、ミラーレバー36はミラーレバー駆動バネ39の付勢力によって回動する。そして、ミラーレバー36がメインミラー6をメインミラー駆動バネ7の付勢力に抗して、アップ方向に回動させている。
この状態で不図示のモーターを停止させると、交換レンズ201からの光束が撮像素子116に到達し、撮像素子116が撮像する被写体画像を表示モニタに表示するいわゆるライブビュー状態になる。
ミラーアップライブビュー状態では、駆動レバー11に保持されたローラー13は、第2のカムギヤ22の第2のカム22cのカムトップ部22dに当接している。したがって、コイル34の通電を切っても1番羽根41および2番羽根42は開口1aおよび2aを開いたままの状態となる。
ミラーアップライブビュー状態でモーターに通電し、第1のカムギヤ21と第2のカムギヤ22を回転させ、図6に図示するFのセット解除状態でモーターを停止する。
図6に示すFの状態はセット解除状態である。図10はセット解除状態におけるシャッターユニット100の状態を示している。図10(a)はシャッターユニット100をメインミラー6側から見た図である。図10(b)はシャッターユニット100を撮像素子116側から見た図である。なお、各カムギヤおよび各レバーの動作を説明するために、シャッター地板1、カバー板2、補助地板31は省略している。
セット解除状態では、第1のカムギヤ21、第2のカムギヤ22は図10(a)および(b)に図示する位置で停止している。
セット解除状態では、第2のカムギヤ22が回転することで、駆動レバー11に保持されたローラー13と第2のカムギヤ22の第2のカム22cのカムトップ部22dとの当接が解除される。これによって、駆動レバー11は羽根駆動バネ14の付勢力によって、図10(a)における時計方向に回動し、羽根駆動バネ14をオーバーチャージした状態が解除される。ローラー13と第2のカム22cのカムトップ部22dとの当接が解除されても、コイル34に通電されているので、アーマチャ12はヨーク33に吸着され、1番羽根41および2番羽根42は開口1aおよび2aを開く状態を維持する。
羽根駆動バネ14をオーバーチャージした状態が解除されると、アーマチャバネ17の付勢力によって、アーマチャ12のフランジ部12bと羽根駆動部材の突起部11cとが当接する。これによって、図10(c)に図示するように、駆動レバー11がわずかに回動して、駆動レバー11の突出部11eが羽根レバー15の突出部15bに当接する。そして、図10(d)に図示するように、駆動レバー11の突出部11eが羽根レバー15の突出部15bを押すことで、1番羽根41および2番羽根42は、羽根接触部材5と接触しない状態となる。
すなわち、羽根駆動バネ14がオーバーチャージされる状態からコイル34に通電することでヨーク33がアーマチャ12を吸着し、羽根駆動バネ14のオーバーチャージが解除される状態となるまでの間に羽根レバー15は駆動レバー11に当接する。
セット解除状態では、ミラーアップライブビュー状態と同様に、メインミラー6はアップ位置に停止している。
図6に図示するように、セット解除状態にて、撮像素子116の画素のリセット走査(以下、電子先幕走行と呼ぶ)を行うことで、撮影露光動作が開始される。レリーズ信号が入力されてから電子先幕走行までが、レリーズタイムラグとなる。本実施例では、バウンド時間が比較的長い1番羽根41および2番羽根42の開き動作を、バウンド時間が比較的短いメインミラー6のアップ動作よりも先に開始している。1番羽根41および2番羽根42の開き動作とメインミラー6のアップ動作とを同時に開始すると、メインミラー6のバウンドが収束しても、1番羽根41および2番羽根42のバウンドが収束するのを待たなければ、電子先幕走行は行えない。したがって、レリーズタイムラグが長くなってしまう。本実施例では、この点を鑑みて1番羽根41および2番羽根42の開き動作を開始した後、メインミラー6のアップ動作を開始している。
また、1番羽根41および2番羽根42の開き動作を開始した後、メインミラー6のアップ動作を開始することで、1番羽根41および2番羽根42に直射日光が照射される可能性が低くなる。これによって、1番羽根41および2番羽根42が黒色塗料を含有するポリエチレンテレフタートで形成されたとしても、直射日光の照射によるダメージを低減させることができる。
