JP2012099325A - 透明導電膜基板および有機エレクトロルミネッセンス素子 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明にかかる透明導電膜基板2は、ガラス基板4と、ガラス基板4上にパターン状に形成された金属材料からなる第1導電層6と、導電性ポリマーを含有する第2導電層8とを、有しており、第2導電層8には、特殊な構造単位を有する水溶性バインダーが含有されている。
【選択図】図1
Description
更に、導電性ポリマーと相溶する高分子として、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリ(ビニルピリジン)とポリ(酢酸ビニル)とのコポリマー(PVPy‐VAc)、ポリメタクリル酸(PMAA)、ポリ(ヒドロキシエチルアクリレート)とポリ(メタクリル酸)とのコポリマー(PHEA‐MAA)、ポリ(2‐ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリビニルブチラール(PVB)とからなる群から選択されたポリマー又はコポリマーが開示されている(例えば、特許文献4)。しかし、これらのポリマーを用いた場合、膜強度不足のため、蒸着やスピンコートによる積層を行なった場合膜表面が乱れ、有機電子デバイスを作製するとリークが発生するという課題を有していた。
本発明の他の目的は、当該透明導電膜基板を用いた有機EL素子を提供することにある。
すなわち、大面積(10cm×10cm以上)のOLEDに好適に対応可能な透明導電膜を提供する場合、面抵抗を低下させるために、パターン状に形成された金属材料からなる第1導電層(金属グリッド)を用いることが有効だが、薄膜の発光層を有するOLED用に用いる透明電極としては、パターンのエッジや、パターン上面の平滑性の不足によるリークが課題となる。リークを防止するためと面電極化のために、導電性ポリマーを含有する第2導電層で、第1導電層のパターンを覆う事が有効であるが、リークを十分に防止するために、第2導電層を厚膜化すると、透明度が低下する。
このような問題に対し、第2導電層の導電性ポリマーに、繰り返し単位中に水酸基(OH)を有する構造単位を含む水溶性バインダー樹脂を加えて可視域濃度を低下させることで、透明度の低下を抑えることが可能であることに加えて、抵抗値の上昇を防ぐ事ができることを見出した。
ただし、OH含有ポリマーを第2導電層のバインダーに使用した場合、OLEDの高温雰囲気での保存性を確保するために、塗布後熱処理を行う必要があった。この場合に、樹脂基板、特に安価なPET基板を用いるときには、基板の耐熱性(変形防止)の観点から、高温(130℃以上)での塗布後熱処理を行うことができず、そのため長時間(10分以上)の熱処理時間が必要となる。
このような問題に対しては、ガラス基板を用いることにより、高温(200℃以上)での熱処理が可能となり、結果として短時間(3分以下)の熱処理時間で、OLEDの高温雰囲気での保存性を維持できる事を見出した。
ガラス基板と、
前記ガラス基板上にパターン状に形成された金属材料からなる第1導電層と、
導電性ポリマーを含有する第2導電層とを、有する透明導電膜基板において、
前記第2導電層には、一般式(I)で表される構造単位を有する水溶性バインダーが含有されていることを特徴とする透明導電膜基板が提供される。
陰極と、
前記透明導電膜基板と、
前記陰極と前記透明導電膜基板との間に介在する有機発光層と、
を含むことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子が提供される。
はじめに、有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)の構成などについて説明する。
図1に示すとおり、有機EL素子100は透明導電膜基板2を有している。
透明導電膜基板2は主にガラス基板4と第1導電層6,第2導電層8とで構成されており、第1導電層6,第2導電層8がガラス基板4上に形成されている。
第1導電層6は金属材料から構成され、所定形状のパターンを有している。
第2導電層8は導電性ポリマーを含有する層であり、第1導電層6とその隙間から露出するガラス基板4とを被覆している。
有機発光層10に代えて、公知の有機光電変換層、液晶ポリマー層などを使用してもよいが、本実施形態では、薄膜でかつ電流駆動系の素子である有機発光層(または有機光電変換層)である場合において特に有効である。
有機発光層10は、発光層に加えて、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層、電子注入層、正孔ブロック層、電子ブロック層などの層と併用して発光を制御する層を有しても良い。導電性ポリマーを含有する第2導電層8は正孔注入層として働くことも可能であるので、正孔注入層を兼ねることも可能だが、独立に正孔注入層を設けても良い。
(i)(陽極)/発光層/電子輸送層/(陰極)
(ii)(陽極)/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/(陰極)
(iii)(陽極)/正孔輸送層/発光層/正孔ブロック層/電子輸送層/(陰極)
(iv)(陽極)/正孔輸送層/発光層/正孔ブロック層/電子輸送層/陰極バッファー層/(陰極)
(v)(陽極)/陽極バッファー層/正孔輸送層/発光層/正孔ブロック層/電子輸送層/陰極バッファー層/(陰極)
有機発光層10に使用できる発光材料またはドーピング材料としては、アントラセン、ナフタレン、ピレン、テトラセン、コロネン、ペリレン、フタロペリレン、ナフタロペリレン、ジフェニルブタジエン、テトラフェニルブタジエン、クマリン、カルバゾール、アザカルバゾール、オキサジアゾール、ビスベンゾキサゾリン、ビススチリル、シクロペンタジエン、キノリン金属錯体、トリス(8−ヒドロキシキノリナート)アルミニウム錯体、トリス(4−メチル−8−キノリナート)アルミニウム錯体、トリス(5−フェニル−8−キノリナート)アルミニウム錯体、アミノキノリン金属錯体、ベンゾキノリン金属錯体、トリ−(p−ターフェニル−4−イル)アミン、1−アリール−2,5−ジ(2−チエニル)ピロール誘導体、ピラン、キナクリドン、ルブレン、ジスチルベンゼン誘導体、ジスチルアリーレン誘導体、及び各種蛍光色素及び希土類金属錯体、燐光発光材料等があるが、これらに限定されるものではない。またこれらの化合物のうちから選択される発光材料を90〜99.5質量部、ドーピング材料を0.5〜10質量部含むようにすることも好ましい。有機発光層10は上記の材料等を用いて公知の方法によって作製されるものであり、蒸着、塗布、転写などの方法が挙げられる。この有機発光層10の厚みは0.5〜500nmが好ましく、特に、0.5〜200nmが好ましい。
