JP2012098260A - 磁気式リニアエンコーダ - Google Patents

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Abstract

【課題】磁気式リニアエンコーダのスケールは一定間隔でN極、S極が繰り返し着磁された永久磁石が使用されるのが一般的であるが、長尺になると長い磁石を作る必要があり、磁石の製造が困難となり、さらに磁石と一般金属材料との熱膨張率の差から温度上昇により位置検出精度が劣化する。
【解決手段】移動する検出対象物に検出部と磁石を取り付け、スケールは交互に間隔を開けて設けられた多数の第1のヨーク板と第2のヨーク板よりなり、着磁された移動する磁石により第1のヨーク板および第2のヨーク板が互いに異極に着磁され、検出部が着磁されたヨークの磁場を検出する構成とする。これにより多数のヨークを積層する事により長尺のスケールを構成でき、磁石を長尺とする必要がない。またヨークは軟磁性金属であるため、昇温時の磁性材料と構造用金属の熱膨張率の差による検出精度の低下がない。
【選択図】図2

Description

本発明は、磁気式リニアエンコーダに関し、特に、プリンターの印刷ヘッド送りの位置検出等に使用される長尺の磁気式リニアエンコーダに関する。
プリンターでは印刷品質を高めるために印刷ヘッドの位置を検出する必要があり、印刷ヘッドの位置検出用にはエンコーダが使用されることが多い。このような用途のエンコーダではロータリーエンコーダまたはリニアエンコーダが使用される。
リニアエンコーダのうち磁気式リニアエンコーダを使用する場合には、プリンターの本体に位置情報が記録された磁気スケールを取り付け、印刷ヘッドを搭載したキャリッジに検出部を搭載し、印刷ヘッドと共に移動する検出部で磁気スケールの位置情報を検出する方式が一般的である。この方式は印刷ヘッドの位置を直接検出できるので、検出方式としては優れているが、反面磁気式リニアエンコーダの検出範囲を印刷ヘッドの移動範囲より広くする必要があり、特に大判のプリンターでは長尺の磁気式リニアエンコーダが必要となり、使用する磁気スケールも長尺となる。
磁気式リニアエンコーダの磁気スケールには一定間隔でN極,S極が繰り返し着磁された永久磁石が使用されるのが一般的であるが、永久磁石は長さが異なると専用の加工設備,着磁設備が必要である。さらに、長尺の磁気スケールに使用される長尺の磁石を製作するには加工設備,着磁設備とも大型化し、磁石の製造設備の整備は困難となる。また、磁石と一般金属材料とでは熱膨張率が異なることから、長尺の磁石では温度上昇時の磁石と周囲の機構部品の熱膨張量の差による位置検出精度の劣化も課題となる。
磁気式リニアエンコーダの磁石の製造にかかる課題を解決するために、例えば、特許文献1に開示される構成が知られている。このような磁気式リニアエンコーダでは、磁気スケールを例えば2分割しそれぞれの磁気スケールに磁気センサーを設け、2個の磁気スケールの接合部での2つの磁気センサーの出力信号を処理することにより1つの長尺の磁気スケールと同等な検出動作を確保している。
特開平6−147923号公報
しかし、特許文献1に開示されている構成では2個の磁気スケールの接合部では、2つの磁気センサーからの出力信号には、抵抗値−電圧変換,電圧−パルス変換,位相差検出,位相差補正,出力信号選択の一連の処理が必要で、処理回路が複雑となる。
また、長尺の磁気スケールを2分割しても磁気スケールの長さは半分となるのみで、求められる検出範囲が非常に充分に広い場合には磁気スケールはやはり長尺となり、専用の大型加工設備等の整備が必要で磁気スケールを容易には製造することはできない。
さらに、磁石と一般金属材料の熱膨張率の差による温度上昇時の位置検出精度の劣化は解決されないという問題があった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、その目的は長尺の磁気スケールが容易に製造でき、温度が上昇しても位置検出精度の低下が少ない磁気式リニアエンコーダを提供するところにある。
上記目的を達成するために、本発明は、磁力線の向きが一定間隔で反転する磁気パターンを有する直線状の磁気スケールと、磁気スケールに沿って移動可能に保持された検出対象物と、検出対象物に取り付けられ磁気パターンに近接して移動し磁気パターンの磁力線の向きを検出する検出部と、を有する磁気式リニアエンコーダにおいて、検出対象物には磁石が搭載されており、
磁気スケールは、複数の第1のギャップ磁極を有し、磁石の一方の磁極と近接配置される第1のヨークと、複数の第2のギャップ磁極を有し磁石の他方の磁極と近接配置される第2のヨークとを具備し、複数の第1のギャップ磁極と複数の第2のギャップ磁極は検出対象物の移動方向に所定の間隔で直線状に交互に配置されており、検出対象物と共に移動する磁石が検出対象物近傍の第1のギャップ磁極を第1のヨークを介して一方の極に磁化し検出対象物近傍の第2のギャップ磁極を第2のヨークを介して他方の極に磁化することにより、交互に配置された一方の極に帯磁した複数の第1のギャップ磁極と他方の極に帯磁した複数の第2のギャップ磁極の間を流れる磁力線の向きが一定間隔で反転する磁気パターンを検出対象物近傍に発生させることを特徴とする構成に特徴を有する。
これにより、本発明では検出対象物と共に移動する磁石が検出対象物近傍の第1のヨークおよび第2のヨークを磁化するため、磁気スケールが長尺となっても磁石を長くする必要がないので長尺磁石製造用の大型の製造設備を整備する必要がなく、長尺の磁気スケールの製造が容易となる。さらに、ヨークの材質は軟磁性の金属であるため、磁気スケールの熱膨張率が一般的な構造用金属材とほぼ同等になり、磁性材料と構造用金属の熱膨張率の差による検出精度の低下を回避できるので、温度が上昇しても位置検出精度の低下が少ない磁気式リニアエンコーダを提供できる。
また、本発明では、第1のヨークは複数の第1のヨーク板で構成され、第2のヨークは複数の第2のヨーク板で構成され、第1のヨーク板と前記第2のヨーク板は所定の間隔で積層されていることに特徴を有する。
これにより、本発明では多数の第1のヨーク板と第2のヨーク板を所定の間隔で積層することにより長尺の磁気スケールを構成することができ、第1のヨーク板および第2のヨーク板の加工には大型の製造設備は必要ないので、容易に長尺の磁気スケールを製作できる。
また、第1のヨーク板および第2のヨーク板の積層枚数を増減しガイドシャフトおよび固定用のネジの長さを変更することにより種々の長さの磁気スケールを製作することができるため、自由な長さの磁気式リニアエンコーダが容易に製作できる。
また、本発明では、第1のヨークと第2のヨークは、検出対象物が移動する方向に沿ってそれぞれ櫛歯を有する第1の櫛歯ヨーク板および第2の櫛歯ヨーク板であり、第1の櫛歯ヨーク板の櫛歯が第1のギャップ磁極となり、第2の櫛歯ヨーク板の櫛歯が第2のギャップ磁極となることに特徴を有する。
これにより、本発明は第1の櫛歯ヨーク板および第2の櫛歯ヨーク板でヨークが構成されるため部品点数の削減がはかれ、組み立ても容易となる。さらに第1の櫛歯ヨーク板および第2の櫛歯ヨーク板は汎用の加工機械で製作することができるので専用の製造設備を製作する必要がなく、長尺の磁気スケールを容易に製作できる。
また、本発明では検出部が巨大磁気抵抗素子を有することに特徴を有する。
巨大磁気抵抗素子は磁場強度が小さくても磁力線の向きを検出できる。これにより、巨大磁気抵抗素子を検出部に使用する本発明では、反転する磁気パターンの磁力線の向きを精度良く検出でき、安定した位置検出が可能となる。また、磁場強度が小さくても磁力線の向きを検出できるため、磁石を小型,軽量にすることができる。
