JP2012101327A - ウェーハの面取り方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】円板状のウェーハWにおける一方の面である下面WAのみを保持した状態で、ウェーハWの面取りを行う面取り方法であって、ウェーハWにおける他方の面である上面WBの周縁部WCおよびウェーハWの側面WDを、粗研削用の研削材を用いて研削する粗研削工程と、前記粗研削工程の後に、ウェーハW1の上面WBの周縁部WC1およびウェーハW1の側面WD1を、精研削用の研削材を用いて研削する非保持面精研削段階、並びに、ウェーハW1の下面WAの周縁部WE1およびウェーハW1の側面WD1のうちの少なくとも周縁部WE1を、精研削用の研削材を用いて研削する保持面精研削段階を備える精研削工程とを備えることを特徴とするウェーハの面取り方法。
【選択図】図5
Description
また、仕上げ面取り加工における取り代がある程度大きい場合には、粗研削と精研削との二段階に分けて研削する方法が提案されており、例えば、メタルボンド砥石でウェーハの面取り面を粗加工する粗面取り工程と、この粗面取り工程後に、メタルボンド砥石よりも粒度が細かいレジンボンド砥石で面取り面を精密加工する精密面取り工程とを備える方法が提案されている(特許文献2参照)。
さらに、粗研削後に精研削する際に、ウェーハの周縁部の先端部とテーパー部との取り代を均一にするような方法が提案されている(特許文献3参照)。
すなわち、例えば、精研削工程後のウェーハにおける保持面の周縁部の形状および非保持面の周縁部の形状が非対称となるように、ウェーハの面取りを行う場合、以下のような傾向が特に強いことを見出した。
ウェーハのチップは、吸着などで保持される保持面の周縁部に発生しやすく、保持面と反対側の非保持面の周縁部には発生しにくい。
また、このチップは、ウェーハにおける研削材との接触部分と非接触部分との境界(以下、接触境界と称す)の近傍にて発生する。
さらに、このチップは、粗研削工程の際に発生しやすく、精研削工程の際には発生しにくい。
そして、粗研削工程の際に発生したチップは精研削工程においても研削されずに残ってしまう。
本発明は、これらの知見に基づいて完成されたものである。
すなわち、従来の仕上げ面取り方法では、粗研削工程が、ウェーハにおける非保持面の周縁部と側面とを研削する非保持面粗研削段階と、ウェーハにおける保持面の周縁部および側面のうちの少なくとも保持面の周縁部を研削する保持面粗研削段階とを備える。このような場合において、非保持面粗研削段階では、保持面を保持する保持手段と研削材との間にウェーハが挟み込まれることとなるため、ウェーハのばたつきを抑制することができ、結果として、チップの発生を抑制できる。一方、保持面粗研削段階では、保持手段と研削材との間にウェーハが挟み込まれないので、研削中にウェーハがばたついてしまい、結果として、ウェーハの保持面の周縁部にチップが発生しやすくなる。
また、このようなチップは、ウェーハにおける研削材の接触境界の近傍に発生しやすい。ここで、保持面粗研削段階では、保持面の周縁部を研削するので、接触境界は、側面と同一面上に位置せずに、ウェーハの中心側に位置することとなる。このため、精研削工程において、ウェーハにおける保持面の周縁部と側面とを研削しても(保持面精研削段階を行っても)、粗研削工程で発生したチップが研削されずに残ってしまう。
これに対して、本発明においては、粗研削工程で、非保持面粗研削段階のみを行っており、保持面粗研削段階を行っていないので、粗研削工程の際のウェーハのばたつきによる保持面の周縁部でのチップの発生を抑制できる。
また、粗研削工程で、非保持面粗研削段階のみを行う場合でも、保持面の周縁部における接触境界の近傍にチップが発生することがある。しかし、非保持面粗研削段階のみを行う場合は、接触境界は、側面と同一面上に位置することとなる。このため、精研削工程において、ウェーハにおける保持面の周縁部と側面とを研削することで、チップを研削できる。
さらに、保持面の周縁部は保持面精研削段階のみで研削されることとなるが、精研削工程の際には、研削材の粒度の影響により粗研削工程と比べてチップが発生しにくい。
以上のようにして、本発明によれば、ウェーハの周縁部におけるチップの発生を抑制できるものと本発明者は推察する。
この発明によれば、ユーザーのニーズに対応したウェーハを提供できる。
