JP2012092947A - 転がり軸受 - Google Patents

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Tokuji Kamimura
篤司 上村
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Abstract

【課題】保持器の破損を無くすとともに、潤滑油が供給されないある程度の期間は、焼付きが発生しないようにする。
【解決手段】外輪11と、外輪11の内周側に配置される内輪20と、外輪11と内輪20間に配置され円周上等間隔に複数のポケット部34を有する保持器30と、ポケット部34に配置される複数の転動体40とを備え、保持器30は、リング状の環状部31、32と、環状部31、32に対して軸方向に延びる柱部33とからなる転がり軸受において、保持器30の柱部33の内輪20側の内周面に、多孔質体からなる保持部材50を設け、保持部材50には多孔が繋がることによって連通孔が多数形成され、これら連通孔に潤滑油を保持させた。
【選択図】図1

Description

本発明は、外輪と内輪間に複数の転動体と保持器を配置した転がり軸受に関する。
転がり軸受は、外輪、内輪、転動体、保持器とからなり、焼付き防止のために特に滑り接触する箇所へ潤滑油を積極的に供給する必要がある。潤滑油の供給として、転がり軸受の一部をどぶ漬けする方法と、オイルポンプからノズルへ潤滑油を送給し、ノズルから内輪の軌道面に潤滑油を掛ける方法とがある。前記オイルポンプは、自動車のエンジンによって駆動されるケースが殆どであり、ハイブリッド車のように電動モータ走行時は、前記エンジンが停止しており、転がり軸受へ潤滑油が供給されない。エンジン走行時までに転がり軸受の滑り面の焼付きを防ぐ必要がある。
これに対する対策として、特許文献1に示すように、前記保持器を連通孔を有する樹脂多孔質体で構成し、樹脂多孔質体に潤滑油を含浸させ、樹脂多孔質体から滲み出る潤滑油を滑り接触する箇所へ供給する方法が考えられる。
特開2007−198561号公報
保持器全体を樹脂多孔質体にて構成すると、転がり軸受の急回転、急停止時に保持器に円周方向の力が作用し、保持器が破損しやすい。本発明は上述した問題点を解決するためになされたもので、その目的は、保持器の破損を無くすとともに、潤滑油が供給されないある程度の期間は、焼付きが発生しないようにする。
請求項1に記載の発明は、外輪と、前記外輪の内周側に配置される内輪と、前記外輪と前記内輪間に配置され円周上等間隔に複数のポケット部を有する保持器と、前記ポケット部に配置される複数の転動体とを備え、前記保持器は、リング状の環状部と、環状部に対して軸方向に延びる柱部とからなる転がり軸受において、前記保持器を非多孔質体からなる樹脂または金属で構成し、前記保持器の前記柱部の前記内輪側の内周面に、多孔質体からなる保持部材を設け、前記保持部材には多孔が繋がることによって連通孔が多数形成され、これら連通孔に潤滑油を保持させたものである。
この構成によれば、保持器に非多孔質体の材料を使用して、多孔質体の材料と比較して引っ張り強度、曲げ強度を高めているため、保持器の破損を防止できるとともに、オイルポンプから潤滑油が供給されないある程度の期間は、保持部材から滲みでる潤滑油によって焼付きを防止できる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の転がり軸受において、前記保持部材は、樹脂製の多孔質体で構成し、前記保持部材の一部を前記転動体に接触させたものである。
この構成によれば、保持部材から直接転動体に潤滑油が塗布されるため、転動体と滑り接触する箇所の焼付きを確実に防止できる効果がある。また、転動体よりも軟らかい材料を使用し、これを接触させているため、転動体が傷付くことがない。
本発明によれば、保持器の破損を防止できるとともに、オイルポンプから潤滑油が供給されないある程度の期間は、保持部材から滲みでる潤滑油によって焼付きを防止できる。
