JP2012099496A - スパークプラグ - Google Patents

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Abstract

【課題】主体金具に多層構造の接地電極が抵抗溶接されるスパークプラグにおいて、接地電極と主体金具との接合強度を好適に確保する。
【解決手段】スパークプラグは、中心電極と、絶縁体と、主体金具と、基端部が主体金具に溶接された接地電極とを備える。接地電極は表面層と、表面層よりも内部に形成され、表面層よりも熱伝導率が大きい芯材とを有し、基端部から先端部側に接地電極の外形に沿って向かう方向に1mmの特定位置における表面層の厚みが0.2mm以上0.4mm以下である。主体金具と基端部との溶接面における、接地電極の中心軸を通り、軸線方向と直交する方向である特定方向の主体金具の幅をW1(mm)、特定位置における、特定方向の接地電極の厚みをW2(mm)、特定方向の表面層の厚みをW3(mm)としたとき、W1≧W2×1.55−(W3+0.25)の条件を満たす。
【選択図】図3

Description

本発明は、内燃機関用のスパークプラグに関し、特に、スパークプラグの接地電極に関する。
内燃機関に用いられるスパークプラグの接地電極(外側電極)は、高温条件にさらされるため、耐熱性が要求される。そこで、接地電極を複数の層からなる多層構造とし、表面層よりも内部に形成される芯材を熱伝導性に優れた銅や銅合金等を用いて形成し、放熱性を高めることによって耐熱性を向上させたタイプのスパークプラグが知られている(例えば、下記特許文献1)。この接地電極は、一般的に、抵抗溶接によって、スパークプラグを構成する主体金具と接合される。
かかる多層構造の接地電極は、芯材の量を増やせば、その分だけ耐熱性を向上させることができる。一方、芯材の量が増加すると、表面層の厚みが薄くなる。熱伝導性に優れる芯材は、主体金具との抵抗溶接における接合強度に大きく寄与しないか、あるいは、強度自体が表面層よりも劣るので、芯材の量を増加させると、その分だけ接合強度が低下してしまう。
また、接地電極の表面層と芯材とでは、融点や強度が異なるために、接地電極と主体金具との抵抗溶接時には、表面層が外方に向かって広がった形状(溶接ダレ)になって接地電極と主体金具とが接合される。かかる広がり部分のうち、余分な部分は、通常、除去される。表面層の一部が除去されると、さらに強度が低下してしまう。このように接地電極と主体金具との接合強度が低下すると、スパークプラグの耐久性が低下するおそれがあった。
特開平11−185928号公報 特開2001−284013号公報
上述の問題の少なくとも一部を考慮し、本発明が解決しようとする課題は、主体金具に多層構造の接地電極が抵抗溶接されるスパークプラグにおいて、接地電極と主体金具との接合強度を好適に確保することである。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決することを目的とし、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
[適用例1]軸線方向に延びる棒状の中心電極と、
前記軸線方向に延びる軸孔を有し、その軸孔内で前記中心電極を保持する絶縁体と、
該絶縁体を周方向に取り囲んで保持する主体金具と、
基端部が前記主体金具に溶接され、先端部が前記中心電極の軸線方向先端側の端部との間で間隙を形成する接地電極とを備え、
前記接地電極は自身の表面を形成する表面層と、該表面層よりも内部に形成され、該表面層よりも熱伝導率が大きい芯材とを有し、前記基端部から前記先端部側に該接地電極の外形に沿って向かう方向に1mmの位置である特定位置における前記表面層の厚みが0.2mm以上0.4mm以下であるスパークプラグであって、
前記主体金具の前記基端部との溶接面における、前記接地電極の中心軸を通り、前記軸線方向と直交する方向である特定方向の前記主体金具の幅をW1(mm)、
前記特定位置における、前記特定方向の前記接地電極の厚みをW2(mm)、
前記特定位置における、前記特定方向の前記表面層の厚みをW3(mm)としたとき、
W1≧W2×1.55−(W3+0.25)
の条件を満たすことを特徴とするスパークプラグ。
かかる構成のスパークプラグは、接地電極が、表面層と、表面層よりも熱伝導率が大きい芯材とを有しているので、耐熱性を向上させることができる。しかも、表面層と芯材とのバランスが図られて、接地電極と主体金具との接合強度を好適に確保することができる。
[適用例2]適用例1記載のスパークプラグであって、前記芯材は、相対的に内側に形成された第1の芯材と、該第1の芯材を周方向に取り囲んで相対的に外側に形成され、該第1の芯材よりも熱伝導率が大きく、硬度が小さい第2の芯材とを備え、前記第1の芯材は、前記第2の芯材よりも前記軸線方向後端側に突出した突出形状で形成され、前記溶接面は、前記突出形状に追随した起伏形状で形成され、前記溶接面のうちの前記第1の芯材が接する部位の最も前記軸線方向先端側に位置する端面と、最も前記軸線方向後端側に位置する端面との前記軸線方向の距離は、0.15mm以上であることを特徴とするスパークプラグ。
かかる構成のスパークプラグは、芯材が、相対的に内側に形成される第1の芯材と、相対的に外側に形成される第2の芯材とを備え、第1の芯材の硬度が第2の芯材の硬度よりも大きいので、接地電極と主体金具との接合強度を向上させることができる。しかも、接地電極と主体金具との溶接面が所定の起伏形状に形成されているので、接合強度をさらに向上させることができる。
[適用例3]適用例1記載のスパークプラグであって、前記芯材は、相対的に内側に形成された第1の芯材と、該第1の芯材を周方向に取り囲んで相対的に外側に形成され、該第1の芯材よりも熱伝導率が大きく、硬度が小さい第2の芯材とを備え、前記軸線方向と前記特定方向とで規定される面に平行な断面において、前記中心電極と前記接地電極との間で前記軸線方向に形成される火花ギャップの中点を通り、前記特定方向と平行な第1の仮想線と、前記接地電極の前記中心電極側の面との交点を通り、前記特定方向に向かって仰角45度で前記第1の仮想線と交差する第2の仮想線上における前記第2の芯材の各々の幅の総和をW4とし、該第2の仮想線上における前記表面層の各々の幅の総和をW5としたとき、W4/W5≦0.34の条件を満たすことを特徴とするスパークプラグ。
