以下,本発明を具体化した実施の形態について,添付図面を参照しつつ詳細に説明する。図1に,本形態の画像形成装置1の概略構成を示す。画像形成装置1は,図1に示すように,中間転写ベルト20を有する,いわゆるタンデム型のカラープリンターである。
中間転写ベルト20は,導電性を有する無端状のベルト部材であり,その図1中両端部がローラー21,22によって支持されている。画像形成時には,図1中右側のローラー21が,図中矢印で示すように反時計回りに回転駆動される。これにより,中間転写ベルト20および図1中左側のローラー22はそれぞれ,図中に矢印で示す方向に従動回転する。
中間転写ベルト20のうち,図1中右側のローラー21に支持されている部分の外周面には,2次転写ローラー23が設けられている。2次転写ローラー23は,中間転写ベルト20へ向けて軸と垂直の方向(図1中左向き)に圧接されている。中間転写ベルト20と2次転写ローラー23とが接触している部分には,中間転写ベルト20上のトナー像を用紙Pに転写させる転写ニップN1が形成されている。2次転写ローラー23は,画像形成時には,回転する中間転写ベルト20への圧接による摩擦力によって,図1中に矢印で示す方向に従動回転する。
また,中間転写ベルト20のうち,図1中左側のローラー22に支持されている部分の外周面には,ベルトクリーナー24が設けられている。本形態のベルトクリーナー24は,中間転写ベルト20の表面に付着しているトナーを回収するためのものである。例えば,ベルトクリーナー24は,転写ニップN1において用紙Pに転写されず,転写ニップN1を通過した後にも中間転写ベルト20上に残っている転写残トナーの回収を行う。
中間転写ベルト20の図1中下部には左から右に向かって順に,イエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C),ブラック(K)の各色の画像形成部10Y,10M,10C,10Kが配置されている。画像形成部10Y,10M,10C,10Kはいずれも,該当色のトナー像を形成して中間転写ベルト20上に転写するためのものである。画像形成部10Y,10M,10C,10Kはいずれも,その構成は同じである。このため,図1では,画像形成部10Yによって代表して符号をつけている。
画像形成部10Y,10M,10C,10Kは,円筒状の静電潜像担持体である感光体11,および,その周囲に配置された帯電装置12,露光装置13,現像装置14,1次転写ローラー15,および感光体クリーナー16を有している。帯電装置12は,感光体11の表面を均一に帯電させるためのものである。露光装置13は,該当色の画像データに基づいたレーザー光を感光体11の表面に照射させ,静電潜像を形成するためのものである。現像装置14は,収容しているトナーを感光体11の表面に付与するためのものである。また,現像装置14の内部には,現像装置14内に収容されているトナー量を検出するためのトナー量検出部17が設けられている。
1次転写ローラー15は,感光体11と中間転写ベルト20を挟んで対向する位置に配置されている。1次転写ローラー15は,中間転写ベルト20へ向けて軸と垂直の方向(図1中下向き)に圧接されている。この圧接により,中間転写ベルト20と感光体11とが接触している部分にはそれぞれ,各色の感光体11上のトナー像を中間転写ベルト20上に転写させる1次転写ニップが形成されている。感光体クリーナー16は,感光体11上から中間転写ベルト20上に転写されなかったトナーを回収するためのものである。
なお,図1では,感光体クリーナー16として,板状でその一端部が感光体11の外周面に接触しているものを示しているが,本発明はこれに限るものではない。その他のクリーニング部材,例えば固定ブラシ,回転ブラシ,ローラーまたはそれらのうちの複数の部材を組み合わせたものを使用することができる。あるいは,感光体11上の未転写トナーを現像装置14により回収するクリーナーレス方式を採用すれば,感光体クリーナー16はなくてもよい。
中間転写ベルト20の回転方向における画像形成部10Kの下流側であって転写ニップN1の上流側の位置には,中間転写ベルト20上に転写されたトナー像の像濃度を検出するための濃度センサー25が設けられている。濃度センサー25は,中間転写ベルト20の外周面を検出位置としている。濃度センサー25は,例えば画像濃度の調整に用いられる,検出位置に向かって光を照射する投光部とその反射光を受光する受光部とを有するものである。
本形態の画像形成装置1は,下部に給紙カセット31を有している。給紙カセット31には,複数の用紙Pが積載により載置されている。図1に示すように,給紙カセット31の図1中右側には給紙ローラー32が設けられている。給紙ローラー32は,給紙カセット31に載置された用紙Pを,その最上部のものより搬送経路30へ送り出すことができるものである。
