JP2012097434A - コンクリート部材用連結具 - Google Patents

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Abstract

【課題】連結強度に優れたコンクリート部材用連結具を提供する。
【解決手段】コンクリート部材2に埋設されたインサート13と、長さ方向に隣合うコンクリート部材2,2の端面5,5を跨いで配置される連結具本体12と、この連結具本体12の両側に設けられた長孔23,24と、これら長孔23,24に挿通されインサート13に螺合するボルト14とを備える。連結具本体12の外面に、長さ方向に傾斜した上り及び下り傾斜面21,22を設け、これら上り及び下り傾斜面21,22に長孔23,24を設ける。隣合うコンクリート部材2,2のインサート13,13にボルト14,14を螺合して隣合うコンクリート部材2,2を連結具本体12により連結することができる。そして、ボルト14,14が上り及び下り傾斜面21,22に係止することにより、優れた連結強度が得られる。
【選択図】図1

Description

本発明は、コンクリート部材同士を連結するコンクリート部材用連結具に関する。
プレキャスト製のコンクリート部材は、工場において、型枠を用いて製造され、現場打ちコンクリートに比べて品質が安定する利点がある。そして、現場でプレキャスト製のコンクリート部材を設置する場合、隣合うコンクリートブロックの接合端面同士を突き合わせ、前記接合面端間に跨るように連結具を配置し、その連結具を両コンクリートブロックにボルトにより固定し、一方のボルトを長孔に挿通したもの(例えば特許文献1)が提案されている。
ところで、現場に合わせた角度にコンクリート部材を製造するためには、異なる角度に合わせて型枠を製造する必要があり、コスト高になる問題があるため、角度に合わせて分割したコンクリート部材を現場で組み立てることが行われている。例えば、ブロックの接合端面を斜めに形成し、この接合端面の一側でブロック同士を兆番構造により連結し、この兆番構造を支点にしてブロックを角度調整可能とし、ブロック部材同士を連結具により連結するコーナーブロック(例えば特許文献2)が提案されている。
特開2005−264475号公報 特開平9−296461号公報
上記両従来技術では、コンクリート部材にインサートを設け、連結具にボルトを挿通し、このボルトを前記インサートに螺合することにより、コンクリート部材同士を接合することができるが、単に連結具に挿通したボルトをインサートに螺合するだけでは、コンクリート部材同士を強固に連結することができない。
ところで、特許文献2のコーナーブロックでは、ヒンジ結合により角度を調整することができるが、ブロックの端部に切欠き部とこの切欠き部に噛み合う凸部を設け、両ブロックの凸部を軸棒により軸着しており、ブロックの構造が複雑になると共に、連結強度が低いという問題がある。
そこで、本発明は上記した問題点に鑑み、連結強度に優れ、コンクリート部材同士を密着状態で連結することができるコンクリート部材用連結具を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、コンクリート部材に埋設されたインサートと、長さ方向に隣合う前記コンクリート部材の連結部を跨いで配置される連結具本体と、前記連結部の両側で前記連結具本体の長さ方向一側と他側に設けられた挿通孔と、前記挿通孔に挿通され前記インサートに螺合するボルトとを備えたコンクリート部材用連結具において、前記連結具本体の外面に、長さ方向に傾斜した傾斜面を設け、前記挿通孔の少なくとも一つが前記傾斜面に設けられていることを特徴とする。
また、請求項2に係る発明は、前記傾斜面に設けた挿通孔の少なくとも一つを長さ方向に長く形成したことを特徴とする。
また、請求項3に係る発明は、前記連結具本体は一側と他側に一側本体と他側本体を有し、これら一側本体と他側本体は、前記連結部側に設けられ外側に向かって高くなる傾斜面と、この傾斜面の外側に設けられ外側に向かって低くなる傾斜面とを有することを特徴とする。
また、請求項4に係る発明は、前記連結具本体の一側と他側に一側本体と他側本体を設け、これら一側本体と他側本体は、前記連結部側に設けられ外側に向かって低くなる傾斜面と、この傾斜面の外側に設けられ外側に向かって高くなる傾斜面とを有することを特徴とする。
