JP2012093466A - 消泡装置、定着装置及び画像形成装置 - Google Patents

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哲朗 笹本
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征史 山田
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Abstract

【課題】泡状液を、効率良く、かつ確実に消泡して通常の液体とすることができる
【解決手段】液中に気泡が分散した泡状定着液Fを破泡させて通常の液体である液状定着液TLとする構成として、泡状定着液Fが管状の入口から進入する消泡パイプ310と、泡状定着液Fを消泡パイプ310の内部に向けて搬送する泡搬送ポンプP3と、消泡パイプ310を加熱する電熱線320とを具備している。そして、圧力センサ340によって、泡搬送ポンプP3と消泡パイプ310とを連通する閉空間の内圧を検出する。その圧力センサ340の検出結果である内圧の値が所定の目標圧力値になるように泡搬送ポンプP3による圧力を制御する。
【選択図】図1

Description

本発明は、液中に気泡が分散した泡状液を破泡させて通常の液体とする消泡装置、並びに、これを備えた泡状定着液を用いる定着装置及び画像形成装置に関するものである。
プリンタ、ファクシミリ及び複写装置のような画像形成装置は、紙、布、及びOHP用シートのような記録媒体に、画像情報に基づいて文字や記号を含む画像を形成する装置である。特に、電子写真方式の画像形成装置は、普通紙に高精細な画像を高速で形成することができるため、広く使用されている。このような電子写真方式の画像形成装置においては、記録媒体上のトナーを加熱して溶融させ、溶融したトナーを加圧することによって、トナーを記録媒体上に定着させる熱定着方式が広く用いられている。この熱定着方式は、高い定着速度及び高い定着画像品質等を提供することができるため、好適に用いられている。しかし、このような電子写真方式の画像形成装置における消費電力の約半分以上は、熱定着方式においてトナーを加熱することに消費されている。
一方、近年における環境問題対策の観点からは、低消費電力(省エネルギー)の定着装置が望まれている。即ち、トナーを定着するためにトナーを加熱する温度を今までよりも極端に低下させること、又はトナーを加熱することを必要としない定着方法が望まれている。特に、トナーを全く加熱することなくトナーを記録媒体に定着させる非加熱定着方法が低消費電力の点で理想的である。
このような非加熱定着方法としては、特許文献1に記載のものが知られている。この特許文献1の定着方法は、泡状定着液生成手段によって樹脂の少なくとも一部を溶解又は膨潤させる軟化剤を少なくとも含んだ液状定着液に気泡を大量に含有して生成した泡状定着液が極めて嵩密度が低いことに着目した定着方法である。この定着方法によれば、上記泡状定着液を定着液供給口から塗布手段である塗布ローラのローラ面上に付与する。そして、この塗布ローラと対峙する加圧ローラとで記録媒体を挟み込み塗布ローラに記録媒体を当接させて塗布ローラ面上の泡状定着液を記録媒体上の樹脂微粒子層に塗布することで樹脂微粒子を記録媒体に定着している。このように、液状定着液を泡状とすることにより定着液の嵩密度を下げることができるため、従来よりも少量の定着液で塗布ローラのローラ面上における定着液の膜厚を厚くすることができる。そして、液体の表面張力による記録媒体上のトナー粒子に対する影響を軽減することで定着応答性の向上が期待できる。また、少量の定着液であるため、記録媒体上の残液感を抑制することができ、泡状定着液は液状定着液よりも流れ難いため、定着液によってトナー粒子が流されることによる画像劣化も防止することができる。
上記特許文献1に記載の定着方法のように、塗布ローラ等の塗布部材を用いて泡状定着液を転写紙のような記録媒体に塗布する構成の場合、記録媒体に泡状定着液を塗布した後の塗布部材の表面から泡状定着液を回収する泡状定着液回収手段を設けることが望ましい。これは、記録媒体に泡状定着液を塗布する塗布位置を通過した後の塗布部材には記録媒体に塗布しきれずに残った残留泡状定着液が付着しており、この残留泡状定着液を回収するためである。残留泡状定着液は、泡状定着液として塗布部材に供給された後、時間が経過しており、かつ塗布位置で機械的な力を受けているため、泡の一部が消泡するなど、塗布部材に供給されたときよりも泡状定着液の密度が上昇することが考えられる。このため、塗布部材に残留泡状定着液が残留している状態で新たな泡状定着液を塗布部材に供給すると、密度が異なる泡状定着液が混ざって記録媒体に泡状定着液を均一に付与することができなくなるおそれがある。このように、記録媒体に付与する泡状定着液が不均一になることを防止するために、泡状定着液回収手段を設けて残留泡状定着液を塗布部材表面から除去することが望ましい。
しかしながら、残留泡状定着液として回収した泡状定着液は、塗布部材に供給されたときよりも密度が上昇していたとしても、通常の液体の液状定着液に比べて密度が低く、嵩が多い状態となっている。定着液が泡状であることにより泡状化されていない定着液に対して体積が数十倍にも膨れ上がるため、定着液を泡状のまま収容しようとすると大きな収容器が必要となる。泡状定着液は経時で自然に消泡して体積は徐々に小さくなるが、自然に消泡するには時間を要する。そのため、連続印刷に対応するには塗布部材から回収され、消泡する前の泡状定着液を一時収容する大きな収容器が必要となる。このような泡状定着液を収容可能な大きな収容器を画像形成装置に配置すると、装置の大型化につながるという問題がある。
このため、残留泡状定着液は液化して回収することが求められる。泡状定着液のような泡状の液体(以下、泡状液と呼ぶ)を通常の液体に戻す方法としては、泡状液を加熱して破泡する方法が知られている。以下、加熱することで泡状液が破泡するメカニズムについて説明する。泡状液は、液中に取り込まれた多数の気泡と気泡同士の間を仕切る液膜とによって形成されているが、このような泡状液を加熱すると、液膜を構成する液体の粘度が低下し、重力によって液体が下方に移動するため、気泡の上部にある液膜が薄くなることで破泡する。また、加熱によって気泡が膨張することも破泡を促すことになる。
しかし、泡状液は内部に気泡があることによって熱が伝達し難く、泡状液を加熱する加熱部材の近傍は消泡しても加熱部材から離れた部分は破泡しない。更に、泡状液は流動性が低いため、加熱部材の近傍にある泡状液が破泡して液体となって加熱部材の近傍に空間が生じても、その空間を埋めるような泡状液の移動には時間がかかる。このため、回収した泡状液を収容する容器内に加熱部材を配置して、加熱によって液状となったものを最終的な回収容器に搬送する構成では、効率よく泡状液を加熱することができず、消泡する前の泡状液を収容する容器が大きくなり、装置の大型化の問題を解決できない。
このような問題を解決すべく、本発明者らは図8に示すような消泡装置300を作成した。図8の(a)は不図示の塗布ローラからクリーニングブレード524によって泡状定着液Fを回収するクリーニング装置20の説明図であり、図8の(b)は図11の(a)中の一点鎖線で囲んだ部分の拡大図である。図8の(a)に示すクリーニング装置20は、クリーニングブレード524によって泡回収容器400に回収した泡状定着液Fを、消泡装置300で消泡して液状定着液TLとして、定着液回収タンク500内に回収する構成である。図8の(b)に示す消泡装置300は、入口311から出口312までの断面が一様な管状部材である消泡パイプ310と、圧力をかけることによって泡状定着液Fを消泡パイプ310内に向けて搬送する図8の(b)に示す泡搬送ポンプP3とを備える。また、消泡パイプ310の外周は絶縁シート330で被覆され、絶縁シート330の外側に電熱線320を巻きつけ、電熱線320に不図示の電源から電流が流れることで消泡パイプ310を加熱する。