かかる構成のスパークプラグは、表面層と芯材とのバランスが図られ、内燃機関でのスパークプラグの使用時において、冷熱サイクルによる接地電極の変形を抑制することができる。
[適用例4]適用例2記載のスパークプラグであって、前記軸線方向と前記特定方向とで規定される面に平行な断面において、前記中心電極と前記接地電極との間で前記軸線方向に形成される火花ギャップの中点を通り、前記特定方向と平行な第1の仮想線と、前記接地電極の前記中心電極側の面との交点を通り、前特定方向に向かって仰角45度で前記第1の仮想線と交差する第2の仮想線上における前記第2の芯材の各々の幅の総和をW4とし、該第2の仮想線上における前記表面層の各々の幅の総和をW5としたとき、W4/W5≦0.34の条件を満たすことを特徴とするスパークプラグ。
かかる構成のスパークプラグは、表面層と芯材とのバランスが図られ、内燃機関でのスパークプラグの使用時において、冷熱サイクルによる接地電極の変形を抑制することができる。
[適用例5]適用例1ないし適用例4のいずれか記載のスパークプラグであって、前記軸線方向と前記特定方向とで規定される面に平行な断面において、前記接地電極の前記特定位置における前記軸線方向の中心線は、前記主体金具の前記溶接面における前記軸線方向の中心線よりも、前記中心電極側に位置することを特徴とするスパークプラグ。
かかる構成のスパークプラグは、接地電極と主体金具との接合強度を向上させることができる。
[適用例6]適用例1ないし適用例5のいずれか記載のスパークプラグであって、前記軸線方向と前記特定方向とで規定される面に平行な断面において、前記主体金具は、中央部で前記軸線方向先端側に隆起した形状に形成され、前記芯材は、前記隆起した形状に追随した追随形状に形成され、前記芯材の前記軸線方向後端側の端点の位置における、前記接地電極の外形の前記特定方向の厚みが、前記先端部の厚みよりも厚いことを特徴とするスパークプラグ。
かかる構成のスパークプラグは、芯材の後端部における接地電極の厚みを確保することで、接地電極と主体金具との接合強度を向上させることができる。
スパークプラグ100の概略構成を示す部分断面図である。 スパークプラグ100の先端部を先端側から見た外観図である。 接地電極30の概略断面構成と寸法とを示す説明図である。 接地電極30と主体金具50との溶接強度試験の結果を示す図表である。 接地電極30と主体金具50との溶接強度試験の結果をグラフ化して示す説明図である。 第2実施例としてのスパークプラグ200を構成する接地電極230と主体金具250との接合断面を示す説明図である。 スパークプラグ200の衝撃試験の結果を示す図表である。 スパークプラグ200の衝撃試験の結果をグラフ化して示す説明図である。 第3実施例としてのスパークプラグ300の接地電極330の概略断面構成と寸法とを示す説明図である。 接地電極330が冷熱サイクルによって変形した状態を示す説明図である。 冷熱サイクルによる接地電極330の変形試験の結果を示す図表である。 冷熱サイクルによる接地電極330の変形試験の結果をグラフ化して示す説明図である。 第4実施例としてのスパークプラグ400における接地電極430と主体金具450との位置関係を示す説明図である。 スパークプラグ400の衝撃試験結果を示す図表である。 スパークプラグ400の衝撃試験の結果をグラフ化して示す説明図である。 第5実施例としてのスパークプラグ500を構成する接地電極530の概略断面構成と寸法とを示す説明図である。 スパークプラグ500の衝撃試験結果を示す図表である。 比較例としてのスパークプラグ500aの接地電極530aの概略断面構成と寸法とを示す説明図である。 スパークプラグ500の衝撃試験の結果をグラフ化して示す説明図である。
A.第1実施例:
本発明の実施形態について説明する。本発明の第1実施例としてのスパークプラグ100の部分断面図を図1に示す。以下では、図1中の軸線OLに沿った上側をスパークプラグ100の先端側とし、下側を後端側として説明する。スパークプラグ100は、絶縁碍子10と、中心電極20と、接地電極30と、端子金具40と、主体金具50とを備える。
中心電極20は、絶縁碍子10の先端から突出する棒状の電極であり、絶縁碍子10の内部を通じて、絶縁碍子10の後端に設けられた端子金具40に電気的に接続されている。中心電極20の外周は、絶縁碍子10によって保持され、絶縁碍子10の外周は、端子金具40から離れた位置で主体金具50によって保持されている。
絶縁碍子10は、中心電極20および端子金具40を収容する軸孔12が中心に形成された筒状の絶縁体であり、アルミナを始めとするセラミックス材料を焼成して形成されている。絶縁碍子10の軸方向中央には外径を大きくした中央胴部19が形成されている。中央胴部19よりも後端側には、端子金具40と主体金具50との間を絶縁する後端側胴部18が形成されている。中央胴部19よりも先端側には、後端側胴部18よりも外径が小さい先端側胴部17が形成され、先端側胴部17の更に先には、先端側胴部17よりも小さい外径であって中心電極20側へ向かうほど外径が小さくなる脚長部13が形成されている。
主体金具50は、絶縁碍子10の後端側胴部18の一部から脚長部13に亘る部位を包囲して保持する円筒状の金具であり、本実施例では、低炭素鋼から成る。主体金具50は、工具係合部51と、取付ネジ部52と、円筒部53と、シール部54とを備える。主体金具50の工具係合部51は、スパークプラグ100をエンジンヘッド(図示省略)に取り付ける工具が嵌合する。主体金具50の取付ネジ部52は、エンジンヘッドの取付ネジ孔に螺合するネジ山を有する。主体金具50のシール部54は、取付ネジ部52の根元に鍔状に形成され、シール部54とエンジンヘッドとの間には、板体を折り曲げて形成した環状のガスケット5が嵌挿される。主体金具50の先端面57は、中空の円状であり、その中央には、絶縁碍子10の脚長部13から中心電極20が突出する。
