JP2012092634A - 地下貯水構造物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の請求項1に係る地下構造物は、長手方向に複数隣接して列をなすように、対向する2辺に配置された底版、柱、頂版受け部からなる壁部材と、壁部材の列の両端側に配置された妻壁と、によって四方を包囲された貯水領域に、長手方向に複数隣接して壁部材と並列に壁部材間を所定の間隔で配置された底版、柱、頂版受け部からなる中間柱部材と、中間柱部材間の底部をコンクリートで打設した底版と、対面する壁部材と中間柱部材、及び、対面する中間柱部材間を架けて貯水空間を覆う頂版と、によって構成されることを特徴とする地下貯水構造物である。
【選択図】図1
Description
例えば、プレキャスト部材の組み合わせにより、ボックス型やスタンド型などといわれる構造のものがあり、近年は、中間壁に大きな開口を設けたスタンドビーム型といわれる構造も開発されている。
そのため、定期的に堆積物を清掃、除去しなければ、貯留できる雨水の量が減ってしまい、有事に備えて施工した施設が役に立たなくなってしまうという問題がある。
そこで、施工後の貯留施設のメンテナンス効率を向上させる発明が多数なされている。
これによれば、遊水地内を斜め方向に見通すことが可能になり、保守管理が容易になるとともに、泥土搬出用の重機が側壁部間を斜め方向にも自在に移動できるので、清掃作業が容易になるという効果が得られる。
これによれば、柱ブロック間が広く開口した状態になっているので、清掃機械が容易に通過でき、清掃作業性が向上するという効果が得られる。
つまり、例えば、貯留施設内には、土砂が堆積しやすい場所とそうでない場所が偏在するが、堆積しやすい場所の構造を変更するだけでも、清掃効率は飛躍的に向上する。
また、貯留施設は、地中に貯水領域を設けるという非常に大規模な工事であるため、単純にメンテナンス効率の向上だけを目的として施工するわけにはいかない。例えば、貯留施設全体の施工効率の向上や、使用部材の製造コスト削減という観点も必要になってくる。
長手方向に複数隣接して列をなすように、対向する2辺に配置された底版、柱、頂版受け部からなる壁部材と、
壁部材の列の両端側に配置された妻壁と、
によって四方を包囲された貯水領域に、
長手方向に複数隣接して壁部材と並列に壁部材間を所定の間隔で配置された底版、柱、頂版受け部からなる中間柱部材と、
中間柱部材間の底部をコンクリートで打設した底版と、
対面する壁部材と中間柱部材、及び、対面する中間柱部材間を架けて貯水空間を覆う頂版と、
によって構成される
ことを特徴とする地下貯水構造物である。
なお、本発明における妻壁は、壁部材や中間柱部材の列の両端側を塞ぐコンクリート壁を意味するものとする。
すなわち、壁部材の列によって作られる二つの辺は壁部材が塞ぎ、壁部材の列に直交する方向の二つの辺を妻壁によって塞ぐものである。
但し、壁部材の列に直交する方向は、一部の中間柱部材が延出するなど、構造物を真上から見たときの形状が必ずしも四角形ではないため(妻壁が連続しないため)、このような連続しない、壁部材や中間柱部材の列の両端側を塞ぐコンクリート壁も含めて、妻壁というものとする。
このようにして、規模を大きくすることが可能である。
前記の中間柱部材は、
底版と接する柱の長辺側の基部にハンチが形成されており、
ハンチ部分の高さがハンチ部分の底辺の長さに対して3倍以上である
ことを特徴とする請求項1に記載の地下貯水構造物である。
短辺側の基部は、隣接する中間柱部材間の空間が通水孔として利用できるように、ハンチは設けない。
ハンチ部分の高さは、ハンチ部分の底辺の長さの3倍以上とする。
例えば、ハンチ部分の底辺の長さを100mmとした場合、ハンチ部分の高さは300mm以上とする。
社団法人土木学会発行の2007年制定コンクリート標準示方書〔設計編:標準〕「第4章ラーメン 4.2構造解析」には、部材端の断面計算において、「ハンチは1:3より緩やかな部分を有効とする」と記載されている。
