上記のように、バスケットの開口部を開口させた状態で固液分離処理を行う遠心分離機においては、原液を供給するフィードパイプの他に、液面検出器の検出部(検出軸と接触子)と、ケーキ掻取装置とをバスケットの開口部を通してバスケット内に挿入することを可能にするために、バスケットの開口部の開口面積を大きくしておく必要があったため、バスケットに供給し得る原液の量が制限され、1回の固液分離処理で処理し得る原液の量が制限されるという問題があった。
前述のように、従来の遠心分離機で用いられていた液面検出器では、検出軸の先端部に取り付けられたレバーとその先端に取り付けられたそり板状の検出板とにより接触子を構成して、この接触子をバスケット内の液面の周方向領域の一部のみに接触させて液面を検出するようにしていた。回転中のバスケット内の液面が静かであれば、このように、接触子を液面の周方向領域の一部のみに接触させて検出動作を行なわせても特に問題はない。しかしながら、実際には、バスケット内の液面は激しく波立っていて、液面に立っている波が接触子に接触することにより液面が検出されることになるため、接触子を液面の周方向領域の一部のみに接触させて検出動作を行なわせた場合には、液面が規定位置に達する前に検出動作が行なわれることがあり、液面が規定位置に達したことを的確に検出することができないおそれがあった。
またバスケットの開口部を蓋板で閉じてバスケットを密閉構造とした状態で固液分離処理を行う遠心分離機では、液面検出器の検出部をバスケット内に挿入することができないため、バスケット内に形成される液層の液面が規定位置に達したことを直接検出することができないという問題があった。従来のこの種の遠心分離機では、遠心分離機全体の質量を計測する質量計を設けて、遠心分離機全体の質量の変化により給液量を推測するようにしていたが、このような方法では、バスケット内に形成される液層の液面が規定位置に達したことを正確に検出することが難しい。
本発明の目的は、バスケットの開口部の開口面積を必要以上に大きくすることなく、バスケット内の液面が規定位置に達したことを正確に検出することができるようにして、バスケット内の液面が規定位置を越えないようにするための制御を正確に行わせることができるようにした遠心分離機を提供することにある。
本発明の他の目的は、液面検出器の接触子を液面の周方向領域の全体に接触させて検出動作を行わせる構造にすることにより、液面が規定位置に達したことを正確に検出して、バスケット内の液面が規定位置を越えないようにするための制御を正確に行わせることができるようにした遠心分離機を提供することにある。
本発明の更に他の目的は、バスケットを密閉した状態で固液分離処理を行う場合にもバスケット内の液面が規定位置に達したことを直接検出することができるようにして、バスケット内の液面が規定位置を越えないようにするための制御を正確に行わせることができるようにした遠心分離機を提供することにある。
本願においては、上記の目的を達成するために少なくとも以下に示す第1ないし第11の発明が開示される。
第1の発明
第1の発明では、フレームに対して回転自在に支持された回転軸と、多数の透過孔を有する周壁部と該周壁部の軸線方向の一端を閉じる端部壁とを備えて中心軸線を回転軸の中心軸線に一致させた状態で端部壁の中心部が回転軸に結合されたバスケットと、バスケットを回転させるために回転軸を回転駆動する回転駆動機構と、フレームに対して支持されてバスケット内に流体を供給するために用いられるフィードパイプと、回転駆動されているバスケット内にフィードパイプを通して原液を供給した際にバスケット内に形成される液層の液面が規定位置に達したことを検出して検出動作を行う液面検出器とを備えた遠心分離機を対象とする。この種の遠心分離機では、バスケットを回転させた状態で液面検出器が検出動作を行うまでバスケット内に原液を供給して、バスケット内の原液を遠心力により液分とケーキとに分離する固液分離処理を行う。
なお本明細書において「フレーム」とは、遠心分離機の各部を所定の位置に位置決めして設置面に対して支える機械的な構造体を意味する。バスケットを収容するケースを設けて、このケースに遠心分離機の構成要素の一部を支持する機能を持たせる場合には、該ケースもフレームの一部を構成する。
第1の発明においては、回転軸が中空に形成されて、回転軸の軸線方向の一端がバスケットの底壁部の中心部に結合されるとともに、回転軸の中空部内がバスケット内に開口させられる。またフィードパイプは、バスケットの中心軸線を回転中心としてバスケットに対して相対的に回転し得るように設けられて回転軸の中空部内を貫通して先端部がバスケット内に挿入された第1のフィードパイプと、フレームに対して支持されて第1のフィードパイプの後端部側から該第1のフィードパイプ内に挿入された第2のフィードパイプとを備えて、第1のフィードパイプの回転を許容しつつ第2のフィードパイプから第1のフィードパイプ内に流体を供給するように構成される。
また液面検出器は、第1のフィードパイプの先端部に固定されてバスケット内に形成された液層に接触した際に該液層により駆動されて変位を生じる接触子と、接触子の変位に伴って生じる第1のフィードパイプの回転変位を検出して検出動作を行う回転変位検出器とを備えて、バスケット内の液層の液面が規定位置に達したときに回転変位検出器に検出動作を行わせるように構成されている。
上記のように構成すると、バスケット内への流体の供給に何等支障を来すことなく、かつバスケットの回転とは無関係に、第1のフィードパイプの回転を許容することができる。
また上記のように、回転が許容された第1のフィードパイプの先端に接触子を取り付けるとともに、第1のフィードパイプに回転変位が生じたことを検出する回転変位検出器を設けて、接触子と回転変位検出器とにより液面検出器を構成すると、フィードパイプに液面検出器の検出軸を兼ねさせることができるため、遠心分離機の構成の簡素化を図ることができる。
更に、上記のようにフィードパイプの中心軸線をバスケットの中心軸線と一致させた状態で配置すると、バスケット内に形成される液層の液面の規定位置を、フィードパイプをバスケットの中心軸線に対して偏心した位置に配置する場合に比べて、よりバスケットの内径側に設定することができるため、バスケット内に供給し得る原液の量を増やすことができ、固液分離処理1回当たりの処理容量を増大させることができる。
また上記のように、バスケットの回転軸を中空に形成して、この回転軸の中空部内を貫通させて第1のフィードパイプをバスケット内に挿入するようにすると、バスケットの開口部を蓋板により閉鎖して、バスケットを密閉した状態で固液分離処理を行う場合にも、液面検出器の検出部(接触子)をバスケット内に挿入して、バスケット内に形成される液層の液面が規定位置に達したことを正確に検出することができる。またバスケット内への給液量を制御するために、遠心分離機全体の質量を計測する大がかりな質量計を設ける必要がなくなるため、遠心分離機の構造の簡素化を図ることができる。バスケットを密閉した状態で固液分離処理を行う遠心分離機では、バスケット内に圧縮されたガスを供給して、バスケット内を加圧した状態で固液分離処理を行うことができる。
第2の発明
第2の発明は第1の発明に適用される。第2の発明においては、上記接触子が、バスケットと中心軸線を共有するように設けられて内周部が第1のフィードパイプの先端部の外周に固定された円盤からなり、バスケット内に形成された液層の液面が規定位置に達したときに円盤が液層との接触により駆動されて第1のフィードパイプの回転変位が生じさせられるように円盤の外径が設定される。
上記のように、接触子をバスケットと軸線を共有する円盤により構成すると、接触子は、バスケット内に形成された液層の液面に接触した際に跳ね返されることがなく、接触子と液層と間の接触抵抗が第1のフィードパイプに回転変位を生じさせるために必要な大きさに達した時に回転して回転変位検出器に検出動作を行わせるため、液面の一部に立った波に反応して検出動作が行われるのを防いで、液面が規定位置に達したことの検出を正確に行わせることができる。
第3の発明
第3の発明は、原液をケーキと液分とに分離する固液分離処理を行う遠心分離機に係わるもので、本発明に係わる遠心分離機は、
(a)フレームに回転自在に支持された中空の回転軸と、
(b)多数の透孔を有する周壁部と該周壁部の軸線方向の一端を閉じる端部壁とを有して、中心軸線を前記回転軸の中心軸線に一致させ、前記回転軸の中空部内を前記周壁部の内側の空間に開口させた状態で前記端部壁の中心部が前記回転軸の一端に連結され、前記周壁部の軸線方向の他端に開口部が形成されたバスケットと、
(c)バスケットを回転させるために回転軸を回転駆動する回転駆動機構と、
(d)回転軸の中空部内にスライド自在に嵌合されて一端が回転軸の一端を越えてバスケット内に導入された中空のスライド軸と、
(e)回転軸の軸線方向に沿ったスライド軸のスライド変位を許容した状態で、スライド軸と回転軸とを一緒に回転させるように結合する軸結合機構と、
