JP2012097601A - タービン及びタービンの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】回転自在に支持された軸体30と、軸体30の外周に複数設けられ、軸体30の周方向に動翼列を構成する動翼部材と、軸体30と前記動翼列とを囲うケーシングと、前記ケーシングの内周に設けられ、凹凸状となった断面が周方向に連続する内周部72aを含む外輪部材72と、外輪部材72の内周部72aに嵌合したシュラウド43とシュラウド72aから径方向内方側に延びる静翼本体42とをそれぞれ有し、前記周方向に複数設けられると共に互いに周方向に隣り合うシュラウド43を近接させて静翼列を構成する静翼部材41と、複数の静翼部材41のうち少なくとも一部を連結すると共に、前記連結した静翼部材41のシュラウド43を前記軸方向一方側から被覆して前記互いに周方向に隣り合うシュラウド43の間に形成されたシュラウド隙間を封止する板状部材71を備える。
【選択図】図3
Description
すなわち、本発明に係るタービンは、回転自在に支持された軸体と、前記軸体の外周に複数設けられ、前記軸体の周方向に動翼列を構成する動翼部材と、前記軸体と前記動翼列とを囲うケーシングと、前記ケーシングの内周に設けられ、凹凸状となった断面が周方向に連続する内周部を含む外輪と、前記外輪の内周部に嵌合したシュラウドと前記シュラウドから径方向内方側に延びる静翼本体とをそれぞれ有し、前記周方向に複数設けられると共に互いに周方向に隣り合う前記シュラウドを近接させて静翼列を構成する静翼部材と、前記複数の静翼部材のうち少なくとも一部を連結すると共に、前記連結した静翼部材のシュラウドを前記軸方向一方側から被覆して前記互いに周方向に隣り合うシュラウドの間に形成されたシュラウド隙間を封止する板状部材を備えることを特徴とする。
この構成によれば、複数の静翼部材を連結すると共に、静翼部材のシュラウドを軸方向一方側から被覆してシュラウドの間に形成されたシュラウド隙間を封止するので、軸方向一方側からシュラウド隙間に向かう作動流体が板状部材に衝突してシュラウド隙間への流入が阻止される。これにより、板状部材に衝突した作動流体が静翼本体側に流れて作動流体の主流に合流する。従って、主流流量を増加させることができるので、タービン効率を向上させることができる。
また、板状部材が作動流体のシュラウド隙間への流入を阻止するので、静翼列内においてシュラウド隙間から主流側に流出する作動流体が殆どなくなる。これにより、静翼列内で主流の乱れが生じ難くなって静翼列から流出する主流の流れが設計されたものとなるので、タービン効率を向上させることができる。
この構成によれば、板状部材が周方向に連続して複数設けられているので、周方向に亘って複数形成されるシュラウド隙間を封止することができる。
この構成によれば、周方向に亘って複数形成される全てのシュラウド隙間を封止することができる。
この構成によれば、板状部材がシュラウド隙間のうち径方向内方側に露出した部分の少なくとも一部を封止するので、作動流体の主流に晒される部分が封止される。これにより、シュラウド隙間に流入する作動流体を効果的に低減することができる。
この構成によれば、板状部材がシュラウド隙間の全部を封止しているので、シュラウド隙間に流入する漏流を更に低減することができる。
この方法によれば、タービン効率を向上させることができる構成を容易に得ることができる。
また、複数の静翼部材のシュラウドを板状部材で連結して一体化する連結工程と、連結して一体化した複数の静翼部材のシュラウドを外輪部材の内周部に嵌合させて中間ユニットを製造する中間ユニット製造工程とを有するので、一体化された複数の静翼部材が外輪の内周部に纏めて嵌合される。すなわち、従来のタービンの製造方法においては、静翼部材を外輪部材に組み込む際に、外輪部材の内周部に外側シュラウドを一つ一つ嵌め入れなければならないので、組み立てに労力を要するという問題があったが、上記構成によれば、複数の静翼部材を一つずつ外輪部材の内周部に嵌合させる労力を省略するので、組み立てを容易に行うことができる。
この構成によれば、ユニット構成時に、複数の静翼部材を一つずつ外輪部材の内周部に嵌合させる労力を省略するので、組み立てを更に容易に行うことができる。
また、本発明に係るタービンの製造方法によれば、組み立て性を向上させることができる。
(第一実施形態)
図1は、本発明の第一実施形態に係る蒸気タービン(タービン)1の概略構成断面図である。
