JP2012107162A - 表面保護フィルム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】スチレン系熱可塑性エラストマー、環状オレフィン共重合体及びオレフィン系エラストマーを含む重合体の混合物から形成される粘着剤層を用いて形成することが表面保護フィルムとして有用である。
【選択図】なし
Description
本発明は斯かる知見に基づき完成されたものである。
また、スチレン/イソブチレンブロック共重合体の硬度としては、ショア硬度Aとして20〜50、好ましくは25〜45、より好ましくは25〜40の範囲である。
スチレン系熱可塑性エラストマーの含有割合は、70重量%以上、95重量%以下であることが好ましい。スチレン系熱可塑性エラストマーが70重量%以下では表面保護フィルムに必要な粘着強度が得られず、95重量%以上では粘着層が粘着昂進を生じるといった問題が発生する。
また、環状オレフィン共重合体の割合は、5重量%以上、30重量%以下であることが好ましい。環状オレフィン共重合体の含有割合が5重量%以下であれば粘着層は粘着昂進を生じ、30重量%以上であれば表面保護フィルムに必要な粘着強度が得られない。
基材層を形成する樹脂としては、ポリプロピレン系樹脂が挙げられ、これにフィルムの剛性をコントロールするためにポリエチレン系樹脂を混ぜても良い。
ポリプロピレン系樹脂としては、フィルムの剛性を増加させ、良好なハンドリング性を付与することができるという観点から、プロピレン単独重合体(ホモPP)が好ましい。ポリプロピレン系樹脂としては、アイソタクチックインデックス(以下、II値と称す。)が、95%以上が好ましく、98%以上がさらに好ましい。
また、ポリプロピレン系樹脂においては、より高い剛性が得ることができるという観点から、核剤(結晶化核剤)を添加することが好ましい。核剤としては、前記粘着層で挙げられたものを用いることができる。
ポリプロピレン系樹脂のMFRは、JIS K7210に準じて測定でき、温度が230℃、荷重が21.18Nの測定条件で、0.5〜20g/10分であることが好ましく、1.0〜15g/10分であることがより好ましい。ポリプロピレン系樹脂のMFRが前記範囲にあることで、押出成形に適しているため好ましい。
これらの中で、メタロセン系触媒を用いて重合した密度0.88〜0.92g/cm3の分岐状低密度ポリエチレンを用いることが好ましい。または、密度が0.850〜0.920g/cm3、好ましくは0.855〜0.910g/cm3であり、MFR190が0.1〜30g/10分のエチレンと炭素数3〜10のα−オレフィンとの共重合体を用いるのが好ましい。
前記分岐状低密度ポリエチレンとしては、例えば日本ポリエチレン(株)の(カーネル)、日本ポリエチレン(株)の(ハーモレックス)として入手することが可能である。
また、前記エチレンとα−オレフィンとの共重合体は、例えば三井化学(株)の(タフマー)として入手することが可能である。
更に、樹脂の改質を目的として、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、エラストマー等も添加することができる。
エチレン系樹脂としては、例えば低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン・1−ブテン共重合体、エチレン・1−ヘキセン共重合体、エチレン・1−オクテン共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体またはそのアルキルエステル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体などが挙げられ、好ましくはエチレン−(メタ)アクリル酸共重合体またはそのアルキルエステル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体である。