以上により、本発明では検出対象物と共に移動する磁石が検出対象物近傍の第1のヨークおよび第2のヨークを磁化するため、磁気スケールが長尺となっても磁石を長くする必要がないので長尺磁石製造用の大型の製造設備を整備する必要がなく、長尺の磁気スケールの製造が容易となる。さらに、ヨークの材質は軟磁性の金属であるため、磁気スケールの熱膨張率が一般的な構造用金属材とほぼ同等になり、磁性材料と構造用金属の熱膨張率の差による検出精度の低下を回避できるので、温度が上昇しても位置検出精度の低下が少ない磁気式リニアエンコーダを提供できる。
本発明の第1の実施形態にかかる磁気式リニアエンコーダの外観図である。 上記第1の実施形態の磁気式リニアエンコーダを製品背面側から見た分解外観図である。 上記第1の実施形態の磁石の外観図であり、(a)は上面側から見た外観図、(b)は下面側から見た外観図である。 上記第1の実施形態の磁気式リニアエンコーダの検出部である磁気センサーの内部構成を示す図である。 上記第1の実施形態の磁気式リニアエンコーダのスケールブロックの構造を示す分解外観図である。 上記第1の実施形態のスペーサーの外観図であり、(a)は一方側から見たときの外観図、(b)は他方側から見たときの外観図である。 上記第1の実施形態の磁気式リニアエンコーダの背面の要部を示す図である。 上記第1の実施形態のスケールブロックの部分外観図である。 上記第1の実施形態のスケールブロックの磁力線の流れを説明する図である。 上記第1の実施形態の磁気式リニアエンコーダの図1のA−A断面図である。 上記第1の実施形態の磁気式リニアエンコーダのヨークとGMRセンサー素子の配置状態を示す模式図である。 上記第1の実施形態の磁気式リニアエンコーダの磁気センサーの位置とGMRセンサー素子の抵抗値変化の関係を示す模式図であり、(a)はGMRセンサー素子が全て低抵抗となる場合、(b)はGMRセンサー素子が全て高抵抗となる場合、(c)はA相側のGMRセンサー素子が低抵抗となり、B相側のGMRセンサー素子が高抵抗となる場合、(d)はGMRセンサー素子が全て低抵抗となる場合、(e)はA相側のGMRセンサー素子が高抵抗となり、B相側のGMRセンサー素子が低抵抗となる場合、(f)はGMRセンサー素子が全て高抵抗となる場合である。 上記第1の実施形態の磁気式リニアエンコーダの磁気センサーの位置による磁気センサー出力の変化を示す図である。 本発明の第2の実施形態にかかる磁気式リニアエンコーダの外観図である。 上記第2の実施形態の磁気式リニアエンコーダの櫛歯ヨーク板の組み込み状態を示す図14のB−Bで切断したときの外観図である。 上記第2の実施形態のセンサーブロックの外観図であり、(a)は組み立て状態の外観図、(b)は分解外観図、(c)は磁石側から見た分解外観図である。 上記第2の実施形態の磁気式リニアエンコーダの分解外観図である。 上記第2の実施形態のスケールブロックの磁力線の流れを説明する図である。 上記第2の実施形態の磁気式リニアエンコーダの図14のC−C断面図である。
<第1の実施形態>
本発明の第1の実施形態について図1から図9を参照し説明する。なお、本発明の第1の実施形態では磁気式リニアエンコーダ部分に関してのみ記述し、プリンター等の適用製品に組み込む際に必要となる適用製品への取り付け構造や印刷ヘッドの取り付け部等は記述しない。
本発明の第1の実施形態にかかる磁気式リニアエンコーダの外観斜視図を図1に示す。
本発明の第1の実施形態にかかる磁気式リニアエンコーダは、磁力線の向きが一定間隔で反転する磁界を発生させるスケールブロック200と、スケールブロック200に固定されスケールブロック200に並行して設置された2本のガイドシャフト5と、ガイドシャフト5に摺動可能に保持されたセンサーブロック100により構成される。
なお、以下の説明では磁力線の向きが一定間隔で反転する磁界を磁気パターンと記述する。
スケールブロック200は、後述する磁石4から出た磁束により交番する磁界を作り出す磁気回路を持った組み立て部品である。
センサーブロック100は磁気式リニアエンコーダの検出方向に移動可能で、移動に対応して位置を検出するとともに、後述する磁石4を保持し移動させる組み立て部品である。
図2は製品背面側より見た、磁気式リニアエンコーダの構造を示す分解外観斜視図である。
センサーブロック100は、磁石4と、磁気センサー(検出部)3と、磁石4を保持する磁石ホルダー2と、磁気センサー3と磁石ホルダー2を保持するセンサーホルダー1と、により構成される。
センサーホルダー1は成形材料等の非磁性材で形成された、断面が略コの字形状の部品で、コの字形状の上下の面の端部付近に磁石ホルダー2を固定する穴部1aを有し、コの字形状の中間面の略中央に磁気センサー3を固定するセンサー固定部1bを有する。また、本体面の外側面には2本のガイドシャフト5を挿入する4カ所の丸穴部を有する。
なお、本発明の第1の実施形態にかかる磁気式リニアエンコーダをプリンター等の適用製品に組み込む場合は、センサーホルダー1に印刷ヘッド等の取り付け部を追加する。
磁石ホルダー2は成形材料等で形成された略板状の部品で、上下辺にセンサーホルダー1への固定用突出部2aを有し、左右辺の略中央部に磁石4を保持する2つの腕部2bを有する。
磁石4はフェライト磁石等で形成された略直方形状の永久磁石で、図2に示す方向で上下方向に着磁されており、上面4aがN極で、下面4bがS極である。
磁石4の幅方向の両側面は磁石ホルダー2の腕部2bにより保持され、センサーブロック100がガイドシャフト5に沿って移動させられると磁石ホルダー2も移動し磁石4も移動する。
図3は磁石4の外観図で、(a)は磁石4を上面側から見た外観図、また(b)は磁石4を下面側から見た外観図である。
磁石4の上面4aには、図3の(a)に示すように、移動方向Dに平行な辺の中間部を1辺とする長方形の2つの逃げ部4cが設けられている。また、磁石4の下面4bには、図3の(b)に示すように、移動方向Dに平行な辺の中間部を1辺とする長方形の2つの逃げ部4dが設けられており、さらに2つの逃げ部4dに挟まれる平面の一部を僅かに窪ませ、窪み部4eが設けられている。
磁気センサー3はGMRを使用したセンサーで、図4に示すように、2個のGMRセンサー素子(巨大磁気抵抗素子)3aと2個の固定抵抗3bで構成されるブリッジ回路を2組有している。
GMRセンサー素子3aは、外部磁界の磁力線が特定の方向でGMRセンサー素子3aを通過するときは低抵抗となり、外部磁界の磁力線の方向が特定の方向の逆方向になると高抵抗となる特性を有している。
各GMRセンサー素子3aの抵抗値が変化すると、ブリッジ回路出力の電圧が変化する。
各ブリッジ回路の出力はそれぞれアンプ3cにて適切な電圧に増幅され、コンパレータ3dにより2値化され磁気センサー出力となる。2組のブリッジ回路出力から作られた2つの磁気センサー出力の一方をA相出力(A OUT)、他方をB相出力(B OUT)と呼称する。
磁気センサー3は、GMRセンサー素子3aがスケールブロック200により作られた磁気パターン内を通過すると、磁力線の方向が変化するたびに出力状態が反転する。
本発明の第1の実施形態では各々のブリッジ回路のGMRセンサー素子3aの抵抗値が低いときに各ブリッジ回路の出力はLOWとなり、抵抗値が高いときに出力はHIGHとなる。
次にスケールブロック200の構成部品を、図5を参照し説明する。図5は説明のためにスケールブロック200の一部の構成部品を分解して図示した外観斜視図である。
スケールブロック200は両端部の側板6と、側板6の間に繰り返し積層された第1のヨーク板7および第2のヨーク板8とスペーサー9、および両端の側板6を締結する4本の固定ネジ10で構成される。
第1のヨーク板7と第2のヨーク板8の厚さは同一としてあり、隣接する2枚の第1のヨーク板7の間にはスペーサー9が挟まれており、隣接する2枚の第2のヨーク板8の間にもスペーサー9が挟まれている。これにより隣接する2枚の第1のヨーク板7間の距離と隣接する2枚の第2のヨーク板8間の距離は同一となる。
