JP2012102237A - ポリイミド前駆体樹脂組成物並びに物品 - Google Patents

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Abstract

【課題】ポリイミド前駆体からポリイミドを得る際の加熱温度を低温化し、低温時の硬化促進活性も高くし、温和な熱処理条件によってイミド化することができるポリイミド前駆体樹脂組成物を提供する。また、当該ポリイミド前駆体樹脂組成物を用いた物品、特に好適には、耐熱性の低い物品上にポリイミドからなる部分が形成された物品を提供する。
【解決手段】ポリイミド前駆体と、沸点が150℃以上かつ融点が200℃以下であり、アルコール性水酸基を有しかつカルボキシル基、スルホ基及びリン酸基よりなる群に含まれる酸性基のいずれも有しない1級及び2級の脂肪族アミンよりなる群から選ばれる塩基とを含有することを特徴とするポリイミド前駆体樹脂組成物、及び、当該樹脂組成物又はその硬化物により少なくとも一部が形成されている物品である。
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリイミド前駆体樹脂組成物、及び、当該ポリイミド前駆体樹脂組成物を用いて作製した物品に関するものである。
高分子材料であるポリイミドは、耐熱性、寸法安定性、絶縁特性といった性能が有機物の中でもトップクラスの性能を示すため、電子部品の絶縁材料等へ広く適用され、半導体素子の中のチップコーティング膜や、フレキシブルプリント配線板の基材などとして盛んに利用されてきている。
一般にポリイミドは溶剤への溶解性に乏しく、加工が困難なため、ポリイミドを所望の形状にパターニングする方法として、溶剤溶解性に優れるポリイミド前駆体の状態で塗膜、二次元パターン、立体形状等の所望の形状にし、その後、熱処理等によりイミド化を行いポリイミドとする場合が多い。前駆体を熱処理してポリイミドを得る場合には、300℃以上に加熱することが一般的である。
一方で最近、半導体の技術の進化に伴い、300℃以上の高温に耐えられないような耐熱性の低い部分を有する電子素子やプラスチック基板等の物品の上にも、ポリイミド樹脂を用いて絶縁膜、保護膜、配向膜等の機能的部分を形成したいという産業上のニーズが生まれているが、300℃以上に加熱しなければならないポリイミド前駆体は適用できない。
上記ニーズに応える方法として、ポリイミド又はその前駆体の分子構造中に溶解性に優れた骨格を導入し、ポリイミド(すなわちイミド化された状態)となった後に溶剤に溶解して成形又は塗布できるように改良されたポリイミドも開発されたが、これを用いる場合にはポリイミド前駆体を物品上に適用し、物品上でイミド化する方式に比べ耐薬品性や、基板との密着性に劣る傾向にある。
そのため目的に応じて、熱処理を伴うポリイミド前駆体を用いる方式と、熱処理を伴わない溶剤溶解性ポリイミドを用いる方式とが使い分けられている。
上記ニーズに応えるべく、ポリイミド前駆体からポリイミドを得る際の加熱温度(イミド化する温度)を低温化する必要性が強くなってきた。
ポリイミド前駆体からポリイミドを得る際の加熱処理条件をより温和にするために、イミド化の際の縮合反応を触媒を用いて従来よりも促進する手法が検討されている。特許文献1では、低温での熱処理でポリイミド膜を形成できるポリイミド前駆体組成物を提供することを目的とし、水溶液中のプロトン錯体の酸解離定数pKaが0〜8である含窒素複素環化合物またはそのN−オキシド化合物(AC−1)、アミノ酸化合物(AC−2)、並びに分子量が1000以下である2個以上のヒドロキシル基を有する芳香族炭化水素化合物または芳香族複素環化合物(AC−3)をイミド化促進のための硬化促進剤(イミド化促進触媒)として、ポリアミド酸の繰返し単位1モル当量に対して0.1モル当量以上、好ましくは0.2〜4.0モル当量、最も好ましくは0.5〜2.5モル当量の範囲で利用することが提案されている(段落0032)。
しかし、この手法によると、イミド化促進触媒としての活性が弱いため、これを用いて充分にイミド化を促進するためには添加量を多くする必要があり、上記したとおりポリアミド酸の繰返し単位1モル当量に対して、AC−1、2又は3を0.1モル当量以上使用する必要がある。そのため、イミド化した後のポリイミド中に硬化触媒が残存するなどの点が課題となっていた。
また特許文献2には、ポリベンゾオキサゾール前駆体構造を有するアルカリ可溶性樹脂(A)と、感光剤(B)を含有するポジ型感光性樹脂組成物に対して、アルコール性水酸基を有する脂環化合物(C)を添加し、低温硬化後の吸湿性の低下を抑制する手法が提案されている。しかし、この発明が吸湿性を低下させる効果については、ポリベンゾオキサゾール前駆体(A)と感光剤(B)とを低温条件下で硬化させても、ポリベンゾオキサゾール前駆体(A)が有するフェノール性水酸基と、脂環化合物(C)のアルコール性水酸基とが前記感光剤を触媒として反応しエーテル結合を形成することによって創出されると説明されている(段落0041)。
これに対し、ポリイミド前駆体からポリイミドへ変化する際の縮合反応においてはフェノール性水酸基が介在しない。このため特許文献2の発明は、ポリイミド前駆体に対して効果を発揮するものではなかった。
特開平9−302225 特開2009−47943
本発明は、上記実情を鑑みてなされたものであり、ポリイミド前駆体からポリイミドを得る際の加熱温度を低温化し、低温時の硬化促進活性も高くし、温和な熱処理条件によってイミド化することができるポリイミド前駆体樹脂組成物を提供することを目的とする。
また本発明は、上記本発明のポリイミド前駆体樹脂組成物を用いた物品、特に好適には、耐熱性の低い物品上にポリイミドからなる部分が形成された物品を提供することを目的とする。
本発明に係るポリイミド前駆体樹脂組成物は、ポリイミド前駆体と、沸点が150℃以上かつ融点が200℃以下であり、アルコール性水酸基を有しかつカルボキシル基、スルホ基及びリン酸基よりなる群に含まれる酸性基のいずれも有しない1級及び2級の脂肪族アミンよりなる群から選ばれる塩基とを含有することを特徴とする。
本発明においては、本発明に係るポリイミド前駆体樹脂組成物は、ポリイミド前駆体を加熱によりポリイミドに変換する際のイミド化促進触媒として上記特定の塩基を用いるので、イミド化温度を低温化し、低温時のイミド化反応を促進する触媒活性も高くなり、温和な熱処理条件によってポリイミド前駆体樹脂組成物を硬化させることができる。
本発明に係るポリイミド前駆体樹脂組成物は、沸点が100℃以上かつ25℃で液体である物質を含有することが好ましい。
ポリイミド前駆体樹脂組成物の塗膜その他の成形物を熱処理する過程において、沸点が100℃以上の25℃で液体である物質を含有していることによって、低温でのイミド化反応が促進される。
前記ポリイミド前駆体がポリアミック酸であることが、イミド化反応を低温化する観点から好ましい。
前記塩基が、酸性基を含まないものであることが、塩基の触媒能を低下させない点から好ましい。
塩基が分子内塩を形成すると、イミド化促進触媒としての触媒活性が低下するため、本発明においてはカルボキシル基、スルホ基及びリン酸基よりなる群に含まれる酸性基のいずれも有しない塩基を用いるが、同様の観点から、本発明で用いる塩基は、上記強酸基を含む如何なる酸性基も含まないものであることが好ましい。
前記塩基が、150〜200℃のいずれかの温度において、当該塩基100重量部に対して、前記ポリイミド前駆体を10重量部以上溶解する塩基である場合には、触媒である塩基とポリイミド前駆体の親和性が向上し、少量の塩基であってもポリイミド前駆体を効率的にイミド化することができるため、好ましい。
前記塩基の中でも、4−アミノ−1−ブタノール、ジエタノールアミン、1−アミノ−2−ブタノール、エタノールアミン、4−ピペリジンメタノール、3−ピロリジノール、4−ピペリジンエタノール、3−ピペリジンメタノール、4−ヒドロキシピペリジン、2−ピペリジンメタノール、2−アミノ−1−ブタノール、trans−4−アミノシクロヘキサノール、2−ピロリジンメタノール、及び、N−メチルエタノールアミンから選ばれる少なくとも1つ以上の1級又は2級アミンを用いることが好ましい。
ポリイミド前駆体樹脂組成物は、前記ポリイミド前駆体100重量部に対して、前記塩基を0.1〜100重量部の割合で、これら両成分を含有させることができる。
本発明に係るポリイミド前駆体樹脂組成物は、塗料、印刷インキ、シール剤、接着剤、或いは、表示装置、半導体装置、電子部品、微小電気機械システム、光学部材又は建築材料の形成材料として好適に用いられる。
また本発明は、上記本発明に係るポリイミド前駆体樹脂組成物又はその硬化物により少なくとも一部が形成されている、印刷物、塗料、シール剤、接着剤、表示装置、半導体装置、電子部品、微小電気機械システム、光学部材又は建築材料のいずれかの物品を提供する。
