JP2012110258A - 塩基配列の決定方法及び塩基配列の決定方法に用いる測定用デバイス - Google Patents

塩基配列の決定方法及び塩基配列の決定方法に用いる測定用デバイス Download PDF

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Abstract

【課題】測定の精度及び速度を格段に向上させる塩基配列の決定方法及びこれに用いる測定用デバイスを提供することを目的とする。
【解決手段】DNA又はRNAの塩基配列の決定方法であって、DNA又はRNAを構成する各塩基の電気双極子モーメントを基礎情報とし、DNA又はRNAがその長さ方向に沿って通過可能な狭小部を有する流路に、測定対象となる任意のDNA又はRNAを含む測定溶液を流通させ、狭小部に電極を備え、電極を用いて狭小部を通過する測定溶液に高周波電場を付与して、測定溶液に含まれる測定塩基の電気双極子を振動させて高周波電流を生じさせ、電極において、狭小部を通過する測定溶液の高周波電流量を測定し、測定結果と基礎情報とを対比して、狭小部を通過した測定塩基を同定し、且つ、同定した測定塩基の時系列データに基づき測定対象であるDNA又はRNAの塩基配列を同定することを特徴とする塩基配列の決定方法を採用した。
【選択図】図1

Description

本件発明は、DNA又はRNAの塩基配列の決定方法及び塩基配列の決定方法に用いる測定用デバイスに関する。
DNAの塩基配列の決定方法として、長年、サンガー法が用いられてきたが、近年、コストダウンや高速化を目指した次世代シーケンシングの開発が行われている。特許文献1には、ヌクレオチドを膜貫通タンパク質細孔と接触させることにより、該ヌクレオチドと膜貫通タンパク質細孔と相互作用し、細孔を通過する電流を測定しヌクレオチドの実体を決定をする方法により、DNAの配列を決定する方法が開示されている。
特許文献2には、DNAの塩基配列決定を高速に行える装置として、小孔(チャネル)を有する電気的絶縁膜を介して、二つの液溜めを配置し、二つの液溜め内の各溶液に電圧を印加することにより、小孔を通過するイオン電流を計測する原理を採用している。この際、一方の溶液に一本鎖DNAを入れ、液溜めに入れられた各溶液に電圧を加えると、負に帯電したDNAは電位差に沿って小孔を通過して、もう一方の溶液へと移動する。DNAを構成している4種類の各塩基は大きさが異なるため、塩基の違いによって小孔を塞ぐ割合が異なり、小孔のイオン電流に差が生じることを利用してDNAの塩基配列を決定している。
特表2009−519705号公報 特開2003−98146号公報
特許文献1及び特許文献2に開示の方法は、いずれも細孔(小孔)を通過するイオン電流の変化を検出して塩基配列を同定する方法を採用しているため、ノイズの影響を受けやすく、測定精度が低い。また、細孔(小孔)を流れるイオン電流の測定を直流電流で行うため、原理的に測定速度が遅い。
特許文献1に開示の方法では、脂質二重層等からなる膜中へ膜貫通タンパク質細孔が挿入されたものを用いるため、細孔を用意するのに手間が掛かる。また、貫通膜タンパク質細孔を挿入する膜には、他の貫通膜、膜内タンパク質や他の分子を含み得るものであるため、ノイズの発生を考慮する必要がある。さらに、特許文献1に開示の方法は、単一のヌクレオチドを同定する方法であるため、ポリヌクレオチドを予め分解する必要があるうえに、配列決定の精度を高めるために、試料分子を約1000倍に増幅し、この1000分子を同時にシーケンスを行う方法を採用し、且つ、単一のヌクレオチドを同定した後、統計処理に基づき核酸の配列を決定する方法である。すなわち、特許文献1に開示の方法は、試料分子を増幅する工程が必須となり、測定の準備及び測定時に時間と手間が掛かるうえに、統計処理により配列を決定する方法であるため、測定精度の改善や高速化が課題となっていた。
