JP2012104463A - リチウムイオン二次電池用銅箔、リチウムイオン二次電池用負極材及びリチウムイオン二次電池用銅箔の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】活物質4が表面に設けられるリチウムイオン二次電池用銅箔であって、銅箔1の片面または両面の表面は、十点平均粗さRzが2.3μm以上20μm以下であり、
かつ、表面には、粒径30nm以上300nm以下の銅粒子2が形成されている。
【選択図】図1
Description
LIBは、携帯電話、ノートパソコン、電動工具などの携帯機器に広く使われていて、最近ではハイブリッド自動車や電気自動車などにも搭載されるようになった。
において約4200mAh/g)とした新しい負極がさかんに研究されている。
しかし、SiやSi化合物からなる活物質では、充放電にともなう体積変化も大きく、充放電サイクルの繰り返しに伴って、集電体である銅箔からの活物質の剥離、脱落を完全に避けることは困難である。集電体から活物質が脱落すると電池容量が低下する。
また、活物質としてハードカーボンやグラファイトが用いられるLIBにおいても、特に、車載用LIBにおいては、高温保管時に集電体である銅箔から活物質層が剥離することがあり、銅箔と活物質との高い密着性が望まれている。
以下であり、かつ、前記表面には、粒径30nm以上300nm以下の銅粒子が形成されていることを特徴とするリチウムイオン二次電池用銅箔である。
活物質がグラファイトである。
m以下である銅箔を作製する粗化銅箔作製工程と、前記粗化銅箔作製工程で作製された銅箔を酸化雰囲気で加熱する酸化処理をした後、還元雰囲気で加熱する還元処理をして、前記銅箔の片面または両面の表面に、粒径30nm以上300nm以下の銅粒子を形成する銅粒子形成工程とを有するリチウムイオン二次電池用銅箔の製造方法である。
る粗化処理を行う。
後の粗化こぶ22間の間隙には入り込めず、粗化こぶ22の外側に位置することになる。したがって、この銅箔21を用いて密着性を向上するには、粗化こぶ22間の間隙に結着剤23が充填される必要がある。つまり、粗化こぶ22のない平滑な銅箔を用いた場合に比べ、粗化こぶ22によるアンカー効果が期待できるものの、結着剤23の配合割合を高めておく必要が生じ、単位重量あたりの電池容量が低下する。また、銅箔/活物質層界面に非導電性の結着剤23が多くなるため、電気抵抗も増大してしまう。これを避けるべく、結着剤23の配合割合を少量に抑えた場合、活物質粒子23と粗化こぶ22との接点が少なくなり、密着性が低下してしまう。つまり、LIB負極用銅箔としては、めっき法による粗化こぶ22は大き過ぎる。
0μm以下の粗化面とし、かつ、粗化面の銅箔表面に、粒径30nm以上300nm以下の微細な銅粒子を形成した。これにより、銅箔と活物質(活物質粒子)とを結合する結着剤の割合を高めることなく、微細な銅粒子のアンカー効果によって、銅箔と活物質との密着性を向上することができる。銅箔表面を十点平均粗さRzが2.3μm以上20μm以
下の粗化面とする方法としては、例えば、粗化した圧延ロールを用いることで、圧延ロールのテクスチャを銅箔表面に転写すればよい。また、銅箔表面に粒径30nm以上300nm以下の微細な銅粒子を形成するには、酸化雰囲気で銅箔を加熱することで銅箔表面に酸化膜を形成し、その後、還元雰囲気で加熱して酸化膜を還元する方法を用いるのがよい。この酸化雰囲気での加熱処理とその後の還元雰囲気での加熱処理による方法では、銅箔表面に微細な銅粒子を密に形成することができる。
図1に、本発明の一実施形態に係るLIB用銅箔、及びこのLIB用銅箔を用いて作製したLIB用負極材の一部を拡大した断面図を示す。
は、作図の都合上、省略している。また、図1では、銅粒子2を銅箔1の片面に形成しているが、銅箔1の両面に形成しても勿論よい。銅箔1は圧延銅箔が好ましいが、電解銅箔を用いてもよい。銅箔1の材料は、純銅または銅合金である。
