JP2012107348A - ポリエステルモノフィラメントおよび工業用織物 - Google Patents

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Abstract

【課題】従来よりも耐摩耗性と表面平滑性に優れるとともに、十分な機械的特性と安定した製糸性を兼ね備え、抄紙ドライヤーカンバスなどの工業用織物の構成素材として好適なポリエステルモノフィラメントおよびこれを用いた工業用織物の提供。
【解決手段】ポリエステル系樹脂90重量%〜99重量%と炭酸カルシウム10重量%〜1重量%とからなる樹脂組成物を溶融紡糸したポリエステルモノフィラメントであって、前記炭酸カルシウムは、その粒子分布において、粒子径0.5μm以下のものが粒子全体の10%以下含まれており、且つヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液分散法により、炭酸カルシウムを直径8cmφの400メッシュ・ステンレススクリーンで濾過した際に、ステンレススクリーンを通過しなかった炭酸カルシウムの濾過残渣量が50ppm以下であることを特徴とするポリエステルモノフィラメント。
【選択図】なし

Description

本発明は、耐摩耗性と表面平滑性に優れるとともに、十分な機械的特性と安定した製糸性を兼ね備え、抄紙ドライヤーカンバスなどの工業用織物の構成素材として好適なポリエステルモノフィラメントおよびこれを用いた工業用織物に関するものである。
ポリエステル、ポリフェニレンサルファイドおよびポリアミドなどの熱可塑性樹脂からなるモノフィラメントは、抗張力や耐熱性などに優れているため、従来から各種工業用部品、衣料用および工業用繊維材料、抄紙機用織物、サーマルボンド法不織布熱接着工程用ネットコンベア用織物、熱処理炉内搬送ベルト用織物、フィルター用織物などの各種織物のほかに、各種ブラシ、毛筆、印刷スクリーン用紗、釣り糸、ゴム補強用繊維材料などにも使用されてきた。
中でも、製紙業界における抄紙ワイヤーや抄紙ドライヤーカンバスといった抄紙用織物の構成素材としては、ポリエチレンテレフタレートを代表素材とするポリエステルモノフィラメントが広く使用されている。
しかし、近年の製紙業界では、紙の経日劣化の改善策として、従来の酸性紙から中性紙への転換が盛んに行なわれるようになり、この転換に伴って填料と呼ばれる紙への充填材が従来のタルクよりも硬い炭酸カルシウムに変更されたため、抄紙ワイヤーの摩耗が早くなって寿命が短くなるといった問題を生じていた。
また、製紙工程のドライヤーパートで使用される抄紙ドライヤーカンバスは、填料を含有する紙と高速接触するために摩耗が著しく、特に無機顔料(乾粉末炭酸カルシウムやカオリン等)を含有する塗料を紙表面にコーティングした後の乾燥工程で使用されるドライヤーカンバスにおいては、無機顔料の影響も加わってさらに著しく摩耗することから、これら工業用織物の構成素材であるポリエステルモノフィラメントには優れた耐摩耗性が要求されていた。
そこで、これらの耐摩耗性改善策として、ポリエチレンテレフタレートに熱可塑性エラストマである熱可塑性ポリウレタンを含有させたモノフィラメントおよび抄紙用織物(例えば、特許文献1参照)が提案されているが、熱可塑性ポリウレタンの融点はポリエチレンテレフタレートの融点よりも低く、ポリエチレンテレフタレートの融点以上で溶融紡糸しなければならないために、熱可塑性ポリウレタンのウレタン結合とエーテル鎖が熱分解して得られるモノフィラメントは十分な引張強度を持たず、抄紙用織物に使用しても、耐久性に欠けるものしか得られなかった。
また、20nm〜100nmの厚みと20:1以下のアスペクト比を有する無機酸化物、水酸化物、炭酸塩、重炭酸塩、窒化物、炭化物などの非層状小板形粒子を含有した耐摩耗性ポリエステル繊維(例えば、特許文献2参照)や、ポリエステル繊維に平均粒子径が100nm以下のケイ素、アルミニウムおよび/またはチタンの酸化物を配合することにより工業用布の耐摩耗性を向上する技術(例えば、特許文献3参照)が提案されているが、これらのポリエステル繊維は、工業用織物として十分な引張強度を有するものの、添加する無機粒子径が小さいために十分な耐摩耗性が得られず、特に耐摩耗性が要求される抄紙用織物には実用的ではなかった。