そして,給紙カセット31より送り出された用紙Pの搬送経路30には,1対のレジストローラー33,転写ニップN1,定着装置40,排紙ローラー34がこの順で配置されている。搬送経路30のさらに下流側には,画像形成の完了した用紙Pが排出される排紙部35が設けられている。レジストローラー33は,用紙Pを転写ニップN1へ送り出すタイミングを調整するためのものである。
定着装置40は,加熱用のヒーター43を内部に有する加熱ローラー41と,加熱ローラー41に圧接されている加圧ローラー42とを有している。この加圧ローラー42の加熱ローラー41への圧接により,定着ニップN2が形成されている。加熱ローラー41は,画像形成時には,図1中において反時計回りに回転駆動される。加圧ローラー42は,加熱ローラー41への圧接による摩擦力により従動回転する。定着装置40は,定着ニップN2を用紙Pが通過する際に,用紙Pに転写されたトナー像の定着処理を行うためのものである。
また,画像形成装置1は,その上部に表示操作部90を有する。表示操作部90には複数の操作キーが設けられており,ユーザーはこの操作キーにより,各種の指示,文字や数字などのデータの入力を行うことができる。また,表示操作部90には,ユーザーが選択するメニューや,各交換部品の寿命などの表示がなされるパネル91が設けられている。
また,画像形成装置1における中間転写ベルト20の図1中上方には,トナー補給部50Y,50M,50C,50Kが配置されている。トナー補給部50Y,50M,50C,50Kはそれぞれ,イエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C),ブラック(K)の各色のトナーを,該当色の現像装置14へと適宜補給するためのものである。
図2に,本形態のトナー補給部50Y,50M,50C,50Kの,その重力方向の上方より見たときの斜視図を示す。トナー補給部50Y,50M,50C,50Kはいずれも,その構成は同じである。このため,図2では,トナー補給部50Yによって代表して符号をつけている。
トナー補給部50Y,50M,50C,50Kは,サブホッパー70とボトル駆動部80とを有している。また,トナー補給部50Y,50M,50C,50Kには,内部にトナーを収容している円筒状のトナーボトル60が装着されている。サブホッパー70は,一時的にトナーを溜めておくためのものである。ボトル駆動部80は,トナーボトル60を回転駆動するためのものである。
トナーボトル60は,画像形成装置1にトナーを補充するためのものであり,画像形成装置1に対して着脱可能なものである。画像形成装置1では,トナーボトル60の内部に収容されているトナーがなくなったときには,その空になったトナーボトル60が,トナーが収容されている新たなトナーボトル60に交換される。また,サブホッパー70は,現像装置14にトナーを補給しつつ,その補給により内部のトナー量が減少したときにはトナーボトル60よりトナーの補給を受けるものである。ボトル駆動部80は,可逆回転型のモーターである。
図2に示すように,トナーボトル60は,ヘッド部61とトナー収容部62とを有している。トナーは,トナー収容部62に収容されている。また,円筒状のトナーボトル60は,その軸方向をほぼ水平にした状態で画像形成装置1に装着されている。具体的には,トナーボトル60は,そのヘッド部61がサブホッパー70のボトル装着部71に,トナー収容部62のヘッド部61とは反対側の端がボトル駆動部80にそれぞれ装着されている。ボトル装着部71には,トナーボトル60の有無を検知するためのボトル検知センサー79が設けられている。よって,図2に示すトナーボトル60が装着されている状態では,ボトル検知センサー79により,トナーボトル60の有りが検知される。
図3は,トナーボトル60の断面図である。本形態におけるトナーボトル60は,トナー収容部62がブロー成形によって製造されたブロータイプのものである。また,図3に示すように,ヘッド部61には,トナー収容部62に収容されているトナーを排出するための排出口63が形成されている。さらに,排出口63には,シャッター64が設けられている。トナーボトル60の流通時などには,シャッター64は閉状態であり,排出口63からトナーが漏れないようにされている。そして,シャッター64は,トナーボトル60がサブホッパー70に装着されることで開状態とされる。撹拌部65は,排出口63付近にトナーが滞留しないように,トナーを撹拌するためのものである。