粗研削工程では、研削材の粒度が粗いため、研削材とウェーハを相対移動させたときに研削部分に線状の傷(以下、加工層と称す)が発生する場合がある。そして、粗研削工程の取り代が精研削工程における取り代よりも大きい場合、精研削工程を行っても加工層が残ってしまう場合がある。
これに対して、この発明によれば、精研削工程における取り代を粗研削工程における取り代よりも大きくするために、粗研削工程の際に発生する加工層を後の精研削工程により研削でき、結果として、加工層の発生を抑制できる。
なお、本実施形態では、特に明示しない限り、「上」、「下」、「左」、「右」といった方位を示す用語は、図1を基準として用いる。
まず、本実施形態に用いる面取り装置について説明する。
図1に示すように、面取り装置1は、ウェーハWの保持面としての下面WAを保持し、下面WAの周縁部(以下、下周縁部と称す)およびウェーハWの側面に対して粗研削工程を行い、下周縁部、側面、および、ウェーハWの非保持面としての上面WBの周縁部(以下、上周縁部と称す)に対して精研削工程を行う。この面取り装置1は、下面WAを吸着するウェーハ吸着部2と、このウェーハ吸着部2で吸着されたウェーハWを研削する研削部3とを備える。
研削部3は、ウェーハWを研削する研削ホイール31と、この研削ホイール31を保持するホイール保持部材32と、研削ホイール31およびホイール保持部材32を回転させたり、上下方向に昇降させたり、左右方向に移動させる駆動手段(図示せず)とを備える。
研削ホイール31は、粗研削用の研削材としての粗研削ホイール311と、この粗研削ホイール311の下側に設けられた、精研削用の研削材としての精研削ホイール312とを備える。
精研削ホイール312は、粒度が1000番以上(より好ましくは、1000番〜4000番、特に好ましくは、1000番〜2000番)の研削材を備えることが好ましい。前記粒度が前記下限未満では、チップや加工層が発生しやすくなる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、面取り加工における生産性が低下する傾向にある。この精研削ホイール312の外周面には、図3および図4に示すように、上周縁部WCを研削可能な非保持面精研削部312Cと、側面WDを研削可能な側面精研削部312Dと、下周縁部WEを研削可能な下面精研削部312Eとを備える溝部が形成されている。
ここで、粗研削ホイール311および精研削ホイール312の数は、特に限定されない。また、粗研削ホイール311および精研削ホイール312に用いる接着剤の種類は特に限定されないが、メタルボンドを用いることが好ましい。
次に、本実施形態のウェーハの面取り方法について説明する。
通常、ウェーハを製造する場合には、インゴットをスライスして得られるウェーハに対して粗面取り加工を施す。そして、粗面取り加工後に、ラップ加工を施し、さらに仕上げ面取り加工を施す。また、仕上げ面取り加工後には、エッチング加工、ミラー面取り加工、ウェーハの表面の鏡面研磨加工を施す。
本実施形態においては、上記面取り装置1を用いた面取り方法を、このような仕上げ面取り加工のときに採用した。また、本実施形態においては、ウェーハWの保持面に生じる傷を後工程において除去できるという観点から、ウェーハWの保持面に対し鏡面研磨加工が施されるようにしている。
なお、以下において、粗研削工程前、粗研削工程後、精研削工程のうちの非保持面精研削段階後、精研削工程後のウェーハを、それぞれ、研削前ウェーハW、粗研ウェーハW1、精研中ウェーハW1a、精研ウェーハW2と称す。また、粗研削工程前の上周縁部、側面、下周縁部を、研削前上周縁部WC、研削前側面WD、研削前下周縁部WEと称し、粗研削工程後の上周縁部、側面、下周縁部を、粗研上周縁部WC1、粗研側面WD1、粗研下周縁部WE1と称し(図2参照)、非保持面精研削段階後の上周縁部、側面、下周縁部を、精研中上周縁部WC1a、精研中側面WD1a、精研中下周縁部WE1aと称し(図3参照)、精研削工程後の上周縁部、側面、下周縁部を、精研上周縁部WC2、精研側面WD2、精研下周縁部WE2と称す(図4参照)。
粗研削工程においては、研削前ウェーハWの研削前上周縁部WCおよび研削前側面WDを、粗研削ホイール311を用いて研削する。