具体的にエチレン−アクリル酸共重合体またはそのアルキルエステル共重合体としては、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸プロピル共重合体、エチレン−アクリル酸イソプロピル共重合体、エチレン−アクリル酸−n−ブチル共重合体、エチレン−アクリル酸シクロヘキシル共重合体を挙げることができる。この中で特に好ましいものとして、エチレン−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体を挙げることができる。これら共重合体のMFRは、0.1〜20g/10分、好ましくは0.3〜10g/10分であり、溶融張力は2.0〜25g、好ましくは3〜20gである。
エチレン−メタクリル酸共重合体またはそのアルキルエステル共重合体としては、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、エチレン−メタクリル酸エチル共重合体、エチレン−メタクリル酸プロピル共重合体、エチレン−メタクリル酸イソプロピル共重合体、エチレン−メタクリル酸−n−ブチル共重合体、エチレン−メタクリル酸シクロヘキシル共重合体を挙げることができる。この中で特に好ましいものとして、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、エチレン−メタクリル酸エチル共重合体を挙げることができる。これら共重合体のMFRは、0.1〜20g/10分、好ましくは0.3〜10g/10分であり、溶融張力は2.0〜25g、好ましくは3〜20gである。
ここで、エチレン−酢酸ビニル共重合体における酢酸ビニル含有割合とは、樹脂のNMRを測定し、NMRのチャートから算出できるエチレンを特定できるピークと、酢酸ビニルを特定できるピークとの比率から算出される各繰り返し単位のモル比率から、その分子量を乗じることにより求められる。
表面層を形成する樹脂のメルトフローレート(MFR)は、190℃、21.18N荷重の条件で、0.5〜30g/10分であることが好ましい。この範囲のMFRに設定することによって、表面層を成形する際に適している点で好ましい。
前記樹脂以外にも、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、軟化剤等を本願発明の効果を損なわない程度に配合し、表面層を形成することが可能である。
また、各層用樹脂を一旦ペレットとして取得した後、上記の様に押出成形してもよい。
本発明の表面保護フィルムは、全体の厚さが20〜80μmであることが好ましい。
表面保護フィルムの各層の厚さの比率としては、粘着層の厚さを1とすると、粘着層及び基材層の2層構成の場合は、粘着層:基材層の厚さ=1:1〜19が好ましく、表面層、基材層及び粘着層の3層構成の場合は、粘着層の厚さ:基材層の厚さ:表面層の厚さ=1:0.125〜38:0.05〜20が好ましい。
表面保護フィルムの各層の厚さは、粘着層及び基材層の2層構成の場合は、粘着層の厚さ/基材層の厚さ=4〜40μm/40〜76μmであることが好ましく、表面層、基材層及び粘着層の3層構成の場合は、表面層の厚さ/基材層の厚さ/粘着層の厚さ=2〜40μm/5〜76μm/2〜40μmであることが好ましい。
各層の厚さがこの範囲であれば、良好な粘着性と剥離性を有しつつ、優れた製膜性を示す。
実施例及び比較例において製造した表面層、基材層及び粘着層の各層において使用した樹脂を以下の表1〜3に示す。融点(Tm)、ガラス転移温度(Tg)は、JIS K7121に準拠して測定し、また、MFRは、JIS K7121に準拠して測定した。なお、MFRはエチレン系共重合体は190℃・21.18N荷重、ポリプロピレン系樹脂は230℃・21.18N荷重、環状オレフィン共重合体は260℃・21.18N荷重の条件下にて測定した。
表面層はエチレン−メタクリル酸共重合体を100重量%、基材層はポリプロピレン1を100重量%、粘着層はスチレン系熱可塑性エラストマー1:環状オレフィン共重合体1=95重量%:5重量%の割合となるように、ドライブレンドにより、表面層用樹脂、基材層用樹脂及び粘着層用樹脂をそれぞれ調製した。調製した表面層用樹脂、基材層用樹脂及び粘着層用樹脂の各樹脂を、同順に、バレル温度160〜260℃に調整した各押出機に供給した。そして、260℃に加熱したTダイスから押出し、設定温度20℃の引き取りロールにて冷却固化して、無延伸の状態で巻き取り、表面保護フィルムを得た。このとき得られた表面保護フィルムの厚みは、表面層5μm、基材層35μm、粘着層10μmで総厚み50μmであった。