この「1:3より緩やかな部分」とは、例えば、中間柱部材の断面計算においては、ハンチ部分の底辺を1とした場合、ハンチ部分の高さと3以上とする部分(逆に言えば、ハンチ部分の高さと1とした場合、ハンチ部分の底辺を1/3以下とする部分)のみ有効とされるという意味であり、それ以外の部分は考慮されないことを意味する。
したがって、中間柱部材の基部に、高さ:底辺が100mm:100mmであるハンチが形成されている場合、この中間柱部材の断面計算においては、高さ100mm、底辺33.3mm以下とする部分しか有効とされないのである。
このように、構造計算上、中間柱部材の断面計算においては、ハンチの高さを100mmとした場合、底辺が高さと同じ100mmである場合と、底辺が高さの3分の1である33.3mmである場合とが、同一の強度、耐力として計算されることになる。
そうすると、ハンチ部分の底辺の長さを100mmとして考えれば、ハンチ部分の高さを100mmとする場合に比して、ハンチ部分の高さを300mm以上にした方が、構造計算上、有利になるのである。
このことは、逆に言えば、高さが同じハンチ同士で比較すると、ハンチ部分の底辺の長さを、ハンチ部分の高さと同じにする場合と、ハンチ部分の高さの3分の1以下にする場合とでは、構造計算上は全く同じになるということである。
この場合、ハンチ部分の底辺の長さを、ハンチ部分の高さの3分の1以下にするほうが、ハンチ部分を含む中間柱部材の裾幅が小さくなり、通路幅を広く確保することができる。
さらに、ハンチ部分に使用するコンクリート量も3分の1に減らすことができ、コストダウンになり、経済的である。
前記の中間柱部材は、
底版と接する柱の長辺側の基部にハンチが形成されており、
当該ハンチが、
傾斜面の中間部分が平面に、傾斜面の両端部分(柱とハンチの接点付近及びハンチと底版の接点付近)が曲面に形成されている
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の地下貯水構造物である。
例えば、ハンチの傾斜面の両端部分(柱とハンチの接点付近と、ハンチと底版の接点付近)を曲率半径(R)が300mmの曲面ハンチとし、2つの曲面ハンチをつなぐように傾斜面の中間部分に平面ハンチを形成する。
これにより、柱とハンチの接点付近、または、ハンチと底版の接点付近に角が形成されないため、滑らかに連続した形状のハンチが形成され、この部分において水または土砂の滞留が減少し、土砂等の堆積物が従来と比べて少なくなる。
なお、平面ハンチと曲面ハンチの割合は、適宜変更できる。
前記の中間柱部材は、
頂版受け部に、幅方向中央部分に長手方向に沿って切り欠き部が設けられている
ことを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の地下貯水構造物である。
切り欠き部は、後記のとおり、切り欠き部上の間隙部分(天端)とともに現場打ちのコンクリートを打設して塞ぐことで、切り欠き部に応力が集中し、水平方向の荷重に対して高い強度を得ることができる。
また、従来の中間柱部材は、頂版受け部に凸部が形成されていたため、頂版受け部上に鉄筋を配筋することは困難であったが、本願発明によれば、頂版受け部に凹部(切り欠き部)が形成されることで、切り欠き部上に容易に鉄筋を配筋することができ、切り欠き部上の接合を、剛接合とすることが可能である。
なお、切り欠き部は、頂版受け部の長手方向の一方の端から他方の端まで連続して設けられていても良いし、中間柱部材内に配筋された鉄筋が突出する箇所にのみ1箇所若しくは複数個所設けられていても良い。
前記の壁部材は、
底版と接する柱の長辺側の基部にハンチが形成されており、
ハンチ部分の高さがハンチ部分の底辺の長さに対して3倍以上である
ことを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の地下貯水構造物である。
短辺側は、壁部材同士が隙間無く隣接しているからである。
ハンチ部分の高さは、ハンチ部分の底辺の長さの3倍以上とする。