また,図3に示すように,トナーボトル60のトナー収容部62には,その内側に向かって突出している凸部66が形成されている。凸部66は,トナー収容部62がブロー成形によって製造された際に形成されたものであり,図2に示すように,円筒状のトナー収容部62の側面に沿ったらせん状のものである。そして,トナーボトル60がボトル駆動部80によって図2に矢印Xで示す回転方向に回転されたときに,トナー収容部62内のトナーは,排出口63に向かって矢印Zの向きに移動する。矢印Zの向きに移動したトナーは排出口63より排出される。つまり,本形態のトナーボトル60では,凸部66が形成されているトナー収容部62がトナーを搬送するための搬送部である。また以下,矢印Xの回転方向を正回転方向,矢印Zの方向を,排出方向という。さらに,本形態のトナーボトル60がボトル駆動部80によって正回転方向Xとは反対方向に逆回転されたときには,トナー収容部62内のトナーは,排出方向Zとは反対向きに移動する。
図4は,サブホッパー70の断面図である。図4に示すように,サブホッパー70は,トナー貯蔵部72と,トナー貯蔵部72内に設けられている撹拌羽根75とを有している。トナー貯蔵部72は,トナーを一時的に溜めておくための容器である。撹拌羽根75は,回転軸76を中心として回転することにより,トナー貯蔵部72内のトナーを撹拌するためのものである。
また,トナー貯蔵部72の上部には,装着されているトナーボトル60の排出口63に対応する箇所に開口73が形成されている。このため,トナーボトル60の排出口63より排出されたトナーは,トナー貯蔵部72の内部に流入する。これにより,トナーボトル60からサブホッパー70へのトナーの補給がなされる。加えて,トナー貯蔵部72の内部には,トナー貯蔵部72内のトナー量を検出するためのトナー量検出部74が設けられている。
さらに,サブホッパー70の下部には,トナー貯蔵部72の内のトナーを排出口78へと搬送するためのスクリュー77が設けられている。各サブホッパー70の排出口78はそれぞれ,該当色の現像装置14に接続されている。このため,サブホッパー70は,現像装置14内のトナーが減少したときには,スクリュー77を回転させることにより,トナー貯蔵部72内のトナーを現像装置14へと供給することができる。
また,本形態の画像形成装置1は,トナーボトル60として,複数種のものを装着することができる。図5に,画像形成装置1に装着することのできるトナーボトル60aとトナーボトル60bとを示す。トナーボトル60a,60bはいずれも,その製造過程においてトナーの充填が行われた後,使用がなされる前の未使用のものである。
トナーボトル60a,60bは,その未使用状態において内部に収容されているトナー量である初期容量が異なるのみであり,ヘッド部61およびトナー収容部62の構造は同じである。このため,トナーボトル60a,60bを,これらの設計や製造設備などに要する費用を抑えつつ製造することができる。
また,図5に示すトナーボトル60a,60bはともに,トナー収容部62におけるヘッド部61側とは反対側の底部67を,重力方向の下側にした状態のものである。さらに,図5においては,トナーボトル60a,60bにそれぞれ収容されているトナーを,ドットハッチングにより示している。
トナーボトル60aは,トナー収容部62の容量に対して通常量のトナーを収容してなるものである。一方,トナーボトル60bは,トナーボトル60aよりも収容しているトナー量が少ないものである。よって以下,トナーボトル60aを通常トナーボトルといい,トナーボトル60bを少量トナーボトルという。なお,通常トナーボトル60aと少量トナーボトル60bとを特段区別しない場合には,上記と同様,トナーボトル60としている。
さらに,少量トナーボトル60bは,通常トナーボトル60aと比較して,初期容量が少ない分,安価で販売されている。このため,画像形成装置1の使用頻度が高い使用者については,通常トナーボトル60aを購入することにより,その交換頻度を低減することができる。一方,画像形成装置1の使用頻度が低い使用者については,少量トナーボトル60bを購入することにより,その交換費用を低減することができる。あるいは,使用頻度の高い色については通常トナーボトル60aを購入し,使用頻度の低い色については少量トナーボトル60bを購入することも可能である。
図6に,画像形成装置1の制御構成の概略を示す。画像形成装置1は,各部の制御を行うために,エンジン部2とコントローラー部3とを有している。エンジン部2は,全体の制御処理を行うCPU4と,本体に付属されている不揮発性メモリ5とを有している。
不揮発性メモリ5には,例えば,用紙Pや形成されたトナー像を搬送する速度であるシステム速度などの値が記憶されている。また,不揮発性メモリ5には,未使用状態における通常トナーボトル60aおよび少量トナーボトル60bの初期容量がともに記憶されている。さらに,不揮発性メモリ5は,初期容量記憶部8を有している。初期容量記憶部8は,画像形成装置1に現在装着されているトナーボトル60の初期容量を記憶するためのものである。