本発明の実施形態における転がり軸受の断面図である。 本発明の実施形態における図1のA矢視図である。
本発明の一実施形態について、図1乃至図2を参酌しつつ説明する。図1は、転がり軸受の一種である円すいころ軸受の断面図、図2は、図1のA矢視図である。
図1乃至図2に示すように、転がり軸受の一種である円すいころ軸受10は、リング状の外輪11と、外輪11の内周側に配置されるリング状の内輪20と、外輪11と内輪20間に配置されるリング状の保持器30と、保持器30の内周に固着された多孔質体からなる保持部材50と、前記保持器30に保持される複数の円すいころ40とからなっている。前記外輪11、内輪20、保持器30、円すいころ40は、いずれも金属製の材料で構成され、特に鉄系の材料がよく使われる。前記外輪11、内輪20、保持器30、円すいころ40は、内部に微細な孔を多数有しない非多孔質体である。
前記外輪11の内周面には、外輪11の軸線に対して傾斜した外輪側軌道面12が形成されている。前記内輪20の外周面には、内輪20の軸線に対して傾斜した内輪側軌道面21が形成されている。内輪側軌道面21を挟んで小径側に半径方向外方へ突出した小径側鍔部23が形成され、内輪側軌道面21を挟んで大径側に半径方向外方へ突出した大径側鍔部24が形成されている。小径側鍔部23の円すいころ40側の端面には、円すいころ40の後述する小径側端面42に接触する小径側内側端面23aが形成されている。大径側鍔部24の円すいころ40側の端面には、円すいころ40の後述する大径側端面43に接触する大径側内側端面24aが形成されている。
前記保持器30は、リング状の小径側環状部31、リング状の大径側環状部32、前記小径側環状部31と前記大径側環状部32を繋ぐ柱部33とからなっている。前記柱部33は円周方向に等間隔に複数設けられ、2つの柱部33と前記小径側環状部31と前記大径側環状部32とでポケット部34が形成されている。前記ポケット部34は円周方向に等間隔に複数設けられ、各ポケット部34に前記円すいころ40が回転可能に保持されている。前記保持器30は、板状の金属板からプレスによって、切り抜き、折り曲げ等により製作される。
前記円すいころ40は、円すい形状から頂部を除去した形状を有するもので、前記外輪側軌道面12と前記内輪側軌道面21上を転動する転動面41と、小径側の端面に形成された小径側端面42と、大径側の端面に形成された大径側端面43を有する。
前記保持器30の前記内輪20側の内周面に多孔質体からなる保持部材50が設けられている。前記保持部材50は四角柱の形状を有し、全ての柱部33にこれと平行になるように接着剤を介して固定されている。前記保持部材50は、前記円すいころ40の軸方向長さよりも若干短く、前記柱部33の円周方向の幅よりも若干狭く、前記えんすいころ40の回転中心近傍まで前記保持器30に対し内径方向に突出している。
前記保持部材50の前記内輪20側の角部が、前記円すいころ40に最も接近している。前記保持部材50は、内部に多数の微細な孔を有し、孔同士が繋がることによって連通孔を構成し、これら連通孔に潤滑油が保持されるようになっている。前記保持部材50は、熱溶融した樹脂の中に気孔形成粒子を混合し、射出成形後、前記気孔形成粒子を溶かして連通孔を形成した樹脂製の多孔質体が使用されている。
続いて上述した構成にもとづいて、作用について説明する。
外輪11に対して内輪20が回転すると、円すいころ40は外輪側軌道面12上と内輪側軌道面21上を転動しながら内輪20の回転方向と同方向に移動する。円すいころ40の転動によって保持器30が内輪20と同方向に回転する。
内輪20に軸方向のスラスト力が作用すると、円すいころ40の大径側端面43が大径側内側端面24aに接触し、さらに円すいころ40を介して外輪11に前記スラスト力が作用する。円すいころ40の大径側端面43と大径側内側端面24a間は滑り接触するため、焼付きが発生しやすい。図略のノズルよりオイルポンプからの潤滑油が供給され、この潤滑油が先程の滑り接触面に供給されるので、焼付きが抑えられる。内輪側軌道面21と大径側内側端面24aと小径側内側端面23aに掛けられた潤滑油は、遠心力によって保持器30、外輪11の順に移動し、この過程で保持部材50に潤滑油が貯えられる。保持部材50にとって柱部は外径側の壁となるので、この壁がある分だけ遠心力による潤滑油の流出が抑えられる。