(f)バスケット内に配置されてスライド軸の中空部の一端をバスケット内に開口させた状態でスライド軸の一端に結合された可動板と、バスケットの開口部の外側に配置されてバスケットの周方向に間隔をあけた状態でバスケット内に配置された複数の連結棒により可動板に連結された蓋板とを有して、スライド軸の回転軸の軸線方向へのスライド変位に伴って蓋板がバスケットの開口部を閉じた状態になる閉位置と蓋板がバスケットの開口部との間に隙間を形成した状態になる開位置との間を変位させられる可動蓋構造体と、
(g)スライド軸の回転を許容した状態でスライド軸を回転軸の軸線方向に駆動するリニア駆動機構と、
(h)バスケットの周壁部の内周に配置されたフィルタと、
(i)フレームに対して支持されてバスケット内に流体を供給するために用いられるフィードパイプと、
(j)回転駆動されているバスケット内にフィードパイプを通して原液を供給した際にバスケット内に形成される液層の液面が規定位置に達したことを検出して検出動作を行う液面検出器と、
を備えている。
上記フィードパイプは、バスケットの中心軸線を回転中心としてバスケットに対して相対的に回転し得るように設けられてスライド軸を貫通して先端部がバスケット内に挿入された第1のフィードパイプと、フレームに対して支持されて第1のフィードパイプの後端部側から該第1のフィードパイプ内に挿入されて、第1のフィードパイプの回転を許容しつつ該第1のフィードパイプ内に流体を供給する第2のフィードパイプとを備えることにより構成される。
また液面検出器は、第1のフィードパイプの先端部に固定されてバスケット内に形成された液層に接触した際に該液層により駆動されて変位を生じる接触子と、接触子の変位に伴って生じる第1のフィードパイプの回転変位を検出して検出動作を行う回転変位検出器とを備えて、バスケット内の液層の液面が規定位置に達したときに回転変位検出器が検出動作を行うように構成され、可動蓋構造体の蓋板によりバスケットの開口部を閉じた状態でバスケットを回転させつつ液面検出器が検出動作を行うまでフィードパイプ内を通してバスケット内に原液を供給することにより固液分離処理を行うことができ、リニア駆動機構によりスライド軸を変位させて可動蓋構造体の蓋板を開位置側に変位させた際に蓋板とバスケットの開口部との間に形成された隙間を通してバスケット内に形成されたケーキをバスケット内から排出させ得るように構成されている。
上記のように構成すると、バスケットの開口部を閉じてバスケットを密閉した状態で固液分離処理を行う場合にも、液面検出器の検出部をバスケット内に挿入して、バスケット内の液面が規定位置に達したことを正確に検出することができる。
第4の発明
第4の発明は第3の発明に適用されるもので、本発明においては、接触子がバスケットと中心軸線を共有するように設けられて内周部が前記フィードパイプの先端部の外周に固定された円盤からなり、バスケット内に形成された液層の液面が規定位置に達したときに円盤が液層との接触により駆動されて第1のフィードパイプの回転変位が生じさせられるように円盤の外径が設定される。
上記のように構成すると、バスケットの開口部を閉じてバスケットを密閉した状態で固液分離処理を行う場合に、液面の一部に立った波に反応して検出動作が行われるのを防いで、液面が規定位置に達したことの検出を正確に行わせることができる。
第5の発明
第5の発明は、第3の発明または第4の発明に適用される。本発明においては、上記軸結合機構が、リニア駆動機構によりスライド軸を回転軸の軸線方向に駆動した際にスライド軸と回転軸との間に生じる軸線方向の相対変位を該スライド軸の中心軸線を回転中心とした回転変位に変換してスライド軸に伝達することにより、スライド軸が軸線方向に変位する過程で該スライド軸を回転軸に対して相対的に回転させて可動蓋構造体とバスケットとの間に周方向の相対的変位を生じさせるように構成される。この場合、可動板は円板状に形成されてその外周部がバスケットの周壁部の内周に近接配置される。またフィルタは、可動板の外周部に一端が固定され、バスケットの開口部付近に他端が固定された濾布により構成され、スライド軸を回転軸に対して相対的に回転させて可動蓋構造体とバスケットとの間に周方向の相対的変位を生じさせた際に濾布が捻れることにより、該濾布の内側に形成されているケーキが破壊されるように構成されている。
上記のように構成すると、固液分離処理を終了した後、スライド軸をスライドさせることにより、濾布を捩って、ケーキを破壊することができるため、バスケット内からのケーキの回収を容易に行わせることができる。
第6の発明
第6の発明は、第3の発明または第4の発明に適用されるもので、本発明においては、フィルタが、バスケットの周壁部の内面に添わせて配置されてバスケットに対して固定される。また複数の連結棒は、固液分離処理によりバスケット内に形成されるケーキ内に埋設されるように設けられていて、リニア駆動機構によりスライド軸を駆動して可動蓋構造体をバスケットに対して変位させた際に複数の連結棒がバスケット内に形成されたケーキを破壊するように構成されている。
上記のように構成することによっても、固液分離処理を終了した後、スライド軸をスライドさせることにより、連結棒からケーキに力を加えてケーキを破壊することができるため、バスケット内からのケーキの回収を容易に行わせることができる。
第7の発明
第7の発明も第3の発明または第4の発明に適用される。本発明においてもフィルタが、バスケットの周壁部の内面に添わせて配置されて前記バスケットに対して固定される。本発明においては、可動蓋構造体の各連結棒に、固液分離処理によりバスケット内に形成されるケーキ内に少なくとも一部が埋設される突起が形成されて、リニア駆動機構によりスライド軸を駆動して可動蓋構造体をバスケットに対して変位させた際に突起がバスケット内に形成されたケーキを破壊するように構成さている。
上記のように構成した場合も、固液分離処理を終了した後、スライド軸をスライドさせることにより、ケーキを破壊することができるため、バスケット内からのケーキの回収を容易に行わせることができる。
第8の発明
第8の発明は第6の発明または第7の発明に適用される。本発明においては、軸結合機構が、リニア駆動機構によりスライド軸を回転軸の軸線方向に駆動した際にスライド軸と回転軸との間に生じる軸線方向の相対変位を該スライド軸の中心軸線を回転中心とした回転変位に変換してスライド軸に伝達することにより、スライド軸が軸線方向に変位する過程で該スライド軸を回転軸に対して相対的に回転させて可動蓋構造体とバスケットとの間に周方向の相対的変位を生じさせるように構成されている。
上記のように構成すると、固液分離処理を終了した後、スライド軸をスライドさせた際に、ケーキ中に埋設された連結棒または連結棒に設けられた突起を、バスケットの軸線方向に変位させながら周方向にも変位させることができるため、ケーキ層に捩り力を作用させて、ケーキを容易に破壊することができ、バスケット内からのケーキの回収を容易に行わせることができる。
第9の発明
第9の発明は、第5の発明または第8の発明に適用されるもので、本発明においては、軸結合機構が、回転軸側またはスライド軸側に形成された螺旋状のガイド溝と、スライド軸側または回転軸側に取付けられてガイド溝にスライド自在に嵌合されたガイド突起とを備えて、スライド軸を回転軸の軸線方向にスライドさせた際にガイド突起とガイド溝との間に生じる相対変位により、スライド軸が回転軸に対して相対的に回転させられるように構成される。
上記のように構成すると、回転軸とスライド軸との間に周方向の相対的変位を生じさせる機構を、スライド軸の径を特に大きくすることなく、スライド軸の内側に配置することができるため、遠心分離機を大形にすることなく、ケーキの回収が容易な遠心分離機を得ることができる。
第10の発明
第10の発明は、第3ないし第9の発明のうちのいずれかに適用される。本発明においては、バスケットの周壁部が、該バスケットの端部壁側から開口部側に向って次第に内径が大きくなるように形成されている。
上記のように構成すると、リニア駆動機構によりスライド軸を変位させて可動蓋構造体の蓋板を開位置側に変位させた際に、バスケット内に形成されているケーキをフィルタから離してフィルタとケーキ層との間に隙間を形成することができ、この状態でバスケットを回転させることにより、ケーキ層に遠心力を作用させて、ケーキ層を容易に破壊することができる。従って、バスケット内からのケーキの回収を容易に行なわせることができる。
第11発明
第11の発明は、第10の発明に適用されるもので、本発明においては、固液分離処理を行う際に、回転軸が鉛直方向に向いた状態で配置されて、バスケットの開口部が下方に開口した状態で配置される。
本発明のように構成すると、バスケット内からケーキを回収する際に、ケーキを下方に容易に落下させることができるため、バスケット内からのケーキの回収を容易に行なわせることができる。
本発明によれば、回転が許容された第1のフィードパイプと該第1のフィードパイプ内に流体を供給する第2のフィードパイプとによりフィードパイプを構成して、回転が許容された第1のフィードパイプの先端に、バスケット内の液面が規定位置に達したときに液層との接触により駆動されて変位を生じる接触子を取り付けるとともに、接触子の変位に伴って生じる第1のフィードパイプの回転変位を検出して検出動作を行う回転変位検出器を設けて、上記接触子と回転変位検出器とにより液面検出器を構成したので、フィードパイプに液面検出器の検出軸を兼ねさせて、遠心分離機の構造を複雑にすることなく、バスケット内に形成された液層の液面が規定位置に達したことを検出することができる。