泡状液は通常の液体や空気に比べて、管状部材のような狭い流路を非常に通過し難い性質を持っている。また、管状部材の内部のような狭い空間にある泡状液に対して管状部材を昇温させて加熱を行えば熱が伝達し難い泡状液であっても全体を加熱することができる。図8に示す消泡装置300は、消泡パイプ310の内部という狭い空間を、時間をかけて移動する泡状定着液Fを電熱線320によって昇温した消泡パイプ310によって加熱することで、確実に消泡を行おうとしたものである。また、泡搬送ポンプP3によって泡回収容器400内の泡状定着液Fを吸引して消泡パイプ310内に搬送するため、消泡パイプ310内で泡状定着液Fが消泡して体積が減少することによって余裕ができた加熱を行う空間に、次の泡状定着液Fを連続的に送り込むことができる。このため、液状定着液TLよりも流動性が低い泡状定着液Fであっても、効率的に消泡を行うことができる。
本発明者らは、図8に示す消泡装置300では、泡回収容器400内の泡状定着液Fを、泡搬送ポンプP3で吸引して消泡パイプ310を通過させることで消泡するため、効率的に、かつ確実に消泡できると考えた。しかし、実際に稼動させると、泡搬送ポンプP3によって吸引され、消泡パイプ310に進入した泡状定着液Fは、すばやく消泡パイプ310を通過してしまった。泡状定着液Fが時間をかけて消泡パイプ310通過している間に十分な加熱を行うことを狙った構造であったため、泡状定着液Fが消泡パイプ310をすばやく通過してしまうと、十分な加熱ができず、定着液回収タンク500内に回収された定着液は泡状定着液Fを多く含んでいた。このため、泡状定着液Fを効率良く、かつ確実に消泡して液状定着液TLとすることができる消泡装置が望まれる。また、消泡装置としては、泡状定着液を消泡して液状定着液とするものに限らず、泡状液を通常の液体とする消泡装置であれば、泡状液を、効率良く、かつ確実に消泡して通常の液体とすることが求められる。
本発明は以上の問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、泡状液を、効率良く、かつ確実に消泡して通常の液体とすることができる消泡装置、並びにこれを備えた定着装置及び画像形成装置を提供することである。
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、液中に気泡が分散した泡状液が管状の入口から進入する管状部材と、上記泡状液を上記管状部材の内部に向けて搬送する泡搬送手段と、上記管状部材を加熱する加熱手段とを具備し、該加熱手段によって上記管状部材を加熱することで上記管状部材内を通過する上記泡状液を加熱して破泡させて通常の液体とする消泡装置において、上記泡搬送手段と上記管状部材とを連通する閉空間の内圧を検出する圧力検出手段と、該圧力検出手段によって検出した上記内圧の値が所定の目標圧力値になるように上記泡搬送手段の加圧力を制御する圧力制御手段と、を具備することを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、請求項1記載の消泡装置において、上記目標圧力値が変更可能であることを特徴とするものである。
更に、請求項3の発明は、請求項1又は2に記載の消泡装置において、上記管状部材の温度を検出する温度検出手段と、該温度検出手段によって検出した上記管状部材の温度が所定の目標温度になるように上記加熱手段の加熱力を制御する温度制御手段と、を具備したことを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項3記載の消泡装置において、上記目標温度が変更可能であることを特徴とするものである。
更に、請求項5の発明は、請求項1〜4のいずれか1項に記載の消泡装置において、上記管状部材の上記入口に進入する前の上記泡状液を貯留する泡貯留部を具備し、上記管状部材を上記泡貯留部内の上記泡状液に埋没する位置に配置したことを特徴とするものである。
また、請求項6の発明は、請求項1〜5のいずれか1項に記載の消泡装置において、上記加熱手段は、上記管状部材の外周面を絶縁体で覆い、その外側に配置された抵抗体に電流を流す構成であることを特徴とするものである。
更に、請求項7の発明は、請求項6記載の消泡装置において、上記抵抗体の更に外周を断熱材で覆ったことを特徴とするものである。
また、請求項8の発明は、請求項1〜7のいずれか1項に記載の消泡装置において、上記管状部材は、金属パイプであることを特徴とするものである。
更に、請求項9の発明は、請求項1〜8のいずれか1項に記載の消泡装置において、複数本の上記管状部材を並列に配置することを特徴とするものである。
また、請求項10の発明は、樹脂の少なくとも一部を溶解または膨潤させることで樹脂微粒子を軟化させる軟化剤を含有した液状定着液を液中に気泡が分散した泡状定着液とする定着液泡状化手段と、上記樹脂微粒子からなる樹脂微粒子層を担持する定着液付与対象の表面に上記泡状定着液を付与する泡状定着液付与手段とを有し、上記泡状定着液を付与することで軟化した上記樹脂微粒子を記録媒体に定着する定着装置において、上記泡状定着液を回収し、破泡させて通常の液体の上記液状定着液とする泡状定着液消泡手段を備え、該泡状定着液消泡手段として、請求項1〜9のいずれか1項に記載の消泡装置を用いることを特徴とするものである。
更に、請求項11の発明は、請求項10記載の定着装置において、上記定着液泡状化手段によって上記泡状定着液になり、上記定着液付与対象に付与されず、表面移動体に付着した状態の上記泡状定着液を回収してクリーニングする泡状定着液クリーニング手段を具備し、該泡状定着液クリーニング手段が回収した上記泡状定着液を上記泡状定着液消泡手段によって上記液状定着液とすることを特徴とするものである。
また、請求項12の発明は、樹脂と色剤を含有する樹脂微粒子を含むトナーを用いて記録媒体上にトナー像を形成するトナー像形成手段と、記録媒体に転写するトナー像を担持するトナー像担持体の表面、またはトナー像を担持する記録媒体の表面に定着液を付与し、該記録媒体上に該トナー像を定着せしめる定着手段とを具備する画像形成装置であって、上記定着手段として、請求項10又は11の定着装置を用いることを特徴とするものである。
本発明に係る消泡装置おいては、管状部材と、泡搬送手段と、管状部材を加熱する加熱手段を備える点で図8に示す消泡装置と共通する。しかし、本発明に係る消泡装置は、上記泡搬送手段と上記管状部材とを連通する閉空間の内圧が所定の目標圧力値になるように上記泡搬送手段による圧力を制御する点で、そのような制御を行わない図8の消泡装置とは異なる。図8に示す消泡装置では、泡状液が加熱手段で加熱された管状部材の内壁に接触し、接触した部分の泡が破泡することで泡状液の体積が減少して泡状液は管状部材内を円滑に移動する。このため、図8に示す消泡装置では、泡状液が管状部材をすばやく通過してしまって、十分な加熱ができず、管状部材を通過した液は泡状液を多く含んでしまっていた。
一方、本発明に係る消泡装置では、泡状液が加熱手段で加熱された管状部材の内壁に接触して接触した部分の泡が破泡することで泡状液の体積が減少して管状部材を通過するとき、管状部材と泡搬送手段とを連結する閉空間の内圧が所定の目標圧力値になるように泡搬送手段による圧力を制御する。これにより、管状部材の入口に進入したときと同じ体積の泡状液でも管状部材の通過に時間がかかるようになる。このため、その間に十分な加熱がなされ、より確実に消泡して通常の液体とすることができる。また、通常の液体よりも流動性の低い泡状液を、泡搬送手段によって管状部材に搬送するため、管状部材内で泡状液が消泡して体積が減少することによって余裕ができた加熱を行う空間に、次の泡状液を連続的に送り込むことができ、効率良く消泡を行うことができる。
本発明によれば、泡状液を、効率良く、かつ確実に消泡して通常の液体とすることができるという優れた効果がある。
実施例1の消泡装置の説明図、(a)は消泡装置を備えるクリーニング装置の説明図、(b)は、(a)中の一点鎖線で囲んだ部分の拡大図である。 実施形態に係るプリンタを示す概略構成図である。 同プリンタが備える定着装置の概略図である。 実施例1の変形例の消泡装置の説明図である。 実施例2の消泡装置の説明図、(a)は、消泡装置を備えるクリーニング装置の正面図、(b)は、同クリーニング装置の側面図、(c)は、(b)中の一点鎖線で囲んだ部分の拡大図である。 電熱線の外側を断熱材で覆った消泡パイプの説明図である。 複数本の消泡パイプを並列に配置した消泡装置の説明図。 従来の消泡装置の説明図、(a)は、消泡装置を備えるクリーニング装置の説明図、(b)は、(a)中の一点鎖線で囲んだ部分の拡大図である。
