本発明のペンタメチレンジアミンまたはその塩の保存方法では、ペンタメチレンジアミンまたはその塩を、ペンタメチレンジアミンまたはその塩と有機溶剤(後述)とを含有するペンタメチレンジアミン溶液として、保存する。
ペンタメチレンジアミンとしては、例えば、1,5−ペンタメチレンジアミン(別名:カダベリン、1,5−ジアミノペンタン)、1,4−ペンタメチレンジアミン、1,3−ペンタメチレンジアミン、2,5−ジアミノペンタン、または、これらの混合物が挙げられる。
これらペンタメチレンジアミンは、単独使用または2種類以上併用することができる。
ペンタメチレンジアミンとして、好ましくは、1,5−ペンタメチレンジアミンが挙げられる。
また、ペンタメチレンジアミンの塩としては、例えば、上記ペンタメチレンジアミンの、例えば、カルボン酸塩(例えば、酢酸塩、シュウ酸塩、2−エチルヘキサン酸塩、ステアリン酸塩など)、スルホン酸塩などの有機酸塩、例えば、硝酸塩、硫酸塩、塩酸塩、リン酸塩、炭酸塩、炭酸水素塩などの無機酸塩などが挙げられる。
そして、本発明のペンタメチレンジアミンまたはその塩の保存方法では、このようなペンタメチレンジアミンまたはその塩を含有するペンタメチレンジアミン溶液の含水率を、1質量%以下にする。
このような含水率が調整されたペンタメチレンジアミン溶液を得る方法としては、例えば、ペンタメチレンジアミンまたはその塩を含有する水溶液から、ペンタメチレンジアミンまたはその塩を抽出および蒸留する方法が挙げられる。
このような方法について、以下において、詳述する。
すなわち、この方法では、まず、ペンタメチレンジアミンまたはその塩を含有する水溶液を得る。
ペンタメチレンジアミンまたはその塩を含有する水溶液を得る方法としては、例えば、生化学的手法が採用される。
生化学的手法としては、例えば、酵素反応による酵素法(例えば、水中におけるリシンの脱炭酸酵素反応など)や、例えば、発酵作用による発酵法(例えば、グルコースの微生物発酵など)などが挙げられる。
生化学的手法として、好ましくは、酵素法、より具体的には、水中におけるリシンの脱炭酸酵素反応が挙げられる。
リシンの脱炭酸酵素反応では、リシン(化学式:NH2(CH2)4CH(NH2)COOH、別名:1,5−ペンタメチレンジアミン−1−カルボン酸)に、リシン脱炭酸酵素を作用させる。
リシンとしては、例えば、L−リシンなどが挙げられる。
また、リシンとしては、リシンの塩を用いることもできる。
リシンの塩としては、例えば、カルボン酸塩(例えば、酢酸塩、シュウ酸塩、2−エチルヘキサン酸塩、ステアリン酸塩など)、スルホン酸塩などの有機酸塩、例えば、硝酸塩、硫酸塩、塩酸塩、リン酸塩、炭酸塩、炭酸水素塩などの無機酸塩などが挙げられる。
リシンの塩として、好ましくは、リシン塩酸塩が挙げられる。
このようなリシン塩酸塩としては、例えば、L−リシン・一塩酸塩などが挙げられる。
リシン(またはその塩)の濃度は、特に制限はされないが、例えば、10〜700g/L、好ましくは、20〜500g/Lである。
リシン脱炭酸酵素は、リシン(またはその塩)をペンタメチレンジアミン(またはその塩)に転換させる酵素であって、特に制限されないが、例えば、公知の生物に由来するものが挙げられる。リシン脱炭酸酵素として、より具体的には、例えば、バシラス・ハロドゥランス(Bacillus halodurans)、バシラス・サブチリス(Bacillus subtilis)、エシェリシア・コリ(Escherichia coli)、セレノモナス・ルミナンチウム(Selenomonas ruminantium)、ビブリオ・コレラ(Vibrio cholerae)、ビブリオ・パラヘモリティカス(Vibrio parahaemolyticus)、ストレプトマイセス・コエリカーラ(Streptomyces coelicolor)、ストレプトマイセス・ピロサス(Streptomyces pilosus)、エイケネラ・コロデンス(Eikenella corrodens)、イユバクテリウム・アシダミノフィルム(Eubacterium acidaminophilum)、サルモネラ・ティフィムリウム(Salmonella typhimurium)、ハフニア・アルベイ(Hafnia alvei)、ナイセリア・メニンギチデス(Neisseria meningitidis)、テルモプラズマ・アシドフィルム(Thermoplasma acidophilum)、ピロコッカス・アビシ(Pyrococcus abyssi)またはコリネバクテリウム・グルタミカス(Corynebacterium glutamicum)などの微生物に由来するものが挙げられる。安全性の観点から、好ましくは、Escherichia coliに由来するものが挙げられる。
リシン脱炭酸酵素は、例えば、特開2004−114号公報(例えば、段落番号[0015]〜[0042]など)の記載に準拠するなど、公知の方法により製造することができる。
リシン脱炭酸酵素を製造する方法として、より具体的には、例えば、リシン脱炭酸酵素が細胞内で高発現した組換え細胞(以下、内部発現細胞)を公知の培地で培養し、その後、増殖した内部発現細胞を回収および破砕する方法や、例えば、リシン脱炭酸酵素が細胞表面で局在化した組換え細胞(以下、表面発現細胞)を公知の培地で培養し、その後、増殖した表面発現細胞を回収および必要により破砕する方法などが挙げられる。
このような方法において、組換え細胞としては、特に制限されず、微生物、動物、植物または昆虫由来のものが挙げられる。より具体的には、例えば、動物を用いる場合には、マウス、ラットやそれらの培養細胞などが挙げられ、また、植物を用いる場合には、例えば、シロイヌナズナ、タバコやそれらの培養細胞などが挙げられ、また、昆虫を用いる場合には、例えば、カイコやその培養細胞などが挙げられ、微生物を用いる場合には、例えば、大腸菌などが挙げられる。
これら組換え細胞は、単独使用または2種類以上併用することができる。
組換え細胞の表面にリシン脱炭酸酵素を局在化させる方法としては、特に制限されず、例えば、分泌シグナル配列の一部、細胞表面局在タンパク質の一部をコードする遺伝子配列、および、リシン脱炭酸酵素の構造遺伝子配列をこの順で有するDNAを、大腸菌に導入する方法など、公知の方法を採用することができる。
分泌シグナル配列の一部としては、宿主においてタンパク質を分泌するために必要な配列であれば、特に制限されず、例えば、大腸菌においては、例えば、リポプロテインの配列の一部、より具体的には、例えば、アミノ酸配列としてMKATKLVLGAVILGSTLLAGCSSNAKIDQ(アミノ酸の一文字表記)と翻訳される遺伝子配列などが挙げられる。
細胞表面局在タンパク質の一部をコードする遺伝子配列としては、特に制限されないが、大腸菌においては、例えば、外膜結合タンパク質の配列の一部が挙げられ、より具体的には、例えば、OmpA(外膜結合タンパク質)の46番目のアミノ酸から159番目のアミノ酸までの配列の一部などが挙げられる。
リシン脱炭酸酵素遺伝子、リポプロテイン遺伝子およびOmpA遺伝子をクローニングする方法としては、特に制限されないが、例えば、既知の遺伝子情報に基づき、PCR(polymerase chain reaction)法を用いて必要な遺伝領域を増幅取得する方法、例えば、既知の遺伝子情報に基づき、ゲノムライブラリーやcDNAライブラリーより相同性や酵素活性を指標としてクローニングする方法などが挙げられる。
なお、これらの遺伝子は、遺伝的多形性(遺伝子上の自然突然変異により遺伝子の塩基配列が一部変化しているもの)などによる変異型の遺伝子も含む。
このような方法として、より具体的には、例えば、Escherichia coli K12の染色体DNAより、PCR法を用いて、リシン脱炭酸酵素をコードする遺伝子であるcadA遺伝子またはldc遺伝子を、クローニングする。なお、このとき採用する染色体DNAは、Escherichia coli由来であれば、制限されず、任意の菌株由来のものを採用することができる。