また本発明によれば、バスケットの回転軸を中空に形成して、この回転軸の中空部内を貫通させて第1のフィードパイプをバスケット内に挿入するようにしたので、バスケットの開口部を蓋板により閉鎖して、バスケットを密閉した状態で固液分離処理を行う場合にも、液面検出器の検出部(接触子)をバスケット内に挿入して、バスケット内に形成される液層の液面が規定位置に達したことを正確に検出することができる。またバスケット内への給液量を制御するために、遠心分離機全体の質量を計測する大がかりな質量計を設ける必要がないため、遠心分離機の構造の簡素化を図ることができる。
特に本願に開示された第2の発明によれば、接触子をバスケットと中心軸線を共有する円盤により構成したので、接触子がバスケット内に形成された液層の液面に接触した際に跳ね返されることがなく、接触子と液層と間の接触抵抗が第1のフィードパイプに回転変位を生じさせるために必要な大きさに達した時に回転して回転変位検出器に検出動作を行わせるため、液面の一部に立った波に反応して検出動作が行われるのを防いで、液面が規定位置に達したことの検出を正確に行わせることができる。
また本願に開示された第3の発明によれば、バスケットの開口部を閉じてバスケットを密閉した状態で固液分離処理を行う場合にも、液面検出器の検出部をバスケット内に挿入して、バスケット内の液面が規定位置に達したことを正確に検出することができる。
本願に開示された第4の発明によれば、バスケットの開口部を閉じてバスケットを密閉した状態で固液分離処理を行うように遠心分離機を構成する場合に、接触子としてバスケとを軸線を共有する円盤を用いるので、接触子が液面の一部に立った波に反応して検出動作が行われるのを防いで、液面が規定位置に達したことの検出を正確に行わせることができる。
第5の発明によれば、固液分離処理を終了した後、スライド軸をスライドさせることにより、濾布を捩って、ケーキを破壊することができるため、バスケット内からのケーキの回収を容易に行わせることができる。
第6の発明によれば、固液分離処理を終了した後、スライド軸をスライドさせることにより、連結棒からケーキに力を加えてケーキを破壊することができるため、バスケット内からのケーキの回収を容易に行わせることができる。
第7の発明によれば、固液分離処理を終了した後、スライド軸をスライドさせることにより、連結棒に設けた突起からケーキに力を加えてケーキを破壊することができるため、バスケット内からのケーキの回収を容易に行わせることができる。
本願に開示された第8の発明によれば、固液分離処理を終了した後、スライド軸をスライドさせた際に、ケーキ層に捩り力を作用させて、ケーキを容易に破壊することができるため、バスケット内からのケーキの回収を容易に行わせることができる。
また本願に開示された第9の発明によれば、回転軸とスライド軸との間に周方向の相対的変位を生じさせる機構を、スライド軸の径を特に大きくすることなく、スライド軸の内側に配置することができるため、遠心分離機を大形にすることなく、ケーキの回収が容易な遠心分離機を得ることができる。
第10の発明によれば、バスケットの周壁部が、該バスケットの端部壁側から開口部側に向って次第に内径が大きくなるように形成されているので、リニア駆動機構によりスライド軸を変位させて可動蓋構造体の蓋板を開位置側に変位させた際に、バスケット内に形成されているケーキをフィルタから離してバスケットとケーキとの間に隙間をあけた状態にすることができ、この状態でバスケットを回転させてケーキに遠心力を作用させることにより、ケーキを破壊することができる。従って、バスケット内からのケーキの回収を容易に行なわせることができる。
第11の発明によれば、固液分離処理を行う際に、回転軸が鉛直方向に向いた状態で配置されて、バスケットの開口部が下方に開口した状態で配置されるので、バスケット内からケーキを回収する際に、ケーキを下方に容易に落下させて、バスケット内からのケーキの回収を容易に行なわせることができる。
以下図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
図1ないし図6において、1は円筒状に形成されて中心軸線を鉛直方向に向けて配置された下部ケースである。下部ケース1は、その上端及び下端にそれぞれ開口部1a及び1bを有し、その外周面の上端寄りの部分には、正方形の輪郭形状を有する鍔板2が溶接されている。鍔板2の上面には、下部ケース1の外周面に沿って周方向に間隔をあけて並べて配置された多数の連結部材3,3,…が溶接されている。各連結部材3には、連結ボルト4の下端がピン5により連結され、各連結ボルトの他端には円形の把手6が取り付けられたナット7が螺合されている。
下部ケース1の上端には円形のフランジ板8が溶接され、このフランジ板の上に下部ケースの蓋を兼ねる円形の第1の支持板9が載せられている。第1の支持板9の外周寄りの部分には連結ボルト4,4,…をそれぞれ嵌合させる溝10,10,…が放射状に形成され、連結ボルト4,4,…をそれぞれ対応する溝10,10,…に嵌合させた状態で、連結ボルト4,4,…にそれぞれ螺合されたナット7,7,…を第1の支持板9に対して締め付けることにより、第1の支持板9を下部ケース1に固定することができるようになっている。第1の支持板9の中央部には、後記する回転軸の一端を下部ケース1内に導入するための孔9aが、その中心軸線を下部ケースの中心軸線と一致させた状態で設けられている。
鍔板2の4つの角部にそれぞれショックアブソーバを備えた支持脚11,11,…(図3参照)の上端が固定され、これらの支持脚により、遠心分離機が設置面に対して支持される。遠心分離機を支持脚11、11、…により支持した状態では、下部ケース1の下端と設置面との間にケーキを搬出するために利用されるスペースが形成される。
下部ケース1の上端に固定された第1の支持板9の上には、円筒状に形成された上部ケース12が、その中心軸線を下部ケース1の中心軸線と一致させた状態で配置されている。上部ケース12は、その下端に外フランジ12aを有していて、この外フランジ12aが多数のボルト13,13,…により第1の支持板9に締結されている。上部ケース12の上端には第2の支持板14が固定され、この第2の支持板の上に枠体15が固定されている。
枠体15は、板面を水平方向に向けて互いに平行に配置された一対の側板15a,15bと、これらの側板の上端間に跨って配置されて、側板15a,15bの上端に設けられた内鍔部にボルト16により締結された連結板15cとにより門形に構成され、側板15a,15bの下端に設けられた内鍔部がボルト17により支持板14に固定されることによって、枠体15が第2の支持板14に取り付けられている。第2の支持板14には、後記する回転軸保持筒を嵌合させて位置決めするための円形の位置決め孔14aが、その中心軸線を下部ケース1の中心軸線と一致させた状態で設けられている。
本実施形態では、下部ケース1と、第1の支持板9と、上部ケース12と、枠体15とにより、遠心分離機のフレームが構成されている。下部ケース1の下端の開口部1bには、該開口部を閉じる蓋板18を取り付けたり、ケーキを排出するホッパを接続したりすることができるようになっている。
第1の支持板9の中心部には、円筒状の回転軸保持筒20が、その中心軸線を下部ケース1の中心軸線と一致させた状態で固定されている。回転軸保持筒20は、その下端にフランジ20aを有して、このフランジに環状の下部端板21が突き当てられ、下部端板21とフランジ20aとがボルト22により締結されている。回転軸保持筒20の上端には環状の上部端板23が配置され、上部端板23と回転軸保持筒20とがボルト24により締結されている。
回転軸保持筒20は、その上端を支持板14の位置決め孔14aに嵌合させ、下部端板21を孔9aと整合させて第1の支持板9に突き当てた状態で配置され、フランジ20aと端板21とを貫通したボルト25が第1の支持板9にねじ込まれることにより、第1の支持板9に固定されている。回転軸保持筒20の下部端板21と第1の支持板9との間には、Oリング等のシール部材が挿入されている。回転軸保持筒20の上端寄りの部分の外周には環状のフランジ板26が溶接され、このフランジ板26が支持板14に突き当てられている。支持板14とフランジ板26とは、図示しないボルトにより締結されている。
回転軸保持筒20の内側には、中心軸線を下部ケース1の中心軸線に一致させた状態で配置された中空管状の回転軸30が、軸受け31及び32を介して回転自在に支持されている。回転軸30と下部端板21との間及び回転軸30と上部端板23との間にはシール部材が配置されている。回転軸30の下端30aは、第1の支持板9の中心部に設けられた孔9aをゆるく貫通して下部ケース1内に導入され、回転軸30の上端30bは、回転軸保持筒20の上端から外部に導出されている。本実施形態では、回転軸保持筒20と、軸受け31及び32とにより、回転軸30を支持する軸受け装置35が構成されている。回転軸30の上端には、後記する回転駆動源の回転を回転軸30に伝達するために用いるプーリ36が取り付けられている。