具体的には、面取り装置1において、吸着ステージ21に保持された研削前ウェーハWの研削前上周縁部WCが、粗研削ホイール311の上面粗研削部311Cと接触するような上下位置となるように、研削部3を移動させる。その後、吸着ステージ21を研削前ウェーハWとともに所定回転速度(好ましくは、10mm/sec〜50mm/sec)で回転させるとともに、研削ホイール31も同様に回転させる。この状態で、研削部3を右方向に(研削前ウェーハWに向けて)移動させ、粗研削ホイール311を研削前上周縁部WCおよび研削前側面WDに当接させて、ウェーハWを研削する。
このような粗研削工程により、粗研上周縁部WC1、粗研側面WD1、粗研下周縁部WE1を有する粗研ウェーハW1が形成される。
なお、図2に示すT1は、粗研削工程における取り代を示す。
具体的には、面取り装置1において、図3に示すように、粗研上周縁部WC1が精研削ホイール312の非保持面精研削部312Cと接触するような上下位置となるように、研削部3を移動させる。その後、吸着ステージ21を研削後ウェーハW1とともに所定回転速度(好ましくは、10mm/sec〜50mm/sec)で回転させるとともに、研削ホイール31も同様に回転させる。この状態で、研削部3を右方向に(研削後ウェーハW1に向けて)移動させ、精研削ホイール312を研削後上周縁部WC1および研削後側面WD1に当接させて、ウェーハW1を研削する。
このような上面精研削段階により、精研中上周縁部WC1a、精研中側面WD1a、精研中下周縁部WE1aを有する精研中ウェーハW1aが形成される。
なお、図3に示すT21は、上面精研削段階における取り代を示す。
具体的には、面取り装置1において、図4に示すように、精研中下周縁部WE1aが精研削ホイール312の下面精研削部312Eと接触するような上下位置となるように、研削部3を移動させる。その後、吸着ステージ21を精研中ウェーハW1aとともに所定回転速度(好ましくは、10mm/sec〜50mm/sec)で回転させるとともに、研削ホイール31も同様に回転させる。この状態で、研削部3を右方向に(精研中ウェーハW1aに向けて)移動させ、精研削ホイール312を精研中下周縁部WE1aおよび精研中側面WD1aに当接させて、ウェーハW1aを研削する。
このような下面精研削段階により、精研上周縁部WC2、精研側面WD2、精研下周縁部WE2を有する精研ウェーハW2が形成される。
なお、図4に示すT22は、下面精研削段階における取り代を示す。
また、精研削工程における取り代T2は、上面精研削段階における取り代T21および下面精研削段階における取り代T22の合計値であるが、本実施形態においては、このような取り代T2が、粗研削工程における取り代T1よりも大きくなるように、研削している。
非保持面粗研削段階では、研削前ウェーハWの研削前上周縁部WCおよび研削前側面WDを研削し(図6参照)、保持面粗研削段階では、研削前側面WDおよび研削前下周縁部WEを研削することで(図7参照)、粗研上周縁部WC3、粗研側面WD3、および、粗研下周縁部WE3を有する粗研ウェーハW3が形成される。
そして、粗研ウェーハW3に対して、本実施形態と同様に、非保持面精研削段階および保持面精研削段階を有する精研削工程を行い、図8に示すように、精研上周縁部WC4、精研側面WD4、および、精研下周縁部WE4を有する精研ウェーハW4を得ることができる。
ここで、一般的に、精研削工程における取り代T4は、粗研削工程における取り代T3よりも小さくなるように、ウェーハWを研削している。
一方、保持面粗研削段階では、吸着ステージ21と粗研削ホイール311との間に研削前ウェーハWが挟み込まれないので、研削中に研削前ウェーハWがばたついてしまい、結果として、図8に示すように、粗研ウェーハW3の粗研下周縁部WE3にチップが発生しやすくなる。
このようなチップは、粗研ウェーハW3における粗研削ホイール311との接触境界L3の近傍に発生しやすい。
仮に、図5に示すように、チップが発生したとしても、接触境界L1は、粗研側面WD1と同一面上に位置することとなる。そして、チップ発生領域CR1は、従来のチップ発生領域CR3と比べて、粗研側面WD1に近い位置に存在することとなる。このため、精研削工程において、粗研下周縁部WE1と粗研側面WD1とを研削することで、粗研削工程で発生したチップが研削され、精研下周縁部WE2に残ってしまうことがない。
上述したような本実施形態では、以下のような作用効果を奏することができる。