電子先幕走行開始後、設定されたシャッター秒時に対応する時間間隔をあけてから、コイル34への通電を切ることで、図6に図示するGの羽根走行状態となる。
図6に示すGの状態は羽根走行状態である。図11は羽根走行状態におけるシャッターユニット100の状態を示している。図11(a)はシャッターユニット100をメインミラー6側から見た図である。図11(b)はシャッターユニット100を撮像素子116側から見た図である。なお、各カムギヤおよび各レバーの動作を説明するために、シャッター地板1、カバー板2、補助地板31は省略している。
図11(a)および(b)に図示するように、コイル34への通電が切られることで、1番羽根41および2番羽根42が開口1aおよび2aを開く状態を維持できなくなる。
駆動レバー11は羽根駆動バネ14の付勢力によって、図11(a)および(b)に図示するように回動する。駆動レバー11が回動すると、駆動レバー11の突出部11eが羽根レバー15の突出部15bを押して、羽根レバー15も回動する。駆動レバー11と羽根レバー15とが一体となって回動することで、1番羽根41および2番羽根42は羽根復帰バネ46の付勢力に抗して開口1aおよび2aを閉じる方向に走行する。
図10に図示するセット解除状態にて、すでに駆動レバー11の突出部11eが羽根レバー15の突出部15bに当接した状態となっている。コイル34への通電を切ると、羽根駆動バネ14の付勢力によって、駆動レバー11と羽根レバー15とが一体となって回動する。すなわち、本実施例では、開口1aおよび2aを閉じる方向に1番羽根41および2番羽根42を走行させるときに、走行開始時から駆動レバー11と羽根レバー15とが一体化して回動する。
開口1aおよび2aを閉じる方向に1番羽根41および2番羽根42を走行させる途中で、駆動レバー11の突出部11eが羽根レバー15の突出部15bに衝突して、その後駆動レバー11と羽根レバー15とが一体化して回動することも考えられる。しかしこの場合には、駆動レバー11と羽根レバー15との衝突前後で回動速度が変化してしまい、1番羽根41および2番羽根42の走行精度が低下する。
本実施例では、1番羽根41および2番羽根42を走行させる前に、駆動レバー11と羽根レバー15とを一体化させ、1番羽根41および2番羽根42の走行中は駆動レバー11と羽根レバー15とが一体化して回動する。これによって、駆動レバー11および羽根レバー15の回動速度が安定し、1番羽根41および2番羽根42の走行精度も良好なものとなる。
また、駆動レバー11と羽根レバー15とが一体となって回動するので、駆動レバー11のローラー保持軸11dに取り付けられたローラー13と羽根レバー15のローラー受け部15dとの相対位置が変化しない。これによって、開口1aおよび2aを閉じる方向に1番羽根41および2番羽根42の走行中に、ローラー13とローラー受け部15dとの間に摩擦が発生しない。1番羽根41および2番羽根42の走行中に、姿勢変化によりローラーに作用する重力方向が変化したとしても、ローラー13とローラー受け部15dとの相対位置が変化しないので、摩擦係数が変化することもない。本実施例では、開口1aおよび2aを閉じる方向に1番羽根41および2番羽根42を走行させる際の摩擦を低減させ、1番羽根41および2番羽根42の走行精度が良好なものとなる。
1番羽根41および2番羽根42が開口1aおよび2aを閉じる位置まで走行すると、図6に図示するHの羽根走行完状態となる。
図6に示すHの状態は羽根走行完状態である。図12は羽根走行完状態におけるシャッターユニット100の状態を示している。図12(a)はシャッターユニット100をメインミラー6側から見た図である。図12(b)はシャッターユニット100を撮像素子116側から見た図である。なお、各カムギヤおよび各レバーの動作を説明するために、シャッター地板1、カバー板2、補助地板31は省略している。
羽根レバー15に形成される係合部15aがシャッター地板1に形成される円弧状の孔1eの上部に配置される緩衝部材3に衝突することで、1番羽根41および2番羽根42は開口1aおよび2aを閉じる位置で停止する。