また、請求項5に係る発明は、前記連結具本体には、前記連結部の両側に、外側に向かって低くなる傾斜面を設けたことを特徴とする。
また、請求項6に係る発明は、前記一側本体と前記他側本体を回動可能に連結したことを特徴とする。
また、請求項7に係る発明は、前記ボルトの頭部と前記傾斜面との間にテーパーワッシャを設けたことを特徴とする。
また、請求項8に係る発明は、前記長さ方向に隣合うコンクリート部材の一方の連結部に半円部を形成すると共に、他方の連結部を前記半円部に対応して湾曲状に形成したことを特徴とする。
また、請求項9に係る発明は、前記長さ方向に隣合うコンクリート部材の一方が円柱体であり、他方のコンクリート部材の連結部を前記円柱体に対応して湾曲状に形成し、前記連結具本体の一側を前記円柱体に対応して湾曲状に形成し、前記連結具本体の一側の挿通孔を長さ方向に長く形成し、前記連結具本体の他側に前記傾斜面を設け、前記他方のコンクリート部材に前記連結具本体の他側を連結することを特徴とする。
本発明の請求項1に記載のコンクリート部材用連結具によれば、隣合うコンクリート部材のインサートにボルトを螺合することにより、隣合うコンクリート部材を連結具本体により連結することができる。そして、ボルトが傾斜面に係止することにより、連結具本体を傾斜面が高くなる方向に動かす力が加わっても、これに対抗することができる。
また、本発明の請求項2に記載のコンクリート部材用連結具によれば、傾斜面の挿通孔に挿通したボルトを締めると、楔作用によりインサートを傾斜面が低くなる方向に動かす力が生じ、これによりコンクリート部材同士を近付け、或いは離す調節を行うことができる。また、挿通孔を長さ方向に長く形成したから、挿通孔の任意の位置にボルトを挿通することができると共に、コンクリート部材の配筋を回避した位置にインサートを設けることができる。
また、本発明の請求項3に記載のコンクリート部材用連結具によれば、一側本体と他側本体がそれぞれ略山形形状をなし、ボルトを締めると、楔作用によりインサートを傾斜面が低くなる方向に動かす力が生じる。そして、外側に向かって高くなる傾斜面のボルトを締めて端面同士を密着した後、外側に向かって低くなる傾斜面のボルトを締めることにより、コンクリート部材同士を強固に連結することができる。
また、本発明の請求項4に記載のコンクリート部材用連結具によれば、一側本体と他側本体がそれぞれ略V形状をなし、ボルトを締めると、楔作用によりインサートを傾斜面が低くなる方向に動かす力が生じる。そして、外側に向かって高くなる傾斜面のボルトを締めて端面同士を密着した後、外側に向かって低くなる傾斜面のボルトを締めることにより、コンクリート部材同士を強固に連結することができる。
また、本発明の請求項5に記載のコンクリート部材用連結具によれば、両側の傾斜面により略山形をなし、外側に向かって低くなる傾斜面のボルトを締めることにより、コンクリート部材同士を連結することができる。
また、本発明の請求項6に記載のコンクリート部材用連結具によれば、一側と他側のコンクリート部材のなす角度に対応して、一側本体と他側本体の角度を調節することができる。
また、本発明の請求項7に記載のコンクリート部材用連結具によれば、ボルトの締め付け力をテーパーワッシャにより傾斜面に伝えることができる。
また、本発明の請求項8に記載のコンクリート部材用連結具によれば、隣合うコンクリート部材の角度を調整しても、半円部を設けた連結部間の隙間を小さくできる。
また、本発明の請求項9に記載のコンクリート部材用連結具によれば、長孔におけるボルトの位置を調整することにより、円柱体を中心に他方のコンクリート部材の向きを調整することができる。これにより円柱体にもう一つのコンクリート部材を連結することにより、コンクリート部材同士の角度を調整して連結することができる。
本発明の実施例1を示すコンクリート部材の連結構造の平面図である。 同上、コンクリート部材の側面図である。 同上、連結具の一部切欠き平面図である。 同上、連結具の正面図である。 同上、連結具の要部の断面図である。 本発明の実施例2を示すコンクリート部材の連結構造の平面図である。 同上、コンクリート部材の側面図である。 同上、コンクリート部材の連結構造の正面図である。 本発明の実施例3を示す連結具の正面図である。 同上、連結具の平面図である。 本発明の実施例4を示す一部を断面にしたコンクリート部材の連結構造の平面図である。 本発明の実施例5を示す一部を断面にしたコンクリート部材の平面図である。 同上、一部を断面にしたコンクリート部材の連結構造の平面図である。 本発明の実施例6を示す一部を断面にしたコンクリート部材の連結構造の平面図である。 同上、連結具とコンクリート部材の平面図である。 同上、連結具の正面図である。 同上、連結具とコンクリート部材の正面図である。 本発明の実施例7を示す連結部材の平面図である。 同上、使用状態の斜視図である。 本発明の実施例8を示す連結部材の平面図である。 同上、使用状態の斜視図である。 本発明の実施例9を示す連結部材の平面図である。 同上、連結具の正面図である。 本発明の実施例10を示す連結部材の平面図である。