さらに、耐摩耗性向上を目的に、粒子径分布において、一次粒子径1.0μm以上の粒子の存在割合が全粒子中の5%以下である酸化チタンを0.3〜0.8重量%含有したポリエステルモノフィラメント(例えば、特許文献4参照)が提案されているが、このポリエステルモノフィラメントは含有させる無機粒子量が少ないため、工業用織物としての十分な耐摩耗性を有するものではなかった。
さらにまた、耐摩耗性に優れた繊維を製造し得る手段として、少なくとも一つのスルホン酸基またはスルホン酸金属塩基を持つ化合物を共重合してなる芳香族ポリエステルに酸化ジルコニウム粒子を添加したポリエステル組成物からなる繊維(例えば、特許文献5参照)が提案されているが、この組成物から得られたモノフィラメントは、耐摩耗性の向上がある程度は認められるものの、その効果は小さく、また添加したジルコニウム粒子が凝集するために線径斑が大きくなり、工業用織物として必要な表面平滑性を得ることができなかった。
特開平2−80688号公報 特開2007−23474号公報 特開2006−63511号公報 特開2009−228175号公報 特開平5−171014号公報
本発明は、以上のような状況を鑑み、従来技術における問題点の解決を課題として検討した結果達成されたものである。つまり、本発明の目的は、従来よりも耐摩耗性と表面平滑性に優れるとともに、十分な機械的特性と安定した製糸性を兼ね備え、抄紙ドライヤーカンバスなどの工業用織物の構成素材として好適なポリエステルモノフィラメントおよびこれを用いた工業用織物を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明によれば、ポリエステル系樹脂90重量%〜99重量%と炭酸カルシウム10重量%〜1重量%とからなる樹脂組成物を溶融紡糸したポリエステルモノフィラメントであって、前記炭酸カルシウムは、その粒子分布において、粒子径0.5μm以下のものが粒子全体の10%以下含まれており、且つヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液分散法により、炭酸カルシウムを直径8cmφの400メッシュ・ステンレススクリーンで濾過した際に、ステンレススクリーンを通過しなかった炭酸カルシウムの濾過残渣量が50ppm以下であることを特徴とするポリエステルモノフィラメントが提供される。
なお、本発明のポリエステルモノフィラメントにおいては、
前記ポリエステル系樹脂が、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、およびポリブチレンテレフタレートから選ばれた少なくとも1種を主成分とすること、
JIS2008−L1095−9.10.2B法に準じて測定した屈曲摩耗破断回数が15000回以上、且つJIS−L1013に準じて測定した引張強度が3.0cN/dtex以上であること
がいずれも好ましい条件として挙げられ、これらの条件を満たした場合はさらに優れた効果を発揮することができる。
また、本発明の工業用織物は上記ポリエステルモノフィラメントを経糸および/または緯糸の少なくとも一部に使用したことを特徴とし、特に抄紙用織物として使用した場合には、耐摩耗性および表面平滑性に優れた工業用織物が得られる。
本発明によれば、以下に説明する通り、従来技術よりも耐摩耗性と表面平滑性に優れるとともに、十分な機械的特性と安定した製糸性を兼ね備え、抄紙ドライヤーカンバスなどの工業用織物の構成素材として好適なポリエステルモノフィラメントおよび工業用織物を得ることができる。
以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明のポリエステルモノフィラメントは、ポリエステル系樹脂90重量%〜99重量%と炭酸カルシウム10重量%〜1重量%とからなる樹脂組成物を溶融紡糸したポリエステルモノフィラメントであって、前記炭酸カルシウは、その粒子分布において、粒子径0.5μm以下のものが粒子全体の10%以下含まれており、且つヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液分散法により、炭酸カルシウムを直径8cmの400メッシュ・ステンレススクリーンで濾過した際に、スクリーンを通過しなかった炭酸カルシウムの濾過残渣量が50ppm以下であることを特徴とする。