陰極20は導電材単独層であっても良いが、導電性を有する材料に加えて、これらを保持する樹脂を併用してもよい。陰極20の導電材としては、仕事関数の小さい(4eV以下)金属(電子注入性金属と称する)、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするものが用いられる。このような電極物質の具体例としては、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al2O3)混合物、インジウム、リチウム/アルミニウム混合物、希土類金属等が挙げられる。
これらの中で、電子注入性及び酸化等に対する耐久性の点から、電子注入性金属とこれより仕事関数の値が大きく安定な金属である第二金属との混合物、例えば、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al2O3)混合物、リチウム/アルミニウム混合物、アルミニウム等が好適である。
陰極20はこれらの電極物質を蒸着やスパッタリング等の方法により薄膜を形成させることにより、作製することができる。
陰極20としてのシート抵抗は10Ω/□以下が好ましく、さらに1Ω/□以下が好ましく、膜厚は通常10nm〜5μm、好ましくは50〜200nmの範囲で選ばれる。
なお、透明導電膜基板2とは別個に陽極22を設けなくても、透明導電膜基板2自体を陽極としてもよい。
ガラス基板4の上方には可撓性封止部材30が設けられている。可撓性封止部材30の端部が接着剤40により陰極20と陽極22とに貼付され、有機発光層10などが可撓性封止部材30で封止(被覆)されている。陰極20と陽極22との各端部であって接着剤40が塗布された領域の外側は接続端子として使用される。
続いて、透明導電膜基板2の構成などについて詳細に説明する。
(1)ガラス基板4
本発明に用いることのできるガラス基板には特に限定は無い。中では無アルカリガラスが好ましく用いられる。
その他、ロールトゥロールでの生産適性、有機エレクトロルミネッセンス素子用の透明電極に供した際の素子のフレキシビリティ等の観点からは、厚さが10〜200μmの薄膜ガラスを用いることが好ましい。更にガラス基板の厚さは50〜120μmであることが破損のしにくさ、ロール搬送の容易さの観点から望ましい。具体的には特開2010-132532号公報にガラスフィルムとして記載あるような薄膜ガラスを用いることができる。
(2.1)構成など
第1導電層は、ガラス基板上にパターン状に形成された金属材料から構成されたものである。これにより金属材料からなる光不透過の導電部と透光性窓部を併せ持つフィルム基板となり、透明性、導電性に優れた電極基板が作製できる。金属材料は、導電性に優れていれば特に制限はなく、例えば、金、銀、銅、鉄、ニッケル、クロム等の金属の他に合金でもよい。特に、後述のようにパターンの形成のしやすさの観点から金属材料の態様は、金属微粒子または金属ナノワイヤであることが好ましく、金属材料は導電性の観点から銀であることが好ましい。
パターンの線幅は好ましくは10〜200μmであり、さらに好ましくは10〜100μmの範囲である。細線の線幅が10μm以上で、所望の導電性が得られ、また200μm以下とすることで透明性が向上する。
ストライプ状、格子状のパターンにおいて細線の間隔は、0.5〜4mmが好ましい。またハニカム状のパターンにおいては、一辺の長さが0.5〜4mmが好ましい。
細線の高さは、0.1〜10μmが好ましい。細線の高さが0.1μm以上で、所望の導電性が得られ、また10μm以下とすることで有機電子デバイスの形成において、電流リークや機能層の膜厚分布不良の要因となることを防止できる。
その他の方法としては、例えば、基材全面に金属層を形成し、公知のフォトリソ法によって形成できる。具体的には、基材上に全面に、印刷、蒸着、スパッタ、めっき等の1あるいは2以上の物理的または化学的形成手法を用いて導電体層を形成する、あるいは、金属箔を接着剤で基材に積層した後、公知のフォトリソ法を用いて、エッチングすることにより、所望のストライプ状あるいはメッシュ状に加工できる。
別な方法としては、金属微粒子を含有するインクをスクリーン印刷により所望の形状に印刷する方法や、メッキ可能な触媒インクをグラビア印刷、あるいは、インクジェット方式で所望の形状に塗布した後、メッキ処理する方法、さらに別な方法としては、銀塩写真技術を応用した方法も利用できる。銀塩写真技術を応用した方法については、例えば、特開2009−140750号公報の[0076]−[0112]、及び実施例を参考にして実施できる。触媒インクをグラビア印刷してメッキ処理する方法については、例えば、特開2007−281290号公報を参考にして実施できる。
ランダムな網目構造としては、例えば、特表2005−530005号公報に記載のような、金属微粒子を含有する液を塗布乾燥することにより、自発的に導電性微粒子の無秩序な網目構造を形成する方法を利用できる。
第1導電層の細線部の表面比抵抗は、10Ω/□以下であることが好ましく、3Ω/□以下であることがより好ましい。表面比抵抗は、例えば、JIS K6911、ASTM D257、等に準拠して測定することができ、また市販の表面抵抗率計を用いて簡便に測定することができる。
前記金属の細線パターンは金属粒子のペーストを印刷することにより設けることが好ましい。印刷後、導電性を高めるために、加熱し焼成する。基材にPETフィルムを用いる場合、焼成の温度は110℃以下が好ましい。前記金属粒子は、高い導電性が得られることから、金属ナノ粒子が好ましい。
前記金属ナノ粒子とは、粒子径が原子スケールからnmサイズの微粒子状の金属のことをいう。金属ナノ粒子の平均粒径としては3〜300nmが好ましく、5〜100nmであることがより好ましい。本発明に係る金属ナノ粒子に用いられる金属としては、導電性の観点から銀または銅が好ましく、銀または銅単独でもよいし、それぞれの組み合わせでもよく、銀と銅の合金、銀または銅が一方の金属でめっきされていてもよい。中でも特に銀のナノ粒子が好ましい。中でも、平均粒径30nm以下の銀ナノ粒子が好ましい。
また、基板上に形成された第1導電層は、加熱焼成処理を施すことが好ましい。これにより、金属微粒子同士の融着が進み、第1導電層が高導電化するため、特に好ましい。加熱焼成の温度は100〜900℃の範囲が好ましく特に150から600℃の範囲が更に好ましい。加熱焼成の時間は、温度によって好ましい範囲が異なるが、1〜60分が好ましい。
