JP2022134830A - デバイス、トンネル電流測定装置、核酸配列読取装置、トンネル電流測定方法、および、核酸配列読取方法 - Google Patents

デバイス、トンネル電流測定装置、核酸配列読取装置、トンネル電流測定方法、および、核酸配列読取方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2022134830A
JP2022134830A JP2021034256A JP2021034256A JP2022134830A JP 2022134830 A JP2022134830 A JP 2022134830A JP 2021034256 A JP2021034256 A JP 2021034256A JP 2021034256 A JP2021034256 A JP 2021034256A JP 2022134830 A JP2022134830 A JP 2022134830A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
sample
channel
measurement
nucleic acid
tunnel current
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2021034256A
Other languages
English (en)
Inventor
敬人 大城
Takahito Oshiro
正輝 谷口
Masateru Taniguchi
祐貴 小本
Yuki Komoto
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Osaka University NUC
Original Assignee
Osaka University NUC
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Osaka University NUC filed Critical Osaka University NUC
Priority to JP2021034256A priority Critical patent/JP2022134830A/ja
Priority to US17/686,249 priority patent/US20220283110A1/en
Publication of JP2022134830A publication Critical patent/JP2022134830A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N27/00Investigating or analysing materials by the use of electric, electrochemical, or magnetic means
    • G01N27/26Investigating or analysing materials by the use of electric, electrochemical, or magnetic means by investigating electrochemical variables; by using electrolysis or electrophoresis
    • G01N27/28Electrolytic cell components
    • G01N27/30Electrodes, e.g. test electrodes; Half-cells
    • G01N27/327Biochemical electrodes, e.g. electrical or mechanical details for in vitro measurements
    • G01N27/3275Sensing specific biomolecules, e.g. nucleic acid strands, based on an electrode surface reaction
    • G01N27/3278Sensing specific biomolecules, e.g. nucleic acid strands, based on an electrode surface reaction involving nanosized elements, e.g. nanogaps or nanoparticles
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N33/00Investigating or analysing materials by specific methods not covered by groups G01N1/00 - G01N31/00
    • G01N33/48Biological material, e.g. blood, urine; Haemocytometers
    • G01N33/483Physical analysis of biological material
    • G01N33/487Physical analysis of biological material of liquid biological material
    • G01N33/48707Physical analysis of biological material of liquid biological material by electrical means
    • G01N33/48721Investigating individual macromolecules, e.g. by translocation through nanopores
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N27/00Investigating or analysing materials by the use of electric, electrochemical, or magnetic means
    • G01N27/26Investigating or analysing materials by the use of electric, electrochemical, or magnetic means by investigating electrochemical variables; by using electrolysis or electrophoresis
    • G01N27/416Systems
    • G01N27/447Systems using electrophoresis
    • G01N27/44756Apparatus specially adapted therefor
    • G01N27/44791Microapparatus
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B82NANOTECHNOLOGY
    • B82YSPECIFIC USES OR APPLICATIONS OF NANOSTRUCTURES; MEASUREMENT OR ANALYSIS OF NANOSTRUCTURES; MANUFACTURE OR TREATMENT OF NANOSTRUCTURES
    • B82Y10/00Nanotechnology for information processing, storage or transmission, e.g. quantum computing or single electron logic
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B82NANOTECHNOLOGY
    • B82YSPECIFIC USES OR APPLICATIONS OF NANOSTRUCTURES; MEASUREMENT OR ANALYSIS OF NANOSTRUCTURES; MANUFACTURE OR TREATMENT OF NANOSTRUCTURES
    • B82Y40/00Manufacture or treatment of nanostructures
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12QMEASURING OR TESTING PROCESSES INVOLVING ENZYMES, NUCLEIC ACIDS OR MICROORGANISMS; COMPOSITIONS OR TEST PAPERS THEREFOR; PROCESSES OF PREPARING SUCH COMPOSITIONS; CONDITION-RESPONSIVE CONTROL IN MICROBIOLOGICAL OR ENZYMOLOGICAL PROCESSES
    • C12Q1/00Measuring or testing processes involving enzymes, nucleic acids or microorganisms; Compositions therefor; Processes of preparing such compositions
    • C12Q1/68Measuring or testing processes involving enzymes, nucleic acids or microorganisms; Compositions therefor; Processes of preparing such compositions involving nucleic acids
    • C12Q1/6869Methods for sequencing

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Molecular Biology (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Analytical Chemistry (AREA)
  • Pathology (AREA)
  • Immunology (AREA)
  • General Physics & Mathematics (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • Biomedical Technology (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Electrochemistry (AREA)
  • Spectroscopy & Molecular Physics (AREA)
  • Nanotechnology (AREA)
  • Dispersion Chemistry (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Food Science & Technology (AREA)
  • Urology & Nephrology (AREA)
  • Hematology (AREA)
  • Biophysics (AREA)
  • Investigating Or Analyzing Materials By The Use Of Electric Means (AREA)
  • Apparatus Associated With Microorganisms And Enzymes (AREA)

Abstract

【課題】測定用電極が配置されるサンプル測定流路にサンプルが入りやすくなるデバイスを提供する。【解決手段】トンネル電流の測定に用いられるデバイスであって、該デバイスは、基材と、基材に形成された流路と、サンプルが通過した時のトンネル電流を測定するための一対の測定用電極と、を含み、流路は、サンプル投入流路と、測定用電極が配置されるサンプル測定流路と、サンプル投入流路とサンプル測定流路との間に配置され、サンプル投入流路からサンプル測定流路に向けて流路幅が狭くなる第1テーパー流路と、サンプル測定流路を通過したサンプルを回収するサンプル回収流路と、を含み、第1テーパー流路とサンプル測定流路の接続部分の幅が20nm~200nmである。【選択図】図1A