本発明における好適な実施の形態について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を限定するものではない。また、以下に説明される構成の全てが、本発明の必須要件であるとは限らない。各実施例では、従来とは異なる新規な構成を採用することにより、従来にない機能を付加したコンクリート部材用連結具が得られ、そのコンクリート部材用連結具を夫々記述する。
以下、図面を参照して、本発明の実施例1について説明する。図1〜図5に示すように、本実施例のコンクリート部材用連結具は、例えばコンクリート部材であるL型擁壁1のコーナー部に用いられ、そのL型擁壁1のコーナー部は、一側と他側のコンクリート部材2,2を連結してなり、このコンクリート部材2は、底板部3と、この底板部3の端部から立設した側板部4とを一体に有し、それらコンクリート部材2,2の連結部たる端面5,5は長さ方向に対して斜めに形成されており、この例では長さ方向に対する角度θを45度としている。
前記コンクリート部材2,2を連結する連結具11は、金属製の連結具本体12と、前記コンクリート部材2に埋設固定したインサート13と、前記連結具本体12を前記インサート13に固定するボルト14とを備える。この例では、前記連結具本体12は、一側本体15と他側本体16とに分割され、一側本体15は一側のコンクリート部材2に固定され、他側本体16は他側のコンクリート部材2に連結される。
前記一側本体15と他側本体16は同一形状をなし、その中央側端部に筒部17を設け、相互の筒部17,17に枢軸18を挿入し、該枢軸18を中心に一側本体15と他側本体16を回動可能に連結している。また、前記一側本体15と他側本体16の内面は平坦面をなし、その外面は長さ方向中央から両側に低くなる上り傾斜面21と下り傾斜面22を有し、これら上り及び下り傾斜面21,22にボルト14を挿通する挿通孔たる長孔23,24をそれぞれ穿設し、これら長孔23,24は長さ方向に長く形成されている。そして、コンクリート部材2内の配筋によりインサート13の位置が制約を受ける場合でも、挿通孔を長孔23,24にすることにより、ボルト14をインサート13に螺合することができる。
前記上り及び下り傾斜面21,22はほぼ同一傾斜角を有している。また、前記ボルト14の頭部14Tと、前記上り及び下り傾斜面21,22との間には、該ボルト14を挿通するテーパーワッシャ25を設け、このテーパーワッシャ25は前記頭部14Tの下面14Kに当接する上当接面25Uと、前記上り及び下り傾斜面21,22に当接する下当接部25Sとを備え、これら上,下当接面25U,25S同士は上り及び下り傾斜面21,22とほぼ同一角度をなす。
また、前記インサート13は少なくとも前記長孔23,24の数に対応して設けられ、この例では、長孔23,24の数より多い3つのインサート13,13,13が等間隔でコンクリート部材2に設けられている。
次に、前記連結具の使用方法について説明する。端面5,5を当接するようにしてコンクリート部材2,2を配置し、側板部4,4の内面に一側本体15と他側本体16を添わせ、上り及び下り傾斜面21,22にボルト14を挿通し、このボルト14をインサート13に螺合する。この場合、先に上り傾斜面21に挿通したボルト14を締める。こうするとテーパーワッシャ付のボルト14と上り傾斜面21との楔作用により、一側本体15と他側本体16を外側に動かす力が生じ、これによりインサート13,13によりコンクリート部材2,2同士を近付ける方向の力が得られ、両端面5,5同士が密着させる。この後、残りのボルト14を締める。