CPU4は,不揮発性メモリ5に記憶されている値に基づいて,画像形成装置1の各部を制御する。例えば,各露光装置13による静電潜像の形成開始のタイミングを調整することにより,中間転写ベルト20上にズレのないカラートナー像を形成する。また画像形成部10Y,10M,10C,10Kにより画像を形成するタイミングと,給紙カセット31から用紙Pを給紙するタイミングとを調整することにより,これらの転写ニップN1への突入タイミングが合うように制御する。
また,本形態のCPU4は,トナー補給部50Y,50M,50C,50Kに新たなトナーボトル60が装着されたときには,その装着された新たなトナーボトル60についてトナー量算出モードを実行する。トナー量算出モードでは,トナーボトル60を正回転方向Xに回転させる正方向回転制御を行うことにより,新たに装着されたトナーボトル60の初期容量を求める。そして,トナー量算出モードによって初期容量を求めるとともに,求めた初期容量を初期容量記憶部8に記憶する。加えて,CPU4は,トナー量算出モードにおける正方向回転制御を行う前に,トナーボトル60を正回転方向Xと反対方向に逆回転させる逆回転制御を実行する。さらに,CPU4は,トナーボトル60内のトナーの残量を算出し,空になったトナーボトル60がある場合,表示操作部90のパネル91に,その空になったトナーボトル60の交換を促すための表示を行う。トナーボトル60内のトナーの残量の算出方法やトナー量算出モードについては,後に詳述する。
またエンジン部2は,画像形成装置1に含まれている各種ユニット6を制御するとともに,各種ユニット付属の不揮発性メモリ7の書き込みや読み出しを行う。各種ユニット6には例えば,イメージングユニットが含まれる。そして,各種ユニット付属の不揮発性メモリ7について,例えばイメージングユニットに付属のメモリには,そのイメージングユニットにより画像形成がなされた枚数などが記憶されている。
コントローラー部3は,外部のパソコンなどに接続されて指示入力を受けるものである。例えば,画像形成指令をパソコンから受信することにより,画像形成装置1には画像形成ジョブが発生する。さらに,エンジン部2とコントローラー部3とで,ドットカウンタ値などの各種の情報がやりとりされる。
次に,本形態の画像形成装置1による,通常の画像形成動作の一例について簡単に説明する。以下の説明は,給紙カセット31に載置されている用紙Pに,4色のトナーを用いてカラー画像を形成するカラーモードにおける画像形成動作の一例である。
通常のカラー画像の形成時には,中間転写ベルト20および各色の感光体11はそれぞれ,図1に矢印で示す向きに所定の周速度で回転される。そして,まず,感光体11の外周面は,帯電装置12によりほぼ一様に帯電される。帯電された感光体11の外周面には,露光装置13によって画像データに応じた光が投射され,静電潜像が形成される。続いて,静電潜像は現像装置14によって現像され,感光体11上にはトナー像が形成される。各色のトナー像は,感光体11と中間転写ベルト20とにより形成されている1次転写ニップにおいて,中間転写ベルト20上に転写(1次転写)される。すなわち,中間転写ベルト20上には,イエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C),ブラック(K)のトナー像がこの順で重ね合わされる。
また,中間転写ベルト20に転写されず,1次転写ローラー15を過ぎた後も感光体11上に残留している転写残トナーは,感光体クリーナー16によって掻き取られ,感光体11上から除去される。そして,重ね合わされた4色のトナー像は,中間転写ベルト20の回転によって転写ニップN1に搬送される。
一方,給紙カセット31に載置されている用紙Pは,給紙ローラー32によって最上部のものから1枚ずつ搬送経路30に引き出される。給紙カセット31から引き出された用紙Pは,搬送経路30に沿って転写ニップN1に搬送される。用紙Pの転写ニップN1への突入タイミングは,中間転写ベルト20上のトナー像の転写ニップN1への突入タイミングと一致するように,レジストローラー33により微調整される。これにより,転写ニップN1において,重ね合わされた4色のトナー像が用紙Pに転写(2次転写)される。
トナー像が転写された用紙Pは,さらに搬送経路30の下流側へと搬送される。つまり,用紙Pは,定着ニップN2を通過することによってトナー像が定着された後,排紙ローラー34によって排紙部35に排出される。なお,転写ニップN1を通過した後も中間転写ベルト20上に残留する転写残トナーは,ベルトクリーナー24によって回収される。これにより,中間転写ベルト20上から除去される。
そして,上記のような画像形成動作を行うことにより,各現像装置14内のトナーは消費され,減少する。トナー量が減少した現像装置14には適宜,サブホッパー70によってトナーの補給が行われる。これにより,各現像装置14内のトナー量は,感光体11上の静電潜像の現像を適切に行うことができる所定量に保たれる。