(3.1)構成など
第2導電層は、パターン形成された第1導電層を被覆するように、導電性ポリマーを含有する分散液を塗布、乾燥して膜形成されたものである。
第2導電層の塗布は、前述のグラビア印刷法、フレキソ印刷法、スクリーン印刷法等の印刷方法に加えて、ロールコート法、バーコート法、ディップコーティング法、スピンコーティング法、キャスティング法、ダイコート法、ブレードコート法、バーコート法、グラビアコート法、カーテンコート法、スプレーコート法、ドクターコート法、インクジェット法等の塗布法を用いることができる。
第2導電層は、導電性ポリマーと一般式(I)で表される構造単位を有する水溶性バインダーを含有する。一般式(I)で表される構造単位を有する水溶性バインダーは、導電性ポリマーの導電性増強効果を有しており、これにより、高い導電性、高い透明性を同時に満たすことができる。
このような積層構造を有する本発明の導電層を形成することで、金属細線、あるいは導電性ポリマー層単独では得ることのできない高い導電性を、電極面内において均一に得ることができる。
第2導電層の単独の表面比抵抗は、10000Ω/□以下であることが好ましく、2000Ω/□以下であることがより好ましい。単独の表面比抵抗とは、ガラス基板上に第1導電層を設けずに、第2導電層のみを設けた際に測定した表面比抵抗を指す。
第2導電層の導電性ポリマーと水溶性バインダーとの比率は、導電性ポリマーを100質量部とした時、水溶性バインダーが30質量部から900質量部であることが好ましく、電流リーク防止、水溶性バインダーの導電性増強効果、透明性の観点から、水溶性バインダーが100質量部以上であることがより好ましい。
第2導電層を塗布した後、適宜乾燥処理を施すことができる。乾燥処理の条件として特に制限はないが、基材や導電層が損傷しない範囲の温度で乾燥処理することが好ましい。また、熱処理を行う事で、水溶性バインダーの架橋反応を促進、完了させることができる。これにより電極の洗浄耐性、溶媒耐性が著しく向上し、さらに素子性能が向上する。特に、有機EL素子においては、駆動電圧の低減、寿命の向上といった効果が得られる。上記乾燥の工程と、熱処理の工程は、同一工程であってもよく、別途行う工程であっても構わない。別途行う工程である場合には、乾燥と熱処理が連続した処理であってもよく、両処理間に時間的な休止があっても構わない。
乾燥工程、熱処理工程の条件に制限は無いが、たとえば乾燥は水分の蒸発が迅速に行える条件として、例えば、80℃以上の温度をかけることができ、上限は導電層が損傷を与えない温度として300℃程度までは可能な領域と考えられる。時間は10秒から10分程度の範囲が好ましい。さらに、熱処理は、150℃以上300℃以下の温度で行う事が好ましい。150℃未満では、反応促進効果が小さく、300℃を超える場合、素材への熱的ダメージが増えるためか、効果が小さくなる。熱処理時間は、1分以上行うことが好ましい。処理時間の上限は特にないが、生産性の観点から24時間以下であることが好ましい。ただし熱処理温度が200℃を超える範囲では、30分以内に抑えることが好ましい。熱処理は、導電層を塗布、乾燥した後、オンラインで行ってもよく、オフラインで行ってもよい。オフラインで行う場合、さらに減圧下で行うことが、水分の乾燥促進にもつながり、好ましい。
本発明に係る水溶性バインダー樹脂は、一般式(I)で表される構造単位を含有する構造を有する水溶性バインダーである。本発明で言うところの水溶性バインダーは、25℃の水100gに0.001g程度溶解するバインダー樹脂であってもよい。水への溶解性の程度は、ヘイズメーター、濁度計で測定することができる。
上記アルキル基は分岐を有していてもよく、炭素原子数は、1〜20であることが好ましく、1〜12であることがより好ましく、1〜8であることが更に好ましい。アルキル基の例には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、t−ブチル基、ヘキシル基、オクチル基等が含まれる。
上記シクロアルキル基の炭素原子数は、3〜20であることが好ましく、3〜12であることがより好ましく、3〜8であることが更に好ましい。シクロアルキル基の例には、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基及びシクロヘキシル基が含まれる。上記アルコキシ基は、分岐を有していてもよく、炭素原子数は1〜20であることが好ましく、1〜12であることがより好ましく、1〜6であることが更に好ましく、1〜4であることが最も好ましい。アルコキシ基の例としては、メトキシ基、エトキシ基、2−メトキシエトキシ基、2−メトキシ−2−エトキシエトキシ基、ブチルオキシ基、ヘキシルオキシ基及びオクチルオキシ基が含まれ、好ましくはエトキシ基である。上記アルキルチオ基の炭素数は、分岐を有していてもよく、炭素原子数は1〜20であることが好ましく、1〜12であることがより好ましく、1〜6であることが更に好ましく、1〜4であることが最も好ましい。アルキルチオ基の例としては、メチルチオ基、エチルチオ基等が含まれる。上記アリールチオ基の炭素数は、6〜20であることが好ましく、6〜12であることが更に好ましい。アリールチオ基の例にはフェニルチオ基及びナフチルチオ基等が含まれる。上記シクロアルコキシ基の炭素原子数は、3〜12であることが好ましく、より好ましくは3〜8である。シクロアルコキシ基の例には、シクロプロポキシ基、シクロブチロキシ基、シクロペンチロキシ基及びシクロヘキシロキシ基が含まれる。上記アリール基の炭素原子数は6〜20であることが好ましく、6〜12であることが更に好ましい。アリール基の例にはフェニル基及びナフチル基が含まれる。上記アリールオキシ基の炭素原子数は6〜20であることが好ましく、6〜12であることが更に好ましい。アリールオキシ基の例にはフェノキシ基及びナフトキシ基が含まれる。上記へテロシクロアルキル基の炭素原子数は、2〜10であることが好ましく、3〜5であることが更に好ましい。へテロシクロアルキル基の例にはピペリジノ基、ジオキサニル基及び2−モルホリニル基が含まれる。上記へテロアリール基の炭素原子数は、3〜20であることが好ましく、3〜10であることが更に好ましい。へテロアリール基の例にはチエニル基、ピリジル基が含まれる。上記アシル基の炭素原子数は1〜20であることが好ましく、1〜12であることが更に好ましい。アシル基の例にはホルミル基、アセチル基及びベンゾイル基が含まれる。