このとき、駆動レバー11の突出部11eが羽根レバー15の突出部15bに当接した状態となっている。すなわち、本実施例では、開口1aおよび2aを閉じる方向に1番羽根41および2番羽根42を走行させるときに、走行の最初から最後まで駆動レバー11と羽根レバー15とが一体となって回動している。
図12に図示する羽根走行完状態では、1番羽根41および2番羽根42が開口1aおよび2aを閉じる状態となることで、羽根復帰バネ46がチャージされる。
また、羽根走行完状態では、補助地板31に設けられたフォトセンサー32によって羽根レバー15が羽根走行完の回動位置となっていることを検出する。
コイル34への通電をオフしてから所定時間後にモーターに通電する。モーターへの通電によって第1のカムギヤ21と第2のカムギヤ22が回転すると、図6に図示するIのミラーレバーチャージ状態になる。
図6に示すIの状態はミラーレバーチャージ状態である。図12に図示する状態から第1のカムギヤ21および第2のカムギヤ22が回転して、第2のカムギヤ22の第1のカム22aがミラーレバー36のカムフォロワー36aに当接する。ミラーレバー36は、図12(a)における反時計方向に回動することで、ミラーレバー駆動バネ39をチャージする。ミラーレバー36が図12(a)における反時計方向に回動すると、メインミラー6はメインミラー駆動バネ7の付勢力によってダウン方向に回動する。
ミラーレバーチャージ状態では、羽根走行完状態と同様に、1番羽根41および2番羽根42は開口1aおよび2aを閉じる位置に停止している。
ミラーレバーチャージ状態でモーターへの通電を継続すると、第1のカムギヤ21と第2のカムギヤ22がさらに回転して、図6に図示するJのミラーレバーチャージ完状態になる。
図6に示すJの状態はミラーレバーチャージ完状態である。図13はミラーレバーチャージ完状態におけるシャッターユニット100の状態を示している。図13(a)はシャッターユニット100をメインミラー6側から見た図である。図13(b)はシャッターユニット100を撮像素子116側から見た図である。なお、各カムギヤおよび各レバーの動作を説明するために、シャッター地板1、カバー板2、補助地板31は省略している。
第2のカムギヤ22がミラーレバーチャージ状態からさらに図13(a)における反時計方向に回転することで、ミラーレバー36はミラーレバー駆動バネ39をチャージする。ミラーレバー36の回動によって、メインミラー6はさらにダウン方向に回動して、不図示のストッパーに当接し、停止する。メインミラー6がダウン位置に停止してからも第2のカムギヤ22は回転して、ミラーレバー36のカムフォロワー36aが第2のカムギヤ22の第1のカム22aのカムトップ位置22eに到達する。このとき、図13(a)に図示するように、メインミラー6の軸部6aとミラーレバー36の当接部36bとの間には隙間ができる。これによって、ミラーレバー36の位置に誤差が生じてもメインミラーの位置は不図示のストッパーにより正しい位置に保持される。
ミラーレバーチャージ完状態でモーターへの通電を継続すると、第1のカムギヤ21と第2のカムギヤ22がさらに回転して、図6に図示するKの羽根レバー係止可能状態になる。
図6に示すKの状態は羽根レバー係止可能状態である。図14は羽根レバー係止可能状態におけるシャッターユニット100の状態を示している。図14(a)はシャッターユニット100をメインミラー6側から見た図である。図14(b)はシャッターユニット100を撮像素子116側から見た図である。なお、各カムギヤおよび各レバーの動作を説明するために、シャッター地板1、カバー板2、補助地板31は省略している。
第1のカムギヤ21が回転することで、第1のカムギヤ21のカム21bは、羽根レバー15のカムフォロワー15eが当接可能な位置に移動する。図14に図示する羽根レバー係止可能状態では、羽根駆動バネ14の付勢力によって駆動レバー11の突出部11eが羽根レバー15の突出部15bを押しているので、羽根レバー15のカムフォロワー15eは第1のカムギヤ21のカム21bに当接していない。
羽根レバー係止状態でモーターへの通電を継続すると、第1のカムギヤ21と第2のカムギヤ22を回転させて、図6に図示するLの駆動レバーチャージ状態になる。
