JP2012102491A - 人工芝用充填材および人工芝構造体 - Google Patents
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Abstract
【課題】長期間にわたって安定した帯電特性を維持できるとともに、リサイクル可能な人工芝用充填材を提供する。
【解決手段】人工芝1のパイル4間に充填される熱可塑性樹脂からなる人工芝用充填材5を、熱可塑性樹脂100重量部に対して3〜10重量部の永久帯電防止剤を配合して形成し、充填材自体に帯電防止効果を持たせる。
【選択図】図1
【解決手段】人工芝1のパイル4間に充填される熱可塑性樹脂からなる人工芝用充填材5を、熱可塑性樹脂100重量部に対して3〜10重量部の永久帯電防止剤を配合して形成し、充填材自体に帯電防止効果を持たせる。
【選択図】図1
Description
本発明は、人工芝のパイル間に充填される人工芝用充填材に関し、さらに詳しく言えば、人工芝の帯電対策に関する。
ロングパイル人工芝は、通常の人工芝よりも長いパイルが植設された基布のパイル間に充填材を充填したものからなり、天然芝に近い弾力特性を持つ人工芝サーフェイスとして、サッカーやラグビー、野球場などの各種運動競技施設に普及している。
この種の人工芝は、パイルや基布がポリエチレンなどの熱可塑性樹脂からなり、また、充填材には、例えばゴムチップ(廃タイヤやEPDM等の工業用ゴムの破砕品)や熱可塑性エラストマー(PEベースの弾力性のある樹脂等)の弾性粒状物が好ましく用いられている。
ところで、基布やパイルに熱可塑性樹脂製を用いた場合、プレーヤーがサーフェースを走ったりすることで静電気が発生し、触れた拍子に放電して不快感を与えることがあった。
そこで、人工芝の帯電を予防する方法がいくつか提案されている。その一例として、特許文献1,2には、人工芝の基布に導電性繊維を編み込んで、帯電するのを予防している。同様に、特許文献3には、導電性樹脂を用いてパイルの一部を構成する点が、特許文献4には、導電性繊維を人工芝の表面に付着させて帯電防止する点が、それぞれ開示されている。
しかしながら、上述した特許文献1〜4は、充填材を用いないタイプの人工芝用途として開発されたものであって、充填材を用いるタイプの人工芝、とりわけ充填材として熱可塑性樹脂を用いた場合には、パイルとの摩擦に起因する静電気が依然として残り、帯電してしまうことがある。
なお、充填材にゴムチップや目砂の様な導電体を用いた場合には、静電気は発生しないが、リサイクルの面で問題がある。すなわち、充填材にゴムチップや目砂を用いた人工芝を廃棄する際には、人工芝と充填材を分離する必要があるが、特にロングパイル人工芝では、充填材がパイルに絡んで取れにくく、完全に除去することが困難であった。
したがって、人工芝を再溶融して再生品を製造しようとした場合に、人工芝内に充填材が残っていると、充填材が不純物となるため、再生が困難であった。
そこで、本発明は上述した課題を解決したものであって、その目的は、長期間にわたって安定した帯電特性を維持できるとともに、リサイクル可能な人工芝用充填材を提供することにある。
上述した目的を達成するため、本発明は以下に示すいくつかの特徴を備えている。請求項1に記載の発明は、人工芝のパイル間に充填される熱可塑性樹脂からなる人工芝用充填材において、上記熱可塑性樹脂に所定量の永久帯電防止剤が配合されていることを特徴としている。
請求項2に記載の発明は、上記請求項1において、上記熱可塑性樹脂100重量部あたり、上記永久帯電防止剤が3〜10重量部配合されていることを特徴としている。
本発明には、上記請求項1または2に記載の人工芝用充填材を充填してなる人工芝構造体も含まれる。
本発明によれば、熱可塑性樹脂からなる充填材に永久帯電防止剤を3〜10重量部配合することにより、充填材自体が帯電防止効果を持つため、人工芝全体が帯電することを効果的に予防することができるばかりでなく、充填材を人工芝とともにリサイクルすることもできる。さらには、雨などで効果が低下することもない。
ここで、永久帯電防止剤の配合量が3重量部未満の場合は、静電気の発生を抑制することができないため好ましくない。逆に、10重量部を超える場合は、材料コストが嵩むため好ましくない。
次に、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明するが、本発明はこの限りではない。
図1に示すように、この人工芝構造体1は、基盤2上に敷設された人工芝3を有し、人工芝3のパイル4の間には、粒状の充填材5が充填されている。
基盤2は、地面を平坦に均した簡易舗装面が用いられるが、これ以外に、砂利などを敷き詰めてあってもよいし、アスファルトなどで舗装された既設舗装面であってもよい。