上記アルキルカルボンアミド基の炭素原子数は1〜20であることが好ましく、1〜12であることが更に好ましい。アルキルカルボンアミド基の例にはアセトアミド基等が含まれる。上記アリールカルボンアミド基の炭素原子数は1〜20であることが好ましく、1〜12であることが更に好ましい。アリールカルボンアミド基の例にはベンズアミド基等が含まれる。上記アルキルスルホンアミド基の炭素原子数は1〜20であることが好ましく、1〜12であることが更に好ましい。スルホンアミド基の例にはメタンスルホンアミド基等が含まれる上記アリールスルホンアミド基の炭素原子数は1〜20であることが好ましく、1〜12であることが更に好ましい。アリールスルホンアミド基の例には、ベンゼンスルホンアミド基及びp−トルエンスルホンアミドが基含まれる。上記アラルキル基の炭素原子数は7〜20であることが好ましく、7〜12であることが更に好ましい。アラルキル基の例にはベンジル基、フェネチル基及びナフチルメチル基が含まれる。上記アルコキシカルボニル基の炭素原子数は1〜20であることが好ましく、2〜12であることが更に好ましい。アルコキシカルボニル基の例にはメトキシカルボニル基が含まれる。上記アリールオキシカルボニル基の炭素原子数は7〜20であることが好ましく、7〜12であることが更に好ましい。アリールオキシカルボニル基の例にはフェノキシカルボニル基が含まれる。上記アラルキルオキシカルボニル基の炭素原子数は8〜20であることが好ましく、8〜12であることが更に好ましい。アラルキルオキシカルボニル基の例にはベンジルオキシカルボニル基が含まれる。上記アシルオキシ基の炭素原子数は1〜20であることが好ましく、2〜12であることが更に好ましい。アシルオキシ基の例にはアセトキシ基及びベンゾイルオキシ基が含まれる。上記アルケニル基の炭素原子数は2〜20であることが好ましく、2〜12であることが更に好ましい。アルケニル基の例に、ビニル基、アリル基及びイソプロペニル基が含まれる。上記アルキニル基の炭素原子数は2〜20であることが好ましく、2〜12であることが更に好ましい。アルキニル基の例にはエチニル基が含まれる。上記アルキルスルホニル基の炭素原子数は1〜20であることが好ましく、1〜12であることが更に好ましい。アルキルスルホニル基の例に、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基が含まれる。上記アリールスルホニル基の炭素原子数は6〜20であることが好ましく、6〜12であることが更に好ましい。アリールスルホニル基の例に、フェニルスルホニル基、ナフチルスルホニル基が含まれる。上記アルキルオキシスルホニル基の炭素原子数は1〜20あることが好ましく、1〜12であることが更に好ましい。アルキルオキシスルホニル基の例に、メトキシスルホニル基、エトキシスルホニル基が含まれる。上記アリールオキシスルホニル基の炭素原子数は6〜20であることが好ましく、6〜12であることが更に好ましい。アリールオキシスルホニル基の例に、フェノキシスルホニル基、ナフトキシスルホニル基が含まれる。上記アルキルスルホニルオキシ基の炭素原子数は1〜20であることが好ましく、1〜12であることが更に好ましい。アルキルスルホニルオキシ基の例に、メチルスルホニルオキシ基、エチルスルホニルオキシ基が含まれる。
本発明一般式(II)で表されるヒドロキシ基を有しない構造単位において、yは0、1を表す。また、Zはアルコキシ基、−O−C(=O)−Rc、−O−SO2−Rd、−O−SiRe3を表し、アルコキシ基は、例えば炭素原子数1〜12が好ましく、より好ましくはメトキシ基、エトキシ基で、更に好ましくはメトキシ基である。これらのアルコキシ基は前述した置換基で置換されても良い。Rc、Rd、Reはアルキル基、パーフルオロアルキル基、アリール基を表し、アルキル基は、例えば炭素原子数1〜12が好ましく、より好ましくはメチル基、エチル基で、更に好ましくはメチル基である。これらのアルキル基は前述した置換基で置換されても良い。パーフルオロアルキル基は、例えば炭素原子数1〜8が好ましく、より好ましくはトリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基で、更に好ましくはトリフルオロメチル基である。アリール基は、例えばフェニル基、トルイル基が好ましく、より好ましくはトルイル基である。更に、これらのアルキル基、パーフルオロアルキル基、アリール基は前述した置換基で置換されても良い。
本発明に係るバインダー樹脂において、一般式(I)で表されるヒドロキシ基を有する構造単位のモル比は、10〜90%が好ましく、より好ましくは50〜80%である。
本発明のバインダー樹脂は汎用的な重合触媒を用いたラジカル重合により得ることができる。重合様式としては、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合等が挙げられ、好ましくは溶液重合である。重合温度は、使用する開始剤によって異なるが、一般に−10〜250℃、好ましくは0〜200℃、より好ましくは10〜100℃で実施される。
本発明のバインダー樹脂の数平均分子量は3,000〜2,000,000の範囲が好ましく、より好ましくは4,000〜500,000、更に好ましくは5000〜100000の範囲内である。
本発明のバインダー樹脂の数平均分子量、分子量分布(重量平均分子量/数平均分子量=Mw/Mn)の測定は、一般的に知られているゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により行なうことができる。使用する溶媒は、バインダー樹脂が溶解すれば特に限りはなく、THF(テトラヒドロフラン)、DMF(ジメチルホルムアミド)、CH2Cl2が好ましく、より好ましくはTHF、DMFであり、更に好ましくはDMFである。また、測定温度も特に制限はないが40℃が好ましい。
本発明では、第2導電層は導電性ポリマーを含有する。
本発明に係る導電性ポリマーは、π共役系導電性高分子とポリ陰イオンとを有してなる導電性ポリマーである。こうした導電性ポリマーは、後述するπ共役系導電性高分子を形成する前駆体モノマーを、適切な酸化剤と酸化触媒と後述のポリ陰イオンの存在下で化学酸化重合することによって容易に製造できる。