しかしながら、銅箔1表面に形成される銅粒子2の粒径が30nm以上300nm以下と微細であるため、銅箔1の表面積の増加が多く、銅箔1と結着剤3との結合力が強化されると共に、また結着剤3が充填される銅箔21表面上の銅粒子2間の凹部(間隙部)の体積がきわめて小さく、少量の結着剤3でも微細な銅粒子2が結着剤3の内部に食い込むアンカー効果が十分に発揮され、銅箔21と活物質粒子24との密着性が高い。更に、これら微細な銅粒子2外側の凸部と活物質粒子24との接点が多く、結着剤3の配合が少なくて済むことなどから、単位重量あたりの電池容量の低下や、銅箔2と活物質4を含む活物質層との界面電気抵抗の増加を十分に抑制することができる。
なお、従来、粒径30nm以上300nm以下の微細な銅粒子を銅箔上に密に形成することは困難であった。例えば、上記電気めっき法では、粗化コブを小さくすると、粗化コブの密度が著しく低下し、均一な銅箔表面とは言い難い状態となってしまう。また、上記の銅箔1と活物質4の良好な密着性などの効果は、活物質4がグラファイトやカーボンの場合だけでなく、Si、Si化合物の場合にも、同様に得られる。
なお、本明細書における銅粒子の粒径は、銅箔の表面のSEM写真から銅粒子の粒径を測定し、測定された銅粒子の粒径の総和を測定個数で割った個数平均径である。
理由からである。銅箔1表面を十点平均粗さRzが2.3μm以上20μm以下の粗化面
とすることにより、銅箔1の表面積が増加し、銅箔1と結着剤3との結合力の強化が図れると共に、活物質4の割合を増加できる。更に、十点平均粗さRzを2.3μm以上にす
ると、酸化雰囲気・還元雰囲気での加熱処理によって銅箔1表面に銅粒子2を形成する際に、銅箔をコイル状にした状態でも、銅箔表面に均一に良好な銅粒子2を形成できるからである。また、銅箔1表面の十点平均粗さRzを20μmよりも大きくすると、銅箔を粗面化する際に、銅箔に穴が開いたり、銅箔が破断する可能性が高くなってしまう。
また、粗化された銅箔1の表面に形成される銅粒子2の密度は、できるだけ高密度とするのが望ましい。なお、例えば、本実施形態で述べた、銅箔の酸化雰囲気での加熱処理とその後の還元雰囲気での加熱処理による銅粒子形成方法では、銅粒子の密度を低密度化するなどの制御は難しく、均一に酸化されれば、還元後に自ずと高密度の状態で銅粒子が形成される。
本発明の一実施形態に係るLIB用銅箔の製造方法は、まず、片面または両面の表面の十点平均粗さRzが2.3μm以上20μm以下である銅箔を作製する粗化銅箔作製工程
を行い、次に、粗化銅箔作製工程で作製された粗化銅箔を酸化雰囲気で加熱する酸化処理をした後、還元雰囲気で加熱する還元処理をして、粗化銅箔の片面または両面の表面に、粒径30nm以上300nm以下の銅粒子を形成する銅粒子形成工程を行う。
ワークロールを粗化する方法には、例えば、ショットブラストを用いたブラストダル法がある。ショットブラストは、投射材と呼ばれる粒子を加工物(ワーク)に衝突させ、ワ
ークの加工等を行う手法である。ワークロールの粗化では、通常のワークロールの平滑な表面に対して、投射材としての粒子(アルミナ、砂、ビーズなどの粒子)を衝突させてワークロール表面を粗化処理する。なお、ワークロールを粗化する方法は、ブラストダル法の他に、電解ダル法、レーザーダル法なども適用でき、また、ワークロール研削を粗くする方法なども有効である。
粗化したワークロールを用いた圧延は、圧延工程の最後の1パスのみで行うのがコスト的に有利である。これは、粗化ワークロールで圧延すると、圧延設備に関係する種々の条件の微調整が必要になり設備停止時間が発生すること、更には、粗化ワークロールは凹凸部分が消耗するので、通常のワークロールより寿命が短くなることなどのデメリットがあるからである。