まず、本発明のポリエステルモノフィラメントを構成するポリエステル系樹脂とは、ポリエチレンテレフタレート(以下、PETという)、ポリプロピレンテレフタレートおよびポリブチレンテレフタレート等のジカルボン酸またはそのエステル形成誘導体およびジオールまたはそのエステル形成誘導体から合成されるポリエステル系化合物のことである。これらの内でも、ジカルボン酸成分の90モル%以上がテレフタル酸からなり、またグリコール成分の90モル%以上がエチレングリコールからなるPETの使用が好適である。
PETは、上記のテレフタル酸成分の一部を、例えば2,6−ナフタレンジカルボン酸、イソフタル酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、スルホン酸金属塩置換イソフタル酸等で置き換えたものであってもよい。また、上記のエチレングリコール成分の一部を、例えばプロピレングリコール、テトラメチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、ポリアルキレングリコール等で置き換えたものであってもよい。さらに、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、トリメリット酸、トリメシン酸、硼酸等の鎖分岐剤を本発明の目的を阻害しない範囲で併用することもできる。
一方、本発明のポリエステルモノフィラメントに含まれる炭酸カルシウムは、その粒子分布において、粒子径0.5μm以下のものが粒子全体の10%以下含まれていることが必要であり、その比率が10%を上回ると、0.5μm以下の粒子が多過ぎることに起因して、ポリエステル系樹脂と炭酸カルシウムとをエクストルダーなどの溶融紡糸機にて溶融混錬して押し出す際に、炭酸カルシウムが溶融ポリエステル系樹脂中に均一分散せずに凝集してしまい、この凝集した炭酸カルシウム粒子が溶融紡糸機先端に設けられたスピンパック内の濾過フィルターに捕捉されて短時間でのフィルターの目詰まりが発生し、安定した紡糸性が得られにくくなる。
また、本発明のポリエステルモノフィラメントに含まれる炭酸カルシウムは、後に説明するヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液分散法により、炭酸カルシウムを直径8cmφの400メッシュ・ステンレススクリーンで濾過した際に、ステンレススクリーンを通過しなかった炭酸カルシウムの濾過残渣量が50ppm以下であることが必要である。
ここで、濾過残渣量が50ppmを上回ると、粗大粒子が多量に含まれることとなるため、ポリエステルモノフィラメントの表面平滑性が損なわれるばかりか、炭酸カルシウムの粗大粒子がポリエステルモノフィラメントの中で欠点となって、ポリエステルモノフィラメントの機械的特性の低下を招きやすく、さらには、ポリエステルモノフィラメントの製造工程において、ポリエステルモノフィラメントの平均直径に比べて直径が大きいコブ糸と呼ばれる繊維軸方向に極短い長さの直径増大変動異常部が多く発生しやすくなる。
なお、本発明における濾過残渣量は、以下に記載したヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液分散法にて測定したものである。
[1]直径8cmφの400メッシュ・ステンレススクリーン(以下、ステンレススクリーンという)をひだ折りにし、メタノールで十分に洗浄した後、130℃の熱風乾燥機中で5分間乾燥する。そして、乾燥したステンレススクリーンをデシケーター内で放冷し、恒量する。
[2]精秤した0.50gのヘキサメタリン酸ナトリウムを1000mlのメスフラスコに入れた後、蒸留水を標線まで加え、ヘキサメタリン酸ナトリウムを溶かして0.05w/v%のヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液を調製する。