蒸気タービン1は、ケーシング10と、ケーシング10に流入する蒸気Sの量と圧力を調整する調整弁20と、ケーシング10の内方に回転自在に設けられ、動力を図示しない発電機等の機械に伝達する軸体30と、ケーシング10の内周に配設された複数の静翼列40と、軸体30の外周に配列された複数の動翼列50と、軸体30を軸回りに回転可能に支持する軸受部60と、を主たる構成としている。
この静翼列40は、回転軸方向に間隔をあけて複数の段が形成されており、下流側に隣接する動翼列50に蒸気Sを案内する。
この動翼列50は、各静翼列40の下流側に設けられており、静翼列40と一組一段とされている。つまり、蒸気タービン1は、蒸気Sの主流が静翼列40と動翼列50とを交互に流れるようになっている。以下の説明においては、軸体30の回転軸方向を「軸方向」といい、軸方向における主流上流側を「軸方向一方側」といい、軸方向における主流下流側を「軸方向他方側」という。
図2は図1におけるI−I線断面図であり、図3は要部IIの拡大断面図であり、図4は図3におけるIII−III線矢視図であり、図5は静翼ユニット70(70A,70B)の概略構成斜視図である。
静翼ユニット70(70A,70B)は、図2に示すように、静翼列40毎に一対ずつ配設されて、その静翼列40を構成する全ての静翼部材41のうち半数の静翼部材41からなる静翼部材グループGA,GBをそれぞれ保持している。
これら一対の静翼ユニット70(70A,70B)は、静翼部材グループG(GA,GB)に、板状部材71と、外輪部材72と、内輪部材73とがそれぞれ組み付けられて構成される。
この静翼部材41は、図3に示すように、先端側が軸体30側に位置するように、静翼本体42の翼軸方向を蒸気タービン1の径方向に向けており、図4に示すように、静翼本体42の前後方向を軸方向に向けている。
この外側シュラウド43は、図4に示すように、翼軸方向(径方向)に交差する各断面において、前部43a及び後部43bが矩形状に形成されていると共に、前部43aに対して後部43bが静翼本体42の前縁42aから後縁42bに向かう方向にずらされて位置しており、これら前部43aと後部43bとを平行四辺形状に形成された中間部43cが接続している。
また、図3に示すように、外側シュラウド43の後端42hは、段状に形成されており、外周側において前後方向に突出した突出部42iが形成されている。
このようにして、板状部材71は、図2及び図4に示すように、各外側シュラウド43を連結すると共に、図3に示すように、各静翼部材41の外側シュラウド43のうち窪み部43gを被覆している。この板状部材71は、半環状に列設した静翼部材41に対して周方向に半ピッチずらされて設けられており、周方向一端の静翼部材41(図2及び図5において符号41Xを付す。)の外側シュラウド43を周方向に半ピッチ分だけ露出させていると共に、周方向他端の静翼部材41(図2及び図5において符号41Yを付す。)の外側シュラウド43から半ピッチ分だけ周方向に延出している。
図3に示すように、外輪部材72の内周部72aには、周方向に延びると共に断面輪郭が凹凸状(より具体的には、略矩形)となった半環状溝部72bが形成されている。この半環状溝部72bは、その溝深さ寸法が外側シュラウド43の翼軸方向の寸法よりも小さく形成されている。そして、半環状溝部72bは、半環状に列設した静翼部材41と、各静翼部材41がボルト止めされた板状部材71との径方向外方側に嵌合して、図2及び図3に示すように、それぞれの径方向内方側を露出させている。
内輪部材73は、図3に示すように、凸部73aが内側シュラウド44の嵌合溝44aに嵌合することで内側シュラウド44に支持されており、複数のシールフィン部73bが軸体30と微小間隙を形成している。
より具体的には、図2に示すように、静翼ユニット70A,70Bのうち一方側の周方向一端における静翼部材41Xが、他方側の周方向他端における静翼部材41Yに突き合わされて、周方向にシュラウド隙間Mを形成している。そして、図2に示すように、これら静翼ユニット70A,70Bのうち、一方側の板状部材71が半ピッチ分だけ露出させた外側シュラウド43(静翼部材41X)を、他方側の板状部材71の半ピッチ分だけ周方向に延出した部分(静翼部材41Y側)が被覆している。
このようにして、静翼列40を構成する複数の静翼部材41のうち外側シュラウド43の全周に亘って、板状部材71が配設されている。
まず、静翼部材グループG(GA,GB)毎に、図6に示すように、静翼部材41を一つずつ板状部材71に連結していく(連結工程)。例えば、静翼部材グループGAの静翼部材41を板状部材71にボルト止めしていく。なお、他の方法で固定してもよい。