本発明に用いるπ共役系導電性高分子としては、特に限定されず、ポリチオフェン(基本のポリチオフェンを含む、以下同様)類、ポリピロール類、ポリインドール類、ポリカルバゾール類、ポリアニリン類、ポリアセチレン類、ポリフラン類、ポリパラフェニレンビニレン類、ポリアズレン類、ポリパラフェニレン類、ポリパラフェニレンサルファイド類、ポリイソチアナフテン類、ポリチアジル類、の鎖状導電性ポリマーを利用することができる。中でも、導電性、透明性、安定性等の観点からポリチオフェン類やポリアニリン類が好ましい。ポリエチレンジオキシチオフェンが最も好ましい。
π共役系導電性高分子の形成に用いられる前駆体モノマーは、分子内にπ共役系を有し、適切な酸化剤の作用によって高分子化した際にもその主鎖にπ共役系が形成されるものである。例えば、ピロール類及びその誘導体、チオフェン類及びその誘導体、アニリン類及びその誘導体等が挙げられる。
前駆体モノマーの具体例としては、ピロール、3−メチルピロール、3−エチルピロール、3−n−プロピルピロール、3−ブチルピロール、3−オクチルピロール、3−デシルピロール、3−ドデシルピロール、3,4−ジメチルピロール、3,4−ジブチルピロール、3−カルボキシルピロール、3−メチル−4−カルボキシルピロール、3−メチル−4−カルボキシエチルピロール、3−メチル−4−カルボキシブチルピロール、3−ヒドロキシピロール、3−メトキシピロール、3−エトキシピロール、3−ブトキシピロール、3−ヘキシルオキシピロール、3−メチル−4−ヘキシルオキシピロール、チオフェン、3−メチルチオフェン、3−エチルチオフェン、3−プロピルチオフェン、3−ブチルチオフェン、3−ヘキシルチオフェン、3−ヘプチルチオフェン、3−オクチルチオフェン、3−デシルチオフェン、3−ドデシルチオフェン、3−オクタデシルチオフェン、3−ブロモチオフェン、3−クロロチオフェン、3−ヨードチオフェン、3−シアノチオフェン、3−フェニルチオフェン、3,4−ジメチルチオフェン、3,4−ジブチルチオフェン、3−ヒドロキシチオフェン、3−メトキシチオフェン、3−エトキシチオフェン、3−ブトキシチオフェン、3−ヘキシルオキシチオフェン、3−ヘプチルオキシチオフェン、3−オクチルオキシチオフェン、3−デシルオキシチオフェン、3−ドデシルオキシチオフェン、3−オクタデシルオキシチオフェン、3,4−ジヒドロキシチオフェン、3,4−ジメトキシチオフェン、3,4−ジエトキシチオフェン、3,4−ジプロポキシチオフェン、3,4−ジブトキシチオフェン、3,4−ジヘキシルオキシチオフェン、3,4−ジヘプチルオキシチオフェン、3,4−ジオクチルオキシチオフェン、3,4−ジデシルオキシチオフェン、3,4−ジドデシルオキシチオフェン、3,4−エチレンジオキシチオフェン、3,4−プロピレンジオキシチオフェン、3,4−ブテンジオキシチオフェン、3−メチル−4−メトキシチオフェン、3−メチル−4−エトキシチオフェン、3−カルボキシチオフェン、3−メチル−4−カルボキシチオフェン、3−メチル−4−カルボキシエチルチオフェン、3−メチル−4−カルボキシブチルチオフェン、アニリン、2−メチルアニリン、3−イソブチルアニリン、2−アニリンスルホン酸、3−アニリンスルホン酸等が挙げられる。
本発明に用いられるポリ陰イオンは、置換もしくは未置換のポリアルキレン、置換もしくは未置換のポリアルケニレン、置換もしくは未置換のポリイミド、置換もしくは未置換のポリアミド、置換もしくは未置換のポリエステル及びこれらの共重合体であって、アニオン基を有する構成単位とアニオン基を有さない構成単位とからなるものである。
このポリ陰イオンは、π共役系導電性高分子を溶媒に可溶化させる可溶化高分子である。また、ポリ陰イオンのアニオン基は、π共役系導電性高分子に対するドーパントとして機能して、π共役系導電性高分子の導電性と耐熱性を向上させる。
ポリ陰イオンのアニオン基としては、π共役系導電性高分子への化学酸化ドープが起こりうる官能基であればよいが、中でも、製造の容易さ及び安定性の観点からは、一置換硫酸エステル基、一置換リン酸エステル基、リン酸基、カルボキシ基、スルホ基等が好ましい。さらに、官能基のπ共役系導電性高分子へのドープ効果の観点より、スルホ基、一置換硫酸エステル基、カルボキシ基がより好ましい。
ポリ陰イオンの具体例としては、ポリビニルスルホン酸、ポリスチレンスルホン酸、ポリアリルスルホン酸、ポリアクリル酸エチルスルホン酸、ポリアクリル酸ブチルスルホン酸、ポリ−2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、ポリイソプレンスルホン酸、ポリビニルカルボン酸、ポリスチレンカルボン酸、ポリアリルカルボン酸、ポリアクリルカルボン酸、ポリメタクリルカルボン酸、ポリ−2−アクリルアミド−2−メチルプロパンカルボン酸、ポリイソプレンカルボン酸、ポリアクリル酸等が挙げられる。これらの単独重合体であってもよいし、2種以上の共重合体であってもよい。
また、化合物内にさらにF(フッ素原子)を有するポリ陰イオンであってもよい。具体的には、パーフルオロスルホン酸基を含有するナフィオン(Dupont社製)、カルボン酸基を含有するパーフルオロ型ビニルエーテルからなるフレミオン(旭硝子社製)等を挙げることができる。
これらのうち、スルホン酸を有する化合物であると、導電性ポリマー含有層を塗布、乾燥することによって形成した後に、マイクロ波を照射する前に100〜120℃で5分以上の加熱乾燥処理を施してもよい。これにより架橋反応が促進するため、塗布膜の洗浄耐性や溶媒耐性が著しく向上することから、好ましい。
さらに、これらの中でも、ポリスチレンスルホン酸、ポリイソプレンスルホン酸、ポリアクリル酸エチルスルホン酸、ポリアクリル酸ブチルスルホン酸が好ましい。これらのポリ陰イオンは、ヒドロキシ基含有非導電性ポリマーとの相溶性が高く、また、得られる導電性ポリマーの導電性をより高くできる。
ポリ陰イオンの重合度は、モノマー単位が10〜100000個の範囲であることが好ましく、溶媒溶解性及び導電性の点からは、50〜10000個の範囲がより好ましい。
ポリ陰イオンの製造方法としては、例えば、酸を用いてアニオン基を有さないポリマーにアニオン基を直接導入する方法、アニオン基を有しないポリマーをスルホ化剤によりスルホン酸化する方法、アニオン基含有重合性モノマーの重合により製造する方法が挙げられる。
アニオン基含有重合性モノマーの重合により製造する方法は、溶媒中、アニオン基含有重合性モノマーを、酸化剤及び/または重合触媒の存在下で、酸化重合またはラジカル重合によって製造する方法が挙げられる。具体的には、所定量のアニオン基含有重合性モノマーを溶媒に溶解させ、これを一定温度に保ち、それに予め溶媒に所定量の酸化剤及び/または重合触媒を溶解した溶液を添加し、所定時間で反応させる。その反応により得られたポリマーは溶媒によって一定の濃度に調整される。この製造方法において、アニオン基含有重合性モノマーにアニオン基を有さない重合性モノマーを共重合させてもよい。