第1の支持板9の孔9aを通して下部ケース1内に挿入された回転軸30の下端30aには、バスケット40が取り付けられている。バスケット40は、横断面の輪郭が円形を呈する環状の周壁部40aと、周壁部40aの軸線方向の一端を閉じる円形の端部壁40bと、周壁部40aの軸線方向の他端の端面に重ねて配置されて該周壁部40aにボルト止めされたリング状のフィルタ固定具55とを備えている。バスケット40の周壁部40aの軸線方向の他端には、内径側に突出した突出部を持たずにストレートに開口した開口部40dが形成されている。バスケット40の周壁部40aには、固液分離処理を行なう際に分離された液分を透過させるための多数の透孔(図示せず。)が形成されている。
バスケット40は、その中心軸線を回転軸30の中心軸線と一致させ、回転軸30の中空部内を周壁部40aの内側の空間に開口させた状態で、回転軸30の一端(下端)に連結されている。図示の例では、回転軸30の下端30aがバスケット40の端板40bの中央部に設けられた孔に嵌合されることにより、バスケット40が回転軸30と軸線を共有するように位置決めされ、回転軸30の下端寄りの部分に形成された外鍔部がバスケットの端部壁40bの外面に突き当てられることによりバスケット40が回転軸30の軸線方向に位置決めされている。そして、回転軸30の外鍔部とバスケットの端部壁40bとがボルト41により締結されることにより、バスケット40の端部壁40aの中心部が回転軸30の一端に連結されている。
バスケット40の周壁部40aの開口端の外周には、外鍔部40dが形成され、この外鍔部にガイド筒体42が取り付けられている。ガイド筒体42は、バスケットの開口端側から端部壁40b側に向うに従って徐々に径が大きくなっていくようにテーパが付けられた周壁部を有する筒体からなっていて、その小径側の端部がバスケット40の開口端に設けられた外鍔部40dに固定されている。ガイド筒体42の大径側の端部には径方向の外側に突出した張出し部42aが形成され、張出し部42aの外周には、バスケットの開口部側に突出したスカート部42a1が形成されている。
下部ケース1の内周には、環状の樋43が、ガイド筒体42の張出し部42aの下方に位置させた状態で固定され、固液分離処理を行う際に、バスケット40の周壁部40aに設けられた透孔を通して排出された液分が、ガイド筒体42によりガイドされて樋43内に流入するようになっている。下部ケース1の周壁部には、樋43内に排出された液分を外部に流出させるための排液口45が設けられ、この排液口の開口端の周縁部に図示しない排液パイプを接続するためのフランジを備えた排液パイプ接続口46が溶接されている。
回転軸30内には、中空管状のスライド軸50がスライド自在に嵌合されている。スライド軸50は、回転軸30よりも長い長さを有していて、その一端50aが回転軸30の一端(バスケット側の端部)を越えてバスケット40内に導入されている。スライド軸50の他端50bは、回転軸30の他端(上端)30bから外部に(上方に)導出されている。
バスケット40内に導入されたスライド軸50の一端50aには、可動蓋構造体51が取り付けられている。可動蓋構造体51は、バスケット40内に配置されてスライド軸50の中空部の一端をバスケット内に開口させた状態でスライド軸50の一端に結合された可動板52と、バスケット40の開口部の外側に配置されてバスケット40の開口部を開閉する蓋板53と、バスケット40の周方向に間隔をあけた状態でバスケット内に配置されて可動板52と蓋板53とを連結する複数の連結棒54とを有している。複数の連結棒54の内側には、円錐状の拡散板56が、その頂点をスライド軸50側に向け、中心軸線をバスケット40の中心軸線に一致させた状態で配置され、この拡散板が複数の連結棒54の中間部に支持されている。拡散板56は、後記するフィードパイプを通してバスケット内に供給される原液をバスケットの周壁部40a側に拡散するために設けられている。
可動蓋構造体51は、スライド軸50のスライド変位に伴って、蓋板53がバスケット40の開口部40dを閉じた状態になる閉位置(図1に示された位置)と、バスケットの開口部40dとの間に隙間Gを形成した状態になる開位置(図2に示された位置)との間を変位させられる。
本実施形態では、図1に示したように、可動蓋構造体51が閉位置にあるときに、蓋板53がバスケット40の開口部に当接して、バスケット40の開口部を気密かつ液密に閉じた状態になるとともに、可動板52がバスケット40の端部壁40bの内面に近接した位置に配置され、可動蓋構造体51が開位置にあるときには、図2に示したように、蓋板53がバスケット40の周壁部40aの開口端から十分に離れた位置に達するとともに、可動板52がバスケット40の周壁部40aの開口端寄りの位置に達するように、可動板52と蓋板53との間の位置関係と、スライド軸50のスライド変位量とが設定されている。
本実施形態で用いている可動板52は、スライド軸50の中空部に連通する孔を中央部に有する円板状の部材からなっていて、その外周部がバスケット40の周壁部40aの内周に近接して配置されている。
可動蓋構造体51の蓋板53のバスケット40内に臨む面53aは、バスケット40の端部壁40b側に凸な円錐面となっていて、蓋板53の上に落下したケーキの破片を円錐面53aの傾斜により蓋板53の外周側に容易に移動させることができるようになっている。
スライド軸50の外周に螺旋状のガイド溝60が形成され、回転軸30の上端寄りの部分の内周に取り付けられたガイド突起61(図1参照)が、ガイド溝60にスライド自在に嵌合されている。ガイド溝60は大きいピッチを持ってほぼ90°の角度の範囲を伸びるように設けられていて、スライド軸50が回転軸30の軸線方向にスライドさせられたときに、ガイド溝60がガイド突起61により拘束されつつ変位することにより、スライド軸50と回転軸30との間に、一定の角度範囲(図示の例ではほぼ90°)の周方向の相対的変位が生じさせられ、これにより、可動蓋構造体51とバスケット40との間に周方向の相対的変位が生じさせられるようになっている。ガイド突起61としては、ガイド溝60に嵌合し得る大きさを有するピンや、ガイド溝60に嵌合し得る形状に形成されたキー等を用いることができる。ガイド突起61とガイド溝60との嵌合により、スライド軸50と回転軸30とが一緒に回転するように結合されている。
本実施形態では、スライド軸50に設けられたガイド溝60と、回転軸30に取り付けられたガイド突起61とにより、スライド軸50と回転軸30とを一緒に回転させるように結合するとともに、スライド軸50が回転軸30の軸線方向にスライドした際にスライド軸50と回転軸30との間に周方向の相対的変位を生じさせるようにスライド軸50と回転軸30とを結合する軸結合機構が構成されている。後記するリニア駆動機構によりスライド軸50を変位させて可動蓋構造体51を開位置側に変位させる過程で、上記軸結合機構により、スライド軸と回転軸との間に周方向の相対的変位が生じさせられることにより、可動蓋構造体51とバスケット40との間に周方向の相対的変位が生じさせられるように構成されている。
なお図示の例では、スライド軸50側に形成された螺旋状のガイド溝60と、回転軸30側に取り付けられてガイド溝60にスライド自在に嵌合されたガイド突起61とにより軸結合機構を構成しているが、回転軸30側に形成された螺旋状のガイド溝と、スライド軸50側に取り付けられてガイド溝にスライド自在に嵌合されたガイド突起とにより、上記と同様の機能を果たす軸結合機構を構成することもできる。
上部ケース12の上端に取り付けられた第2の支持板14の上には、枠体15の内側に位置させて、バスケットの中心軸線に対して対称な位置に位置させて配置された一対の軸受け装置63A及び63Bが取り付けられ、これらの軸受け装置により、鉛直方向に伸びるネジ棒64A及び64Bの下端が回転自在に支持されている。ネジ棒64A及び64Bの上端は枠体15の側板15a及び15bにそれぞれ取り付けられた軸受け保持部材65A及び65Bに保持された軸受け66A及び66Bにより回転自在に支持されている。ネジ棒64A及び64Bはそれぞれ可動フレーム67に固定されたナット68A及び68Bに螺合され、ネジ棒64A及び64Bの回転に伴って可動フレーム67がバスケット40の軸線方向に沿って上下に駆動されるようになっている。ネジ棒64A及び64Bに後記する回転駆動源の回転を伝達するため、ネジ棒64A及び64Bの下端寄りの部分に歯付きプーリ69A及び69Bが取り付けられている。
可動フレーム67の中心部には軸受け70が取り付けられていて、この軸受けによりスライド軸50の上端が回転自在に支持されている。従って、スライド軸50は、可動フレーム67の上下動に伴って、バスケット40の軸線方向にスライドさせられる。可動フレーム67の上には、スライド軸50の中空部内に連通する孔を中心部に有する台板71が固定され、この台板71の上に検出箱72の底部がボルトにより締結されている。