Description

特許法第30条第2項適用申請有り 令和2年10月31日にウェブサイト https://www.mdpi.com/2072-666X/11/11/982に掲載。 また、当該刊行物のSupplementary Materialも上記ウェブサイトで公開。ただし、Supplementary Materialは動画のみである。したがって、書類の提出は省略する。
本出願における開示は、デバイス、トンネル電流測定装置、核酸配列読取装置、トンネル電流測定方法、および、核酸配列読取方法に関する。
生体高分子であるDNAを用いたメモリは、その記憶密度の大きさや記録保持安定性から注目されている。DNAメモリの商業化には、DNA配列を高速で読み取る技術が必要である。DNA配列の読取方法として、PCR増幅過程における伸長反応を光プローブによる光検出で行う例が知られている。こうした装置はシーケンサとよばれ、既に商品化されている。しかしながら、この方法の課題はPCR等の増幅過程を必要とするため、これにともなう伸長時間(1塩基あたりおよそ1秒)をこえた読み取り速度を実現することができないという問題がある。また、PCRはDNAに対してのみ有効であるため、DNA以外の生体分子や人工塩基などへの応用ができないため、4塩基のみの組み合わせで格納できる記憶密度は限られてしまうという問題もある。
PCR以外の核酸の読取装置(方法)としては、薄膜にナノポア(微細な貫通孔)を形成し、核酸がナノポアを通過する際のトンネル電流を測定する方法が知られている(特許文献1参照)。
また、核酸を読み取る際には、核酸を伸長することが望ましい。核酸を伸長する技術としては、例えば、基材にナノワイヤを形成した流路を設け、核酸がナノワイヤの間を通過することで伸長する技術も知られている(特許文献2参照)。
特表2017-509899号公報 特開2016-103979号公報
DNAメモリの読取装置(読取方法)は、核酸の読取スピードの向上および少量のサンプルでも核酸配列の読み取り可能であることが望ましい。特許文献1に記載の読取装置(方法)は、ナノポアが形成された薄膜を境界にしてチャンバーが形成され、チャンバーに投入された核酸がナノポアを通過する時のトンネル電流を測定している。しかしながら、ナノポアの開口部は薄膜に対して略直交となるように形成され、且つ、薄膜に対する開口部の領域は微小である。そのため、核酸を含むサンプル液は薄膜全体に接触することから、サンプル液中の核酸が開口部に入り難いという問題がある。
本出願における開示の目的は、上記問題点を解決するためのデバイス、当該デバイスを用いたトンネル電流測定装置およびトンネル電流測定方法、並びに、核酸配列読取装置および核酸配列読取方法を提供することである。
本出願における開示は、以下に示す、デバイス、トンネル電流測定装置、核酸配列読取装置、トンネル電流測定方法、および、核酸配列読取方法に関する。
(1)トンネル電流の測定に用いられるデバイスであって、該デバイスは、
基材と、
基材に形成された流路と、
サンプルが通過した時のトンネル電流を測定するための一対の測定用電極と、
を含み、
流路は、
サンプル投入流路と、
測定用電極が配置されるサンプル測定流路と、
サンプル投入流路とサンプル測定流路との間に配置され、サンプル投入流路からサンプル測定流路に向けて流路幅が狭くなる第1テーパー流路と、
サンプル測定流路を通過したサンプルを回収するサンプル回収流路と、
を含み、
第1テーパー流路とサンプル測定流路の接続部分の幅が20nm~200nmである
デバイス。
(2)第1テーパー流路とサンプル測定流路の接続部分の幅をW1と規定し、第1テーパー流路とサンプル投入流路の接続部分の幅をW2と規定した時に、W2/W1が10~20であり、
第1テーパー流路とサンプル測定流路の接続部分および第1テーパー流路とサンプル投入流路の接続部分の長さをL1と規定した時に、L1/W2が0.5~5である
上記(1)に記載のデバイス。
(3)サンプル測定流路の長さが、20nm~1000nmである
上記(1)または(2)に記載のデバイス。
(4)サンプル測定流路とサンプル回収流路との間に配置され、サンプル測定流路からサンプル回収流路に向けて流路幅が広くなる第2テーパー流路を含む
上記(1)~(3)のいずれか一つに記載のデバイス。
(5)サンプル測定流路と第2テーパー流路の接続部分の幅をW1aと規定し、
第2テーパー流路とサンプル回収流路の接続部分の幅をW2aと規定し、
第2テーパー流路とサンプル測定流路の接続部分および第2テーパー流路とサンプル回収流路の接続部分の長さをL1aと規定した時に、
W1=W1a、W2=W2a、および、L1=L1aの関係を満たす
上記(1)~(4)のいずれか一つに記載のデバイス。
(6)上記(1)~(5)のいずれか一つに記載のデバイスと、電気泳動用電源と、測定部と、を含み、
電気泳動用電源は、電気泳動用電極に10mV~5Vの電圧を印加する
トンネル電流測定装置。
(7)上記(6)に記載のトンネル電流測定装置と、解析部と、を含み、
サンプルが核酸であり、
解析部は、トンネル電流測定装置で取得したトンネル電流の測定結果から核酸配列を特定する
核酸配列読取装置。
(8)デバイスを用いたトンネル電流測定方法であって、
デバイスは、
基材と、
基材に形成された流路と、
サンプルが通過した時のトンネル電流を測定するための一対の測定用電極と、
を含み、
流路は、
サンプル投入流路と、
測定用電極が配置されるサンプル測定流路と、
サンプル投入流路とサンプル測定流路との間に配置され、サンプル投入流路からサンプル測定流路に向けて流路幅が狭くなる第1テーパー流路と、
サンプル測定流路を通過したサンプルを回収するサンプル回収流路と、
を含み、
第1テーパー流路とサンプル測定流路の接続部分の幅が20nm~200nmであり、
トンネル電流測定方法は、
サンプル投入流路およびサンプル回収流路に電圧を印加することで、サンプル投入流路のサンプルをサンプル回収流路に向けて電気泳動するサンプル電気泳動工程と、
サンプル測定流路に配置された一対の測定用電極の隙間をサンプルが通過する時のトンネル電流を測定する測定工程と
を含む、トンネル電流測定方法。
(9)サンプル電気泳動工程において、10mV~5Vの電圧が印加される
上記(8)に記載のトンネル電流測定方法。
(10)第1テーパー流路とサンプル測定流路の接続部分の幅をW1と規定し、第1テーパー流路とサンプル投入流路の接続部分の幅をW2と規定した時に、W2/W1が10~20であり、
第1テーパー流路とサンプル測定流路の接続部分および第1テーパー流路とサンプル投入流路の接続部分の長さをL1と規定した時に、L1/W2が0.5~5である
上記(8)または(9)に記載のトンネル電流測定方法。
(11)サンプルが核酸であり、
上記(8)~(10)のいずれか一つに記載のトンネル電流測定方法の測定工程により得られたトンネル電流の測定結果から、核酸配列を特定する核酸配列読取工程
を含む、核酸配列読取方法。
本出願で開示するデバイスを用いると、測定用電極が配置されるサンプル測定流路にサンプルが入りやすくなる。
図1Aはデバイス1の上面図である。 図1Bは図1AのX-X矢視断面図である。 図1Cは図1AのY-Y矢視断面図である。 図2はデバイス1の作製手順の一例を示す概略図である。 図3はトンネル電流測定装置100の実施形態の概略を示す概略図である。 図4は核酸配列読取装置100aの実施形態の概略を示す概略図である。 図5は、トンネル電流測定方法および核酸配列読取方法のフローチャートである。 図6は図面代用写真で、図6Aは実施例1で作製したデバイス1の測定用電極4および測定用電極4を配置したサンプル測定流路32付近のSEM写真である。図6Bは、デバイス1にカバー部材5を接着し電気泳動用電極を挿入した写真である。 図7は実施例4で測定した核酸のトンネル電流の測定結果を表すチャートである。 図8は実施例5および比較例1で測定した核酸のトンネル電流の測定結果を表すチャートである。 図9は実施例6の核酸の移動速度の測定結果を示すグラフである。 図10は実施例7で測定したサンプルの移動速度の測定結果を示すグラフである。 図11は、図10の測定結果を解析したグラフである。
以下に、図面を参照しながら、デバイス、トンネル電流測定装置、核酸配列読取装置、トンネル電流測定方法、および、核酸配列読取方法について詳しく説明する。
本明細書において、同種の機能を有する部材には、同一または類似の符号が付されている。そして、同一または類似の符号の付された部材について、繰り返しとなる説明が省略される場合がある。
本明細書において、「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。数値、数値範囲および定性的な表現(例えば、「同一」、「略」等の表現)については、当該技術分野において一般的に許容される誤差を含む数値、数値範囲および性質を示していると解釈されるものとする。
また、図面において示す各構成の位置、大きさ、範囲などは、理解を容易とするため、実際の位置、大きさ、範囲などを表していない場合がある。このため、本出願における開示は、必ずしも、図面に開示された位置、大きさ、範囲などに限定されない。
(デバイスの第1の実施形態)
図1A~図1Cを参照して、第1の実施形態に係るデバイス1について説明する。図1Aはデバイス1の上面図、図1Bは図1AのX-X矢視断面図、図1Cは図1AのY-Y矢視断面図である。図2はデバイス1の作製手順の一例を示す概略図である。
デバイス1は、基材2と、基材2に形成された流路3と、サンプルが通過した時のトンネル電流を測定するための一対の測定用電極4aおよび4b(以下、一対の測定用電極4aおよび4bを「測定用電極4」と記載することがある。)と、を含む。流路3は、サンプル投入流路31と、測定用電極4が配置されるサンプル測定流路32と、サンプル投入流路31とサンプル測定流路32との間に配置されサンプル投入流路31からサンプル測定流路32に向けて流路幅が狭くなる第1テーパー流路33と、サンプル測定流路32を通過したサンプルを回収するサンプル回収流路34と、を含む。第1テーパー流路33とサンプル測定流路32の接続部分の幅W1は20nm~200nmである。
図1Aに示す例では第2テーパー流路35が図示されているが、第1の実施形態に係るデバイス1において第2テーパー流路35は任意付加的な構成である。サンプル測定流路32から流出したサンプルを回収できれば、サンプル回収流路34をサンプル測定流路32に直接連結してもよい。