中心電極20は、有底筒状に形成された電極母材21の内部に、電極母材21よりも熱伝導性に優れる芯材25を埋設した棒状の部材である。本実施例では、電極母材21は、ニッケルを主成分とするニッケル合金から成り、芯材25は、銅または銅を主成分とする合金から成る。中心電極20は、電極母材21の先端が絶縁碍子10の軸孔12から突出した状態で絶縁碍子10の軸孔12に挿入され、セラミック抵抗3およびシール体4を介して端子金具40に電気的に接続される。
接地電極30は、その一端側の端部である基端部37が主体金具50の先端面57に接合され、他端側の端部である先端部38が中心電極20の先端部と対向するように屈曲されている。本実施例では、この接地電極30は2層構造によって形成されている。接地電極30の内部構造については後述する。接地電極30の基端部37と、主体金具50の先端面57との接合は、抵抗溶接によって行われる。接地電極30の先端部38と中心電極20の先端部との間には、火花ギャップが形成されている。
かかるスパークプラグ100を先端側から見た外観図を図2に示す。図示するように、主体金具50の円筒部53は、先端側から見ると、外径ODの円筒形状の内部に内径IDの中空が形成されている。この外径ODと内径IDとの間には、先端面57が形成されている。先端面57の所定箇所には、接地電極30が接合され、この接地電極30は、中心電極20側に向かって屈曲している。基端部37と先端面57との接合面の周辺には、接地電極30と主体金具50とを抵抗溶接によって接合した際に、接地電極30の端部が変形または溶融して生じたダレDが形成されている。
接地電極30の基端部37の端面である後端面39は、基端部37における接地電極30の中心軸CA1を通り、軸線OLと直交する方向である特定方向PDにおいて、主体金具50の先端面57の中央部に配置されている。そして、ダレDが後端面39の周囲に形成された結果、主体金具50の先端面57における基端部37との溶接面58は、後端面39よりも大きく形成されている。また、溶接面58は、特定方向PDにおける先端面57の幅の全体に亘って形成されている。なお、接地電極30と主体金具50との接合時に、ダレDが先端面57から大きくはみ出した場合には、はみ出した部分の少なくとも一部は、通常、切除される。溶接面58における先端面57の幅を幅W1ともいう。また、接地電極30の後端面39の接合(溶接)前の寸法のうちの、長さを長さL、幅を幅Wともいう。
接地電極30の概略断面構成を図3に示す。図3は、軸線OLと特定方向PDとで規定される断面を示している。図3においては、接地電極30と主体金具50との抵抗溶接の際に生じるダレDは、図示を省略している。図示するように、本実施例の接地電極30は、2層構造を有している。具体的には、接地電極30は、自身の表面を形成する表面層31と、当該表面層31よりも内部に形成され、表面層31よりも熱伝導率が大きい芯材32とを備えている。このように、表面層31の内部に熱伝導率が相対的に大きい芯材32を形成することによって、接地電極30の放熱性が向上するので、スパークプラグ100の耐熱性を向上させることができる。表面層31の材料には、例えば、Ni(ニッケル)基耐熱合金を用いることができる。Ni合金は、Niを97.0重量%以上含有し、更に、希土類元素であるネオジウム(Nd)が0.05〜1.0重量%添加されてもよい。希土類元素としては、ネオジウムの他にも、イットリウム(Y)やセリウム(Ce)を用いてもよい。また、クロム(Cr)を含有していてもよい。本実施例では、表面層31にインコネル600(登録商標)を用いた。芯材32の材料には、表面層31の材料となるNi合金よりも熱伝導率が大きい純銅や銅合金を用いることができる。本実施例では、芯材32に純銅を用いた。
ここで、接地電極30の基端部37(後端面39)から接地電極30の先端部38側に接地電極30の外径に沿って向かう方向に1mmの位置(以下、特定位置PPともいう)における表面層31の厚みW3は、0.2mm以上0.4mm以下である。なお、特定位置PPは、接地電極30と主体金具50との溶接によって、後端面39に起伏形状が生じる場合には、接地電極30の外観視に基づいて特定すればよい。この特定位置PPは、接地電極30と主体金具50との溶接によってダレDが生じない部位を特定している。また、特定方向PDにおける主体金具50の溶接面58(先端面57)の幅である幅W1(mm)と、特定位置PPにおける特定方向PDの接地電極30の厚みW2(mm)と、特定位置PPにおける特定方向PDの表面層31の厚みW3(mm)とは、次式(1)の条件を満たしている。なお、幅W1は、次式(2)でも表すことができる。また、本願では、接地電極30は、基端部37から先端部38に向かって同じ寸法、つまり、接地電極30の長さLと幅Wとが不変に形成されている。したがって、厚みW2は、次式(3)でも表すことができる。
W1≧W2×1.55−(W3+0.25)・・・(1)
W1=(OD−ID)/2・・・(2)
W2=W・・・(3)
幅W1,厚みW2,W3が式(1)を満たすことの意義について以下に説明する。接地電極30の後端面39の長さL、幅Wと、主体金具50の外径OD、内径IDとを変化させた場合の、接地電極30と主体金具50との接合強度評価試験の結果を図4に示す。この試験で用いる接地電極30および主体金具50は、先端面57の幅W1の中心点と、接地電極30の厚みW2の中心点とが一致する位置で接地電極30と主体金具50とを接合したものである。また、この接地電極30および主体金具50において、接合後に形成されるダレDは、外径OD側、内径ID側ともに0.2mm以下となるように除去されている。
この接合強度評価試験は以下の手順で行ったものである。
(1)接地電極30の後端面39から接地電極30の先端部38側に接地電極30の外径に沿って向かう方向に2mmの位置を支点にして、内側(中心電極20側)に90度折り曲げた後、元に戻す折り曲げ操作を複数回繰り返す。
(2)繰り返し数が2回以下の折り曲げ操作によって、接地電極30と主体金具50との接合部に破断が生じた場合は、強度が普通(図4では記号△で示す)であると評価し、破断が生じなかった場合は、強度が十分(図4では、記号○で示す)であると評価する。
図4は、幅W(W2)と長さLとが異なる3種類の寸法の接地電極30を用いて行った評価試験のそれぞれの結果を図4(A)〜図4(C)として示している。各々の接地電極30には、表面層31の厚みW3が0.2mmと0.4mmの2種類のものを用いている。また、各々の接地電極30と接合する主体金具50は、スパークプラグ100のネジサイズをもとに主体金具50の外径ODを設定し、内径IDを4種類に変化させている。