さらには、基盤2の上に弾性舗装などを設けてもよいし、既設の人工芝を残したまま、その上に新たに人工芝構造体1を敷設するような態様であってもよく、本発明において、基盤2の構成は、仕様に応じて変更可能であり、任意的事項である。
人工芝3は、基布31に所定間隔でパイル4が植設されている。基布31は、例えばポリプロピレン,ポリエチレンなどの熱可塑性樹脂が好適に選択されるが、リサイクル性を考慮して、溶融性のよい低密度ポリエチレンがより好ましい。
この例において、基布31は、ポリプロピレンやポリエチレンテレフタレート、ナイロンなどの合成樹脂製の平織り布が用いられているが、これ以外の織布であってもよい。また、平織り布に合成樹脂の綿状物をパンチングにより植え付けたものであってもよい。なお、基布31の色は、仕様に応じて任意に決定されるが、充填材に作り替えられたときに、太陽の熱を吸収しにくいように黒色以外の色に着色されていることが好ましい。
パイル4は、基布31の表面から先端までのパイル長さH1が40〜75mmと長い、いわゆるロングパイルであることが好ましい。パイル4は、ポリプロピレン,ポリエチレン、ナイロンなどの熱可塑性樹脂が好適に選択される。パイル4は緑色に着色されているが、黒色以外であれば任意の色が用いられる。
パイル4には、モノテープヤーンまたはモノフィラメントヤーンを複数本束ねたもの、あるいは、帯状のスプリットヤーンが用いられてよい。この例において、パイル4は、太さが5000〜18000dtexであって、植え付け量1000〜2000g/m3で基布31に植え付けられている。
また、基布31の裏面には、タフティングされたパイル4の抜け落ちを防止するため、裏止め材32(バッキング材)が一様に塗布されている。裏止め材32には、例えばSBRラテックスやウレタンなどの熱硬化性樹脂が用いられるが、必要に応じて例えば炭酸カルシウムなどの増量剤が添加される。
この例において、裏止め材32は、塗布量が600〜800g/m2(乾燥時)となるように一様に塗布されている。なお、裏止め材32は、再生する粒状物の再生時の色を考慮して、黒色以外の色に着色されていることが好ましい。
本発明において、基布31およびパイル4は、リサイクル性を考慮して、ポリプロピレンやポリエチレンなどの加熱、溶融が容易な熱可塑性樹脂で構成されているが、それ以外の材質であってもよい。また、裏止め材32は、作業性などを考慮して、SBRラテックスなどの熱硬化性樹脂が用いられているが、これも仕様に応じて任意に変更可能である。
このように作成された人工芝3のパイル4の間には、充填材5が充填されている。充填材5は、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレートなどの熱可塑性樹脂にEPDM、EVA、SBRなどの弾性を持ったエラストマーを適宜配合した合成樹脂の粒状物であることが好ましい。
本発明において、充填材5には永久帯電防止剤が配合されている。永久帯電防止剤は、合成樹脂100重量部に対して3〜10重量部配合されている。すなわち、永久帯電防止剤が3重量部未満の場合は、静電気の発生を抑制することができないため好ましくない。逆に、10重量部を超える場合は、材料コストが嵩むため好ましくない。
永久帯電防止剤としては、例えば、三洋化成工業社製の商品名「ペレスタット」などの添加剤が好適に用いられるが、これ以外に帯電防止効果の得られる添加剤であれば、仕様に応じて適宜選択されてよい。
なお、帯電防止剤の1つに、充填材5を成形した後で充填材5の表面にブリードされ、帯電効果を向上させるブリードタイプの帯電防止剤もあるが、ブリードタイプの帯電防止剤は、人工芝への散水や雨などによって流出してしまうため、効果に持続性がなく、好ましくない。
この例において、充填材5は、適度な粒径の粒状に形成されているが、粒径や形状は仕様に応じて任意に選択されとよく、本発明において、充填材5の形状は任意的事項である。また、永久帯電防止に加えて、耐候性剤や抗菌剤などをさらに添加してもよい。
充填材5の充填厚さは、要求される弾力性により任意に選択されるが、充填材4の流出や飛散を防止するうえで、パイルの突出高さH2(充填材層の表面からパイル先端までの長さ)が10mm以上となる厚さであることが好ましい。
次に、本発明の具体的な実施例を比較例とともに説明する。まず、下記の方法で充填材を作製した。
〔充填材の作製〕
まず、高密度ポリエチレン(東ソー社製の製品名「ニポロンハード5700」)60重量部と、オレフィン系高機能エラストマー(AESジャパン社製)40重量部と、炭酸カルシウム(日本粉化工業社製の製品名「カルペットA」)100重量部とを配合したベース樹脂に、所定量の永久帯電防止剤(三洋化成工業社製の商品名「ペレスタット」)を配合して充填材を作製した。また、比較例として、永久帯電防止剤を添加しないものを別途用意した。