表4に示す構成にて実施例1と同様にして表面保護フィルムを得た。
表4に示す構成にて、表面層を設けていないこと以外は実施例1と同様にして表面保護フィルムを得た。
表面層はエチレン−メタクリル酸共重合体を100重量%、基材層はポリプロピレン1を100重量%、粘着層はスチレン系熱可塑性エラストマー1:環状オレフィン共重合体1=91重量%:9重量%の割合となるように調製した混合物100重量部に対し、オレフィン系エラストマーを45重量部混合させ、ドライブレンドにより、表面層用樹脂、基材層用樹脂及び粘着層用樹脂をそれぞれ調製した。調製した表面層用樹脂、基材層用樹脂及び粘着層用樹脂の各樹脂を、同順に、バレル温度160〜260℃に調整した各押出機に供給した。そして、260℃に加熱したTダイスから押出し、設定温度20℃の引き取りロールにて冷却固化して、無延伸の状態で巻き取り、表面保護フィルムを得た。このとき得られた表面保護フィルムの厚みは、表面層5μm、基材層35μm、粘着層10μmで総厚み50μmであった。
表5に示す構成にて実施例11と同様にして表面保護フィルムを得た。
[測定用サンプルの作製]
サンプルロールから幅50mm、長さ150mmにサンプルを切り出し、23℃の雰囲気下で被着体と粘着層が重なるように貼り合わせた。その後、圧着ローラーにて圧力:3.0MPa、速度:5.0m/minの条件で圧着して測定用サンプルを得た。
そして、同様にして計20枚の測定用サンプルを作製した。
ここで、被着体としては素材がPET系のシートでRaが0.2μm、厚みが188μmのものを用いた。
前記の方法で得られた測定用サンプルを下記の条件(1)(2)にて各10枚ずつ貼り合わせた後、剥離試験機(新東科学社製のPeeling TESTER HEIDON−17)を用いて、剥離速度:1.0m/minの設定条件で、粘着強度を測定した。
(1)23℃の雰囲気下で1h静置
(2)70℃の雰囲気下で72h静置
このとき、測定チャートにおける極大点10点の平均値を粘着強度とした。同様の測定を10回行ない、この被着体−粘着層間の10回平均の粘着強度をFとしたとき、
○:0.2N/25mm<F
×:0≦F≦0.2N/25mm
とした。
前記粘着強度測定によって得られたデータを用い、23℃で1h後の粘着強度と、70℃で72h後の粘着強度の差をAとしたとき、
○:0≦A≦0.1N/25mm
×:0.1N/25mm<A
とした。
Claims (6)
- 熱可塑性樹脂からなる基材層と粘着層の少なくとも2層を有する表面保護フィルムであって、該粘着層がスチレン系熱可塑性エラストマー及び環状オレフィン共重合体を含む混合物から形成され、前記スチレン系熱可塑性エラストマーと環状オレフィン共重合体が70〜95重量%:5〜30重量%の割合で含有されている表面保護フィルム。
- 前記粘着層はさらにオレフィン系エラストマーを含み、その含有割合が前記スチレン系熱可塑性エラストマー及び環状オレフィン共重合体の樹脂組成物100重量部に対して0〜45重量部含有されていることを特徴とする請求項1に記載の表面保護フィルム。
- 前記基材層が、ポリオレフィン系樹脂から形成される請求項1〜2いずれか1項に記載の表面保護フィルム。
- 前記ポリオレフィン系樹脂が、ポリプロピレン、ポリエチレンまたはこれらの混合物からなる群より選ばれた少なくとも1種からなることを特徴とする請求項1〜3いずれか1項に記載の表面保護フィルム。
- 前記表面保護フィルムの基材層に対する粘着層の反対側に表面層が形成されており、その表面層がポリエチレン系樹脂であることを特徴とする請求項1〜4いずれか1項に記載の表面保護フィルム。
- 前記ポリエチレン系樹脂が、(メタ)アクリル酸または(メタ)アクリル酸アルキルエステルの含有割合が1〜14重量%であるエチレン−(メタ)アクリル酸共重合体またはそのアルキルエステル共重合体、もしくは酢酸ビニル含有割合が5〜20重量%であるエチレン−酢酸ビニル共重合体を含む樹脂から形成されることを特徴とする請求項1〜5いずれか1項に記載の表面保護フィルム。
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