[3]300mlビーカーに炭酸カルシウムを約50g入れ、これに0.05w/v%のヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液を200ml加え、ポリスマンで十分に撹拌して炭酸カルシウムの固まりをほぐす。
[4][3]で調製した炭酸カルシウムの入ったヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液をポリスマンで撹拌しながら、超音波分散装置(HONDA URTRASONIC MULTI CREANER W−115、出力 300W、周波数 28kHz)で5分間分散させて測定試料を調整する。
[5][1]で恒量した既知重量のステンレススクリーンをメタノールで十分に濡らした後、[4]で調製した測定試料を濾過する。なお、この作業は、[4]の測定試料の調製後から3分以内に実施する。
[6]ビーカー、ステンレススクリーン、ポリスマンおよび残渣を洗浄ビンに入れたメタノールで十分に洗浄する。
[7]ステンレススクリーンを130℃の熱風乾燥機で5分間乾燥した後、デシケーター内で放冷し、秤量した。そして、下記(I)式により濾過残渣量を求めた。
濾過残渣量(ppm)=(Wd−Wf)/Ws×10 ・・・(I)
なおここで、Wsは試料の採取量(g)、Wdは濾過後のステンレススクリーンの重量(g)、Wfは濾過前のステンレスクリーンの重量(g)を示す。
[8]前記[1]〜[7]の操作を2回行い、その平均値を濾過残渣量とした。
また、本発明のポリエステルモノフィラメントは、ポリエステル系樹脂90重量%〜99重量%と炭酸カルシウム10重量%〜1重量%とからなる樹脂組成物を溶融紡糸してなることを特徴とするが、ポリエステルモノフィラメント中に炭酸カルシウムが含有されることにより、炭酸カルシウムがポリエステルモノフィラメントの表面に現れるため、ポリエステルモノフィラメントが他の接触物に触れても、ポリエステルモノフィラメントの表面に現れた炭酸カルシウムと接触物とが先に接触して、ポリエステル系樹脂が保護される形となり、これが耐摩耗性の発現に繋がるのである。
そして、炭酸カルシウムの含有量が上記範囲を下回ると、耐摩耗性が十分に発揮され難くなり、逆に上記範囲を上回ると、ポリエステルモノフィラメントの引張強度が低下しやすくなり、ポリエステルモノフィラメントを製糸する際に延伸切れが発生するなどの支障をきたすばかりか、ポリエステル系樹脂と炭酸カルシウムをエクストルダーなどの溶融紡糸機で溶融混練して紡糸口金から押し出す際に吐出安定性が得られにくくなり、工業用織物の構成素材としてポリエステルモノフィラメントに要求される長さ方向の直径安定精度(以下、線径という)が失われやすくなるため好ましくない。
それ故、本発明においては、炭酸カルシウムの含有量は、さらには2〜8重量%が好ましく、耐摩耗性の向上と機械的特性とのバランスがより一層良くなる。
なお、本発明のポリエステルモノフィラメントは、線経変動率が3.0%以下の場合に、工業用織物の構成素材として使用すると、極めて表面平滑性に優れた工業用織物を得ることができる。
さらに、紙の填料として炭酸カルシウムを使用する場合は、抄紙工程のドライヤーパートで使用する抄紙ドライヤーカンバスは、一層厳しい摩耗条件下に晒されるため、本発明のポリエステルモノフィラメントは、JIS2008−L1095−9.10.2B法に準じて測定した屈曲摩耗破断回数が15000回以上であることが好ましく、この条件を満たすと、工業用織物に抜群の耐摩耗性向上効果をもたらす。
また、本発明のポリエステルモノフィラメントは、上記の屈曲摩耗特性と合わせて、引張強度が3.0cN/dtex以上の場合に、工業用織物に求められる必要最低限の強力を維持し、工業用織物への展開がさらに期待できる。
さらに、本発明のポリエステルモノフィラメントは、1本からなる連続糸であり、繊維軸方向に垂直な断面形状は、丸、楕円、3角、T、Y、H、+、5葉、6葉、7葉、8葉、等の多様形状、正方形、長方形、菱形、ドッグボーン状および繭型等いかなる断面形状を有するものでもよい。
さらにまた、本発明のポリエステルモノフィラメントの直径は、その使い方に合わせて適宜選択することができるが、通常は0.05〜3mm程度(異形断面の場合は、丸断面面積に換算して直径を算出する)の範囲のものが好適に使用される。
