JP2012099733A - 板状ガラスおよびその製造方法 - Google Patents

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万尋 玉井
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Abstract

【課題】硝片に起因する外観欠点の発生が少ない固体撮像装置に用いられるカバーガラスや近赤外線カットフィルタガラスとして有用な板状ガラスを提供すること。
【解決手段】ガラス板の板厚方向に対向する2つの透光面の少なくとも一方の面に機能膜を形成する機能膜形成工程を備え、面取りされたガラス板を前記機能膜形成工程の前にエッチングする工程を備えたことを特徴とする固体撮像装置に用いられる板状ガラスの製造方法である。
【選択図】なし

Description

本発明は、固体撮像装置に用いられるパッケージ用カバーガラスや光学フィルタ等の板状ガラスおよびその製造方法に関する。
デジタルスチルカメラ等に使用される固体撮像装置は、CCDやCMOSなどの固体撮像素子の他、パッケージを気密封着するカバーガラスや視感度を補正する近赤外線カットフィルタ等の板状ガラスが主要構成部材として用いられる。
固体撮像素子は、近年高画素化が進展し、画素密度が高く、ピクセルサイズが小さくなる傾向があり、これに伴い、撮像画像に悪影響を及ぼす板状ガラスの外観欠点の大きさや単位面積あたりの個数についての品質要求は非常に厳しくなっている。
これら板状ガラスの外観欠点は、ガラスの側部(外周面)から発生する欠けやチッピングが発生原因のひとつとして指摘されている。
これに対し、ガラスの側部から発生する欠けやチッピングを抑制するガラスの製造方法として、各種方法が提案されている。特許文献1には、寸法が小さく厚さが薄くしかも面取加工がなされており、欠け・クラックなどの発生のおそれのない小型ガラス製品の製造方法が記載されている。
特開2006−131468号公報
しかしながら、前記特許文献1に記載の小型ガラスの製造方法では、ガラスの欠けやチッピングを抑制するとされているものの、ガラス表面と機能膜との間に入り込む硝片を十分に抑制できない。理由として、前記小型ガラスの製造方法では、面取りおよび研磨を行ったガラス板を洗浄・乾燥し、次いで成膜している。ここで、面取りや研磨においてガラスの外周面は、研削加工や研磨ジグとの接触により表面が荒れた状態となる。この状態で成膜を行うと、ガラスは成膜用のジグとの接触により、ガラスの外周面からガラスが欠ける等して微小な硝片が発生する。そして発生した硝片が成膜面(透光面)に付着することで、ガラス表面と機能膜との間に硝片が入り込むこととなる。また、面取りや研磨後の洗浄において、ガラスの外周面に存在する硝片を十分に除去できず、これら除去されずに残った硝片が機能膜形成工程にてガラスの透光面に移動し、ガラス表面と機能膜との間に入り込む。
ガラス表面と機能膜との間に入り込んだ硝片は、機能膜形成工程後の洗浄工程にて除去される場合、硝片上に成形された機能膜とともにガラスから離れるため、硝片が抜けた箇所は機能膜が抜けた欠点として認識される。また、機能膜形成工程後の洗浄工程で除去されない場合、硝片が存在する箇所は、硝片の大きさ分だけ表面が盛り上がり異物欠点として認識される。つまり、ガラス表面と機能膜との間に硝片が入り込むと、以降の工程で除去されても除去されなくても外観欠点として認識されることになる。
本発明は、上記問題点を解決するものであって、外観品質の良好な板状ガラスおよびその製造方法を提供する。
本発明の板状ガラスの製造方法は、ガラス板の板厚方向に対向する2つの透光面の少なくとも一方の面に機能膜を形成する機能膜形成工程を備え、面取りされたガラス板を前記機能膜形成工程の前にエッチングする工程を備えたことを特徴とする。
本発明の板状ガラスの製造方法は、ガラス板を所定の寸法に切断する工程と、前記切断されたガラス板を面取する工程と、前記面取されたガラス板をエッチングする工程と、前記エッチングされたガラス板を所定の板厚寸法までラッピングする工程と、前記ラッピングされたガラス板の表面を鏡面状にポリッシングする工程と、前記ポリッシングされたガラス板の2つの透光面の少なくとも一方の面に機能膜を形成する工程とを少なくとも具備し、前記各工程をこの順番に処理することを特徴とする。