前記本発明に係る物品の一態様として、ポリイミド前駆体樹脂組成物を完全にポリイミドとする必要がない用途に対しては、当該ポリイミド前駆体樹脂組成物を、270℃以下の温度で熱処理して得られた、イミド化率が90%以上のポリイミド前駆体樹脂組成物の硬化物により少なくとも一部が形成されている物品も提供される。
本発明に係るポリイミド前駆体樹脂組成物は、低温で速くポリイミド化することができ、ポリイミドからなる成形物や機能性部位を効率よく形成することができる。
また、本発明に係るポリイミド前駆体樹脂組成物は、全体又は一部の耐熱性が低い物品上にもポリイミドからなる部位を温和な熱処理によって形成することできる。
以下、本発明について詳しく説明する。
なお、本発明において(メタ)アクリロイルとは、アクリロイル及び/又はメタクリロイルを意味し、(メタ)アクリルとは、アクリル及び/又はメタクリルを意味し、(メタ)アクリレートとは、アクリレート及び/又はメタクリレートを意味する。
また、本発明において、沸点及び融点は、圧力1atm(101325Pa)下での沸点及び融点をいう。
<ポリイミド前駆体樹脂組成物>
本発明に係るポリイミド前駆体樹脂組成物は、ポリイミド前駆体及び塩基を必須成分とする混合物であるが、その他の成分を含有していてもよく、塗布等の加工適性の観点から当該混合物を必要に応じて溶剤に溶解、希釈して使用する。
以下、ポリイミド前駆体樹脂組成物に用いる各成分を、塩基、ポリイミド前駆体、沸点が100℃以上の25℃で液体である物質、溶剤及びその他の成分の順に説明する。
(塩基)
本発明に係るポリイミド前駆体樹脂組成物は、ポリイミド前駆体を加熱によりポリイミドに変換する際にイミド化反応を促進するための硬化促進剤(イミド化促進触媒)として、沸点が150℃以上かつ融点が200℃以下のアルコール性水酸基を有する1級及び2級の脂肪族アミンよりなる群から選ばれる塩基を含有する。
上記塩基は、ポリイミド前駆体からポリイミドを得る際のイミド化温度を低温化し、低温時のイミド化反応を促進する触媒活性も高いため、温和な熱処理条件によってポリイミド前駆体樹脂組成物を硬化させることができる。
また上記塩基は、イミド化反応後に得られたポリイミド中の残留が少ないため、不純物の少ないポリイミド成形物が得られるという特徴もある。
従来、ポリイミド前駆体のイミド化反応を塩基の作用によって促進できることは知られており、塗布液として使用できる程度に充分な量の溶剤を用いてポリイミド前駆体を溶液に調製した場合には、塩基の作用によって低温でのイミド化反応を進行させることが可能であった。しかし、ポリイミド前駆体の溶液を何らかの物品等の表面に塗布、乾燥して塗膜とする場合のように、ポリイミド前駆体樹脂組成物中に溶剤を余り多く含んでいない状態では、塩基を共存させてもイミド化反応を低温化することが困難であった。
その理由としては次のようなことが考えられる。ポリイミド前駆体であるポリアミック酸を例にして説明する。ポリアミック酸の脱水環化反応は、次の式(1)で示される。
Figure 2012102237
一般に、ポリアミック酸の加熱による脱水環化反応は、溶液中の場合、180℃程度で十分イミド化が進行する。これは、ポリアミック酸が溶液に溶解した状態であるため、分子運動が自由に行え、アミック酸のアミド基とカルボキシル基との脱水縮合反応が分子鎖のTgによらず十分に進行するためだと考えられる。
これに対し、実用的なプロセスにおいてはポリアミック酸を溶液状態ではなく、塗膜状態にしてから加熱し、ポリアミドに変化させるが、塗膜状態におけるポリアミック酸からのイミド化は、塗膜中でのポリアミック酸の分子鎖の自由度が小さいことに加え、イミド化の進行と共に分子鎖のTg(ガラス転移温度)が上昇していき、分子鎖の振動が困難となる。そのため、塗膜状態のポリアミック酸は、溶液状態のポリアミック酸に比べイミド化が進行しずらい。ポリアミック酸の塗膜は、ポリアミック酸の分子骨格にもよるが、140℃〜150℃から徐々にイミド化が進行し始めるものの進行速度が遅いため、完全にイミド化するための最も好ましいイミド化条件としては、Tg以上の温度で加熱することであるといわれている。一般に、ポリアミック酸の塗膜は、300℃以上の加熱が必要な場合が多い。
塗膜状態におけるポリアミック酸のイミド化は、塩基の使用量を増やすことで促進でき、例えば前記特許文献1ではポリアミド酸の繰返し単位1モル当量に対して塩基の1種である芳香族複素環化合物を0.1モル当量以上使用することが記載されているが、塩基を増量するとポリイミドに変化させた後の塩基又はその分解物の残留が多量になってしまうという問題がある。
なお背景技術において説明した溶剤溶解性ポリイミドを用いる方式は、ポリイミドを溶液中でイミド化して調製したポリイミドを用いることができる。しかし、ポリイミド前駆体溶液をイミド化反応させてポリイミドを調製する場合には、完全にイミド化した後でも溶剤中に溶解するポリイミドを生成する前駆体を用いないと、イミド化の進行と共に反応生成物(すなわち完全又は部分イミド化したポリイミド)が析出してきたりして、イミド化が完全に進行しなくなる。このため溶剤溶解型のポリイミドは、線膨張係数が大きいなど、特性の制御が難しく余り普及していない。
本発明において用いられる塩基は、1級又は2級の脂肪族アミンから選ばれるものであるが、当該アミンが、沸点150℃以上であること、かつ、融点200℃以下であること、かつ、アルコール性水酸基を有することの条件を満たすことによって、上記した従来の問題点を解決できるものである。
沸点150℃以上の1級又は2級脂肪族アミンを用いることにより、ポリイミド前駆体樹脂組成物が塗膜のような溶剤量の少ない状態にある場合でも、イミド化促進触媒としての見掛け上の高い活性が得られる。一般的な構造のポリイミド前駆体がイミド化に要する加熱条件が140℃以上であることから、その温度において、触媒である塩基が揮発しない方がよい。沸点150℃以上の塩基を用いる場合には、加熱時における塩基の揮発が抑えられ、イミド化促進触媒として効率よく利用することができる。
なお、本発明において塩基の沸点は、150℃以上であればその上限が特に限定されないが、融点が200℃以下に制限されるため沸点の上限も事実上制限され、本発明において用いられる塩基の沸点は、常圧条件下に換算した状態で通常、400℃未満であることが多い。
従来、ポリイミド前駆体がポリアミック酸の場合、ピペリジンのように100℃前後の沸点の塩基でもイミド化の触媒として機能すると言われていた。これは、塩基性化合物が、ポリアミック酸のカルボキシル基と相互作用し塩を形成した結果、揮発性が低下し、そのため沸点以上の加熱においても揮発せず触媒として機能しているからであると推測される。
しかし、イミド化の進行に伴ってカルボキシル基が消失するため、低沸点の塩基性化合物は組成物中に束縛される力を失い、急速に揮発し、系中からなくなることによってイミド化の促進効果が低下してくる。
一方、150℃以上の沸点を有する塩基の場合、イミド化によって徐々にカルボキシル基が消失しても揮発しにくく、そのまま系内に残存し、触媒として機能し続けるため、見かけ上、活性が高く観測される。
また、融点200℃以下の1級又は2級脂肪族アミンを塩基として用いることにより、当該塩基が加熱の過程で液体であり、固体の場合に比べ、樹脂組成物中を拡散しやすいか、又は、擬似的に溶剤として機能し、ポリイミド前駆体樹脂組成物が塗膜のような溶剤量の少ない状態にある場合でもポリイミド前駆体の分子鎖の自由度を向上させることで、イミド化を促進させる。
なお、本発明において塩基の融点は、200℃以下であればその下限が特に限定されないが、沸点が150℃以上に制限されるため融点の下限も事実上制限され、本発明において用いられる塩基の融点は、通常、−10℃以上であることが多い。
1級又は2級脂肪族アミンは、アミノ基とアルコール性水酸基を1分子内に有する場合に、より触媒活性が高くなり、温度の条件を、従来よりも低温としたり、加熱時間を短くしても、ポリイミド前駆体を効率よくイミド化することができる。アミノ基と水酸基を1分子内に有する化合物は、ポリイミドやポリイミド前駆体との親和性が高いため、ポリイミド前駆体樹脂組成物の溶剤量の少ない状態でも、或いは、イミド化反応がかなり進行してイミド化率が上がった状態になっても、擬似的な溶剤兼、触媒としてイミド化を促進するためと推測される。なお、1級又は2級脂肪族アミンは、水酸基を1つ以上有していればよい。
また、1級又は2級脂肪族アミンは、少ない添加量でも十分にイミド化を促進できることに加え、イミド化反応の終了後に、カルボキシル基の相互作用がなくなって速やかに揮発するため、イミド化促進触媒として塩基性芳香族へテロ環化合物やアミジン類を用いて同じ加熱条件によってイミド化した場合と比べ、ポリイミドとなった後の触媒残存量が少ないという特徴も有する。