アニオン基含有重合性モノマーの重合に際して使用する酸化剤及び酸化触媒、溶媒は、π共役系導電性高分子を形成する前駆体モノマーを重合する際に使用するものと同様である。
得られたポリマーがポリ陰イオン塩である場合には、ポリ陰イオン酸に変質させることが好ましい。アニオン酸に変質させる方法としては、イオン交換樹脂を用いたイオン交換法、透析法、限外ろ過法等が挙げられ、これらの中でも、作業が容易な点から限外ろ過法が好ましい。
π共役系導電性高分子を形成する前駆体モノマーをポリ陰イオンの存在下で化学酸化重合して、本発明に係る導電性ポリマーを得る際に使用される酸化剤は、例えばJ.Am.Soc.,85、454(1963)に記載されるピロールの酸化重合に適する、いずれかの酸化剤である。実際的な理由のために、安価でかつ取扱い易い酸化剤、例えば鉄(III)塩、例えばFeCl3、Fe(ClO4)3、有機酸及び有機残基を含む無機酸の鉄(III)塩、または過酸化水素、重クロム酸カリウム、過硫酸アルカリ(例えば過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム)またはアンモニウム、過ホウ酸アルカリ、過マンガン酸カリウム及び銅塩例えば四フッ化ホウ酸銅を用いることが好ましい。加えて、酸化剤として随時触媒量の金属イオン例えば鉄、コバルト、ニッケル、モリブデン及びバナジウムイオンの存在下における空気及び酸素も使用することができる。過硫酸塩並びに有機酸及び有機残基を含む無機酸の鉄(III)塩の使用が腐食性でないために大きな応用上の利点を有する。
有機残基を含む無機酸の鉄(III)塩の例としては炭素数1〜20のアルカノールの硫酸半エステルの鉄(III)塩、例えばラウリル硫酸;炭素数1〜20のアルキルスルホン酸、例えばメタンまたはドデカンスルホン酸;脂肪族炭素数1〜20のカルボン酸、例えば2−エチルヘキシルカルボン酸;脂肪族パーフルオロカルボン酸、例えばトリフルオロ酢酸及びパーフルオロオクタノン酸;脂肪族ジカルボン酸、例えばシュウ酸並びに殊に芳香族の、随時炭素数1〜20のアルキル置換されたスルホン酸、例えばベンゼセンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸及びドデシルベンゼンスルホン酸のFe(III)塩が挙げられる。
添加剤としては、可塑剤、酸化防止剤や硫化防止剤等の安定剤、界面活性剤、溶解促進剤、重合禁止剤、染料や顔料等の着色剤等が挙げられる。さらに、塗布性等の作業性を高める観点から、溶媒(例えば、水や、アルコール類、グリコール類、セロソルブ類、ケトン類、エステル類、エーテル類、アミド類、炭化水素類等の有機溶媒)を含んでいてもよい。
以上の透明導電膜基板2は高い導電性と透明性を併せ持ち、液晶表示素子、有機発光素子、無機電界発光素子、電子ペーパー、有機太陽電池、無機太陽電池等の各種オプトエレクトロニクスデバイスや、電磁波シールド、タッチパネル等の分野において好適に用いることができる。その中でも、透明電極表面の平滑性が厳しく求められる有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子100)や有機薄膜太陽電池素子の透明電極として特に好ましく用いることができる。
(1)合成例1(P−1の合成:本発明内)
200ml三ツ口フラスコにTHF100mlを加え10分間加熱還流させた後、窒素下で室温に冷却した。I−1:2−ヒドロキシエチルアクリレート(1.74g、15mmol、分子量:116.05)、II−6:ブレンマーPME−200(9.7g、35mmol、分子量:276.16)、AIBN(0.8g、5mmol、分子量:164.11)を加え、5時間加熱還流した。室温に冷却した後、3000mlのMEK(メチルエチルケトン)中に反応溶液を滴下し、1時間攪拌した。MEKをデカンテーション後、100mlのMEKで3回洗浄後、THFでポリマーを溶解し、100mlフラスコへ移した。THFをロータリーエバポレーターにより減圧留去後、50℃で3時間減圧乾燥した。その結果、数平均分子量33700、分子量分布2.4の水溶性バインダー樹脂P−1を10.3g(収率90%)得た。
〈GPC測定条件〉
装置:Wagers2695(Separations Module)
検出器:Waters 2414(Refractive Index Detector)
カラム:Shodex Asahipak GF−7M HQ
溶離液:ジメチルホルムアミド(20mM LiBr)
流速:1.0ml/min
温度:40℃
モノマーとしてI−5:ブレンマーAE−90(7.20g、45mmol、分子量:160.07)、II−4:メトキシエトキシエチルアクリレート(0.87g、5mmol、分子量:174.09)を用いた。
それ以外は合成例1と同様な方法により、数平均分子量29200、分子量分布2.6、の水溶性バインダー樹脂P−2を7.10g(収率88%)得た。
モノマーとしてI−8:ブレンマーAE−200(7.10g、25mmol、分子量:284.16)、II−21:N−メチルアクリルアミド(2.13g、25mmol、分子量:85.05)を用いた。
それ以外は合成例1と同様な方法により、数平均分子量31700、分子量分布2.1、の水溶性バインダー樹脂P−3を7.75g(収率84%)得た。
モノマーとしてI−12:ブレンマーPP−500(3.04g、5mmol、分子量:608.41)、II−7:ブレンマーPME−400(22.3g、45mmol、分子量:276.16)を用いた。
それ以外は合成例1と同様な方法により、数平均分子量33200、分子量分布2.7、の水溶性バインダー樹脂P−4を22.0g(収率87%)得た。
モノマーとしてI−13:ブレンマーGLM(2.19g、15mmol、分子量:146.06)、II−12:ブレンマーAE−400(16.9g、35mmol、分子量:482.27)を用いた。
それ以外は合成例1と同様な方法により、数平均分子量23100、分子量分布2.7、の水溶性バインダー樹脂P−5を17.4g(収率91%)得た。
500ml三ツ口フラスコにTHF200mlを加え10分間加熱還流させた後、窒素下で室温に冷却した。2−ヒドロキシエチルアクリレート(10.0g、86mmol、分子量:116.05)、AIBN(1.41g、8.5mmol、分子量:164.11)を加え、5時間加熱還流した。室温に冷却した後、5000mlのMEK中に反応溶液を滴下し、1時間攪拌した。MEKをデカンテーション後、200mlのMEKで3回洗浄後、THFでポリマーを溶解し、100mlフラスコへ移した。THFをロータリーエバポレーターにより減圧留去後、50℃で3時間減圧乾燥した。その結果、数平均分子量35700、分子量分布2.3の水溶性バインダー樹脂Zを9.0g(収率90%)得た。