また、本発明のポリエステルモノフィラメントには、その特性を阻害しない範囲でカルボジイミド化合物を含有させることもでき、この場合、耐加水分解性能の向上が顕著となり、高温高湿度条件下で使用した場合でも、長期に亘る製品寿命が実現できるなど、より好ましい効果の発現に繋がる。
ここで、ポリエステル中に含有させるカルボジイミド化合物としては、1分子中に1個または2個以上のカルボジイミド基を有する化合物が好適に利用できるが、例えば、N,N´−ジ−o−トリイルカルボジイミド、N,N´−ジフェニルカルボジイミド、N,N´−ジオクチルデシルカルボジイミド、N,N´−ジ−2,6−ジメチルフェニルカルボジイミド、N−トリイル−N´−シクロヘキシルカルボジイミド、N,N´−ジ−2,6−ジイソプロピルフェニルカルボジイミド、N,N´−ジ−2,6−ジ−tert.−ブチルフェニルカルボジイミド、N−トリイル−N´−フェニルカルボジイミド、N,N´−ジ−p−ニトロフェニルカルボジイミド、N,N´−ジ−p−アミノフェニルカルボジイミド、N,N´−ジ−p−ヒドロキシフェニルカルボジイミド、N,N´−ジ−シクロヘキシルカルボジイミド、N,N´−ジ−p−トリイルカルボジイミド等が挙げられる。
本発明では、これらのカルボジイミド化合物の中から1種または2種以上の化合物を任意に選択してポリエステルモノフィラメントに含有させればよいが、ポリエステルに添加後の安定性から、芳香族骨格を有する化合物が有利な傾向にあり、中でもN,N´−ジ−2,6−ジイソプロピルフェニルカルボジイミド、N,N´−ジ−2,6−ジ−tert.−ブチルフェニルカルボジイミド、N,N´−ジ−2,6−ジメチルフェニルカルボジイミド、N,N´−ジ−o−トリイルカルボジイミド等が有利な傾向にあり、その中でも特にN,N´−ジ−2,6−ジイソプロピルフェニルカルボジイミド(以下、TICという)が好適であり、例えば市販品である Rhein−Chemie社製の“STABAXOL”(登録商標)Iまたは Raschig AG社製の“Stabilizer”(登録商標)7000などを購入して使用することができる。
また、添加するカルボジイミ度化合物の量としては、0.1〜2.0重量%の範囲が好ましく、0.7〜1.5重量%の範囲の場合、高い耐加水分解性と優れた強度バランスを有するポリエステルモノフィラメントの取得が可能になるなど、より好ましい効果の発現が期待できる。
次に、本発明のポリエステルモノフィラメントは、既に公知の溶融紡糸方法にて製造が可能であるが、例えば、1軸もしくは2軸エクストルダー型溶融紡糸機を使用した場合は、乾燥したポリエステル系樹脂ペレットと炭酸カルシウムとの混合物、あるいはポリエステル系樹脂ペレットと炭酸カルシウムを高濃度に含有させたポリエステルマスターバッチを供給し、ポリエステル系樹脂の融点以上の温度で溶融混練した後、計量ギアポンプを介して、溶融紡糸機の先端に設けた紡糸口金から押し出し、冷却・延伸・熱セットを施して巻き取る方法が挙げられる。
かくして得られる本発明のポリエステルモノフィラメントは、従来よりも耐摩耗性と表面平滑性に優れるとともに、十分な機械的特性と安定した製糸性を兼ね備え、抄紙ドライヤーカンバスなどの工業用織物の構成素材として極めて好適である。
以下、本発明のポリエステルモノフィラメントに関しさらに詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に何ら限定されるものではない。
また、各種特性評価は次に説明する方法に従って行った。
(1)濾過残渣測定方法
[1]直径8cmφの400メッシュ・ステンレススクリーン(以下、ステンレススクリーンという)をひだ折りにし、メタノールで十分に洗浄した後、130℃の熱風乾燥機中で5分間乾燥する。そして、乾燥したステンレススクリーンをデシケーター内で放冷し、恒量する。
[2]精秤した0.50gのヘキサメタリン酸ナトリウムを1000mlのメスフラスコに入れた後、蒸留水を標線まで加え、ヘキサメタリン酸ナトリウムを溶かして0.05w/v%のヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液を調製する。