この評価試験の結果によれば、例えば、図4(A)に示すように、W1.1mm、L2.2mmの接地電極30と、外径ODが8.45mmの主体金具50とを接合した場合、表面層31の厚みW3が0.4mmの接地電極30では、幅W1が1.025mmの主体金具50と組み合わせると接合強度が普通となるが、幅W1が1.325mm,1.225mm,1.125mmの主体金具50と組み合わせると、十分な接合強度が確保できることが分かる。
かかる評価試験の結果を用いて、表面層31の厚みW3ごとに、接地電極30の厚みW2と、主体金具50の先端面57の幅W1との関係をプロットした結果を図5に示す。図5において、●印のプロットは、図4の○印に対応している。すなわち、●印のプロットは、接地電極30と主体金具50との接合強度が十分に確保されていることを示している。一方、▲印のプロットは、図4の△印に対応している。すなわち、▲印のプロットは、接地電極30と主体金具50との接合強度が普通であることを示している。
図5(A)では、表面層31の厚みW3が0.2mmの場合を示し、図5(B)では、表面層31の厚みW3が0.4mmの場合を示している。表面層31の厚みW3が0.2mmの場合において、上記式(1)にW3=0.2を代入すると、上記(1)式を満たす厚みW2と幅W1との関係は、図5(A)に示す直線L1よりも上部に位置する範囲となる。図5(A)から明らかなように、当該範囲におけるプロットは、全て●印である。つまり、直線L1よりも上部に位置する値で幅W1と厚みW2とを設定すれば、接地電極30と主体金具50との接合強度が十分に確保されることとなる。
また、表面層31の厚みW3が0.4mmの場合において、上記式(1)にW3=0.4を代入すると、上記(1)式を満たす厚みW2と幅W1との関係は、図5(B)に示す直線L2よりも上部に位置する範囲となる。図5(B)から明らかなように、当該範囲におけるプロットは、全て●印である。つまり、直線L2よりも上部に位置する値で幅W1と厚みW2とを設定すれば、接地電極30と主体金具50との接合強度が十分に確保されることとなる。以上の説明から明らかなように、上記式(1)を満たすように、幅W1、厚みW2,W3を設定すれば、接地電極30と主体金具50との接合強度を十分に確保することができる。なお、表面層31の材質、例えば、Niの含有量は、式(1)にほとんど寄与しないことが確認されている。
B.第2実施例:
本発明の第2実施例としてのスパークプラグ200について説明する。第2実施例としてのスパークプラグ200は、第1実施例の接地電極30と主体金具50とに代えて、接地電極230と主体金具250とを備えている。第2実施例としてのスパークプラグ200は、第1実施例と概ね同一の構成であり、接地電極230の内部構造と、接地電極230と主体金具250との接合断面とが第1実施例と異なる。以下、スパークプラグ200について、第1実施例と異なる点についてのみ説明する。
スパークプラグ200の接地電極230と主体金具250との接合断面を図6に示す。図6は、軸線OL方向と特定方向PDとで規定される面に平行な断面を示している。図示するように、接地電極230は3層構造を有している。具体的には、接地電極230は、自身の表面を形成する表面層231と、当該表面層231よりも内部に形成され、表面層231よりも熱伝導率が大きい芯材232とを備えている。さらに、この芯材232は、相対的に内側に形成された第1の芯材233と、第1の芯材233を周方向に取り囲んで相対的に外側に形成された第2の芯材234とを備えている。第2の芯材234には、第1の芯材233よりも熱伝導率が大きく、硬度が小さい材質が用いられる。本実施例において、硬度とは、ビッカース硬度であり、マイクロビッカースによって測定される。本実施例では、表面層231には第1実施例と同じNi基耐熱合金、第1の芯材233にはNi、第2の芯材234には銅を用いている。かかる3層構造の接地電極230は、第2の芯材234の内部に硬度が相対的に大きい第1の芯材233を備えているので、接合強度を向上させることができる。主体金具250は、第1実施例と同様に、円筒部253を備えている。
接地電極230を構成する表面層231の後端側の端部と、主体金具250を構成する円筒部253の先端側の端部とは、外方に向かって広がった形状を備えている。これは、接地電極230と主体金具250とを抵抗溶接する際に、表面層231の一部と円筒部253の一部とが変形または溶融してダレが形成されたことによる。図6では、ダレの両端を切除した状態を示している。かかる接地電極230および主体金具250は、以下に説明する特徴を備えている。
図6に示すように、第1の芯材233は、第2の芯材234よりも軸線OLの後端側に突出した突出形状を備えている。円筒部253における接地電極230との溶接面258は、第1の芯材233の突出形状に追随した形状を有している。具体的には、溶接面258は、図示する断面において、中央部が、第1の芯材233の突出分だけ凹み、かつ、第1の芯材233の両脇で、第2の芯材234の後端側の端部の位置まで隆起した形状を有している。かかる溶接面258の形状において、第1の芯材233が接する部位の最も軸線OL方向の先端側に位置する端面を端面258aともいい、最も軸線OL方向の後端側に位置する端面を端面258bともいう。
かかるスパークプラグ200において、溶接面258の形状は、端面258aと端面258bとの軸線OL方向の距離D1が0.15mm以上となるように形成されている。本実施例では、D1=0.20mmである。なお、上述のように溶接面が起伏形状を有する主体金具を用いたスパークプラグは、従来から存在するが、従来品の場合、距離D1は、0.1mm程度である。
かかる形状の接地電極230および主体金具250は、接地電極230と主体金具250とを抵抗溶接によって接合する際に、電流値と加圧力と通電パターンとを調節することによって製造することができる。