沸点が150℃以上かつ融点が200℃以下のアルコール性水酸基を有する1級及び2級の脂肪族アミンよりなる群から選ばれる塩基とは、1級又は2級アミノ基(−NH、−NH−)に脂肪族系有機基が結合した構造を持つ化合物である。
ここで、脂肪族系有機基とは、1級又は2級アミノ基(−NH、−NH−)のNに連結する置換基が、脂肪族炭素である有機基のことをいう。
脂肪族系有機基は、狭義の脂肪族炭化水素基に限られず、炭素原子又は水素原子以外の異種原子、炭化水素結合以外の結合構造、多重結合などを有していてもよく、また、直鎖状、分岐状、環状いずれの連鎖構造を有していてもよい脂肪族炭化水素基を含む。非芳香族複素環式化合物に属するアミンは、脂環式脂肪族アミンに含まれ、本発明において塩基として用いられる
更に、塩基は、1級又は2級アミノ基を1つだけ有するモノアミン等の塩基だけでなく、ジアミン、トリアミン、テトラアミン等のアミド結合を形成可能なNH基を2つ以上有する塩基であってもよい。中でも、1級又は2級アミノ基を1つ有するものであることが、塩基の発生効率、溶剤溶解性、合成上の精製の点から好ましい。
本発明で用いる塩基は、下記式(2)で表わすことができる。
Figure 2012102237
(上記式において、R及びRは、それぞれ独立に水素原子、脂肪族炭化水素基又はアルコール性水酸基を有する脂肪族系有機基であるが、R及びRのうち少なくとも1つはアルコール性水酸基を有する脂肪族系有機基である。)
脂肪族系有機基としては、飽和又は不飽和アルキル基、飽和又は不飽和シクロアルキル基、及び飽和又は不飽和ハロゲン化アルキル基等が挙げられる。これらの有機基は、当該有機基中にヘテロ原子等の炭化水素基以外の結合や置換基を含んでよく、これらは、直鎖状でも分岐状でも環状構造を含んでいても良い。
及びRにおける脂肪族系有機基は、通常、1価の有機基であるが、RとRが結合して環状構造を形成する場合や、NHRで表される塩基がジアミン等のアミド結合を形成可能なNH基を2つ以上有する塩基の場合等には、2価以上の有機基となり得る。
及びRのうち、少なくとも一つは水酸基を有する脂肪族系有機基である。有機基中に水酸基を1つ以上有すれば有機基内のどこに存在していてもよい。R及びRが環状構造を形成する場合には、当該環状構造内に水酸基を1つ以上有すればよい。
とRが結合して環状構造を形成する場合、その環状構造は、飽和又は不飽和の脂環式炭化水素、複素環、及び縮合環、並びに当該脂環式炭化水素、複素環、及び縮合環よりなる群から選ばれる2種以上が組み合されてなる構造であっても良い。
前記R及びRの有機基中の炭化水素基以外の結合としては、本発明の効果が損なわれない限り、特に限定されず、エーテル結合、チオエーテル結合、カルボニル結合、チオカルボニル結合、エステル結合、アミド結合、ウレタン結合、イミノ結合(−N=C(−R)−、−C(=NR)−、ここでRは水素原子又は有機基)、カーボネート結合、スルホニル結合、スルフィニル結合、アゾ結合等が挙げられる。耐熱性の点から、有機基中の炭化水素基以外の結合としては、エーテル結合、チオエーテル結合、カルボニル結合、チオカルボニル結合、エステル結合、アミド結合、ウレタン結合、イミノ結合(−N=C(−R)−、−C(=NR)−:ここでRは水素原子又は有機基)、カーボネート結合、スルホニル結合、スルフィニル結合が好ましい。
前記R及びRの有機基中の炭化水素基及び水酸基以外の置換基としては、本発明の効果が損なわれない限り、特に限定されず、ハロゲン原子、メルカプト基、スルフィド基、シアノ基、イソシアノ基、シアナト基、イソシアナト基、チオシアナト基、イソチオシアナト基、シリル基、シラノール基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、チオカルバモイル基、ニトロ基、ニトロソ基、カルボキシラート基、アシル基、アシルオキシ基、スルフィノ基、スルホナト基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスホノ基、ホスホナト基、ヒドロキシイミノ基、飽和又は不飽和アルキルエーテル基、飽和又は不飽和アルキルチオエーテル基、アリールエーテル基、及びアリールチオエーテル基、アミノ基(−NH,−NHR,−NRR’:ここで、R及びR’はそれぞれ独立に炭化水素基)等が挙げられる。上記置換基に含まれる水素は、炭化水素基によって置換されていても良い。また、上記置換基に含まれる炭化水素基は、直鎖、分岐、及び環状のいずれでも良い。
前記R及びRの有機基中の炭化水素基及び水酸基以外の置換基としては、エステル基、アミド基、エーテル基など、が溶解性、安定性の観点から好ましい。
また、塩基の熱物性、及び塩基性度の点から、R及びRの有機基は、それぞれ独立に炭素数1〜20が好ましく、更に炭素数1〜12が好ましく、特に炭素数1〜8であることが好ましい。また、RとRが連結し、環状アミンとなっているものが、より好ましい。
ポリイミド前駆体から最終生成物への反応に対する反応開始温度を低下させる触媒作用は、塩基性の大きい塩基の方が触媒としての効果が大きく、より少量の添加で、より低い温度での最終生成物への反応が可能となる。
一般に芳香族アミンよりも脂肪族アミンの方が、1級よりも2級、2級よりも3級のアミンの方が塩基性が強く、DBUなどのアミジン類が最も強いため、その触媒能が高い。また、芳香族複素環化合物のような塩基性が比較的弱い塩基を使用すると、硬化促進剤として用いるには、添加量を多くする必要があり、コストやポリイミド膜中への残存物などの観点から好ましくない。
さらに、本発明で用いる塩基は、カルボキシル基、スルホ基及びリン酸基よりなる群に含まれる酸性基のいずれも有しないことが、塩基の触媒能を低下させない点から好ましい。カルボキシル基、スルホ基及びリン酸基は強酸性であり、塩基がこのような強酸性を有していると、ポリイミド前駆体のカルボキシル基と塩形成をするのではなく、分子内塩を形成し中和されてしまうため、イミド化促進触媒としての触媒活性が低下する。
同様の観点から、本発明においては分子内塩を形成しにくい塩基を用いることが好ましい。そのため、本発明で用いる塩基は、上記強酸基を含む如何なる酸性基も含まないものであることが、さらに好ましい。
以下に塩基の一例を示すが、これに限定されるものではない。
脂肪族1級アミンとしては、エタノールアミン、3−アミノ−1−プロパノール、1−アミノ−2−プロパノール、2−アミノ−1−プロパノール、4−アミノ−1−ブタノール、2−アミノ−1−ブタノール、1−アミノ−2−ブタノール、3−アミノ−2,2−ジメチル−1−プロパノール、4−アミノ−2−メチル−1−ブタノール、バリノール、3−アミノ−1,2−プロパンジオール、2−アミノ−1,3−プロパンジオール、チラミン、ノルエフェドリン、2−アミノ−1−フェニル−1,3−プロパンジオール、2−アミノシクロヘキサノール、4−アミノシクロヘキサノール、4−アミノシクロヘキサンエタノール、4−(2−アミノエチル)シクロヘキサノール等が挙げられる。
脂肪族2級アミンとしては、N−メチルエタノールアミン、3−(メチルアミノ)−1−プロパノール、3−(イソプロピルアミノ)プロパノール、N−シクロヘキシルエタノールアミン、α−[2−(メチルアミノ)エチル]ベンジルアルコール、ジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、3−ピロリジノール、2−ピロリジンメタノール、4−ヒドロキシピペリジン、3−ヒドロキシピペリジン、4−ヒドロキシ−4−フェニルピペリジン、4−(3−ヒドロキシフェニル)ピペリジン、4−ピペリジンメタノール、3−ピペリジンメタノール、2−ピペリジンメタノール、4−ピペリジンエタノール、2−ピペリジンエタノール、2−(4−ピペリジル)−2−プロパノール等が挙げられ、中でも脂環式アミンが好ましい。
上記例示のなかでも、4−アミノー1−ブタノール、ジエタノールアミン、1−アミノ−2−ブタノール、エタノールアミン、4−ピペリジンメタノール、3−ピロリジノール、4−ピペリジンエタノール、3−ピペリジンメタノール、4−ヒドロキシピペリジン、2−ピペリジンメタノール、2−アミノ−1−ブタノール、trans−4−アミノシクロヘキサノール、2−ピロリジンメタノール、及び、N−メチルエタノールアミンから選ばれる1級又は2級アミンを1つ又は2つ以上組み合わせて用いることが好ましい。
本発明に用いられる塩基の中でも、150〜200℃のいずれかの温度において、当該塩基100重量部に対して、ポリイミド前駆体を10重量部以上溶解する塩基が好ましい。塩基が上記の程度にポリイミド前駆体を溶解する能力を有する場合、触媒である塩基とポリイミド前駆体の親和性が向上し、少量の塩基であってもポリイミド前駆体を効率的にイミド化することができるからである。