デバイス1は、例えば、ナノチャネル統合機械的破断接合法(Nanochannel-Integrated Mechanically Controllable Break Junction)を用いて製造することができる。図2を参照し、デバイス1の製造手順の一例を示す。なお、一対の測定用電極4を作製する機械的破断接合法(MCBJ)に関しては、例えば、特表2019-525766号公報、上記特許文献1、M.Tsutsui,K.,Shoji,M.Taniguchi,T.Kawai,Nano Lett.,345(2008)、および、M.Tsutsui,M.Taniguchi,T.Kawai,Appl.Phys.Lett.93、163115(2008)等に記載されている。
(1)シリコン等の基板2a上にポリイミド等の絶縁材料で絶縁層2bを形成する。
(2)絶縁層2b上に電子ビームリソグラフィー(EB lithography)により測定用電極4を形成するための金属層を堆積する。
(3)化学蒸着によってSiO2等の堆積層2cを形成する。堆積槽2cの上に、スピンコーティングにより、レジスト層2dを積層する。
(4)電子ビームリソグラフィーにより、測定用電極4を形成するための金属層に重ね合わせるように、サンプル測定流路32を含む流路3のパターンを形成する。
(5)ドライエッチングにより流路3を形成する。その後、MCBJにより、金属層に隙間(ナノギャップG)を形成することで測定用電極4を形成する。なお、図2に示す例では、サンプル測定流路32は測定用電極4の下方までエッチングされているが、測定用電極4の下方部分の流路はなくてもよい。また、図2に示す例では測定用電極4は一つであるが、測定用電極4は2以上形成してもよい。
(6)サンプル液の投入や、電気泳動用電極の挿入等に用いられる孔を必要に応じて形成したカバー部材5を貼り付ける。なお、カバー部材5は、イオン電流測定時に貼り付けられていればよい。
基板2aは、半導体製造技術の分野で一般的に用いられている材料であれば特に制限は無い。基板2aの材料としては、例えば、Si、SiO、SiN、Ge、Se、Te、GaAs、GaP、GaN、InSb、InP等が挙げられる。
絶縁層2bも半導体製造技術の分野で一般的に用いられている材料であれば特に制限は無い。絶縁層2bの材料としては、例えば、ポリイミド、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリアセタール(POM)、ポリエポキシなどの絶縁性高分子;SiO2、酸化アルミニウム等の絶縁性酸化半導体金属物;等が挙げられる。
堆積層2cを形成する材料としては、ポリイミド、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリアセタール(POM)、ポリエポキシなどの絶縁性高分子;SiO2、酸化アルミニウム等の絶縁性酸化半導体金属物;等が挙げられる。
測定用電極4を形成する材料としては、トンネル電流を測定できれば特に制限はない。例えば、金、白金、銀、パラジウム、タングステン、および前記金属の合金等が挙げられる。
電子ビームリソグラフィーに用いられるフォトレジスト、現像およびエッチング等に用いる試薬は、微細加工技術の分野で一般的に使用されている材料であれば特に制限はない。また、スピンコータおよびエッチング等に用いる装置も、微細加工技術の分野で一般的に使用されている材料であれば特に制限はない。
カバー部材5は、流路3を形成した基材2に貼り付けることができる材料であれば特に制限はない。カバー部材5の材料としては、例えば、ポリメチルジシロキサン(PDMS)等が挙げられる。カバー部材5と基材2とは、例えば、オゾンプラズマ処理等により貼り付ければよい。
なお、本明細書において「基材」とは、流路3を形成するための基礎となる材料部分を意味する。図2に示す例では、基材2には、基板2a、絶縁層2b、堆積層2cおよびレジスト層2dが含まれる。なお、図2は測定用電極4をサンプル測定流路32に配置したデバイス1の作製手順の一例に過ぎない。デバイス1は、本出願で開示する効果を奏する範囲であれば、他の工程を追加あるいは削除してもよい。例えば、エッチングにより流路3を形成した後に、レジスト層2dは除去されてもよい。その場合、基材2にはレジスト層2dは含まれない。また、デバイス1は、電子線彫刻法やナノプリンティング等により作製してもよい。
また、理解を容易にするため、図1A~図1Cに示す例では、基板2a、絶縁層2b、堆積層2cおよびレジスト層2dの詳細な記載は省略し、基材2と記載してある。
サンプル投入流路31とサンプル回収流路34に電圧を印加することでサンプルには電気泳動力が付与され、サンプルの移動速度が増加する。その結果、電気泳動力を付与しない場合と比較して、サンプルの測定速度が向上する。一方、流路3に電圧を印加しサンプルに電気泳動力を付与する場合、流路3の断面積が大きくなるほどより大きな電圧が必要となる。
ところで、トンネル電流による核酸の読取は、測定したピコアンペアレベルの電流値の差異を識別することで行われる。本発明者らは、様々な実験結果から、特許文献2に記載されているμmオーダーの流路に投入した核酸に電気泳動力を付与できるレベルの電圧を印加した場合、電気泳動用の電圧に起因するノイズを測定用電極4が検出し、核酸の識別ができないことを新たに見出した。本出願における開示は、当該知見に基づいている。
本出願で開示するデバイス1は、低い電圧でサンプルに電気泳動力を付与できることから、電気泳動用の電圧に起因するノイズが少ないトンネル電流の測定ができる。したがって、上記のとおり核酸の識別に好適に用いることができるが、サンプルは核酸に限定されない。表面電荷を有し電気泳動により移動するサンプルであれば、電気泳動用の電圧に起因するノイズが少ないトンネル電流の測定ができる。サンプルとしては、例えば、ペプチド、脂質、糖鎖、合成高分子等が挙げられる。なお、本明細書において「サンプル液」と記載した場合、「サンプル液」は上記サンプルを電気泳動用の溶媒に溶解または分散した液体を意味する。
デバイス1には、サンプル液を投入するため、所定の大きさのサンプル投入流路31が必要である。そのため、デバイス1は、測定用電極4を配置するサンプル測定流路32の幅を狭くし(小さくし)、サンプル投入流路31とサンプル測定流路32を第1テーパー流路33で接続する構造を採用している。
上記のとおり、電気泳動用の電圧に起因するノイズを軽減するためには、サンプル測定流路32の幅は狭い方が好ましい。第1テーパー流路33とサンプル測定流路32の接続部分の幅W1と規定した時に、W1は、200nm以下、180nm以下、160nm以下、140nm以下、120nm以下、100nm以下、90nm以下、80nm以下、70nm以下、60nm以下、50nm以下とすればよい。一方、W1の下限は製造可能な範囲であれば特に制限はない。限定されるものではないが、例えば、20nm以上、25nm以上、30nm以上とすればよい。
サンプル測定流路32の幅は、何れの箇所も同じであってもよいし、測定結果の解析等を行う際に影響が出ない範囲であれば異なっていてもよい。図1Aに示す例では、サンプル測定流路32のW1とは反対側の端部をW1aと規定した時に、W1aはW1と同じであってもよいし、W1より大きくても小さくてもよい。
一対の測定用電極4aおよび4bの隙間(ギャップG、図1B参照)は、サンプルが通過する際のトンネル電流が測定できる範囲内であれば特に制限はない。限定されるものではないが、例えば、0.1nm以上、0.3nm以上、0.5nm以上、0.7nm以上、0,9nm以上とすればよい。一方、ギャップGの上限は、限定されるものではないが、例えば、50nm以下、30nm以下、10nm以下、8nm以下、6nm以下、5nm以下、4nm以下、3nm以下、2nm以下、1nm以下とすればよい。
測定用電極4の長さ(図1AのL2と同じ方向の隙間Gの長さ)も、サンプルが通過する際のトンネル電流が測定できる範囲内であれば特に制限はない。限定されるものではないが、例えば、1000nm以下、800nm以下、600nm以下、400nm以下、200nm以下、100nm以下、80nm以下、60nm以下とすればよい。
なお、MCBJでは切断を容易にするため、測定用電極4の堆積量(測定用電極4の長さ方向に直交する方向、または、図1BのH方向。以下、「厚み」と記載することがある。)は小さい方が好ましい。測定用電極4の厚みを増やすと切断場所が制御し難くなり、作製したギャップGの切断面が乱雑となる恐れがある。そのため、測定用電極4の厚みは、限定されるものではないが、例えば、80nm以下、70nm以下、60nm以下、50nm以下とすればよい。測定用電極4の厚みの下限値はトンネル電流が測定できれば特に制限はなく、限定されるものではないが、例えば、2nm以上、4nm以上、6nm以上、8nm以上、10nm以上、15nm以上、20nm以上とすればよい。
上記のとおり、測定用電極4の厚さを小さくしてMCBJによりギャップGを形成する関係上、測定用電極4の長さは厚さより大きくすることが好ましい。限定されるものではないが、例えば、長さ/厚さの比は10~100が挙げられる。
ところで、特許文献1に記載のデバイスも、MCBJにより電極が形成されている。そのため、薄膜に堆積する電極の厚さは上記の理由で薄くなっている。そして、特許文献1に記載のデバイスは薄膜にナノポアを形成していることから、サンプルは電極のギャップGの厚さ方向に移動する。一方、本出願で開示するデバイス1を用いてサンプルのトンネル電流を測定する場合、サンプルは測定用電極4の長さ方向に移動する。つまり、本出願で開示するデバイス1と特許文献1ではギャップGに対するサンプルの移動方向が異なる。本出願で開示するデバイスの場合は、電界が測定用電極4の長さ方向に係ることから電界の強さが緩やかになりサンプルの移動速度を制御しやすい。一方、特許文献1のデバイスの場合は、電界は電極の厚さ方向(電極の長さ方向より薄い)に係ることから電界が急激になり、サンプルの移動速度の制御が難しい。以上のとおり、本出願で開示するデバイス1は、特許文献1に記載のデバイスと比較して、測定用電極4のギャップGを通過するサンプルの移動速度を制御しやすいとの効果を奏する。