水溶性バインダー樹脂Z3.0g、脱水テトラヒドロフラン30mlを100mlフラスコへ投入し、完溶させたのちアイスバスにより内温を10℃以下にした。トリフルオロメタンスルホニルクロリド(0.65g、3.9mmol、分子量:167.93)を脱水テトラヒドロフラン10mlに溶解した溶液を別途調製し、水溶性バインダー樹脂Z溶液中へ30分かけて滴下した。内温は10℃以下を維持した。滴下終了後1時間撹拌後、溶液をろ紙でろ過し、得られた溶液をロータリーエバポレーターにより、溶液を10mlまで濃縮した。この溶液を300mlのエチルアルコール中に反応溶液を滴下し、1時間攪拌した後、ジイソプロピルエーテルを150ml添加し、更に1時間撹拌した。溶液をデカンテーション後、100mlのジイソプロピルエーテルで3回洗浄後、THFでポリマーを溶解し、50mlフラスコへ移した。THFをロータリーエバポレーターにより減圧留去後、50℃で3時間減圧乾燥した。その結果、数平均分子量30700、分子量分布2.1の水溶性バインダー樹脂P−6を3.18g(収率87%)得た。
トリフルオロメタンスルホニルクロリドの代わりにp−トルエンスルホニルクロリド(0.30g、1.9mmol、分子量:154.02)を用いた。
それ以外は合成例6と同様な方法により、数平均分子量32200、分子量分布2.0、の水溶性バインダー樹脂P−7を2.97g(収率90%)得た。
モノマーとしてI−15:N−メチロールアクリルアミド(0.25g、2.5mmol、分子量:101.05)、II−6:ブレンマーPME-200(13.1g、47.5mmol、分子量:276.16)を用いた。
それ以外は合成例1と同様な方法により、数平均分子量35900、分子量分布2.7、の水溶性バインダー樹脂P−8を11.7g(収率88%)得た。
モノマーとしてI−19:ヒドロキシエチルアクリルアミド(0.58g、5mmol、分子量:115.06)、II−24:アクリロイルモルホリン(6.35g、45mmol、分子量:141.08)を用いた。
それ以外は合成例1と同様な方法により、数平均分子量35900、分子量分布2.7、の水溶性バインダー樹脂P−9を6.03g(収率87%)得た。
モノマーとしてI−1のみ5.06gを用いた。
それ以外は合成例1と同様な方法により、数平均分子量37000、分子量分布2.7、のバインダー樹脂P−10を4.50g(収率89%)得た。
モノマーとしてI−19のみ5.33gを用いた。
それ以外は合成例1と同様な方法により、数平均分子量39000、分子量分布2.8、のバインダー樹脂P−11を4.80g(収率90%)得た。
モノマーとして2−ヒドロキシエチルアクリレート(3.48g、30mmol、分子量:116.05)、アクリル酸(2.16g、30mmol、分子量:72.02)を用いた。
それ以外は合成例1と同様な方法により、ヒドロキシ基を有する樹脂で数平均分子量37100、分子量分布2.6、のバインダー樹脂P−Bを4.29g(収率76%)得た。
(1)第1導電層の形成
表1に記載の支持体上に、銀ナノ粒子インキ1(TEC−PR−020;InkTec社製)を用いて表1記載の形状(パターン)で印刷を行った。パターンを印刷するエリアの面積は18mm平方とした。印刷機としてRK Print Coat Instruments Ltd製グラビア印刷試験機K303MULTICOATERを用いた。印刷後の支持体を、電気炉を用いて250℃で2分間の焼成を行い、支持体上に第1導電層を形成した。第1導電層のパターンを高輝度非接触3次元表面形状粗さ計WYKO NT9100で測定したところ、パターンの高さは0.7μm、パターン細線上の中心線に沿って測定した平均粗さRaは0.01μmであった。
上記で得られた第1導電層パターニング済みの支持体上に、下記組成の第2導電層塗布液をウェット膜厚10μmになるようにアプリケーターでパターン塗布した。パターンのエリアは、第1導電層を覆う位置で20mm平方とした。パターン塗布後の支持体は、循環式恒温槽を用いて90℃、1分間の乾燥を経た後、電気炉を用いて230℃で2分間の焼成を行い、第2導電層を形成し、透明導電膜基板サンプルを得た。
導電性ポリマー分散液(Clevios TH510;H.C.Starck社製、固形分1.7wt%) 17.6g
水溶性バインダー水溶液(表1記載の物;固形分20wt%に調整) 3.5g
ジメチルスルホキシド 1.0g
(1)陽極の形成
作製した各透明導電膜基板において、パターン辺長20mmの正方形タイル状透明パターン1個が中央に配置される様に30mm角に切り出し、これを第1電極(陽極)に用いて、以下の手順でそれぞれ有機EL素子を作製した。
切り出した透明パターン電極を市販の真空蒸着装置内にセットし、真空蒸着装置内の蒸着用るつぼの各々に、各層の構成材料を各々素子作製に最適の量を充填した。蒸着用るつぼはモリブデン製またはタングステン製の抵抗加熱用材料で作製されたものを用いた。
次いで、以下の手順で有機発光層(正孔輸送層,発光層,電子輸送層)を形成した。
まず、真空度1×10−4Paまで減圧した後、下記α−NPDの入った前記蒸着用るつぼに通電して加熱し、蒸着速度0.1nm/秒で蒸着し、30nmの正孔輸送層を設けた。
下記Ir−1が13質量%、下記Ir−14が3.7質量%の濃度になるように、Ir−1、Ir−14及び下記化合物1−7を蒸着速度0.1nm/秒で共蒸着し、発光極大波長が622nm、厚さ10nmの緑赤色燐光発光層を形成した。
次いで、下記E−66が10質量%になるように、E−66及び化合物1−7を蒸着速度0.1nm/秒で共蒸着し、発光極大波長が471nm、厚さ15nmの青色燐光発光層を形成した。
その後、下記M−1を膜厚5nmに蒸着して正孔阻止層を形成し、更にCsFを膜厚比で10%になるようにM−1と共蒸着し、厚さ45nmの電子輸送層を形成した。
各層形成に用いた化合物を下記に示す。
形成した電子輸送層の上に、透明導電膜基板を陽極とした陽極外部取り出し端子と、15mm×15mmの陰極形成用材料としてAlを5×10−4Paの真空下にてマスク蒸着し、厚さ100nmの陰極とを、形成した。