特許文献2の微細配列認識装置は、絶縁膜を境にして試料を含む溶液とバッファー溶液とに電位差を生じさせて、電位勾配に沿って電解質溶液に含まれる金属イオンを移動させ、直流電流の測定に基づき通過する金属イオン量を特定する構成としている。そのため、DNAを構成する塩基一つ一つを識別することは困難である。また、小孔を通過する金属イオン量を調整するためには、小孔の断面積、電位差を考慮する必要がある。
そこで、本件発明は、測定精度及び測定速度を格段に向上させる塩基配列の決定方法及び塩基配列の決定方法に用いる測定用デバイスを提供することを目的とする。
本発明者は、鋭意研究を行った結果、以下の塩基配列の決定方法及び塩基配列の決定方法に用いる測定用デバイスを採用することで上記課題を達成するに到った。
本件発明に係る塩基配列の決定方法は、DNA又はRNAの塩基配列の決定方法であって、DNA又はRNAを構成する各塩基の電気双極子モーメントを基礎情報とし、DNA又はRNAがその長さ方向に沿って通過可能な狭小部を有する流路に、測定対象となる任意のDNA又はRNAを含む測定溶液を流通させ、当該狭小部に電極を備え、当該電極を用いて当該狭小部を通過する測定溶液に高周波電場を付与して、測定溶液に含まれる測定塩基の電気双極子を振動させて高周波電流を生じさせ、当該電極において、狭小部を通過する測定溶液の高周波電流量を測定し、測定結果と基礎情報とを対比して、狭小部を通過した測定塩基を同定し、且つ、同定した測定塩基の時系列データに基づき測定対象であるDNA又はRNAの塩基配列を同定することを特徴とする。
本件発明に係る塩基配列の決定方法は、前記流路の少なくとも狭小部を半導体により形成し、当該狭小部を前記電極とするものがより好ましい。
本件発明に係る塩基配列の決定方法は、より好ましくは、前記電極に印加する高周波電場が10MHz以上である。
本件発明に係る塩基配列の決定方法は、前記狭小部は、開口幅が3nm〜5nmであることがより好ましい。
本件発明に係る塩基配列の決定方法は、測定した高周波電流量を信号電圧に変換し、ロックインアンプを用いて当該高周波電流量から変換された信号電圧を増幅して測定することがより好ましい。
本件発明に係る塩基配列の決定方法は、狭小部としてナノポアを備えるものが好ましい。
本件発明に係る塩基配列の決定方法は、前記流路は、当該流路の一部が括れて狭小部が形成されたナノチャネルであることが好ましい。
本件発明に係る塩基配列の決定方法に用いる測定用デバイスは、測定対象となる任意のDNA又はRNAを含む測定溶液を流通させる流路と、電極とを備え、当該流路は、1つのDNA又はRNAがその長さ方向に通過可能な狭小部を備え、少なくとも当該狭小部が半導体からなり、当該狭小部が電極として機能し、当該電極は、測定溶液に対して高周波電場を付与し、且つ、測定溶液に含まれる測定塩基の電気双極子が高周波電場を付与されることにより振動し、それにより誘起された高周波電流を測定可能であることを特徴とする。
本件発明に係る塩基配列の決定方法では、狭小部を備える流路にDNAを含む測定溶液を流通させ、狭小部を通過する際に高周波電場を付与して、測定対象となる塩基の電気双極子モーメントを振動させて高周波電流を誘起し、狭小部に備える電極で一つ一つの測定塩基の高周波電流を測定した結果に基づき測定塩基を同定するので、測定溶液や測定装置に起因するノイズの影響を極めて受けにくく、各塩基の特性に基づいて塩基を同定することができる。この方法を採用することにより、交流電流を用いた測定が可能となり、測定精度及び測定速度を格段に向上させることができる。さらに、本件発明に係る塩基配列の決定方法に用いる測定用デバイスは、少なくとも流路の狭小部を半導体で形成すれば良い構成であるため、測定用デバイスの設計が容易であり、量産性に優れる。したがって、本件発明に係る塩基配列の決定方法及びこれに用いる測定用デバイスは、DNA等の塩基配列を決定するための準備及び測定時の労力を大幅に削減できる。