スラスト軸50の内側には、鉛直方向に伸びる第1のフィードパイプ75が回転自在に挿入されている。第1のフィードパイプ75の後端部(上端)には、該フィードパイプの他の部分よりも肉厚に形成された円筒体75aが固定され、この円筒体75aが、検出箱72の底部72aの中央部に設けられた孔内に保持された軸受け76により回転自在に支持されている。これにより、第1のフィードパイプ75が、バスケット40の中心軸線を回転中心として回転し得るように支持されている。第1のフィードパイプ75はスライド軸50を支持する軸受け70とは別の軸受け76により支持されているため、回転軸30及びスライド軸50の回転とは無関係にバスケット40の中心軸線を回転中心として回転することができる。第1のフィードパイプ75はまた、スライド軸50とともに可動フレーム67に支持されているため、スライド軸50がスライドする際には、該スライド軸とともにバスケットの軸線方向にスライドする。第1のフィードパイプ75の先端(下端)は、スライド軸50のバスケット内への開口端(下端)を越えてバスケット40内に導入されている。
枠体15の連結板15cには、該連結板の中央部を貫通させた状態で、第1のフィードパイプ75よりも小径の第2のフィードパイプ76が支持されている。第2のフィードパイプ76は、第1のフィードパイプの回転を許容しつつ該第1のフィードパイプ内に流体を供給するために設けられたもので、この第2のフィードパイプが、第1のフィードパイプ75の後端部側から該第1のフィードパイプ内に挿入されている。第1のフィードパイプ75と第2のフィードパイプ76とにより、固液分離処理を行なう際にバスケット40内に原液を供給するフィードパイプが構成されている。第2のフィードパイプ76は、第1のフィードパイプ75がスライド軸50とともに下限位置(バスケット側の限界位置)までスライドした状態でも,その先端寄りの相当部分が第1のフィードパイプ75内に挿入された状態にあるように、十分な長さを持って設けられている。
上記のフィードパイプは、バスケット40内への原液の供給以外の目的にも使用できる。例えば、固液分離処理が終了した後、バスケット40内に形成されたケーキを洗浄する際には、上記フィードパイプを通してバスケット内に洗浄液を供給することができる。また1ロットの固液分離処理が終了した後、遠心分離機のバスケットを洗浄する際には、バスケットを洗浄する洗浄液を供給するために上記フィードパイプを用いることができる。更に、バスケット内に圧縮されたガスを供給して加圧濾過を行なう場合には、フィードパイプを通してバスケット40内に圧縮ガスを供給することもできる。
バスケット40内に原液または洗浄液を供給する際には、第2のフィードパイプ76に給液ラインが接続され、バスケット40内に圧縮ガスを供給する際には、第2のフィードパイプ76に圧縮ガスの供給ラインが接続される。バスケット40が回転する際に第2のフィードパイプ76は回転しないため、第2のフィードパイプ76と給液ラインとの接続部及び第2のフィードパイプ76と圧縮ガス供給ラインとの接続部にはロータリジョイントを必要とせず、それぞれの接続を容易にすることができる。固液分離処理を行う際にバスケット内に圧縮ガスを供給して加圧濾過を行う場合には、第2のフィードパイプ76に切替バルブを介して給液ラインと圧縮ガス供給ラインとを接続して、第2のフィードパイプ76を通してバスケット40内に原液または洗浄液を供給する状態と、第2のフィードパイプ76を通してバスケット40内に圧縮ガスを供給する状態とを簡単に切り替えることができるようにしておくことが望ましい。
上記のように、本実施形態においては、バスケット内に流体を供給するフィードパイプが、バスケット40の中心軸線を回転中心としてバスケットに対して相対的に回転し得るように設けられてスライド軸50を貫通して先端部がバスケット40内に挿入された第1のフィードパイプ75と、フレームに対して支持されて第1のフィードパイプ75の後端部側から該第1のフィードパイプ内に挿入されて、第1のフィードパイプの回転を許容しつつ該第1のフィードパイプ内に流体を供給する第2のフィードパイプ76とにより構成されている。
第1のフィードパイプ75のバスケット40内に挿入された先端部には、バスケット40と中心軸線を共有するように配置された円盤からなる液面検出器の接触子78が取り付けられている。図示の接触子78は、その円盤状の部分の内周部にボス部78aを有していて、このボス部が第1のフィードパイプ75の先端部の外周に嵌合されて適宜の手段により第1のフィードパイプ75に固定されている。
接触子78は、バスケット40内に形成される液層の液面に接触したときに、該液層との接触抵抗により、液層の回転方向と同方向(バスケットの回転方向)に回転駆動されて、フィードパイプ75を液層の回転方向と同方向に回転させる。接触子78が液層に接触して駆動されたときに第1のフィードパイプ75に生じる回転変位を第1のフィードパイプ75の後端部側で検出するため、検出箱72内に、回転変位検出器80が設けられている。
図6に示されているように、本実施形態で用いる回転変位検出器80は、第1のフィードパイプ75の上端に固定されて、第1のフィードパイプとともに回転する円筒体75aの外周に一端が固定されたスイッチ駆動用突起81と、第1のフィードパイプ75の回転に伴って生じるスイッチ駆動用突起81の回動変位に応動して検出動作(オン状態からオフ状態になる動作またはオフ状態からオン状態になる動作)を行なうリミットスイッチ82とを備えて、リミットスイッチ82が検出動作を行なったときにバスケット40内に形成された液層の液面が規定位置に達したことを検出する。
図6に示された例では、リミットスイッチ82が検出箱72内の一つのコーナ部に配置されて検出箱72の底面に固定されている。図示のリミットスイッチ82は、そのケーシング82aの側面から突出した操作子(ノブ)82bを有し、バスケット40内の液面が規定位置に達する前の状態では、操作子82bがスイッチ駆動用突起81により押された状態にある。図示のリミットスイッチ82は、操作子82bが押された状態にあるときにオン状態にあり,操作子82bに与えられていた押圧力が除去されたときにオフ状態になるように構成されている。本実施形態では、リミットスイッチがオン状態からオフ状態になる動作を、バスケット内の液層の液面が規定位置に達したことを検出する検出動作とする。
フィードパイプ75とともに回転する円筒体75aの外周には、レバー83の後端部が固定され、レバー83の先端と検出箱72の一つの側壁72bとの間に、第1のフィードパイプ75を、固液分離処理を行なう際のバスケットの回転方向とは逆方向(図6において反時計方向)に付勢するバネ84が設けられている。バネ84の一端はレバー83の先端にピンを介して連結され、他端は検出箱72の側壁72aを貫通したネジ86に連結されている。検出箱72の側壁72aを貫通して外部の導出されたネジ86の端部にはナット87が螺合され、このナット87の螺合量を調節することによりバネ84の付勢力を微調整することができるようになっている。バネ84は、レバー83を図6において反時計方向に付勢することにより、スイッチ駆動用突起81がリミットスイッチ82の操作子82bに押圧力を与えて該リミットスイッチをオン状態に保持する側に第1のフィードパイプ75を付勢する。接触子78はバスケット内の液層が該接触子に接触したときにバスケットの回転方向と同方向に駆動され、その駆動力がバネ84の付勢力を超えたときに第1のフィードパイプ75とともにバスケットの回転方向と同方向に回転させられる。
本実施形態では、バスケット40内の液層の液面が規定位置に達したときに、液層により駆動された接触子78が第1のフィードパイプ75とともに回転を開始してリミットスイッチ82に検出動作を行なわせるように、接触子78の外径と、バネ84の付勢力とが設定される。
検出箱72の側壁72bには、エアシリンダ85が取り付けられ、エアシリンダ85のピストンロッド85aの先端がレバー83に突き当てられている。エアシリンダ85は圧縮空気が与えられていない状態にあるときにそのピストンロッドを後退させてレバー83を付勢しない状態にあり、圧縮空気が与えられたときにピストンロッド85aを前進させてレバー83をバネ84の付勢力に抗して図6において時計方向に回動させる。
図示してないが、エアシリンダ85への圧縮空気の供給を制御する電磁バルブが設けられ、リミットスイッチ82の状態に応じてこの電磁バルブを制御する制御回路が設けられている。この制御回路は、スイッチ駆動用突起81がリミットスイッチ82の操作子82bを押していて、該リミットスイッチがオン状態にあるときにエアシリンダ85への圧縮空気の供給を停止し、第1のフィードパイプ75にバスケットの回転方向と同方向の回転変位が生じてスイッチ駆動用突起81がリミットスイッチ82の操作子82bを解放したことにより、リミットスイッチ82がオフ状態になったときにエアシリンダ85に一定の時間の間だけ圧縮空気を供給するように、上記電磁バルブを制御する。エアシリンダ85に圧縮空気を供給する時間は、バスケット40内に形成された液面が規定位置に達した後、バスケット内への給液を再開するのに適した位置まで後退するのに要する時間(給液停止時間)に等しく設定される。この時間は、原液を液分とケーキとに分離する処理の進行の度合いを勘案して実験的に決定する。