上述のように距離D1を0.15mm以上とする意義について以下に説明する。この距離D1の設定基準は、振動試験によって見出されたものである。振動試験とは、スパークプラグ200を内燃機関に装着して実使用する際にスパークプラグ200が受ける振動を模擬した振動条件をスパークプラグ200に与えて、接地電極230と主体金具250との接合強度を評価する試験である。本実施例においては、複数の距離D1を設定して、その各々についてJISB8031の衝撃試験に基づいた試験を行い、接地電極230と主体金具250との破断時間を測定した。なお、本実施例では、距離D1の値ごとに5回の試験を行い、各々の破断時間の平均値を平均破断時間RTとして求めている。破断時間は、最大60分まで測定し、60分間で破断しない場合には、破断時間を60分として示す。また、スパークプラグ200の実際の使用条件を想定し、接地電極230の先端側の端部の温度が900℃となるように加熱しつつ、試験を行った。
かかる振動試験の結果を図7に示す。この試験結果は、幅Wと長さLとが異なる3種類の寸法の接地電極230を用いたスパークプラグ200を試験対象として行った試験の結果である。この3種類の寸法は、図4に示した実験結果に対応している。なお、表面層231の厚みW3は、第1実施例と同様に0.2mm以上0.4mm以下とすればよいが、本試験では、強度的に不利な条件を採用して、W3=0.2mmの接地電極230を用いた。また、主体金具250には、溶接面258の特定方向PDの幅W1が1.225mm(W1.1×L2.2),1.55mm(W1.3×L2.7),1.85mm(W1.5×L2.8)のものを用いた。
この振動試験の結果によれば、例えば、W1.1mm×L2.2mmの接地電極230を用いた場合、距離D1を0.05mmとすると、平均破断時間RTは31分であったのに対して、距離D1を0.14mmまたは0.18mmとすると、平均破断時間RTは60分、すなわち、破断しなかったことが分かる。
かかる振動試験の結果を用いて、距離D1と平均破断時間RTとの関係を接地電極230の寸法ごとにプロットした結果を図8に示す。図示するように、いずれの寸法の接地電極230においても、距離D1が大きくなるほど、平均破断時間RTは長くなることが分かる。距離D1が概ね0.15mm以上となると、平均破断時間RTは、W1.1mm×L2.2mmの接地電極230を用いた場合には、破断しなかったことを示す60分となる。また、W1.5mm×L2.8mmの接地電極230を用いた場合には、平均破断時間RTは、46分となり、従来品(D=0.10程度)の16分と比べて大幅に接合強度が向上していることが分かる。このように、距離D1が0.15mm以上となるように接地電極230と主体金具250とを構成することによって、接地電極230と主体金具250との接合強度を向上させることができる。かかる効果は、接地電極230の根本部分において、強度が相対的に小さい第2の芯材234で形成される部位が減少することに起因して得られるものである。
C.第3実施例:
本発明の第3実施例としてのスパークプラグ300について説明する。第3実施例としてのスパークプラグ300は、第1実施例と概ね同一の構成であり、第1実施例の接地電極30に代えて、接地電極330を備えている点が第1実施例と異なる。以下、スパークプラグ300について、第1実施例と異なる点についてのみ説明する。接地電極330の概略断面を図9に示す。図9は、軸線OL方向と特定方向PDとで規定される面に平行な断面を示している。図示するように、接地電極330は、第2実施例と同様の3層構造を有している。つまり、接地電極330は、表面層331と芯材332とを備えている。さらに、この芯材332は、第1の芯材333と第2の芯材334とを備えている。表面層331、第1の芯材333および第2の芯材334の材質は、第2実施例と同様である。
接地電極330において、芯材332は、接地電極330の内部の略中央部に形成されている。この芯材332は、先端部338に向かって先細りした形状を有している。つまり、芯材332の厚みは、先端部338に向かうにしたがって小さくなっている。換言すれば、表面層331の厚みは、先端部338に向かうにしたがって大きくなっている。そして、先端部338の周辺部位では、接地電極330の内部に芯材332が形成されていない内部構造となる。かかる内部構造は、接地電極330の製造方法に起因するものである。
かかる接地電極330の断面において、中心電極320と接地電極330との間には、軸線OL方向に火花ギャップSGが形成されている。ここで、この火花ギャップSGの中点MPを通り、特定方向PDと平行な仮想線を第1の仮想線VL1ともいう。第1の仮想線VL1と、接地電極330の中心電極320側の面との交点IPを通り、特定方向PDに向かって仰角45度で第1の仮想線VL1と交差する仮想線を第2の仮想線VL2ともいう。ここで、接地電極330は、第2の仮想線VL2上における第2の芯材334の各々の幅をW41,W42とし、第2の仮想線VL2上における表面層331の各々の幅をW51,W52とし、W4=W41+W42、W5=W51,W52としたとき、次式(4)の関係を満たすように形成されている。
W4/W5≦0.34・・・(4)
接地電極330の構造が式(4)を満たすことの意義について以下に説明する。式(4)は、冷熱サイクル試験によって見出されたものである。多層構造の接地電極330を備えるスパークプラグ300は、エンジンヘッドに取り付けられ、内燃機関で実使用される際に冷熱サイクルにさらさせると、表面層331と芯材332との熱膨張率の違いから、接地電極330の屈曲部分が外側、すなわち、中心電極320と反対側に変形し、火花ギャップSGが増大することとなる。かかる変形が生じた状態を図10に示す。図10では、変形前の接地電極330を実線で示し、変形後の接地電極330を点線で示している。ここで、このような変形が生じた場合の先端部338の中心電極320と反対側の端点EPの軸線OL方向の変位量を変位量DDともいう。本実施例における冷熱サイクル試験は、スパークプラグ300の実使用時の冷熱サイクルを模擬した冷熱サイクルにスパークプラグ300をさらすことによって、変位量DDを測定する試験である。
本実施例においては、冷熱サイクル試験として、W4/W5の値を変化させたスパークプラグ300を用意し、各々のスパークプラグ300について、接地電極330をバーナで最大900℃まで2分間加熱し、その後、1分間自然冷却するサイクルを1サイクルとする冷熱サイクル条件にさらした。そして、このサイクルを5000回繰り返した後、変位量DDを測定した。