例えば、ハンチ部分の底辺の長さを100mmとした場合、ハンチ部分の高さは300mm以上とする。
社団法人土木学会発行の2007年制定コンクリート標準示方書〔設計編:標準〕「第4章ラーメン 4.2構造解析」には、部材端の断面計算において、「ハンチは1:3より緩やかな部分を有効とする」と記載されている。
この「1:3より緩やかな部分」とは、例えば、中間柱部材の断面計算においては、ハンチ部分の底辺を1とした場合、ハンチ部分の高さと3以上とする部分(逆に言えば、ハンチ部分の高さと1とした場合、ハンチ部分の底辺を1/3以下とする部分)のみ有効とされるという意味であり、それ以外の部分は考慮されないことを意味する。
したがって、中間柱部材の基部に、高さ:底辺が100mm:100mmであるハンチが形成されている場合、この中間柱部材の断面計算においては、高さ100mm、底辺33.3mm以下とする部分しか有効とされないのである。
このように、構造計算上、中間柱部材の断面計算においては、ハンチの高さを100mmとした場合、底辺が高さと同じ100mmである場合と、底辺が高さの3分の1である33.3mmである場合とが、同一の強度、耐力として計算されることになる。
そうすると、ハンチ部分の底辺の長さを100mmとして考えれば、ハンチ部分の高さを100mmとする場合に比して、ハンチ部分の高さを300mm以上にした方が、構造計算上、有利になるのである。
このことは、逆に言えば、高さが同じハンチ同士で比較すると、ハンチ部分の底辺の長さを、ハンチ部分の高さと同じにする場合と、ハンチ部分の高さの3分の1以下にする場合とでは、構造計算上は全く同じになるということである。
この場合、ハンチ部分の底辺の長さを、ハンチ部分の高さの3分の1以下にするほうが、ハンチ部分を含む中間柱部材の裾幅が小さくなり、通路幅を広く確保することができる。
さらに、ハンチ部分に使用するコンクリート量も3分の1に減らすことができ、コストダウンになり、経済的である。
前記の壁部材は、
底版と接する柱の長辺側の基部にハンチが形成されており、
当該ハンチが、
傾斜面の中間部分が平面に、傾斜面の両端部分(柱とハンチの接点付近及びハンチと底版の接点付近)が曲面に形成されている
ことを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の地下貯水構造物である。
例えば、ハンチの傾斜面の両端部分(柱とハンチの接点付近と、ハンチと底版の接点付近)を曲率半径(R)が300mmの曲面ハンチとし、2つの曲面ハンチをつなぐように傾斜面の中間部分に平面ハンチを形成する。
これにより、柱とハンチの接点付近、または、ハンチと底版の接点付近に角が形成されないため、滑らかに連続した形状のハンチが形成され、この部分において水または土砂の滞留が減少し、土砂等の堆積物が従来と比べて少なくなる。
なお、平面ハンチと曲面ハンチの割合は、適宜変更できる。
前記の壁部材は、
頂版受け部に、幅方向中央部分に長手方向に沿って切り欠き部が設けられている
ことを特徴とする請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載の地下貯水構造物である。
切り欠き部は、後記のとおり、切り欠き部上の間隙部分(天端)とともに現場打ちのコンクリートを打設して塞ぐことで、切り欠き部に応力が集中し、水平方向の荷重に対して高い強度を得ることができる。
また、従来の中間柱部材は、頂版受け部に凸部が形成されていたため、頂版受け部上に鉄筋を配筋することは困難であったが、本願発明によれば、頂版受け部に凹部(切り欠き部)が形成されることで、切り欠き部上に容易に鉄筋を配筋することができ、切り欠き部上の接合を、剛接合とすることが可能である。
なお、切り欠き部は、頂版受け部の長手方向の一方の端から他方の端まで連続して設けられていても良いし、中間柱部材内に配筋された鉄筋が突出する箇所にのみ1箇所若しくは複数個所設けられていても良い。
前記の壁部材は、
底版が、柱の外縁から貯水領域の外方向に延出している