また、このようにして得られる表面発現細胞の表面にリシン脱炭酸酵素が局在化していることは、例えば、リシン脱炭酸酵素を抗原として作製した抗体により、表面発現細胞を免疫反応させた後、包埋および薄切りし、例えば、電子顕微鏡(免疫電顕法)により観察することによって、確認することができる。
なお、表面発現細胞は、リシン脱炭酸酵素が細胞表面に局在化していればよく、例えば、リシン脱炭酸酵素が細胞表面に局在化するとともに、細胞内部に発現していてもよい。
また、リシン脱炭酸酵素としては、例えば、リシン脱炭酸酵素の細胞内および/または細胞表面での活性が上昇した組換え細胞から調製されるものも挙げられる。
細胞内および/または細胞表面でリシン脱炭酸酵素の活性を上昇させる方法としては、特に制限されず、例えば、リシン脱炭酸酵素の酵素量を増加させる方法、例えば、リシン脱炭酸酵素の細胞内および/または細胞表面での活性を上昇させる方法などが挙げられる。
細胞内もしくは細胞表面の酵素量を増加させる手段としては、例えば、遺伝子の転写調節領域の改良、遺伝子のコピー数の増加、蛋白への翻訳の効率化などが挙げられる。
転写調節領域の改良とは、遺伝子の転写量を増加させる改変を加えることであって、例えば、プロモーターに変異を導入することによってプロモーターを強化し、下流にある遺伝子の転写量を増加させることができる。プロモーターに変異を導入する以外にも、宿主内で強力に発現するプロモーターを導入することもできる。プロモーターとして、より具体的には、例えば、大腸菌においては、lac、tac、trpなどが挙げられる。また、エンハンサーを新たに導入することによって遺伝子の転写量を増加させることができる。なお、染色体DNAのプロモーターなどの遺伝子導入については、例えば、特開平1−215280号公報の記載に準拠することができる。
遺伝子のコピー数の上昇は、具体的には、遺伝子を多コピー型のベクターに接続して組換えDNAを作製し、その組換えDNAを宿主細胞に保持させることにより達成することができる。ベクターとは、プラスミドやファージなど、広く用いられているものを含むが、これら以外にも、例えば、トランソポゾン(Berg,D.E and Berg.C.M., Bio/Technol.,vol.1,P.417(1983))やMuファージ(特開平2−109985号公報)なども挙げられる。さらには、遺伝子を相同組換え用プラスミドなどを用いた方法で染色体に組み込んで、コピー数を上昇させることもできる。
蛋白の翻訳効率を上昇させる方法としては、例えば、原核生物においては、SD配列(Shine, J. and Dalgarno, L., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 71, 1342−1346 (1974))、真核生物では、Kozakのコンセンサス配列(Kozak, M., Nuc. Acids Res., Vol.15,p.8125−8148(1987))を導入、改変する方法や、使用コドンの最適化(特開昭59−125895)などが挙げられる。
リシン脱炭酸酵素の細胞内および/または細胞表面での活性を上昇させる方法としては、リシン脱炭酸酵素の構造遺伝子自体に変異を導入して、リシン脱炭酸酵素そのものの活性を上昇させることも挙げられる。
遺伝子に変異を生じさせる方法としては、例えば、部位特異的変異法(Kramer,W. and frita,H.J., Methods in Enzymology,vol.154,P.350(1987))、リコンビナントPCR法(PCR Technology,Stockton Press(1989)、特定の部分のDNAを化学合成する方法、遺伝子をヒドロキシアミン処理する方法、遺伝子を保有する菌株を紫外線照射処理、または、ニトロソグアニジンや亜硝酸などの化学薬剤で処理する方法などが挙げられる。
また、このような組換え細胞(内部発現細胞、表面発現細胞など)を培養する方法としては、特に制限されず、公知の方法を採用することができる。より具体的には、例えば、微生物を培養する場合には、培地として、例えば、炭素源、窒素源および無機イオンを含有する培地が用いられる。
炭素源としては、例えば、グルコース、ラクトース、ガラクトース、フラクトース、アラビノース、マルトース、キシロース、トレハロース、リボースや澱粉の加水分解物などの糖類、例えば、グリセロール、マンニトールやソルビトールなどのアルコール類、例えば、グルコン酸、フマル酸、クエン酸やコハク酸などの有機酸類などが挙げられる。
これら炭素源は、単独使用または2種類以上併用することができる。
窒素源としては、例えば、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、リン酸アンモニウムなどの無機アンモニウム塩、例えば、大豆加水分解物などの有機窒素、例えば、アンモニアガス、アンモニア水などが挙げられる。
これら窒素源は、単独使用または2種類以上併用することができる。
無機イオンとしては、例えば、ナトリウムイオン、マグネシウムイオン、カリウムイオン、カルシウムイオン、塩素イオン、マンガンイオン、鉄イオン、リン酸イオン、硫酸イオンなどが挙げられる。
これら無機イオンは、単独使用または2種類以上併用することができる。
また、培地には、必要に応じて、その他の有機成分(有機微量栄養素)を添加することもでき、そのような有機成分としては、例えば、各種アミノ酸、例えば、ビタミンB1などのビタミン類、例えば、RNAなどの核酸類などの要求物質、さらには、例えば、酵母エキスなどが挙げられる。
このような培地として、より具体的には、LB培地が挙げられる。
培養条件としては、特に制限されないが、例えば、大腸菌を培養する場合には、好気条件下において、培養温度が、例えば、30〜45℃、好ましくは、30〜40℃であり、培養pHが、例えば、5〜8、好ましくは、6.5〜7.5であり、培養時間が、例えば、16〜72時間、好ましくは、24〜48時間である。なお、pHの調整には、例えば、無機または有機の酸性またはアルカリ性物質や、アンモニアガスなどを用いることができる。
そして、このような培地において増殖した組換え細胞(内部発現細胞、表面発現細胞)は、例えば、遠心分離などにより回収することができる。
また、この方法では、回収された細胞を、例えば、休止細胞として用いることもできるが、必要により、破砕し、その細胞破砕液(菌体破砕液)として用いることができる。
細胞破砕液(菌体破砕液)の調製においては、公知の方法を採用することができる。より具体的には、例えば、まず、得られた内部発現細胞および/または表面発現細胞を、例えば、超音波処理、ダイノミル、フレンチプレスなどの方法により破砕し、その後、遠心分離により細胞残渣を除去する。
また、この方法では、必要により、得られた細胞破砕液からリシン脱炭酸酵素を精製することができる。
リシン脱炭酸酵素の精製方法としては、特に制限されず、酵素の精製に通常用いられる公知の方法(例えば、硫安分画、イオン交換クロマトグラフィー、疎水クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、ゲル濾過クロマトグラフィー、等電点沈殿、熱処理、pH処理など)を、必要により適宜組み合わせて採用することができる。
そして、リシン(またはその塩)の脱炭酸酵素反応では、このようにして得られた休止細胞および/またはその細胞破砕液と、リシン(またはその塩)の水溶液とを配合し、水中でリシン脱炭酸酵素をリシン(またはその塩)に作用させる。
反応に使用するリシン(またはその塩)の総質量に対する、反応に使用する菌体(細胞)の乾燥菌体換算質量の比率は、リシン(またはその塩)をペンタメチレンジアミン(またはその塩)に転換させるのに十分な量であれば、特に制限されないが、例えば、0.01以下、好ましくは、0.007以下である。