以降、隣接する2枚の第1のヨーク板7間の距離および隣接する2枚の第2のヨーク板8間の距離をヨークピッチpと記述する。
側板6は成形材料等の非磁性材にて形成されており、板状の端部6aと、端部6aから部分的に突出した積層端部6bからなる。積層端部6bの端面は分割された高さの違う2つの面を有し、端面の上側の略半分は第1のヨーク板7を組み込む第1組み込み面6cとなり、下側の略半分は第2のヨーク板8を組み込む第2組み込み面6dとなり、第1組み込み面6cと第2組み込み面6dにはそれぞれ2つの位置決め部6eを有する。また、端部6aの積層端部6bから突出した部分にはガイドシャフト5保持用の2つの丸穴を有する。
第1組み込み面6cと第2組み込み面6dにそれぞれ2カ所ずつ設けられた位置決め部6eは、円筒形状を6分割し、うち3カ所を突出させ爪部とし、他の3カ所を窪み部としており、爪部は隣接するヨークの丸穴部を貫通し、さらに次のスペーサー9の位置決め部9aの窪み部に嵌合する。
第1組み込み面6cと第2組み込み面6dとの間にはヨークピッチpの半分の段差を設けてあり、第1組み込み面6cと第2組み込み面6dに各々第1のヨーク板7と第2のヨーク板8を組み付けることにより、第1のヨーク板7と第2のヨーク板8の間に所定の隣接ヨーク間ピッチ1/2pが得られる。
各位置決め部6eの中央にはそれぞれ固定ネジ10貫通用の丸穴が設けられており、計4つの位置決め部6eのうち対角の2つの位置決め部6eの丸穴には固定ネジ10締結用のネジ穴が設けられており、他の2つの位置決め部6eの丸穴の外側面側には固定ネジ10の頭部を収納する底付きの丸穴が設けられている。
なお、本発明の第1の実施形態にかかる磁気式リニアエンコーダをプリンター等の適用製品に組み込む場合は、側板6にプリンター等への取り付け部を追加する。
第1のヨーク板7は軟鉄等の軟磁性体で略L字形状に形成されており、L字形の本体部分には側板6またはスペーサー9の位置決め部6e,9aが貫通する2つの丸穴部が設けられ、L字形の先端側は徐々に幅が減少し、先端部には磁極部7aを有する。同様に第2のヨーク板8は軟鉄等の軟磁性体で略L字形状に形成されており、L字形の本体部分には側板6またはスペーサー9の位置決め部6e,9aが貫通する2つの丸穴部が設けられ、L字形の先端側は徐々に幅が減少し、先端部には磁極部8aを有する。
なお、第1のヨーク板7と第2のヨーク板8は同一部品で、組み込み方向を逆としたのみである。
スペーサー9は、図6の(a)および(b)に示すように、成形樹脂等の非磁性材料にて略L字形状に形成されており、L字形の本体部分の板厚方向の両端面にはそれぞれ2つの位置決め部9aを有し、L字形の本体部分の側面のうちの長手方向の側面の一方には、側面の長手方向の両端部にそれぞれ2つの小突出部9b有する。
スペーサー9の両端面の位置決め部9aは、図5に示す側板6の位置決め部6eと同様に、円筒形状を6分割し、うち3カ所を突出させ爪部とし、他の3カ所を窪み部としている。6分割した円筒形状のうち、一方の端面で爪部とした3カ所は他方の端面では窪み部とし、一方の端面で窪み部とした3カ所は他方の端面では爪部としている。
これによりスペーサー9は同一の部品を使用して中間にヨークを挟みながら連続して積層することができる。また、2つの位置決め部9aの中央にはそれぞれ固定ネジ10貫通用の丸穴が設けられている。
次に図5を参照に、組み立て順序に従いスケールブロック200の構造を説明する。
まず、一方の側板6(図5では図中左上側の側板)の第1組み込み面6cに第1のヨーク板7を取り付け、第2組み込み面6dに第2のヨーク板8を取り付ける。このとき第1組み込み面6cおよび第2組み込み面6dのそれぞれの位置決め部6eの爪部は第1のヨーク板7および第2のヨーク板8のそれぞれの丸穴を貫通し、僅かに突出する。
次に側板6に取り付けられた第1のヨーク板7および第2のヨーク板8の端面に各々スペーサー9を取り付ける。このとき第1のヨーク板7および第2のヨーク板8の端面から僅かに突出している側板6の位置決め部6eの爪部は、取り付けたスペーサー9の取り付け面側の位置決め部9aの窪み部と嵌合し、取り付けたスペーサー9の取り付け面側の位置決め部9aの爪部はヨークの丸穴部を貫通し、側板6の位置決め部6eの窪み部と嵌合する。
したがって第1のヨーク板7および第2のヨーク板8の端面に取り付けられたスペーサー9は側板6に対し位置決めされ、第1のヨーク板7および第2のヨーク板8の丸穴の位置精度には影響されないので、スケールブロック200の組み立て精度を維持しやすくなる。
なお、第1のヨーク板7および第2のヨーク板8に各々取り付けるスペーサー9は同一部品で、組み込み方向を逆としたのみである。
次に、取り付けられた第1のヨーク板7に取り付けられたスペーサー9および第2のヨーク板8に取り付けられたスペーサー9の端面に、それぞれ次の第1のヨーク板7および次の第2のヨーク板8を取り付ける。
以降、順次スペーサー9、第1のヨーク板7、第2のヨーク板8を必要な回数だけ積層し、最後に他方の側板6を取り付け、他方の側板6の位置決め部6eの爪部を最後のヨークの丸穴部および最後のスペーサー9の位置決め部9aの窪み部に組み込む。
最後に4本の固定ネジ10を、一方側の側板6に2本、他方側の側板6に2本挿入し、それぞれ反対側の側板6のネジ穴に締めつける。
なお、一方側の側板6と他方側の側板6は同一部品で、組み込み方向を逆としたのみである。
以上でスケールブロック200の組み立てが完了し、長手方向の側面の一方側に第1のヨーク板7の磁極部7aと第2のヨーク板8の磁極部8aがスペーサー9を挟んで整列し、他方側には第1のヨーク板7の本体部の一方の側面と、第2のヨーク板8の本体部の一方の側面と、複数の第1のヨーク板7および複数の第2のヨーク板8の間に挟まれて保持されているスペーサー9の本体部の一方の側面とで構成される溝形状が形成される。
以降、磁極部7a,8aが整列している一方側をスケールブロック200の前面側と記述し、溝形状が形成されている他方側を背面側と記述する。また背面側の溝形状を磁石溝部200dと記述する。
上記のように、スケールブロック200はスペーサー9と第1のヨーク板7および第2のヨーク板8を必要な回数だけ順次積層することにより、任意の長さに製作することが可能で、自由な長さのエンコーダが容易に製作できる。また、長尺の部品や大型の製造設備を製作する必要がないので、長尺の磁気スケールが容易に製作ができる。
また、第1のヨーク板7および第2のヨーク板8を同一形状とし、第1のヨーク板7に組み付けるスペーサー9と第2のヨーク板8に組み付けるスペーサー9を同一部品とし、さらに、両端の側板6も同一部品としたので、製作する部品の種類が少なくて済み、整備する製造設備の数が抑制できる。
次に、図2を参照し、スケールブロック200へのセンサーブロック100の組み込み方法を解説する。
センサーブロック100の磁気センサー3と磁石4はスケールブロック200を挟んで対向した位置に配置されるため、センサーブロック100は下記のステップで組み立てる。
(1)センサーホルダー1のセンサー固定部1bに磁気センサー3を取り付ける。
(2)磁気センサー3を取り付けたセンサーホルダー1を2本のガイドシャフト5でスケールブロック200に取り付ける。
(3)スケールブロック200の背面側の磁石溝部200dに磁石4を入れる。
(4)磁石4の移動方向の端面を磁石ホルダー2の腕部2bで保持しながら、磁石ホルダー2の固定用突出部2aをセンサーホルダー1の穴部1aに挿入する。
以上でスケールブロック200へのセンサーブロック100の組み込みは完了する。
次に磁石4が磁石溝部200d内を摺動するときの摺動ガイド構造を記述する。