ことを特徴とする請求項1から請求項7までのいずれか一項に記載の地下貯水構造物である。
地下に構造物を建設する場合に必ず考慮しなければならない外力の一つに、地下水から地下構造物が受ける浮力がある。
地下や軟弱地盤上などの施工条件の悪い場所においては、構造物の設計の基準となる外力が設計時の予測値を上回るような場合や、場所的な制約により外力に対する安全策を十分施すことが難しい場合も多い。
従来の地下構造物の浮力対策としては、地下構造物の底盤から下方の支持地盤に対してアンカーを打設することが行われてきた。
しかし、アンカーは、引き抜きに対する抵抗に関する機能を有するのみであり、地下水位が変動し、地下構造物に当初想定していたよりも大きな浮力が作用した場合、地下構造物が浮き上がるという問題点があった。
このようなことから、アンカーだけを利用するのではなく、他対策も併用しながら地下構造物の浮き上がりを防止するような方策が望まれていた。
そこで、壁部材の底版を、柱の外縁(貯水領域の外縁)よりも貯水領域の外方向に向かって延出させた形状にし、この延出した部分に土や埋め戻し材が載積されることで鉛直下方向の荷重が働き、地下貯水構造物の浮き上がり現象を抑止できるようにした
また、底版の接面面積が大きくなることで、壁部材を設置する際の安定性が向上する。
前記の切り欠き部は、
切り欠き部上の間隙部分(天端)とともにコンクリートで打設されている
ことを特徴とする請求項1から請求項8までのいずれか一項に記載の地下貯水構造物である。
そのため、切り欠き部上に間隙が生じる。
そこで、本請求項に係る発明は、切り欠き部を、切り欠き部上の間隙部分(天端)とともに、コンクリートで打設して塞いだことを特徴とするものである。
これにより、切り欠き部に応力が集中し、切り欠き部が無い場合に比べて、水平方向の荷重に対して高い強度を得ることができる。
前記の頂版は、
頂版受け部と当接する箇所に
下方に向かって先細のテーパー状の孔が形成されている
ことを特徴とする請求項1から請求項9までのいずれか一項に記載の地下貯水構造物である。
そこで、頂版に、ボルトを挿通する孔を設けたものである。
孔は、下方に向かって先細のテーパー状に形成されている。
頂版に設けられたテーパー状の孔は、ピン接合に使用できる。
頂版に設けられたテーパー状の孔にボルトを挿通したあと、ボルトとともに現場打ちコンクリート若しくはモルタル等によって埋める。
テーパー状の孔が、下方に向かって先細の形状に形成されていることで、孔部分のピン接合箇所は、筒状の孔と比べて、鉛直上方向に対する高い抗力を得ることができる。
また、断面がT字型の孔に比べて、安いコストで製造することができ、また、現場打ちコンクリート若しくはモルタル等の充填が容易であるため施工効率が向上する。
実際の施工では、頂版受け部にボルトを差し込んだ後に、ボルトが孔を挿通するように頂版を頂版受け部上に載置しても良いし、頂版受け部上に頂版を載置した後に、頂版の孔から頂版受け部にボルトを差し込んでも良い。
なお、孔をピン接合に使用しない場合は、現場打ちコンクリート若しくはモルタル等で充填すれば簡単に塞ぐことができる。
そのため、頂版のプレキャスト製品すべてにテーパー状の孔を形成し、剛接合用に鉄筋を配筋しておくことで、同一の部材をピン接合と剛接合の両方に使い分けることができ、2種類の部材を製造する必要がなく、製造コストを安くすることができる。
前記の頂版は、
頂版受け部と当接する一方側に、下方に向かって先細のテーパー状の孔が形成され、
頂版受け部と当接する他方側に、鉄筋が配筋されている
ことを特徴とする請求項1から請求項10までのいずれか一項に記載の地下貯水構造物である。
ピン接合用のテーパー状の孔は、いずれの側に形成しても良い。
また、ピン接合用のテーパー状の孔は、少なくとも1以上形成することは必要であるが、頂版の大きさや必要な強度または耐力等に合わせて、複数の孔を形成することができる。
前記の頂版は、
頂版受け部と当接する一方側に、
下方に向かって先細のテーパー状の孔と、鉄筋とが、混在している