なお、反応に使用するリシン(またはその塩)の総質量とは、反応開始時に反応系内に存在するリシン(またはその塩)の質量(反応中に反応系にリシン(またはその塩)を加える場合には、それらリシン(またはその塩)の総量)である。
また、菌体の乾燥菌体換算質量とは、乾燥して水分を含まない菌体の質量である。菌体の乾燥菌体換算質量は、例えば、菌体を含む液(菌体液)から、遠心分離や濾過等の方法で菌体を分離し、質量が一定になるまで乾燥し、その質量を測定することにより求めることができる。
リシン(またはその塩)の脱炭酸酵素反応における反応温度は、例えば、28〜55℃、好ましくは、35〜45℃であり、反応時間は、採用されるリシン脱炭酸酵素の種類などにより異なるが、例えば、1〜72時間、好ましくは、12〜36時間である。また、反応pHは、例えば、5.0〜8.0、好ましくは、5.5〜6.5である。
これにより、リシン(またはその塩)が脱炭酸酵素反応して、ペンタメチレンジアミンに転換され、その結果、ペンタメチレンジアミンまたはその塩を含有する水溶液(ペンタメチレンジアミン水溶液)が得られる。
ペンタメチレンジアミンまたはその塩の反応収率は、リシン(またはその塩)を基準として、例えば、10〜100モル%、好ましくは、70〜100モル%、より好ましくは、80〜100モル%である。
また、ペンタメチレンジアミン水溶液におけるペンタメチレンジアミンまたはその塩の濃度(ペンタメチレンジアミン塩の場合はペンタメチレンジアミン換算濃度)は、例えば、1〜70質量%、好ましくは、2〜50質量%、より好ましくは、5〜40質量%である。
なお、この反応では,得られるペンタメチレンジアミンがアルカリ性であるため、リシン(またはその塩)がペンタメチレンジアミン(またはその塩)に転換されるに伴って反応液のpHが増加する場合がある。このような場合には、必要により、酸性物質(例えば、有機酸、例えば、塩酸などの無機酸など)などを添加し、pHを調整することができる。
また、この反応では、必要により、例えば、ビタミンB6および/またはその誘導体を反応液中に添加することもできる。
ビタミンB6および/またはその誘導体としては、例えば、ピリドキシン、ピリドキサミン、ピリドキサール、ピリドキサールリン酸などが挙げられる。
これらビタミンB6および/またはその誘導体は、単独使用または2種類以上併用することができる。
ビタミンB6および/またはその誘導体として、好ましくは、ピリドキサールリン酸が挙げられる。
ビタミンB6および/またはその誘導体を添加することにより、ペンタメチレンジアミンの生産速度および反応収率を向上することができる。
また、この方法では、吸着および濾過などの公知の後処理や、さらには、pH調整(例えば、上記したように酸性物質を添加した場合には、アルカリ性物質を添加するなど)することもできる。
次いで、この方法では、得られたペンタメチレンジアミン水溶液から、ペンタメチレンジアミンまたはその塩を有機溶剤(後述)で抽出し、ペンタメチレンジアミンまたはその塩を含有する抽出液を得る。
抽出では、例えば、液−液抽出法が採用される。
液−液抽出法では、例えば、(1)回分的、半連続的または連続的にペンタメチレンジアミン水溶液に、有機溶剤(後述)を接触させ、混合および撹拌することにより、ペンタメチレンジアミンまたはその塩を有機溶剤(後述)へと抽出(分配)する方法、(2)多孔板を備えた塔(スプレー塔、段型抽出塔)や、充填物、ノズル、オリフィス板、バッフル、インジェクターおよび/またはスタティックミキサーを備えた塔(向流微分型抽出塔、非撹拌式段型抽出塔:改訂五版 化学工学便覧、p566から569、化学工学会編、丸善(1988))に、ペンタメチレンジアミン水溶液と有機溶剤(後述)とを、向流で連続的に供給し、ペンタメチレンジアミンまたはその塩を、有機溶剤(後述)へと抽出(分配)する方法、(3)邪魔板および撹拌羽根を備えた塔(撹拌式段型抽出塔:改訂五版 化学工学便覧 p569から574、化学工学会編、丸善(1988))に、ペンタメチレンジアミン水溶液と有機溶剤(後述)とを、向流で連続的に供給し、ペンタメチレンジアミンまたはその塩を、有機溶剤(後述)へと抽出(分配)する方法、(4)ミキサーセトラー抽出器、または、遠心式抽出機(改訂五版 化学工学便覧 p563から566、p574、化学工学会編、丸善(1988))を用いて、ペンタメチレンジアミン水溶液に、有機溶剤(後述)を接触させ、ペンタメチレンジアミンまたはその塩を有機溶剤(後述)へと抽出(分配)する方法などが採用される。
これら液−液抽出法としては、単独使用または2種類以上併用することができる。
液−液抽出法として、生産効率の観点から、好ましくは、ペンタメチレンジアミンまたはその塩を、有機溶剤(後述)へと連続的に抽出(分配)する方法、より具体的には、例えば、上記(1)〜(3)の方法が挙げられる。
そして、このような抽出において、有機溶剤としては、例えば、非ハロゲン系有機溶剤などが挙げられる。
非ハロゲン系有機溶剤は、ハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素、ヨウ素など)を分子中に含有しない有機溶剤であって、例えば、非ハロゲンアルコール類、非ハロゲン系炭化水素類、非ハロゲン系エーテル類などが挙げられる。
非ハロゲンアルコール類としては、例えば、1価アルコール、2価アルコール、3価アルコール、4価以上のアルコールなどが挙げられる。
1価アルコールとしては、1分子が含有する炭素数などにより分類することができ、例えば、炭素数1〜3の1価アルコール、炭素数4〜7の1価アルコール、炭素数8以上の1価アルコールなどが挙げられる。
炭素数1〜3の1価アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノールなどの直鎖状の炭素数1〜3の1価アルコール、例えば、イソプロパノールなどの分岐状の炭素数3の1価アルコールなどが挙げられる。
炭素数4〜7の1価アルコールとしては、例えば、例えば、n−ブタノール、n−ペンタノール、n−ヘキサノール、n−ヘプタノールなどの直鎖状の炭素数4〜7の1価アルコール、例えば、イソブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、イソペンタノール、2−メチル−1−ブタノール、2−メチル−3−ブタノール、2,2−ジメチル−1−プロパノール、tert−ペンタノール、2−ヘキサノール、3−ヘキサノール、イソヘキサノール、2−メチル−2−ペンタノール、2−メチル−1−ペンタノール、3−メチル−1−ペンタノール、2−エチル−1−ブタノール、3,3−ジメチル−1−ブタノール、イソヘプタノール、2−ヘプタノール、3−ヘプタノール、4−ヘプタノール、5−メチル−1−ヘキサノール、4−メチル−1−ヘキサノール、3−メチル−1−ヘキサノール、2−エチル−2−メチル−1−ブタノールなどの分岐状の炭素数4〜7の1価アルコール、例えば、フェノール、クレゾールなどの芳香族の炭素数4〜7の1価アルコールなどが挙げられる。
炭素数8以上の1価アルコールとしては、例えば、n−オクタノール、n−ノナノール、n−デカノール、n−ウンデカノール、n−ドデカノール(ラウリルアルコール)、n−トリデカノール、n−テトラデカノール、n−ペンタデカノール、n−ヘキサデカノール、n−ヘプタデカノール、n−オクタデカノール(ステアリルアルコール)、n−ノナデカノール、エイコサノールなどの直鎖状の炭素数8以上の1価アルコール、例えば、イソオクタノール、イソノナノール、イソデカノール、5−エチル−2−ノナノール、トリメチルノニルアルコール、2−ヘキシルデカノール、3,9−ジエチル−6−トリデカノール、2−イソヘプチルイソウンデカノール、2−オクチルドデカノールなどの分岐状の炭素数8以上の1価アルコールなどが挙げられる。
2価アルコールとしては、1分子が含有する炭素数などにより分類することができ、例えば、炭素数1〜3の2価アルコール、炭素数4〜7の2価アルコール、炭素数8以上の2価アルコールなどが挙げられる。