図7は磁石4が組み込まれた状態を示す、磁気式リニアエンコーダの背面の要図である。ただし、理解を容易とするため磁石ホルダー2は想像線にて記載している。
磁石4は移動方向には磁石ホルダー2の腕部2bで保持されており、センサーブロック100が移動すると、磁石ホルダー2の腕部2bにより磁石4も移動させられる。しかし、磁石4は移動方向に直交する上下方向は磁石溝部200dの内側面で摺動可能に保持され、移動方向および上下方向に直交する前後方向は磁石溝部200dの内底面と磁石ホルダー2の本体部の一面で保持される。
磁石4の上面4aおよび下面4bはそれぞれ金属材料で形成された第1のヨーク板7および第2のヨーク板8と対向しており、磁石4と第1のヨーク板7および第2のヨーク板8との間には磁力による吸着力が発生し、磁石4の上面4aは磁石4を上方向に持ち上げる方向の力を受け、磁石4の下面4bは磁石4を下方向に引き下げる方向の力を受ける。
磁石4の上面4aが受ける上向きの吸着力と下面4bが受ける下向きの吸着力が等しければ、磁石4を保持する磁石溝部200dの内側面には荷重はかからないが、実際の製品では磁石4が移動する全範囲で上向きの吸着力と下向きの吸着力を等しく保つことは困難で、磁石溝部200dの内側面には上向きの吸着力と下向きの吸着力の差による荷重がかかる。
このため、スペーサー9の一方の側面に小突出部9bを設け、小突出部9bを磁石溝部200dの内側面に最も突出させた。
これにより磁石溝部200dの内側面には、第1のヨーク板7の本体部の一方の側面と、第2のヨーク板8の本体部の一方の側面と、複数の第1のヨーク板7の間に挟まれて保持されたスペーサー9の本体部の一方の側面と、複数の第2のヨーク板8の間に挟まれて保持されたスペーサー9の本体部の一方の側面が露出するが、これらのうちスペーサー9の一方の側面に設けられた小突出部9bが磁石溝部200dの内側面に最も突出する
従って、磁石4は成形材で製作されたスペーサー9の小突出部9bに当接して移動するため、磁石4に荷重がかかった状態で磁石4が磁石溝部200dの内側面を移動しても、磁石4が金属材で製作された第1のヨーク板7および第2のヨーク板8と当接して移動する場合と比べて、移動の抵抗が少なくなり、また当接部の損耗も少なくなるので長寿命化がはかれる。
また、本発明の第1の実施形態に係る磁気式リニアエンコーダでは、磁石4の上面4aおよび下面4bには、スペーサー9の小突出部9bと接触する範囲のみに、それぞれ逃げ部4c,4dが設けられている(図3の(a)および(b)参照)。
これにより、磁石4の上面4aおよび下面4bの逃げ部4c,4dは小突出部9bとは接触せず、磁石4の上面4aおよび下面4bの全体が多数の小突出部9bと接触することが回避できるので、摺動時の摩擦抵抗が軽減される。
なお、さらなる長寿命化が求められる場合は、スペーサー9を形成する成形材料を対金属の摩耗耐性に優れる、例えばナイロン,ポリアセタール等の成形材料とすることで対応が可能である。または、小突出部9b部に対金属の摩耗耐性に優れる成形材料で形成した別部品を取り付けても良い。
なお、スペーサー9の小突出部9bの、第1のヨーク板7の本体部の一方の側面および第2のヨーク板8の本体部の一方の側面からの突出量は、部品加工精度を考慮した最小の量としてあるため、磁石4から第1のヨーク板7に流れる磁力線および第2のヨーク板8から磁石4に戻る磁力線の減少は最小におさえられる。
ところで、磁石4の下面4bには磁石4の自重がかかり、これにより磁石4の下面4bはスペーサー9の小突出部9bと接触するが、磁石4の上面4aとスペーサー9の小突出部9bは接触せず隙間ができる。この結果、磁石4の下面4bから第2のヨーク板8までの距離は磁石4の上面4aから第1のヨーク板7までの距離より近くなり、磁石4を下方向に引き下げる力が磁石4を上方向に持ち上げる力より大きくなり、磁石4の下面4bを保持する小突出部9bには更に大きな荷重がかかる。
上記の磁石4を下方向に引き下げる力を軽減するため、本発明の第1の実施形態では、磁石4の下面4bに窪み部4eを設けている。これにより磁石4の下面4bから第2のヨーク板8までの距離が拡大し、磁石4が下方に引き下げられる力が小さくなり、磁石4を上方向に持ち上げる力と磁石4を下方向に引き下げる力の差が小さくなる。その結果、小突出部9bへの磁石4の下面4bの荷重が軽減され、寿命の低下が回避される。
なお、上記の磁石4の窪み部4eはリニアエンコーダを用途先製品に組み込んだ状態で下方となる磁石面に設ける必要があるため、リニアエンコーダが用途先製品に上下逆に組み込まれる場合には窪み部4eは磁石4の上面4aに設け、リニアエンコーダが用途先製品に水平に組み込まれる場合には窪み部4eは不要である。
次に図8および図9を参照し、スケールブロック200の磁界の状況を説明する。
図8は組み立てられたスケールブロック200の端部側の部分外観斜視図である。スケールブロック200の上面側には第1のヨーク板7とスペーサー9が繰り返し積層されており、第1のヨーク板7はスケールブロック200の前側面の中央部まで延伸し、先端の磁極部7aがスペーサー9の前側面より僅かに突出している。またスケールブロック200の下面側には第2のヨーク板8とスペーサー9が繰り返し積層されており、第2のヨーク板8はスケールブロック200の前側面の中央部まで延伸し先端の磁極部8aがスペーサー9の前側面より僅かに突出している。
第1のヨーク板7と第2のヨーク板8はヨークピッチpの半分だけ位置がずれているため、スケールブロック200の前側面の中央部には第1のヨーク板7の磁極部7aと第2のヨーク板8の磁極部8aが互い違いに突出する。
図9は磁力線の流れを説明する図で、スケールブロック200にセンサーブロック100を組み込んだ状態で、磁石4の移動方向の辺の略中間位置で切断したときの、外観斜視図である。ただし、説明の便宜のためスペーサー9,センサーホルダー1および磁気センサー3は記載を省略している。
図9では磁力線の流れを模式的に矢印で表す。実際の磁力線は磁性体中に広く分布しながら流れるが、図9の磁力線を表す矢印は、説明の理解を容易とするために、磁力線の流れる概略の方向を表示している。また、磁石4の極を表すN,Sの表示は正しくは磁石4の上面および下面に記入すべきであるが、作図の都合により磁石4の断面内に記載している。
なお、以下の説明では、磁石4と第1のヨーク板7との空隙および磁石4と第2のヨーク板8との空隙を根元ギャップ200a、第1のヨーク板7の磁極部7aと第2のヨーク板8の磁極部8aの空隙を先端ギャップ200bと記述し、第1のヨーク板7の磁極部7aと第2のヨーク板8の磁極部8aが先端ギャップ200bを挟んで互い違いに並んでいる部分を先端ギャップ部200cと記述する。
空中に放置された磁石の場合、磁石のN極側から出た磁力線は空間を伝わりS極に戻るが、本発明の第1の実施形態に係る磁気式リニアエンコーダでは磁石4の近傍に第1のヨーク板7および第2のヨーク板8があるため以下のように磁力線が流れる。
磁石4のN極から出た磁力線は根元ギャップ200aを超えて第1のヨーク板7に入り、第1のヨーク板7中を、図9に示す磁力線f1に沿って、磁極部7aにむかって流れる。
第1のヨーク板7の磁極部7aに到達した磁力線f1は先端ギャップ200bを超えて第2のヨーク板8の磁極部8aに入り、こののち、第2のヨーク板8中を、図9に示す磁力線f4に沿って、第2のヨーク板8の根元部に到達する。第2のヨーク板8の根元部に到達した磁力線f4は根元ギャップ200aを超えて磁石4のS極に戻る。
磁石4から出た磁力線は第1のヨーク板7および第2のヨーク板8中を上記のように流れるが、磁石4と対向する全ての第1のヨーク板7および第2のヨーク板8で同様に磁力線が流れる。