[3]300mlビーカーに炭酸カルシウムを約50g入れ、これに0.05w/v%のヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液を200ml加え、ポリスマンで十分に撹拌して炭酸カルシウムの固まりをほぐす。
[4][3]で調製した炭酸カルシウムの入ったヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液をポリスマンで撹拌しながら、超音波分散装置(HONDA URTRASONIC MULTI CREANER W−115、出力 300W、周波数 28kHz)で5分間分散させて測定試料を調整する。
[5][1]で恒量した既知重量のステンレススクリーンをメタノールで十分に濡らした後、[4]で調製した測定試料を濾過する。なお、この作業は、[4]の測定試料の調製後から3分以内に実施する。
[6]ビーカー、ステンレススクリーン、ポリスマンおよび残渣を洗浄ビンに入れたメタノールで十分に洗浄する。
[7]ステンレススクリーンを130℃の熱風乾燥機で5分間乾燥した後、デシケーター内で放冷し、秤量した。そして、下記(I)式により濾過残渣量を求めた。
濾過残渣量(ppm)=(Wd−Wf)/Ws×10 ・・・(I)
なおここで、Wsは試料の採取量(g)、Wdは濾過後のステンレススクリーンの重量(g)、Wfは濾過前のステンレスクリーンの重量(g)を示す。
[8]前記[1]〜[7]の操作を2回行い、その平均値を濾過残渣量とした。
(2)屈曲摩耗特性試験
JIS2008−L1095−9.10.2B法に準じた屈曲摩耗特性試験機によって測定した。すなわち、固定された直径1.0mmの摩擦子(硬質鋼線(SWP−A))の上に接触させたポリエステルモノフィラメントを該ポリエステルモノフィラメントが摩擦子の左右各55°の角度で屈曲するように設けられた2個のフリーローラー(2個のローラー間の距離100mm)の下に掛け、さらに別の1個のフリーローラーの上を介して、ポリエステルモノフィラメントの一端に0.196cN/dtexの荷重をかけてセットし、速度120往復/分かつ往復ストローク25mmでポリエステルモノフィラメントを摩擦子に往復接触させ、ポリエステルモノフィラメントが破断するまでの回数を測定した。
(3)ポリエステルモノフィラメントの引張強力および引張強度
JIS−L1013に記載の方法に準拠して、引張試験器((株)オリエンテック製テンシロン/UTM−III−100)を使用して測定し、試料が切断したときの強力を求め、その強力を繊度で割り返して強度(cN/dtex)を算出した。
(4)線径変動率
アンリツ製レーザー外径測定機を使用して、15m/分で走行するポリエステルモノフィラメントの外径を長さ方向に測定間隔0.1秒/回で1024回(箇所)測定し、その測定値をキーエンス製データ処理機NR−250&PCを使用して、平均値および標準偏差(σ)を計算し、JIS−Z8101−1で定義される変動係数[標準偏差(σ)/平均値×100]を線径変動率として表した。
(5)製糸性
24時間の連続紡糸を行い、以下の基準で判定した。
A.原料の噛み込み性
○:噛み込みは良好であった、
×:噛み込みが不良で紡糸できない状態があった。
B.フィルターの目詰まりおよび吐出状態
○:目詰まりはなく、また吐出状態も安定していた、
×:目詰まりが生じ、吐出状態も不安定であった。
C.糸切れ
○:製糸中に糸切れが全くなかった、
×:製糸中に糸切れが頻発した。
D.コブ糸の発生回数
○:10回/トン未満、
×:10回/トン以上。
なお、コブ糸の発生回数は、押出されたポリマーの総重量(kg)/1000kg×コブ糸発生回数で表した。
〔実施例1〕
PET樹脂(東レ社製T755M、固有粘度1.03):60重量%と炭酸カルシウム(丸尾カルシウム社製ナノックス25A、粒子径0.5μm以下の比率:6.8%、濾過残渣量:9.72ppm):40重量%の混合物を2軸溶融押し出し機に供給し、混練温度:275℃、L/D:30、スクリュー回転数:300rpmの条件で溶融混練を行い、炭酸カルシウム含有のPETマスターバッチを作製した。