本発明の板状ガラスの製造方法は、ガラス板を所定の寸法に切断する工程と、前記切断されたガラス板を面取する工程と、前記面取されたガラス板を所定の板厚寸法までラッピングする工程と前記ラッピングされたガラス板をエッチングする工程と、前記エッチングされたガラス板の表面を鏡面状にポリッシングする工程と、前記ポリッシングされたガラス板の2つの透光面の少なくとも一方の面に機能膜を形成する工程とを少なくとも具備し、前記各工程をこの順番に処理することを特徴とする。
また、前記ガラス板をエッチングする工程は、ガラスの板厚方向で、1.0μm〜300μm加工することを特徴とする。
本発明の板状ガラスは、固体撮像装置に用いられる板状のガラスであって、板厚方向に対向する2つの透光面の少なくとも一方の面に機能膜を有し、前記2つの透光面からガラスの側方に延在する外周面の単位面積(1mm)あたりの10μm以上の異物付着量が400個以下であることを特徴とする。
また、前記機能膜は、反射防止、赤外線カット、紫外線カットのいずれか1つ以上の機能を有する光学薄膜であって、膜厚が0.1μm〜7μmの範囲にあることを特徴とする。
また、前記板状ガラスは、近赤外線カットフィルタガラスであることを特徴とする。
また、前記板状ガラスは、固体撮像素子パッケージ用カバーガラスであることを特徴とする。
本発明は、機能膜形成工程前にガラスをエッチングすることで、特にガラス表面と機能膜との間の硝片の入り込みを抑制し、硝片に起因する外観欠点の発生が少ない、固体撮像装置に用いられるカバーガラスや光学フィルタ等に好適な板状ガラスを提供することができる。
固体撮像装置の構成を示した模式図である。 ガラスの外観欠点を示した模式図である。 板状ガラスの外周面の異物付着数の測定方法を示した概略図である。 本発明の板状ガラスの製造方法の第1の実施形態を示した流れ図である。 本発明の板状ガラスの製造方法の第2の実施形態を示した流れ図である。
本発明に係る板状ガラスの製造方法について説明する。
図1に固体撮像装置の概略構成を示す。固体撮像装置10は、ローパスフィルタとして作用する水晶板2と視感度補正作用を有する近赤外線カットフィルタガラス4とを貼り合わせたフィルタ群5、そして固体撮像素子7と固体撮像素子7を収納するパッケージ8とパッケージ8の開口部を気密封着するパッケージ用カバーガラス9とから構成される。フィルタ群5とカバーガラス9とは、直接接触していてもよく、また図示しない枠などにより所定の間隔を保って保持されてもよい。
CCDやCMOSからなる固体撮像素子7は、近赤外線カットフィルタガラス4、カバーガラス9を透過した光を受光することから、これらガラスの透光面には十数μmオーダーの異物や傷があったとしても撮像画像に悪影響を及ぼすことになる。
従来、これら異物や傷の原因となる板状ガラスの欠けやチッピングを防止するべく、ガラスの外周面を面取りすることが行われている。しかしながら、面取りを機械研削にて実施すると、研削加工されたガラスの外周面の表面が荒れた状態となる。この状態で、研磨工程や機能膜形成工程を行うと、ガラスの外周面と加工ジグとの接触に伴い、ガラスの外周面が欠けて微小な硝片が発生し、これがガラスの透光面に付着することで成膜時にガラス表面と機能膜との間に入り込み外観欠点の要因となることがわかった。ガラス表面と機能膜との間に入り込んだ硝片は、機能膜形成工程後のガラスの洗浄工程で除去されると、図2(A)に図示するように硝片13上に堆積した機能膜12とともにガラス14から離れるため、機能膜12が局部的に抜けた外観欠点30となる。また、硝片13が洗浄で除去されない場合は、図2(B)に図示するように硝片13の厚さ分だけ板状ガラス20の表面が盛り上がった外観欠点30となる。
本発明に係る板状ガラスの製造方法は、ガラス板の板厚方向に対向する2つの透光面の少なくとも一方の面に機能膜を形成する機能膜形成工程の前に、面取りされたガラス板をエッチングする工程を備えることを特徴とする。これにより、機能膜形成工程に供するガラスの外周面を平滑とし、機能膜形成工程時のガラスの外周面と加工ジグとの接触によるガラス外周面の微小な硝片の発生を抑制できる。また、ガラスをエッチングすることにより、ガラスの外周面に付着した微小な硝片を機能膜形成工程前に確実に除去できる。よって、上述の外観欠点が発生しがたい板状ガラスを得ることが可能となる。