ところで、第1のヨーク板7と第2のヨーク板8は互い違いに並んでいるため、ひとつの第2のヨーク板8の磁極部8aには隣接するふたつの第1のヨーク板7の磁極部7aから磁力線が流れ込む。同様にひとつの第1のヨーク板7の磁極部7aからは隣接するふたつの第2のヨーク板8の磁極部8aに磁力線が流れ出す。
先端ギャップ部200cには第1のヨーク板7の磁極部7aと第2のヨーク板8の磁極部8aが互い違いに並んでいるので、第1のヨーク板7の磁極部7aから第2のヨーク板8の磁極部8aに右方向に流れる磁力線f3と、第1のヨーク板7の磁極部7aから第2のヨーク板8の磁極部8aに左方向に流れる磁力線f2が繰り返し発生し、先端ギャップ部200cに磁気パターンが得られる。
このとき、磁石4と対向する第1のヨーク板7と第2のヨーク板8には磁力線が多く流れるが、磁石4と対向していないヨークには磁力線は僅かしか流れない。このため磁石4の近傍の先端ギャップ部200cでは強い磁気パターンが得られるが、磁石4から離れた位置では磁気パターンの強度は低下する。ただし、磁石4が移動しても第1のヨーク板7の磁極部7aと第2のヨーク板8の磁極部8aを流れる磁力線の位置と方向は変化しないため、磁気パターンの位置は第1のヨーク板7の磁極部7aと第2のヨーク板8の磁極部8aの位置により決まり、磁石4が移動しても磁気パターンの位置および磁界の向きは変化しない。
次に先端ギャップ部200cに発生した磁気パターンを磁気センサー3により検出し位置信号を出力する動作を説明する。
図10はセンサーブロック100の中央部を通る面で切断した磁気式リニアエンコーダを示す、図1のA−A断面図である。ただし、説明の理解を容易とするためにスペーサー9の断面は省略して表示している。
磁石4は磁石ホルダー2により保持されセンサーホルダー1と共に移動するので、磁石4は常に磁気センサー3と対向している。磁気センサー3は先端ギャップ部200cに近接して配置されているので、磁気センサー3により先端ギャップ部200cに発生した磁気パターンを検出できる。
以下、図11から図13を参照し、磁気センサー3の位置による、スケールブロック200の先端ギャップ部200cに発生した磁気パターンによるGMRセンサー素子3aの抵抗値の変化を説明する。なお、図11および図12の(a)から(f)では磁気センサー3内の固定抵抗3bの表示を省略している。
図11は先端ギャップ部200cの第1のヨーク板7の磁極部7aおよび第2のヨーク板8の磁極部8aとGMRセンサー素子3aの配置を模式的に表した図である。第1のヨーク板7はヨークピッチpで並んでおり、その中間位置に第2のヨーク板8が並んでいる。第1のヨーク板7の磁極部7aからはその両側の第2のヨーク板8の磁極部8aに磁力線f2,f3が流れ出しているため、第1のヨーク板7の磁極部7aがN極となり第2のヨーク板8の磁極部8aがS極である。以降、第1のヨーク板7の磁極部7aをN極、第2のヨーク板8の磁極部8aをS極と記載する。
磁気センサー3にはA相用の2つのGMRセンサー素子3aがセンサーブロック100の移動方向と略直角の直線上に並んでおり、B相用の2つのGMRセンサー素子3aがA相用のGMRセンサー素子3aと並行に、ヨーク間ピッチの1/4(1/4p)の位置に並んでいる。なお、図11および図12の(a)から(f)では、A相用のGMRセンサー素子3aの近傍にA1,A2の記号を、B相用のGMRセンサー素子3aの近傍にB1,B2の記号を記入する。
A相用のGMRセンサー素子3aとB相用のGMRセンサー素子3aの中間位置を中心線3eとすると、A相用のGMRセンサー素子3aとB相用のGMRセンサー素子3aは各々GMRセンサーの中心線3eの両側に1/8p離れた位置に配置されている。
また、GMRセンサー素子3aはGMRセンサー素子3aの略中央部に左向きの矢印で示す方向にピン相が固定されている。以降ピン相の固定方向をピン方向Mと記述する。
GMRセンサー素子3aは、各GMRセンサー素子3aを通過する外部磁界の磁力線がピン方向Mと同じ方向のときにはGMRセンサー素子3aは低抵抗となり、通過する外部磁界の磁力線がピン方向Mと逆の方向のときにはGMRセンサー素子3aは高抵抗となる。
センサーブロック100がスケールブロック200の長手方向に移動すると磁気センサー3も移動するが、磁気センサー3は先端ギャップ部200cの磁気パターン中を移動するため、磁気センサー3の移動によりGMRセンサー素子3aの抵抗値が変化する。
図12の(a)から(f)はスケールブロック200の磁気パターンと磁気センサー3の位置関係によるGMRセンサー素子3aの抵抗状態を説明する模式図である。
ただし、GMRセンサー素子3aの位置と磁気パターンの磁力線の方向との関係を明瞭にするために、磁気センサー3を下方にずらして記載している。なお、第1のヨーク板7の磁極部7aには磁石のN極を表すNを、第2のヨーク板8の磁極部8aには磁石のS極を表すSを記入している。
また、図中の中央に記載したN極を中央のN極N1と記述し、中央のN極N1の右側のS極を右側のS極S0、右側のS極S0の更に右側のN極を右側のN極N0、中央のN極N1の左側のS極を左側のS極S1、左側のS極S1の更に左側のN極を左側のN極N2と記述する。
図12(a)に示す、磁気センサー3の中心が、右側のS極S0と右側のN極N0の略中央位置にあるときには、磁気センサー3には右側のN極N0から右側のS極S0に流れる左向きの磁力線f2が通過するが、GMRセンサー素子3aのピン方向Mと磁力線f2の方向は同一方向であるため、A相出力用の2つのGMRセンサー素子3aもB相出力用の2つのGMRセンサー素子3aも全て低抵抗となる。
以降、磁気センサー3が左方向に移動したときの磁気センサー3の各GMRセンサー素子3aの抵抗値の変化を記述する。なお、図12の(a)から(f)では、高抵抗となったGMRセンサー素子3aはシンボルを黒色で表示している。
磁気センサー3が左に移動し、図12の(b)に示す、中央のN極N1と右側のS極S0の略中央に位置するとき、磁気センサー3には中央のN極N1から右側のS極S0に流れる右向けの磁力線f3が通過するが、磁気センサー3のピン方向Mと磁力線f3の方向は逆方向であるため、A相の2つのGMRセンサー素子3aもB相の2つのGMRセンサー素子3aも全て高抵抗となる
磁気センサー3がさらに左に移動し、図12の(c)に示す、中心線3eが中央のN極N1の右側1/8pの位置を超えると、A相の2つのGMRセンサー素子3aには中央のN極N1から左側のS極S1に流れる左向きの磁力線f2が通過するが、磁力線f2の方向はピン方向Mと同一方向であるため、A相の2つのGMRセンサー素子3aは低抵抗となる。これに対し、B相の2つのGMRセンサー素子3aには中央のN極N1から右側のS極S0に流れる右向きの磁力線f3が通過するが、磁力線f3の方向はピン方向Mと逆方向であるため、B相の2つのGMRセンサー素子3aは高抵抗のままである。
次に、磁気センサー3がさらに左に移動し、図12の(d)に示す、中心線3eが中央のN極の左側1/8pの位置を超えると、磁気センサー3には中央のN極N1から左側のS極S1に流れる磁力線f2が通過するが、GMRセンサー素子3aのピン方向と磁力線f2の方向は同一方向であるため、A相の2つのGMRセンサー素子3aもB相の2つのGMRセンサー素子3aも全て低抵抗となる
また、磁気センサー3がさらに左に移動し、図12の(e)に示す、中心線3eが左側のS極S1の右側1/8pの位置を超えると、A相の2つのGMRセンサー素子3aには左側のN極N2から左側のS極S1に流れる右向きの磁力線f3が通過するが、磁力線f3の方向はピン方向Mと逆方向であるため、A相の2つのGMRセンサー素子3aは高抵抗となる。これに対し、B相の2つのGMRセンサー素子3aには中央のN極N1から左側のS極S1に流れる左向きの磁力線f2が通過するが、磁力線f2の方向はピン方向Mと同一方向であるため、B相の2つのGMRセンサー素子3aは低抵抗のままである。