炭素数1〜3の2価アルコールとしては、例えば、メタンジオール、エチレングリコール、1,3−プロパンジオールなどの直鎖状の炭素数1〜3の2価アルコール、例えば、1,2−プロパンジオールなどの分岐状の炭素数3の2価アルコールなどが挙げられる。
炭素数4〜7の2価アルコールとしては、例えば、1,4−ブチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ペンタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコールなどの直鎖状の炭素数4〜7の2価アルコール、例えば、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,4−ジヒドロキシ−2−ブテンなどの分岐状の炭素数4〜7の2価アルコールなどが挙げられる。
炭素数8以上の2価アルコールとしては、例えば、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオールなどの直鎖状の炭素数8以上の2価アルコール、例えば、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,2,2−トリメチルペンタンジオール、3,3−ジメチロールヘプタン、2,6−ジメチル−1−オクテン−3,8−ジオールなどの分岐状の炭素数8以上の2価アルコールなどが挙げられる。
3価アルコールとしては、例えば、グリセリン、トリメチロールプロパンなどが挙げられる。
4価以上のアルコールとしては、例えば、テトラメチロールメタン、D−ソルビトール、キシリトール、D−マンニトールなどが挙げられる。
非ハロゲン系炭化水素類としては、例えば、非ハロゲン脂肪族系炭化水素類、非ハロゲン芳香族系炭化水素類などが挙げられる。
非ハロゲン脂肪族系炭化水素類としては、例えば、直鎖状の非ハロゲン脂肪族系炭化水素類、分岐状の非ハロゲン脂肪族系炭化水素類、非ハロゲン脂環族系炭化水素類などが挙げられる。
直鎖状の非ハロゲン脂肪族系炭化水素類としては、例えば、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−ノナン、n−デカン、n−ドデカンなどが挙げられる。
分岐状の非ハロゲン脂肪族系炭化水素類としては、例えば、2−メチルペンタン、2,2−ジメチルブタン、2,3−ジメチルブタン、2−メチルヘキサン、3−メチルヘキサン、2,3−ジメチルペンタン、2,4−ジメチルペンタン、n−オクタン、2−メチルヘプタン、3−メチルヘプタン、4−メチルヘプタン、3−エチルへキサン、2,2−ジメチルへキサン、2,3−ジメチルへキサン、2,4−ジメチルへキサン、2,5−ジメチルへキサン、3,3−ジメチルへキサン、3,4−ジメチルへキサン、2−メチル−3−エチルペンタン、3−メチル−3−エチルペンタン、2,3,3−トリメチルペンタン、2,3,4−トリメチルペンタン、2,2,3,3−テトラメチルブタン、2,2,5−トリメチルヘキサンなどが挙げられる。
非ハロゲン脂環族系炭化水素類としては、例えば、シクロペンタン、メチルシクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、p−メンタン、ビシクロヘキシルなどが挙げられる。
非ハロゲン芳香族系炭化水素類としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、イソプロピルベンゼン、1,3,5−トリメチルベンゼン、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン、n−ブチルベンゼン、sec−ブチルベンゼン、tert−ブチルベンゼン、エチルベンゼンなどが挙げられる。
非ハロゲン系エーテル類としては、例えば、非ハロゲン脂肪族系エーテル類が挙げられる。
非ハロゲン脂肪族系エーテル類としては、例えば、直鎖状の非ハロゲン脂肪族系エーテル類、分岐状の非ハロゲン脂肪族系エーテル類などが挙げられる。
直鎖状の非ハロゲン脂肪族系エーテル類としては、例えば、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、ジヘキシルエーテルなどが挙げられる。
分岐状の非ハロゲン脂肪族系エーテル類としては、例えば、ジイソプロピルエーテル、ジイソブチルエーテルなどが挙げられる。
また、有機溶剤としては、例えば、非ハロゲン脂肪族系炭化水素類と非ハロゲン芳香族系炭化水素類との混合物なども挙げられ、そのような混合物としては、例えば、石油エーテル、石油ベンジンなどが挙げられる。
これら非ハロゲン系有機溶剤は、単独使用または2種類以上併用することができる。
非ハロゲン系有機溶剤として、好ましくは、非ハロゲンアルコール類、より好ましくは、1価アルコール、さらに好ましくは、炭素数4〜7の1価アルコールが挙げられる。
炭素数4〜7の1価アルコールを用いると、ペンタメチレンジアミンまたはその塩を、高収率で抽出することができる。
また、炭素数4〜7の1価アルコールとして、好ましくは、直鎖状の炭素数4〜7の1価アルコール、より好ましくは、n−ブタノール、n−ペンタノール、n−ヘキサノール、さらに好ましくは、n−ブタノール、n−ペンタノールが挙げられる。
なお、有機溶剤としては、本発明の優れた効果を阻害しない範囲において、例えば、ハロゲン系有機溶剤(ハロゲン原子を分子中に含有する有機溶剤)を用いることもできる。
ハロゲン系有機溶剤としては、例えば、ハロゲン系脂肪族炭化水素類(例えば、クロロホルム、ジクロロメタン、四塩化炭素、テトラクロロエチレンなど)、ハロゲン系芳香族炭化水素類(例えば、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、クロロトルエンなど)などが挙げられる。
これらハロゲン系有機溶剤は、単独使用または2種類以上併用することができる。
一方、抽出溶剤として、ハロゲン系有機溶剤を用いると、得られるペンタメチレンジアミンまたはその塩の総量に対する、不純物(後述)の含有量が増加する場合がある。
このような場合には、詳しくは後述するが、そのペンタメチレンジアミンまたはその塩を用いてペンタメチレンジイソシアネート(後述)を製造し、さらに、そのペンタメチレンジイソシアネート(後述)を反応させて、イソシアネート変性体(後述)や、ポリウレタン樹脂(後述)を製造する場合において、イソシアネート変性体(後述)の生産性や物性(例えば、耐黄変性など)に劣る場合がある。
また、そのようなペンタメチレンジイソシアネート(後述)やイソシアネート変性体(後述)と、活性水素化合物(後述)とを反応させ、ポリウレタン樹脂を製造する場合にも、やはり、得られるポリウレタン樹脂の物性(例えば、機械強度、耐薬品性など)に劣る場合がある。
そのため、抽出溶剤として、好ましくは、非ハロゲン系有機溶剤が挙げられる。
また、本発明において、有機溶剤の沸点は、例えば、60〜250℃、好ましくは、80〜200℃、より好ましくは、90〜150℃である。
有機溶剤の沸点が、上記下限未満であると、ペンタメチレンジアミン水溶液から抽出により、ペンタメチレンジアミンまたはその塩を得る際に、有機溶剤との分離が困難となる場合がある。
液−液抽出におけるペンタメチレンジアミン水溶液と有機溶剤との配合割合は、ペンタメチレンジアミン水溶液(抽出が連続的である場合は、単位時間あたりの供給量。以下同様。)100質量部に対して、有機溶剤が、例えば、30〜300質量部であり、経済性および生産性の観点から、好ましくは、50〜200質量部、より好ましくは50〜150質量、とりわけ好ましくは、80〜120質量部である。
また、液−液抽出では、ペンタメチレンジアミン水溶液と有機溶剤とを、例えば、常圧(大気圧)下、例えば、5〜60℃、好ましくは、10〜60℃、より好ましくは、15〜50℃、さらに好ましくは、15〜40℃において、例えば、撹拌羽根などにより、例えば、1〜120分間、好ましくは、5〜90分間、好ましくは、5〜60分間混合する。