以下、本発明を、電子写真方式によって画像を形成する画像形成装置であるカラープリンタ(以下、プリンタ100と呼ぶ)に適用した実施形態について説明する。なお、本実施形態では本発明の特徴部を備える画像形成装置がプリンタである構成について説明するが、複写機、ファクシミリ等の他の画像形成装置であってもよい。先ず、実施形態に係るプリンタ100の基本的な構成について説明する。図2は、実施形態に係るプリンタ100を示す概略構成図である。
プリンタ100は、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンダ(M)、黒(K)の4色のトナー像を重ね合わせてフルカラーの画像を形成するタンデム方式の多色カラープリンタである。プリンタ100は、4つの感光体ドラム30(Y,M,C,K)、4つのクリーニングユニット31(Y,M,C,K)、4つの帯電装置32(Y,M,C,K)、4つの現像ローラ33(Y,M,C,K)、及び、4つのトナーカートリッジ34(Y,M,C,K)を備える。また、プリンタ100は、光走査装置10、中間転写ベルト40、二次転写ローラ42、定着装置50、給紙コロ54、レジストローラ対56、排紙ローラ対58、給紙トレイ60、排紙トレイ70、及び、通信制御装置80を備える。更に、プリンタ100は、各部を統括的に制御するプリンタ制御装置90を備えている。また、中間転写ベルト40上に形成されたパターン画像の画像濃度を検知するPセンサ45を備えている。
ここで、図2に示すXYZの三次元直交座標系において、各感光体ドラム30の回転軸方向(長手方向)に沿った方向をY軸方向、4つの感光体ドラムの配列方向に沿った方向をX軸方向、プリンタ100における鉛直上方向をZ軸方向として説明する。プリンタ制御装置90は通信制御装置80に接続されており、この通信制御装置80はネットワークなどを介したパーソナルコンピュータ等の上位装置200との双方向の通信を制御する。各感光体ドラム30はいずれも、その表面に感光層が形成されている。すなわち、各感光体ドラム30の表面がそれぞれ光走査装置10による被走査面である。また、各感光体ドラム30は、不図示の回転機構により、図2中の矢印方向に回転するものである。
黒用感光体ドラム30Kの表面近傍には、黒用感光体ドラム30Kの回転方向に沿って、黒用帯電装置32K、黒用現像ローラ33K、黒用クリーニングユニット31Kが配置されている。図2に示すように、黒用感光体ドラム30K、黒用帯電装置32K、黒用現像ローラ33K、黒用トナーカートリッジ34K、及び黒用クリーニングユニット31Kは、組として使用され、黒のトナー像を形成する黒用画像形成ステーションを構成する。
シアン用感光体ドラム30Cの表面近傍には、シアン用感光体ドラム30Cの回転方向に沿って、シアン用帯電装置32C、シアン用現像ローラ33C、シアン用クリーニングユニット31Cが配置されている。図2に示すように、シアン用感光体ドラム30C、シアン用帯電装置32C、シアン用現像ローラ33C、シアン用トナーカートリッジ34C、及びシアン用クリーニングユニット31Cは、組として使用され、シアンのトナー像を形成するシアン用画像形成ステーションを構成する。
マゼンタ用感光体ドラム30Mの表面近傍には、マゼンタ用感光体ドラム30Mの回転方向に沿って、マゼンタ用帯電装置32M、マゼンタ用現像ローラ33M、マゼンタ用クリーニングユニット31Mが配置されている。図2に示すように、マゼンタ用感光体ドラム30M、マゼンタ用帯電装置32M、マゼンタ用現像ローラ33M、マゼンタ用トナーカートリッジ34M、及びマゼンタ用クリーニングユニット31Kは、組として使用され、マゼンタのトナー像を形成するマゼンタ用画像形成ステーションを構成する。
イエロー用感光体ドラム30Yの表面近傍には、イエロー用感光体ドラム30Yの回転方向に沿って、イエロー用帯電装置32Y、イエロー用現像ローラ33Y、イエロー用クリーニングユニット31Yが配置されている。図2に示すように、イエロー用感光体ドラム30Y、イエロー用帯電装置32Y、イエロー用現像ローラ33Y、イエロー用トナーカートリッジ34Y、及びイエロー用クリーニングユニット31Yは、組として使用され、イエローのトナー像を形成するイエロー用画像形成ステーションを構成する。
次に、プリンタ100におけるプリント動作に付いて説明する。プリンタ制御装置90は、上位装置200からのプリント開始命令を受信したり、図示しないプリント開始ボタンが押されたりすると、プリント動作を開始する。プリント動作が開始されると、各帯電装置32は、対応する感光体ドラム30の表面をそれぞれ均一に帯電させる。光走査装置10は、上位装置200からの多色の画像情報(黒画像情報、シアン画像情報、マゼンタ画像情報、イエロー画像情報)に基づいて、各色毎に変調された光束を、対応する感光体ドラム30の帯電された表面にそれぞれ照射する。これにより、各感光体ドラム30の表面では、光が照射された部分だけ電荷が消失し、画像情報に対応した潜像が各感光体ドラム30の表面にそれぞれ形成される。ここで形成された潜像は、感光体ドラム30の回転に伴って対応する現像ローラ33と対向する位置に移動する。
黒用トナーカートリッジ34Kには黒トナーが格納されており、この黒トナーは黒用現像ローラ33Kに供給される。シアン用トナーカートリッジ34Cにはシアントナーが格納されており、このトナーはシアン用現像ローラ33Cに供給される。マゼンタ用トナーカートリッジ34Mにはマゼンタトナーが格納されており、このトナーはマゼンタ用現像ローラ33Mに供給される。イエロー用トナーカートリッジ34Yにはイエロートナーが格納されており、このトナーはイエロー用現像ローラ33Yに供給される。プリンタ100で使用する各色のトナーは、樹脂が含まれる微粒子である。
各現像ローラ33は、回転に伴って、対応するトナーカートリッジ34からのトナーが、その表面に薄く均一に塗布される。そして、各現像ローラ33の表面のトナーは、対応する感光体ドラム30の表面に接すると、この表面における光走査装置10によって光が照射された部分にだけ移行し、そこに付着する。すなわち、各現像ローラ33は、対応する感光体ドラム30の表面に形成された潜像にトナーを付着させて顕像化させる。ここでトナーが付着した像(トナー像)は、感光体ドラム30の回転に伴って中間転写ベルト40と対向する位置に移動する。
各感光体ドラム30の表面上に形成されたイエロー、マゼンタ、シアン、黒の各トナー画像は、所定のタイミングで中間転写ベルト40上に順次転写され、重ね合わされ、フルカラーのトナー像となる。各クリーニングユニット31は、対応する感光体ドラム30の中間転写ベルト40と対向する位置を通過した表面に残ったトナー(残留トナー)を除去する。残留トナーが除去された感光体ドラム30の表面は、再度対応する帯電装置32に対向する位置に戻る。
中間転写ベルト40の下方に配置されている給紙トレイ60には記録紙Pが格納されている。この給紙トレイ60の近傍には給紙コロ54が配置されており、給紙コロ54は、記録紙Pを給紙トレイ60から1枚づつ取り出し、レジストローラ対56に向けて搬送する。レジストローラ対56は、所定のタイミングで不図示の駆動モータが駆動することで回転し、記録紙Pを中間転写ベルト40と二次転写ローラ42との対向部である二次転写ニップに向けて送り出す。これにより、中間転写ベルト40上のフルカラーのトナー像が記録紙Pに転写され、記録紙上にフルカラー画像のトナー層が形成される。二次転写ニップでフルカラーのトナー像が転写された記録紙Pは、定着装置50に送られる。
図3は定着装置50の概略説明図である。同図は図2に示す定着装置50を紙面裏側から見た図面であり、図中のX方向及びY方向が図3と図2とでは逆方向としている。以下では、便宜上、泡を含まない定着液を「液状定着液TL」といい、泡状となった定着液を「泡状定着液F」という。また、泡状定着液Fのうち、液状定着液TLの状態から起泡されて泡径が所望の泡径よりも大きい状態の泡状定着液Fを「初期泡状定着液Fa」といい、初期泡状定着液Faの状態から分泡して所望の泡径となった泡状定着液Fを「小径泡状定着液Fb」という。
