JP2012101984A - ベルジャー清浄化方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】多結晶シリコンの製造に用いられる反応容器(ベルジャー)の内面の付着物及び汚染物質を確実に除去する方法を提供すること。
【解決手段】多結晶シリコンの製造に用いられる反応容器(ベルジャー)1は、ゴムパッキン3を介して受け皿2上に載置される。受け皿2に載置された状態のベルジャー1内部には、氷の細粒をベルジャー1の内面に一定の距離と角度を保ちつつ衝突させるためのノズル4と、このノズル4に氷の細粒および純水を送るためのホース5と、ノズル4の位置を移動させるための回転機能を有するシャフト6が設けられている。製氷機10により氷の細粒が造粒される。氷の細粒は、最大径が0.3〜3.0mm程度のものが好ましい。氷の細粒は、例えば、0.5MPa〜1MPaの圧力の圧縮空気8によりノズル4へと送られる。氷の細粒をノズル4からベルジャー1の内面に衝突させる角度は、30〜60°が好適である。
【選択図】図1

Description

本発明はベルジャー清浄化方法に関し、より詳しくは、シーメンス法により多結晶シリコンを気相成長する際に用いられるベルジャーの内壁面を清浄化するための方法に関する。
高純度多結晶シリコンは、半導体デバイス製造用の単結晶シリコン基板や太陽電池製造用の原料である。高純度多結晶シリコンは、一般に、原料ガスであるケイ素含有反応ガスを熱分解又は水素還元により高純度珪素とし、これを細い珪素フィラメントロッド上にCVD(Chemical Vapor Deposition)法により析出させる手法(シーメンス法)によりバッチ式に製造される。ここで、珪素含有反応ガスとしては、モノシラン、ジクロロシラン、トリクロロシラン、テトラクロロシランなどのガスや、一般的にSiH4−n(n=0,1,2,3;X=Br、I)で標記されるハロゲンガスが用いられる。
シーメンス法により多結晶シリコンを気相成長する際、気相成長装置の反応炉(ベルジャー)内に、鉛直方向に2本と水平方向に1本のシリコン芯線を鳥居型に組み立てる。そして、この鳥居型のシリコン芯線の両端を、一対の芯線ホルダを介してベースプレート上に配置して一対の金属電極に固定する。
反応炉内を水素雰囲気とし、上記金属電極から電流を導通させてシリコン芯線を900℃以上1200℃以下の温度範囲に加熱しながら原料ガスをガスノズルから反応炉内に供給すると、シリコン芯線上にシリコンが気相成長し、所望の直径の多結晶シリコンが逆U字状に形成される。そして反応炉内を冷却した後に大気開放し、反応炉から多結晶シリコンを取り出す。なお、上記原料ガスとしては、例えばトリクロロシランと水素の混合ガスが用いられる。
大気開放された反応炉の内壁面には、上述した気相反応により均一核形成プロセスによって生成した、無定形のシリコンダストやハロゲン化シランの重合物が固体として付着している。この付着固体は、大気中の水分に触れると、ハロゲン化シランの加水分解反応により塩化水素と二酸化珪素を生成する。更に、塩化水素は反応炉の内壁を腐食して金属塩化物を生成させる。このような金属塩化物は、最終製品である多結晶シリコンの金属汚染源となるため、多結晶シリコンの気相成長工程終了後に、反応炉の内壁からこれらの付着固体を除去しておく必要がある。
また、反応炉の内壁面にハロゲン化シランの重合物や二酸化珪素が付着したままの状態では、内壁面の反射率が低下する。反応炉内壁面の反射率が低下した状態で気相成長反応を行うと、加熱された多結晶シリコンからの輻射熱が内壁面で十分に反射されないので、供給される電力の利用効率が低下する。この意味でも、多結晶シリコンの気相成長工程終了後の反応炉内壁からの生成物除去が必要となる。
反応炉の内壁面からハロゲン化シランの重合物や二酸化珪素を除去するために、種々の提案がなされている。
例えば、特開昭56−114815号公報(特許文献1)には、反応炉の炉壁を加熱しながら水蒸気を炉内に導入してハロゲン化シランの重合物を加水分解し、次いで不活性ガスの高速ジェット流を炉壁に噴射して固体分を炉内壁より分離粉砕し、炉外に排出する多結晶シリコン用反応炉の予備洗浄方法が開示されている。
また、特開平06−216036号公報(特許文献2)には、反応炉の内壁面上のシリコン付着物に二酸化炭素ペレットを衝突させてシリコン付着物を除去する多結晶シリコン製造用CVD反応容器の清浄化法が開示されている。