図4は、本発明の板状ガラスの製造方法の第1の実施形態を示すフロー図である。製造方法の概略を説明すると、まず素材であるガラス板を用意し、所定の寸法に切断する。このガラス板の外周面を面取り加工する。そして、面取りされたガラス板をエッチング加工する。ついでガラス板の透光面をラッピングおよびポリッシングする。そして、ガラス板の透光面に機能膜を形成する。
ガラス板を所定の寸法に切断する工程は、所望の光学特性を備えたガラス組成からなるガラス板を用意し、外形寸法が最終形状と同一となるよう、公知の切断方法にて切断する。切断方法は、ダイヤモンドカッターにて切断線を刻設した後に折り割りする方法や、ダイシング装置にて切断する方法がある。また、この工程で用いるガラス板は、ラッピングなどの粗研磨で、最終形状に近い板厚寸法まで加工されたものを用いてもよい。
ガラス板の外周面を面取する工程は、研削によって行う。ここで、面取りを行う箇所は、ガラス板外周の8つの稜線である。加工方法としては、例えば、回転研削砥石をガラス板の稜線に圧接させながら加工するいわゆる芯取り機を用いることができる。なお、ガラス板を面取する方法として、エッチングの適用が知られているが、面取寸法の精度が十分でなく好ましくない。
ガラス板をエッチングする工程は、前記切断工程および前記面取工程にて荒れた状態となったガラス板の外周面を平滑にする、および外周面に付着した硝片を除去することを目的として行う。
ガラス板をエッチングする際の加工量は、ガラスの板厚方向で、1.0μm〜300μmの範囲であることが好ましい。理由として、1.0μm未満では、ガラス板の外周面を十分に平滑とすることができない、外周面に付着した硝片が十分に除去されないためであり、300μmを超えるとガラス板の外周面の形状が所望のものとならないためである。より好ましくは、5μm〜50μmである。
エッチング液としては、特に制限されるものではなくガラス組成や加工条件に応じて適宜選択される。例えば、エッチング液としてフッ酸と硫酸との混酸の水溶液を用いる場合には、HFおよびHSOそれぞれの濃度やHFとHSOとの割合等を適宜選択する。具体例としては、HFを5〜20重量%含有しHSOを15〜30重量%含有している混酸に水を適量加えて得た水溶液(混酸の水溶液)を適用できる。また、HFとHSOとの重量比が5:95〜95:5、 好ましくは5:95〜50:50である水溶液(混酸の水溶液)を適用できる。また、その他のエッチング液としては、塩酸、硫酸、硝酸、フッ酸等の水溶液を適用できる。
ガラス板をエッチングする方法は、エッチング液にガラス板を浸漬する方法が好適に用いられるが、その他のエッチング方法として、気相化学エッチング(所定のエッチングガスを用いてのエッチング処理を意味する。)も適用できる。ガラス板の外周面に実質的に同等の加工量を容易に施すためには、ガラス板に対して新鮮なエッチング液もしくはエッチングガスが常に供給されることが好ましい。
ガラス板を所定の板厚寸法までラッピングする工程、およびガラス板の表面を鏡面状にポリッシングする工程は、必要に応じて複数回に分けて実施してもよい。
ガラス板のラッピング工程およびポリッシング工程に用いられる両面研磨機は、研磨布を貼り付けた下定盤に、ガラス板よりやや大きい内径の孔部を複数有するキャリアをセットし、そのキャリアの孔部にガラス板をセットした後、研磨布を貼り付けた上定盤を降ろし圧力をかけ、上定盤、下定盤、キャリアをそれぞれ回転させて、酸化セリウム等の研磨液を流しながら両面を研磨する。キャリアは外周に歯を有する歯車であって、キャリアの内側に位置する太陽歯車とキャリアの外側に位置する内歯歯車との間に等間隔に配置され、太陽歯車および内歯歯車と噛み合い太陽歯車のまわりを遊星運動する。そして、ガラス板が上下定盤に貼り付けられた研磨布と均等に接触移動することにより、光学作用面が平坦に光学研磨される。
これら工程の際、ガラス板の外周面とキャリアの内面とが接触する。しかしながら、エッチング工程でガラス板の外周面を平滑に加工することで、この接触に起因する硝片の発生を抑制できる。
ガラス板の2つの透光面の少なくとも一方の面に機能膜を形成する方法は、鏡面状に研磨されたガラス板の透光面に、必要に応じて反射防止、赤外線カット、紫外線カット等の機能膜を形成する工程である。例えば、固体撮像装置に用いられるカバーガラスまたは近赤外線カットフィルタガラスには、入射光の反射損失低減のための反射防止膜を形成する。またカバーガラスに赤外線カット膜を形成し、これにより近赤外線カットフィルタガラスを省略する場合もある。さらにカバーガラスまたは近赤外線カットフィルタガラスに赤外線カット膜を形成し、フィルタの薄肉化によるフィルタ特性の低下を補うことも可能である。