定着装置50は、詳細は後述する泡状定着液生成部51と定着液塗布部52とを備える。泡状定着液生成部51は、液状の定着液から液中に気泡が分散した泡状定着液Fを生成し、定着液塗布部52の塗布ローラ521の表面上に泡状定着液Fを供給する。定着液塗布部52は、塗布ローラ521、加圧ローラ522、泡状定着液膜厚調整ブレード523及びクリーニング装置20等を有している。図3に示すように、記録紙Pは、図中の+Z側の面にトナー画像であるトナー層Tが転写されており、図中矢印Dで示すように−X方向に進行している。以下では、記録紙Pにおける+Z側の面を「おもて面」、−Z側の面を「裏面」ともいう。塗布ローラ521は、Y軸方向を長手方向とし、Y軸に平行な軸回りに図中の矢印B方向(反時計回り方向)に回転する。加圧ローラ522は、Y軸方向を長手方向とし、Y軸に平行な軸回りに図中の矢印C方向(時計回り方向)に回転する。
図3に示すように、加圧ローラ522は塗布ローラ521の下方に当接しており、塗布ローラ521と加圧ローラ522との当接部に記録紙Pを挟み込む塗布ニップNが形成されている。定着液塗布部52は、未定着のトナー層Tからなる未定着画像を担持する記録紙Pのおもて面に泡状定着液生成部51で生成された泡状定着液Fを塗布ニップNで塗布する構成である。定着装置50は、塗布ニップNで泡状定着液Fによって記録紙P上のトナー層Tに含まれる樹脂を軟化させるとともに、加圧ローラ522の塗布ローラ521に対する当接圧によって圧力を加えてトナー層Tを記録紙Pに定着させる。定着装置50でトナー層Tが定着された記録紙Pは、図2に示す排紙ローラ対58に向かって搬送され、排紙ローラ対58の回転により排紙トレイ70上に排出される。
定着装置50では、泡状定着液生成部51で生成された泡状定着液Fは、泡付与ヘッド514を介して、塗布ローラ521の+Z側の面上に供給され、塗布ローラ521の回転に伴って、塗布ニップNに向かって移動する。泡状定着液膜厚調整ブレード523は、塗布ローラ521の−X側に配置され、塗布ローラ521の表面上に担持された泡状定着液Fの膜厚を所定の厚さに規制する。
塗布ローラ521上での必要な泡膜厚は、次の計算で簡単に求めることができる。ここでは、A4(297×210[mm])の記録紙Pに必要な定着液量(以下、液必要量という)を0.1[g]とする。定着液量がこの液必要量より多ければ多いいほど、記録紙Pが定着液によって膨潤し、カールが目立つようになって、商品価値が著しく低下する。また、定着液量が液必要量よりも少ないと、定着不良を起こしてしまう。ここで、泡状定着液Fの嵩密度を0.02[g/cm](=0.02/1000[g/mm])、液状定着液TLの比重を1、塗布ローラ521上での必要な泡膜の厚さをt[mm]とすると、次の(1)式の関係が成立する。
(297×210×t)×0.02/1000=0.1 ・・・・・・(1)
上記(1)式を解くと、t=0.08[mm]となる。すなわち、必要な泡膜の厚さは約80[μm]となる。なお、実際には、塗布ローラ521上の泡状定着液Fの全てが記録紙Pに転写される訳ではない。仮に、泡状定着液Fの記録紙Pへの転写率を90[%]とすると、80[μm]/0.9=88[μm]となる。すなわち、約90[μm]の厚さの泡膜を塗布ローラ521上に作成すれば良いこととなる。
通常、厚さ90[μm]の泡膜を作るには、泡状定着液Fを隙間が90[μm]のスリットに通せば良い。すなわち、塗布ローラ521上に泡状定着液膜厚調整ブレード523を置き、塗布ローラ521の表面との隙間を90[μm]に保ち、その間に泡状定着液Fを通せば良いことになる。しかしながら、90[μm]の間隙を安定的に維持するのは機構上大変難しい。なぜなら、部品には必ず公差があるためである。例えば、泡状定着液膜厚調整ブレード523の平面度や塗布ローラ521の真直度や真円度、それに塗布ローラ521は回転するので回転振れも考慮する必要がある。そして、記録紙Pが通る幅全てにわたって間隙を90[μm]にするのは、プリンタのような量産型の機械で実現するのは非常に困難である。
そこで、本実施形態の定着装置50では、製造時に泡状定着液膜厚調整ブレード523と塗布ローラ521の表面との間に90[μm]の間隙はあえて作らない構成とした。ここでは、泡状定着液膜厚調整ブレード523は、不図示のばね(以下では、「付勢ばね」という)によって塗布ローラ521の方向に付勢されている。これにより、泡状定着液Fが供給されていないときは、泡状定着液膜厚調整ブレード523の先端は塗布ローラ521の表面に接触する。そして、塗布ローラ521の表面に泡状定着液Fが供給されて、塗布ローラ521の回転によって供給された泡状定着液Fが泡状定着液膜厚調整ブレード523の接触する位置まで到達すると、泡状定着液F自体の泡状定着液膜厚調整ブレード523に対する反発力で付勢ばねが押し戻される。このとき、付勢ばねの付勢力と泡状定着液Fの反発力とが釣り合ったところまで泡状定着液膜厚調整ブレード523は押し上げられ、塗布ローラ521の表面との間に間隙が形成される。この間隙の大きさは、付勢ばねの付勢力に依存するため、泡膜の厚さが約90[μm]となるように付勢ばねの付勢力を設定すれば良い。
また、カム等を用いた機構により、上記付勢バネの泡状定着液膜厚調整ブレード523とは反対側の端部を支持する付勢バネ支持部材の塗布ローラ521に対する位置を変更可能な構成としても良い。これにより、上記付勢バネ支持部材を塗布ローラ521に近付けると、上記付勢バネによる付勢力が高まり、泡膜の厚さを薄くすることができる。一方、上記付勢バネ支持部材を塗布ローラ521から遠ざけると、上記付勢バネによる付勢力が低くなり、泡膜の厚さを厚くすることができる。このように、塗布ローラ521上の泡状定着液Fの泡膜の厚さを調節することにより、記録紙Pに対する定着液の塗布量を調節することができる。
泡状定着液膜厚調整ブレード523で所望の膜厚とされた泡状定着液Fは、塗布ローラ521の回転に伴って、塗布ニップNに向かって移動する。塗布ニップNでは、搬送されてきた記録紙Pの表面に泡状定着液Fが塗布されるとともに、Z軸方向の圧力が記録紙Pに印加される。そして、記録紙Pのおもて面上のトナー層Tのトナーは、含有する樹脂の少なくとも一部が定着液に含まれる軟化剤によって溶解あるいは膨潤されて軟化し、記録紙Pの表面に定着される。そして、詳細は後述するクリーニング装置20は、クリーニングブレード524によって塗布ニップNで塗布ローラ521から記録紙Pに移行しきれなかった泡状定着液F、及び記録紙Pから移行した少量のオフセットトナーを除去する。
定着装置50の泡状定着液生成部51は、泡発生容器511、定着液収容ボトル512、泡小径化装置513及び泡付与ヘッド514等を備える。定着液収容ボトル512には、トナーに含まれる樹脂の少なくとも一部を溶解あるいは膨潤させる軟化剤を含有する液状定着液TLが収容されている。定着液収容ボトル512には、収容する液状定着液TLの液面である補給液面LSaが下がったときに定着液収容ボトル512内が負圧にならないように小さな孔である空気孔512aが空けられている。また、泡発生容器511は、定着液収容ボトル512から供給される液状定着液TLを貯留し、貯留した液状定着液TLから泡状定着液Fが発生する容器である。ここで、泡発生容器511内で発生する泡状定着液Fは、塗布に適した状態よりも泡径の大きな初期泡状定着液Faである。更に、泡発生容器511の内部の壁面には、泡発生容器511に貯留された液状定着液TLの液面である泡発生液面LSbの高さを検出する液面検知センサPSが配置されている。
泡小径化装置513は、泡発生容器511内で発生した泡径の大きな初期泡状定着液Faに、剪断力を付与して分泡することで泡状定着液Fの泡径を小径化し、泡径が塗布に適した状態の小径泡状定着液Fbを生成する装置である。この泡小径化装置513は、泡搬送管L3に接続された容器内に不図示の撹拌部材を備え、撹拌モータM1の駆動により撹拌部材が回転し、容器内の泡状定着液Fに剪断力を付与する構成である。泡径の大きな初期泡状定着液Faに剪断力を付与して小径泡状定着液Fbを生成する構成としては、撹拌部材を用いる構成に限るものではなく、泡径が所望の大きさよりも大きい泡状定着液Fに剪断力を付与して、分泡せしめることができる構成であればよい。例えば、二重円筒の内部の円筒部材を回転させることによって泡状定着液Fに剪断力を付与する構成も適用可能である。泡付与ヘッド514は、泡小径化装置513で生成された小径泡状定着液Fbを定着液塗布部52の塗布ローラ521の表面に付与する部材である。