図6に示すLの状態は駆動レバーチャージ状態である。図15は駆動レバーチャージ状態におけるシャッターユニット100の状態を示している。図15(a)はシャッターユニット100をメインミラー6側から見た図である。図15(b)はシャッターユニット100を撮像素子116側から見た図である。なお、各カムギヤおよび各レバーの動作を説明するために、シャッター地板1、カバー板2、補助地板31は省略している。
第2のカムギヤ22が回転することで、第2のカムギヤ22の第2のカム22cが駆動レバー11に保持されたローラー13を押す。これによって、駆動レバー11が図15(a)における反時計方向に回動し、駆動バネ14をチャージする。駆動レバー11が図15(a)における反時計方向に回動すると、駆動レバー11の突出部11eと羽根レバー15の突出部15bとの当接が解除される。したがって、羽根レバー15は羽根復帰バネ46の付勢力によって図15(b)における反時計方向に回動して、羽根レバー15のカムフォロワー15eが第1のカムギヤ21のカム21bに当接する。これによって、羽根レバー15は図15(b)に図示される位置に保持され、1番羽根41および2番羽根42は開口1aおよび2aを閉じる状態を維持する。
駆動レバーチャージ状態でモーターへの通電を継続すると、第2のカムギヤ22がさらに回転することで、図6に図示するMの駆動レバーチャージ完状態になる。
図6に示すMの状態は駆動レバーチャージ完状態である。駆動レバー11に保持されたローラー13が第2のカムギヤ22の第2のカム22cのカムトップ部22dに到達すると、駆動レバー11は羽根駆動バネ14をオーバーチャージした状態になる。この状態でモーターの通電を停止すると図6に示すAの状態(レリーズ前待機状態)になる。
図16は、羽根緩衝部材4および羽根接触部材5の形状を説明する図である。
図16(a)は羽根緩衝部材4に組み付ける前の羽根接触部材5の形状を説明する図である。図16(b)は羽根接触部材5を組み付ける前の羽根緩衝部材4の形状を説明する図である。
図16(a)に図示するように、羽根接触部材5は、羽根との衝突状態を安定させるため、羽根緩衝部材4と組み付けた際に羽根緩衝部材4の側面に沿うように、腕部5aおよび腕部5bにおいてバネ力によって付勢し常に羽根緩衝部材4と接触した状態を保っている。
図16(b)に図示するように、羽根緩衝部材4は、部分4a〜4fを有している。
羽根緩衝部材4は、部分4dに対して部分4aは一段低く形成され、部分4eに対して部分4bは一段低く形成されている。シャッター地板1に形成される軸部1hが嵌合する穴部4hは羽根緩衝部材4の中心から偏心した位置に形成されている。
羽根緩衝部材4の4dが羽根接触部材5の腕部5aに内接し、羽根緩衝部材4の4eが羽根接触部材5の腕部5bに内接するように、羽根緩衝部材4に羽根接触部材5を組み付ける。このように羽根緩衝部材4に羽根接触部材5を組み付けると、部分4aは腕部5aの曲げ部近傍となり、部分4bは腕部5bの曲げ部近傍となる。図16(a)に図示するように、腕部5aおよび腕部5bは直角以下となるように曲げられているので、部分4aを形成することで、腕部5aは部分4dの変形に追従しやすくなる。同様に、部分4bを形成することで、腕部5bは部分4eの変形に追従しやすくなる。また、部分4dおよび部分4eの仕上がり寸法が腕部5aおよび腕部5bに対して大きい場合にも、腕部5aおよび腕部5bが部分4dおよび部分4eから浮いてしまうことがない。
部分5cと部分5dとの間には切り欠き5eが形成されており、部分5cおよび部分5dに衝撃が加わった場合にも部分5cおよび部分5dの弾性変形を妨げないようになっている。
羽根緩衝部材4の部分4cには面取り形状が形成されており、軸部1hに対する羽根緩衝部材4の回転方向と裏表が一目で確認できる形状になっている。
1番羽根41および2番羽根42が羽根接触部材5の腕部5aに衝突する場合、腕部5aは曲げ部を回動中心として弾性変形するが、羽根緩衝部材4は部分4dが圧縮変形する。
1番羽根41および2番羽根42が羽根接触部材5の腕部5bに衝突する場合も同様である。1番羽根41および2番羽根42が羽根接触部材5の部分5cに衝突する場合には、部分5cが部分5fとの境界を回動中心として弾性変形するが、羽根緩衝部材4は部分4gが圧縮変形する。したがって、羽根接触部材5は羽根緩衝部材4とは独立して変形可能となっている。