そこで、銅箔をコイル状にして、バッチ加熱することを考えた。こうすれば、単位時間あたりの処理長さ、コイル数を多く取ることができ、設備も小型に留まるので、製品価格を低く抑えられる。ところが、この場合、銅箔が密に巻かれたコイル状の状態では、銅箔間に酸化性雰囲気や還元性雰囲気が十分に到達しなくなり、あるいは、銅箔間に存在する雰囲気ガスの量が少なく、十分な酸化・還元が行われなくなる。このため、酸化・還元処理が不十分となり、あるいは銅箔表面に対して不均一な酸化・還元処理となり、所望の粒径の銅粒子を形成できなかったり、銅粒子の粒径や密度の分布が不均一となったりする。不均一な酸化・還元処理は、銅箔表面の色調ムラとなって現れる。
上記銅箔をコイル状でバッチ加熱する方法を更に検討した結果、粗化圧延ロールで粗化銅箔とすることで、銅箔をコイル状に密に巻いた場合にも、銅箔間の間隙が大きくなり、雰囲気ガスの供給が十分行えることを見いだした。銅箔表面の形状は、表面の十点平均粗さRzが2.3μm以上であることが望ましい。十点平均粗さRzが2.3μmよりも小さい場合、コイル状の銅箔間の間隙の形成効果が不十分となって、雰囲気ガスの供給が十分に行われなくなる。
また、本発明は、LIB以外にも、銅箔と樹脂を接着する用途、例えば、フレキシブルプリント基板(FPC)などにも有効である。
実施例1では、種々の材料(純銅、銅合金)からなる圧延銅箔を、酸化雰囲気で加熱する酸化処理をした後、還元雰囲気で加熱する還元処理をして、圧延銅箔の表面に、微細な銅粒子を形成した。
厚さ12μmのTPC圧延箔(タフピッチ圧延銅箔)、および厚さ12μmのHCL02Z圧延箔(商品名、日立電線製の圧延銅合金箔)を電気炉中で大気雰囲気で200℃×
5時間、酸化処理したのち、CO(一酸化炭素)1%を含む窒素雰囲気で200℃×l時間、還元処理して、これら銅箔表面に微細な銅粒子を形成した。図3(a)は、上記酸化・還元処理前の通常圧延後の平滑なTPC圧延箔表面のSEM像、図3(b)は、上記酸化・還元処理をしたTPC圧延箔表面のSEM像である。また、図4(a)は、上記酸化・還元処理前の通常圧延後の平滑なHCL02Z圧延箔表面のSEM像、図4(b)は、上記酸化・還元処理をしたHCL02Z圧延箔表面のSEM像である。酸化・還元処理後のTPC圧延箔、HCL02Z圧延箔の表面には、粒径(直径)100nm程度の微粒子が均一に生成されていた。
力(MPa)及び伸び(%)を示す。
に示されたように、電池特性に大きく影響する。活物質層の構成によって必要となる最低耐力が決定される。
一方、伸びは電池特性に直接影響することはないと考えられる。しかし、銅箔に活物質を塗工する工程、およびプレスする工程において、銅箔の伸びが大きいと装置アライメントが適切でなくても銅箔の破断を防ぐことができるなどのメリットがある。言うまでもなく、装置アライメントが適正ならば、伸びが小さくても銅箔の破断は起こらない。
なお、本明細書における「伸び」は、銅箔が、リチウムイオン二次電池の作製時に銅箔自体に与える影響のうち、活物質の塗布時若しくはプレス裁断時の銅箔の「破断されにくさ」に影響を与えるものとする。
銅箔に対して、種々の熱処理温度(℃)で熱処理(熱処理時間はいずれも30分)をしたときの、引張り強さの変化(図6(a))、伸びの変化(図6(b))を示す。
本発明の酸化・還元雰囲気での加熱処理によって銅箔表面に銅粒子を形成する方法は、銅箔の材料によらずに形成可能であるが、上述したように、酸化・還元時の加熱で材料が軟化する点については、注意が必要である。TPCやOFCは150℃程度で軟化するが、HCL02Z、HCL64T、HCL305は400℃程度までの耐熱性を有する。従って、高延伸か、高強度かなど、銅箔が要求される特性に応じて銅箔の種類を選定する必要がある。
実施例2では、粗化ワークロールによる圧延で粗化処理した銅箔を、コイル状に巻いて酸化・還元熱処理を施し、銅箔表面の酸化・還元処理の均一性を評価した。