さらに、特開2009−196882号公報(特許文献3)には、中央部に配置したシャフトを回転させるとともに鉛直方向に移動しながら、該シャフトの上端部のノズルから三次元方向に洗浄水を高圧噴射して反応炉の内壁面を洗浄する構成の反応炉洗浄装置が開示されている。
加えて、実公昭63−2145号公報(特許文献4)には、技術的背景として、高圧水の噴射反力でノズルがアームに対して自転しつつ給水管に対して公転するように構成された回転式ノズル装置が記載されている。
特開昭56−114815号公報 特開平06−216036号公報 特開2009−196882号公報 実公昭63−2145号公報 特開平4−360766号公報 特開2004−122296号公報
ところで、上述した二酸化炭素ペレットを使用する方法は、固体付着物を物理的に落とす効率は高いものの、付着物の加水分解を進行させるものではないため、二酸化炭素ペレットによる付着物除去後にクロロシラン類が残留していると、反応容器を開放した際に大気中の水分によりクロロシラン類が加水分解して塩化水素が発生する。また、作業環境への窒息性ガスの拡散が生じる可能性もあり、安全上取り扱いに注意を要する。
洗浄水を高圧噴射して付着物除去する方法では、反応容器の洗浄中にクロロシラン類を加水分解させることはできるが、ハロゲン化シランの重合体を含むシリコンダストは強固に付着していることが多く、物理的な除去能力の面で不十分な場合があり、洗浄効率は必ずしも高いとは言えない。
本発明はこのような課題に鑑みなされたものであり、多結晶シリコンの製造に用いられる反応容器(ベルジャー)の内面の付着物及び汚染物質を、確実に除去することができる方法を提供するものである。
係る課題を解決するために、本発明は多結晶シリコンの製造に用いられるベルジャーの内面を清浄化する方法であって、前記ベルジャー内面にノズルの先端から氷の細粒を衝突させて前記ベルジャーの内面の付着物を除去する工程を備えている。
前記氷の細粒は純水から作られることが好ましい。
好ましくは、前記氷の細粒は最大径が0.3〜3.0mmである。また、好ましくは、前記氷の細粒を前記ノズルから前記ベルジャー内面に衝突させる角度は30〜60°である。
さらに、好ましくは、前記氷の細粒を用いた清浄化の後に、室温以上の純水を用いて前記ベルジャー内面を水洗浄する工程を備える。
本発明のベルジャー清浄化方法では、ベルジャー内面に固着した付着物を氷の細粒の衝突により除去することとしたので、当該付着物を効率よく除去することができると共に、水による加水分解により発生する塩化水素を塩酸として系外に除去することができる。また、加水分解されたクロロシラン類は親水性を示すため、水による洗浄を受けやすくなる。
このように、本発明によれば、多結晶シリコンの製造に用いられる反応容器(ベルジャー)の内面の付着物及び汚染物質を確実に除去する方法が提供される。
本発明に係るベルジャー清浄化装置の構成を概念的に説明するための断面図である。
以下に、図面を参照して本発明のベルジャー清浄化方法を実施するための形態について説明する。
図1は、本発明に係るベルジャー清浄化装置の構成を概念的に説明するための断面図である。多結晶シリコンの製造に用いられる反応容器(ベルジャー)1は、多結晶シリコンの析出反応終了後に洗浄して清浄化するため、反応装置本体から取り外され、ゴムパッキン3を介して受け皿2上に載置される。
受け皿2に載置された状態のベルジャー1内部には、氷の細粒をベルジャー1の内面に一定の距離と角度を保ちつつ衝突させるためのノズル4と、このノズル4に氷の細粒および純水を送るためのホース5と、ノズル4の位置を移動させるための回転機能を有するシャフト6が設けられている。
ノズル4からベルジャー1の内面に射出された氷の細粒および純水は、受け皿2の下部に設けられた管から排水9として系外に排出される。なお、ゴムパッキン3は、ベルジャー1の下面にキズをつけないようにするための弾性部材である。
氷の細粒をベルジャー1の内面に衝突させる態様には特に制限はなく、例えば、特開平4−360766号公報(特許文献5)に開示されているような氷の細粒を高圧ガスで吹き付けるものや、或いは、特開2004−122296号公報(特許文献6)に開示されているような、氷の細粒を含む水を吹き付けるものなどでもよい。
また、ベルジャー清浄化装置の運転条件は、ベルジャー1の形状や大きさなどの諸条件に応じて適宜調整される。図1には、一例として、氷の細粒を高圧ガスで吹き付ける態様の清浄化装置を示しているが、この例では、氷の原料となる純水11と氷の細粒を搬送するための圧縮空気8が供給される製氷機10が備えられており、製氷機10で作られた氷の細粒が圧縮空気8の圧力によりノズル4へと送られてベルジャー1の内面に吹き付けられる構成となっている。なお、氷の細粒によるシリコンダストの除去後にベルジャー1の内面を水洗浄するため、ノズル4には純水7が供給可能な構成となっている。