撹拌羽根としては、特に限定されないが、例えば、プロペラ、平羽根、角度付平羽根、ピッチ付平羽根、平羽根ディスクタービン、傾斜付羽根ディスクタービン、湾曲羽根、ファウドラー型、ブルーマージン型、ディゾルバー、アンカーなどが挙げられる。
また、混合における回転数としては、例えば、5〜3000rpm、好ましくは、10〜2000rpm、より好ましくは、20〜1000rpmである。
これにより、ペンタメチレンジアミンまたはその塩を、有機溶剤中へと抽出する。
次いで、この方法では、例えば、ペンタメチレンジアミンまたはその塩と有機溶剤との混合物を、例えば、5〜300分間、好ましくは、10〜240分間、より好ましくは、20〜180分間静置し、その後、ペンタメチレンジアミンまたはその塩が抽出された有機溶剤(有機溶剤とペンタメチレンジアミンまたはその塩との混合物)を、公知の方法により取り出す。
なお、1回の液−液抽出によりペンタメチレンジアミンまたはその塩を十分に抽出できない場合には、複数回(例えば、2〜5回)繰り返し液−液抽出することもできる。
これにより、ペンタメチレンジアミン水溶液中のペンタメチレンジアミンまたはその塩を、有機溶剤(後述)に抽出し、抽出液を得ることができる。
このようにして得られる抽出液(有機溶剤とペンタメチレンジアミンまたはその塩との混合物)において、ペンタメチレンジアミンまたはその塩の濃度は、例えば、0.2〜40質量%、好ましくは、0.3〜35質量%、より好ましくは、0.4〜30質量%、とりわけ好ましくは、0.8〜25質量%である。
また、抽出後におけるペンタメチレンジアミンまたはその塩の収率(抽出率)は、リシン(またはその塩)を基準として、例えば、65〜100モル%、好ましくは、70〜100モル%、より好ましくは、80〜100モル%、とりわけ好ましくは、90〜100モル%である。
また、抽出液の含水率は、例えば、0.005〜20質量%、好ましくは、0.005〜15質量%である。
次いで、この方法では、上記により得られた抽出液を蒸留して、ペンタメチレンジアミン溶液を得る。
より具体的には、例えば、連続多段蒸留塔、回分多段蒸留塔などを備えた蒸留装置などにより、抽出により得られる抽出液を蒸留し、抽出液に含有される水、および、有機溶剤を一部除去する。
蒸留条件としては、蒸留温度が、例えば、50〜182℃、好ましくは、50〜175℃、より好ましくは、50〜168℃であり、蒸留圧力が、例えば、1kPa〜常圧、好ましくは、1〜80kPa、より好ましくは、1〜60kPaである。
蒸留温度が上記範囲であれば効率的にペンタメチレンジアミン溶液の含水率を調整することができる。
また、この方法では、必要により、ペンタメチレンジアミン溶液に、例えば、不活性ガス(例えば、窒素ガスなど)を導入することができる。
不活性ガスを導入する場合には、ペンタメチレンジアミン溶液100質量部に対して、不活性ガスを、例えば、0.1〜5L/分、好ましくは、0.2〜3L/分の流速で、例えば、2〜120分間、好ましくは、5〜90分間導入する。
これにより、ペンタメチレンジアミン溶液の含水率を調整することができる。
そして、このようにして得られるペンタメチレンジアミン溶液において、ペンタメチレンジアミンまたはその塩の濃度は、例えば、1〜90質量%、好ましくは、5〜80質量%、より好ましくは、10〜60質量%、とりわけ好ましくは、10〜50質量%である。
また、ペンタメチレンジアミン溶液では、通常、含水率が、上記抽出液の含水率より低減されており、より具体的には、1質量%以下、好ましくは、0.8質量%以下、より好ましくは、0.6質量%以下、通常、0.005質量%以上である。
ペンタメチレンジアミン溶液の含水率が1質量%を超過する場合には、そのペンタメチレンジアミン溶液を長期間保存すると、溶液中に不純物が生成される場合がある。このように保存されたペンタメチレンジアミンをイソシアネートや樹脂の原料として用いると、得られる樹脂の性質を低下させるという不具合がある。
一方、ペンタメチレンジアミン溶液の含水率が1質量%以下であれば、長期間の貯蔵においても、ペンタメチレンジアミン溶液に不純物が生成することを抑制できる。
より具体的には、上記の方法などにより得られたペンタメチレンジアミン溶液には、不純物として、例えば、2,3,4,5−テトラヒドロピリジンなどの含窒素六員環化合物などが含有される場合がある。
そのような場合において、ペンタメチレンジアミン溶液(保存前)中の含窒素六員環化合物の含有量は、例えば、ペンタメチレンジアミン溶液(含窒素六員環化合物を含む)の総量に対して、例えば、0.1質量%以下、好ましくは、0.08質量%以下、より好ましくは、0.06質量%以下である。
そして、このような含窒素六員環化合物は、ペンタメチレンジアミン溶液を保存することにより生成(増加)する場合がある。しかし、上記により得られたペンタメチレンジアミン溶液は、保存前の含水率が1質量%以下であるため、含窒素六員環化合物の生成(増加)を抑制できる。
例えば、ペンタメチレンジアミン溶液を、60℃で14日間保存した場合、そのペンタメチレンジアミン溶液(保存後)中の含窒素六員環化合物の含有量は、例えば、ペンタメチレンジアミン溶液(含窒素六員環化合物を含む)の総量に対して、例えば、0.12質量%以下、好ましくは、0.1質量%以下、より好ましくは、0.08質量%以下、とりわけ好ましくは、0.06質量%以下であり、保存前後における含窒素六員環化合物の増加率が、例えば、800%以下、好ましくは、600%以下、より好ましくは、400%以下、とりわけ好ましくは、300%以下である。
含窒素六員環化合物の含有量が上記上限を超過する場合には、そのペンタメチレンジアミンまたはその塩をイソシアネートや樹脂の原料として用いた場合に、得られるイソシアネートや樹脂の性質を低下させる場合がある。
より具体的には、含窒素六員環化合物の含有量が上記上限を超過するペンタメチレンジアミンまたはその塩を用いてペンタメチレンジイソシアネート(後述)を製造する場合において、ペンタメチレンジイソシアネート(後述)の反応速度が十分ではなく、多量の触媒を必要とするなど、生産性に劣る場合があり、また、得られるイソシアネート変性体(後述)の物性(例えば、貯蔵安定性など)を、十分に確保することができない場合がある。
これに対して、含窒素六員環化合物の含有量が上記上限以下であれば、そのペンタメチレンジアミンまたはその塩をイソシアネートや樹脂の原料として用い、優れた性質のイソシアネートや樹脂を得ることができる。
より具体的には、例えば、含窒素六員環化合物の含有量が上記上限以下であれば、優れた性質を備えるイソシアネート変性体(後述)を効率良く製造することができるペンタメチレンジイソシアネートを、製造することができる。
また、ペンタメチレンジアミン溶液では、溶存酸素濃度が、例えば、8mg/L以下、好ましくは、7mg/L以下、より好ましくは、6mg/L以下、とりわけ好ましくは、5mg/L以下、通常、1mg/L以上である。
ペンタメチレンジアミン溶液の溶存酸素濃度が8mg/Lを超過する場合には、上記の含水率が1質量%を越える場合と同様、そのペンタメチレンジアミン溶液を長期間保存すると、溶液中に不純物が生成される場合がある。このように保存されたペンタメチレンジアミンをイソシアネートや樹脂の原料として用いると、得られるイソシアネートや樹脂の性質を低下させるという不具合がある。
一方、ペンタメチレンジアミン溶液の溶存酸素濃度が8mg/L以下であれば、長期間の貯蔵においても、ペンタメチレンジアミン溶液に不純物が生成することを抑制できる。
そのため、このようなペンタメチレンジアミンまたはその塩の保存方法によれば、優れた性質を備えるイソシアネートや樹脂を効率良く製造することができるペンタメチレンジアミンまたはその塩を保存することができる。