まず、高密度ポリエチレン(東ソー社製の製品名「ニポロンハード5700」)60重量部と、オレフィン系高機能エラストマー(AESジャパン社製)40重量部と、炭酸カルシウム(日本粉化工業社製の製品名「カルペットA」)100重量部とを配合したベース樹脂に、所定量の永久帯電防止剤(三洋化成工業社製の商品名「ペレスタット」)を配合して充填材を作製した。また、比較例として、永久帯電防止剤を添加しないものを別途用意した。
〔人体帯電位の測定〕
次に、この充填材を50cm×50cmで敷設されたロングパイル人工芝(芝丈40mm)に厚さ20mmとなるように充填したのち、サンプル芝の上でアシックス社製TSI172を履いた試験者が100歩/minの速度で足踏みを1分間継続したのち、人体に帯電した電荷を測定する。
次に、この充填材を50cm×50cmで敷設されたロングパイル人工芝(芝丈40mm)に厚さ20mmとなるように充填したのち、サンプル芝の上でアシックス社製TSI172を履いた試験者が100歩/minの速度で足踏みを1分間継続したのち、人体に帯電した電荷を測定する。
〔漏洩抵抗の測定〕
また、サンプル芝と、サンプル芝の下にある地盤とに電極を設置し、サンプル芝と地盤との漏洩抵抗値を測定した。
また、これらを鑑みて総合的な判断を評価した。評価方法は、良好が○、不良が×、の2段階で評価した。
また、サンプル芝と、サンプル芝の下にある地盤とに電極を設置し、サンプル芝と地盤との漏洩抵抗値を測定した。
また、これらを鑑みて総合的な判断を評価した。評価方法は、良好が○、不良が×、の2段階で評価した。
以下に、各実施例1,2および比較例の評価結果を示す。
《実施例1》
〔高密度ポリエチレン〕:60重量部
〔オレフィン系高機能エラストマー〕:40重量部
〔炭酸カルシウム〕:100重量部
〔永久帯電防止剤〕:10重量部
〔人体帯電電位〕:0.19kV
〔漏洩抵抗〕:10.4logΩ
〔総合評価〕:○
〔高密度ポリエチレン〕:60重量部
〔オレフィン系高機能エラストマー〕:40重量部
〔炭酸カルシウム〕:100重量部
〔永久帯電防止剤〕:10重量部
〔人体帯電電位〕:0.19kV
〔漏洩抵抗〕:10.4logΩ
〔総合評価〕:○
《実施例2》
〔高密度ポリエチレン〕:60重量部
〔オレフィン系高機能エラストマー〕:40重量部
〔炭酸カルシウム〕:100重量部
〔永久帯電防止剤〕:3重量部
〔人体帯電電位〕:0.27kV
〔漏洩抵抗〕:10.9logΩ
〔総合評価〕:○
〔高密度ポリエチレン〕:60重量部
〔オレフィン系高機能エラストマー〕:40重量部
〔炭酸カルシウム〕:100重量部
〔永久帯電防止剤〕:3重量部
〔人体帯電電位〕:0.27kV
〔漏洩抵抗〕:10.9logΩ
〔総合評価〕:○
〈比較例1〉
〔高密度ポリエチレン〕:60重量部
〔オレフィン系高機能エラストマー〕:40重量部
〔炭酸カルシウム〕:100重量部
〔永久帯電防止剤〕:なし
〔人体帯電電位〕:0.48kV
〔漏洩抵抗〕:11.6logΩ
〔総合評価〕:×
〔高密度ポリエチレン〕:60重量部
〔オレフィン系高機能エラストマー〕:40重量部
〔炭酸カルシウム〕:100重量部
〔永久帯電防止剤〕:なし
〔人体帯電電位〕:0.48kV
〔漏洩抵抗〕:11.6logΩ
〔総合評価〕:×
実施例1,2および比較例1のまとめを表1および表2に示す。
以上、本発明によれば、以下のような知見を得た。すなわち、
(1)充填材に永久帯電防止剤を3〜10重量部配合することにより、充填材自体に静電気発生防止機能が付与され、その効果を長時間にわたって維持することができる。
(1)充填材に永久帯電防止剤を3〜10重量部配合することにより、充填材自体に静電気発生防止機能が付与され、その効果を長時間にわたって維持することができる。
本発明において、充填材5はロングパイル人工芝に充填されている場合を例に説明したが、芝丈の短い人工芝用の充填材として用いてもよい。さらには、充填材5は、単層構造であるが、2層構造などであってもよい。
1 人工芝構造体
2 基盤
3 人工芝
31 基布
32 裏止め材
4 パイル
5 充填材
2 基盤
3 人工芝
31 基布
32 裏止め材
4 パイル
5 充填材
Claims (3)
- 人工芝のパイル間に充填される熱可塑性樹脂からなる人工芝用充填材において、
上記熱可塑性樹脂に所定量の永久帯電防止剤が配合されていることを特徴とする人工芝用充填材。 - 上記熱可塑性樹脂100重量部あたり、上記永久帯電防止剤が3〜10重量部配合されていることを特徴とする請求項1に記載の人工芝用充填材。
- 上記請求項1または2に記載の人工芝用充填材を充填してなる人工芝構造体。
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