本件発明に係る塩基配列の決定方法の概要を説明するための模式図である。 本件発明に係る塩基配列の決定方法並びにこれに用いる測定用デバイスにおける流路のナノチャネル部分の形態の一例を示す上面図である。 本件発明に係る塩基配列の決定方法並びにこれに用いる測定用デバイスにおける流路をナノポアとした場合の一例を示す概略図である。 本件発明に係る塩基配列の決定方法に用いる測定用デバイスの構成の一例を示す概略図である。 本件発明に係る塩基配列の決定方法に用いる測定用デバイスの構成の一例を示す概略図である。 本件発明に係る塩基配列の決定方法を用いて測定された出力電圧のデータの一例を示すグラフである。
以下、本発明に係る塩基配列の決定方法及びこれに用いる測定用デバイスの好ましい実施の形態を説明する。
本件発明に係る塩基配列の決定方法では、DNA又はRNA(以下、「DNA等」と記載する場合がある。)を含む測定溶液を流通させながらDNA等を構成する塩基の電気双極子モーメントに起因する電流量を一つ一つ測定する。すなわち、本件発明に係る塩基配列の決定方法は、DNA等を構成する塩基が通過可能な狭小部を有する流路に、測定対象となる任意のDNA又はRNAを含む測定溶液を流通させ、狭小部に備える電極を用いて測定溶液に対して高周波電場を付与して、DNA等を構成する各塩基の電気双極子を振動させて高周波電流を発生させ、この高周波電流を測定し、予め基礎情報として取得した各塩基の電気双極子モーメントの計算値を参照することにより、測定した塩基の種類を特定する方法である。
まず、本件発明に係る塩基配列の決定方法における塩基の測定原理を説明する。DNA又はRNAを構成する塩基は、アデニン、グア二ン、シトシン、チミン(RNAはウラシル)であり、これらの塩基は固有の電気双極子を持つ永久双極子である。そこで、各塩基が固有の電気双極子モーメントを有する点に着目し、DNA等に高周波電場を付与することにより、各塩基の永久双極子を振動させて、高周波電流を生じさせる。このとき生じる高周波電流は、各塩基の電気双極子モーメントとの関係から各塩基に固有の電流量となる。本件発明に係る塩基配列の決定方法では、狭小部に備える電極で、塩基の電気双極子を振動させて高周波電流を発生させ、狭小部を通過する一つ一つの塩基の電気双極子モーメントに基づく高周波電流量を測定し、塩基を同定可能とした点に特徴を有する。
更に、DNA等の塩基配列は、上記原理に基づき、狭小部を通過することにより同定された塩基の時系列データにより特定できる。本件発明に係る塩基配列の決定方法は、狭小部において、一つのDNA等がその長さ方向に通過可能とし、且つ、DNA等は切断等を行わずに測定可能である。そのため、一つのDNA等が、その長さ方向に狭小部を通過し、その際に狭小部において各塩基を特定し、この特定された塩基の時系列データをDNA等の塩基配列とすることができるのである。以下、本件発明に係る塩基配列の決定方法の詳細を説明する。
本件発明に係る塩基配列の決定方法は、DNA等を構成する各塩基の理論上の電気双極子モーメントを計算値として求め、これを基礎情報として用いる。ここで、電極で測定されるのは、各測定塩基の高周波電流量であるので、DNA等を構成する各塩基の電気双極子モーメントから算出される高周波電流量や、本件発明の測定原理に基づき一つの塩基のみを用いて実測することにより得られた各塩基の高周波電流量を基礎情報に含めても良い。
測定溶液は、純水等の溶液に、測定対象となるDNA等を混合したものである。本件発明に係る塩基配列の決定方法は、DNA等を純水等の溶液に混合すれば使用可能となる点が特徴の一つである。従来のDNA等の塩基配列の決定方法では、特許文献1,2のように、イオン電流を測定するうえに、電位差を利用して溶液を流動させるため、ヌクレオチドやDNA等を金属イオンを含む溶液に混合する必要があった。また、DNA等を小片に分断あるいは分子を増幅し、これを測定してDNA等を構成する塩基を同定し、塩基配列については統計的に決定していた。しかし、本件発明に係る塩基配列の決定方法では、DNA等を混合する溶液は、流路において測定溶液を円滑に流通させることができるものであればよく、特段の条件はない。また、DNA等を小片に分断することなく測定可能であるため、測定用の試料を用意する工程が格段に軽減される上に、測定結果に対する信頼性が極めて高い。さらに、測定時にDNAを断片化等、破壊することが無いので、同一の測定溶液を使って複数回測定可能であるため、測定精度を向上させることができる。