ハイブリッド車で電動モータ走行時は、エンジンが停止するので、オイルポンプから潤滑油が供給されなくなる。前記保持部材50から潤滑油が遠心力によって滲み出し、保持器30の内周面に沿って潤滑油が移動し、ポケット部34に潤滑油が供給される。ポケット部34に供給された潤滑油は、円すいころ40に付着し、円すいころ40の大径側端面43と大径側内側端面24a間にも潤滑油が供給される。この場合、柱部がポケット部に潤滑油を確実に供給するためのガイドの役目を持つ。保持部材50から滲み出る潤滑油に限りがあるため、数分電動モータで走行した後は、エンジンを駆動し、オイルポンプから潤滑油を円すいころ40の大径側端面43と大径側内側端面24a間の滑り接触する箇所へ供給する必要がある。
保持器30に前記保持部材50取付け用の専用の貫通穴を明けることなく、保持器30の表面に接着剤を介して保持部材50を固定するため、保持器30の強度を損なうことない。よって、内輪20を急回転、急停止させても、保持器30が破損することがない。また、柱部33の両端に環状部31、32を有する保持器30の柱部33に保持部材50を固定した場合、保持器30の軸方向略中間に保持部材50を固定したと同じ状態となり、重量バランスが上手くとれているため、保持器30を滑らかに回転させることができる。
本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
前記保持部材50をスポンジ等の転動体よりも軟らかい材質で構成しても良い。この場合、保持部材50の保持器30の円周方向の幅を広げ、保持部材50の内輪20側の角部を円すいころ40に直接接触させ、保持部材50から滲み出る潤滑油を直接円すいころ40に塗布しても良い。
前記保持部材50は、熱溶融した樹脂の中に気孔形成粒子を混合し、射出成形後、前記気孔形成粒子を溶かして連通孔を形成したものを使用したが、他の実施形態として、樹脂製の粉末を焼結型に入れ、焼結成形により溶けた粉末間に微細な連通孔を形成したものを使用しても良いし、2液混合の液体の中に発泡剤を混ぜ、液体の中に多数の泡を形成し、これを成形型に流し込み硬化させたものを使用しても良い。この場合、成形された樹脂の内部に、前記多数の泡によって多数の微細な連通孔が形成される。さらに、他の実施形態として、金属製の粉末を焼結型に入れ、焼結成形により溶けた粉末間に微細な連通孔を形成したものを使用しても良い。
本実施例は、転がり軸受として、円すいころ軸受を適用した例について述べたが、円ころ軸受、アンギュラ玉軸受あるいは深溝玉軸受を適用できる。
11:外輪、20:内輪、30:保持器、31:小径側環状部(環状部)、32:大径側環状部(環状部)、33:柱部、34:ポケット部、40:円すいころ(転動体)

Claims (2)

  1. 外輪と、前記外輪の内周側に配置される内輪と、前記外輪と前記内輪間に配置され円周上等間隔に複数のポケット部を有する保持器と、前記ポケット部に配置される複数の転動体とを備え、前記保持器は、リング状の環状部と、環状部に対して軸方向に延びる柱部とからなる転がり軸受において、
    前記保持器を非多孔質体からなる樹脂または金属で構成し、前記保持器の前記柱部の前記内輪側の内周面に、多孔質体からなる保持部材を設け、前記保持部材には多孔が繋がることによって連通孔が多数形成され、これら連通孔に潤滑油を保持させたことを特徴とする転がり軸受。
  2. 前記保持部材は、樹脂製の多孔質体で構成し、前記保持部材の一部を前記転動体に接触させたことを特徴とする請求項1に記載の転がり軸受。
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