(1)上述のように、粗研削工程の際のウェーハWのばたつきによる下面WAの周縁部WEでのチップの発生を抑制できる。また、上述のように、精研削工程において、ウェーハにおける保持面の周縁部と側面とを研削することで、チップを研削できる。さらに、上述のように、精研削工程の際には、研削材の粒度の影響により粗研削工程と比べてチップが発生しにくい。このようにして、本実施形態によれば、ウェーハの周縁部におけるチップの発生を抑制できる。
なお、本発明は上記実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の改良および設計の変更などが可能である。
すなわち、上記実施形態においては、粗面取り加工が施されているウェーハに対して、本発明のウェーハの面取り方法を実施したが、粗面取り加工が施されていないウェーハに対して、本発明のウェーハの面取り方法を実施してもよい。
また、前記精研削工程においては、非保持面精研削段階の前に保持面精研削段階を行ってもよい。
さらに、上記実施形態においては、面取り装置1の保持手段としてウェーハWを吸着により保持する吸着ステージ21を用いたが、この保持手段は、粘着材などによりウェーハWを保持する手段であってもよい。
また、前記下面精研削段階においては、精研中ウェーハW1aの精研中下周縁部WE1aと精研中側面WD1aとを、精研削ホイール312を用いて研削したが、精研中下周縁部WE1aのみを、精研削ホイール312を用いて研削してもよい。
まず、上記実施形態に用いる面取り装置1と同様の構成を有する以下の仕様の面取り装置を準備した。
面取り装置:東精エンジニアリング社製、「W−GM−4200A」および「W−GM−3200」
粗研削ホイール:メタルボンド(形状:T型ホイール、粒度:600番)
精研削ホイール:メタルボンド(形状:T型ホイール、粒度:1000番)
また、粗面取り加工およびラップ加工が施されたウェーハ(直径:200mm+取り代)200〜400枚を1ロットとして準備した。
なお、精研削工程における取り代T2は、粗研削工程における取り代T1よりも大きい。また、仕上げ面取り加工後のウェーハの直径は200mmである。
得られた結果を表1に示す。なお、外観不良検査は、ミラー面取り加工後のウェーハの加工部分に対し、集束光を照射し、その透過光を目視にて観察することにより評価した。
粗研削工程において、ウェーハWの下面WAの周縁部WEおよびウェーハの側面WDをさらに研削するとともに、精研削工程における取り代T2を実施例よりも0.05mm大きくし、粗研削工程における取り代T1を実施例よりも0.05mm小さくしたこと以外は実施例と同様にして、仕上げ面取り加工を施した。
なお、精研削工程における取り代T2は、粗研削工程における取り代T1よりも小さい。また、仕上げ面取り加工後のウェーハの直径は200mmである。
2…ウェーハ吸着部
21…吸着ステージ
3…研削部
31…研削ホイール
311…粗研削ホイール
312…精研削ホイール
32…ホイール保持部材
CR1、CR3…チップ発生領域
L1、L3…接触境界
S…加工層
W、W1、W2、W3、W4…ウェーハ
Claims (3)
- 円板状のウェーハにおける一方の面である保持面のみを保持した状態で、前記ウェーハの面取りを行う面取り方法であって、
前記ウェーハにおける他方の面である非保持面の周縁部および前記ウェーハの側面を、粗研削用の研削材を用いて研削する粗研削工程と、
前記粗研削工程の後に、前記ウェーハの非保持面の周縁部および前記ウェーハの側面を、精研削用の研削材を用いて研削する非保持面精研削段階、並びに、前記ウェーハの保持面の周縁部および前記ウェーハの側面のうちの少なくとも保持面の周縁部を、精研削用の研削材を用いて研削する保持面精研削段階を備える精研削工程とを備える
ことを特徴とするウェーハの面取り方法。 - 請求項1に記載のウェーハの面取り方法において、
前記精研削工程後のウェーハにおける保持面の周縁部の形状および非保持面の周縁部の形状が非対称となるように、前記ウェーハの面取りを行う
ことを特徴とするウェーハの面取り方法。 - 請求項1または請求項2に記載のウェーハの面取り方法において、
前記精研削工程では、当該精研削工程における取り代が、前記粗研削工程における取り代よりも大きくなるように、前記粗研削工程後のウェーハを研削する
ことを特徴とするウェーハの面取り方法。
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