機能膜の形成方法は、所定の機能を実現できれば特に限定されるものではなく各種の方法を採用してよい。例えばスパッタリング法、真空蒸着法、あるいは熱CVD法、レーザーCVD法、プラズマCVD法、分子線エピタキシー法(MBE法)、イオンプレーティング法、レーザーアブレーション法、有機金属化学気相成長法(MOCVD)等の化学的気相成長法(またはCVD法)、さらにゾル−ゲル法、スピンコーティングやスクリーン印刷の塗布法、またはメッキ法等の液相成長法も適用できる。
機能膜の形成において、複数のガラス板を同時にかつ均一に成膜するため、ガラス板が固定された成膜ジグを回転等の移動をしながら成膜することが一般的になされている。この移動に伴う各部材の振動により、ガラス板の外周面は成膜ジグと擦れるように接触する。しかしながら、エッチング工程で、ガラス板の外周面を平滑に加工することで、この接触に起因する硝片の発生や透光面への硝片の付着を抑制できる。
以上の第1の実施形態の製造方法を用いることで、ガラス表面と機能膜との間に入り込む硝片を抑制できるため、これら硝片に起因した異物欠点等の外観不良の発生を抑制できる。
次に本発明に係る板状ガラスの製造方法の第2の実施形態について、図5を用いて説明する。
第2の実施形態において先に説明した第1の実施形態と相違する点は、ガラス板をエッチングする工程がガラス板を所定の板厚寸法までラッピングする工程とガラス板の表面を鏡面状にポリッシングする工程との間にあることのみである。各工程の詳細内容は、第1の実施形態と同様であるため、説明を省略する。
第2の実施形態によれば、面取り工程やラッピング工程で表面が荒れてガラスが欠けやすい状態となったガラス板の外周面をエッチングすることにより、外周面を平滑化し、加工ジグとの接触においてガラスが欠けにくいものとする。これにより、エッチング工程以降のポリッシング工程や機能膜形成工程にて、ガラスの欠けに起因したガラス表面の硝片付着の抑制が可能となる。
なお、前述の実施形態以外に、ポリッシング工程と機能膜形成工程との間にエッチング工程を行うことで、同様にガラスの欠けに起因したガラス表面の硝片付着の抑制が可能である。
次に、本発明に係る板状ガラスの実施形態について説明する。
本発明の板状ガラスは、機能膜を形成後の板状ガラスの外周面の異物付着数を一定数以下に制限することで、前述した外観欠点の少ない板状ガラスを得ることができる。具体的には、板状ガラスの2つの透光面からガラスの側方に延在する外周面の単位面積(1mm)あたりの10μm以上の異物付着数が400個以下であれば、固体撮像装置に用いられる板状ガラスとして好適な外観品質が得られる。
異物付着数の測定方法は以下のとおりである。図3に示すように、まず両面に粘着剤が形成されたカーボンテープ15(幅:8mm、日新イーエム株式会社製SEM導電性カーボン両面テープ)をガラス板16に貼り付ける(A)。次いで、測定サンプルである板状ガラス20の外周面をカーボンテープ15の粘着面に押し付ける(B)。そして、板状ガラス20を粘着面から離し、カーボンテープ8の板状ガラス20を押し付けた箇所を光学顕微鏡にて観察し、10μm以上の異物11の付着数をカウントする(C)。そして、異物付着数を単位面積(1mm)あたりに換算する。この方法により、ガラスの面取加工部を含む外周面の異物を採取し、単位面積あたりの異物付着数を確認する。
ここで、異物の対象を10μm以上とした理由は、固体撮像装置の用途において、10μm以上の異物が外観欠点として問題とされることが多く、10μm未満の異物は、問題とされることが少ないためである。また、単位面積(1mm)あたりの異物付着数を400個以下とした理由は、これにより板状ガラスの外観欠点が固体撮像装置用途のガラスにおいて問題ないレベルとなるためである。
なお、板状ガラスの外周面とは、板状ガラスの2つの透光面からガラスの側方に延在する表面であり、切断工程にて形成される側面と面取工程にて形成される稜線の面取部分(透光面を含まない)とからなる箇所をいう。また、透光面の形状としては、四角形などの多角形、円、楕円などが具体的に挙げられる。中でも正方形や長方形などの四角形が好ましい。