さらに、陰極及び陽極の外部取り出し端子が形成できるように、端部を除き陽極の周囲に接着剤を塗り、ポリエチレンテレフタレートを基材としAl2O3を厚さ300nmで蒸着した可撓性封止部材を貼合した後、熱処理で接着剤を硬化させ封止膜を形成し、発光エリア15mm×15mmの有機EL素子を作製した。
なお、表1の「水溶性バインダー」の項目中、サンプル34の「PVA」はポリビニルアルコール(日本合成化学(株)ゴーセノールGL03)を示している。
(1)透明導電膜基板の評価
(1.1)表面比抵抗
第2導電層のパターニング終了後、透明導電膜基板の表面比抵抗を測定した。
各透明導電膜基板の表面比抵抗を、ダイアインスツルメンツ製抵抗率計ロレスタGPを用いて四端子法で測定した。測定結果を表2に示す。
第2導電層のパターニング終了後、透明導電膜基板の透過率を測定した。
透過率は、東京電色社製AUTOMATICHAZEMETER(MODEL TC−HIIIDP)を用いて、全光線透過率を測定した。測定結果を表2に示す。
第2導電層パターニング、乾燥の後、焼成前後での透明導電膜基板の色調変化を目視評価した。評価結果を表2に示す。表2中、○,×の基準は下記のとおりである。
「○」:顕著な色調変化は無い
「×」:明確な黄変が観察される
各透明導電膜基板を、曲面に沿わせながら直径15cmの金属ロールに10分間巻きつけた。巻きつけに際して、発光面(支持体側の面)を外側に配置し、厚さ100μmのPETフィルムをカバーに用いた。その後、各透明導電膜基板の発光面側の支持体の割れの有無を確認した。確認結果を表2に示す。
(2.1)輝度ムラ
KEITHLEY製ソースメジャーユニット2400型を用いて、各有機EL素子に直流電圧を印加して輝度が1000cd/m2になるよう発光させ、発光状態(輝度ムラ)を下記基準で目視評価した。評価結果を表2に示す。
「◎」:完全に均一発光しており、申し分ない
「○」:殆ど均一発光しており、問題ない
「△」:部分的に若干発光ムラが見られるが、許容できる
「×」:全面に渡って発光ムラが見られ、許容できない
「××」:発光しない
KEITHLEY製ソースメジャーユニット2400型を用いて、各有機EL素子に直流電圧4Vを印加した際の電流I(p)と、透明導電膜基板側を陰極に接続して逆方向に直流電圧4Vを印加した際の電流I(n)とを測定し、I(p)/I(n)を算出した。算出結果を表2に示す。表2中、◎,○,△,×の基準は下記のとおりである。
「◎」:[I(p)/I(n)]≧10^4
「○」:10^3≦[I(p)/I(n)]<10^4
「△」:10^1≦[I(p)/I(n)]<10^3
「×」:[I(p)/I(n)]<10^1
各有機EL素子を80℃のサーモ器で保存した。12時間毎にサーモ器から取り出し、初期の1000cd/m2発光時の電圧を印加し、その時の輝度を測定し、輝度が半減した時間を保存時間とした。アノード電極として本発明の透明導電膜基板に替えてITO蒸着ガラスを用いた有機EL素子を、上記と同様の方法で作製し、これに対する比率(=透明導電膜基板使用時の保存時間/ITO蒸着ガラス使用時の保存時間)を求め、以下の指標(基準)で評価した。比率は100%以上が好ましく、120%以上であることが特に好ましい。評価結果を表2に示す。
「◎」:120%以上
「○」:100〜120%未満
「△」:80〜100%未満
「×」:80%未満
得られた有機EL素子の、初期の輝度を5000cd/m2で連続発光させて、電圧を固定して、輝度が半減するまでの時間を求めた。アノード電極として本発明の透明導電膜基板に替えてITO蒸着ガラスを用いた有機ELデバイスを上記と同様の方法で作製し、これに対する比率(=透明導電膜基板使用時の半減時間/ITO蒸着ガラス使用時の半減時間)を求め、以下の基準で評価した。比率は100%以上が好ましく、150%以上であることがより好ましい。評価結果を表2に示す。
「◎」:150%以上
「○」:100〜150%未満
「△」:80〜100%未満
「×」:80%未満
表2に示すとおり、サンプル1〜21とサンプル31〜34とを比較すると、支持体としてガラス基板を用い、第2導電層に特殊な水溶性バインダーを含有させたサンプル1〜21の透明導電膜基板では、表面比抵抗が小さくて光線透過率が高く、焼成前後での色調の変化も観察されなかった。そしてサンプル1〜21の有機EL素子では、その素子の特性(輝度ムラ,リーク,高温保存性,発光寿命)が良好であった。これらのことから、支持体としてガラス基板を用いることと、第2導電層に特殊な水溶性バインダーを含有させることとは、透明性や導電性、高温環境下における透明性の劣化の抑止などにおいて有用であり、有機EL素子としての特性の向上にもつながることがわかる。
さらに、サンプル1〜21のなかでも、ガラス基板の厚さが50〜120μmのサンプル1〜5,7,8,11,12の透明導電膜基板では、折曲げ耐性に優れており、ガラス基板の厚さを50〜120μmとすることは、ロールトゥロールの高速大量生産に好適であることがわかる。
4 ガラス基板
6 第1導電層
8 第2導電層
10 有機発光層
12 正孔輸送層
14 発光層
16 正孔ブロック層
18 電子輸送層
20 陰極
22 陽極
30 可撓性封止部材
40 接着剤
100 有機エレクトロルミネッセンス素子
Claims (7)
- 請求項1に記載の透明導電膜基板において、
前記水溶性バインダーが、前記一般式(I)で表される構造単位と、一般式(II)で表される構造単位とを共に有することを特徴とする透明導電膜基板。
- 請求項1または2に記載の透明導電膜基板において、
前記ガラス基板が厚さ50〜120μmの薄膜ガラスであることを特徴とする透明導電膜基板。 - 請求項1〜3のいずれか一項に記載の透明導電膜基板において、
前記第1導電層が、幅10〜100μm、間隔0.5〜4mmの平行線状のパターンであることを特徴とする透明導電膜基板。 - 請求項1〜3のいずれか一項に記載の透明導電膜基板において、
前記第1導電層が、幅10〜100μm、間隔0.5〜4mmの平行線が直行した格子状のパターンであることを特徴とする透明導電膜基板。 - 請求項1〜3のいずれか一項に記載の透明導電膜基板において、
前記第1導電層が、幅10〜100μm、一辺の長さ0.5〜4mmのハニカム状のパターンであることを特徴とする透明導電膜基板。 - 陰極と、
請求項1〜6のいずれか一項に記載の透明導電膜基板と、
前記陰極と前記透明導電膜基板との間に介在する有機発光層と、
を含むことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
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