このように本実施例では、請求項1に対応して、コンクリート部材2に埋設されたインサート13と、長さ方向に隣合うコンクリート部材2,2の連結部たる端面5,5を跨いで配置される連結具本体12と、端面5,5の両側で連結具本体12の長さ方向一側と他側に設けられた挿通孔たる長孔23,24と、長孔23,24に挿通されインサート13に螺合するボルト14とを備えたコンクリート部材用連結具において、連結具本体12の外面に、長さ方向に傾斜した上り及び下り傾斜面21,22を設け、長孔23,24の少なくとも一つが上り及び下り傾斜面21,22に設けられているから、隣合うコンクリート部材2,2のインサート13,13にボルト14,14を螺合することにより、隣合うコンクリート部材2,2を連結具本体12により連結することができる。そして、ボルト14,14が上り及び下り傾斜面21,22に係止することにより、連結具本体12を上り及び下り傾斜面21,22が高くなる方向に動かす力が加わっても、これに対抗することができる。
また、このように本実施例では、請求項2に対応して、上り及び下り傾斜面21,22に設けた挿通孔の少なくとも一つを長さ方向に長く形成し、具体的には挿通孔たる長孔23,24を長さ方向に長く形成したから、上り及び下り傾斜面21,22の長孔23,24に挿通したボルト14,14を締めると、楔作用によりインサート13,13を上り傾斜面21,22が低くなる方向に動かす力が生じ、これによりコンクリート部材2,2同士を近付け、或いは離す調節を行うことができる。また、長孔23,24を長さ方向に長く形成したから、長孔23,24の任意の位置にボルト14,14を挿通することができると共に、コンクリート部材2,2の配筋を回避した位置にインサート13を設けることができる。
また、このように本実施例では、請求項3に対応して、連結具本体12は一側と他側に一側本体15と他側本体16を有し、これら一側本体15と他側本体16は、連結部たる端面5,5側に設けられ外側に向かって高くなる傾斜面たる上り傾斜面21と、この上り傾斜面21の外側に設けられ外側に向かって低くなる傾斜面である下り傾斜面22とを有するから、一側本体15と他側本体16がそれぞれ略山形形状をなし、ボルト14を締めると、楔作用によりインサート13を上り傾斜面21が低くなる方向に動かす力が生じる。そして、外側に向かって高くなる上り傾斜面21のボルト14を締めて端面5,5同士を密着した後、外側に向かって低くなる下り傾斜面22のボルト14を締めることにより、コンクリート部材2,2同士を強固に連結することができる。
また、このように本実施例では、連結具本体12の一側と他側に傾斜面たる上り傾斜面21,21を設けると共に、上り傾斜面21,21に挿通孔たる長孔23,23を設け、一側と他側の上り傾斜面21,21が外側に向かって高くなる傾斜をなすから、ボルト14を締めると、楔作用によりインサート13を上り傾斜面21が低くなる方向に動かす力が生じ、これによりコンクリート部材2,2の端面5,5同士を密着することができる。
また、このように本実施例では、連結具本体12の一側と他側に傾斜方向の異なる上り及び下り傾斜面21,22をそれぞれ設け、これら上り及び下り傾斜面21,22に挿通孔たる長孔23,24を設けたから、外側に向かって高くなる上り傾斜面21のボルト14を締めて端面5,5同士を密着した後、残りのボルト14を締めることにより、コンクリート部材2,2同士を強固に連結することができる。
また、このように本実施例では、請求項6に対応して、連結具本体12を一側と他側に分割した一側本体15と他側本体16を形成し、これら一側本体15と他側本体16を回動可能に連結したから、一側と他側のコンクリート部材2,2のなす角度に対応して、一側本体15と他側本体16の角度を調節することができる。
また、このように本実施例では、請求項7に対応して、ボルト14の頭部14Tと上り及び下り傾斜面21,22との間にテーパーワッシャ25を設けたから、ボルト14の締め付け力をテーパーワッシャ25により傾斜面21,22に伝えることができる。
図6〜図8は、本発明の実施例2を示し、上記実施例1と同一部分に同一符号を付し、その詳細な説明を省略して詳述する。この例のコンクリート部材31はボックスカルバートであり、底板部32と両側板部33,33と頂板部34とを有し、連結部たる端面35が長さ方向に対して斜めに形成されている。また、この例では前記両側板33,33の外面で上下に前記連結具11を配置する。
そして、実施例1と同様に、先に上り傾斜面21に挿通したボルト14を締めて端面5,5同士を密着させ、この後、下り傾斜面22に挿通したボルト14を締めてコンクリート部材31,31同士を連結する。