また,現像装置14にトナーを補給することにより,サブホッパー70内のトナーは減少する。トナー量が減少したサブホッパー70には適宜,トナーボトル60よりトナーが補給される。当然,トナーボトル60からサブホッパー70へのトナーの補給がなされた場合,トナーボトル60内のトナーの残量は減少する。そして,トナーボトル60の交換時期を正確にパネル91に表示させるため,CPU4は,トナーボトル60内のトナー残量の算出を行う。
本形態において,トナーボトル60内のトナー残量は,トナーボトル60から排出されたトナーの量を,初期容量記憶部8に記憶されているトナーボトル60の初期容量から減ずることによって求める。トナーボトル60からのトナーの排出量は,トナーボトル60からサブホッパー70へ補給されたトナーの量により検出することができる。具体的には,トナーボトル60からサブホッパー70へのトナーの補給が行われたときに,その補給の前後のトナー量検出部74の検出値の差により検出することができる。
初期容量記憶部8に記憶されているトナーボトル60の初期容量は,前述したように,トナーボトル60が装着された初期に,トナー量算出モードによって求められたものある。具体的には,本形態の画像形成装置1では,トナーボトル60の交換がなされた後,その交換後の最初の画像形成が行われる前に,トナー量算出モードが実行される。また,トナー量算出モードでは,逆回転制御が行われた後,正方向回転制御が行われる。これら逆転制御および正方向回転制御により初期容量を求めるトナー量算出モードについて説明する。
まず,逆回転制御について説明する。図7および図8は,画像形成装置1に装着される前の未使用状態の通常トナーボトル60aおよび少量トナーボトル60bを,いずれも軸方向を水平にした状態で示した図である。さらに,図7,図8には,通常トナーボトル60aおよび少量トナーボトル60bに収容されているトナーをドットハッチングにより示している。
また,図7には,通常トナーボトル60aおよび少量トナーボトル60bの内部において,トナーが偏っている状態を示している。一方,図8には,通常トナーボトル60aおよび少量トナーボトル60bの内部において,その軸方向にほぼ均一にトナーが分布している状態を示している。トナーは粉末状のものであるため,例えば,トナーボトル60の流通時の状態などにより,図7あるいは図8に示すような状態をとり得る。
そして,図9に,逆回転制御を行った後の通常トナーボトル60aおよび少量トナーボトル60bを示す。図9においても,トナーをドットハッチングにより示している。図9に示すように,逆回転制御後における通常トナーボトル60aおよび少量トナーボトル60bの内部のトナーはいずれも,底部67側に偏っている。通常トナーボトル60aおよび少量トナーボトル60bが逆回転されることにより,その内部のトナーは,排出方向Zとは反対方向,すなわち,ヘッド部61より遠ざかる向きに搬送されるからである。
さらに,図9には,底部67側に偏っているトナーから排出口63までの距離を,通常トナーボトル60aおよび少量トナーボトル60bについてそれぞれ,排出距離Daおよび排出距離Dbとして示している。図9に示すように,少量トナーボトル60bの排出距離Dbは,通常トナーボトル60aの排出距離Daよりも長い。少量トナーボトル60bは,通常トナーボトル60aよりも初期容量が少ないからである。
なお,逆回転制御においてトナーボトル60を逆回転させる時間は,予め定めておけばよい。例えば,本形態では,逆回転制御における逆回転の時間は,トナーボトル60が逆回転されることにより,排出口63付近のトナーを底部67まで移動させることのできる時間としている。具体的には,本形態の逆回転制御における逆回転の時間は,30秒である。また,逆回転制御では,トナーボトル60の回転量が予め定めた回転量に達するまで逆回転させることとしてもよい。
次に,本形態における正方向回転制御について説明する。正方向回転制御では,トナーボトル60を,サブホッパー70内にトナーの排出が検知されるまで正回転方向Xに回転させる。本形態の正方向回転制御では,トナーボトル60の正回転方向Xの回転が開始されてから,サブホッパー70内のトナー量が予め定めた排出検知量以上,増加したときに,トナーボトル60からサブホッパー70にトナーが排出されたと検知する。また,CPU4は,正方向回転制御において時間のカウントを行う。すなわち,正方向回転制御における正回転方向Xの開始からトナーボトル60からサブホッパー70へのトナーの排出が検知されるまでの時間をカウントする。