その結果、本発明のペンタメチレンジアミンまたはその塩は、各種工業原料、例えば、ポリウレタン原料(ポリイソシアネート)や、例えば、ポリアミド原料、ポリイミド原料、エポキシ原料などの樹脂原料として、好適に用いられる。
例えば、本発明のペンタメチレンジアミンまたはその塩を、ポリウレタン原料であるポリイソシアネートの原料として用いる場合には、ポリイソシアネートとして、例えば、ペンタメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネートのイソシアネート変性体などが挙げられる。
ペンタメチレンジイソシアネートは、例えば、特開平7−309827号公報に記載される冷熱2段法(直接法(ホスゲン化法))や造塩法、例えば、特開2004−244349号公報や特開2003−212835号公報などに記載される方法によりアルキルカルバメートを製造し、そのアルキルカルバメートを熱分解する方法(カーボネート法)、例えば、特開昭55−149241号公報や特開昭57−114561号公報などに記載される方法によりウレタンを製造し、そのウレタン化合物を熱分解する方法(尿素法)などの公知の方法により、製造することができる。
そして、このようなペンタメチレンジイソシアネートは、イソシアネート変性体の製造において、好適に用いられる。
イソシアネート変性体としては、例えば、ペンタメチレンジイソシアネートの多量体(2量体、3量体(例えば、イソシアヌレート基、および/または、イミノオキサジアジンジオン基を有するポリイソシアネート)など)、ビウレット変性体(例えば、ペンタメチレンジイソシアネートと水との反応により生成するビウレット変性体など)、アロファネート変性体(例えば、ペンタメチレンジイソシアネートとモノオールまたは低分子量ポリオール(後述)との反応より生成するアロファネート変性体など)、ポリオール変性体(例えば、ペンタメチレンジイソシアネートと低分子量ポリオール(後述)またはマクロポリオール(後述)との反応より生成するポリオール変性体など)、オキサジアジントリオン変性体(例えば、ペンタメチレンジイソシアネートと炭酸ガスとの反応により生成するオキサジアジントリオンなど)、カルボジイミド変性体(ペンタメチレンジイソシアネートの脱炭酸縮合反応により生成するカルボジイミド変性体など)、ウレトジオン変性体、ウレトンイミン変性体などが挙げられる。
イソシアネート変性体として、好ましくは、ペンタメチレンジイソシアネートの3量体が挙げられ、より好ましくは、イソシアヌレート基を有するポリイソシアネートが挙げられる。
そして、ポリイソシアネート組成物は、上記したペンタメチレンジイソシアネートをトリマー化することにより得られるペンタメチレンジイソシアネートの3量体(例えば、イソシアヌレート基、および/または、イミノオキサジアジンジオン基を有するポリイソシアネート)を、含んでいる。
ペンタメチレンジイソシアネートをトリマー化する方法としては、特に制限されないが、例えば、特開平2−250872号公報に記載の方法(尿素法)などが挙げられる。
なお、このようなポリイソシアネート組成物には、必要により、例えば、スルホンアミド基を含有する化合物(例えば、芳香族スルホンアミド類、脂肪族スルホンアミド類など)を含有させることもできる。
そして、詳述しないが、上記のペンタメチレンジイソシアネートおよび/またはイソシアネート変性体(ポリイソシアネート組成物を含む)と、活性水素化合物とを反応させることにより、ポリウレタン樹脂を製造することができる。
以下に、実施例および比較例を挙げて、本発明を詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
調製例などに用いられる測定方法を、以下に示す。
<ペンタメチレンジアミンのn−ブタノール溶液の濃度(修正百分率(単位:%))>
(1)ペンタメチレンジアミンの蒸留
温度計、蒸留塔、冷却管および窒素導入管を備えた4つ口フラスコに、ペンタメチレンジアミン(東京化成社製)を仕込み、塔頂温度が111〜115℃、10KPaの条件下、さらに還流しながら精留し、精製ペンタメチレンジアミンを得た。蒸留精製したペンタメチレンジアミンは、ガスクロマトグラムの面積比が100%であった。
(2)ペンタメチレンジアミンの濃度(単位:質量%)の算出
上記<(1)ペンタメチレンジアミンの蒸留>で得られた精製ペンタメチレンジアミンを用い、以下のガスクロマトグラフ分析条件で得られたガスクロマトグラムの面積値から作成した検量線により、各製造例において得られたペンタメチレンジアミン溶液の濃度を算出した。
装置;GC−6890(アジレント・テクノロジー社製)
カラム;WCOT FUSED SILICA CP−SIL 8CB FOR AMINES(VARIAN社製)
オーブン温度;40℃で3分間保持、40℃から300℃まで、10℃/minで昇温、300℃で11分間保持
注入口温度;250℃
検出器温度;280℃
キャリアガス;ヘリウム
検出法;FID
(3)ペンタメチレンジアミンの純度の修正百分率(単位:%)算出
以下のガスクロマトグラフ分析条件で得られたガスクロマトグラムで、n−ブタノールのピークを除く総面積におけるペンタメチレンジアミンの面積を、ペンタメチレンジアミンの純度(修正百分率)とした。
装置;GC−6890(アジレント・テクノロジー社製)
カラム;WCOT FUSED SILICA CP−SIL 8CB FOR AMINES(VARIAN社製)
オーブン温度;40℃で3分間保持、40℃から300℃まで、10℃/minで昇温、300℃で11分間保持
注入口温度;250℃
検出器温度;280℃
キャリアガス;ヘリウム
検出法;FID
<2,3,4,5−テトラヒドロピリジンの濃度(修正百分率)(単位:%)>
ペンタメチレンジアミンの純度(修正百分率)と同様の測定から得られた、ガスクロマトグラムで、n−ブタノールのピークを除く総面積における2,3,4,5−テトラヒドロピリジンの面積を、2,3,4,5−テトラヒドロピリジンの濃度(修正百分率)とした。
<ペンタメチレンジアミンのn−ブタノール溶液の含水率(単位:質量%)>
ペンタメチレンジアミンのn−ブタノール溶液の含水率は、水分測定装置(平沼産業社製、AQV−7)により、予め、ペンタメチレンジアミンの2.4倍モルのサリチル酸を添加したメタノールを用い、JIS K−0068に準拠し測定した。
<ペンタメチレンジアミンのn−ブタノール溶液の溶存酸素濃度(単位:mg/L)>
ペンタメチレンジアミンのn−ブタノール溶液中の溶存酸素濃度は、溶存酸素濃度計(セントラル科学社製、DOメーター US−12−SOL型)により測定した。
<ビス(ブトキシカルボニルアミノ)ペンタンの純度(単位:質量%)>
以下のHPLC分析条件下で得られたクロマトグラムの面積値から作成した検量線により、ビス(ブトキシカルボニルアミノ)ペンタンの純度を算出した。
装置;alliance 2695 separation module (Waters社製)
検出器 2414 RI検出器
カラム;Imtakt社製 Unison UK C−18
カラム温度;40℃
溶離液;アセトニトリル/蒸留水=45/55(体積比)
流量;1.0mL/min
検出方法;RI
<ビス(ブトキシカルボニルアミノ)ペンタンの収率(単位:質量%)>
ビス(ブトキシカルボニルアミノ)ペンタンの収率は以下の式を用いて算出した。
(W2×C2/100)/(W1×C1/100×M2/M1)×100
M1:ペンタメチレンジアミンの分子量
M2:ビス(ブトキシカルボニルアミノ)ペンタンの分子量
C1:加熱促進試験後のペンタメチレンジアミンのn−ブタノール溶液の濃度
C2:ビス(ブトキシカルボニルアミノ)ペンタンの純度
W1:合成例におけるペンタメチレンジアミンのn−ブタノール溶液の仕込質量部
W2:合成例における得られたビス(ブトキシカルボニルアミノ)ペンタンの質量部
<ペンタメチレンジイソシアネートの純度(単位:質量%)>
ペンタメチレンジイソシアネートの純度は、電位差滴定装置を用いて、JIS K−1603−1に準拠したn−ジブチルアミン法により、測定した。