図1は、本件発明に係る塩基配列の決定方法を説明するための概要図である。本件発明では、図1に例示するように、狭小部2を備える流路1を設け、DNA等を含む測定溶液をこの流路1に流通させる。流路1に測定溶液を流通させる手段としては、圧力調整や、毛細管現象を利用する方法、流路の川上側と川下側にそれぞれ電極を配置し、測定溶液の流れを促進させる方法等が考えられる。
狭小部2は、流路1の幅を狭くして測定溶液の流量を制限するものである。狭小部2は、塩基が通過可能な開口幅とすれば、その形状は特に限定されるものではない。例えば、図2に示すように、流路1の壁面1a,1bの一部に突出部2aを有するナノチャネルの構成や、図3に例示するように、流路1の途中にナノポア2を配置して、このナノポア2を狭小部2とする構成が考えられる。狭小部2を備えるナノチャネルの場合、図2(a)に示すように、流路1の対向する壁面1a,1bにそれぞれ突出部2aを備える構成や、図2(b),(c)に示すように、一方の壁面1bのみに突出部2aを備える構成が考えられる。また、狭小部2をナノポアで構成する場合、図3に例示したように、テーパー形状にすると、DNA等を円滑に通過させることができる。
狭小部2の開口幅は一つの測定塩基が通過可能な幅とする。さらに、一つのDNA等がその長さ方向に沿って通過可能な幅とすれば良い。図1,図2に例示するように、狭小部2では、一つのDNA等3が長さ方向に通過する。例えば、DNA3の幅が約2nmである場合、狭小部2の流路の幅を3nm程度に設定すれば、測定溶液に含まれる複数のDNA又はRNAが同時に通過することがなく、また、長さ方向に通過するように規制できる。狭小部2は、より好ましくは、開口幅が3nm〜10nmである。DNA等を構成する塩基の大きさを考慮すると、狭小部2の開口幅が3nmより狭いと、塩基が狭小部2を通過し難くなり、測定の高速化の妨げとなる。一方、狭小部2の開口幅が10nmより広いと、狭小部2を2以上の塩基(2以上のDNA等)が同時に通過する可能性が高くなり、測定の信頼性が低下する。狭小部2の開口幅のより好ましい範囲は、3nm〜5nmである。
また、狭小部2に電極4を備えることが本件発明の特徴の一つである。この電極4により、狭小部2を通過する測定溶液に高周波電場を付与することができる。測定溶液に高周波電場が付与されると、各測定塩基の電気双極子が振動し、高周波電流が発生する。測定塩基が狭小部2を通過する際に、当該測定塩基の高周波電流量を電極4で測定し、この高周波電流量によってDNA等の一つ一つの塩基が特定できる。
ここで、測定塩基に発生させる高周波電流量の定量において、付与される高周波電場の周波数と同じ周波数若しくは2倍の周波数成分を測定することにより検出感度を高めることができる。測定塩基に発生させる高周波電流量は、電源8を用いて調整することができる。さらに、本件発明に係る塩基配列の決定方法では、DNA等に付与する高周波電場の周波数は1MHz以上とすることが好ましい。DNA等に付与する高周波電場の周波数が1MHzを下回ると、各塩基の電気双極子の振動による高周波電流量が小さく、電極4の検出感度が低下し、且つ、高速測定ができない。なお、DNA等に付与する高周波電場の周波数は、10MHz以上であれば、原理上は測定可能であるが、測定の精度及び速度の向上とコストとの関係を考慮すると1MHz〜10GHzの範囲とすることが好ましい。更に、高速測定を行うためには、10MHz〜10GHzの範囲とすることがより好ましい。