そして,本形態のCPU4は,正方向回転制御におけるカウント時間が長いときには少量トナーボトル60bが装着されていると判断し,短いときには通常トナーボトル60aが装着されていると判断する。図9において前述したように,逆回転制御後におけるトナーは,底部67側に偏っている。また,逆回転制御後における少量トナーボトル60bの排出距離Dbは,通常トナーボトル60aの排出距離Daよりも長い。このため,トナー量算出モードの正方向回転制御におけるカウント時間は,トナー量算出モードが少量トナーボトル60bについて実行されたときには,通常トナーボトル60aについて実行されたときよりも長いからである。
具体的には,本形態のCPU4は,正方向回転制御におけるカウント時間が予め定めた通常時間以下であるか否かにより,通常トナーボトル60aおよび少量トナーボトル60bのどちらが装着されているかを判断する。すなわち,CPU4は,正方向回転制御におけるカウント時間が通常時間以下であるときには,通常トナーボトル60aが装着されていると判断する。一方,正方向回転制御におけるカウント時間が通常時間を超えていたときには,少量トナーボトル60bが装着されていると判断する。これにより,CPU4は,装着されているトナーボトル60が,通常トナーボトル60aおよび少量トナーボトル60bのどちらであるかを判断することができる。ここで,予め定めた通常時間は,不揮発性メモリ5に記憶させておくことができる。
また,前述したように,本形態の不揮発性メモリ5には,通常トナーボトル60aおよび少量トナーボトル60bの初期容量が記憶されている。このため,通常トナーボトル60aおよび少量トナーボトル60bのどちらであるかを判断したCPU4は,装着されているトナーボトル60の初期容量を,不揮発性メモリ5を参照することにより取得することができる。そして,CPU4は,不揮発性メモリ5を参照して取得した初期容量を,初期容量記憶部8に記憶させる。
以上のように,本形態の画像形成装置1では,トナー量算出モードにより,装着されているトナーボトル60の初期容量を正確に求めることができる。また,装着されているトナーボトル60の初期容量を正確に求めることにより,その後,画像形成に伴って減少するトナーボトル60内のトナーの残量を正確に算出することができる。従って,トナーボトル60の交換時期を正確にパネル91に表示させることができる。
なお,トナー量算出モードでは,トナーボトル60を正回転方向Xに回転させる間の時間のカウントに替えて,トナーボトル60の回転量をカウントしてもよい。そしてこの場合には,トナーボトル60からサブホッパー70へのトナーの排出が検知されるまでの回転量が予め定めた通常回転量以下であるか否かにより,装着されているトナーボトル60がどちらであるかの判断を行うことができる。この場合には,予め定めた通常回転量を,不揮発性メモリ5に記憶させておけばよい。
また,本形態の画像形成装置1においては,逆回転制御が行われた際に,トナーボトル60内のトナーの粒子が互いに付着してしまうおそれがある。逆回転制御では,トナーボトル60が逆回転されることにより,トナー収容部62内のトナーがいずれも底部67に向かって移動する。このため,トナー粒子同士が互いに強く押し付けられることがあるからである。そして,複数のトナー粒子が付着して大きな粒子が形成されてしまった場合には,画像形成装置1において形成される画像の品質を低下させてしまうおそれがある。
一方,トナーボトル60が正回転方向Xに回転されたときには,排出方向Zの向きに移動したトナーのうち,一定量のトナーは排出口63よりサブホッパー70へと排出される。このため,トナーボトル60が正回転方向Xに回転されたときには,逆回転制御のときよりも,トナー粒子同士が互いに押し付けられる力が小さい。このため,トナーボトル60が正回転方向Xに回転されたときには,それほど大きな粒子が形成されるおそれはない。
そして,逆回転制御におけるトナー同士の付着を防止するため,例えば,トナーボトル60の回転によるトナーの搬送力は,逆回転制御においては,トナーボトル60が正回転方向Xに回転されたときよりも小さいことが好ましい。そのため,例えば,トナーボトル60のトナー収容部62の凸部66の形状を図10に示すような形状とすることが好ましい。
図10は,トナーボトル60のトナー収容部62に形成されている凸部66の,排出方向Zと平行な面内における断面図である。図10に示す凸部66は,その頂点よりも排出方向Zの上流側の斜面の傾斜角α1が,下流側の斜面の傾斜角α2よりも小さくなるように形成されている。そして,凸部66が図10に示すような形状をしていることにより,そのトナーボトル60の回転によるトナーの搬送力を,逆回転制御において,トナーボトル60が正回転方向Xに回転されたときよりも小さくすることができる。傾斜角α1の斜面によるトナーの搬送力を,傾斜角α2の斜面による搬送力よりも小さくすることができるからである。