ことを特徴とする請求項1から請求項11までのいずれか一項に記載の地下貯水構造物である。
なお、この場合、必ずしもピン接合と剛接合とを併用する必要は無く、例えば、現場の施工状況によって適宜接合方法を変更する必要が生じた場合、配筋を使用せずにピン接合を選択し、または、テーパー状の孔を使用せずに剛接合を選択するという利用方法も可能である。
なお、テーパー状の孔と、鉄筋とは、必ずしも同等の割合で混在させる必要は無く、鉄筋が1箇所あり、先細のテーパー状の孔が2箇所形成されているのでも良い。
さらに、頂版が頂版受け部と当接する一方側と他方側とで、ピン接合用の孔と剛接合用の鉄筋の割合を変えることもできる。
すなわち、一方側では、剛接合用の配筋が1箇所あり、ピン接合用の孔は2箇所形成されているが、他方側では、剛接合用の配筋が2箇所あり、ピン接合用の孔は1箇所形成されていても良い。
前記の壁部材または前記の中間柱部材と、前記の頂版との接合において、
剛接合とピン接合とが組み合わされている
ことを特徴とする請求項1から請求項12までのいずれか一項に記載の地下貯水構造物である。
剛接合箇所を少なくしてピン接合と組み合わせて接合することで、必要な強度を確保しつつ、低廉なコストで施工できる。
したがって、頂版を製作する型枠については、剛接合用とピン接合用とで2種類製作する必要が無く、1個の型枠で剛接合用とピン接合用の頂版を製作することが可能となる。
そのため、製造コストを大幅に削減できる。
本発明に係る地下貯水構造物は、壁部材1と妻壁2とによって囲まれた領域に、中間柱部材3、底版4、頂版5によって貯水空間が構成される構造物である。
この壁部材1は、長手方向に複数隣接して列をなすようにして、対向する2辺に配置される。
そして、壁部材1の2つの列の両端側に妻壁2が設けられ、四方から貯水領域を包囲する。
中間柱部材3は、底版3a、柱3b、頂版受け部3cからなる。
中間柱部材3は、長手方向に複数隣接して壁部材1と並列に壁部材間を所定の間隔で配置される。
さらに、壁部材1の頂版受け部1cと中間柱部材3の頂版受け部3cの間、及び、中間柱部材3同士の頂版受け部3cの間に、頂版5が架けられる。
頂版受け部(1c及び3c)上の天端6(切り欠き部8上の間隙部分)には、現場打ちコンクリートが打設される。
このようにして、本発明に係る地下貯水構造物は構成される。
この底版1aの延出部分1dに、土や埋め戻し材が載積することで鉛直下方向の荷重が働いて、地下貯水構造物の浮き上がり現象を抑止できる。
また、延出部分1dによって底版1aの接面面積が大きくなり、壁部材1を設置する際の安定性も向上する。
但し、構造物内を通行する泥土搬出用の重機は、この通水孔を通過できないため、中間柱部材3の列の間を、中間柱部材3の列方向を行き来するようにして清掃作業を行うことになる。
中間柱部材3の列を直交する方向に対しては、中間柱部材3の列にボックスカルバート等を適宜設けることで、泥土搬出用の重機が通用できるようになる。
その手段として、中間柱部材3の、底版3cと接する柱3bの長辺側の基部に形成されているハンチ7の裾幅を小さくしている。
一般的に、ハンチの「底辺(a):高さ(h)」の長さの比は「1:1」であるが、これを「1:3」とする。
例えば、柱3bの幅が300mmである場合、ハンチ7の底辺(a)を100mm、ハンチ7の高さ(h)を300mmとする。
そのため、底辺が100mmのハンチ同士で比較した場合、高さが底辺と同じ100mmのハンチに比べ、高さが底辺の3倍である300mmのハンチの方が、構造計算上、より大きな強度、耐力を得ることができ、また、高さが300mmのハンチ同士で比較した場合、底辺を300mmとするハンチに比べ、底辺が100mmとするハンチのほうが、構造計算上、同じ強度、耐力で計算されるにもかかわらず、裾幅を小さくすることができる。
したがって、構造計算上の優位性を得ながら、通路幅を広く確保することができ、清掃機械が楽に通行でき、メンテナンス効率が向上する。