上記塩基は、少量の添加で硬化が可能となり、ポリイミド前駆体100重量部に対して、当該塩基を0.1〜100重量部、好ましくは0.5〜75重量部、更に好ましくは1〜50重量部の範囲内で含有させることが好ましい。
また、ポリイミド前駆体樹脂組成物の固形分全体に対する塩基の含有量は、通常0.5〜25重量%程度、好ましくは、1重量%〜20重量%である。
(ポリイミド前駆体)
本発明のポリイミド前駆体樹脂組成物に用いるポリイミド前駆体とは、反応により最終的に目的の物性を示すポリイミドとなる物質を意味する。
本発明に用いるポリイミド前駆体は、なんらかの溶剤(有機溶剤、又は水溶液)に可溶なものが、塗布その他の加工容易性の観点から好適に用いられる。また、溶剤(有機溶剤、又は水溶液)に可溶なものであると、ポリイミド前駆体樹脂組成物の溶液を塗布又は成形後、乾燥させた塗膜その他の成形物を熱処理する過程において、当該塗膜等の中に残存する溶剤がポリイミド前駆体の分子鎖の自由度を向上させることで、イミド化を促進させる。
ここで、ある溶剤に可溶とは、具体的には、基板上に形成された塗膜の25℃における当該溶剤に対する飽和濃度が、1重量%以上であることをいい、5重量%以上であることが更に好ましい。
本発明においては、塩基の作用によって最終生成物への反応が促進されるポリイミド前駆体が用いられ、塩基の作用によってポリイミド前駆体の最終生成物への反応温度が、塩基の作用がない場合に比べて低下する、又は、同じ条件で熱処理した際のイミド化率が塩基を用いることにことによって向上するようなポリイミド前駆体が用いられる。
本発明に用いられるポリイミド前駆体としては、下記化学式(3)で表される繰り返し単位を有するポリイミド前駆体が好適に用いられる。
Figure 2012102237
(式(3)中、R31は4価の有機基である。R32は2価の有機基である。R33及びR34は、水素原子、又は有機基である。nは1以上の自然数である。)
33及びR34が有機基である場合としては、例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、及び、これらにエーテル結合を含有したC2nOC2m+1などで表される構造等を挙げることができる。
ポリイミド前駆体としては、下記式(4)で表されるようなポリアミック酸が、アルカリ現像性の点から好適に用いられる。
Figure 2012102237
(式(4)中、R31は4価の有機基である。R32は2価の有機基である。nは1以上の自然数である。)
なお、式(3)及び式(4)において、R31の4価は、酸二無水物等から誘導されるテトラカルボン酸残基を示し、R32の2価はジアミン残基を示す。なお、R31の4価は酸と結合するための価数のみを示しているが、他に更なる置換基を有していても良い。同様に、R32の2価はアミンと結合するための価数のみを示しているが、他に更なる置換基を有していても良い。
ポリアミック酸は、酸二無水物とジアミンを溶液中で混合するのみで得られるので、1段階の反応で合成することができ、合成が容易で低コストで入手できるので好ましい。
ポリアミック酸は、酸二無水物とジアミンの反応により得られるが、最終的に得られるポリイミドに優れた耐熱性及び寸法安定性を付与する点から、前記化学式(4)において、R31又はR32が芳香族化合物であることが好ましく、R31及びR32が芳香族化合物であることがより好ましい。またこのとき、前記化学式(4)のR31において、当該R31に結合している4つの基((−CO−)(−COOH))は同一の芳香環に結合していても良く、異なる芳香環に結合していても良い。同様に、前記化学式(4)のR32において、当該R32に結合している2つの基((−NH−))は同一の芳香環に結合していても良く、異なる芳香環に結合していても良い。
また、前記化学式(4)で表されるポリアミック酸は、単一の繰り返し単位からなるものでも、2種以上の繰り返し単位から成るものでもよい。
本発明のポリイミド前駆体を製造する方法としては、従来公知の手法を適用することができる。例えば、(1)酸二無水物とジアミンから前駆体であるポリアミド酸を合成する手法。(2)酸二無水物に1価のアルコールやアミノ化合物、エポキシ化合物等を反応させ合成した、エステル酸やアミド酸モノマーのカルボン酸に、ジアミノ化合物やその誘導体を反応させてポリイミド前駆体を合成する手法などが挙げられるがこれに限定されない。
本発明のポリイミド前駆体を得るための反応に適用可能な酸二無水物としては、例えば、エチレンテトラカルボン酸二無水物、ブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、メチルシクロブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物などの脂肪族テトラカルボン酸二無水物;ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3’,3,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3’,3,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,6,6’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物、1,3−ビス〔(3,4−ジカルボキシ)ベンゾイル〕ベンゼン二無水物、1,4−ビス〔(3,4−ジカルボキシ)ベンゾイル〕ベンゼン二無水物、2,2−ビス{4−〔4−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}プロパン二無水物、
2,2−ビス{4−〔3−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}プロパン二無水物、ビス{4−〔4−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}ケトン二無水物、ビス{4−〔3−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}ケトン二無水物、4,4’−ビス〔4−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕ビフェニル二無水物、4,4’−ビス〔3−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕ビフェニル二無水物、ビス{4−〔4−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}ケトン二無水物、ビス{4−〔3−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}ケトン二無水物、ビス{4−〔4−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}スルホン二無水物、ビス{4−〔3−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}スルホン二無水物、ビス{4−〔4−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}スルフィド二無水物、ビス{4−〔3−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}スルフィド二無水物、2,2−ビス{4−〔4−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物、2,2−ビス{4−〔3−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2,2−ビス(2,3−又は3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−ベンゼンテトラカルボン酸二無水物、3,4,9,10−ぺリレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−アントラセンテトラカルボン酸二無水物、1,2,7,8−フェナントレンテトラカルボン酸二無水物、ピリジンテトラカルボン酸二無水物、スルホニルジフタル酸無水物、m−ターフェニル−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物、p−ターフェニル−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物等の芳香族テトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。これらは単独あるいは2種以上混合して用いられる。そして、特に好ましく用いられるテトラカルボン酸二無水物としてピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,6,6’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物が挙げられる。