このように本実施例においては、コンクリート部材31に埋設されたインサート13と、長さ方向に隣合うコンクリート部材31,31の連結部たる端面35,35を跨いで配置される連結具本体12と、端面5,5の両側で連結具本体12の長さ方向一側と他側に設けられた挿通孔たる長孔23,24と、長孔23,24に挿通されインサート13に螺合するボルト14とを備えたコンクリート部材用連結具において、連結具本体12の外面に、長さ方向に傾斜した上り及び下り傾斜面21,22を設け、長孔23,24の少なくとも一つが上り及び下り傾斜面21,22に設けられているから、上記実施例1と同様な作用・効果を奏する。
図9及び図10は、本発明の実施例3を示し、上記各実施例と同一部分に同一符号を付し、その詳細な説明を省略して詳述する。この例では、一側本体15Aが平板状に形成されており、その一側本体15Aに円形の挿通孔36を複数穿設している。また、前記一側本体15Aに挿通するボルト14には、テーパーワッシャを用いない。
そして、一側本体15Aの挿通孔36に挿通したボルト14を締めた後、先に上り傾斜面21の長孔23に挿通したボルト14を締め、次に下り傾斜面22の長孔24に挿通したボルト14を締める。
このように本実施例においては、連結具本体12の外面に、長さ方向に傾斜した上り及び下り傾斜面21,22を設け、長孔23,24の少なくとも一つが上り及び下り傾斜面22,22に設けられているから、上記各実施例と同様な作用・効果を奏し、また、この例では一側本体15Aをボルト14によりコンクリート部材に固定した後、他側本体16に挿通したボルト14をインサート13に螺合することにより、コンクリート部材の端面同士を密着させることができる。
図11は、本発明の実施例4を示し、上記各実施例と同一部分に同一符号を付し、その詳細な説明を省略して詳述する。この例では、インサート13の取付位置を調整し、コンクリート部材2の端面5の外側を接した状態で、端面5,5間に間隔を設け、コンクリート部材2,2同士がなす角度θ1を前記角度θの2倍より大きくなるように配置し、コンクリート部材2,2同士を連結具11により連結している。この場合、上り傾斜面21の長孔23に挿通したボルト14を先に締めると、前記角度θ1が狭まり、下り傾斜面22の長孔24に挿通したボルト14を先に締めると、前記角度θが広がるから、それらボルト14の締める順番により前記角度θ1を調節するようにしてもよい。
そして、角度θ1を調節した後、端面5,5間に現場打ちコンクリート41を打設し、底板部3,3間の隙間と側板部4,4間の隙間を埋める。尚、説明のために現場打ちコンクリート41にハッチングを付している。
このように本実施例においても上記各実施例と同様な作用・効果を奏し、また、このように端面5,5間を広げてコンクリート部材2,2同士の角度θ1を調節することができる。
また、実施例上の効果として、挿通孔たる長孔23,24の数よりインサート13の数を多くし、複数のインサート13,13,13をほぼ等間隔に配置したから、使用するインサート13を選択することによりコンクリート部材2,2同士の角度θ1を調節することができる。
図12及び図13は、本発明の実施例5を示し、上記各実施例と同一部分に同一符号を付し、その詳細な説明を省略して詳述する。この例では、コンクリート部材2の連結部たる端面の変形例を示し、一方の側板部4の端面5には半円状の半円部42が形成され、他方の側板部4の端面は、内側部43が前記側板部4の長さ方向と直交し、外側部が前記半円部42に対応した湾曲面部44が形成されている。
また、前記半円部42の中心は、両底板部3,3の端面5,5の中心を結ぶ中心線上に位置する。また、この中心線上に前記枢軸が18位置するように連結具11を配置する。
そして、上記実施例4と同様にして連結具11を用いてコンクリート部材2,2同士を連結し、端面5,5間に現場打ちコンクリート41を打設し、底板部3,3間の隙間と側板部4,4間の隙間を埋める。
このように本実施例においても、上記各実施例と同様な作用・効果を奏する。
また、このように本実施例では、長さ方向に隣合うコンクリート部材2,2の一方の連結部たる端面5に半円部42を形成すると共に、他方の連結部たる端面5を半円部42に対応して湾曲状に形成したから、隣合うコンクリート部材2,2の角度を調整しても、半円部42を設けた側板部4,4の端面5,5間の隙間を小さくできる。