さらに、ハンチ部分に使用するコンクリート量を、同じ構造計算のハンチに比して、3分の1に減らすことができるため、コストダウンを実現でき、経済的である。
具体的には、壁部材1のハンチ7が、ハンチの傾斜面の中間部分7aを平面に、傾斜面の両端部分(柱とハンチの接点付近及びハンチと底版4の接点付近)7bを曲面に形成した点である。
ハンチ7の傾斜面の両端部分7bを、曲率半径300mmの曲面ハンチとし、両曲面ハンチをつなぐように傾斜面の中間部分7aに平面ハンチを形成する。
このように、平面ハンチと曲面ハンチを組み合わることで、柱(1bまたは3b)とハンチ7の接点付近、または、ハンチ7と底版(1aまたは3a)の接点付近に、角がない滑らかに連続した形状のハンチが形成される。
なお、平面ハンチと曲面ハンチの割合を適宜変更することも可能であるし、土砂等が堆積しやすいハンチ部分だけ、平面ハンチと曲面ハンチを組み合わせても良い。
具体的には、壁部材1または中間柱部材3の頂版受け部(1cまたは3c)に、幅方向中央部分に長手方向に沿って切り欠き部8が設けられている点である。
切り欠き部8は、壁部材1及び中間柱部材3の頂版受け部(1c及び3c)の幅方向中央部分に、長手方向に沿って設けられている。
この切り欠き部8を避けるように、頂版受け部(1c及び3c)に頂版5が架けられる。
頂版5が架けられたあと、切り欠き部8上に生じる間隙部分(天端6)を現場打ちのコンクリートを打設して塞ぐ。
そうすることで、切り欠き部8に応力が集中し、水平方向の荷重に対して高い強度を得ることができる。
なお、切り欠き部8は、壁部材1と中間柱部材3の両方に設けても良いし、いずれか一方のみに設けるのでも良い。
図8及び9に、剛接合及びピン接合による接合状態を示す。
頂版受け部(1cまたは3c)に凸部が形成されていないことで、切り欠き部8上に鉄筋を配筋でき、剛接合することが可能になる。
そして、当然ピン接合にも対応できるものであるから、結局、切り欠き部8が設けられた頂版受け部(1cまたは3c)は、剛接合でもピン接合でも、いずれにも使用できる。
なお、この特徴は、前記切り欠き部8を有する壁部材1または中間柱部材3だけではなく、後記のとおり、頂版も、剛接合とピン接合の両方に使い分けることができる。
図10に、ピン接合部分の概略を示す。
頂版受け部(1cまたは3c)に埋め込んだインサート10にピン接合用のボルト11を螺挿し、頂版受け部(1cまたは3c)の天面からボルト11を突出させた状態にしておき、ボルト11をテーパー状の孔9に挿通させて頂版5を頂版受け部(1cまたは3c)に架ける。その後、テーパー状の孔9を、ボルト11とともに現場打ちコンクリート若しくはモルタル等によって埋めることによって接合する。
テーパー状の孔9が、下方に向かって先細の形状に形成されていることで、孔9部分のピン接合箇所は、筒状の形状と比べて、鉛直上方向に対する高い抗力を得ることができる。
また、断面がT字型の孔に比べて、安いコストで製造することができるだけでなく、現場打ちコンクリート若しくはモルタル等の充填も容易であるため、施工効率が向上する。
なお、孔9をピン接合に使用しない場合は、現場打ちコンクリート若しくはモルタル等で充填すれば簡単に塞ぐことができる。
そのため、頂版5のプレキャスト製品すべてにテーパー状の孔9を形成し、予め剛接合用の鉄筋を配筋しておくことで、実際に施工するときには剛接合することも可能である。
この点、本願発明における頂版は、剛接合用とピン接合用とで、部材の厚さや形状において異なるところはなく、頂版部材内に配置する鉄筋の径や本数が異なるのみである。
したがって、頂版を製作する型枠については、剛接合用とピン接合用とで2種類製作する必要が無く、1個の型枠で剛接合用とピン接合用の頂版を製作することが可能となる。
そのため、製造コストを大幅に削減できる。
孔9は、直径が均一の筒状に形成されていた孔と比べて、鉛直上方向に対して高い抗力を得ることができる点で、切り欠き部8同様に構造計算上の利点がある。
1a 底版
1b 柱
1c 頂版受け部
1d 延出部分
2 妻壁
3 中間柱部材
3a 底版
3b 柱
3c 頂版受け部
