JP2012097457A - 鉄筋拘束部材及びコンクリート部材の構築方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】鉄筋拘束部材1が、型枠10とこの型枠に最も近接して配置された縦筋11との間に介挿される2つのモルタルブロック2と、2つのモルタルブロックを所定の間隔で連結する連結部材4と、モルタルブロック又は連結部材に固定されて鉄筋の位置を拘束する背面拘束部3とを備える。モルタルブロックの張り出し部22は縦筋11と型枠10との間に介挿されてスペーサとして機能する。背面拘束部は、横筋12に対し、構築しようとするコンクリート部材の中心側から当接され、張り出し部22との間に縦筋と横筋とを挟みこんで、鉄筋のコンクリート部材の中心側への移動を拘束する。
【選択図】図1
Description
また、コンクリート床版の構築にあたっては、コンクリート床版の下面と下面に沿って配置される下側鉄筋との離間距離つまりかぶり厚を確保するために、底型枠上にスペーサが配置される。このスペーサは底型枠上に所定の間隔で配置され、この上に鉄筋を載置して組み立てられる。一方、上面と上側鉄筋との離間距離つまり上側鉄筋に対するかぶり厚は、例えば上側鉄筋に棒状の指標を取りつけておき、この指標の高さを目安にコンクリートが打設される。また、対向して配置された上側鉄筋と下側鉄筋との間には離間距離を保持する幅止め筋が配置される。
互いに対向して型枠103a,103bが配置され、スペーサ101a,101bはこれらの型枠103a,103bに最も近接して配置された縦筋104a,104bに取り付けられる。そして、縦筋104と型枠103との間に介挿され、これらの間隔つまりかぶり厚を確保した状態でコンクリートが打設される。スペーサ101はコンクリートに埋め込まれて一体となる。
上記幅止め筋102は、鋼からなる丸鋼又は異形棒鋼の両端部102bをほぼ直角に曲げ、ほぼコ字状に形成されている。そして、中央部102aの長さが、対向する型枠103a,103bに沿ってそれぞれ配置された縦筋104a,104bの離間距離と対応するように形成されている。このような幅止め筋102のほぼ直角に曲折された両端部102bを縦筋104a,104bに結束するとともに、上記縦筋104a,104bと交差して配置された横筋105a,105bに係止される。これにより、両側の型枠に沿って配置された鉄筋の離間距離が保持される。
幅止め筋及びスペーサはそれぞれが独立した部材であり、組立てられた鉄筋に個別に結束する等の作業が必要となって、作業効率が悪くなる。また、コンクリートを打設するときの衝撃により、スペーサの位置がずれたり脱落したりして、かぶり厚の確保が実現されない場合がある。
一方、特許文献1に記載の拘束鉄筋では、拘束鉄筋本体に定着プレートを固着するために、加熱下で鉄筋を強く圧縮し、膨出部を形成する。このため、製作費用がかさむことになる。また、組み立てる鉄筋にこの拘束鉄筋を装着し、スペーサを取り付ける作業が煩雑となる。つまり、拘束鉄筋本体と定着プレートによって組み立てる鉄筋を拘束し、その後既に鉄筋を拘束するように装着されている定着プレートにボルトを挿通し、ナットを螺合してスペーサを固定することになる。
また、連結部材が下部モルタルブロックから上方に立ち上げられて上部モルタルブロックと下部モルタルブロックとの間隔を保持するとともに、上側鉄筋保持部が上部モルタルブロックの下側に上側鉄筋を支持するので、上側鉄筋を下側鉄筋との離間距離を正確に保持して容易に組み立てることができる。
図1は、本願発明の一実施形態である鉄筋拘束部材が鉄筋に装着された状態を示す斜視図及びこの鉄筋拘束部材を鉄筋に装着する状態を示す斜視図である。また、図2(a)はこの鉄筋拘束部材が鉄筋に装着された状態を示す平面図であり、図2(b)は立面図である。
この鉄筋拘束部材1は、2個のモルタルブロック2a,2bと、これらモルタルブロック2a,2bを両端で連結する連結部材4と、上記モルタルブロック2a,2bと連続するモルタルによって形成された背面拘束部3a,3bと、で構成されている。そして、コンクリートからなる壁状の部材を構築するために対向して設けられた2つの型枠10a,10bに沿って配置される鉛直方向の縦筋11a,11bと、この縦筋と接触してほぼ直角に配置された横筋12a,12bとが交叉する位置に装着されるものとなっている。
上記モルタルブロック2a,2bは、上記連結部材4の端部を埋め込んだ埋め込み基部21a,21bと、この埋め込み基部21a,21bから連続して形成され、連結部材4に対してほぼ直角方向に張り出した張り出し部22a,22bとから構成されている。