また例えば,トナーボトル60のトナー収容部62の形状を,図11に示すような形状としてもよい。図11に示すトナーボトル60のトナー収容部62は,その直径が,軸方向の上流ほど小さくなるように形成されている。このため,画像形成装置1に図11に示すトナーボトル60をその軸方向が水平になるように装着した状態では,トナー収容部62の側面は,水平方向に対して角度βだけ傾斜した状態となる。そして,トナー収容部62が図11に示すような形状をしていることにより,そのトナーボトル60の回転によるトナーの搬送力を,逆回転制御において,トナーボトル60が正回転方向Xに回転されたときよりも小さくすることができる。トナーボトル60がその軸方向を水平として保持されているとき,その内部のトナーには,重力の作用によって排出方向Zに移動する向きの力がかかる。このため,その重力の作用により,逆回転制御におけるトナーの排出方向Zとは反対方向への搬送力が低下するからである。
また例えば,トナーボトル60のトナー収容部62の内部に,排出方向Zとは反対方向に搬送されるトナーを撹拌するための撹拌部を設けてもよい。例えば,底部67に,トナー収容部62の内側に向けて突出した板状の撹拌部を設けておく。その撹拌部は,底部67に固定されているものであってもよい。あるいは,逆回転されるトナーボトル60の回転方向とは反対方向に回転駆動されるなど,独立して動作するものであってもよい。このような撹拌部を設けることにより,トナーボトル60が逆回転されたときに排出方向Zと反対方向に移動してきたトナーを撹拌することができる。そして,撹拌部による撹拌により,逆回転制御におけるトナー同士の付着を防止することができるとともに,すでに付着してしまったことによって大きな粒子が形成されていた場合には,これを解すことができる。
以上詳細に説明したように,本発明の画像形成装置1は,トナー量算出モードにより,トナーボトル60内のトナー量の算出を行う。また,トナー量算出モードにおける正方向回転制御の前には,逆回転制御を行う。逆回転制御では,トナーボトル60を正回転方向Xとは反対方向に逆回転させることにより,トナーを排出方向Zとは反対方向に移動させる。よって,トナー量算出モードでは,正方向回転制御における正回転方向Xの回転時間により,トナーボトル60内のトナー量を正確に求めることができる。従って,トナーボトル内のトナー量を正確に求めることのできる画像形成装置が実現されている。
なお,本実施の形態は単なる例示にすぎず,本発明を何ら限定するものではない。従って本発明は当然に,その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良,変形が可能である。例えば,上記の実施形態では,正方向回転制御における正回転方向Xの回転時間が通常時間以下であるか否かにより,装着されているトナーボトル60が通常トナーボトル60aおよび少量トナーボトル60bのどちらであるかを判断している。さらに,装着されているトナーボトル60について通常トナーボトル60aおよび少量トナーボトル60bのどちらであるかを判断した後,その初期容量を,不揮発性メモリ5を参照することにより取得している。しかし,例えば,不揮発性メモリ5に,逆回転制御後の正方向回転制御における正回転方向Xの回転時間とトナーボトル60内のトナー量との関係を予め実験などにより取得し,その関係を記憶させておく。そして,トナーボトル60の装着初期にトナー量算出モードを行い,正方向回転制御におけるカウント時間により不揮発性メモリ5を参照することで,トナーボトル60の初期容量を取得することもできる。なお,この場合にも当然,トナー量算出モードにおいては,正回転方向Xの回転時間に替えて,正回転方向Xの回転量をカウントすることとしてもよい。
また,トナー量算出モードは,トナーボトル60の装着初期以外に行うこともできる。すなわち,トナー量算出モードは,例えば,画像形成に伴ってトナーボトル60内のトナーの残量がある程度,減少したときに行うこともできる。トナーの残量が初期容量よりも減少しているトナーボトル60についても,トナー量算出モードを行うことにより,その正確なトナーの残量を求めることができるからである。この場合についても,不揮発性メモリ5に逆回転制御後の正方向回転制御における正回転方向Xの回転時間とトナーボトル60内のトナー量との関係を予め取得して記憶させておけばよい。なお,トナー量算出モードを実行するためには,ある程度の時間を要する。逆回転制御により,一度,トナーボトル60内のトナーを排出口63から遠ざけることとなるからである。このため,画像形成の生産性を高く維持するためには,トナー量算出モードを行う頻度は,できるだけ低い方が好ましい。よって,上記の実施形態のように,トナー量算出モードをトナーボトル60が装着された初期にのみ行い,その後には,トナーボトル60からのトナーの排出量を初期容量より減じてトナーボトル60内のトナーの残量を求めることが好ましい。また,トナーボトル60の装着初期以外にトナー量算出モードを行う場合にも当然,正方向回転制御では,正回転方向Xの回転時間に替えて,正回転方向Xの回転量をカウントすることとしてもよい。