サンプル測定流路32の長さL2は、サンプルが通過する際のトンネル電流が測定できる範囲内であれば特に制限はない。長すぎるとデバイス1の流路全体が長くなる。一方、短すぎると、サンプルが核酸やペプチド等の細長いサンプル(以下、「細長サンプル」と記載することがある。)の場合、細長サンプルが伸長した状態を維持し難くなる。限定されるものではないが、L2は、20nm以上、25nm以上、30nm以上、35nm以上、40nm以上、45nm以上、50nm以上とすればよい。また、L2は、2000nm以下、1500nm以下、1000nm以下、800nm以下、600nm以下、400nm以下、200nm以下、180nm以下、160nm以下、140nm以下、120nm以下、100nm以下とすればよい。勿論、L2の長さは測定用電極4のギャップG部分の長さより長くする必要がある。
電気泳動用の電圧に起因するノイズを軽減するためには、流路3の深さHも小さい方が好ましい。流路3の深さHは、限定されるものではないが、例えば、200nm以下、180nm以下、160nm以下、140nm以下、120nm以下、100nm以下、90nm以下、80nm以下、70nm以下、60nm以下、50nm以下とすればよい。一方、流路3の深さHは、例えば、20nm以上、25nm以上、30nm以上とすればよい。
第1の実施形態に係るデバイス1では、第1テーパー流路33の長さ(図1AのL1)およびサンプル投入流路33の幅(第1テーパー流路33との接続部分、図1AのW2)に特に制限はないが、流路3の幅は可能な範囲で小さくすることが望ましい。なお、サンプル液を投入するため、サンプル投入流路31は必要に応じてW2より幅が広い幅広部分を有していてもよい。
第1の実施形態に係るデバイス1では、サンプル回収流路34の幅および任意付加的に設けられる第2テーパー流路35の長さ(図1AのL1a)に特に制限はないが、流路3の幅は可能な範囲で小さくすることが望ましい。なお、サンプルを回収するため、サンプル回収流路34は必要に応じてW2aより幅が広い幅広部分を有していてもよい。
特許文献1および2に記載のデバイスと比較して、第1の実施形態に係るデバイス1を用いてトンネル電流を測定することで以下の効果を奏する。
(1)サンプル投入流路31に投入したサンプル液に含まれるサンプルは、電気泳動により第1テーパー流路33を介してサンプル測定流路32に誘導される。したがって、特許文献1に記載のナノポア形式と比較してサンプル液中に含まれる核酸等のサンプルの量が少なくても、より確実に測定用電極4にサンプルを誘導できる。
(2)特許文献1に記載のデバイスのナノポアは、薄膜に形成した3次元の孔である。したがって、ナノポア内で孔のサイズを変えたりすることは非常に困難である。また、特許文献1に記載のデバイスは、薄膜にサンプル液が接触するようにチャンバーが形成されている。したがって、チャンバーとナノポアの開口部を段差無く設計することは非常に困難である。つまり、サンプル液に含まれる核酸等のサンプルが開口部に流れやすくするための流路設計には制限がある。一方、デバイス1は、基材2上に流路3を形成することから、電子ビームリソグラフィーにより所望の形状の流路3を簡単に形成できる。
(3)サンプル測定流路32の幅の絶対値を非常に小さくすること、および、サンプル投入流路31からサンプル測定流路32に向けてテーパーを形成することで、流路3の断面積を特許文献2に記載の実施形態より小さくできる。そのため、サンプルに電気泳動力を付与するための電圧を小さくすることができ、トンネル電流測定時に電気泳動用の電圧に由来するノイズを低減できる。
(デバイス1の任意付加的な変形例)
図1A~図1Cを参照して、デバイス1の任意付加的な変形例(限定)について説明する。なお、デバイス1の任意付加的な変形例は、デバイス1の実施形態の各構成をより限定した実施形態である。したがって、デバイス1の任意付加的な変形例では、限定事項のみ説明し、第1の実施形態において説明済みの事項についての繰り返しとなる説明は省略する。
(変形例1)
デバイス1は、第1テーパー流路33とサンプル測定流路32の接続部分の幅をW1と規定し、第1テーパー流路33とサンプル投入流路31の接続部分の幅をW2と規定した時に、W2/W1の下限を2以上、3以上、4以上、5以上、6以上、7以上、8以上、9以上、10以上とし、上限を50以下、40以下、30以下、20以下としてもよい。また、第1テーパー流路33とサンプル測定流路32の接続部分W1および第1テーパー流路とサンプル投入流路の接続部分の長さをL1と規定した時に、L1/W2の下限を0.3以上、0.4以上、0.5以上とし、上限を10以下、9以下、8以下、7以下、6以下、5以下としてもよい。
第1テーパー流路33の形状を上記の比とした場合、第1の実施形態に係るデバイス1に記載の効果に加え、以下の効果を奏する。
(1)第1テーパー流路33を上記の比にすることで、サンプル液中の細長サンプルを直線化しやすくできる。
(2)流路に溶媒を充填して電圧を印加した際には流路内には電気浸透流(EOF)が発生するが、壁に沿った領域は逆流する。第1テーパー流路33を変形例1に記載した範囲にすると、EOFの発生が抑制されやすく、また、第1テーパー流路33の形状により電界増強による加速効果が得られる。したがって、サンプル液中に含まれる細長サンプルを直線化した上で、サンプル測定流路32に導入しやすくなる。
(変形例2)
デバイス1は、サンプル測定流路32とサンプル回収流路34との間に配置され、サンプル測定流路32からサンプル回収流路34に向けて流路幅が広くなる第2テーパー流路35を含んでもよい。
デバイス1が第2テーパー流路35を含む場合、第1の実施形態に係るデバイス1および変形例1に記載の効果に加え、サンプル測定流路32の出口で細長サンプルがスタックすることを防ぎ、細長サンプルの通過を促進するとの効果を奏する。
(変形例3)
デバイス1は、変形例2に加え、サンプル測定流路32と第2テーパー流路35の接続部分の幅をW1aと規定し、第2テーパー流路35とサンプル回収流路34の接続部分の幅をW2aと規定し、第2テーパー流路35とサンプル測定流路32の接続部分および第2テーパー流路35とサンプル回収流路32の接続部分の長さをL1aと規定した時に、W1=W1a、W2=W2a、および、L1=L1aの関係を満たしてもよい。換言すると、流路3は、サンプル測定流路32を中心にして左右対称となるように形成してもよい。
デバイス1の流路3を、サンプル測定流路32を中心にして左右対称となるように形成した場合、第1の実施形態に係るデバイス1、変形例1および変形例2に記載の効果に加え、以下の効果を奏する。
(1)電気泳動用の電極のプラス・マイナスを入れ替えることで、測定用電極4を通過したサンプルを逆方向からも測定ができる。例えば、核酸やペプチド等の配列読取の際に、同じ配列を異なる方向から確認できるので読取精度の向上が期待できる。
(その他の変形例)
本出願で開示するデバイス1は上記実施形態1および変形例1~3に限定されず、本出願で開示する技術思想の範囲内において、適宜変形または変更され得る。また、各実施形態において任意の構成要素を省略することも可能である。
例えば、サンプル液が流れやすくするように、製造したデバイス1を親水化処理してもよい。親水化処理方法としては、プラズマ処理、界面活性剤処理、PVP(ポリビニルピロリドン)処理、光触媒処理、SiO2膜の被覆等が挙げられる。例えば、デバイス1の流路3が形成されている面を10~30秒間プラズマ処理することで、表面に水酸基を導入することができる。また、デバイス1がカバー部材5を備えていてもよい。更に、デバイス1のサンプル投入流路31およびサンプル回収流路34に、電気泳動用の電圧を印加するための電極が形成されていてもよい。電気泳動用の電極は後述する。
(トンネル電流測定装置の実施形態)
図3を参照して、トンネル電流測定装置100の実施形態について説明する。図3はトンネル電流測定装置100の実施形態の概略を示す概略図である。トンネル電流測定装置100は、デバイス1に加え、電気泳動用電源(以下、「第1電源」と記載することがある)6と、測定部7と、を含む。測定部7は、トンネル電流検出部(以下、「検出部」と記載することがある。)7aおよびトンネル電流測定用電源(以下、「第2電源」と記載することがある。)7bを含む。
図3に示す例では、サンプル投入流路31内のサンプル液と接する箇所に電気泳動用第1電極(以下、「第1電極」と記載することがある。)61が形成され、サンプル回収流路34内の溶媒と接する箇所に電気泳動用第2電極(以下、「第2電極」と記載することがある。)62が形成されている。第1電極61および第2電極62は、デバイス1の構成であってもよいし、トンネル電流測定装置100の構成であってもよい。
第1電極61および第2電極62は、Ag/AgCl、アルミニウム、銅、白金、金、銀、チタン等の公知の導電性金属で形成することができる。第1電極61および第2電極62は、基材2上に形成してもよいし、デバイス1とは別体としカバー部材5の孔を介して挿入してもよい。
図3には、第1電極61に接続する第1電源6aおよび第2電極62に接続する第1電源6bの2つの第1電源6を用いて電気泳動用の電圧を印加する例が示されている。図3に示す例では、第1電源6として2つの電源を用いていることから、昇圧、降圧を独立して実施ができる。なお、図3に示す例は単なる例示であって限定されるものではない。後述する電気泳動用の電圧を印加できれば、例えば、第1電源6は一つであってもよい。本出願で開示するトンネル電流測定装置100は、デバイス1の流路3、特に、サンプル測定流路32の幅を非常に小さくすることで、サンプルの電気泳動に必要な電圧を小さくできる。そのため、測定部7は、サンプルが測定用電極4の隙間を通過する際のトンネル電流を測定する際に、ノイズ成分が小さなトンネル電流の測定値が得られる。したがって、得られた測定結果は、核酸やペプチド配列の特定、脂質、糖鎖、合成高分子の分析等の用途に好適に用いることができる。
第1電源6が印加する電圧は、小さすぎるとサンプルの移動速度が遅くなり測定に時間を要する。限定されるものではないが、例えば、10mV以上、15mV以上、20mV以上、25mV以上、30mV以上とすればよい。一方、第1電源6が印加する電圧の上限は、得られた測定結果を解析する際の解析部の精度および流路3の幅等を考慮し適宜設定すればよい。限定されるものではないが、例えば、5V以下、3V以下、1V以下、500mV以下、300mV以下、100mV以下、90mV以下、80mV以下、70mV以下、60mV以下、50mV以下とすればよい。なお、トンネル電流測定装置100で得られたトンネル電流の測定結果は、トンネル電流測定装置100とは別体の解析部により解析をしてもよい。したがって、トンネル電流測定装置100において解析部は必須の構成ではない。