板状ガラスに使用するガラスの組成は、目的とする用途および形状等に応じて適宜選択される。例えば、板状ガラスを固体撮像素子パッケージ用カバーガラスに用いる場合、一般に平面視上の形状が矩形であるホウケイ酸塩系のガラスからなる。また、板状ガラスを固体撮像装置用の近赤外線カットフィルタガラスに用いる場合、一般に平面視上の形状が矩形であるリン酸塩系またはフツリン酸系のガラスからなる。
板状ガラスの板厚方向に対向する2つの透光面の少なくとも一方の面に設けられる機能膜は、反射防止、赤外線カット、紫外線カットのいずれか1つ以上の機能を有する光学薄膜である。機能膜が反射防止機能を有する場合、板状ガラスの透光面に設けることで反射光を低減させて板状ガラスを透過する光線の光量を多くすることが可能となる。機能膜が赤外線カット機能を有する場合、板状ガラスの透光面に設けることで板状ガラスを透過する光線の赤外線を選択的にカットし、人間の視感度に近似する撮像画像を得ることができる。これは、固体撮像素子の赤外域の感度が高いため、赤外線の固体撮像素子への入射を抑制し、肉眼による画像と固体撮像素子の画像とを近づけるものである。機能膜が紫外線カット機能を有する場合、板状ガラスの透光面に設けることで板状ガラスを透過する光線の紫外線を選択的にカットし、撮像画像に悪影響を及ぼす可能性のある紫外線の固体撮像素子への入射を抑制できる。また、機能膜の反射防止、赤外線カット、紫外線カットの各機能は、単独で用いても、複数を兼ね備えたものを用いてもよい。
機能膜は、その材質や構成等に関しては特に制限されず、必要に応じてどのようなものであっても採用できる。例えば、機能膜が反射防止機能を有する場合、MgF等の単層膜やAl・Ta・MgFの多層膜などで構成される。また、機能膜が赤外線カットや紫外線カット機能を有する場合、例えば、TiO・SiOの多層膜やNb・SiOの多層膜などで構成される。
機能膜は、膜厚が0.1μm〜7μmの範囲にあるならば、光学的な性能に関して用途に応じて所望のものを実現することが容易である。膜厚が0.1μm未満である場合、透過率等の光学的な性能に関して必要な性能を充分に実現し難くなる場合がある。また、膜厚が7μmを超える場合、ガラス表面と機能膜との間に入り込んだ硝片が例えば数μmオーダーと極微小であっても、硝片上に堆積した機能膜により異物欠点が大きくなることで異物として認識される数量が多くなるおそれがあるため、好ましくない。
本発明の板状ガラスは、良好な外観品質を備えるため、固体撮像装置の近赤外線カットフィルタガラスや固体撮像素子パッケージ用カバーガラスとして好適に用いることができる。
ガラス外周面の異物付着数が少ない本発明の板状ガラスを得るには、先に説明したガラス板の板厚方向に対向する2つの透光面の少なくとも一方の面に機能膜を形成する機能膜形成工程を備え、面取りされたガラス板を前記機能膜形成工程の前にエッチングする工程を備えた製造方法を用いることが好ましい。
以下、本発明の実施例および比較例を説明する。実施例および比較例では、加工前のガラス板(ガラス素材)として、近赤外線カットフィルタガラス(AGCテクノグラス社製、NF−50ガラス、ガラス組成:フツリン酸ガラス、寸法:20mm×30mmの矩形状)を用意した。
ガラスの製造方法として、実施例1(芯取り後にエッチング)のガラスは第1の実施形態の製造方法で、実施例2(ラップ後にエッチング)のガラスは第2の実施形態の製造方法で、比較例1のガラスはエッチング工程を除いた以外は実施形態と同一の製造方法で板状ガラスを得た。なお、面取り工程では、#400の回転研削砥石を用いて8稜線の面取りを行った。エッチング工程では、塩酸7%水溶液のエッチング液にガラス板を浸漬し、板厚方向で20μmエッチング加工した。ラッピング工程およびポリッシング工程では、ガラス板の板厚が0.3mmとなるよう加工した。機能膜形成工程では、片方の透光面に3層構成(膜厚:0.3μm)の反射防止膜を形成した。
前記の製造方法にて得られた実施例1および実施例2、比較例1の板状ガラスについて、外周面の単位面積あたりの異物付着数を測定した。測定方法としては前述したとおり、板状ガラスの外周面をカーボンテープに押し付け、光学顕微鏡にてカーボンテープに付着した10μm以上の異物数をカウントする。それを単位面積(1mm)あたりに換算して異物付着数とした。各実施例および比較例の異物付着数を表1に示す。なお、この結果は、各4枚測定した平均値である。