なお、シリコンダスト除去のための氷の細粒と水洗浄のための純水は、同一のノズルから射出させるようにしてもよいし、別個のノズルから射出されるようにしてもよい。
製氷機10には、例えば、比抵抗が3MΩcm以上の純水11が1〜3リットル/min程度の流量で送られて氷の細粒が造粒される。氷の細粒は、最大径が0.3〜3.0mm程度のものが好ましい。氷の細粒は、例えば、0.5MPa〜1MPaの圧力の圧縮空気8によりノズル4へと送られる。
氷の細粒をノズル4からベルジャー1の内面に衝突させる角度は、30〜60°が好適である。また、ノズル4の先端とベルジャー1の内面との間の距離は、例えば、5〜15cm程度である。
このような清浄化により、ドライアイスペレットを用いた清浄化と同程度の、物理的な付着物除去効果を得ることができる。
なお、この清浄化工程中において、ハロゲン化シラン由来の重合体は加水分解を受けて親水性化合物となるから、ハロゲン化シランの重合体を含むシリコンダストは剥離され易い状態となり、その結果、清浄化効率が高まる。
本発明のベルジャー清浄化方法は、基本的に湿式のものであるから、上述した清浄化工程後の乾燥が必要である。乾燥が完全に行われないと、微量に残留した腐食性成分によりベルジャー内面の腐食が進むことになる。乾燥には、短時間で且つ完全な乾燥の達成が容易な、真空乾燥法などを用いると良い。
また、氷の細粒を用いた清浄化の後に、室温以上の純水を用いて水洗浄を行うと、ベルジャー内面の清浄化が高まるのみならず、ベルジャー内面の温度も室温以上に高まることとなるため、乾燥をより短時間に完了することができる。従って、上述の清浄化工程に、かかる室温以上の純水を用いた水洗浄の工程を含めることが好ましい。
高純度シリコン多結晶製造装置の反応終了後のベルジャーを用いて、比抵抗5MΩcmの純水を圧力20MPaで高圧噴射して清浄化した場合と5MΩcmの純水から作った氷の細粒を用いてベルジャー内面の清浄化を行った場合につき、シリコンダストの除去レベルの比較を行った。
その比較結果を表1に纏めた。清浄度試験はそれぞれの方法で2回ずつ実施して効果を確認した。何れの試験においても、清浄化作業後は、真空乾燥を実施している。なお、清浄化後のベルジャーの清浄度の指標として、それぞれの方法による清浄化後のベルジャーを用いて製造された高純度多結晶シリコンの比抵抗も調べた。比抵抗は、多結晶シリコン中に取り込まれた不純物量の指標となる。
Figure 2012101984
先ず、清浄化に使用した純水量についてみると、本発明の氷の細粒による方法では2リットル/分であり、純水の高圧噴射による清浄化方法の100分の1であり、大幅な節水となっている。
また、目視によりベルジャー内面を調べたところ、本発明の氷の細粒による方法ではシリコンダストの残留は認められず、確実なシリコンダストの除去が行われていることが確認された。
なお、多結晶シリコンの比抵抗については両手法で優位な差異は認められなかった。
以上説明したように、本発明によれば、多結晶シリコンの製造に用いられる反応容器(ベルジャー)の内面の付着物及び汚染物質を確実に除去する方法が提供される。
1 ベルジャー(反応容器)
2 受け皿
3 ゴムパッキン
4 ノズル
5 ホース
6 シャフト
7 仕上げ洗浄用純水
8 圧縮空気
9 排水
10 製氷機
11 純水

Claims (5)

  1. 多結晶シリコンの製造に用いられるベルジャーの内面を清浄化する方法であって、
    前記ベルジャー内面にノズルの先端から氷の細粒を衝突させて前記ベルジャーの内面の付着物を除去する工程を備えている、ベルジャー清浄化方法。
  2. 前記氷の細粒は純水から作られる、請求項1の記載のベルジャー清浄化方法。
  3. 前記氷の細粒は最大径が0.3〜3.0mmである、請求項1又は2に記載のベルジャー清浄化方法。
  4. 前記氷の細粒を前記ノズルから前記ベルジャー内面に衝突させる角度は30〜60°である、請求項1乃至3の何れか1項に記載のベルジャー清浄化方法。
  5. 前記氷の細粒を用いた清浄化の後に、室温以上の純水を用いて前記ベルジャー内面を水洗浄する工程を備えている、請求項1乃至4の何れか1項に記載のベルジャー清浄化方法。
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