測定部7の検出部7aは、トンネル電流測定用電源(以下、「第2電源」と記載することがある。)7bにより電圧が印加される一対の測定用電極4aおよび4bの隙間をサンプルが通過するときに発生するトンネル電流の変化を測定できる構成を具備していれば特に制限はない。例えば、発生するトンネル電流の変化はピコアンペアレベルであることから、ピコアンペアレベルの電流を測定できる公知の電流計を使用すればよい。また、電圧計で測定した電圧から電流を計算してもよい。測定部7aは、任意付加的に、電流増幅アンプ、ノイズ除去装置、A/Dコンバーター等を含んでいてもよい。測定部7aが、電流増幅アンプ、ノイズ除去装置、A/Dコンバーター等を含む場合は、測定したトンネル電流値の生データではなく、解析しやすいデータを提供できる。代替的に、測定部7aはトンネル電流の変化を測定できる構成のみとし、電流増幅アンプ、ノイズ除去装置、A/Dコンバーター等は、解析部8の構成としてもよい。
第2電源7bは、一対の測定用電極4aおよび4bに電圧を印加する。第2電極7bによって印加される電圧は、トンネル電流が測定できれば特に制限はない。限定されるものではないが、例えば、下限を20mV以上、50mV以上、100mV以上とし、上限を750mV以下、500mV以下、250mV以下等にすればよい。第2電源7bの具体的な構成は特に限定されるものではなく、周知の電源装置を使用すればよい。
本出願で開示するトンネル電流測定装置100を使用してトンネル電流を測定することで、電気泳動用の電圧に起因するノイズ成分が少ないトンネル電流の測定結果が得られるとの効果を奏する。
(核酸配列読取装置の実施形態)
図4を参照して、核酸配列読取装置100aの実施形態について説明する。図4は核酸配列読取装置100aの実施形態の概略を示す概略図である。核酸配列読取装置100aは、トンネル電流測定装置100に加え、トンネル電流測定装置100で取得したトンネル電流の測定結果から核酸配列を特定する解析部8を必須の構成として含む以外は、トンネル電流測定装置100と同じである。したがって、核酸配列読取装置100aの実施形態では解析部8を中心に説明し、トンネル電流測定装置100の実施形態において説明済みの事項についての繰り返しとなる説明は省略する。よって、核酸配列読取装置100aの実施形態において明示的に説明されなかったとしても、トンネル電流測定装置100の実施形態で説明済みの事項を採用可能であることは言うまでもない。
解析部8は、トンネル電流測定装置100で取得したトンネル電流の測定結果から核酸配列を特定する。より具体的には、解析部8はトンネル電流の測定値からコンダクタンスを計算する。トンネル電流が測定されるときにコンダクタンスは、トンネル電流の測定値を一対の測定用電極4aおよび4bに印加した電圧で割ることで計算できる。核酸が一対の測定用電極4aおよび4bを通過する際に発生するトンネル電流から計算したコンダクタンスは、核酸の種類によって異なる。したがって、計算したコンダクタンスに基づき核酸の種類を特定できることから、トンネル電流の測定値を時系列に解析することで核酸配列の読取ができる。
なお、解析部8は上記コンダクタンスの解析まで行い、アデニン(A)、グアニン(G)、シトシン(C)、チミン(T)、ウラシル(U)等の具体的な核酸名の特定は解析部8と別の装置が行ってもよい。代替的に、解析部8は核酸の種類に応じたコンダクタンスを記憶する記憶部を設け、計算したコンダクタンスと記憶部に記載されたコンダクタンスとを対比することで、解析部8がトンネル電流の測定結果から核酸配列を直接読取ってもよい。本明細書において「核酸配列を特定」とは、核酸の種類を具体的に特定することに加え、核酸の種類を特定できるコンダクタンス情報を提供することも包含する。
なお、本明細書において「核酸」とは、DNAおよびRNAを構成する上記核酸に加え、人工核酸を含む。人工核酸の例としては限定されるものではないが、例えば、以下の人工核酸が挙げられる。
Figure 2022134830000002
天然の核酸に加え、異なる種類の人工核酸を加えることで、多ビット化により核酸メモリの高密度化ができる。
核酸配列読取装置100aは、任意付加的に、測定したトンネル電流値および/または解析部8が解析した結果を表示するための表示部9、予め解析部8や表示部9を機能させるためのプログラムを格納したプログラムメモリ10、プログラムメモリ10に格納されているこのプログラムを読み出し実行するための制御部11を含んでいてもよい。プログラムは、予めプログラムメモリ10に記憶しておいても良いし、記録媒体に記録され、インストール手段を用いてプログラムメモリ10に格納されるようにしてもよい。
表示部9は、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイなど、公知の表示装置を用いればよい。
(トンネル電流測定方法および核酸配列読取方法の実施形態)
次に、図5を参照して、トンネル電流測定装置100を用いたトンネル電流測定方法、および、核酸配列読取装置100aを用いた核酸配列読取方法について説明する。図5は、トンネル電流測定方法および核酸配列読取方法のフローチャートである。トンネル電流測定方法の実施形態は、サンプル電気泳動工程(ST1)およびトンネル電流測定工程(ST2)を含む。核酸配列読取方法の実施形態は、サンプル電気泳動工程(ST1)およびトンネル電流測定工程(ST2)に加え、核酸配列読取工程(ST3)を含んでいる。
サンプル電気泳動工程(ST1)は、サンプル投入流路31にサンプル液を投入し、サンプル回収流路34に溶媒を投入し、第1電極61および第2電極62に電圧を印加することで実施される。第1テーパー流路33、サンプル測定流路32、必要に応じて形成される第2テーパー流路35には、投入したサンプル液または溶媒が毛管力により浸透することで液絡が取れる。サンプル液を作製するための溶媒は電気が通ればよい。限定されるものではないが、例えば、超純水、緩衝液等が挙げられる。超純水は、例えば、EMDミリポア社(Milli-Q(登録商標)Integral33/5/1015(カタログ番号))によって製造されたMilli-Q(登録商標)Integral3(装置名)を用いて製造することができる。緩衝液としては、TEバッファー、TBEバッファー等の公知の電気泳動用のバッファーが挙げられる。バッファーの濃度は、限定されるものではないが、例えば1μM以下等、電気泳動ができる範囲で適宜調整すればよい。また、サンプル液には、電気浸透流(EOF)の影響を軽減するため、必要に応じてpolyvinyl-pyrrolidone(PVP)等の界面活性剤の他、両親媒性の化学物質が挙げられる。
トンネル電流測定工程(ST2)では、サンプル測定流路32に配置された一対の測定用電極4aおよび4bの隙間をサンプルが通過する時のトンネル電流を測定する。
核酸配列読取工程(ST3)は、サンプルが核酸の場合に実施される。核酸配列読取工程(ST3)では、トンネル電流測定工程(ST2)で得られたトンネル電流値から、上記(核酸配列読取装置の実施形態)に記載の方法により核酸配列を特定する。なお、必要に応じて、配列が既知の核酸で予め電気泳動工程(ST1)、トンネル電流測定工程(ST2)および核酸配列読取工程(ST3)を実施し、核酸の種類と計算したコンダクタンスを関連付けて記憶部に記憶してもよい。また、サンプルがペプチドの場合は、核酸をアミノ酸と読み替えればよい。
以下に実施例を掲げ、本出願における開示内容を具体的に説明するが、この実施例は具体的な態様の参考のために提供されているものである。これらの例示は、本出願における開示の範囲を限定したり、あるいは制限することを表すものではない。
〔デバイス1の作製〕
<実施例1>
図2に示す手順にしたがって、デバイスを作製した。具体的手順は以下のとおり。
(1)シリコン基板2a上にポリイミドで絶縁層2bを形成した。
(2)絶縁層2b上に、電子ビームリソグラフィーおよびリフトオフ技術を用いて、絶縁層2b上に測定用電極4を形成するための金属層を堆積した。レジストにはZEP520Aを用い、測定用電極4を形成するための金属層の材料は金を用いた。
(3)化学蒸着によってSiO2の堆積層2cを形成した。堆積槽2cの上に、スピンコーティングにより、レジスト層2dを積層した。レジストは、ZEP520Aを使用した。
(4)電子ビームリソグラフィーにより、測定用電極4を形成するための金属層に重ね合わせるように、サンプル測定流路32を含む流路3のパターンを形成した。
(5)ドライエッチングにより流路3を形成した。その後、MCBJにより、基板2aを折り曲げることで金属層に隙間(ナノギャップG)を形成することで測定用電極4を形成した。
(6)サンプル液の投入孔および電気泳動用電極の挿入孔を形成したPDMS製のカバー部材5を電子ビームリソグラフィーにより作製した。流路3を形成した基材2とカバー部材5をオゾンプラズマで処理し接合した。電気泳動用電極にはAg/AgClを用い、カバー部材5に形成した孔から挿入した。
図6Aは、実施例1で作製したデバイス1の測定用電極4および測定用電極4を配置したサンプル測定流路32付近のSEM写真である。図6Bは、デバイス1にカバー部材5を接着し、電気泳動用電極を挿入した写真である。
図6Aに示すデバイス1の寸法を図1Aの符号を参照して説明する。第1テーパー流路33とサンプル測定流路32の接続部分の幅W1の長さは200nm、サンプル測定流路32の長さL2は8μm、第1テーパー流路33とサンプル投入流路31の接続部分の幅W2は2μm、第1テーパー流路33の長さL1は5μmで、W1=W1a、W2=W2a、L1=L1aであった。また、一対の測定用電極4aおよび4bの隙間Gは0.55nm~1.0nmの間となるように調整した。また、流路3の深さは、50nmであった。
<実施例2>
電子ビームリソグラフィー用のマスクを変えることで、実施例1より流路の幅は小さいが比は同じとなるようにデバイスを作製した。実施例2で作製したデバイスのサイズは、W1=W1a=20nm、W2=W2a=200nm、L1=L1a=500nm、L2=800nmであった。また、一対の測定用電極4aおよび4bの隙間Gは1nm、流路3の深さは20nmであった。
<実施例3>