図1及び図4に示す実施の形態では、狭小部2を半導体で形成し、この狭小部2と電源8とを接続し、高周波電圧を電極4に印加する。電極4に高周波電圧を印加することにより狭小部2付近に高周波電場がつくられる。なお、測定塩基の高周波電流を測定するため、少なくとも狭小部2付近に高周波電場が付与されれば良い。特に、狭小部2で局所的に高周波電場を付与する構成とすると、狭小部2を通過する測定塩基の電気双極子のみが振動されるので、測定精度が更に向上する。すなわち、狭小部2を通過する測定溶液に対し、局所的に高周波電場が付与されると、この局所的な部分に位置する電気双極子のみが振動され、流路1の狭小部2以外の領域における測定塩基の電気双極子の振動の影響を捨象することができ、高周波電流量の測定が安定して行える。
図4に示すように、高周波電場が付与された狭小部2を測定塩基3が通過する際の高周波電流を電流計10で計測する。更に、図1及び図5に示すように、本件発明に係る塩基配列の決定方法では、電極4に高周波電圧を付与する際に、ロックインアンプ6を用いて高周波電流量を検出することにより、高感度でノイズの影響を受けにくく、高速化が可能であり、測定性能を高めることができる。塩基配列の決定方法に用いる測定用デバイスにロックイン検出方式を採用した場合の概要図を図5に示す。図5に示す測定用デバイス5の例では、超薄膜結晶シリコン層を備えたSOI(Silcon on Insulator)基板で形成されたナノポアからなる狭小部2を流路1に配置した。超薄膜結晶シリコン層2bのナノポアの部分(狭小部2)を電極4として用いる。図5に示す例では、電源8から高周波電圧が電極4と電極11の間に付与されて、狭小部2に局所的な高周波電場が作られる。そして、上記測定原理に基づき検出された各測定塩基の高周波電流をオペアンプ7において信号電圧に変換する。変換された信号電圧は、ロックインアンプ6を用いて、特定の周波数成分のみを検出すれば、例えば、図6に示すように、特定の周波数成分に固定して測定することができる。更に、ロックインアンプ6による測定において、電源8を用いて電極4に付与する変調電圧の最適化を可能にする。このように、ロックインアンプ6を用いると、ノイズの影響を抑えて、測定精度を高めることができる。
狭小部2は、電極として機能し得る材料であれば本件発明に係る塩基配列の決定方法を実施し得る。そして、狭小部2に電極を備える構成としては、狭小部2に電極を別途設ける構成でも良い。しかし、流路1のうちの少なくとも狭小部2を半導体により形成し、狭小部2自体が電極として機能する構成とすると、電極を別途設けることにより発生するノイズ等の影響を排除することができ、測定精度が向上する。狭小部2を形成する半導体としては、例えば、絶縁膜9上に超薄膜結晶シリコン層2bを表面に有するSOI基板、Si、GaAs等が挙げられる。特に、図1,図5に示すように、狭小部2を絶縁膜9上に超薄膜結晶シリコン層を表面に有するSOI基板により形成すると、ナノサイズの狭小部2の精密な加工が可能で、且つ量産にも有利で、特許文献1に開示の小孔の場合と比べて測定精度を高めるとともにコストの削減ができる。
次に、本件発明に係る測定用デバイス5は、図1,図4及び図5に示すように、測定対象となる任意のDNA等3を含む測定溶液を流通させる流路1と、電極4とを備え、当該流路1は、1つのDNA等3がその長さ方向に通過可能な狭小部2を備える。そして、少なくとも狭小部2が半導体からなり、電極4として機能し、狭小部2を通過する測定溶液に高周波電場を付与するとともに、この測定溶液に含まれるDNA等3を構成する各塩基の高周波電流量を測定可能である。