併用する酸二無水物としてフッ素が導入された酸二無水物や、脂環骨格を有する酸二無水物を用いると、透明性をそれほど損なわずに溶解性や熱膨張率等の物性を調整することが可能である。また、ピロメリット酸無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物などの剛直な酸二無水物を用いると、最終的に得られるポリイミドの線熱膨張係数が小さくなるが、透明性の向上を阻害する傾向があるので、共重合割合に注意しながら併用してもよい。
一方、アミン成分も、1種類のジアミン単独で、または2種類以上のジアミンを併用して用いることができる。用いられるジアミン成分は限定されず、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、o−フェニレンジアミン、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,2−ジ(3−アミノフェニル)プロパン、2,2−ジ(4−アミノフェニル)プロパン、2−(3−アミノフェニル)−2−(4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ジ(3−アミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ジ(4−アミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2−(3−アミノフェニル)−2−(4−アミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1,1−ジ(3−アミノフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ジ(4−アミノフェニル)−1−フェニルエタン、1−(3−アミノフェニル)−1−(4−アミノフェニル)−1−フェニルエタン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノ−α,α−ジトリフルオロメチルベンジル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノ−α,α−ジトリフルオロメチルベンジル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノ−α,α−ジトリフルオロメチルベンジル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノ−α,α−ジトリフルオロメチルベンジル)ベンゼン、2,6−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゾニトリル、2,6−ビス(3−アミノフェノキシ)ピリジン、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、
ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[3−(3−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1,3−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、4,4’−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ジフェニルエーテル、4,4’−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ベンゾフェノン、4,4’−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ジフェニルスルホン、4,4’−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ]ジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジフェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジビフェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4−フェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4−ビフェノキシベンゾフェノン、6,6’−ビス(3−アミノフェノキシ)−3,3,3’,3’−テトラメチル−1,1’−スピロビインダン、6,6’−ビス(4−アミノフェノキシ)−3,3,3’,3’−テトラメチル−1,1’−スピロビインダン等の芳香族アミン;
1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン、1,3−ビス(4−アミノブチル)テトラメチルジシロキサン、α,ω−ビス(3−アミノプロピル)ポリジメチルシロキサン、α,ω−ビス(3−アミノブチル)ポリジメチルシロキサン、ビス(アミノメチル)エーテル、ビス(2−アミノエチル)エーテル、ビス(3−アミノプロピル)エーテル、ビス(2−アミノメトキシ)エチル]エーテル、ビス[2−(2−アミノエトキシ)エチル]エーテル、ビス[2−(3−アミノプロトキシ)エチル]エーテル、1,2−ビス(アミノメトキシ)エタン、1,2−ビス(2−アミノエトキシ)エタン、1,2−ビス[2−(アミノメトキシ)エトキシ]エタン、1,2−ビス[2−(2−アミノエトキシ)エトキシ]エタン、エチレングリコールビス(3−アミノプロピル)エーテル、ジエチレングリコールビス(3−アミノプロピル)エーテル、トリエチレングリコールビス(3−アミノプロピル)エーテル、エチレンジアミン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,5−ジアミノペンタン、1,6−ジアミノヘキサン、1,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノオクタン、1,9−ジアミノノナン、1,10−ジアミノデカン、1,11−ジアミノウンデカン、1,12−ジアミノドデカン等の脂肪族アミン;
1,2−ジアミノシクロヘキサン、1,3−ジアミノシクロヘキサン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、1,2−ジ(2−アミノエチル)シクロヘキサン、1,3−ジ(2−アミノエチル)シクロヘキサン、1,4−ジ(2−アミノエチル)シクロヘキサン、ビス(4−アミノシクロへキシル)メタン、2,6−ビス(アミノメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、2,5−ビス(アミノメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン等の脂環式ジアミンが挙げられる。グアナミン類としては、アセトグアナミン、ベンゾグアナミンなどを挙げることができ、また、上記ジアミンの芳香環上水素原子の一部若しくは全てをフルオロ基、メチル基、メトキシ基、トリフルオロメチル基、又はトリフルオロメトキシ基から選ばれた置換基で置換したジアミンも使用することができる。
さらに目的に応じ、架橋点となるエチニル基、ベンゾシクロブテン−4’−イル基、ビニル基、アリル基、シアノ基、イソシアナト基、及びイソプロペニル基のいずれか1種又は2種以上を、上記ジアミンの芳香環上水素原子の一部若しくは全てに置換基として導入しても使用することができる。
ジアミンは、目的の物性によって選択することができ、p−フェニレンジアミンなどの剛直なジアミンを用いれば、最終的に得られるポリイミドは低膨張率となる。剛直なジアミンとしては、同一の芳香環に2つアミノ基が結合しているジアミンとして、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、1,4−ジアミノナフタレン、1,5−ジアミノナフタレン、2、6−ジアミノナフタレン、2,7−ジアミノナフタレン、1,4―ジアミノアントラセンなどが挙げられる。
さらに、2つ以上の芳香族環が単結合により結合し、2つ以上のアミノ基がそれぞれ別々の芳香族環上に直接又は置換基の一部として結合しているジアミンが挙げられ、例えば、下記式(5)により表されるものがある。具体例としては、ベンジジン等が挙げられる。