上記背面拘束部3a,3bは、上記埋め込み基部21a,21bから連続して形成され、連結部材4の軸線方向とほぼ直角であるとともに上記張り出し部22a,22bが張り出した方向に対してもほぼ直角となる方向に張り出している。つまり、上記埋め込み基部21a,21b、張り出し部22a,22b及び背面拘束部3a,3bは一体となったモルタルによって形成されている。なお、連結部材4の両端に取り付けられた2個のモルタルブロック2a,2bは、2つの型枠の中間面に関して対称となる形状とされ、対応する部分の寸法は同一となるように形成されている。
張り出し部22a,22bの型枠10a,10bと対向する面はゆるやかな曲面となっており、凹状となった位置23a,23bと凸状となった位置24a,24bがあって、型枠10a,10bはこの曲面の凸状となった位置24a,24bと当接するものである。これにより、コンクリート打設後のコンクリート部材の表面にモルタルブロック2a,2bが大きく露出しないようにしている。
なお、埋め込み基部21a,21bに埋め込まれた連結部材4の先端は、モルタルブロック2a,2bの型枠と対向する面からかぶり厚L以上離れた位置とするのが望ましい。このように連結部材4を埋め込むことにより、連結部材4に対するかぶり厚も確保される。
この鉄筋拘束部材1を取りつけようとする鉄筋11,12の交叉位置の上方で、モルタルブロック2a,2bを水平方向(図1(b)中に矢印Hで示す)に移動し、張り出し部22a,22bを縦筋11a,11bの型枠側に係止する。そして、張り出し部22a,22bの凹部25a,25bに縦筋11a,11bを対向させる。次に、この状態で縦筋に11a,11bに沿って下方(図1(b)中に矢印Vで示す)に移動し、背面拘束部3a,3bを横筋12a,12bの背面側つまり構築しようとするコンクリート部材の中心側に対向させる。
このように鉄筋拘束部材1が鉄筋11,12に装着された状態で、鉄筋11,12及び鉄筋拘束部材1を埋め込むようにコンクリートが打設されると、型枠10と縦筋11との間に介挿されている張り出し部22がスペーサとして機能し、鉄筋に対するコンクリートのかぶり厚Lが確保される。また、連結部材4によって2つのモルタルブロック2a,2bが所定の間隔に保持されていることにより、両側の型枠10a,10bに沿って配置される鉄筋11a,11b、12a,12bの間隔が保持される。
これにより、長さの異なる連結部材と大きさの異なるモルタルブロックとを適宜組み合わせることができ、対向する型枠に沿って配置される鉄筋の離間距離が異なる場合、及びかぶり厚が異なる場合にも容易に対応することが可能となる。
図4(a)に示す鉄筋拘束部材41が備える連結部材43は、鋼からなる2本の捧状の部材44a,44bと、これらを連結するターンバックル45とで構成されている。2本の捧状部材44a,44bのそれぞれは、一方の端部に雄ねじが形成され、他方の端部はモルタルブロック42a,42bに埋め込まれている。そして、上記2本の棒状部材44a,44bの内の一本に形成された雄ねじは、逆ねじつまり左ねじとなっている。
なお、上記ターンバックル45に代えて、スリーブの両端に形成された雌ねじ部の双方を右ねじとしたものを用いることもできる。また、スリーブの一端を一方の棒状部材に固着しておくものでも良い。このようなスリーブを用いるときには、棒状部材の一方を回転して予め連結部材の長さを調整してから鉄筋に装着する。
この伸縮機構を構成するパイプ55は、両端付近に外周面から内側に貫通するねじ孔が開削されており、このねじ孔にボルト56a,56bが螺合されている。2本の捧状部材54a,54bのそれぞれは一方の端部がモルタルブロック52a,52bに埋め込まれ、他方の端部は上記パイプ55の内側に挿入される。そして、ねじ孔に螺合されたボルト56a,56bを締め付けることにより、2つのモルタルブロック52a,52bの間隔を調整して2本の棒状部材54a,54bとパイプ55とを固定するものとなっている。
このような鉄筋拘束部材51でも同様に、対向して配置される2組の鉄筋の離間距離が異なる場合に対応することができる。
この鉄筋拘束部材61は、モルタルブロック62と一体に形成された背面拘束部63の横筋12と当接する面が傾斜しており、連結部材64の軸線から離間するにしたがって横筋12から遠ざかるようになっている。これにより、モルタルブロック62の張り出し部62aと背面拘束部63とのコンクリート部材厚方向の間隔が連結部材64の軸線から離れるにしたがって大きくなる。