<熱分反応の収率(単位:質量%)>
熱分解反応の収率は以下の式を用いて算出した。
(W4×C3/100)/(W3×C2/100×M3/M2)×100
M3:ペンタメチレンジイソシアネートの分子量
C3:ペンタメチレンジイソシアネートの純度
W3:合成例におけるビス(ブトキシカルボニルアミノ)ペンタンの仕込質量部
W4:合成例における得られたペンタメチレンジイソシアネートの質量部
<ペンタメチレンジイソシアネートの収率(単位:質量%)>
ペンタメチレンジイソシアネートの収率は以下の式を用いて算出した。
A×B/100
A:ビス(ブトキシカルボニルアミノ)ペンタンの収率)
B:熱分反応の収率
調製例1(菌体破砕液の調製)
(リジン脱炭酸酵素遺伝子(cadA)のクローニング)
Escherichia coli W3110株(ATCC27325)から常法に従い調製したゲノムDNAをPCRの鋳型に用いた。
PCR用のプライマーには、リジン脱炭酸酵素遺伝子(cadA)(GenBank Accession No.AP009048)の塩基配列に基づいて設計した配列番号1および2に示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチド(インビトロジェン社に委託して合成した)を用いた。これらのプライマーは、5’末端付近にそれぞれKpnIおよびXbaIの制限酵素認識配列を有する。
上記のゲノムDNA1ng/μLおよび各プ.ライマー0.5pmol/μLを含む25μLのPCR反応液を用いて、変性:94℃、30秒間、アニーリング:55℃、30秒間、伸長反応:68℃、2分間からなる反応サイクルを30サイクルの条件で、PCRを行った。
PCR反応産物およびプラスミドpUC18(宝酒造社製)をKpnIおよびXbaIで消化し、ライゲーション・ハイ(東洋紡社製)を用いて連結した後、得られた組換えプラスミドを用いて、Eschrichia coli DH5α(東洋紡社製)を形質転換した。形質転換体を、アンピシリン(Am)100μg/mLおよびX−Gal(5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−β−D−ガラクトシド)を含むLB寒天培地で培養し、Am耐性でかつ白色コロニーとなった形質転換体を得た。このようにして得られた形質転換体よりプラスミドを抽出した。
通常の塩基配列の決定法に従い、プラスミドに導入されたDNA断片の塩基配列が配列番号3に示す塩基配列であることを確認した。
得られたリシン脱炭酸酵素をコードするDNAを持つプラスミドをpCADAと命名した。pCADAを用いて形質転換した大腸菌を培養することで、配列番号4に記載のアミノ酸配列を有するリシン脱炭酸酵素を生産することができた。
(形質転換体の作製)
pCADAを用いてEscherichia coli W3110株を通常の方法で形質転換し、得られた形質転換体をW/pCADAと命名した。
この形質転換体をバッフル付き三角フラスコ中のAm100μg/mLを含むLB培地500mlに接種し、30℃にてOD(660nm)が0.5になるまで振盪培養した後、IPTG(イソプロピル−β−チオガラクトピラノシド)が0.1mmol/Lとなるように添加し、さらに14時間振盪培養した。培養液を8000rpmで20分間遠心分離し、菌体を得た。この菌体を20mmol/L リン酸ナトリウム緩衝液(pH6.0)に懸濁した後、超音波破砕を行い、菌体破砕液を調製した。
調製例2(ペンタメチレンジアミン水溶液の製造)
フラスコに、L−リシン一塩酸塩(和光純薬製を、終濃度が45質量%となるように、および、ピリドキサールリン酸(和光純薬製)を、終濃度が0.15mmol/Lとなるように調製した基質溶液120質量部を加えた。次に、上記のW/pCADA菌体破砕液(仕込み乾燥菌体換算重量0.3g)を添加し反応を開始した。反応条件は37℃、200rpmとした。反応液のpHは6mol/Lの塩酸にてpH6に調整した。24時間後のペンタメチレンジアミンの反応収率は99%に達していた。上記の反応24時間後の反応液を、6mol/Lの塩酸にてpH2に調整し、0.6質量部の活性炭(三倉化成社製 粉末活性炭PM−SX)を添加し、25℃で1時間攪拌を行った後、濾紙(ADVANTEC社製 5C)にて濾過を行った。次に、この濾液を水酸化ナトリウムにてpH12に調整し、ペンタメチレンジアミン水溶液(17.0質量%水溶液)を得た。
製造例1(ペンタメチレンジアミンのn−ブタノール溶液(a)の調製)
分液ロートにペンタメチレンジアミン水溶液100質量部とn−ブタノール100質量部とを仕込み、10分間混合し、その後30分間静置した。水層である下層を抜き出し、次いで有機層である上層を抜き出した。得られた有機層(抽出液)の含水率は、11質量%であった。
次いで、温度計、蒸留塔、冷却管および窒素導入管を備えた4つ口フラスコに有機層の抽出液80質量部を仕込んだ。常圧下で水、および、n−ブタノールを留去させ、液温が139℃に達した時点で加熱を止め、室温まで冷却した。続いて、1.7kPaの減圧下で加熱し、n−ブタノール、および、ペンタメチレンジアミンを留出させ、液温が65℃に達した時点で加熱を止め、冷却した。留出液として、34.3%のペンタメチレンジアミンのn−ブタノール溶液(a)(以下、PDA/BuOH(a)と略する場合がある)を得た。
製造例2(ペンタメチレンジアミンのn−ブタノール溶液(b)の調製)
分液ロートにペンタメチレンジアミン水溶液100質量部とn−ブタノール100質量部とを仕込み、10分間混合し、その後30分間静置した。水層である下層を抜き出し、次いで有機層である上層を抜き出した。得られた有機層(抽出液)の含水率は、11質量%であった。
次いで、温度計、蒸留塔、冷却管および窒素導入管を備えた4つ口フラスコに有機層の抽出液80質量部を仕込んだ。常圧下で水、および、n−ブタノールを留去させ、液温が126℃に達した時点で加熱を止め、室温まで冷却した。続いて、1.7kPaの減圧下で加熱し、n−ブタノール、および、ペンタメチレンジアミンを留出させ、液温が65℃に達した時点で加熱を止め、冷却した。留出液として、12.4%のペンタメチレンジアミンのn−ブタノール溶液(b)(以下、PDA/BuOH(b)と略する場合がある)を得た。
製造例3(ペンタメチレンジアミンのn−ブタノール溶液(c)の調製)
分液ロートにペンタメチレンジアミン水溶液100質量部とn−ブタノール100質量部とを仕込み、10分間混合し、その後30分間静置した。水層である下層を抜き出し、次いで有機層である上層を抜き出した。得られた有機層(抽出液)の含水率は、11質量%であった。
次いで、温度計、蒸留塔、冷却管および窒素導入管を備えた4つ口フラスコに有機層の抽出液80質量部を仕込んだ。常圧下で水、および、n−ブタノールを留去させ、液温が123℃に達した時点で加熱を止め、室温まで冷却した。続いて、1.7kPaの減圧下で加熱し、n−ブタノール、および、ペンタメチレンジアミンを留出させ、液温が65℃に達した時点で加熱を止め、冷却した。留出液として、11.1%のペンタメチレンジアミンのn−ブタノール溶液(c)(以下、PDA/BuOH(c)と略する場合がある)を得た。
実施例1
PDA/BuOH(a)を金属製の容器に移し、液相に窒素(流速0.3L/分)を5分間導入し、PDA/BuOH(A)とした。
PDA/BuOH(A)の水分は0.07%、溶存酸素濃度は6.9mg/Lであった。ペンタメチレンジアミンの純度(修正百分率)は99.979%、2,3,4,5−テトラヒドロピリジンの濃度(修正百分率)は0.014%であり、加熱促進試験前の測定値とし、表1に示す。
次いで、60℃のオーブン中に14日間静置し、加熱促進試験を実施した。試験後のPDA/BuOH(A)の、ペンタメチレンジアミンの純度(修正百分率)は99.947%、2,3,4,5−テトラヒドロピリジンの濃度(修正百分率)0.051%であり、加熱促進試験後の測定値とし、表1に示す。また、加熱促進試験後のPDA/BuOH(A)中のペンタメチレンジアミンの濃度は、34.3質量%であった。