バスケット40内に原液が存在しないとき、及びバスケット内に原液が供給されているが、バスケット内の液層の液面が規定位置に達していないときには、バスケット内の液層が接触子78の外周に接触しないため、接触子78が液層により駆動されて回転変位を生じることはない。このときリミットスイッチ82の操作子82bが突起81により押されているため、該リミットスイッチはオン状態に保持される。従ってバスケット内の液層の液面が規定位置に達する前の状態でリミットスイッチが検出動作を行なうことはない。
バスケット40内への原液の供給が進み、バスケット内に形成される液層の液面が規定位置に達すると、該液層が接触子78の外周に接触するようになるため、接触子78と液層との間の接触抵抗により接触子78がバスケット40の回転方向と同方向に駆動される。液層から接触子78に与えられる駆動力がバネ84の付勢力を超えると、接触子78が第1のフィードパイプ75とともにバスケット40の回転方向と同方向に回転させられる。これにより、スイッチ駆動用突起81が図6において時計方向に回動してリミットスイッチ82の操作子82bを解放するため、リミットスイッチ82がオフ状態になって、バスケット内の液層の液面が規定位置に達したことを検出する検出動作を行なう。リミットスイッチが検出動作を行なうと、エアシリンダ85に圧縮空気が供給されるため、そのピストンロッド85aが前進してレバー83を押し、第1のフィードパイプ75をバスケットの回転方向と同方向(図6において時計方向)に回転させて、スイッチ駆動用突起81をリミットスイッチ82の操作子82bから離す。これにより、バスケット内の液面に生じる波により接触子78に生じる振動がリミットスイッチ82の操作子に伝達されて該リミットスイッチがオンオフを繰り返すのを防止する。
リミットスイッチ82が検出動作を行なったときには、設定された一定の給液停止時間の間フィードパイプ75への原液の供給が停止される。リミットスイッチ82が検出動作を行なった後、設定された休止停止時間が経過すると、エアシリンダ85への圧縮空気の供給が停止されるため、リミットスイッチ82がオン状態にされ、バスケット内への原液の供給が再開される。
本実施形態では、第1のフィードパイプ75が液面検出器の検出軸を兼ねており、接触子78と第1のフィードパイプ75と検出箱72内に設けられた回転変位検出器80とにより、液面検出器が構成されている。
本実施形態のように、回転が許容された第1のフィードパイプ75の先端部に固定されてバスケット40内に形成された液層に接触した際に該液層により駆動されて変位を生じる接触子78と、接触子78の変位に伴って生じる第1のフィードパイプ75の回転変位を検出して検出動作を行う回転変位検出器80とにより液面検出器を構成すると、フィードパイプに液面検出器の検出軸を兼ねさせることができるため、遠心分離機の構成の簡素化を図ることができる。
本実施形態のように、フィードパイプ75の中心軸線をバスケット40の中心軸線と一致させた状態で配置すると、バスケット内に形成される液層の液面の規定位置を、フィードパイプをバスケットの中心軸線に対して偏心した位置に配置する場合に比べて、よりバスケットの内径側に設定することができるため、バスケット40内に供給し得る原液の量を増やすことができ、固液分離処理1回当たりの処理容量を増大させることができる。
また本実施形態のように、液面検出器の接触子78を、バスケット40と中心軸線を共有する円盤により構成すると、接触子78は、バスケット内に形成された液層の液面に接触した際に跳ね返されることがなく、液層と間の接触抵抗が第1のフィードパイプ75に回転変位を生じさせるために必要な大きさに達した時に回転して回転変位検出器80に検出動作を行わせるため、液面の一部に立った波に反応して検出動作が行われるのを防いで、液面が規定位置に達したことの検出を正確に行わせることができる。
図3及び図4に示されているように、第2の支持板14に駆動ユニット90が支持されている。この駆動ユニットは、第2の支持板14に端部がボルト止めされたユニットフレーム91と、ユニットフレーム91の下側に支持された第1のモータ92と、ユニットフレーム91の上側に支持された第2のモータ93と、第2のモータ93の回転を減速する減速機94と、第1のモータ92の回転軸92aに取り付けられたプーリ95と、減速機94の出力軸94aに取り付けられた歯付きプーリ96とを備えている。
第1のモータ92はその回転軸92aを上方に向けた状態で設けられ、プーリ95は、回転軸30に取り付けられたプーリ6と同じ高さの位置に配置されるように位置決めされて回転軸92aに取り付けられている。また減速機94はその出力軸94を下方に向けた状態で配置され、歯付きプーリ96は、ネジ棒64A及び64Bにそれぞれ取り付けられた歯付きプーリ69A及び69Bと同じ高さの位置に配置されるように位置決めされて出力軸94に取り付けられている。プーリ95とプーリ36とにVベルト98が掛け渡され、プーリ36及び95と、ベルト98とにより、第1のモータ92の回転を回転軸30に伝達するベルト伝達機構が構成されている。このベルト伝達機構と第1のモータ92とにより、バスケット40を回転駆動する回転駆動装置が構成されている。
またネジ棒64A及び64Bにそれぞれ取り付けられた歯付きプーリ69A及び69Bと、減速機94の出力軸に取り付けられた歯付きプーリ96とにタイミングベルト99が掛け渡され、第2のモータ93と、減速機94と、歯付きプーリ96と、歯付きプーリ69A及び69Bと,タイミングベルト99とにより、リニア駆動機構用の回転駆動装置が構成されている。またこの回転駆動装置と、ネジ棒64A及び64Bと、ナット68A及び68Bと、可動フレーム67とにより、スライド軸50をその回転を許容した状態で回転軸30の軸線方向に駆動するリニア駆動機構が構成されている。
本実施形態では、バスケット40の周壁部40aの内周に配置するフィルタとして、バスケットの周壁部の内周に添わせた際に円筒状の形態をとるように形成された周知の濾布100が用いられている。濾布100は、バスケット40の周壁部40aの内周に添わせた状態で配置されて、その一端が全周に亘って円板状の可動板52の外周部に固定されている。また濾布100の他端は、その全周がバスケット40の周壁部40aの開口端部に固定されている。
本実施形態では、可動板52にリング状の固定具101を配置して、この固定具と可動板52との間に濾布100の端部を挟み込んだ状態で固定具101を可動板52にボルト102で締結することにより、濾布100の一端を可動板52に固定している。またバスケットの周壁部40aの開口端の端面と、該端面に重ねられたリング状の固定具55との間に濾布100の他端を挟み込んで、固定具55をバスケット40に締結することにより、濾布100の他端をバスケットの開口端に固定している。固定具55の端面または蓋板53の外周部には、蓋板53を該固定具55に突き当てた状態で蓋板53と固定具55との間の気密及び液密を図るためのシール部材が貼り付けられ、図1に示されているように、可動蓋構造体51が閉位置にあるときに、蓋板53がこのシール部材に突き当てられることにより、バスケット40内が気密及び液密に閉鎖されるようになっている。可動蓋構造体51が閉位置に変位させられた状態では、前記リニア駆動機構から与えられる付勢力により、蓋板53がバスケット40の開口端に取り付けられた固定具55に強圧された状態にされる。これにより可動蓋構造体51とバスケット40とが一緒に回転するように機械的に強固に結合される。従って、バスケットを可動蓋構造体51とともに高速回転させる際に、ガイド突起61とガイド溝60との嵌合部に大きな力がかかることはない。
本実施形態ではまた、必要に応じて、下部ケース1の下端に蓋18を取り付けることができるようになっており、この蓋18により下部ケース1の下端の開口部1bを液密に閉じることができるようになっている。
本実施形態の遠心分離機を用いて固液分離処理を行う際には、可動蓋構造体51を図1に示す閉位置に位置させた状態で、モータ92を駆動して回転軸30をスライド軸50と共に回転させ、バスケット40を高速回転させる。バスケット40を高速回転させた状態で、フィードパイプ76及び75を通してバスケット40内に原液を供給する。
バスケット40内に供給された原液は、遠心力によりバスケットの周壁部40aに押しつけられるため、バスケットの周壁部40aの内周に液層が形成される。バスケット内に供給された原液の液分は、濾布100とバスケット40の周壁部40aの透孔とを通してバスケット外に排出され、濾布100の内側にケーキ層が形成されていく。バスケット40の周壁部の透孔から排出された液分は、ガイド筒体42によりガイドされて樋43上に落下させられ、排液口45から外部に排出される。濾布100とバスケットの周壁部の透孔とを通して排出される液分の量よりもバスケット内に供給される原液の量の方が多いため、バスケットの周壁部の内周に形成される液層の内周の液面は、バスケットの内径側に移動していく。