かかる冷熱サイクル試験の結果を図11に示す。図11では、接地電極330のW4とW5との値を変化させた場合の、W4/W5の値と変位量DDとの関係を示している。例えば、W5=1.58mm、W4=0.36mm、つまり、W4/W5=0.23の接地電極330を用いた場合、変位量DD=0mmとなり、接地電極330に変形は生じていない。一方、W5=1.55mm、W4=0.66mm、つまり、W4/W5=0.43の接地電極330を用いた場合、変位量DD=0.05mmとなり、接地電極330に変形が生じたことが分かる。図11では、接地電極330に変形が生じた場合のW4/W5の値をハッチングで表示している。
かかる冷熱サイクル試験の結果を用いて、W4/W5の値と変位量DDの値との関係をプロットした結果を図12に示す。図示するように、W4/W5の値が0.34以下の接地電極330では、冷熱サイクルによる変形が生じていないことが分かる。このように、W4/W5の値が式(4)を満たす接地電極330を備えるスパークプラグ300は、冷熱サイクルによる接地電極330の変形を抑制することができるのである。
D.第4実施例:
本発明の第4実施例としてのスパークプラグ400について説明する。第4実施例としてのスパークプラグ400は、第1実施例と概ね同一の構成であり、スパークプラグ400を構成する接地電極430と主体金具450との接合位置のみが第1実施例と異なる。以下、スパークプラグ400について、第1実施例と異なる点についてのみ説明する。スパークプラグ400における接地電極430と主体金具450との接合位置を図13に示す。図13は、軸線OL方向と特定方向PDとで規定される面に平行な断面を示している。図13においては、ダレDは図示を省略している。また、図13では、接地電極430と中心電極420との間に配置される絶縁碍子の図示を省略している。接地電極430は、第1実施例の接地電極30と同一の構成を有しており、表面層431と芯材432とを備えている。この接地電極430は、主体金具450と接合されている。主体金具450は、第1実施例の主体金具50と同一の構成を有している。
ここで、接地電極430の特定位置PPにおける軸線OL方向の中心線を中心線CA2ともいう。また、主体金具450の溶接面458における軸線OL方向の中心線を中心線CA3ともいう。本実施例のスパークプラグ400は、中心線CA2が中心線CA3よりも中心電極420側に位置する位置関係で、接地電極430と主体金具450とが接合されている。かかる位置関係を、接地電極430を中心電極420側にオフセットした位置関係ともいう。かかる中心線CA2と中心線CA3との位置関係において、中心線CA2とCA3との離隔距離をオフセット量OFともいう。
接地電極430を中心電極420側にオフセットして主体金具450と接合することの意義について以下に説明する。かかる位置関係に関する知見は、振動試験の結果によって見出されたものである。振動試験の結果を図14に示す。この試験結果は、幅Wと長さLとが異なる3種類の寸法の接地電極430を用いたスパークプラグ400を試験対象として行った試験の結果である。振動試験の手法は、第2実施例で説明した振動試験と同様の方法である。この振動試験の結果によれば、例えば、W1.1mm×L2.2mmの接地電極430と、主体金具450とを接合したスパークプラグ400では、オフセット量OF=0.00mmとすると平均破断時間RTは31分であったのに対して、オフセット量OF=0.07mmとすると、平均破断時間RTは60分、すなわち、破断しなかったことが分かる。
かかる振動試験の結果を用いて、オフセット量OFと平均破断時間RTとの関係をプロットした結果を図15に示す。図示するように、オフセット量OFが大きくなるほど、平均破断時間RTは長くなることが分かる。このように、オフセット量OFを正の値で設定することにより、すなわち、中心線CA2が中心線CA3よりも中心電極420側に位置する位置関係で、接地電極430と主体金具450とを接合することによって、接地電極430と主体金具450との接合強度を向上させることができるのである。
かかる効果が得られるのは、溶接面458の外径ODと内径IDとの差に起因して、接地電極430を中心電極420側にオフセットすることによって、主体金具450の先端面上に形成されるダレDの面積が大きくなるため、すなわち、溶接面458の面積が大きくなるためである。オフセット量OFは、接地電極430と主体金具450との溶接前の位置関係において、主体金具450の中心電極420側の面と、接地電極430の中心電極420側の面とが特定方向PDで同一位置となる位置(図13に示した位置)を最大範囲として、適宜設定することができる。
E.第5実施例:
本発明の第5実施例としてのスパークプラグ500について説明する。第5実施例としてのスパークプラグ500は、第1実施例の接地電極30と主体金具50とに代えて、接地電極530と主体金具550とを備えている。第5実施例としてのスパークプラグ500は、第1実施例と概ね同一の構成であり、接地電極530と主体金具550との接合断面のみが第1実施例と異なる。以下、スパークプラグ500について、第1実施例と異なる点についてのみ説明する。
スパークプラグ500の接地電極530と主体金具550との接合断面を図16に示す。図16は、軸線OL方向と特定方向PDとで規定される面に平行な断面を示している。接地電極530は、以下に説明する主体金具550との接合断面を除いて、第1実施例の接地電極30と同一の構成を有しており、表面層531と芯材532とを備えている。この接地電極530は、主体金具550と接合されている。主体金具550は、以下に説明する接地電極530との接合断面を除いて、第1実施例の主体金具50と同一の構成を有している。