実施例2
PDA/BuOH(a)を金属製の容器に移し、液相に窒素(流速0.3L/分)を20分間導入し、PDA/BuOH(B)とした。PDA/BuOH(B)の水分は0.07%、溶存酸素濃度は3.2mg/Lであった。
ペンタメチレンジアミンの純度(修正百分率)は99.981%、2,3,4,5−テトラヒドロピリジンの濃度(修正百分率)は0.014%であり、加熱促進試験前の測定値とし、表1に示す。
次いで、60℃のオーブン中に14日間静置し、加熱促進試験を実施した。試験後のPDA/BuOH(B)の、ペンタメチレンジアミンの純度(修正百分率)は99.957%、2,3,4,5−テトラヒドロピリジンの濃度(修正百分率)0.033%であり、加熱促進試験後の測定値とし、表1に示す。また、加熱促進試験後のPDA/BuOH(B)中のペンタメチレンジアミンの濃度は、34.3質量%であった。
実施例3
PDA/BuOH(b)を金属製の容器に移し、液相に窒素(流速0.3L/分)を5分間導入し、PDA/BuOH(C)とした。PDA/BuOH(C)の水分は0.8%、溶存酸素濃度は7.0mg/Lであった。
ペンタメチレンジアミンの純度(修正百分率)は99.980%、2,3,4,5−テトラヒドロピリジンの濃度(修正百分率)は0.015%であり、加熱促進試験前の測定値とし、表1に示す。
次いで、60℃のオーブン中に14日間静置し、加熱促進試験を実施した。試験後のPDA/BuOH(C)の、ペンタメチレンジアミンの純度(修正百分率)は99.914%、2,3,4,5−テトラヒドロピリジンの濃度(修正百分率)0.067%であり、加熱促進試験後の測定値とし、表1に示す。また、加熱促進試験後のPDA/BuOH(C)中のペンタメチレンジアミンの濃度は、12.4質量%であった。
実施例4
PDA/BuOH(a)を金属製の容器に移し、PDA/BuOH(D)とした。PDA/BuOH(D)の水分は0.07%、溶存酸素濃度は8.2mg/Lであった。
ペンタメチレンジアミンの純度(修正百分率)は99.978%、2,3,4,5−テトラヒドロピリジンの濃度(修正百分率)は0.015%であり、加熱促進試験前の測定値とし、表1に示す。
次いで、60℃のオーブン中に14日間静置し、加熱促進試験を実施した。試験後のPDA/BuOH(D)の、ペンタメチレンジアミンの純度(修正百分率)は99.898%、2,3,4,5−テトラヒドロピリジンの濃度(修正百分率)0.081%であり、加熱促進試験後の測定値とし、表1に示す。また、加熱促進試験後のPDA/BuOH(D)中のペンタメチレンジアミンの濃度は、34.3質量%であった。
比較例1
PDA/BuOH(c)を金属製の容器に移し、液相に窒素(流速0.3L/分)を5分間導入し、PDA/BuOH(E)とした。PDA/BuOH(E)の水分は1.5%、溶存酸素濃度は7.1mg/Lであった。
ペンタメチレンジアミンの純度(修正百分率)は99.978%、2,3,4,5−テトラヒドロピリジンの濃度(修正百分率)は0.014%であり、加熱促進試験前の測定値とし、表1に示す。
次いで、60℃のオーブン中に14日間静置し、加熱促進試験を実施した。試験後のPDA/BuOH(E)の、ペンタメチレンジアミンの純度(修正百分率)は99.817%、2,3,4,5−テトラヒドロピリジンの濃度(修正百分率)0.135%であり、加熱促進試験後の測定値とし、表1に示す。また、加熱促進試験後のPDA/BuOH(E)中のペンタメチレンジアミンの濃度は、11.1質量%であった。
合成例1(ペンタメチレンジイソシアネート(A)の製造)
圧力制御弁、還流冷却器、気液分離器、攪拌装置を備えたSUS製オートクレーブに、加熱促進試験後のPDA/BuOH(A)149質量部、尿素72質量部、およびn−ブタノール312質量部の混合物を仕込み、窒素ガスを毎分0.3L流通、500rpmで攪拌させながら、反応温度210℃で保つように内圧を圧力制御弁で調節しながら3時間反応させた。得られた反応液を、0.5KPa、150℃で減圧蒸留して軽沸分をカットし、純度96.1質量%のビス(ブトキシカルボニルアミノ)ペンタン(A)150質量部を、収率95.3質量%で得た。
次いで、撹拌機、温度計および冷却器を備えた精留塔を備え付けた4つ口フラスコを反応器とし、冷却器には80℃の温水を流し、受器は冷アセトンで冷却したコールドトラップを通して真空ラインに連結した。フラスコにビス(ブトキシカルボニルアミノ)ペンタン(A)150質量部、バーレルプロセス油B−30(松村石油社製)150質量部、ジラウリン酸ジブチルスズ0.3質量部を仕込んだ。反応系内を窒素置換した後、3.0kPaに減圧し、反応液を250℃まで昇温させ2時間熱分解反応を行い、純度95.6質量%のペンタメチレンジイソシアネート(A)を73質量部得た。熱分解反応の収率は94.8質量%、ペンタメチレンジイソシアネート(A)の収率は90.4質量%であった。結果を表2に示す。
合成例2(ペンタメチレンジイソシアネート(B)の製造)
PDA/BuOH(A)に代えて、PDA/BuOH(B)を用い、合成例1と同様の操作および条件にて、純度96.3質量%のビス(ブトキシカルボニルアミノ)ペンタン(B)150質量部を、収率95.5質量%で得た。
次いで、ビス(ブトキシカルボニルアミノ)ペンタン(A)に代えて、ビス(ブトキシカルボニルアミノ)ペンタン(B)を用い、合成例1と同様の操作および条件にて、純度96.1質量%のペンタメチレンジイソシアネート(B)を73質量部得た。熱分解反応の収率は95.3質量%、ペンタメチレンジイソシアネート(B)の収率は91.0質量%であった。結果を表2に示す。
合成例3(ペンタメチレンジイソシアネート(C)の製造)
PDA/BuOH(A)に代えて、PDA/BuOH(C)を用い、合成例1と同様の操作および条件にて、純度95.5質量%のビス(ブトキシカルボニルアミノ)ペンタン(C)150質量部を、収率94.8質量%で得た。
次いで、ビス(ブトキシカルボニルアミノ)ペンタン(A)に代えて、ビス(ブトキシカルボニルアミノ)ペンタン(C)を用い、合成例1と同様の操作および条件にて、純度95.2質量%のペンタメチレンジイソシアネート(C)を73質量部得た。熱分解反応の収率は94.5質量%、ペンタメチレンジイソシアネート(C)の収率は89.6質量%であった。結果を表2に示す。
合成例4(ペンタメチレンジイソシアネート(D)の製造)
加熱促進試験後のPDA/BuOH(D)を412質量部、尿素72質量部、およびn−ブタノール49質量部の混合物を仕込んだ以外は、合成例1と同様の操作および条件にて、純度94.4質量%のビス(ブトキシカルボニルアミノ)ペンタン(D)150質量部を、収率93.7質量%で得た。
次いで、ビス(ブトキシカルボニルアミノ)ペンタン(A)に代えて、ビス(ブトキシカルボニルアミノ)ペンタン(D)を用い、合成例1と同様の操作、および条件にて、純度94.2質量%のペンタメチレンジイソシアネート(D)を72質量部得た。熱分解反応の収率は93.3質量%、ペンタメチレンジイソシアネート(D)の収率は87.4質量%であった。結果を表2に示す。
比較合成例1(ペンタメチレンジイソシアネート(E)の製造)
加熱促進試験後のPDA/BuOH(E)を461質量部、尿素72質量部の混合物を仕込んだ以外は、合成例1と同様の操作、および条件にて、純度93.2質量%のビス(ブトキシカルボニルアミノ)ペンタン(E)150質量部を、収率92.5質量%で得た。
次いで、ビス(ブトキシカルボニルアミノ)ペンタン(A)に代えて、ビス(ブトキシカルボニルアミノ)ペンタン(E)を用い、合成例1と同様の操作、および条件にて、純度93.2質量%のペンタメチレンジイソシアネート(E)を70質量部得た。熱分解反応の収率は91.2質量%、ペンタメチレンジイソシアネート(E)の収率は84.4質量%であった。結果を表2に示す。