4 底版
5 頂版
6 天端
7 ハンチ
7a 傾斜面の中間部分
7b 傾斜面の両端部分
8 切り欠き部
9 孔
10 インサート
11 ボルト
Claims (13)
- 長手方向に複数隣接して列をなすように、対向する2辺に配置された底版、柱、頂版受け部からなる壁部材と、
壁部材の列の両端側に配置された妻壁と、
によって四方を包囲された貯水領域に、
長手方向に複数隣接して壁部材と並列に壁部材間を所定の間隔で配置された底版、柱、頂版受け部からなる中間柱部材と、
中間柱部材間の底部をコンクリートで打設した底版と、
対面する壁部材と中間柱部材、及び、対面する中間柱部材間を架けて貯水空間を覆う頂版と、
によって構成される
ことを特徴とする地下貯水構造物。 - 前記の中間柱部材は、
底版と接する柱の長辺側の基部にハンチが形成されており、
ハンチ部分の高さがハンチ部分の底辺の長さに対して3倍以上である
ことを特徴とする請求項1に記載の地下貯水構造物。 - 前記の中間柱部材は、
底版と接する柱の長辺側の基部にハンチが形成されており、
当該ハンチが、
傾斜面の中間部分が平面に、傾斜面の両端部分(柱とハンチの接点付近及びハンチと底版の接点付近)が曲面に形成されている
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の地下貯水構造物。 - 前記の中間柱部材は、
頂板受け部に、幅方向中央部分に長手方向に沿って切り欠き部が設けられている
ことを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の地下貯水構造物。 - 前記の壁部材は、
底版と接する柱の長辺側の基部にハンチが形成されており、
ハンチ部分の高さがハンチ部分の底辺の長さに対して3倍以上である
ことを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の地下貯水構造物。 - 前記の壁部材は、
底版と接する柱の長辺側の基部にハンチが形成されており、
当該ハンチが、
傾斜面の中間部分が平面に、傾斜面の両端部分(柱とハンチの接点付近及びハンチと底版の接点付近)が曲面に形成されている
ことを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の地下貯水構造物。 - 前記の壁部材は、
頂板受け部に、幅方向中央部分に長手方向に沿って切り欠き部が設けられている
ことを特徴とする請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載の地下貯水構造物。 - 前記の壁部材は、
底版が、柱の外縁から貯水領域の外方向に延出している
ことを特徴とする請求項1から請求項7までのいずれか一項に記載の地下貯水構造物。 - 前記の切り欠き部は、
切り欠き部上の間隙部分(天端)とともにコンクリートで打設されている
ことを特徴とする請求項1から請求項8までのいずれか一項に記載の地下貯水構造物。 - 前記の頂版は、
頂版受け部と当接する箇所に
下方に向かって先細のテーパー状の孔が形成されている
ことを特徴とする請求項1から請求項9までのいずれか一項に記載の地下貯水構造物。 - 前記の頂版は、
頂版受け部と当接する一方側に、下方に向かって先細のテーパー状の孔が形成され、
頂版受け部と当接する他方側に、鉄筋が配筋されている
ことを特徴とする請求項1から請求項10までのいずれか一項に記載の地下貯水構造物。 - 前記の頂版は、
頂版受け部と当接する一方側に、
下方に向かって先細のテーパー状の孔と、鉄筋とが、混在している
ことを特徴とする請求項1から請求項11までのいずれか一項に記載の地下貯水構造物。 - 前記の壁部材または前記の中間柱部材と、前記の頂版との接合において、
剛接合とピン接合とが組み合わされている
ことを特徴とする請求項1から請求項12までのいずれか一項に記載の地下貯水構造物。
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