図16に示す接地電極530と主体金具550との接合断面において、接地電極530を構成する表面層531の後端側の端部と、主体金具550を構成する円筒部553の先端側の端部とは、外方に向かって広がった形状を備えている。これは、接地電極530と主体金具550とを抵抗溶接する際に、ダレDが形成されたことによる。図16では、ダレDの両端を切除した状態を示している。また、主体金具450は、その中央部で軸線OL方向の先端側に隆起した形状に形成されている。接地電極530の芯材532は、主体金具450の隆起形状に追随した形状に形成されている。すなわち、芯材532は、特定方向PDの中央部が軸線OL方向の先端側に凹み、特定方向PDの両端部が軸線OL方向の後端側の端点539まで延びた形状を有している。本実施例では、特定方向PDの両端の端点539は、軸線OL方向において、同一の位置に形成されている。この端点539は、ダレDの切除部よりも軸線OL方向の先端側に位置している。
さらに、端点539における接地電極530の外形の特定方向PDの厚みW6は、上述した外方に向かって広がった形状によって、接地電極530の先端部538の厚みW7よりも厚く形成されている。本実施例においては、接地電極530は、第1実施例と同様に、接地電極530の長さLと幅Wとが不変に形成されているから、上述した外方に向かって広がった形状を有していない接地電極530のいずれの部位においても、特定方向PDの厚みはW7に等しい。
かかる形状の接地電極530および主体金具550は、接地電極530と主体金具550との抵抗溶接時に接地電極を内周面と外周面をチャックする治具の形状を調節することによって製造することができる。
接地電極530と主体金具550との接合断面が上述した形状に形成されていることの意義について以下に説明する。かかる形状に関する知見は、振動試験の結果によって見出されたものである。振動試験の結果を図17に示す。この試験結果は、幅Wと長さLとが異なる3種類の寸法の接地電極530を用いたスパークプラグ500を試験対象として行った試験の結果である。振動試験の手法は、第2実施例で説明した振動試験と同様の方法である。この振動試験の結果によれば、例えば、W1.3mm×L2.7mmの接地電極530と、主体金具550とを接合したスパークプラグ500では、W6/W7の値が1.00の場合の平均破断時間RTは27分であったのに対して、W6/W7の値が1.22の場合の平均破断時間RTは60分、すなわち、破断しなかったことが分かる。
ここで比較例としてのスパークプラグ500aを図18に示す。図18では、スパークプラグ500aの各構成要素を、図16に示したスパークプラグ500の各構成要素に付した符号の末尾に「a」を付した符号で表示している。比較例としてのスパークプラグ500aは、図18に示すように、端点539aが、表面層531aの後端側の端部と、円筒部553aの先端側の端部とが外方に向かって広がった部位よりも先端側に位置している。この場合、厚みW6は厚みW7と等しくなる。つまり、上述した振動試験において、W6/W7=1.00のケースは、スパークプラグ500aのような形状を意味する。
かかる振動試験の結果を用いて、W6/W7の値と平均破断時間RTとの関係を接地電極530の寸法ごとにプロットした結果を図19に示す。図示するように、いずれの接地電極530の寸法においても、W6/W7の値が1.00から大きくなるほど、平均破断時間RTは長くなることが分かる。つまり、端点539における接地電極530の外形の厚みW6が、接地電極530の先端部538の厚みW7よりも厚くなるほど、平均破断時間RTは長くなる。このように、厚みW6が厚みW7よりも厚くなるように、接地電極530および主体金具550を形成することによって、接地電極530と主体金具550との接合強度を向上させることができる。つまり、表面層531と比べて強度が小さい芯材532の端点539を、接地電極530の厚みが相対的に大きい部位に位置させることによって、接地電極530と主体金具550との接合強度を向上させることができるのである。
上述の例では、芯材532の特定方向PDの両端の端点539は、軸線OL方向において、同一の位置に形成されているが、2つの端点539の位置は、製造誤差などによって、厳密に一致しない場合もある。この場合、厚みW6は、2つの端点539のうちの相対的に先端側の端点539における接地電極530の外形の特定方向PDの厚みとすればよい。
F.変形例:
上述の実施形態においては、火花ギャップSGが軸線OL方向に形成される縦放電型のスパークプラグを例示して説明したが、本発明のスパークプラグは、かかる形式に限定されるものではなく、種々の形式に適用可能である。例えば、第1,2,4,5実施例で示したスパークプラグは、軸線OL方向と垂直な方向に対向する横放電型のスパークプラグとして実現してもよい。また、1つの中心電極に対して複数の接地電極が設けられたスパークプラグとして実現してもよい。
以上、本発明の実施形態について説明したが、上述した実施形態における本発明の構成要素のうち、独立クレームに記載された要素以外の要素は、付加的な要素であり、適宜省略、または、組み合わせが可能である。また、本発明はこうした実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を脱しない範囲において、種々なる態様で実施できることは勿論である。
10…絶縁碍子
12…軸孔
20,320,420…中心電極
30,230,330,430,530…接地電極
31,231,331,431,531…表面層
32,232,332,432,532…芯材
37…基端部
38,338,538…先端部
39…後端面
50,250,450,550…主体金具
58,258,458…溶接面
100,200,300,400,500…スパークプラグ
233,333…第1の芯材
234,334…第2の芯材
258a,258b…端面
OL…軸線
PD…特定方向
PP…特定位置
SG…火花ギャップ
CA1,CA2,CA3…中心線
VL1…第1の仮想線
VL2…第2の仮想線
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決することを目的とし、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
[形態1]軸線方向に延びる棒状の中心電極と、
前記軸線方向に延びる軸孔を有し、その軸孔内で前記中心電極を保持する絶縁体と、
該絶縁体を周方向に取り囲んで保持する主体金具と、
基端部が前記主体金具に溶接され、先端部が前記中心電極の軸線方向先端側の端部との間で間隙を形成する接地電極とを備え、