上記測定原理に基づき、狭小部2に高周波電場を生じさせ、狭小部2を通過する測定溶液に含まれる測定塩基の電気双極子を振動させて測定可能となる高周波電流量を測定すると、狭小部2を通過した塩基を同定することができる。そして、DNA等が通過する際、DNA等を構成する各測定塩基によって高周波電流量が変動するので、流路1に測定溶液を流している間の高周波電流量を時系列に見たデータと既述の基礎情報とを対比することにより、測定溶液に含まれるDNA等の塩基配列が同定できる。例えば、図5に示す測定用デバイス5を用いて、10MHzの高周波電場を狭小部2に付与して、純水中に1000dpのDNAを含む測定溶液を流通させた場合、1ミリ秒程度で測定でき、1塩基あたり1マイクロ秒程度で測定することができる。
本件発明に係る塩基配列の決定方法は、直流電流を用いてイオン電流を測定する方法等、従来の塩基配列の決定方法に比べて、測定の手間を減らしながら、測定の精度及び速度が格段に向上する。そのため、本件発明に係る塩基配列の決定方法は、次世代シーケーシングとして、DNA等の塩基配列の決定作業を格段に高速化することができる。また、本件発明に係る塩基配列の決定方法は、タンパク質を構成するアミノ酸の配列を特定する場合にも利用可能である。この他、本件発明に係る塩基配列の決定方法は、DNAを分解した測定に対しても、当然、高精度、高速に同定可能である。そのため、例えば、既に行った塩基の同定が適正であることを検証すべく、測定対象となるDNA等を分解して測定する際にも利用可能な技術である。
1・・・流路
2・・・狭小部
3・・・DNA又はRNA
4・・・電極
5・・・測定用デバイス

Claims (8)

  1. DNA又はRNAの塩基配列の決定方法であって、
    DNA又はRNAを構成する各塩基の電気双極子モーメントを基礎情報とし、
    DNA又はRNAがその長さ方向に沿って通過可能な狭小部を有する流路に、測定対象となる任意のDNA又はRNAを含む測定溶液を流通させ、
    当該狭小部に電極を備え、
    当該電極を用いて当該狭小部を通過する測定溶液に高周波電場を付与して、測定溶液に含まれる測定塩基の電気双極子を振動させて高周波電流を生じさせ、
    当該電極において、狭小部を通過する測定溶液の高周波電流量を測定し、測定結果と基礎情報とを対比して、狭小部を通過した測定塩基を同定し、且つ、同定した測定塩基の時系列データに基づき測定対象であるDNA又はRNAの塩基配列を同定することを特徴とする塩基配列の決定方法。
  2. 前記流路の少なくとも狭小部を半導体により形成し、
    当該狭小部を前記電極とする請求項1に記載の塩基配列の決定方法。
  3. 前記電極に印加する高周波電場が1MHz以上である請求項1又は請求項2に記載の塩基配列の決定方法。
  4. 前記狭小部は、開口幅が3nm〜10nmである請求項1〜請求項3のいずれかに記載の塩基配列の決定方法。
  5. 測定した高周波電流量を信号電圧に変換し、ロックインアンプを用いて当該高周波電流量から変換された信号電圧を増幅して測定する請求項1〜請求項4のいずれかに記載の塩基配列の決定方法。
  6. 前記流路は、狭小部としてナノポアを備える請求項1〜請求項5のいずれかに記載の塩基配列の決定方法。
  7. 前記流路は、当該流路の一部が括れて狭小部が形成されたナノチャネルである請求項1〜請求項5のいずれかに記載の塩基配列の決定方法。
  8. 測定対象となる任意のDNA又はRNAを含む測定溶液を流通させる流路と、電極とを備え、
    当該流路は、1つのDNA又はRNAがその長さ方向に通過可能な狭小部を備え、
    少なくとも当該狭小部が半導体からなり、当該狭小部が電極として機能し、
    当該電極は、測定溶液に対して高周波電場を付与し、且つ、測定溶液に含まれる測定塩基の電気双極子が高周波電場を付与されることにより振動し、それにより誘起された高周波電流を測定可能であることを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれかに記載の塩基配列の決定方法に用いる測定用デバイス。
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