やがてバスケット40内に形成された液層の液面が液面検出器の接触子78に接触するようになると,液層が接触子78を第1のフィードパイプ75と共にバスケットの回転方向と同方向に駆動する。この駆動力が検出箱72内に設けられたバネ84の付勢力を超えると、接触子78が第1のフィードパイプ75と共に回転し、スイッチ駆動用突起81がリミットスイッチ82から離れる。これによりリミットスイッチ82がオフ状態になって、検出動作を行なう。バスケット内の液層の液面が規定位置に達したときに接触子78が第1のフィードパイプ75とともに回転してリミットスイッチ82に検出動作を行なわせるように、接触子78の外径と、バネ84の付勢力とが設定されているため、リミットスイッチ82は、バスケット内の液層の液面が規定位置に達したときに検出動作を行なう。
リミットスイッチ82が検出動作を行なうと、制御回路が第2のフィードパイプ76に接続された給液バルブ(図示せず。)を閉じてバスケット内への原液の供給を一定の給液停止時間の間停止させる。制御回路はまた、一定の給液停止時間の間エアシリンダ85に圧縮空気を与えてそのピストンロッド85aを伸張させる。これによりレバー83が図6において時計方向に駆動され、第1の給液パイプ75がバスケットの回転方向と逆方向に回転させられるため、スイッチ駆動用突起81がリミットスイッチ82の操作子82bから離れた位置に保持され、リミットスイッチ82の接点がオンオフを繰り返すのが防止される。
一定の給液停止時間の間バスケット内への原液の供給を停止することにより、バスケット40内の液面が規定位置よりも外径側に移動していく。給液停止時間が経過すると、エアシリンダ85への圧縮空気の供給を停止させるため、そのピストンロッド85aが後退して第1のフィードパイプ75をバネ84の付勢力によりバスケットの回転方向と逆方向に回転させる。これによりスイッチ駆動突起81がリミットスイッチ82の操作子82bを押圧するため、リミットスイッチ82がオン状態になり、バスケット内の液層の液面が規定位置よりもバスケットの外径側にあることを示す検出動作を行なう。このとき制御回路は、給液バルブを開いてバスケット内への原液の供給が再開させる。バスケット40内への給液を停止する給液休止期間の間、第2のフィードパイプ76を圧縮ガス供給源に接続してバスケット40内に加圧されたガスを供給すると、液分の分離を促進することができる。
上記の動作を繰り返すことにより、バスケット内の液面が規定位置を超えないようにバスケット内への原液の供給を制御しつつ固液分離処理を行なう。固液分離処理を行なう際にバスケット内への原液の供給が停止した時刻から原液の供給が再開された時刻までの時間が設定された時間よりも短くなったときに、バスケット内に形成されたケーキ層の厚みが所定値に達したと判定して、固液分離処理を終了する。バスケット内に所定の厚みのケーキ層が形成された状態では、可動蓋構造体51の可動板52の外周寄りの部分がケーキ層の軸線方向端面に接した状態にある。
固液分離処理が終了した後、フィードパイプ76及び75を通してバスケット内に洗浄液を供給し、バスケットを高速回転させてケーキの洗浄工程を行う。ケーキを洗浄する工程でも、液面検出器により洗浄液の液面を検出してバスケット内の液面の管理を行なう。洗浄液の液面の管理は、洗浄液の液面が規定位置に達したことが検出されたときに洗浄液の供給を停止して一定の脱液時間の間脱液を行なわせ、脱液時間が経過したときに洗浄液の供給を再開させることにより行なう。洗浄液の供給を停止している間(脱液期間)にフィードパイプ76及び75を通してバスケット内に圧縮ガスを供給して加圧濾過を行なうと、脱液を促進して洗浄時間を短縮することができる。
バスケット内への洗浄液の供給と、該洗浄液の脱液とを所定回数繰り返し、脱液によりケーキ内の残留液分を減少させた後、ケーキの洗浄工程を終了する。その後、フィードパイプ76及び75を通してバスケット40内に乾燥した高温の圧縮ガス(ドライエアー)を送り込み、ケーキ中の残留液分を更に減少させる乾燥工程を行う。
バスケット内のケーキが十分に乾燥した後、バスケット40を減速し、バスケット40を低速で回転させたままの状態で、モータ93を駆動して、スライド軸50を下降させ、可動蓋構造体51を図2に示された開位置に向けて変位させる。このとき、ガイド突起61とガイド溝60との嵌合により、スライド軸50と回転軸30との間に周方向の相対的変位を生じさせ、可動蓋構造体51とバスケット40との間に周方向の相対的変位を生じさせる。このように、可動蓋構造体51とバスケット40との間に周方向の相対的変位を生じさせると、濾布100が捻られる。このとき、濾布100からその内周のケーキに、捻り力が加えられるとともに、ケーキの端面に接している可動板52からケーキにバスケットの軸線方向に向いた力と周方向の力とが加えられるため、ケーキが容易に破壊させられる。
前述のように、バスケット40内に高温高圧のドライエアーを供給して、ケーキを十分に乾燥させておけば、ケーキは濾布55及び可動板52から力が加えられた際に容易に崩れ、細かい粉末状ないしは粉末の固まりになって蓋板53上に重力により落下する。このときバスケット40は低速で回転しているため、蓋板53上に落下したケーキの粉末は、遠心力により蓋板53の外周側に運ばれて、蓋板53とバスケット40の開口部との間の隙間Gから下部ケース1内に振り落とされる。下部ケース1内に振り落とされたケーキは、下部ケース1の下端の開口部から図示しない回収容器内に排出する。可動蓋構造体51を図2に示した開位置まで変位させた状態では、図2に示すように濾布100の一部が折り返されてバスケット40の開口部から下方に垂れ下がった状態になる。バスケット40内からケーキを排出する際のバスケットの回転速度は、ケーキが落下を妨げられる程にバスケットの周壁部の内周に強く押しつけられることがなく、かつ蓋板53の上面のケーキを該蓋板の外周側に移動させるために必要な遠心力を生じさせるように、適当な大きさに設定する。このバスケットの回転速度は、実験的に決定することができる。
バスケット40内からのケーキの回収を終了した後、モータ93を逆転させてスライド軸50を上昇させ、可動蓋構造体51を図1に示された閉位置に位置させる。これにより、バスケット40を閉鎖して次の処理に備える。
本実施形態のように、発明に係わる遠心分離機では、固液分離処理を行う際にバスケットの軸線を鉛直方向に向けた状態で配置すると、バスケットを回転させる回転軸30及び軸受装置にかかる負担を軽くすることができる。そのため、バスケット40として、深さが深いものを用いることができ、原液の処理量を増大させることができる。
また本実施形態のように、バスケットの軸線を鉛直方向に向け、回転軸及びスライド軸も鉛直方向に向けて配置すると、下方に向いたバスケットの開口部からバスケット内のケーキを重力により落下させることができるので、スライド軸50のスライド変位量を少なくすることができ、スライド軸50の長さを短くすることができる。
本実施形態の遠心分離機においては、洗浄工程において下部ケース1の下端の開口部を蓋18で閉じた状態にすると、下部ケース1内に洗浄液を満たした状態でバスケットを回転させて、バスケットの洗浄を行わせることができるため、バスケットの洗浄を効率よく行うことができる。
下部ケース1の下端の開口部は、ケーキを輸送する輸送管に接続するように構成することもできる。下部ケース1の下端に輸送管を接続して、該輸送管を通してケーキを輸送するようにすると、ケーキが汚損されるおそれを無くすことができる。
上記の実施形態では、バスケットの内周に形成されたケーキを破壊するために、可動蓋構造体51とバスケット40との間に軸線方向及び周方向の相対変位を生じさせて、この相対変位によりフィルタを構成する濾布100を捩ることにより、ケーキを破壊するようにしたが、ケーキを回収する際にケーキを破壊する手段は上記の実施形態に示したものに限定されない。
例えば、フィルタをバスケット40の周壁部40aの内周に添わせた状態でバスケット40に固定しておき、代りに、可撓性を有する材料により形成された円筒状のネットをフィルタの内側に配置して、上記の実施形態の濾布100と同様に、このネットの一端を可動蓋構造体51の可動板52の外周部に固定し、他端をバスケット40の周壁部40aの開口端に固定して、可動蓋構造体51とバスケット40との間の相対変位によりネットを捻るようにしてもよい。この場合、ネットとしては、濾過を妨げないように、フィルタよりも目が粗いものを用いることが好ましい。ネットを構成する材料としては、金属線や、樹脂繊維など、可撓性を有するもの(容易に変形し得るもの)を用いることができる。可動蓋構造体51の可動板52としては、上記の実施形態で用いたものと同様に、円板状に形成されたものを用いる。
上記のように、可動蓋構造体51の可動板52とバスケット40の開口端との間にネットを設けて、このネットをケーキ破壊手段として用いる場合には、フィルタとしては、必ずしも濾布を用いる必要はなく、バスケットの周壁部40aの内周に添わせた状態で配置されてバスケットに対して固定された多孔板をフィルタとして用いることもできる。