また、泡状定着液生成部51は、定着液補給ポンプP1と定着液補給管L1とを備える。定着液補給ポンプP1は、駆動することによって定着液収容ボトル512内の液状定着液TLを泡発生容器511に補給する。定着液補給管L1は、定着液補給ポンプP1の駆動により泡発生容器511に補給される液状定着液TLが通過する搬送路を形成する。
また、泡状定着液生成部51は、駆動することによって矢印Aで示すように大気中から空気を吸引し、泡発生容器511内の液状定着液TLの液中に空気を送り込む空気ポンプP2と、空気ポンプP2の駆動により液中に送り込まれる空気が通過する空気供給管L2とを備える。空気供給管L2における空気ポンプP2に対して反対側の端部には、多孔質体であるエアストーンASが取り付けられており、エアストーンASは泡発生容器511内の液状定着液TLの液中に配置されている。
更に、泡状定着液生成部51は、液面検知センサPSによる検知結果を受信し、この検知結果に基づいて、定着液補給ポンプP1の駆動を制御し、プリント開始命令に基づいて空気ポンプP2及び撹拌モータM1等の駆動を制御する定着制御回路CSを備える。
定着液補給管L1は、+X側の開口端が泡発生容器511内の液状定着液TLの泡発生液面LSb付近または液中に配置されていることが望ましい。定着液補給管L1の泡発生容器511側の開口端が泡発生液面LSbから離れた高い場所に配置されていると液状定着液TLを補給するときに、定着液補給管L1の開口端から放出された液状定着液TLが泡発生液面LSbに到達するまでに重量で加速される。その結果、補給された液状定着液TLが泡発生液面LSbに激しく衝突するおそれがある。液状定着液TLが泡発生液面LSbに激しく衝突すると気泡を発生してしまうおそれがある。また、液状定着液TLが定着液補給管L1の開口端から放出された後に泡発生液面LSbに到達するまでに、泡発生液面LSbから上昇してくる泡状定着液Fに衝突して、泡を壊してしまうおそれがある。よって、定着装置50では、図3に示すように、定着液補給管L1の泡発生容器511側の開口端は泡発生液面LSbよりも下方の液状定着液TLの液中に配置されている。
一方、定着液補給管L1の−X側の開口端は、定着液収容ボトル512の最下部に位置している。定着液補給管L1の定着液収容ボトル512側の開口端の位置が高いと、その位置よりも下方の液状定着液TLを吸い上げることができず、液状定着液TLの無駄が多くなってしまう。定着装置50では、図3に示すように、定着液補給管L1の定着液収容ボトル512側の開口端を定着液収容ボトル512の最下部に位置させることで液状定着液TLの無駄を抑制することができる。
また、定着液補給ポンプP1は、定着液補給管L1の途中に配置されており、必要に応じて駆動されることで、定着液収容ボトル512側の開口端から泡発生容器511内へ液状定着液TLを送り込む。
空気ポンプP2は、空気供給管L2を介して大気中の空気を泡発生容器511内のエアストーンASに送り込む。エアストーンASは多孔質のセラミックでできており、泡発生容器511に貯留された液状定着液TLの液中に細かい泡を発生する。泡搬送管L3は、+X側の開口端が泡小径化装置513に接続されている。また、泡搬送管L3の−X側の開口端である入口部L3aが泡発生容器511内であって、液検知手段の検知部である液面検知センサPSよりも十分に高い位置に、本実施形態では泡発生容器511の最上部付近の位置に配置されている。
ここでは、一例として、Z軸方向に関して、液状定着液TLの泡発生液面LSbから入口部L3aまでの距離は百数十[mm]とし、泡発生容器511の底面から液状定着液TLの泡発生液面LSbまでの距離は約30[mm]としている。
また、泡状定着液生成部51の泡付与ヘッド514は、塗布ローラ521の直上(+Z側)に配置されている。また、2つのポンプ(P1及びP2)の駆動は、プリンタ制御装置90から定着制御回路CSに送信される制御信号によってオン及びオフが可能である。
本発明者等は、種々の実験に基づいて、記録紙Pに塗布する泡状定着液Fにおける定着液と空気との割合は、1対25から1対50程度、すなわち嵩密度としては、0.04[g/cm]〜0.02[g/cm]の範囲であることが望ましいという知見を得ている。
ここで、泡状定着液Fの嵩密度の測定方法について説明する。
容積及び質量が予め分かっている容器に測定対象の泡状定着液Fを容積を超えて容器から溢れるぐらいまで充填する。充填後、速やかに容器から溢れた分の泡状定着液Fをすり切る。すり切りを行った後、泡が充填された状態の容器の重さ質量を測定する。このとき測定された泡状定着液が充填された容器の質量から予め分かっている容器のみの質量を引くことで、容器に充填された泡状定着液Fのみの質量を算出することができる。そして、算出された泡状定着液Fのみの質量を予め分かっている容器の容積で除することで測定対象の泡状定着液Fの嵩密度を算出することができる。泡状定着液Fの嵩密度を正確に測定するには、このような工程を行う必要があるため、定着装置50で生成される泡状定着液Fの嵩密度をリアルタイムで算出することは困難である。
また、泡状定着液Fの嵩密度が上述した望ましい範囲よりも高いと液状の定着液に近い状態となり、液体内にトナーが巻き込まれて移動して記録紙P上に定着する、所謂、画像流れが発生し易くなり画像劣化が起き易くなる。更に、ある体積の泡状定着液Fに含まれる定着液の量が過剰なため、必要以上の量の定着液を使用することにななり、使用効率が落ちてしまう。一方、泡状定着液Fの嵩密度が上述した望ましい範囲よりも低すぎると、ある体積の泡状定着液Fに含まれる定着液の量が不足するため、記録紙Pに必要量の定着液が移行せず定着不良が起きる。
本発明者等は、種々の実験から、記録紙Pに塗布する泡状定着液Fの泡径の平均は、20[μm]程度が望ましいという知見を得ている。泡状定着液Fを構成する泡の空気部には定着液がないため、泡径が大き過ぎると空気部にあるトナーは軟化せず定着しない。つまり定着ムラが起きてしまう。また、泡径が小さ過ぎると塗布ローラ521に対する濡れ性が極端に落ちたドライフォームのような状態になり、泡状定着液膜厚調整ブレード523で均しても塗布ローラ521上で均一な泡膜にならないため、やはりムラになってしまう。定着装置50では、泡発生容器511内で生成した泡径の大きな初期泡状定着液Faに対して泡小径化装置513で剪断力を付与して分泡することで泡径の平均が20[μm]程度の小径泡状定着液Fbを生成する。
上述したような理由により、泡状定着液の嵩密度と泡径とは定着性能に対して良好な範囲がある。もちろん定着液の種類やトナー種等により良好な部分は異なるが、定着液を泡にして定着させる方式には基本的にこのような範囲が存在する。
泡状定着液生成部51では、空気ポンプP2で空気を送り込むことによって泡発生容器511内の気圧を高め、泡発生容器511内と泡小径化装置513の容器内との間に圧力差を生じさせている。この圧力差によって泡搬送管L3内の初期泡状定着液Faに圧力が加わり、泡発生容器511から泡小径化装置513への初期泡状定着液Faの搬送がなされる。定着装置50では、泡発生容器511内の気圧が大気圧よりも約40[kPa]〜約50[kPa]程度高くなるように設定しているが、泡発生容器511内の気圧の設定としてはこれに限るものではない。定着装置50が備える泡搬送管L3内での初期泡状定着液Faの搬送のように、泡状定着液Fに圧力を加えて管状の部材の内部を搬送する場合、泡状定着液Fの嵩密度が高いと送りやすく、嵩密度が低いと送りにくくなる。
定着制御回路CSは、プリンタ制御装置90からプリント動作を開始する信号を受信すると、空気ポンプP2及び撹拌モータM1を作動させる。空気ポンプP2の作動により、大気中の空気が図3中の矢印Aで示すように空気ポンプP2に吸引され、泡発生容器511内のエアストーンASから液状定着液TLの液中に空気が吹き込まれ、初期泡状定着液Faが泡発生容器511内の泡発生液面LSbから生成される。