そして、PET樹脂:PETマスターバッチが95:5の重量比となるようにエクストルダー型溶融紡糸機に供給し、紡糸温度280℃で溶融混練した後、紡糸口金(口金孔径:1.5mm)から溶融ポリマーを押し出し、直ちに70℃の温水浴中で冷却固化させた未延伸糸を得た。
次に、この未延伸糸を常法にしたがい合計5.5倍に延伸し、さらに熱セットを行なって直径0.40mmの円形断面ポリエステルモノフィラメントを得た。得られたポリエステルモノフィラメントの引張強度、耐摩耗性、線径変動率および製糸性を表1に示す。
〔実施例2〜5〕
炭酸カルシウムの含有量と粒子径0.5μm以下の比率、および濾過残渣量を表1に示すように変更したこと以外は、実施例1と同様の方法で直径0.40mmのポリエステルモノフィラメントを得た。
〔実施例6〕
PET樹脂:94重量%、炭酸カルシウム:5重量%以外にモノカルボジイミド(MCD)化合物を1重量%添加したこと以外は、実施例1と同様の方法で直径0.40mmのポリエステルモノフィラメントを得た。
〔比較例1〜4〕
炭酸カルシウムの含有量と粒子径0.5μm以下の比率、および濾過残渣量を表1に示すように変更したこと以外は、実施例1と同様の方法で直径0.40mmのポリエステルモノフィラメントを得た。
Figure 2012107348
表1から明らかなように、本発明のポリエステルモノフィラメント(実施例1〜6)は、優れた耐摩耗性と十分な機械的特性を兼ね備え、さらには優れた線径精度と安定した製糸性が得られることから、各種工業用織物、特に抄紙用ドライヤーカンバスといった抄紙用織物の構成素材として好適である。
これに対して、本発明の条件を満たさないポリエステルモノフィラメント(比較例1〜4)は、耐摩耗性や機械的特性だけでなく線径精度も低く、各種工業用織物、特に抄紙用ドライヤーカンバスといった抄紙用織物の構成素材としては十分なものとは言えなかった。
以上説明したように、本発明のポリエステルモノフィラメントは、従来よりも耐摩耗性と表面平滑性に優れるとともに、十分な機械的特性と安定した製糸性を兼ね備えていることから、抄紙ドライヤーカンバスなどの工業用織物の構成素材として極めて好適である。

Claims (5)

  1. ポリエステル系樹脂90重量%〜99重量%と炭酸カルシウム10重量%〜1重量%とからなる樹脂組成物を溶融紡糸したポリエステルモノフィラメントであって、前記炭酸カルシウムは、その粒子分布において、粒子径0.5μm以下のものが粒子全体の10%以下含まれており、且つヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液分散法により、炭酸カルシウムを直径8cmφの400メッシュ・ステンレススクリーンで濾過した際に、ステンレススクリーンを通過しなかった炭酸カルシウムの濾過残渣量が50ppm以下であることを特徴とするポリエステルモノフィラメント。
  2. 前記ポリエステル系樹脂がポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、およびポリブチレンテレフタレートから選ばれた少なくとも1種を主成分とすることを特徴とする請求項1に記載のポリエステルモノフィラメント。
  3. JIS2008−L1095−9.10.2B法に準じて測定した屈曲摩耗破断回数が15000回以上、且つJIS−L1013に準じて測定した引張強度が3.0cN/dtex以上であることを特徴とする請求項1または2に記載のポリエステルモノフィラメント。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリエステルモノフィラメントを経糸および/または緯糸の少なくとも一部に使用したことを特徴とする工業用織物。
  5. 抄紙用織物であることを特徴とする請求項4に記載の工業用織物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN111118666A (zh) * 2020-01-07 2020-05-08 常宁市科博织造有限公司 一种含锗减压抗疲劳纤维及其制备方法

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