図14〜図17は、本発明の実施例6を示し、上記各実施例と同一部分に同一符号を付し、その詳細な説明を省略して詳述する。この例では、コンクリート部材として側板部4の厚さのほぼ2倍の直径を有する円柱体51を用い、この円柱体51はコンクリート部材2とほぼ同一高さをなしており、側板部4の端面5を前記円柱体51に対応した湾曲面部52に形成し、それら側板部4,4の湾曲面部52,52に接するように前記円柱体51を配置し、この円柱体51の中心は側板部4,4の内面の延長上に位置する。
また、前記連結具11は、その他側本体16Aを前記円柱体51に対応して湾曲状に形成し、この湾曲状をなす他側本体16Aに、複数の前記ボルト14,14を挿通する挿通孔たる長孔53を穿設し、一方、前記一側本体15の上り及び下り傾斜面21,22に円形の前記挿通孔36,36を穿設している。また、円柱体51には、複数の前記インサート13を円周方向等間隔に埋設固定し、一側のコンクリート部材2に連結する連結具11と、他側のコンクリート部材2に連結する連結具11の一組を、上下に近接して配置し、且つ上下に間隔を置いて二組の連結具11,11,11,11を配置する。
そして、一側本体15をボルト14により側板部4の内面に固定し、長孔53に挿通した複数のボルト14,14を円柱体51に仮止めし、この状態で長孔53におけるボルト14,14の位置を変更することにより、円柱体51を中心に両側のコンクリート部材2,2を回すことができ、これにより両コンクリート部材2,2のなす角度θ1を調節することができる。
両コンクリート部材2,2の角度θ1を調整した後、円柱体51にボルト14を締め付け固定し、底板部3,3の端面5,5間に現場打ちコンクリート41を打設する。
このように本実施例においても、上記各実施例と同様な作用・効果を奏する。
また、このように本実施例では、長さ方向に隣合うコンクリート部材2,51の一方が円柱体51であり、他方のコンクリート部材2の連結部たる端面5を円柱体51に対応して湾曲状の湾曲面部52に形成し、連結具本体12の一側を円柱体51に対応して湾曲状に形成し、連結具本体12の一側の挿通孔たる長孔53を長さ方向に長く形成し、連結具本体12の他側に上り及び下り傾斜面21,22を設け、他方のコンクリート部材2に連結具本体12の他側を連結するから、長孔53におけるボルト14の位置を調整することにより、円柱体51を中心に他方のコンクリート部材2の向きを調整することができる。これにより円柱体51にもう一つのコンクリート部材2を連結することにより、コンクリート部材同士2,2の角度を調整して連結することができる。
図18〜図19は、本発明の実施例7を示し、上記各実施例と同一部分に同一符号を付し、その詳細な説明を省略して詳述する。この例の連結具11は、同一形状をなす前記一側本体15と他側本体16が一体に設けられ、一側本体15と他側本体16の内面が同一平面内に位置し、一側本体15と他側本体16に、前記下り傾斜面22がそれぞれ形成され、連結具本体12が山形形状をなし、各下り傾斜面22に前記長孔24が穿設されている。
そして、下り傾斜面22の長孔24に挿通したボルト14を締めることにより、コンクリート部材31,31の両端面35,35間を縮めようとする力Fに対抗することができ、両端面35,35間の間隔を保持することができる。したがって、例えば、両端面35,35間に所定の目地代が必要な場合、その目地代を保持することができる。
このように本実施例では、コンクリート部材31に埋設されたインサート13と、長さ方向に隣合うコンクリート部材31,31の連結部たる端面35,35を跨いで配置される連結具本体12と、端面35,35の両側で連結具本体12の長さ方向一側と他側に設けられた挿通孔たる長孔24と、長孔24に挿通されインサート13に螺合するボルト14とを備えたコンクリート部材用連結具において、連結具本体12の外面に、長さ方向に傾斜した下り傾斜面22を設け、長孔24の少なくとも一つが下り傾斜面22に設けられているから、連結部たる端面35,35間における縮みを防止でき、上記各実施例と同様な作用・効果を奏する。
また、このように本実施例では、請求項5に対応して、連結具本体12には、連結部たる端面5,5の両側に、外側に向かって低くなる下り傾斜面22,22を設けたから、連結具本体12は、両側の傾斜面により略山形をなし、外側に向かって低くなる下り傾斜面22,22のボルト15,15を締めることにより、コンクリート部材31,31同士を連結することができる。