最後に、磁気センサー3がさらに左に移動し、図12の(f)に示す、中心線3eが左側のS極S1の左側1/8pの位置を超えると、磁気センサー3には左側のN極N2から左側のS極S1に流れる右向きの磁力線f3が通過するが、GMRセンサー素子3aのピン方向Mと磁力線f3の方向は逆方向であるため、A相の2つのGMRセンサー素子3aもB相の2つのGMRセンサー素子3aも全て高抵抗となる
以降、磁気センサー3がさらに左方向に移動すると、A相出力用の2つのGMRセンサー素子3aとB相出力用の2つのGMRセンサー素子3aは、図12の(c)から図12の(f)に記載した抵抗値変化を繰り返す。
以上の磁気センサー3の位置変化によるGMRセンサー素子3aの抵抗値変化によるA相出力およびB相出力の変化状態を図13に図示する。
図13の上段側はスケールブロック200の先端ギャップ部200cの第1のヨーク板7の磁極部7aおよび第2のヨーク板8の磁極部8aの磁気パターンの状態を模式的に表している。下段側は磁気センサー3が先端ギャップ部200c上を移動したときの、磁気センサー3の中心線3eの位置による磁気センサー3のA相出力(A OUT)およびB相出力(B OUT)の状態の変化を示しており、A相出力およびB相出力の各々に記入した水平の細線がLOWを示し、細線の上方に記入した2点鎖線がHIGHを示し、A相出力およびB相出力に太線で記入した矩形状の線が各相の出力状態を表す。
以降、A相出力およびB相出力の出力状態を示す太い線を出力状態線と呼称する。出力状態線が水平の細線と同じ高さにあるときには出力はLOWで、出力状態線が上方にある2点鎖線と同じ高さにあるときには出力はHIGHである。
磁気センサー3のA相出力(A OUT)およびB相出力(B OUT)は各々のGMRセンサー素子3aが高抵抗のときはHIGHとなり、低抵抗のときはLOWとなる。
磁気センサー3が移動し、磁気センサー3の中心線3eが第1のヨーク板7の磁極部7aまたは第2のヨーク板8の磁極部8aの右側1/8pの位置を通過すると、A相出力(A OUT)がHIGHからLOWへ、またはLOWからHIGHへと変化する。また、磁気センサー3の中心線3eが第1のヨーク板7の磁極部7aまたは第2のヨーク板8の磁極部8aの左側1/8pの位置を通過すると、B相出力(B OUT)がHIGHからLOWへ、またはLOWからHIGHへと変化する。
以下同様にして、磁気センサー3が第1のヨーク板7の磁極部7aまたは第2のヨーク板8の磁極部8aを通過するたびに上記の出力変化が発生する。
このように、磁気センサー3がヨークピッチpだけ移動する毎にA相出力およびB相出力がLOW→HIGH→LOWと1サイクル変化するので、このA相出力およびB相出力の変化回数を計測することによりセンサーブロック100の移動量が検出できる。
また、1/4pだけずれた位置でA相、B相が変化するため、A相出力およびB相出力の変化状態からセンサーブロック100の移動方向を判定することができ、さらに、A相出力およびB相出力の立ち上がり、立ち下がりを位置検出に使用することにより位置検出の分解能を4倍に高めることが可能である。
なお、以上の説明でA相およびB相のGMRセンサー素子3aが各々低抵抗のとき、磁気センサー3のA相およびB相の出力がそれぞれLOWとなるとしたが、出力回路の構成等によりGMRセンサー素子3aが低抵抗のときに磁気センサー3のA相およびB相の出力がそれぞれHIGHとなるとしても同様の動作が可能である。
以上のようにして、本発明の実施例では磁気センサー3と共に移動する磁石4により磁気パターンを発生させ磁気センサー3にて磁気パターンを検出するため、長尺の磁気式リニアエンコーダを製作する場合でも長尺の磁石を使用する必要ないので、磁石を小型化でき、長尺の磁気式リニアエンコーダを容易に製造できる。
さらに、ヨークの材質は軟磁性の金属とできるため、磁気スケールの熱膨張率が一般的な構造用金属材とほぼ同等になり、磁性材料と構造用金属の熱膨張率の差による検出精度の低下を回避でき、温度上昇に対して安定なエンコーダを提供できる。
<第2の実施形態>
本発明の第2の実施形態について、図14から図19を参照して説明する。なお、本発明の第2の実施形態では磁気式リニアエンコーダ部分に関してのみ記述し、プリンター等の適用製品に組み込む際に必要となる適用製品への取り付け構造やプリンターヘッドの取り付け部等は記述しない。
本発明の第2の実施形態の磁気式リニアエンコーダの外観斜視図を図14に示す。
本発明の第2の実施形態に係る磁気式リニアエンコーダは、磁力線の向きが一定間隔で反転する磁界を発生させるスケールブロック400と、スケールブロック400に磁気式リニアエンコーダの長手方向に摺動可能に保持されたセンサーブロック300により構成される。
なお以下の説明では、磁力線の向きが一定間隔で反転する磁界を磁気パターンと記述する。
図15はスケールブロック400の第1の櫛歯ヨーク板12および第2の櫛歯ヨーク板13の組み込み状態を示す、図14のB−B面で切断したときの外観斜視図である。
枠11は成形材料等の非磁性材料で、一面が開放された略箱状に形成されており、長手方向の内側面および内底面に密着するように第1の櫛歯ヨーク板12および第2の櫛歯ヨーク板13が取り付けられる。
第1の櫛歯ヨーク板12および第2の櫛歯ヨーク板13は軟鉄等の軟磁性体で断面形状が略コの字状に形成され、コの字形状の中間部分は平坦な中間部12b,13bとなり、中間部12b,13bの一方の壁の先端は、リニアセンサーの長手方向に等間隔に並んだ複数の突出部が整列する櫛歯状磁極部12a,13aとなっており、他方の壁は平坦で直線状の端面を有する後端部12c,13cとなっている。また、中間部12b,13bの長手方向の両端部近傍には、第1の櫛歯ヨーク板12および第2の櫛歯ヨーク板13を枠11に固定するための固定用ネジ穴がそれぞれ設けられている。
なお、第1の櫛歯ヨーク板12と第2の櫛歯ヨーク板13は同一部品で、組み込み方向を逆としたのみである。
スケールブロック400は、図15に示すように、枠11の開口部につながる長手方向の内側面に第1の櫛歯ヨーク板12および第2の櫛歯ヨーク板13の中間部12b,13bが取り付けられ、櫛歯状磁極部12a,13aが枠11の内底面に接するように取り付けられ、枠11の内底面の中央位置で櫛歯状磁極部12aと櫛歯状磁極部13aが互い違いに整列する。
なお、本発明の第2の実施形態に係る磁気式リニアエンコーダをプリンター等の適用製品に組み込む場合は、枠11にプリンター等への取り付け部を追加する。
次に図16を参照しセンサーブロック300の構造を説明する。
図16の(a)はセンサーブロック300の外観斜視図である。また、図16の(b)はセンサーブロック300の構成部品を示す分解外観斜視図であり、図16の(c)は磁石17側から見たセンサーブロック300の構成部品を示す分解外観斜視図である。
センサーホルダー14は成形材料等の非磁性材料を一面が開放された略箱状に形成している。箱状の本体部の開放された一面側の窪み部は磁石取り付け部14bであり、本体部の他面側には配線基板16を保持する基板取り付け部14aである。
また、基板取り付け部14a側に第1の櫛歯ヨーク板12または第2の櫛歯ヨーク板13の櫛歯状磁極部12a,13aの根元の平坦部と摺動可能に当接する4つの前ガイド突出部14cを有し、磁石取り付け部14b側に第1の櫛歯ヨーク板12または第2の櫛歯ヨーク板13の後端部12c,13cと摺動可能に当接する4つの後ガイド突出部14dを有し、上面側には第1の櫛歯ヨーク板12の中間部12bと摺動可能に当接する2つの上ガイド突出部14eを有し、下面側には第2の櫛歯ヨーク板13の中間部13bと摺動可能に当接する2つの下ガイド突出部14fを有する。