Figure 2012102237
(化学式(5)中、aは1以上の自然数、アミノ基はベンゼン環同士の結合に対して、メタ位または、パラ位に結合する。)
さらに、上記式(5)において、他のベンゼン環との結合に関与せず、ベンゼン環上のアミノ基が置換していない位置に置換基を有するジアミンも用いることができる。これら置換基は、有機基であるがそれらは互いに結合していてもよい。
具体例としては、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジトリフルオロメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル等が挙げられる。
最終的に得られるポリイミドを光導波路、光回路部品として用いる場合には、芳香環の置換基としてフッ素を導入すると1μm以下の波長の電磁波に対しての透過率を向上させることができる。
一方、ジアミンとして、1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサンなどのシロキサン骨格を有するジアミンを用いると、最終的に得られるポリイミドの弾性率が低下し、ガラス転移温度を低下させることができる。
ここで、選択されるジアミンは耐熱性の観点より芳香族ジアミンが好ましいが、目的の物性に応じてジアミンの全体の60モル%、好ましくは40モル%を超えない範囲で、脂肪族ジアミンやシロキサン系ジアミン等の芳香族以外のジアミンを用いても良い。
一方、ポリイミド前駆体を合成するには、例えば、アミン成分として4,4’−ジアミノジフェニルエーテルをN−メチルピロリドンなどの有機極性溶剤に溶解させた溶液を冷却しながら、そこへ等モルの3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物を徐々に加え撹拌し、ポリイミド前駆体溶液を得ることができる。
このようにして合成されるポリイミド前駆体は、最終的に得られるポリイミドに耐熱性及び寸法安定性を求める場合には、芳香族酸成分及び/又は芳香族アミン成分の共重合割合ができるだけ大きいことが好ましい。具体的には、イミド構造の繰り返し単位を構成する酸成分に占める芳香族酸成分の割合が50モル%以上、特に70モル%以上であることが好ましく、イミド構造の繰り返し単位を構成するアミン成分に占める芳香族アミン成分の割合が40モル%以上、特に60モル%以上であることが好ましく、全芳香族ポリイミドであることが特に好ましい。
ポリイミド前駆体の含有量は、ポリイミド前駆体樹脂組成物の固形分全体に対して、通常、1〜95重量%の範囲内とされる。
本発明に用いられるポリイミド前駆体の重量平均分子量は、その用途にもよるが、3,000〜1,000,000の範囲であることが好ましく、5,000〜500,000の範囲であることがさらに好ましく、10,000〜500,000の範囲であることがさらに好ましい。重量平均分子量が3,000未満であると、塗膜又はフィルムとした場合に十分な強度が得られにくい。また、加熱処理等を施しポリイミド等の高分子とした際の膜の強度も低くなる。一方、重量平均分子量が1,000,000を超えると粘度が上昇し、溶解性も低下しやすく、表面が平滑で膜厚が均一な塗膜又はフィルムが得られにくい。
ここで用いている分子量とは、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算の値のことをいい、ポリイミド前駆体そのものの分子量でも良いし、無水酢酸等で化学的イミド化処理を行った後のものでも良い。
ポリイミド前駆体の重量平均分子量が算出しにくい状況の場合は、数平均分子量で代替しても良い。その場合は、NMR(核磁気共鳴装置)によるピークの積分比によって、末端基を定量し、その値から数平均分子量を求める方法などが利用できる。
なお、ポリイミド前駆体合成時における溶剤は、極性溶剤が望ましく、代表的なものとして、N−メチル−2−ピロリドン、N−アセチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N−ジメチルメトキシアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルフォスホアミド、ピリジン、ジメチルスルホン、テトラメチレンスルホン、ジメチルテトラメチレンスルホン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、シクロペンタノン、γ−ブチロラクトン、α−アセチル−γ−ブチロラクトン等があり、これらの溶剤は単独であるいは2種類以上を組み合わせて用いられる。この他にも溶剤として組合せて用いられるものとしてベンゼン、ベンゾニトリル、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン、ブチロラクトン、キシレン、トルエン、シクロヘキサノン等の非極性溶剤が挙げられ、これらの溶剤は、原料の分散媒、反応調節剤、あるいは生成物からの溶剤の揮散調節剤、皮膜平滑剤などとして使用される。
(沸点が100℃以上の25℃で液体である物質)
ポリイミド前駆体樹脂組成物は、当該樹脂組成物の溶液を塗布又は成形後、乾燥させた塗膜その他の成形物を熱処理する過程において、沸点が100℃以上の25℃で液体である物質を含有していることが、低温でのイミド化反応を促進する観点から好ましい。熱処理過程中のポリイミド前駆体樹脂組成物中に、沸点が100℃以上の25℃で液体である物質を適量含有させることにより、ポリイミド前駆体の分子鎖の自由度を向上させるため、イミド化反応の低温化、及び、見掛けの活性向上の観点から好ましい。
ポリイミド前駆体樹脂組成物を塗膜その他の成形物の状態にした場合には、溶液状態ほどではないが通常は溶剤を1〜30重量%程度含んでいるので、通常は、このように少量ながら存在する溶剤が、沸点が100℃以上の25℃で液体である物質に該当し、イミド化反応を低温化する作用を発揮するに充分な量であることが多い。ただし必要に応じて、溶剤とは別に沸点が100℃以上の25℃で液体である物質を組成物に配合して、熱処理過程中のポリイミド前駆体樹脂組成物中に沸点が100℃以上の25℃で液体である物質を適量含有させる。
溶剤とは別に用いられる沸点が100℃以上の25℃で液体である物質としては、例えば、水、シクロヘキサノール、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トルエン、キシレン等を例示できる。また、溶剤とは別に沸点が100℃以上の25℃で液体である物質を用いる場合、ポリイミド前駆体樹脂組成物の固形分全体に対し、0.1〜30重量%程度の割合で配合することが好ましい。
(溶剤)
ポリイミド前駆体樹脂組成物を溶解、分散又は希釈する溶剤としては、各種の汎用溶剤を用いることが出来る。また、ポリイミド前駆体の合成反応により得られた反応物溶液をそのまま用い、そこに含有される合成反応用溶剤に必要に応じて他の溶剤を追加、混合してもよい。
使用可能な汎用溶剤としては、例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル等のグリコールモノエーテル類(いわゆるセロソルブ類);メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノンなどのケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸n−プロピル、酢酸i−プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル、前記グリコールモノエーテル類の酢酸エステル(例えば、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、蓚酸ジメチル、乳酸メチル、乳酸エチル等のエステル類;エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン等のアルコール類;塩化メチレン、1,1−ジクロロエタン、1,2−ジクロロエチレン、1−クロロプロパン、1−クロロブタン、1−クロロペンタン、クロロベンゼン、ブロムベンゼン、o−ジクロロベンゼン、m−ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N−ジメチルメトキシアセトアミド等のアミド類;N−メチル−2−ピロリドン、N−アセチル−2−ピロリドンなどのピロリドン類;γ−ブチロラクトン、α−アセチル−γ−ブチロラクトン等のラクトン類;ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類、ジメチルスルホン、テトラメチレンスルホン、ジメチルテトラメチレンスルホンなどのスルホン類、ヘキサメチルフォスホアミド等のリン酸アミド類、その他の有機極性溶媒類等が挙げられ、更には、ベンゼン、トルエン、キシレン、ピリジン等の芳香族炭化水素類、及び、その他の有機非極性溶媒類等も挙げられる。これらの溶媒は単独若しくは組み合わせて用いられる。