図20〜図21は、本発明の実施例8を示し、上記各実施例と同一部分に同一符号を付し、その詳細な説明を省略して詳述する。この例の連結具11は、同一形状をなす前記一側本体15と他側本体16が一体に設けられ、一側本体15と他側本体16の内面が同一平面内に位置し、一側本体15と他側本体16に、前記上り傾斜面21がそれぞれ形成され、連結具本体12が略V字型をなし、各上り傾斜面21に前記長孔23が穿設されている。
そして、上り傾斜面21の長孔23に挿通したボルト14を締めることにより、コンクリート部材31,31の両端面35,35間を広げようとする力Fに対抗することができ、両端面5,5が密着することができると共に、両端面35,35間の間隔を保持することができる。
このように本実施例では、コンクリート部材31に埋設されたインサート13と、長さ方向に隣合うコンクリート部材31,31の連結部たる端面35,35を跨いで配置される連結具本体12と、端面35,35の両側で連結具本体12の長さ方向一側と他側に設けられた挿通孔たる長孔23と、長孔24に挿通されインサート13に螺合するボルト14とを備えたコンクリート部材用連結具において、連結具本体12の外面に、長さ方向に傾斜した上り傾斜面21を設け、長孔23の少なくとも一つが上り傾斜面21に設けられているから、連結部たる端面35,35間における伸びを防止でき、上記各実施例と同様な作用・効果を奏する。
図22〜図23は、本発明の実施例9を示し、上記各実施例と同一部分に同一符号を付し、その詳細な説明を省略して詳述する。この例の上記実施例8で示した連結具11が中央で回動可能に設けられ、具体的には、連結具11は、同一形状をなす前記一側本体15と他側本体16の中央側端部に筒部17を設け、相互の筒部17,17に枢軸18を挿入し、該枢軸18を中心に一側本体15と他側本体16を回動可能に連結している。また、一側本体15と他側本体16の内面が同一平面内に位置し、一側本体15と他側本体16に、前記上り傾斜面21がそれぞれ形成され、連結具本体12が略V字型をなし、各上り傾斜面21に前記長孔23が穿設されている。
そして、上り傾斜面21の長孔23に挿通したボルト14を締めることにより、コンクリート部材31,31の両端面35,35間を広げようとする力Fに対向することができ、両端面35,35が密着することができると共に、両端面35,35間の間隔を保持することができる。
このように本実施例では、上記実施例8と同様な作用・効果を奏し、また、請求項5に対応して、連結具本体12を一側と他側に分割した一側本体15と他側本体16を形成し、これら一側本体15と他側本体16を回動可能に連結したから、一側と他側のコンクリート部材31,31のなす角度に対応して、一側本体15と他側本体16の角度を調節することができる。
図24は、本発明の実施例10を示し、上記各実施例と同一部分に同一符号を付し、その詳細な説明を省略して詳述する。この例の連結具11は、一側本体15及び他側本体16が上記実施例8で示した連結具と略同一形状をなし、それら一側本体15及び他側本体16を端面35,35を挟んだ両側に配置し、その中央側端部に筒部17を設け、相互の筒部17,17に枢軸18を挿入し、該枢軸18を中心に一側本体15と他側本体16を回動可能に連結している。すなわち一側本体15と他側本体16は、端面35,35側から外側に向かって下り傾斜面22と上り傾斜面21を有し、それら一側本体15と他側本体16とが中央側で回動可能に連結されている。
そして、端面35,35を当接するようにしてコンクリート部材31,31を配置し、上り及び下り傾斜面21,22にボルト14を挿通し、このボルト14をインサート13に螺合する。この場合、先に上り傾斜面21に挿通したボルト14を締める。こうするとテーパーワッシャ付のボルト14と上り傾斜面21との楔作用により、一側本体15と他側本体16を外側に動かす力が生じ、これによりインサート13,13によりコンクリート部材2,2同士を近付ける方向の力が得られ、両端面5,5同士が密着させる。この後、残りのボルト14を締める。