泡発生容器511内で生成された初期泡状定着液Faは、先に発生した初期泡状定着液Faが後から発生した初期泡状定着液Faに押し上げられて、泡発生容器511内を上方に移動し、泡搬送管L3の入口部L3aの位置まで到達し、泡搬送管L3内に進入する。泡搬送管L3内に進入した初期泡状定着液Faは、図中の矢印Eで示すように泡搬送管L3を介して泡小径化装置513に搬送される。そして、泡小径化装置513で、撹拌モータM1の駆動によって回転する不図示の撹拌羽に剪断力を付与されることで小径泡状定着液Fbとなり、図中の矢印Qで示すように泡付与ヘッド514に搬送された後、塗布ローラ521の表面に供給される。すなわち、泡状定着液生成部51で生成された泡状定着液Fが消費される。
泡状定着液生成部51では生成された泡状定着液Fが消費されるにつれて、泡発生容器511内での液状定着液TLの泡発生液面LSbが徐々に下がる。この時、定着制御回路CSは泡発生液面LSbの高さを一定に保つための制御を行う。具体的には、泡発生容器511内での液状定着液TLの泡発生液面LSbが、液面検知センサPSの位置よりも低くなると、定着制御回路CSは定着液補給ポンプP1を作動させる。定着液補給ポンプP1が作動することで、定着液収容ボトル512内の液状定着液TLが図3中の矢印Jで示すように定着液補給管L1を介して泡発生容器511内に送り込まれる。
泡発生容器511内での液状定着液TLの泡発生液面LSbが上昇し、液状定着液TLが液面検知センサPSの位置に到達すると定着制御回路CSは定着液補給ポンプP1を停止する。定着液補給ポンプP1が停止することで、定着液収容ボトル512内の液状定着液TLが定着液補給管L1を介して泡発生容器511内に送り込まれる補給動作が停止する。このようにして泡発生容器511の泡発生液面LSbの高さは一定に保たれる。以降、生成された泡状定着液Fが消費されて、泡発生容器511内での液状定着液TLの泡発生液面LSbが、液面検知センサPSの位置よりも低くなると、同様に、定着液収容ボトル512から泡発生容器511への液状定着液TLの供給が行われる。このようにして、泡状定着液生成部51で泡状定着液Fが生成されているときには、泡発生容器511内における液状定着液TLの泡発生液面LSbが、所望の液面レベルに対応する位置に維持されることとなる。この泡発生液面LSbを一定に維持することは、一定の泡密度の泡を生成するために重要である。
泡発生容器511内の液状定着液TLに空気を連続的に吹き込んで定着液の泡を作成する場合、泡発生液面LSbから泡発生容器511内に配置された泡搬送管L3の入口部L3aまでの距離と嵩密度の間には密接な関係がある。泡発生容器511内の液状定着液TLに空気を連続的に吹き込むことで、泡発生液面LSbで発生した初期泡状定着液Faは、後から発生する泡に押し上げられて泡搬送管L3の入口部L3aに向かって上昇する。このとき、泡発生容器511内における初期泡状定着液Faの嵩密度は、泡発生液面LSbで発生した直後の初期泡状定着液Faの嵩密度が最大である。そして、泡搬送管L3の入口部L3aに向かって上昇する間に、重力により徐々に液の部分が泡発生液面LSbに向かい落ちていく。つまり、泡搬送管L3の入口部L3aに到達したときには泡発生液面LSbで発生した直後の初期泡状定着液Faと比べて嵩密度がかなり低下している。
本発明者らが実験を行ったところ、液状定着液TLの泡発生液面LSbから入口部L3aまでの距離を百数十[mm]とした場合、泡発生液面LSbから入口部L3aまでの距離が10[mm]長くなると泡密度は約0.004[g/cm]低下した。このように、泡発生液面LSbから入口部L3aまでの距離が変化すると生成される泡状定着液の嵩密度が変化するため、所望の嵩密度を得るには、泡発生液面LSbを所望の液面レベルに対応する位置に維持することが重要である。
また、泡径の大きな初期泡状定着液Faを生成する構成としては、空気ポンプによって液状定着液TLの液中に空気を送り込む、バブリングを用いた構成に限るものではない。例えば、微小孔シートに液状定着液TLと空気とを通過させて初期泡状定着液Faを生成する構成も適用可能である。
次に、クリーニング装置20について説明する。
塗布ニップNで塗布ローラ521から記録紙Pに移行しきれなかった泡状定着液Fや記録紙Pから移行した少量のオフセットトナーは、クリーニング装置20のクリーニングブレード524によってかき取られて塗布ローラ521の表面上から除去される。クリーニングブレード524でかき取られた泡状定着液Fは、泡回収容器400内のクリーニングブレード524と塗布ローラ521との接触する付近に蓄積する。クリーニング装置20は、クリーニングブレード524によって回収され、泡回収容器400に蓄積した泡状定着液Fを、消泡装置300で消泡して液状定着液TLとして、定着液回収タンク500内に回収する構成である。液状定着液TLは度量の泡状定着液Fと比較して、1/25〜1/50程度の体積である。このため、泡状定着液Fを液化して液状定着液TLの状態で保存することにより、回収した定着液を収容するスペース(定着装置50では定着液回収タンク500)の小型化を図ることができ、定着装置50全体の小型化を図ることができる。
〔実施例1〕
次に、本発明の特徴部を備えた消泡装置300の一つ目の実施例(以下、実施例1と呼ぶ)について図面を用いて説明する。図1は実施例1の消泡装置300の説明図であり、図1の(a)は、実施例1の消泡装置300を備えるクリーニング装置20の説明図であり、図1の(b)は、図1の(a)中の一点鎖線で囲んだ部分の拡大図である。
図1に示す消泡装置300は、主に管状部材である消泡パイプ310と、泡搬送ポンプP3と、加熱手段である電熱線320とを含んで構成される。管状の入口から泡状定着液Fが進入する消泡パイプ310の内径が4[mm]となっている。また、泡搬送ポンプP3は、泡回収容器400に蓄積した泡状定着液Fを吸引して消泡パイプ310内に向けて搬送する。電熱線320は、消泡パイプ310の外周に被覆された絶縁シート330の外側に巻きつけられており、不図示の電源から電流が印加されることで、消泡パイプ310を加熱する。この電源のON/OFFの制御は定着制御回路CSによって行われる。
消泡装置300では、泡状定着液Fを泡搬送ポンプP3で吸引し、電熱線320によって加熱された消泡パイプ310内を通過させて液化した後、定着液回収タンク500に流し込む。このような消泡装置300で消泡を行うときに重要なことは、泡状定着液Fを加熱された消泡パイプ310内をゆっくり通過させ液化するために十分な熱を与えることである。
泡状定着液Fは、液中に取り込まれた多数の気泡と気泡同士の間を仕切る定着液の液膜とによって形成されている。そして、このような泡状定着液Fを加熱すると、液膜を構成する定着液の粘度が低下し、重力によって定着液が下方に移動するため、気泡の上部にある液膜が薄くなることで破泡する。また、泡状液は通常の液体や空気に比べて、管状部材のような狭い流路を非常に通過し難い性質を持っている。更に、長期間使用した場合、管状部材の内壁に軟化したトナーが蓄積し流路が狭くなり、工場出荷時の泡搬送ポンプPの圧力設定では泡状液の搬送能力が不足する場合などに対応するため、泡搬送ポンプPの圧力設定をサービスマンが変更できるように構成する。なお、泡状定着液の搬送は図1のような消泡パイプに対して加圧するものに限らず、図4に示すように消泡パイプ、回収液タンクを連通する閉空間内を負圧にする構成とする。詳細には、図4に示すように泡搬送ポンプP4によって回収液タンクから排気する。その負圧を圧力センサ340によって検出し、検出結果を定着制御回路CSにフィードバックして負圧が目標値となるように泡搬送ポンプP4の圧力を制御する。
図1に示すような消泡装置300が備える消泡パイプ310は、入口311から出口312までの断面が一様な管状部材であり、内径を4[mm]、長さを200[mm]とした。そして、図1に示す消泡装置300では、泡搬送ポンプPによって消泡パイプ310の入口を通過する泡状液に加えられる圧力を圧力センサ等の圧力センサ340で検出し、その検出結果を定着制御回路CSにフィードバックし、一定で低い圧力例えば10[kPa]になるように泡搬送ポンプPを制御する。これにより、泡状液が電熱線320で加熱された消泡パイプ310の内壁に接触して接触した部分の泡が破泡することで泡状液の体積が減少して消泡パイプ310を通過するとき搬送ポンプPの圧力を制御することにより搬送抵抗が一気に減少せずに泡状液が消泡パイプ310を通過する時間がかかるようになる。これにより、消泡パイプ310の内部という狭い空間を、時間をかけて移動する泡状定着液Fを電熱線320によって昇温した消泡パイプ310によって加熱することで、確実に消泡を行うことができる。