なお、本発明の第2の実施形態に係る磁気式リニアエンコーダをプリンター等の適用製品に組み込む場合は、センサーホルダー14に印刷ヘッド等の取り付け部を追加する。
磁石17は略立方形状のフェライト磁石等で形成され永久磁石で、図16の(b)および図16の(c)に示す方向で上下方向に着磁されており、上面17aがN極、下面17bがS極である。磁石17はセンサーホルダー14の磁石取り付け部14bに保持されているため、センサーブロック300が移動させられると磁石17も移動する。
磁気センサー(検出部)15は配線基板16に半田付け等で固定され、配線基板16はセンサーホルダー14の基板取り付け部14aに保持される。
配線基板16には、さらにケーブル18が接続され、磁気センサー15への電源の供給と磁気センサー15の出力の取り出しを行う。
次に、図17を参照し、スケールブロック400へのセンサーブロック300の組み込み方法を解説する。
第2の実施形態ではセンサーブロック300は第1の櫛歯ヨーク板12と第2の櫛歯ヨーク板13の間に入るため、センサーブロック300は下記のステップで組み立てる。
(1)センサーブロック300の上下に第1の櫛歯ヨーク板12および第2の櫛歯ヨーク板13を仮に配置する。
(2)センサーブロック300と、仮に配置した第1の櫛歯ヨーク板12および第2の櫛歯ヨーク板13を一式にして枠11に挿入する。
(3)第1の櫛歯ヨーク板12および第2の櫛歯ヨーク板13が枠11の所定の位置に入れば取り付けネジで第1の櫛歯ヨーク板12および第2の櫛歯ヨーク板13を枠11に固定する。
以上でスケールブロック400へのセンサーブロック300の組み込みは完了する。
なお、組み立て性の改善を目的として枠11を分割し、枠11に第1の櫛歯ヨーク板12および第2の櫛歯ヨーク板13を固定した後にセンサーブロック300を組み込めるように第2の実施形態を変更しても良い。
次にセンサーブロック300と第1の櫛歯ヨーク板12および第2の櫛歯ヨーク板13との荷重の発生状態を記述する。
磁石17の上面17aおよび下面17bはそれぞれ金属材料で形成された第1の櫛歯ヨーク板12および第2の櫛歯ヨーク板13の中間部12b,13bと対向しており、磁石17と中間部12b,13bの間には磁力による吸着力が発生し、磁石17の上面17aは磁石17を上方向に持ち上げる方向の力を受け、磁石17の下面17bは磁石17を下方向に引き下げる方向の力を受ける。
磁石17の上面17aが受ける上向きの吸着力と下面17bが受ける下向きの吸着力が等しければ、磁石17には荷重はかからないが、実際の製品では磁石17が移動する全範囲で上向きの吸着力と下向きの吸着力を等しく保つことは困難で、磁石17には上向きの吸着力と下向きの吸着力の差による荷重がかかる。
このため、本発明の第2の実施形態に係る磁気式リニアエンコーダでは、磁石17をセンサーホルダー14の磁石取り付け部14bに収容し、磁石17が金属で形成された第1の櫛歯ヨーク板12および第2の櫛歯ヨーク板13と直接接触せず、成形材で製作されたセンサーホルダー14の上ガイド突出部14eおよび下ガイド突出部14fが第1の櫛歯ヨーク板12および第2の櫛歯ヨーク板13と接触する構造とした。
これにより、磁石17に荷重がかかっても、成形材で製作されたセンサーホルダー14の上ガイド突出部14eまたは下ガイド突出部14fが第1の櫛歯ヨーク板12または第2の櫛歯ヨーク板13と当接するため、磁石17が金属材料で形成された第1の櫛歯ヨーク板12または第2の櫛歯ヨーク板13と当接する場合より長寿命化がはかれる。
なお、さらなる長寿命化が求められる場合は、センサーホルダー14の成形材料を対金属の摩耗耐性に優れる、例えばナイロン,ポリアセタール等の成形材料とすることで対応が可能である。または、センサーホルダー14の上ガイド突出部14eおよび下ガイド突出部14fを摺動性の良い別部品としてセンサーホルダー14に取り付けても良い。
ところで、センサーホルダー14の下ガイド突出部14fには、センサーホルダー14の自重がかかり、これによりセンサーホルダー14の下ガイド突出部14fは第2の櫛歯ヨーク板13の中間部13bと接触するが、センサーホルダー14の上ガイド突出部14eは第1の櫛歯ヨーク板12の中間部12bとは接触せず隙間ができる。この結果、磁石17の下面17bから第2の櫛歯ヨーク板13の中間部13bまでの距離は、磁石17の上面17aから第1の櫛歯ヨーク板12の中間部12bまでの距離より近くなり、磁石17を下方向に引き下げる力が磁石17を上方向に持ち上げる力より大きくなり、センサーホルダー14の下ガイド突出部14fには更に大きな荷重がかかる。
上記の磁石17を下方向に引き下げる力を軽減するため、本発明の第2の実施形態では磁石17の下面に窪み部17cを設けている。これにより磁石17の下面17bから第2の櫛歯ヨーク板13の中間部13bまでの距離が拡大し、磁石17が下方に引き下げられる力が小さくなり、磁石17を上方向に持ち上げる力と磁石17を下方向に引き下げる力の差が小さくなる。その結果、下ガイド突出部14fを下方向に引き下げる力が小さくなり、寿命の低下が回避される。
なお、上記の窪み部17cはリニアエンコーダを用途先製品に組み込んだ状態で下方となる磁石面に設ける必要があるため、リニアエンコーダが用途先製品に上下逆に組み込まれる場合には窪み部17cは磁石17の上面17aに設け、用途先製品に水平に組み込まれる場合には窪み部17cは不要である。
また、本発明の第2の実施形態に係る磁気式リニアエンコーダをプリンター等の適用製品に組み込み、センサーブロック300に印刷ヘッド等を取り付けた場合はセンサーホルダー14の下ガイド突出部14fには磁石17の自重に加え印刷ヘッド等の重量がかかるので、窪み部17cの窪み量を大きくして磁石17を下方向に引き下げる力を小さくすることにより、印刷ヘッド等の重量の影響を減少させることができる。
次に図18および図19を参照し、本発明の第2の実施形態の第1の櫛歯ヨーク板12および第2の櫛歯ヨーク板13と櫛歯状磁極部12a,13aの磁界の状況を説明する。
図18は磁力線の流れを説明する図で、本発明の第2の実施形態の磁気式リニアスケールを磁石17の移動方向の長辺の略中間位置で切断したときの、外観斜視図である。ただし、説明の便宜のため枠11は記載を省略している。
図18では磁力線の流れを模式的に矢印で表す。実際の磁力線は磁性体中に広く分布しながら流れるが、図18の磁力線を表す矢印は、説明の理解を容易とするために磁力線の流れる概略の方向を矢印で表示している。また、磁石17の極を表すN,Sの表示は正しくは磁石17の上面および下面に記入すべきであるが、作図の都合により磁石17の断面内に記載している。
なお、以下の説明では、磁石17と第1の櫛歯ヨーク板12および磁石17と第2の櫛歯ヨーク板13との空隙を根元ギャップ400a、隣接する櫛歯状磁極部12aと櫛歯状磁極部13aとの空隙を先端ギャップ400bと記述し、櫛歯状磁極部12aと櫛歯状磁極部13aが先端ギャップ400bを挟んで互い違いに並んでいる部分を先端ギャップ部400cと記述する。
空中に放置された磁石の場合、磁石のN極側から出た磁力線は空間を伝わりS極に戻るが、本発明の第2の実施形態の磁気式リニアエンコーダでは磁石17の近傍に2つの櫛歯ヨーク板があるため以下のように磁力線が流れる。
磁石17のN極から出た磁力線は根元ギャップ400aを超えて第1の櫛歯ヨーク板12に入り、第1の櫛歯ヨーク板12中を図18に示す磁力線f11に沿って、先端の櫛歯状磁極部12aにむかって流れる。
第1の櫛歯ヨーク板12の櫛歯状磁極部12aに到達した磁力線は先端ギャップ400bを超えて第2の櫛歯ヨーク板13の先端の櫛歯状磁極部13aに入り、こののち、第2の櫛歯ヨーク板13中を図18に示す磁力線f14に沿って第2の櫛歯ヨーク板13の根元部に到達する。第2の櫛歯ヨーク板13の根元部に到達した磁力線は根元ギャップ400aを超えて磁石17のS極に戻る。