このように本実施例では、請求項4に対応して、連結具本体11の一側と他側に一側本体15と他側本体16を設け、これら一側本体15と他側本体16は、連結部たる端面35,35側に設けられ外側に向かって低くなる傾斜面たる下り傾斜面22と、この下り傾斜面22の外側に設けられ外側に向かって高くなる傾斜面たる上り傾斜面21とを有するから、一側本体15と他側本体16がそれぞれ略V形状をなし、ボルト14を締めると、楔作用によりインサート13を上り傾斜面22が低くなる方向に動かす力が生じる。そして、外側に向かって高くなる上り傾斜面22のボルト14を締めて端面35,35同士を密着した後、外側に向かって低くなる下り傾斜面22のボルト14を締めることにより、コンクリート部材31,31同士を強固に連結することができる。
尚、本発明は、本実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。例えば、実施例では、連結具本体の長さ方向一側と他側に、上り及び下り傾斜面を設けたものを示したが、上り傾斜面のみ設けるようにしてもよい。また、上り及び下り傾斜面を略へ字状に配置したが、上り及び下り傾斜面を略V字状に配置してもよい。さらに、図18で示した一側本体と他側本体とを分割し、分割した一側本体と他側本体とを回動可能に連結してもよい。
1 L型擁壁
2 コンクリート部材
5 端面(連結部)
11 連結具
12 連結具本体
13 インサート
14 ボルト
15 一側本体
15A 一側本体
16 他側本体
16A 他側本体
18 枢軸
21 上り傾斜面
22 下り傾斜面
23 長孔(挿通孔)
24 長孔(挿通孔)
25 テーパーワッシャ
31 コンクリート部材
35 端面(連結部)
36 挿通孔
42 半円部
44 湾曲面部
51 円柱体(コンクリート部材)
52 湾曲面部
53 長孔(挿通孔)

Claims (9)

  1. コンクリート部材に埋設されたインサートと、長さ方向に隣合う前記コンクリート部材の連結部を跨いで配置される連結具本体と、前記連結部の両側で前記連結具本体の長さ方向一側と他側に設けられた挿通孔と、前記挿通孔に挿通され前記インサートに螺合するボルトとを備えたコンクリート部材用連結具において、前記連結具本体の外面に、長さ方向に傾斜した傾斜面を設け、前記挿通孔の少なくとも一つが前記傾斜面に設けられていることを特徴とするコンクリート部材用連結具。
  2. 前記傾斜面に設けた挿通孔の少なくとも一つを長さ方向に長く形成したことを特徴とする請求項1記載のコンクリート部材用連結具。
  3. 前記連結具本体は一側と他側に一側本体と他側本体を有し、これら一側本体と他側本体は、前記連結部側に設けられ外側に向かって高くなる傾斜面と、この傾斜面の外側に設けられ外側に向かって低くなる傾斜面とを有することを特徴とする請求項1又は2記載のコンクリート部材用連結具。
  4. 前記連結具本体の一側と他側に一側本体と他側本体を設け、これら一側本体と他側本体は、前記連結部側に設けられ外側に向かって低くなる傾斜面と、この傾斜面の外側に設けられ外側に向かって高くなる傾斜面とを有することを特徴とする請求項1又は2記載のコンクリート部材用連結具。
  5. 前記連結具本体には、前記連結部の両側に、外側に向かって低くなる傾斜面を設けたことを特徴とする請求項1又は2記載のコンクリート部材用連結具。
  6. 前記一側本体と前記他側本体を回動可能に連結したことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のコンクリート部材用連結具。
  7. 前記ボルトの頭部と前記傾斜面との間にテーパーワッシャを設けたことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のコンクリート部材用連結具。
  8. 前記長さ方向に隣合うコンクリート部材の一方の連結部に半円部を形成すると共に、他方の連結部を前記半円部に対応して湾曲状に形成したことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のコンクリート部材用連結具。
  9. 前記長さ方向に隣合うコンクリート部材の一方が円柱体であり、他方のコンクリート部材の連結部を前記円柱体に対応して湾曲状に形成し、前記連結具本体の一側を前記円柱体に対応して湾曲状に形成し、前記連結具本体の一側の挿通孔を長さ方向に長く形成し、前記連結具本体の他側に前記傾斜面を設け、前記他方のコンクリート部材に前記連結具本体の他側を連結することを特徴とする請求項1記載のコンクリート部材用連結具。
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