図6は、本願発明の第2の実施形態である鉄筋拘束部材を示す平面図及び側面図である。
この鉄筋拘束部材71は、2個のモルタルブロック72と、先端がこれらモルタルブロック72に埋め込まれ、これらのモルタルブロック72を連結する連結部材74と、上記連結部材74に支持された背面拘束部73と、で構成されている。つまり、この鉄筋拘束部材71では、背面拘束部73がモルタルブロック72とは別個に金属部材として形成され、連結部材74に支持されている。
上記モルタルブロック72は、上記連結部材74の端部を埋め込むことによって該連結部材74に固定され、二つのモルタルブロック72が所定の間隔に保持されている。そして、図1に示す鉄筋拘束部材1と同様に、連結部材74の軸線に対してほぼ直角方向に張り出した張り出し部72aを備えている。この張り出し部72aが、図6(a)に示すように、型枠10と鉄筋11との間に介挿され、コンクリートが打設されるときに鉄筋11と型枠10との離間距離つまりかぶり厚Lを、構築するコンクリート部材に対して設定された値以上に保持するものとなっている。また、連結部材74は、図1に示す鉄筋拘束部材1で用いられているものと同じものである。
上記筒状部材73aには、外周面から筒状となった部材の内側に貫通する孔(図示せず)が形成され、この孔の内周面には雌ねじが形成されている。この孔に上記ボルト73cが螺合され、筒状部材73aに挿通された連結部材74に先端を押し付けて固定するものとなっている。
上記規制部材73bは、上記筒状部材73aと一体となるように形成されており、筒状部材73aの外周面から突出し、上記鉄筋12の周面に当接するものとなっている。この規制部材73bの鉄筋12と当接する部分は、鉄筋の周面に沿った曲面となっている。また、筒状部材73aとの取りつけ部分より当接される鉄筋12の軸線方向に幅が拡大され、鉄筋12と広い面積で当接し、安定して鉄筋12を拘束するものとなっている。
鉄筋11,12は、構築するコンクリート部材の二つの側面に沿って埋め込まれるように対向して配置されており、2つのモルタルブロック72の張り出し部72aがこれらの鉄筋11の外側に当接するように取り付けられる。そして、連結部材74に支持されている背面拘束部73を連結部材74の軸線方向に移動し、規制部材73bを鉄筋12の内側つまりコンクリート部材の中心側に当接させる。この位置でボルト73cを締めつけることにより背面拘束部73を連結部材74に固定する。
このように本実施の形態では、背面拘束部73の位置を調整できるので、鉄筋の径が異なる場合にも容易に対応して、鉄筋11,12の位置を拘束することができる。
例えば、連結部材の外周面に雄ねじを形成しておき、螺合したナットで背面拘束部を固定してもよい。
この鉄筋拘束部材81は、2つのモルタルブロック82と、これらを連結する棒状の連結部材84と、コンクリート部材の中心側から鉄筋に当接される背面拘束部83とを備えるものである。
上記モルタルブロック82は、図6に示す鉄筋拘束部材71で用いられているものと同じ形状を有するものである。
上記連結部材84は、鋼からなる棒状の部材であるが、モルタルブロック74と接合される両端付近に雄ねじが形成されている。この連結部材84は両端部をモルタルブロック82に埋め込んでモルタルブロックと接合されるものでも良いが、図3に示す鉄筋拘束部材と同様にモルタルブロック82にナット等を埋め込んでおき、上記雄ねじが形成された部分をねじ込んで接合するのが望ましい。
上記背面拘束部83は、連結部材84に形成された雄ねじに螺合されるナットであり、連結部材84の先端側に鍔状の張り出し部83aを備えている。
図8は、コンクリート床版に埋め込まれる鉄筋を、図1及び図2に示す鉄筋拘束部材1を用いて組み立てた状態を示す斜視図及び側面図である。
この鉄筋拘束部材1は、図1に示すものを上下方向にモルタルブロックが配列されるように用いたものであり、鉄筋拘束部材1の構成については説明を省略し、同じ符合を付す。
これにより、下部モルタルブロック2bがスペーサとして機能し、下側に配置された鉄筋14bに対するかぶり厚を確保した状態でコンクリートと一体となる。また、下側に配置された鉄筋14b,15bと上側に配置された鉄筋14a,15aとの間隔を正確に保持するともに、上部モルタルブロック2aは、コンクリートの仕上げ面の基準として機能して上側のかぶり厚が確保される。
また、図8は底型枠13を設けてコンクリート床版を構築するものであるが、コンクリートを打設する範囲の底面は地盤を平らに締め固めたものであっても良いし、均しコンクリートが打設されたもの等であっても良い。