1対の直径100mmのワークロールをアルミナ粒子(通過メッシュ番手♯100、♯220、♯600(メッシュ番手は、JIS Z8801試験用ふるいに基づく))でショットブラスト処理し、ワークロールを粗化した。この粗化されたワークロールを用いて、銅箔の圧延を行った。銅箔の圧延に用いた圧延機は、図7に示すように、銅箔1を圧延する上下1対の粗化されたワークロール13,13と、上下のワークロール13,13をそれぞれバックアップするバックアップロール14,14とを備えた4段圧延機である。巻き出しロール11から巻き取りロール12へと搬送される銅箔1に対してワークロール13,13による粗化処理がなされ、また、搬送される銅箔1にテンションを付与するテンションロール15,15が設けられている。ワークロール13,13の圧延荷重は100kgf/mmとし銅箔1に調質圧延を行った。圧延される銅箔1には、厚さ10μmのTPC箔を用いた。
実施例3では、粗化ロール(♯100のアルミナ粒子でブラストダル処理したロール)を用いて調質圧延した銅箔について、種々の酸化・還元条件で銅箔表面に銅粒子を形成した後、銅箔表面に負極活物質を塗布して、活物質層の密着性を評価した。
鱗片状黒鉛(活物質)を、N−メチルピロリドン溶媒(後の乾燥時などに除去される)に溶解させたポリフッ化ビニリデン(結着剤)に加えて混錬してスラリーとした。配合比は鱗片状黒鉛:ポリフッ化ビニリデン=97:3とした。このスラリーを上記銅箔の片面に約30μm厚さに塗工した後、乾燥、プレスした。活物質層のかさ密度は1.5g/c
m3とした。こうして得られた負極材を5cm角に切出し、評価試料とした。
3−1〜3−3は粒子径が50nm〜300nmであり、密着性の改善が認められた。比較例3−3は、500℃×5時間と酸化条件が過剰で、還元処理後の銅箔表面の微粒子は指で擦ることで簡単に剥離した。実施例3−4はオゾン発生器を通したオゾンを含む大気を流しながら電気炉で加熱した場合で、同一条件(200℃×3時間)の大気酸化の場合(実施例3−1)の場合よりも若干大きい銅粒子が形成され、密着性の向上も確認された。
上記の結果より、粒径が30nm以上300nm以下の銅粒子の形成が活物質密着性の改善に効果的であることが分かった。
2 銅粒子
3 結着剤
4 活物質
10 負極材
13 ワークロール
Claims (6)
- 活物質が表面に設けられるリチウムイオン二次電池用銅箔であって、
前記銅箔の片面または両面の表面は、十点平均粗さRzが2.3μm以上20μm以下
であり、かつ、前記表面には、粒径30nm以上300nm以下の銅粒子が形成されていることを特徴とするリチウムイオン二次電池用銅箔。 - 請求項1に記載のリチウムイオン二次電池用銅箔の前記表面に、結着剤を介して活物質が設けられていることを特徴とするリチウムイオン二次電池用負極材。
- 請求項2に記載のリチウムイオン二次電池用負極材において、
前記活物質がグラファイトであることを特徴とするリチウムイオン二次電池用負極材。 - 活物質が表面に設けられるリチウムイオン二次電池用銅箔を製造する方法において、
片面または両面の表面の十点平均粗さRzが2.3μm以上20μm以下である銅箔を
作製する粗化銅箔作製工程と、
前記粗化銅箔作製工程で作製された銅箔を酸化雰囲気で加熱する酸化処理をした後、還元雰囲気で加熱する還元処理をして、前記銅箔の片面または両面の表面に、粒径30nm以上300nm以下の銅粒子を形成する銅粒子形成工程と
を有することを特徴とするリチウムイオン二次電池用銅箔の製造方法。 - 請求項4に記載のリチウムイオン二次電池用銅箔の製造方法において、
前記粗化銅箔作製工程を圧延工程で実施し、前記圧延工程でなされる少なくとも最後の圧延では、1対の圧延用のワークロールのうち少なくとも1本に粗化処理されたワークロールを用いて、前記銅箔の表面の十点平均粗さRzが2.3μm以上20μm以下とする
粗化処理を行うことを特徴とするリチウムイオン二次電池用銅箔の製造方法。 - 請求項5に記載のリチウムイオン二次電池用銅箔の製造方法において、
前記圧延工程で粗化処理された前記銅箔をコイル状にした状態で、前記銅粒子形成工程を行うことを特徴とするリチウムイオン二次電池用銅箔の製造方法。
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