〔実施例2〕
次に、本発明の特徴部を備えた消泡装置300の二つ目の実施例(以下、実施例2と呼ぶ)について図面を用いて説明する。図5は実施例2の消泡装置300の説明図であり、図5の(a)は、実施例2の消泡装置300を備えるクリーニング装置20の正面図、図5の(b)は、実施例2の消泡装置300を備えるクリーニング装置20の側面図、図5の(c)は、図5の(b)中の一点鎖線で囲んだ部分の拡大図である。実施例2の消泡装置300は、消泡パイプ310の入口311に進入する前の泡状定着液Fを貯留する泡回収容器400も構成の一部であり、消泡パイプ310を泡回収容器400内の泡状定着液Fに埋没する位置に配置している。
電熱線320は、消泡パイプ310を介して消泡パイプ310内を通過する泡状定着液Fを加熱するが、電熱線320で生じる熱は、消泡パイプ310に伝達のみではなく、消泡パイプ310の周辺に放熱する。このように電熱線320で生じる熱を消泡パイプ310の周辺に放熱させることは、放熱した熱は消泡に寄与しないため、エネルギーの無駄につながる。このような問題に対して、実施例2の消泡装置300は、電熱線320が巻きつけられた消泡パイプ310を、クリーニングブレード524によって塗布ローラ521の表面から掻き取られ、泡回収容器400内に貯留された泡状定着液Fの中に埋没するように設置している。このような構成により、泡搬送ポンプP3によって消泡パイプ310内に吸引される前の泡状定着液Fを上述した放熱で予め暖めておくことができ、効率よい液化を行うことができる。
また、配置スペース等の問題により、実施例2の消泡装置300のように、消泡パイプ310を泡回収容器400内の泡状定着液Fの中に埋没させることができない場合は、図5に示すように、電熱線320の外側を断熱材350で覆った消泡パイプ310を用いることが望ましい。図6に示す消泡パイプ310は、表面を絶縁シート330で被覆し、その外側に電熱線320を巻き付け、更に、その外側を断熱材350で覆った構成である。断熱材350で覆う構成とすることにより、周辺への放熱による加熱効率の低下を抑制することができる。
本実施形態の消泡装置300では、消泡パイプ310内に泡状定着液Fを通過させることで液化させることができるが、単位時間当たりに消泡パイプ310を通過する泡状定着液Fの量は一定ではない。このため、泡状定着液Fの単位時間当たりの通過量が多いときに合せて加熱すると通過量が少ないときにはエネルギーが無駄である。一方、単位時間当たりの通過量が少ないときに合せて加熱すると、通過量が多いときに十分液化ができず、一部泡が残ってしまう。このため、図1及び図3に示す消泡装置20のように、消泡パイプ310の温度を検出する温度検出手段として温度センサ360を設けてもよい。図1及び図3に示す消泡装置20では、定着制御回路CSが温度センサ360の検出結果に基づいて消泡パイプ310の温度が所定の目標温度となるように電熱線320の加熱力を制御する温度制御手段としての機能を備える。このように、温度センサ360の検知結果に基づいて消泡パイプ310の温度を目標温度とする制御を行うことで、エネルギーの無駄が無い液化を行うことができる。また、寒冷地などで工場出荷時の温度設定では液化能力が不足する場合などに対応するため、上記目標温度をサービスマンが変更できるように構成する。
また、消泡装置300としては、図7に示すように、複数本の消泡パイプ310を並列に配置しても良い。本実施形態の消泡装置300では、消泡パイプ310の入口311と泡搬送ポンプP3とを連通する閉空間に圧力センサ340をそれぞれ設け、圧力センサ340の検出結果に基づいて泡搬送ポンプP3の圧力を制御することで、泡状定着液Fが消泡パイプ310内の移動を制御している。このため、処理すべき泡状液の量によっては、一本の消泡パイプ310のみでは液化するのに能力不足となる場合がある。このような場合、複数本の消泡パイプ310を並列に接続して、各消泡パイプ310の内部に向けて泡搬送ポンプP3によって泡状液を通過させて消泡することで対応することができる。
本実施形態の画像形成装置であるプリンタ100では、定着装置50が泡状定着液Fを効率良く、かつ確実に液化することができる消泡装置300を備えている。このため、定着装置50は残留泡状定着液を液状定着液の状態で保存することができ、回収した定着液を収容するスペースの小型化を図ることができ、定着装置50全体の小型化を図ることができる。よって、このような定着装置50を備えるプリンタ100全体の小型化も図ることができる。
また、本実施形態の定着装置50では、塗布ローラ521上に残留した残留泡状定着液を回収し、液化する消泡装置300について説明した。消泡装置300としては、クリーニング装置20で残留泡状定着液を液化する構成に限るものではなく、泡状定着液Fを液状定着液TLとすることが求められる箇所では何れの箇所においても適用可能である。更に、消泡装置300としては、画像形成装置で使用される泡状定着液を液化する構成に限らず、泡状液を液化する構成であれば適用可能である。
以上説明したように、実施形態によれば、液中に気泡が分散した泡状定着液Fを破泡させて通常の液体である液状定着液TLとする構成として、泡状定着液Fが管状の入口から進入する消泡パイプ310と、泡状定着液Fを消泡パイプ310の内部に向けて搬送する泡搬送ポンプP3と、消泡パイプ310を加熱する電熱線320とを具備している。そして、圧力センサ340によって、泡搬送ポンプP3と消泡パイプ310とを連通する閉空間の内圧を検出する。その圧力センサ340の検出結果である内圧の値が所定の目標圧力値になるように泡搬送ポンプP3による圧力を制御する。このため、入口311近傍で泡状定着液Fが消泡パイプ310に接触する部分が破泡し、その分の体積が減少しても、一様な管状部材内を通過するように泡状定着液Fが消泡パイプ310を円滑に移動することができず、消泡パイプ310の通過に時間がかかる。このため、その間に、十分な加熱がなされ、より確実に消泡して通常の液体からなる液状定着液TLとすることができる。また、液状定着液TLよりも流動性の低い泡状定着液Fを、泡搬送ポンプP3によって消泡パイプ310に搬送するため、消泡パイプ310内で泡状定着液Fが消泡して体積が減少することによって余裕ができた加熱を行う空間に、次の泡状定着液Fを連続的に送り込むことができ、効率良く消泡を行うことができる。更に、泡のまま収容するのではなく、液化した状態で収容することにより、泡のときに比べて体積を1/25程度に減少できるので、保存スペースを小さくできる。
また、実施形態によれば、消泡パイプ310の入口311に進入する前の泡状定着液Fを貯留する泡貯留部である泡回収容器400を備え、消泡パイプ310を泡回収容器400内の泡状定着液Fに埋没する位置に配置している。これにより、電熱線320から発生して消泡パイプ310内の泡状定着液Fの加熱に寄与しない放熱を用いて、泡搬送ポンプP3によって消泡パイプ310内に吸引される前の泡状定着液Fを予め暖めておくことができ、効率よい液化を行うことができる。
更に、実施形態によれば、加熱手段として、消泡パイプ310の外周面を絶縁体である絶縁シート330で覆い、その外側に配置された抵抗体である電熱線320に電流を流す構成である。このような構成により、簡易な構成で、効率よく消泡パイプ310内を通過する泡状定着液Fを加熱することができる。
また、実施形態によれば、図6に示すように、電熱線320の外側を断熱材350で覆うことにより、周辺への放熱による加熱効率の低下を抑制することができる。
更に、実施形態によれば、消泡パイプ310として、金属パイプを用いることで、低コストに作成することができる。