〔核酸配列読取装置(トンネル電流測定装置)の作製〕
電気泳動用電源6として電池を用い、実施例2で作製したデバイスの電気泳動用電極にリードを介して接続した。測定部7のトンネル電流検出部7aには、電流計として電流/電圧増幅することで微小電流値を電圧として計測し電流値を得る方法を用い、電圧計としてA/Dコンバーターである National Instrumentのデジタルオシロスコープを用いた。また、電流増幅アンプは市販の電流増幅アンプに帰還抵抗を組み込むことで高精度化した。
[トンネル電流測定方法および核酸配列読取方法]
<実施例4>
(1)サンプル液の作製
核酸として配列が既知のλDNA(NIPPON GENE CO.,LTD.,Tokyo,Japan)を用いた。溶媒には水を用い、核酸を溶媒に溶解することでサンプル液を作製した。核酸の濃度は、1マイクロmol/lとした。
(2)(トンネル電流の測定(核酸情報の取得)
サンプル投入流路に上記(1)で作製したサンプル液を投入し、サンプル回収流路に溶媒を投入した。電気泳動用電極61および62に直流電圧600mV,-600mVをそれぞれ印加した。測定用電極4には、100mVの直流電圧を加えた。図7に測定結果を示す。
(3)核酸配列の読取
上記(2)に記載のトンネル電流の波形からコンダクタンスを計算した。時間軸と計算したコンダクタンスから核酸配列を決定したところ、サンプルとして用いたλDNAの配列と同一であることを確認した。
<実施例5、比較例1>
電気泳動用電極61および62に印加する直流電圧を、0.1V(実施例5)および1000V(比較例1)に変更した以外は、実施例4と同様の手順でトンネル電流の測定を行った。図8に測定結果を示す。図8Aに示すように、1000Vの電気泳動用電圧を印加した際には、核酸が測定用電極4の隙間Gを通過する際に発生するピコアンペアレベルのトンネル電流の差異はノイズのため全く識別できなかった。図8Bは、図8Aのトンネル電流値の測定結果のピコアンペアレベル付近を拡大したグラフである。図8Bに示すように、0.1Vの場合には、核酸が測定用電極4の隙間Gを通過した際に発生するピコアンペアレベルのトンネル電流の差異を識別できた。
以上の結果より、電気泳動用の電圧を高くすると、核酸が測定用電極4の隙間Gを通過する際に発生するピコアンペアレベルのトンネル電流の差異はノイズのため識別できないことを確認した。特許文献2に記載のように、基板に形成した流路を核酸の伸長に用いる場合は、流路の幅や印加する電圧は核酸が伸長できる値とすればよい。しかしながら、一般的に流路の幅が大きくなるほど、核酸が流路内を電気泳動により移動するための電圧値が大きくなる。微細加工分野において、基板に微細な流路を形成することは知られている。しかしながら、本出願で開示するデバイスは、流路のサイズおよび配置を工夫することで、基材に形成した流路を用いてトンネル電流により核酸配列を読取れるという顕著な効果を奏する。
[サンプル液の調整による核酸の移動速度について]
<実施例6>
次に第1テーパー流路33を形成した際に、電気泳動による核酸の流れを確認する実験を行った。
(1)デバイスの作製
染色した核酸を光学顕微鏡で観察する関係上、実施例2で作製したデバイスより流路が大きなデバイスを作製した。なお、実施例6では核酸配列を読取る実験ではないことから、測定用電極4を形成しなかった。測定用電極4を形成しなかった以外は、実施例1の手順にしたがってデバイスを作製した。実施例6で作製したデバイスのサイズは、W1=W1a=1μm、W2=W2a=10μm、L1=L1a=20μm、L2=20μmであった。流路3の深さは20nmであった。
(2)サンプル液の調整
核酸にはλDNA(NIPPON GENE CO.,LTD.,Tokyo,Japan)を用いた。購入したλDNAは精製することなくそのまま用いた。YOYO-1(登録商標) Iodide(Thermo Fisher Scientific,Waltham,MA,USA)でλDNAを染色した。
(サンプルa:without PVP)染色したλDNAを、0.1×Tris-Borateethylenediaminetetraaceticacid(TBE)バッファーに溶解した。
(サンプルb:with PVP)染色したλDNAを、0.1w/v% polyvinyl-pyrrolidone(PVP)を含む0.05×TBEバッファーに溶解した。
何れのサンプルも、TBEバッファーのpHは7.8で、λDNAの濃度は0.1μg/mLであった。
(3)核酸電気泳動
作製したデバイスに直流5Vの電圧を印加した。核酸の移動は光学顕微鏡により観察した。図9に測定結果を示す。なお、図9の縦軸のposition(x)は、サンプル測定流路32に相当する最も幅が狭い流路の中間位置である。PVPを含むサンプルbに含まれるλDNAの移動速度は、PVPを含まないサンプルaに含まれるλDNAより速かった。これは、PVPがデバイス1の第1テーパー流路33で発生する電気浸透流(EOF)を抑制したためと考えられる。本出願で開示するデバイス1をトンネル電流測定方法または核酸配列読取方法に用いる場合、核酸の読取速度を向上するためには、PVP等の界面活性剤を添加することが好ましいことが明らかとなった。
[第1テーパー流路33の形状について]
<実施例7>
次に第1テーパー流路33の形状がサンプルの移動速度に与える影響について確認する実験を行った。
(1)デバイスの作製
実施例6に記載のサイズのデバイス(以下、「Device b」と記載する。)のW1およびW1aを以下のとおり変更したデバイスを作製した。W1およびW1a以外のサイズはDevice bと同様である。
Device a:W1=W1a=5μm
Device c:W1=W1a=0.5μm
(2)サンプル液の調整
サンプル(ビーズ)には、40nm polystyrene florescent particles(FluoSpheres(登録商標) Carboxylate-Modified Microspheres yellow-green fluorescent,ThermoFisher Co. Ltd.,Waltham,MA,USA)を用いた。ビーズを、0.1w/v% PVPを含む0.1×TBEバッファーに2×1012個/mLとなるように懸濁した。
(3)電気泳動
作製したデバイスに直流5Vの電圧を印加した。
測定結果を図10に示す。図10中のXはサンプル測定流路32に相当する部分(図1AのL2)を表し、Yは第1テーパー流路33の入口から第2テーパー流路35の出口(図1AのL1+L2+L1a)に相当する部分を表す(以下、Yに相当する部分を「微細流路部分」と記載することがある。)。図10の測定結果から、図11に示す解析を行った。図11(b)は、Device a~cを個々のビーズが通過する時の位置と移動速度とをプロットしたグラフである。図11(c)は、Device a~cを個々のビーズが通過する時の位置と加速度をプロットしたグラフである。図11(d)は図11(b)の拡大図、図11(e)は図11(c)の拡大図である。なお、図11(b)~(e)は概略を示す図であることから、プロットのシンボルは全て●で表されている。
図11の解析結果および明らかとなった点は以下のとおりである。
(1)第1テーパー流路33の形状により、ビーズの移動速度および加速度が異なった。
(2)図11(b)および(d)に示すように、Device a~cの何れのデバイスにおいても、微細流路部分に入る前後のビーズの移動速度は安定していたが、微細流路部分に入った後は移動速度が速くなった。そして、Position0をピークに、微細流路部分の出口に向かって、速度が遅くなった。10個のビーズのトレースデータから計算した速度(Position(x)での速度)は以下のとおり。
Device a:225±63μm/s
Device b:145±23μm/s
Device c:45±27μm/s
一般に、サンプル粒子の速度vは、電気泳動速度vepと流路からの電気浸透流の速度veoの合計によって決定される。それぞれの速度、すなわちvepとveoは、DC電界Eとvの間の比例関係であるため、次の式で与えられる。
v=vep+veo=(μep+μeo)E(1)
Device a~cの全てのデバイスの微細流路部分に安定した電界が形成されていることが示唆され、安定したフロー制御が可能であることがわかった。
(3)図11(c)および(e)に示すデータから、微細流路部分の加速領域(Position 0より左側)の最大加速度は以下のとおり。
Device a:52μm/s2
Device b:486μm/s2
Device c:1264μm/s2
以上の計算結果から明らかなように、W2/W1の値を大きくするほど(第1テーパー流路33のテーパーの角度を大きくするほど)、加速度が大きくなった。加速度が大きくなると微細流路部分が受ける力も大きくなり、核酸等の細長サンプルのエントロピー解離エネルギーに寄与し、細長サンプルを伸長できる。また、加速度が大きくなると測定用電極の隙間Gを通過する単位時間当たりのサンプル数(核酸数)を多くできる。また、単位時間当たりに測定用電極を通過するサンプル数(核酸数)を同じとした場合、W2/W1を小さくするほど電気泳動用電圧の値を小さくできるので、電気泳動用電圧に由来する測定ノイズを更に低減できる。
(4)以上のとおり、サンプル投入流路31からサンプル測定流路32に向けて第1テーパー流路33の幅を狭くする割合を調整することで、サンプルの読取速度の向上および/または電気泳動用電圧に由来する測定ノイズの低減、核酸等の細長サンプルの伸長等の効果を相乗的に奏することを確認した。
本出願で開示するデバイスを用いると、サンプルが測定用電極4を通過する際に発生するトンネル電流を測定する際に、電気泳動用電圧に由来するノイズを低減できる。したがって、分析機器産業における分析装置の開発に有用である。
1…デバイス、2…基材、2a…基板、2b…絶縁層、2c…堆積層、2d…レジスト層、3…流路、31…サンプル投入流路、32…サンプル測定流路、33…第1テーパー流路、34…サンプル回収流路、35…第2テーパー流路、4、4a、4b…測定用電極、
5…カバー部材、6、6a、6b…電気泳動用電源、61…電気泳動用第1電極、62…電気泳動用第2電極、7…測定部、7a…トンネル電流検出部、7b…トンネル電流測定用電源、8…解析部、9…表示部、10…プログラムメモリ、11…制御部、100…トンネル電流測定装置、100a…核酸配列読取装置