前記接地電極は自身の表面を形成する表面層と、該表面層よりも内部に形成され、該表面層よりも熱伝導率が大きい芯材とを有し、前記基端部から前記先端部側に該接地電極の外形に沿って向かう方向に1mmの位置である特定位置における前記表面層の厚みが0.2mm以上0.4mm以下であるスパークプラグであって、
前記芯材は、相対的に内側に形成された第1の芯材と、該第1の芯材を周方向に取り囲んで相対的に外側に形成され、該第1の芯材よりも熱伝導率が大きく、硬度が小さい第2の芯材とを備え、
前記第1の芯材は、前記第2の芯材よりも前記軸線方向後端側に突出した突出形状で形成され、
前記主体金具の前記基端部との溶接面は、前記突出形状に追随した起伏形状で形成され、
前記溶接面のうちの前記第1の芯材が接する部位の最も前記軸線方向先端側に位置する端面と、最も前記軸線方向後端側に位置する端面との前記軸線方向の距離は、0.15mm以上であることを特徴とするスパークプラグ。
かかる接地電極330の断面において、中心電極320と接地電極330との間には、軸線OL方向に火花ギャップSGが形成されている。ここで、この火花ギャップSGの中点MPを通り、特定方向PDと平行な仮想線を第1の仮想線VL1ともいう。第1の仮想線VL1と、接地電極330の中心電極320側の面との交点IPを通り、特定方向PDに向かって仰角45度で第1の仮想線VL1と交差する仮想線を第2の仮想線VL2ともいう。ここで、接地電極330は、第2の仮想線VL2上における第2の芯材334の各々の幅をW41,W42とし、第2の仮想線VL2上における表面層331の各々の幅をW51,W52とし、W4=W41+W42、W5=W51W52としたとき、次式(4)の関係を満たすように形成されている。
W4/W5≦0.34・・・(4)

Claims (6)

  1. 軸線方向に延びる棒状の中心電極と、
    前記軸線方向に延びる軸孔を有し、その軸孔内で前記中心電極を保持する絶縁体と、
    該絶縁体を周方向に取り囲んで保持する主体金具と、
    基端部が前記主体金具に溶接され、先端部が前記中心電極の軸線方向先端側の端部との間で間隙を形成する接地電極とを備え、
    前記接地電極は自身の表面を形成する表面層と、該表面層よりも内部に形成され、該表面層よりも熱伝導率が大きい芯材とを有し、前記基端部から前記先端部側に該接地電極の外形に沿って向かう方向に1mmの位置である特定位置における前記表面層の厚みが0.2mm以上0.4mm以下であるスパークプラグであって、
    前記主体金具の前記基端部との溶接面における、前記接地電極の中心軸を通り、前記軸線方向と直交する方向である特定方向の前記主体金具の幅をW1(mm)、
    前記特定位置における、前記特定方向の前記接地電極の厚みをW2(mm)、
    前記特定位置における、前記特定方向の前記表面層の厚みをW3(mm)としたとき、
    W1≧W2×1.55−(W3+0.25)
    の条件を満たすことを特徴とするスパークプラグ。
  2. 請求項1記載のスパークプラグであって、
    前記芯材は、相対的に内側に形成された第1の芯材と、該第1の芯材を周方向に取り囲んで相対的に外側に形成され、該第1の芯材よりも熱伝導率が大きく、硬度が小さい第2の芯材とを備え、
    前記第1の芯材は、前記第2の芯材よりも前記軸線方向後端側に突出した突出形状で形成され、
    前記溶接面は、前記突出形状に追随した起伏形状で形成され、
    前記溶接面のうちの前記第1の芯材が接する部位の最も前記軸線方向先端側に位置する端面と、最も前記軸線方向後端側に位置する端面との前記軸線方向の距離は、0.15mm以上であることを特徴とするスパークプラグ。
  3. 請求項1記載のスパークプラグであって、
    前記芯材は、相対的に内側に形成された第1の芯材と、該第1の芯材を周方向に取り囲んで相対的に外側に形成され、該第1の芯材よりも熱伝導率が大きく、硬度が小さい第2の芯材とを備え、
    前記軸線方向と前記特定方向とで規定される面に平行な断面において、
    前記中心電極と前記接地電極との間で前記軸線方向に形成される火花ギャップの中点を通り、前記特定方向と平行な第1の仮想線と、前記接地電極の前記中心電極側の面との交点を通り、前記特定方向に向かって仰角45度で前記第1の仮想線と交差する第2の仮想線上における前記第2の芯材の各々の幅の総和をW4とし、該第2の仮想線上における前記表面層の各々の幅の総和をW5としたとき、
    W4/W5≦0.34
    の条件を満たすことを特徴とするスパークプラグ。
  4. 請求項2記載のスパークプラグであって、
    前記軸線方向と前記特定方向とで規定される面に平行な断面において、
    前記中心電極と前記接地電極との間で前記軸線方向に形成される火花ギャップの中点を通り、前記特定方向と平行な第1の仮想線と、前記接地電極の前記中心電極側の面との交点を通り、前特定方向に向かって仰角45度で前記第1の仮想線と交差する第2の仮想線上における前記第2の芯材の各々の幅の総和をW4とし、該第2の仮想線上における前記表面層の各々の幅の総和をW5としたとき、
    W4/W5≦0.34
    の条件を満たすことを特徴とするスパークプラグ。
  5. 請求項1ないし請求項4のいずれか記載のスパークプラグであって、
    前記軸線方向と前記特定方向とで規定される面に平行な断面において、前記接地電極の前記特定位置における前記軸線方向の中心線は、前記主体金具の前記溶接面における前記軸線方向の中心線よりも、前記中心電極側に位置することを特徴とするスパークプラグ。
  6. 請求項1ないし請求項5のいずれか記載のスパークプラグであって、
    前記軸線方向と前記特定方向とで規定される面に平行な断面において、
    前記主体金具は、中央部で前記軸線方向先端側に隆起した形状に形成され、
    前記芯材は、前記隆起した形状に追随した追随形状に形成され、
    前記芯材の前記軸線方向後端側の端点の位置における、前記接地電極の外形の前記特定方向の厚みが、前記先端部の厚みよりも厚いことを特徴とするスパークプラグ。
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