また、実施形態によれば、図1を用いて説明した定着装置50が備える消泡装置300のように、消泡パイプ310の温度を検出する温度検出手段である温度センサ360と、温度センサ360の検出結果に基づいて消泡パイプ310の温度が所定の目標温度となるように電熱線320の加熱力を制御する温度制御手段とを備える構成が望ましい。温度センサ360の検知結果に基づいて消泡パイプ310の温度を目標温度とする制御を行うことで、エネルギーの無駄が無い液化を行うことができる。また、図1に示す定着装置50では、定着制御回路CSが消泡装置300の温度制御手段としての機能を備える。
更に、実施形態によれば、図1を用いて説明した定着装置50としては、目標温度が変更可能であることが望ましい。目標温度を変更可能とすることで、寒冷地などで工場出荷時の目標温度の温度設定では液化能力が不足する場合であっても、サービスマンが目標温度を変更することで対応することができる。
また、実施形態によれば、図7に示す消泡装置300のように、複数本の消泡パイプ310を並列に配置することにより、確実に液化する構成を維持しつつ、泡状液を液化する処理能力を高めることができる。
更に、実施形態の定着装置50は、樹脂の少なくとも一部を溶解または膨潤させることで樹脂微粒子であるトナーを軟化させる軟化剤を含有した液状定着液TLを液中に気泡が分散した泡状定着液Fとする定着液泡状化手段である泡状定着液生成部51と、樹脂微粒子からなるトナー層Tを担持する定着液付与対象である記録紙Pの表面に泡状定着液を付与する泡状定着液付与手段である定着液塗布部52とを有し、泡状定着液Fを付与することで軟化したトナーを記録紙Pに定着する構成である。このような定着装置50において、泡状定着液Fを回収し、破泡させて通常の液体の液状定着液TLとする泡状定着液消泡手段として、消泡装置300を用いることにより、泡状定着液Fを効率的に、かつ、確実に液状定着液TLとすることができるため、回収した定着液を収容するスペースの小型化を図ることができ、定着装置50全体の小型化を図ることができる。
また、実施形態の定着装置50は、泡状定着液生成部51によって泡状定着液Fになり、記録紙Pに付与されず、表面移動体である塗布ローラ521に付着した状態の泡状定着液Fを回収してクリーニングする泡状定着液クリーニング手段であるクリーニング装置20を備え、クリーニング装置20が回収した泡状定着液Fを消泡装置300によって液状定着液TLとしている。泡状定着液Fは嵩が大きい(嵩密度が小さい)ので、例えばその数パーセントが残留するとしても、塗布ローラ521の表面上に残留した泡状定着液Fをそのまま放置すると、正常な定着動作を妨げたり周囲を汚染したり恐れがある。これに対して、定着装置50では、塗布ローラ521の表面上の残留泡状定着液をクリーニング装置20で回収し、消泡装置300で液化して保存するため、泡状定着液Fをそのまま放置することに起因する問題の発生を防止することができる。
更に、本実施形態のプリンタ100は、樹脂と色剤を含有する樹脂微粒子を含むトナーを用いて記録媒体である記録紙P上にトナー像を形成するトナー像形成手段である作像部(各色の画像形成ステーション、中間転写ベルト40等)を有する。更に、プリンタ100は、トナー像を担持する記録紙Pの表面に定着液を付与し、記録紙P上にトナー像を定着せしめる定着手段を備える。そして、プリンタ100は手段として、消泡装置300を備える定着装置50を用いることにより、プリンタ100全体の小型化を図ることができる。
20 クリーニング装置
30 感光体ドラム
32 帯電装置
33 現像ローラ
40 中間転写ベルト
50 定着装置
51 泡状定着液生成部
52 定着液塗布部
90 プリンタ制御装置
100 プリンタ
300 消泡装置
310 消泡パイプ
311 入口
312 出口
320 電熱線
330 絶縁シート
340 圧力センサ
350 断熱材
360 温度センサ
400 泡回収容器
500 液回収タンク
524 クリーニングブレード
CS 定着制御回路
F 泡状定着液
N 塗布ニップ
P 記録紙
T トナー層
TL 液状定着液
特開2007−219105号公報

Claims (12)

  1. 液中に気泡が分散した泡状液が管状の入口から進入する管状部材と、上記泡状液を上記管状部材の内部に向けて搬送する泡搬送手段と、上記管状部材を加熱する加熱手段とを具備し、該加熱手段によって上記管状部材を加熱することで上記管状部材内を通過する上記泡状液を加熱して破泡させて通常の液体とする消泡装置において、
    上記泡搬送手段と上記管状部材とを連通する閉空間の内圧を検出する圧力検出手段と、
    該圧力検出手段によって検出した上記内圧の値が所定の目標圧力値になるように上記泡搬送手段の加圧力を制御する圧力制御手段と、
    を具備することを特徴とする消泡装置。
  2. 請求項1記載の消泡装置において、
    上記目標圧力値が変更可能であることを特徴とする消泡装置。
  3. 請求項1又は2に記載の消泡装置において、
    上記管状部材の温度を検出する温度検出手段と、該温度検出手段によって検出した上記管状部材の温度が所定の目標温度になるように上記加熱手段の加熱力を制御する温度制御手段と、を具備したことを特徴とする消泡装置。
  4. 請求項3記載の消泡装置において、
    上記目標温度が変更可能であることを特徴とする消泡装置。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の消泡装置において、
    上記管状部材の上記入口に進入する前の上記泡状液を貯留する泡貯留部を具備し、上記管状部材を上記泡貯留部内の上記泡状液に埋没する位置に配置したことを特徴とする消泡装置。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の消泡装置において、
    上記加熱手段は、上記管状部材の外周面を絶縁体で覆い、その外側に配置された抵抗体に電流を流す構成であることを特徴とする消泡装置。
  7. 請求項6記載の消泡装置において、
    上記抵抗体の更に外周を断熱材で覆ったことを特徴とする消泡装置。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の消泡装置において、
    上記管状部材は、金属パイプであることを特徴とする消泡装置。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の消泡装置において、
    複数本の上記管状部材を並列に配置することを特徴とする消泡装置。
  10. 樹脂の少なくとも一部を溶解または膨潤させることで樹脂微粒子を軟化させる軟化剤を含有した液状定着液を液中に気泡が分散した泡状定着液とする定着液泡状化手段と、上記樹脂微粒子からなる樹脂微粒子層を担持する定着液付与対象の表面に上記泡状定着液を付与する泡状定着液付与手段とを有し、上記泡状定着液を付与することで軟化した上記樹脂微粒子を記録媒体に定着する定着装置において、
    上記泡状定着液を回収し、破泡させて通常の液体の上記液状定着液とする泡状定着液消泡手段を備え、該泡状定着液消泡手段として、請求項1〜9のいずれか1項に記載の消泡装置を用いることを特徴とする定着装置。
  11. 請求項10記載の定着装置において、
    上記定着液泡状化手段によって上記泡状定着液になり、上記定着液付与対象に付与されず、表面移動体に付着した状態の上記泡状定着液を回収してクリーニングする泡状定着液クリーニング手段を具備し、該泡状定着液クリーニング手段が回収した上記泡状定着液を上記泡状定着液消泡手段によって上記液状定着液とすることを特徴とする定着装置。
  12. 樹脂と色剤を含有する樹脂微粒子を含むトナーを用いて記録媒体上にトナー像を形成するトナー像形成手段と、記録媒体に転写するトナー像を担持するトナー像担持体の表面、またはトナー像を担持する記録媒体の表面に定着液を付与し、該記録媒体上に該トナー像を定着せしめる定着手段とを具備する画像形成装置であって、
    上記定着手段として、請求項10又は11の定着装置を用いることを特徴とする画像形成装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN110863805A (zh) * 2018-08-28 2020-03-06 中国石油化工股份有限公司 具有多级消泡功能的气井产液储存装置及使用方法

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