Claims (11)

  1. トンネル電流の測定に用いられるデバイスであって、該デバイスは、
    基材と、
    基材に形成された流路と、
    サンプルが通過した時のトンネル電流を測定するための一対の測定用電極と、
    を含み、
    流路は、
    サンプル投入流路と、
    測定用電極が配置されるサンプル測定流路と、
    サンプル投入流路とサンプル測定流路との間に配置され、サンプル投入流路からサンプル測定流路に向けて流路幅が狭くなる第1テーパー流路と、
    サンプル測定流路を通過したサンプルを回収するサンプル回収流路と、
    を含み、
    第1テーパー流路とサンプル測定流路の接続部分の幅が20nm~200nmである
    デバイス。
  2. 第1テーパー流路とサンプル測定流路の接続部分の幅をW1と規定し、第1テーパー流路とサンプル投入流路の接続部分の幅をW2と規定した時に、W2/W1が10~20であり、
    第1テーパー流路とサンプル測定流路の接続部分および第1テーパー流路とサンプル投入流路の接続部分の長さをL1と規定した時に、L1/W2が0.5~5である
    請求項1に記載のデバイス。
  3. サンプル測定流路の長さが、20nm~1000nmである
    請求項1または2に記載のデバイス。
  4. サンプル測定流路とサンプル回収流路との間に配置され、サンプル測定流路からサンプル回収流路に向けて流路幅が広くなる第2テーパー流路を含む
    請求項1~3のいずれか一項に記載のデバイス。
  5. サンプル測定流路と第2テーパー流路の接続部分の幅をW1aと規定し、
    第2テーパー流路とサンプル回収流路の接続部分の幅をW2aと規定し、
    第2テーパー流路とサンプル測定流路の接続部分および第2テーパー流路とサンプル回収流路の接続部分の長さをL1aと規定した時に、
    W1=W1a、W2=W2a、および、L1=L1aの関係を満たす
    請求項1~4のいずれか一項に記載のデバイス。
  6. 請求項1~5のいずれか一項に記載のデバイスと、電気泳動用電源と、測定部と、を含み、
    電気泳動用電源は、電気泳動用電極に10mV~5Vの電圧を印加する
    トンネル電流測定装置。
  7. 請求項6に記載のトンネル電流測定装置と、解析部と、を含み、
    サンプルが核酸であり、
    解析部は、トンネル電流測定装置で取得したトンネル電流の測定結果から核酸配列を特定する
    核酸配列読取装置。
  8. デバイスを用いたトンネル電流測定方法であって、
    デバイスは、
    基材と、
    基材に形成された流路と、
    サンプルが通過した時のトンネル電流を測定するための一対の測定用電極と、
    を含み、
    流路は、
    サンプル投入流路と、
    測定用電極が配置されるサンプル測定流路と、
    サンプル投入流路とサンプル測定流路との間に配置され、サンプル投入流路からサンプル測定流路に向けて流路幅が狭くなる第1テーパー流路と、
    サンプル測定流路を通過したサンプルを回収するサンプル回収流路と、
    を含み、
    第1テーパー流路とサンプル測定流路の接続部分の幅が20nm~200nmであり、
    トンネル電流測定方法は、
    サンプル投入流路およびサンプル回収流路に電圧を印加することで、サンプル投入流路のサンプルをサンプル回収流路に向けて電気泳動するサンプル電気泳動工程と、
    サンプル測定流路に配置された一対の測定用電極の隙間をサンプルが通過する時のトンネル電流を測定する測定工程と
    を含む、トンネル電流測定方法。
  9. サンプル電気泳動工程において、10mV~5Vの電圧が印加される
    請求項8に記載のトンネル電流測定方法。
  10. 第1テーパー流路とサンプル測定流路の接続部分の幅をW1と規定し、第1テーパー流路とサンプル投入流路の接続部分の幅をW2と規定した時に、W2/W1が10~20であり、
    第1テーパー流路とサンプル測定流路の接続部分および第1テーパー流路とサンプル投入流路の接続部分の長さをL1と規定した時に、L1/W2が0.5~5である
    請求項8または9に記載のトンネル電流測定方法。
  11. サンプルが核酸であり、
    請求項8~10のいずれか一項に記載のトンネル電流測定方法の測定工程により得られたトンネル電流の測定結果から、核酸配列を特定する核酸配列読取工程
    を含む、核酸配列読取方法。
JP2021034256A 2021-03-04 2021-03-04 デバイス、トンネル電流測定装置、核酸配列読取装置、トンネル電流測定方法、および、核酸配列読取方法 Pending JP2022134830A (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021034256A JP2022134830A (ja) 2021-03-04 2021-03-04 デバイス、トンネル電流測定装置、核酸配列読取装置、トンネル電流測定方法、および、核酸配列読取方法
US17/686,249 US20220283110A1 (en) 2021-03-04 2022-03-03 Device, tunnel current measuring apparatus, nucleic acid sequence reading apparatus, tunnel current measuring method, and nucleic acid sequence reading method