同様に、例えば、静翼部材グループGBについてもの静翼部材41を一つずつ板状部材71にボルト止めする(連結工程)。
例えば、静翼部材グループGA及び静翼部材グループGBのそれぞれついて、内輪部材73を嵌合させる。
例えば、静翼ユニット70Aをケーシング10の内壁面に固定した後に、軸体30を配設し、この軸体30を挟んで静翼ユニット70Bを配設した後に静翼ユニット70A,70B(外輪部材72、内輪部材73)の周方向両端部を接合する。この際、静翼ユニット70A,70Bのうち、一方側の板状部材71が半ピッチ分だけ露出させた外側シュラウド43(静翼部材41X)を、他方側の板状部材71の半ピッチ分だけ周方向に延出した部分(静翼部材41Y側)が被覆するように組み付ける。その後、静翼ユニット70Bをケーシング10の内壁面に固定する。
このようにして、各段の静翼ユニット70A,70Bを接合することで、静翼列40を構成していき、最終的に、蒸気タービン1の組み立てを完了する。
このため、静翼部材41に向けて軸方向に流れた蒸気Sのうち、シュラウド隙間Mに向かう蒸気Sは、板状部材71に衝突した後に静翼本体42側に流れて蒸気Sの主流に合流する。そして、蒸気Sは、静翼本体42によって流れ方向を変更されて、下流側の動翼列50に流入する。
さらに、静翼列40内においてシュラウド隙間Mから主流側に流出する蒸気Sが殆どなくなって、静翼列40内で主流の乱れが生じずに、設計された角度で静翼列40から流出した後に動翼列50に流入する。
また、板状部材71が蒸気Sのシュラウド隙間Mへの流入を阻止するので、静翼列40内においてシュラウド隙間Mから主流側に流出する蒸気Sが殆どなくなる。これにより、静翼列40内で主流の乱れが生じ難くなって静翼列40から流出する主流の流れが設計されたものとなるので、タービン効率を向上させることができる。
また、シュラウド隙間Mのうち径方向内方側に露出した部分の大半を板状部材71が封止するので、蒸気Sの主流に晒される部分が封止される。これにより、シュラウド隙間Mに流入する蒸気Sを効果的に低減することができる。
また、本実施形態におけるタービンの製造方法によれば、静翼部材グループG(GA,GB)毎に、一体化された複数の静翼部材41が外輪部材72の半環状溝部72bに纏めて嵌合される。すなわち、従来のタービンの製造方法においては、静翼部材41を外輪部材72に組み込む際に、外輪部材72の半環状溝部72bに静翼部材41を一つ一つ嵌め入れなければならないので、組み立てに労力を要するという問題があったが、上記方法によれば、複数の静翼部材41を一つずつ外輪部材72の半環状溝部72bに嵌合させる労力を省略するので、組み立てを容易に行うことができる。
また、静翼ユニット70Aを一つだけ設けて、残りの部分(静翼ユニット70Bに相当する部分)の板状部材71を省略してもよい。
図8は本発明の第二実施形態に係る蒸気タービン2の静翼ユニット80Aの翼列図であり、図9は図8におけるIV−IV線矢視図であり、図10は静翼ユニット80Aの静翼部材41Aの概略斜視図である。なお、図8〜図10において、図1〜図7と同様の構成要素については、同一の符号を付してその説明を省略する。
静翼部材41Aは、静翼部材41とほぼ同様の構成であるが、外側シュラウド43の一端面42yのうち前部43a側において、径方向(翼軸方向)に向けて矩形溝73jが形成されており、この矩形溝73jに熱膨張ピース91Aが嵌めこまれている。
熱膨張ピース91Aは、図8〜図10に示すように、長手方向の交差断面が矩形になった棒状部材であり、静翼部材41Aよりも線膨張係数が高い材料で形成されている。
図11は本発明の第三実施形態に係る蒸気タービン3の静翼ユニット80Bの翼列図である。なお、図11(及び図12)において、図1〜図10と同様の構成要素については、同一の符号を付してその説明を省略する。
図11に示すように、静翼ユニット80Bは、第二実施形態の静翼ユニット80Aと比較して、熱膨張ピース91Aを有する静翼部材41Aに代えて、弾性ピース91Bを有する静翼部材41Bを備える点で、第二実施形態の静翼ユニット80Aと異なる。
図12に示すように、弾性ピース91Bは、長手方向断面がC字状となった棒状部材であり、弾性材料(例えば、バネ鋼等)によって形成されている。この弾性ピース91Bは、図11に示すように、径方向の開放部91bを軸方向一方側(前側)に向けた状態で、矩形溝73jに挿入されている。
図14は本発明の第四実施形態に係る蒸気タービン4の静翼ユニット80Dの翼列図である。なお、図14において、図1〜図13と同様の構成要素については、同一の符号を付してその説明を省略する。