中でも、プロピレングリコールモノメチルエーテル、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、酢酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン等の極性溶媒、トルエン等の芳香族炭化水素類、及び、これらの溶媒からなる混合溶媒が好適なものとして挙げられる。
ポリイミド前駆体樹脂組成物を溶剤に溶解する場合、その濃度は塗布等の加工性の観点から目的に応じて適宜調整されるが、塗布液として使用する場合には、通常、固形分濃度を1〜50重量%程度、好ましくは5〜35重量%程度とする。
なお、本発明において固形分は、上述した溶剤以外のもの全てであり、室温で液体の反応性モノマー等も含まれる。
(その他の成分)
本発明に係るポリイミド前駆体樹脂組成物に加工特性や各種機能性を付与するために、様々な有機又は無機の低分子又は高分子化合物を配合してもよい。例えば、染料、界面活性剤、レベリング剤、可塑剤、微粒子等を用いることができる。微粒子には、ポリスチレン、ポリテトラフルオロエチレン等の有機微粒子、コロイダルシリカ、カーボン、層状珪酸塩等の無機微粒子等が含まれ、それらは多孔質や中空構造であってもよい。また、その機能又は形態としては顔料、フィラー、繊維等がある。
溶剤及び溶剤とは別に用いられる沸点が100℃以上の25℃で液体を除く他の成分の配合割合は、ポリイミド前駆体樹脂組成物の固形分全体に対し、0.1重量%〜95重量%の範囲が好ましく、さらに0.5重量%〜50重量%の範囲が好ましい。0.1重量%未満だと、添加物を添加した効果が発揮されにくく、95重量%を超えると、最終的に得られる樹脂硬化物の特性が最終生成物に反映されにくい。
<ポリイミド前駆体樹脂組成物の使用方法>
本発明に係るポリイミド前駆体樹脂組成物は、通常、溶剤を用いて溶液状態に調製し、機能性部品等の何らかの支持体の表面に塗布、乾燥するなどして塗膜その他の所定形状にする。ポリイミド前駆体樹脂組成物を塗布する場合には、当該樹脂組成物を、すでに説明したような溶剤に溶解後、浸漬法、スプレー法、フレキソ印刷法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、スピンコート法、ディスペンス法などによって、シリコンウエハ、金属基板、セラミック基板、樹脂フィルムなどの支持体の表面に塗布し、乾燥して溶剤の大部分を除くことにより、支持体表面に粘着性のない塗膜を与えることができる。塗膜の厚みには特に制限はないが、用途に合わせて、通常は0.5〜200μm程度とすることが多い。塗布した塗膜の乾燥条件としては、例えば、80〜140℃、1分〜120分が挙げられる。
本発明に係るポリイミド前駆体樹脂組成物は、溶剤を全く含まないか又は少量しか含まない可塑性乃至高粘性の状態で、適した成形方法により何らかの支持体の表面に適用したり、所定形状に成形したりすることもできる。
所定の二次元パターンを形成したい場合には、ポリイミド前駆体樹脂組成物の印刷インキを調製し印刷を行うか、或いは、ポリイミド前駆体樹脂組成物の塗膜上に、ポジ型又はネガ型のレジストを用いてレジストパターンを形成し、現像又はエッチングを行うことでポリイミド前駆体樹脂組成物からなる所定パターンを形成することができる。
このような適宜の方法でポリイミド前駆体樹脂組成物を塗膜その他の所定形状にした後、加熱を行ってイミド化することで、硬化したポリイミド樹脂からなる機能性部位が形成される。
この熱処理は、公知の方法であればどの方法でもよく、具体的に例示すると、空気、又は窒素雰囲気下の循環オーブン、又はホットプレートによる加熱等が挙げられるが、特に限定されない。
本発明においてイミド化反応を行うための加熱条件は、特に限定されないが、低温イミド化を行う典型的な加熱条件としては、150〜270℃が好ましく、150℃〜250℃がより好ましい。また、その際の室温以上の状態にサンプルが置かれる時間(加熱時間)としては、1分〜300分が好ましく、10分〜250分がより好ましい。
本発明のポリイミド前駆体樹脂組成物は、加熱処理によってイミド化反応が進行する。イミド化反応が進行したポリイミド前駆体樹脂組成物は、完全にイミド化させてポリイミドとしても良いし、用途に応じて、部分的にイミド化された状態で利用しても良い。
この場合のイミド化率は、350℃などの高温でイミド化されたサンプルのIRスペクトルをイミド化率100%とし、加熱処理する前の乾燥させただけのサンプルのIRスペクトルを0%として、目的のサンプルのIRスペクトルとそれらを比較することで求められる。
本発明で用いる塩基は、150〜200℃の少なくとも一部の温度で液体であるため、発生する塩基が液体となる温度を適宜選択することが、特に好ましい。発生する塩基が液体である場合、樹脂組成物中を拡散しやすいか、又は、樹脂組成物中のポリイミド前駆体を溶解することができるため、ポリイミド前駆体を低温で効率的にイミド化することができ、且つ、少量の塩基であってもポリイミド前駆体を効率的にイミド化することができる。
ポリイミド前駆体樹脂組成物に上記特定の塩基を含有させることにより、実用的なプロセスにおいてポリイミド前駆体樹脂組成物の溶液を塗布、乾燥させて形成した塗膜等の成形物を、270℃以下、好ましくは250℃以下、更に好ましくは230℃以下、更に好ましくは200℃以下の温度に加熱する場合でも実用上充分な速度でイミド化が進行し、実質的にほぼ完全にイミド化されたポリイミドを得ることが可能となる。また、触媒由来の残存物が少ないポリイミドを得ることが可能となる。
本発明においては、いかなるポリイミド前駆体を用いる場合でも、イミド化促進触媒として上記特定の塩基を用いることによってイミド化反応を低温化することができるが、特にポリアミック酸は低温化の観点から適した前駆体であり、上記特定の塩基を用いることによって最終キュア温度を250℃以下、好ましくは230℃以下、更に好ましくは200℃以下まで下げることが可能である。
従って、本発明に係るポリイミド前駆体樹脂組成物は、低温で速くポリイミド化することができ、ポリイミドからなる成形物や機能性部位を効率よく形成することができる。
また、本発明に係るポリイミド前駆体樹脂組成物は、全体又は一部の耐熱性が低い物品上にもポリイミドからなる部位を温和な熱処理によって形成することできる。
さらに、ポリイミド前駆体樹脂組成物を完全にポリイミドとする必要がない用途(例えば、ハイエンドの性能・品質を追求するのではなく低価格化を重視する用途)に対しては、同じイミド化率の物質を得るのに必要な熱処理条件を、他の硬化促進剤を使用する場合よりも緩和することが可能となる。
このような用途においては、従来は300℃以上に加熱しなければイミド化率を90%以上とすることができなかったポリイミド前駆体であっても、本発明で用いる上記特定の塩基と組み合わせてイミド化反応を行うことによって、加熱温度を270℃以下としてイミド化率90%以上のポリイミド樹脂を得ることができる。
本発明に係るポリイミド前駆体樹脂組成物は、塗料、印刷インキ、シール剤、接着剤、電子材料、光回路部品、成形材料、レジスト材料、建築材料、光学部材等、樹脂材料が用いられる公知の全ての分野、製品に利用できる。
本発明に係るポリイミド前駆体樹脂組成物は、耐熱性、寸法安定性、絶縁性等の特性が有効とされる広範な分野、製品、例えば、塗料、印刷インキ、シール剤、又は接着剤、或いは、表示装置、半導体装置、電子部品、微小電気機械システム(Micro Electro Mechanical System(MEMS))、光学部材又は建築材料の形成材料として好適に用いられる。例えば具体的には、電子部品の形成材料としては、封止材料、層形成材料として、プリント配線基板、層間絶縁膜、配線被覆膜等に用いることができる。また、表示装置の形成材料としては、層形成材料や画像形成材料として、カラーフィルター、フレキシブルディスプレイ用フィルム、レジスト材料、配向膜等に用いることができる。また、半導体装置の形成材料としては、レジスト材料、バッファーコート膜のような層形成材料等に用いることができる。また、光学部品の形成材料としては、光学材料や層形成材料として、ホログラム、光導波路、光回路、光回路部品、反射防止膜等に用いることができる。また、建築材料としては、塗料、コーティング剤等に用いることができる。