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021034256A JP2022134830A (ja) 2021-03-04 2021-03-04 デバイス、トンネル電流測定装置、核酸配列読取装置、トンネル電流測定方法、および、核酸配列読取方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2022134830A true JP2022134830A (ja) 2022-09-15

Family

ID=83116998

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2021034256A Pending JP2022134830A (ja) 2021-03-04 2021-03-04 デバイス、トンネル電流測定装置、核酸配列読取装置、トンネル電流測定方法、および、核酸配列読取方法

Country Status (2)

Country Link
US (1) US20220283110A1 (ja)
JP (1) JP2022134830A (ja)

Also Published As

Publication number Publication date
US20220283110A1 (en) 2022-09-08

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Stern et al. Semiconducting nanowire field-effect transistor biomolecular sensors
AU2015200179B2 (en) Two-chamber dual-pore device
US20100188109A1 (en) Electrode systems and their use in the characterization of molecules
Gao et al. Method of creating a nanopore-terminated probe for single-molecule enantiomer discrimination
US7857959B2 (en) Methods of fabricating nanowires and electrodes having nanogaps
US7964347B2 (en) Labels for electronic detection of individual molecules and methods for their detection
US9128078B2 (en) Manufacturable sub-3 nanometer palladium gap devices for fixed electrode tunneling recognition
US20130256139A1 (en) Functionalized graphene or graphene oxide nanopore for bio-molecular sensing and dna sequencing
KR20160086335A (ko) 나노-갭 전극 쌍 및 이를 제조하는 방법
KR100991011B1 (ko) 금속 나노입자가 고정화된 탄소나노튜브를 포함하는 바이오센서 및 그 제조방법
JP2009521332A (ja) ナノギャップおよびナノギャップセンサの製造方法
KR20150041146A (ko) 시료의 분석 방법
JP2012110258A (ja) 塩基配列の決定方法及び塩基配列の決定方法に用いる測定用デバイス
JP2008064724A (ja) カーボンナノチューブ電極及び当該電極を用いたセンサー
CN108368466B (zh) 生物体分子测定装置
CN106929565A (zh) 基于纳米结构的蛋白质单分子电子器件及其制备和应用
WO2019086305A1 (en) Electrochemical sequencing of dna using an edge electrode
Hu et al. Solid‐State Quad‐Nanopore Array for High‐Resolution Single‐Molecule Analysis and Discrimination
CN104212711A (zh) 电子传感器及基于电子传感器的基因探测方法
Fritzsche et al. Making electrical contact to single molecules
JP2022134830A (ja) デバイス、トンネル電流測定装置、核酸配列読取装置、トンネル電流測定方法、および、核酸配列読取方法
Yun et al. Nanowire growth for sensor arrays
CN113390940B (zh) 一种集成纳米孔的分子隧穿检测装置
US7579149B2 (en) Method and apparatus to separate molecules according to their mobilities
WO2022264243A1 (ja) 生体分子分析方法、生体分子分析試薬及び生体分子分析デバイス

Legal Events

Date Code Title Description
A80 Written request to apply exceptions to lack of novelty of invention

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A80

Effective date: 20210304

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20240208