図17は羽根緩衝部材4の軸部1hへの取り付け方法を説明する図である。図17(a)はシャッターユニット100が図10に図示するセット解除状態となっているときの羽根緩衝部材4の部分を拡大した図である。図17(b)〜(d)は羽根緩衝部材4を軸部1hに取り付ける際に、羽根緩衝部材4の取り付け方向を変えた例を示している。
図17(a)〜(d)のように、羽根緩衝部材4の穴部4hをシャッター地板1の軸部1hに篏合させる際に、羽根緩衝部材4の取り付け方向を変えることで、軸部1hから羽根緩衝部材4の1番羽根41および2番羽根42から衝撃を受ける面までの距離が変わる。
図17(a)〜(d)にある寸法A、B、C、Dの大小関係はB<A<D<Cとなっている。部品のバラつきによって軸部1hから1番羽根41および2番羽根42の先端位置が図17(a)〜(d)に図示するように、距離aから距離dまで変化することが考えられる。しかし、この場合にも、羽根緩衝部材4の軸部1hへの取り付け方向を変えることで、羽根緩衝部材4とシャッター羽根とのクリアランスαを所定の範囲内にすることが可能になる。
したがって、調寸部品を用意することなく、1番羽根41および2番羽根42と羽根接触部材5の間のクリアランスを調節することができる。
(変形例)
上述した実施例では、軸部1hから羽根緩衝部材4の1番羽根41および2番羽根42から衝撃を受ける面までの距離を4段階に調節することができる。5段階、6段階に調整したい場合には、羽根緩衝部材4および羽根接触部材5の外形を五角形、六角形などの多角形にすることが考えられる。しかし、このように多角形化を進めていくと、一辺の大きさが小さくなってしまい、1番羽根41および2番羽根42から衝撃を受けるために必要な面積を確保できなくなってしまう。羽根緩衝部材4および羽根接触部材5のサイズを大きくすれば、多角形しても十分な面積を確保できるかもしれないが、現実的ではない。
この点に鑑みて、変形例では、羽根緩衝部材4および羽根接触部材5の組み合わせを二層構造にすることで、8段階の調節を可能にしている。
図18は羽根緩衝部材104に羽根接触部材105Aおよび羽根接触部材105Bを組み付けた状態を説明する斜視図である。
図18(a)は羽根接触部材105Aおよび羽根接触部材105Bを組み付ける前の羽根緩衝部材104の形状を説明する図である。図18(b)は羽根緩衝部材104に羽根接触部材105Bを組み付けた状態を説明する斜視図である。図18(c)は羽根緩衝部材104に羽根接触部材105Aを組み付けた状態を説明する斜視図である。
羽根緩衝部材104は、図18(a)に図示するように、大きさの異なる羽根緩衝部材4を2つ積み重ねた形状となっている。羽根接触部材105Bは、図18(b)に図示するように、羽根緩衝部材104の小さい部分に組み付けられる。形状は羽根接触部材5と同様である。羽根接触部材105Aは、図18(c)に図示するように、羽根緩衝部材104の大きい部分に組み付けられる。形状は羽根接触部材5と同様である。
図19は羽根緩衝部材104を軸部1hに取り付ける方法を説明する図である。図19(a)はシャッターユニット100が図10に図示するセット解除状態となっているときの羽根緩衝部材4の部分を拡大した図である。図19(b)〜(h)は羽根緩衝部材4を軸部1hに取り付ける際に、羽根緩衝部材4の取り付け方向を変えた例を示している。
図19(a)〜(h)のように、羽根緩衝部材104を軸部1hに嵌合させる際に、羽根緩衝部材104の取り付け方向を変えることで、軸部1hから羽根緩衝部材104の1番羽根41および2番羽根42から衝撃を受ける面までの距離が変わる。
羽根緩衝部材104に形成される軸部1hが挿通される穴部が羽根緩衝部材104の中心から偏心した位置に形成されている。
部品のバラつきによって軸部1hから1番羽根41および2番羽根42の先端位置が図19(a)〜(h)に図示するように、距離aから距離hまで変化することが考えられる。しかし、羽根緩衝部材4の軸部1hへの取り付け方向を変えることで、羽根緩衝部材4とシャッター羽根とのクリアランスαを所定の範囲内にすることが可能になる。
したがって、調寸部品を用意することなく、1番羽根41および2番羽根42と羽根接触部材105Aまたは105Bの間のクリアランスを調節することができる。