Figure 2012099733
前記の製造方法にて得られた実施例1および実施例2、比較例1の板状ガラスについて、単位枚数あたりの透光面における機能膜が抜けた外観欠点数を確認した。測定方法としては、板状ガラスの透光面を光学顕微鏡にて観察し、15μm以上の外観欠点(機能膜が抜けた外観欠点)数をカウントする。各実施例および比較例の外観欠点数を表2に示す。なお、この結果は、各50枚測定した平均値である。
Figure 2012099733
表1より、実施例1、実施例2の板状ガラスは比較例1の板状ガラスと比べ、外周面の異物付着数が大幅に少ないことがわかる。また、表1および表2より、異物付着数と外観欠点数との間に相関関係があることがわかる。つまり、異物付着数が少ない各実施例のガラスは比較例のガラスと比べ透光面の外観欠点数も少なく、外観品質が良好である。
本発明によれば、機能膜形成工程前にガラスをエッチングすることで、特にガラス表面と機能膜との間の硝片の入り込みを抑制し、硝片に起因する外観欠点の発生が少ない板状ガラスを提供することが可能となる。そのため、固体撮像装置に用いられるカバーガラスや近赤外線カットフィルタガラスとして有用である。
2 水晶板
4 近赤外線カットフィルタガラス
5 フィルタ群
6 透光面
7 固体撮像素子
8 パッケージ
9 カバーガラス
10 固体撮像装置
11 異物
12 機能膜
13 硝片
14 ガラス基板
15 カーボンテープ
16 ガラス板
20 板状ガラス
30 外観欠点

Claims (8)

  1. ガラス板の板厚方向に対向する2つの透光面の少なくとも一方の面に機能膜を形成する機能膜形成工程を備え、面取りされたガラス板を前記機能膜形成工程の前にエッチングする工程を備えたことを特徴とする固体撮像装置に用いられる板状ガラスの製造方法。
  2. ガラス板を所定の寸法に切断する工程と、
    前記切断されたガラス板を面取する工程と、
    前記面取されたガラス板をエッチングする工程と、
    前記エッチングされたガラス板を所定の板厚寸法までラッピングする工程と
    前記ラッピングされたガラス板の表面を鏡面状にポリッシングする工程と、
    前記ポリッシングされたガラス板の2つの透光面の少なくとも一方の面に機能膜を形成する工程と
    を少なくとも具備し、前記各工程をこの順番に処理することを特徴とする請求項1に記載の固体撮像装置に用いられる板状ガラスの製造方法。
  3. ガラス板を所定の寸法に切断する工程と、
    前記切断されたガラス板を面取する工程と、
    前記面取されたガラス板を所定の板厚寸法までラッピングする工程と
    前記ラッピングされたガラス板をエッチングする工程と、
    前記エッチングされたガラス板の表面を鏡面状にポリッシングする工程と、
    前記ポリッシングされたガラス板の2つの透光面の少なくとも一方の面に機能膜を形成する工程と
    を少なくとも具備し、前記各工程をこの順番に処理することを特徴とする請求項1に記載の固体撮像装置に用いられる板状ガラスの製造方法。
  4. 前記ガラス板をエッチングする工程は、ガラスの板厚方向で、1.0μm〜300μm加工することを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の板状ガラスの製造方法。
  5. 固体撮像装置に用いられる板状のガラスであって、
    板厚方向に対向する2つの透光面の少なくとも一方の面に機能膜を有し、
    前記2つの透光面からガラスの側方に延在する外周面の単位面積(1mm)あたりの10μm以上の異物付着量が400個以下であることを特徴とする板状ガラス。
  6. 前記機能膜は、反射防止、赤外線カット、紫外線カットのいずれか1つ以上の機能を有する光学薄膜であって、膜厚が0.1μm〜7μmの範囲にあることを特徴とする請求項5に記載の板状ガラス。
  7. 前記板状ガラスは、近赤外線カットフィルタガラスであることを特徴とする請求項5または請求項6に記載の板状ガラス。
  8. 前記板状ガラスは、固体撮像素子パッケージ用カバーガラスであることを特徴とする請求項5または請求項6に記載の板状ガラス。
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