磁石17から出た磁力線は第1の櫛歯ヨーク板12および第2の櫛歯ヨーク板13中を上記のように流れるが、先端ギャップ部400cでは第1の櫛歯ヨーク板12の櫛歯状磁極部12aと第2の櫛歯ヨーク板13の櫛歯状磁極部13aが互い違いに並んでいるため、第2の櫛歯ヨーク板13のひとつの櫛歯状磁極部13aには隣接する第1の櫛歯ヨーク板12のふたつの櫛歯状磁極部12aから磁力線が流れ込む。同様に、第1の櫛歯ヨーク板12のひとつの櫛歯状磁極部12aからは隣接する第2の櫛歯ヨーク板13のふたつの櫛歯状磁極部13aに磁力線が流れ出す。
先端ギャップ部400cには櫛歯状磁極部12aと櫛歯状磁極部13aが互い違いに整列しているので、第1の櫛歯ヨーク板12のひとつの櫛歯状磁極部12aから第2の櫛歯ヨーク板13の櫛歯状磁極部13aに右方向に流れる磁力線f13と、第1の櫛歯ヨーク板12のひとつの櫛歯状磁極部12aから第2の櫛歯ヨーク板13の櫛歯状磁極部13aに左方向に流れる磁力線f12が繰り返し発生し、先端ギャップ部400cに磁気パターンが得られる。
図19はセンサーブロック300の中央部を通る面で切断した磁気式リニアエンコーダを示す図14のC−C断面図である。
磁石17はセンサーホルダー14に保持されセンサーブロック300と共に移動するので、磁石17は常に磁気センサー15と対向している。磁気センサー15は先端ギャップ部400cに近接して配置されているので、磁気センサー15により先端ギャップ部400cに発生した磁気パターンを検出できる。
以上のようにして、本発明の実施例では磁気センサー15と共に移動する磁石17により磁気パターンを発生させ磁気センサー15にて磁気パターンを検出するため、長尺の磁気式リニアエンコーダを製作する場合でも長尺の磁石を使用する必要がないので、磁石を小型化でき、長尺の磁気式リニアエンコーダを容易に製造できる。
また、長尺の磁気式リニアエンコーダを製作する場合でも第1の櫛歯ヨーク板12と第2の櫛歯ヨーク板13に使用する共通の櫛歯ヨークと枠11を長尺化すれば良く、共通の櫛歯ヨークおよび枠11は汎用の加工機にて自由な長さに製作が可能であるため、長尺の磁気式リニアエンコーダを容易に製作することができる。
さらに、本発明の第2の実施形態では磁石17および磁気センサー15をスケールブロック400内の第1の櫛歯ヨーク板12および第2の櫛歯ヨーク板13で構成される空間内に入れたため、磁気式リニアエンコーダがコンパクトに構成でき、プリンター等に使用する場合に磁気式リニアエンコーダの取り付けスペースを小さくできる。
なお、本発明の第1の実施形態および本発明の第2の実施形態では検出部にGMRセンサー素子を使用したが、使用するセンサーはGMRセンサー素子に限定されるものではなく、適切な感度を有した磁気センサーであれば種々の磁気センサーが使用可能である。
また、磁石はフェライト磁石としたが、ネオジウム磁石やその他の永久磁石も使用可能である。
加えて、本発明の第2の実施形態ではGMRセンサーは配線基板上に実装するとしたが、適切なパッケージを採用することにより、配線基板を省略しGMRセンサーをセンサーホルダーに直接固定することも可能である。
1 センサーホルダー
1a 穴部
1b センサー固定部
2 磁石ホルダー
2a 固定用突出部
2b 腕部
3 磁気センサー(検出部)
3a GMRセンサー素子(巨大磁気抵抗素子)
3b 固定抵抗
3c アンプ
3d コンパレータ
3e 中心線
4 磁石
4a 上面
4b 下面
4c,4d 逃げ部
4e 窪み部
5 ガイドシャフト
6 側板
6a 端部
6b 積層端部
6c 第1組み込み面
6d 第2組み込み面
6e 位置決め部
7 第1のヨーク板(第1のヨーク)
7a 磁極部(第1のギャップ磁極)
8 第2のヨーク板(第2のヨーク)
8a 磁極部(第2のギャップ磁極)
9 スペーサー
9a 位置決め部
9b 小突出部
10 固定ネジ
11 枠
12 第1の櫛歯ヨーク板(第1のヨーク)
12a 櫛歯状磁極部(第1のギャップ磁極)
12b 中間部
12c 後端部
13 第2の櫛歯ヨーク板(第2のヨーク)
13a 櫛歯状磁極部(第2のギャップ磁極)
13b 中間部
13c 後端部
14 センサーホルダー
14a 基板取り付け部
14b 磁石取り付け部
14c 前ガイド突出部
14d 後ガイド突出部
14e 上ガイド突出部
14f 下ガイド突出部
15 磁気センサー(検出部)
16 配線基板
17 磁石
17a 上面
17b 下面
17c 窪み部
18 ケーブル
100 センサーブロック(検出対象物)
200 スケールブロック(磁気スケール)
200a 根元ギャップ
200b 先端ギャップ
200c 先端ギャップ部
200d 磁石溝部
300 センサーブロック(検出対象物)
400 スケールブロック(磁気スケール)
400a 根元ギャップ
400b 先端ギャップ
400c 先端ギャップ部
D 移動方向
f1,f2,f3,f4 磁力線
f11,f12,f13,f14 磁力線
M ピン方向
N0 右側のN極
N1 中央のN極
N2 左側のN極
S0 右側のS極
S1 左側のS極
p ヨークピッチ

Claims (4)

  1. 磁力線の向きが一定間隔で反転する磁気パターンを有する直線状の磁気スケールと、
    前記磁気スケールに沿って移動可能に保持された検出対象物と、
    前記検出対象物に取り付けられ前記磁気パターンに近接して移動し前記磁気パターンの前記磁力線の向きを検出する検出部と、
    を有する磁気式リニアエンコーダにおいて、
    前記検出対象物には磁石が搭載されており、
    前記磁気スケールは、複数の第1のギャップ磁極を有し、前記磁石の一方の磁極と近接配置される第1のヨークと、複数の第2のギャップ磁極を有し、前記磁石の他方の磁極と近接配置される第2のヨークとを具備し、
    前記複数の第1のギャップ磁極と前記複数の第2のギャップ磁極は前記検出対象物の移動方向に所定の間隔で直線状に交互に配置されており、
    前記検出対象物と共に移動する前記磁石が前記検出対象物近傍の前記第1のギャップ磁極を前記第1のヨークを介して一方の極に磁化し前記検出対象物近傍の前記第2のギャップ磁極を前記第2のヨークを介して他方の極に磁化することにより、
    交互に配置された一方の極に帯磁した複数の前記第1のギャップ磁極と他方の極に帯磁した複数の前記第2のギャップ磁極の間を流れる磁力線の向きが一定間隔で反転する磁気パターンを前記検出対象物近傍に発生させることを特徴とする、磁気式リニアエンコーダ。
  2. 前記第1のヨークは複数の第1のヨーク板で構成され、前記第2のヨークは複数の第2のヨーク板で構成され、前記第1のヨーク板と前記第2のヨーク板は所定の間隔で積層されていることを特徴とする、請求項1に記載の磁気式リニアエンコーダ。
  3. 前記第1のヨークと前記第2のヨークは、前記検出対象物が移動する方向に沿ってそれぞれ櫛歯を有する第1の櫛歯ヨーク板および第2の櫛歯ヨーク板であり、前記第1の櫛歯ヨーク板の前記櫛歯が前記第1のギャップ磁極となり、前記第2の櫛歯ヨーク板の前記櫛歯が前記第2のギャップ磁極となることを特徴とする、請求項1に記載の磁気式リニアエンコーダ。
  4. 前記検出部が巨大磁気抵抗素子を有することを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の磁気式リニアエンコーダ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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