また例えば,上記の実施形態では,逆回転制御における逆回転の時間を,トナーボトル60内における排出口63付近のトナーが底部67まで移動する時間として説明している。しかし,逆回転制御では,装着されているトナーボトル60が通常トナーボトル60aと少量トナーボトル60bとのどちらであるかを正確に検出できるだけの分,トナーボトル60を逆回転させればよい。例えば,逆回転制御における逆回転の時間は,未使用状態の少量トナーボトル60bについて,排出口63付近に偏っていたトナーをほとんど底部67側に偏らせるまで移動させることのできる時間としてもよい。すなわち,逆回転制御では,未使用の少量トナーボトル60b内の排出口63付近のトナーを少なくとも,逆回転制御後,通常トナーボトル60aについての排出距離Da(図9)よりも排出口63から離れた位置まで移動させることができればよい。このようにすることで,逆回転制御に要する時間を短縮できるため,画像形成の生産性を高めることができる。なお,当然,逆回転制御において予め定めた回転量だけ逆回転を行う場合についても同様である。
また,上記の実施形態では,画像形成装置1に装着されるトナーボトル60の種類を,通常トナーボトル60aと少量トナーボトル60bとの2種類として説明したが,これに限られるものではない。すなわち,異なる初期容量のトナーボトル60として3種類以上のものから選択して装着できる画像形成装置にも適用可能である。
また,上記の実施形態では,ブロータイプのトナーボトル60について説明しているが,これに限られるものではない。本発明は,例えば,図12に示すような,トナー収容部161の内部に搬送部170を有するトナーボトル160にも適用することができる。搬送部170は,回転軸171と,回転軸171を中心に直径方向に延びるらせん状の羽根172とを有している。よって,トナーボトル160においては,搬送部170が回転されることにより,搬送部170の羽根172によってトナーが搬送される。このため,トナーボトル160については,ボトル駆動部80は搬送部170を回転駆動する。
そして,トナーボトル160では,トナーを排出方向Zに移動させることのできる搬送部170の回転方向を正回転方向とし,搬送部170が正回転方向に回転されることで,トナーボトル160からサブホッパー70へのトナーの補給がなされる。そして,逆回転制御においては,搬送部170を正回転方向とは反対方向に逆回転させることにより,トナーボトル160内のトナーを排出方向Zとは反対方向に移動させることができる。さらに,逆回転制御後,搬送部170を正回転方向に回転させつつ,その正回転方向の回転を開始したときから,サブホッパー70内へのトナーの排出が検知されるまでの時間や回転量により,トナー量算出モードを行うことができる。
また,図12に示すような内部に搬送部170を有するようなトナーボトル160では,搬送部170の回転によるトナーの搬送力が,ブロータイプのトナーボトル60と比較して大きくなりがちである。そこで,トナーボトル160についても,搬送部170による搬送力が,逆回転制御における逆回転では,搬送部170が正回転方向に回転されるときよりも小さいものであることが好ましい。
そのため,例えば,図13に示すように,搬送部170の羽根172を,その排出方向Zの上流側の斜面の傾斜角γ1が,下流側の斜面の傾斜角γ2よりも小さくなるように形成することが考えられる。傾斜角γ1の斜面によるトナーの搬送力を,傾斜角γ2の斜面による搬送力よりも小さくすることができるからである。また例えば,トナーボトル160のトナー収容部161を,図11と同様に,その直径が排出方向Zの上流ほど小さくなるような形状としてもよい。また例えば,トナーボトル160のトナー収容部161の内部に,排出方向Zとは反対方向に搬送されるトナーを撹拌するための撹拌部を設けてもよい。
また例えば,トナー補給部50Y,50M,50C,50Kは,ボトル駆動部80をトナーボトル60ごとに有するものに限られるものではない。ボトル駆動部80を1つとし,その1つのボトル駆動部80によって歯車などを介してトナー補給部50Y,50M,50C,50Kのすべてのトナーボトル60を回転させる構成であってもよい。また例えば,本発明はカラープリンターに限らず,モノクロプリンターにも適用可能である。また,公衆回線経由で印刷ジョブの送受信を行うような画像形成装置などにも適用可能である。また例えば,本発明は,現在装着されているトナーボトル60内のトナーの残量が少なくなったときには,外部のネットワーク回線を介して新たなトナーボトル60の発注を自動で行うことのできる画像形成装置にも適用できる。このような画像形成装置においては,その新たなトナーボトル60の注文を,最適なタイミングで行うことができる。トナーボトル60内のトナーの残量を正確に求めることができるからである。