図14に示すように、静翼ユニット80Dは、第一実施形態の静翼ユニット70と比較して、板状部材71が省略されている点と、外側シュラウド83を有する静翼部材41Dを備える点で、第一実施形態の静翼ユニット70と異なる。
つまり、第一実施形態の外側シュラウド43の一端面42y及び他端面42zが、前部43aと後部43bとを中間部43cが前側から後側に穏やかに傾斜して接続していたのに対して、本実施形態の一端面82y及び他端面82zは、図14に示すように、中間部83cが後側から前側に切り返されるように形成されて前部43aと後部43bとを接続している。このため、シュラウド隙間Mには、中間部83cが近接対向して画定された切返部83dが形成されている。
図15は本発明の第五実施形態に係る蒸気タービン5の静翼ユニット80Eの翼列図である。なお、図15において、図1〜図14と同様の構成要素については、同一の符号を付してその説明を省略する。
図16は本発明の第六実施形態に係る蒸気タービン6の静翼ユニット80Fの要部拡大断面図である。なお、図16において、図1〜図15と同様の構成要素については、同一の符号を付してその説明を省略する。
例えば、上述した各実施形態においては、本発明を蒸気タービンに適用した実施形態について説明したが、ガスタービンに本発明を適用してもよい。
10…ケーシング
11…外輪
12…内輪
30…軸体
40…静翼列
41(41X,41Y)…静翼部材
42…静翼本体
43…外側シュラウド(シュラウド)
50…動翼列
51…動翼部材
70(70A,70B)…静翼ユニット(中間ユニット)
71…板状部材
72…外輪部材
72a…内周部
G(GA,GB)…静翼部材グループ
M…シュラウド隙間
Claims (7)
- 回転自在に支持された軸体と、
前記軸体の外周に複数設けられ、前記軸体の周方向に動翼列を構成する動翼部材と、
前記軸体と前記動翼列とを囲うケーシングと、
前記ケーシングの内周に設けられ、凹凸状となった断面が周方向に連続する内周部を含む外輪と、
前記外輪の内周部に嵌合したシュラウドと前記シュラウドから径方向内方側に延びる静翼本体とをそれぞれ有し、前記周方向に複数設けられると共に互いに周方向に隣り合う前記シュラウドを近接させて静翼列を構成する静翼部材と、
前記複数の静翼部材のうち少なくとも一部を連結すると共に、前記連結した静翼部材のシュラウドを前記軸方向一方側から被覆して前記互いに周方向に隣り合うシュラウドの間に形成されたシュラウド隙間を封止する板状部材を備えることを特徴とするタービン。 - 前記板状部材は、周方向に連続して複数設けられていることを特徴とする請求項1に記載のタービン。
- 前記板状部材は、前記複数のシュラウドの全周に亘って設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載のタービン。
- 前記内輪の内周部は、周方向に延びる溝状に形成され、
前記板状部材は、前記シュラウド隙間のうち前記内輪の内周部から径方向内方側に露出した部分の少なくとも一部を封止していることを特徴とする請求項1に記載のタービン。 - 前記板状部材は、前記シュラウド隙間の全部を封止していることを特徴とする請求項1又は2に記載のタービン。
- 回転自在に支持された軸体と、
前記軸体の外周に複数設けられ、前記軸体の周方向に動翼列を構成する動翼部材と、
前記軸体と前記動翼列とを囲うケーシングと、
前記ケーシングの内周に設けられ、凹凸状となった断面が周方向に連続する内周部を含む外輪と、
前記外輪の内周部に嵌合したシュラウドと前記シュラウドから径方向内方側に延びる静翼本体とをそれぞれ有し、前記周方向に複数設けられると共に互いに周方向に隣り合う前記シュラウドを近接させて静翼列を構成する静翼部材と、を備えるタービンの製造方法であって、
予め複数の静翼部材と板状部材と前記外輪を構成する複数の外輪部材とを用意し、
前記複数の静翼部材をグループ分けしてなる複数の静翼部材グループのうち、一に属する前記複数の静翼部材のシュラウドを前記板状部材で連結して一体化する連結工程と、
前記板状部材で連結して一体化した前記複数の静翼部材のシュラウドを前記外輪部材の内周部に嵌合させて中間ユニットを製造する中間ユニット製造工程と、
前記他の静翼部材グループに属する複数の静翼部材を前記外輪部材に嵌合させたユニットに対して、前記中間ユニットを接続する接続工程と、
を備えることを特徴とするタービンの製造方法。 - 前記ユニットは、前記中間ユニットとして構成されていることを特徴とする請求項6に記載のタービンの製造方法。
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