10:型枠、 11:縦筋、 12:横筋、 13:底型枠、 14:主方向鉄筋、 15:直交鉄筋、
21:モルタルブロックの埋め込み基部、 22:モルタルブロックの張り出し部、 23:張り出し部の型枠と対向する凹状となった位置、 24:張り出し部の型枠と対向する凸状となった位置、 25:張り出し部の鉄筋と対向する凹部、
31:モルタルブロック、 32:ナット、 33:連結部材、 33a:連結部材の雄ねじ部、
41:鉄筋拘束部材、 42:モルタルブロック、 43:連結部材、 44a,44b:棒状部材、 45:ターンバックル、 45a,45b:雌ねじ部、 45c:スリーブ、
51:鉄筋拘束部材、 52:モルタルブロック、 53:連結部材、 54a,54b:棒状部材、 55:パイプ、 56a,56b:ボルト、
61:鉄筋拘束部材、 62:モルタルブロック、 62a:モルタルブロックの張り出し部、 63:背面拘束部、 64:連結部材、
71:鉄筋拘束部材、 72:モルタルブロック、 72a:モルタルブロックの張り出し部、 73:背面拘束部、 73a:背面拘束部の筒状部材、 73b:背面拘束部の規制部材、 73c:背面拘束部を固定するボルト、 74:連結部材、
81:鉄筋拘束部材、 82:モルタルブロック、 82a:モルタルブロックの張り出し部、 83:背面拘束部、 83a:背面拘束部の鍔状の張り出し部、 84:連結部材、 L:かぶり厚、
Claims (7)
- コンクリートを打設するために互いに対向して設けられる2つの型枠と該型枠に沿ってそれぞれ配置された鉄筋との間に介挿され、前記型枠と前記鉄筋との間隔を保持する2つのモルタルブロックと、
2つの前記モルタルブロック内に両端が埋め込まれ、2つの前記モルタルブロックの間隔を保持する連結部材と、
前記モルタルブロック又は前記連結部材に支持され、前記鉄筋が2つの前記型枠間の中心側に移動するのを拘束する背面拘束部と、を備えたことを特徴とする鉄筋拘束部材。 - 前記モルタルブロックは、前記連結部材の軸線に対してほぼ直角となる一方向に張り出すように形成された張り出し部を備え、
前記背面拘束部は、前記モルタルブロックと一体に連続するモルタルで形成され、前記連結部材の軸線に対してほぼ直角で、前記張り出し部が張り出した方向に対してもほぼ直角となる方向に張り出し、2つの前記型枠間の中心側で前記鉄筋と接触してほぼ直交する方向に配置された直交鉄筋に、前記型枠間の中心側から当接されるものであることを特徴とする請求項1に記載の鉄筋拘束部材。 - 前記背面拘束部の前記直交鉄筋と接触する面は、前記連結部材の軸線から張り出すにしたがって、前記直交鉄筋から後退するように傾斜するものであることを特徴とする請求項2に記載の鉄筋拘束部材。
- 前記背面拘束部は、前記連結部材に支持され、該連結部材の軸線方向における位置の調整が可能となっていることを特徴とする請求項1に記載の鉄筋拘束部材。
- 前記モルタルブロックには、雌ねじが形成された鋼部材が埋め込まれ、
前記連結部材は、両端部に雄ねじが形成され、
前記鋼部材の雌ねじに前記連結部材の前記雄ねじを螺合して、前記連結部材と前記モルタルブロックとが接合されていることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれかに記載の鉄筋拘束部材。 - 前記連結部材は、長さの調整を可能とする伸縮機構を備えることを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれかに記載の鉄筋拘束部材。
- 床版状のコンクリートが打設される範囲の底面と該底面に沿って前記コンクリートに埋め込まれる下側鉄筋との間隔を保持する下部モルタルブロックと、該下部モルタルブロックから上方に立ち上げられた連結部材と、該連結部材の上端に固着された上部モルタルブロックと、前記連結部材又は前記上部モルタルブロックに支持され、前記床版状のコンクリートの上面に沿って配置される上側鉄筋を前記上部モルタルブロックの下面に接触又は近接するように支持する上側鉄筋保持部と、を備えた鉄筋拘束部材を前記底面上に配列し、
前記下部モルタルブロック上に支持させて前記下側鉄筋を配置し、
前記上側鉄筋保持部に支持させて前記上側鉄筋を配置し、
前記上部モルタルブロックを埋め込み、該上部モルタルブロックの上面とほぼ同じ高さまでコンクリートを打設することを特徴とするコンクリート部材の構築方法。
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