上記の様な特徴を有することから、本発明に係るポリイミド前駆体樹脂組成物は、パターン形成用材料としても用いることが可能である。特に、ポリイミド前駆体樹脂組成物をパターン形成用材料(レジスト)として用いた場合、それによって形成されたパターンは、ポリイミドからなる永久膜として耐熱性や絶縁性を付与する成分として機能し、例えば、カラーフィルター、フレキシブルディスプレー用フィルム、電子部品、半導体装置、層間絶縁膜、配線被覆膜、光回路、光回路部品、反射防止膜、その他の光学部材又は電子部材を形成するのに適している。
また、本発明においては、本発明に係るポリイミド前駆体樹脂組成物又はその熱硬化物により少なくとも一部分が形成されている、印刷物、塗料、シール剤、接着剤、表示装置、半導体装置、電子部品、微小電気機械システム、光学部材又は建築材料いずれかの物品が提供される。
以下、本発明について実施例を示して具体的に説明する。但し、これら実施例の記載は本発明を制限するものではない。尚、実施例中、部は特に特定しない限り重量部を表す。製造された塩基発生剤の構造はH NMRによって確認した。
H NMR測定:日本電子(株)製、JEOL JNM−LA400WB
手動露光機:大日本科研製、MA−1100
吸光度測定:(株)島津製作所製、紫外可視分光光度計UV−2550
塗膜の加熱:アズワン(株)製、HOT PLATE EC−1200(本実施例中、ホットプレートと記載することがある)
(合成例1:ポリイミド前駆体(BPDA−ODA)の合成)
4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(ODA)20.0g(100mmol)を500mlのセパラブルフラスコに投入し、181gの脱水されたN−メチル−2−ピロリドン(NMP)に溶解させ窒素気流下、オイルバスによって液温が50℃になるように熱電対でモニターし加熱しながら撹拌した。それらが完全に溶解したことを確認した後、そこへ、少しずつ30分かけて3,3’、4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸2無水物(BPDA)27.4g(93mmol)を添加し、添加終了後、50℃で5時間撹拌した。その後、フタル酸無水物を0.9g(6mmol)添加した。その後室温まで冷却し、下記式(6)で表わされる繰り返し単位を有するポリイミド前駆体溶液1を得た。
Figure 2012102237
[実施例:各塩基の触媒能の評価]
本発明に係る光塩基発生剤から発生する塩基のイミド化を促進する触媒能の評価を行った。
(1)ポリイミド前駆体樹脂組成物の調製、及び塗膜の作製
上記合成例1で得られたポリイミド前駆体溶液1に、表1に記載の塩基を、上記ポリイミド前駆体溶液1の固形分1gに対してそれぞれ0.6mmolの割合で添加し、実施例1〜14及び比較例1〜8のポリイミド前駆体樹脂組成物を調製した。
また、上記合成例1で得られたポリイミド前駆体溶液1に、ピペリジンとシクロヘキサノールを、上記ポリイミド前駆体溶液1の固形分1gに対してそれぞれ0.6mmol添加したサンプルを、比較例9のポリイミド前駆体樹脂組成物とし、ポリイミド前駆体溶液1そのものを、ブランクとして比較例10のポリイミド前駆体樹脂組成物とした。また、塩基としてイソニペコチン酸を用いて、試験例1と同様にしてポリイミド前駆体樹脂組成物を調製したところ、ポリイミド前駆体溶液1にイソニペコチン酸が溶解しなかったため、イミド化率の測定はできなかった。
得られた実施例1〜14及び比較例1〜10の各ポリイミド前駆体樹脂組成物をクロムめっきされたガラス(50mm×50mm)上に、乾燥後11±1μmとなるようスピンコートし、100℃のホットプレート上で15分乾燥させてそれぞれ対応する塗膜を作製した。
(2)イミド化率の測定
イミド化率は、各塗膜について、ホットプレートにより150℃、160℃、170℃及び250℃でそれぞれ10分間加熱した各塗膜のIRスペクトルから求めた。
具体的にはFT/IR−6100typeA(日本分光)と付属品名 ATR PRO470−Hのアタッチメントをもちい、下記の条件(条件記入)で測定し、得られたそれぞれのスペクトルを1480−1495cm−1のピークを基準に規格化し、1750−1800cm−1のイミドカルボニルピークの強度比から算出した。
算出の基準として、ポリイミド前駆体溶液(1)をクロムめっきされたガラス(50mm×50mm)上に、乾燥後11±1μmとなるようスピンコートし、100℃のホットプレート上で15分乾燥した塗膜をイミド化率0%、そのサンプルを、窒素気流下、室温から350℃まで毎分10℃ずつ昇温し、350℃で1時間加熱した後の塗膜をイミド化率100%としてイミド化率を算出した。結果は表1の通りであった。
ホットプレートにより160℃で加熱した際、イミド化率が60%以上であれば、塩基の触媒能は高いと判断される。
なお、表1中の沸点は東京化成工業(株)の2010年度版の試薬カタログ(TCI Fine Chemicals 2010−2011 No.40)、シグマ アルドリッチ ジャパン(株)の2010年度版の試薬カタログ(ALDRICH Chemistry 2009−2010)及び、関東化学(株)の2010年度版のカタログ(The Index of Laboratory Chemicals 2010 No.26)を参照した。減圧状態での沸点が記載されているものに関しては、東京化成工業(株)の2010年度版の試薬カタログ(TCI Fine Chemicals 2010−2011 No.40)内に掲載されている沸点換算表を元に常圧1atm(=101325Pa=760mmHg)での沸点に換算した。
<測定条件>
光源:標準光源
検出器:TGS
積算回数:16
分解:4cm−1
ゼロフィリング:On
アポダイゼーション:Cosine
ゲイン:Auto(32)
アパーチャー:Auto(7.1mm)
スキャンスピード:Auto(2mm/sec)
フィルタ:Auto(10000Hz)
Figure 2012102237
表1の結果から、沸点が150℃以上かつ融点が200℃以下で、かつ、アルコール性水酸基を有する1級又は2級の脂肪族アミンは、ポリイミド前駆体のイミド化率を向上させる触媒能が高いことが明らかとなった。

Claims (10)

  1. ポリイミド前駆体と、沸点が150℃以上かつ融点が200℃以下であり、アルコール性水酸基を有しかつカルボキシル基、スルホ基及びリン酸基よりなる群に含まれる酸性基のいずれも有しない1級及び2級の脂肪族アミンよりなる群から選ばれる塩基とを含有することを特徴とする、ポリイミド前駆体樹脂組成物。
  2. 沸点が100℃以上かつ25℃で液体である物質を含有する、請求項1に記載のポリイミド前駆体樹脂組成物。
  3. 前記ポリイミド前駆体がポリアミック酸である、請求項1又は2に記載のポリイミド前駆体樹脂組成物。
  4. 前記塩基が、酸性基を含まないものである、請求項1乃至3のいずれか1項に記載のポリイミド前駆体樹脂組成物。
  5. 前記塩基が、150〜200℃のいずれかの温度において、当該塩基100重量部に対して、前記ポリイミド前駆体を10重量部以上溶解する塩基である、請求項1乃至4のいずれか1項に記載のポリイミド前駆体樹脂組成物。
  6. 前記塩基が、4−アミノ−1−ブタノール、ジエタノールアミン、1−アミノ−2−ブタノール、エタノールアミン、4−ピペリジンメタノール、3−ピロリジノール、4−ピペリジンエタノール、3−ピペリジンメタノール、4−ヒドロキシピペリジン、2−ピペリジンメタノール、2−アミノ−1−ブタノール、trans−4−アミノシクロヘキサノール、2−ピロリジンメタノール、及び、N−メチルエタノールアミンから選ばれる少なくとも1つ以上の1級又は2級アミンである、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の
    ポリイミド前駆体樹脂組成物。
  7. 前記ポリイミド前駆体100重量部に対して、前記塩基を0.1〜100重量部含有する、請求項1乃至6のいずれか1項に記載のポリイミド前駆体樹脂組成物。
  8. 塗料、印刷インキ、シール剤、接着剤、或いは、表示装置、半導体装置、電子部品、微小電気機械システム、光学部材又は建築材料の形成材料として用いられる請求項1乃至7のいずれか1項に記載のポリイミド前駆体樹脂組成物。
  9. 請求項1乃至8のいずれか1項に記載のポリイミド前駆体樹脂組成物又はその硬化物により少なくとも一部が形成されている、印刷物、塗料、シール剤、接着剤、表示装置、半導体装置、電子部品、微小電気機械システム、光学部材又は建築材料のいずれかの物品。
  10. 前記ポリイミド前駆体樹脂組成物を、270℃以下の温度で熱処理して得られた、イミド化率が90%以上のポリイミド前駆体樹脂組成物の硬化物により少なくとも一部が形成されている、請求項9に記載の物品。
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