図7は本発明の他の実施形態を示したものである。この実施形態では、バスケットの周壁部40aの内面に添わせた状態で多孔板からなるフィルタ100′が配置されて、該フィルタ100′が適宜の手段によりバスケットに固定されている。また可動蓋構造体51の可動板52と蓋板53とを連結する各連結棒54にバスケットの周壁部40a側に突出した複数の突起54aが設けられている。各突起54aは、その少なくとも一部が固液分離処理によりバスケット40の内周に形成されるケーキ内に埋設されるように設けられていて、連結棒54,54,…にそれぞれ形成された突起54aにより、可動蓋構造体とバスケットとの間に生じた相対変位をケーキに伝達してケーキを破壊させるケーキ破壊手段が構成されている。その他の点は、前記の実施形態と同様に構成されている。
図7に示した実施形態では、可動蓋構造体51とバスケット40との間に周方向の相対的な変位が生じたときに、連結棒54に設けられた突起54aからケーキに軸線方向及び周方向の力が伝達されるとともに、可動板52からケーキに軸線方向及び周方向の力が与えられるため、ケーキが破壊されて蓋板53の上に落下させられる。
図7に示した実施形態では、可動蓋構造体51の可動板52と蓋板53とを連結する連結棒54に、ケーキ内に少なくとも一部が埋設される突起54aを設けて、この突起をケーキ破壊手段として用いたが、各連結棒54をケーキ内に埋設される位置に設けて、各連結棒54をケーキ破壊手段として用いるようにしてもよい。
図7に示したように、連結棒54に突起54aを設けて、この突起をケーキ破壊手段として用いる場合、又は連結棒54をケーキ層内に埋設されるように設けて、連結棒54をケーキ破壊手段として用いる場合には、バスケット40の周壁部40a側にケーキ層に食い込んだ状態で配置される突出部を設けておくと、突起54aまたは連結棒54からケーキに周方向の力が加わった際に、ケーキ層がバスケットの周方向に変位する(滑る)のを阻止できるため、ケーキの破壊を容易に行わせることができる。
バスケットの周壁部側にケーキ層に食い込む突出部を設けるには、例えば、バスケットの周壁部の内周に配置するフィルタの一部にバスケットの径方向の内側に突出した突出部を設けるようにすればよい。フィルタとして濾布を用いる場合には、バスケットの周壁部の内周に突出部を形成しておくことにより、フィルタの一部をバスケットの径方向の内側に突出させることができる。またフィルタとして多孔板を用いる場合には、該多孔板の一部をバスケットの径方向の内側に突出させるように変形させることにより、フィルタの一部をバスケットの径方向の内側に突出させることができる。
上記のように、バスケット40の周壁部側にケーキ層内に食い込む突出部を設ける場合、可動蓋構造体51の可動板52及び連結棒54に設ける突起54aは、バスケット40の周壁部側に設けられた突出部に妨げられることなくバスケットの軸線方向に変位し得るように設けておく。
上記の各実施形態のように、バスケット40の周壁部40aの内周面に、端部壁40b側から開口端部側に向うに従って次第に径が大きくなる向きのテーパをつけておくと、バスケット40内からのケーキの排出を容易にすることができる。
また上記のように、バスケット40の周壁部40aの内周面に、端部壁40b側から開口端部側に向うに従って次第に径が大きくなる向きのテーパをつけておくと、リニア駆動機構によりスライド軸50を変位させて可動蓋構造体の蓋板43を開位置側に変位させた際に、バスケット内に形成されているケーキをフィルタから離してフィルタとケーキ層との間に隙間を形成することができ、この状態でバスケットを高速回転させることにより、ケーキ層に遠心力を作用させて、ケーキ層を容易に破壊することができ、ケーキ層を破壊した後、バスケットを減速することにより、破壊されたケーキを下方に落下させて回収することができる。
上記の実施形態では、回転軸30に取付けたガイド突起61と、スライド軸50に設けたガイド溝60とにより、スライド軸50と回転軸30とを一緒に回転させるように結合するとともに、スライド軸50がスライドした際にスライド軸と回転軸との間に周方向の相対的変位を生じさせるようにスライド軸50と回転軸30とを結合する軸結合機構を構成したが、本発明は軸結合機構をこのように構成する場合に限定されない。
例えば、ガイド突起をスライド軸50に取り付け、ガイド突起をガイドするガイド溝を回転軸30側に設けるようにしてもよい。
上記の実施形態では、スライド軸50をスライドさせるリニア駆動機構を、ネジ棒64A,64Bとこれらのネジ棒に螺合されたナット68A,68bと、モータ93を駆動源としてネジ棒64A,64Bを回転させる回転駆動機構とを備えたネジ機構により構成したが、スライド軸50をスライドさせるリニア駆動機構を、流体圧シリンダにより構成することもできる。例えば、シリンダが第1の支持板9に固定されてピストンロッドが可動フレーム67に連結された流体圧シリンダにより、リニア駆動機構を構成することもできる。
液面検出器の接触子としては、上記の各実施形態のように、円盤を用いるのが好ましいが、本発明は、接触子として円盤を用いる場合に限定されるものではなく、従来の遠心分離機と同様に、第1のフィードパイプの先端に後端部が固定されたレバーと、このレバーの先端に取付けられたそり板状の検出板とからなる接触子を用いるようにしてもよい。このような接触子を用いる場合でも、フィードパイプがその中心軸線をバスケットの中心軸線と一致させた状態で配置されていることにより、バスケット内に形成される液層の液面の規定位置を、フィードパイプをバスケットの中心軸線に対して偏心した位置に配置する場合に比べて、よりバスケットの内径側に設定して、バスケット内に供給し得る原液の量を増やすことができるという効果と、バスケットを密閉した状態で固液分離処理を行う場合にもバスケット内に液面検出器の検出部を設けることができるという効果とを得ることができる。
上記の各実施形態では、固液分離処理を行う際に、回転軸を鉛直方向に向けた状態で配置して、バスケットの開口部を下方に開口させた状態で配置するようにしたが、本発明はこのようにバスケットを配置する場合に限定されない。
上記の各実施形態に係わる遠心分離機では、第1の支持板9と下部ケース1とを締結しているナット7を緩めて、ボルト4を第1の支持板9の外周部の溝10から外した状態で、上部ケース12を枠体15とともに吊り上げることにより、下部ケース1の上端の開口部を開放して、下部ケース内の清掃などを行うことができる。しかしながら、本発明はこのように構成する場合に限定されるものではなく、例えば、第1の支持板9を下部ケース1にヒンジ結合することにより、上部ケース12及び枠体15が支持された第1の支持板9を、下部ケース1の上端開口部を閉じた状態になる第1の位置と、下部ケース1の上端開口部を開いた状態になる第2の位置とに回動させるように構成することもできる。
上記の実施形態では、液面検出器の接触子78の回転変位に伴って第1のフィードパイプ75に回転変位が生じたことを検出する回転変位検出器80において、第1のフィードパイプの回転変位に応動して検出動作を行うセンサとしてリミットスイッチ82を用いているが、第1のフィードパイプの回転変位に応動して検出動作を行う検出動作を行うセンサは、リミットスイッチに限定されない。例えば、リミットスイッチ82に代えて、スイッチ駆動用突起81が近接したときにオン状態またはオフ状態になり、スイッチ駆動用突起81が離れたときにオフ状態またはオン状態になる近接スイッチを用いることができる。
上記の実施形態では、リニア駆動機構によりスライド軸50を回転軸30の軸線方向に駆動した際にスライド軸と回転軸との間に生じる軸線方向の相対変位を該スライド軸の中心軸線を回転中心とした回転変位に変換してスライド軸50に伝達することにより、スライド軸50が軸線方向に変位する過程で該スライド軸を回転軸30に対して相対的に回転させて可動蓋構造体51とバスケット40との間に周方向の相対的変位を生じさせるように、スライド軸50と回転軸30とを一緒に回転させるように結合する軸結合機構を構成すると、スライド軸50をスライドさせた際に、可動蓋構造体51とバスケット40との間に相対的に回転変位を生じさせて、ケーキの破壊を容易にすることができる。
しかしながら本発明は、軸結合機構を上記のように構成する場合に限定されるものではなく、スライド軸50と回転軸30とをスプライン結合等により結合して、スライド軸50の軸線方向への変位のみを許容した状態で、スライド軸50と回転軸30とを結合するように軸結合機構を構成してもよい。このように構成した場合でも、例えば、前記の実施形態のように、バスケットの周壁部の内面にバスケットの端部壁側から開口部側に向って径が大きくなる向きのテーパをつけておいて、可動蓋構造体51を開位置側に移動させてケーキをフィルタから離反させた状態で、バスケットを高速回転させる等の方法により、ケーキを破壊することができるため、バスケット内からのケーキの回収を支障なく行わせることができる。