JP2006057394A - コンクリート構造物の誘発目地構造 - Google Patents

コンクリート構造物の誘発目地構造 Download PDF

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Abstract

【課題】防水性の確保や美観向上のための後処理を行うことなく、しかも施工が容易で、また、所定位置に確実にひび割れを生じさせることのできるコンクリート構造物の誘発目地構造を提供する。
【解決手段】コンクリート構造物1の内部に、その厚さ方向に延在して鋼板5が設けられている。また、コンクリート構造物1の表面には、止着材2によって止着される第一の片部31と、該第一の片部31に設けられてコンクリート構造物1の厚さ方向に延在する第二の片部32とを有するアングル部材3がコンクリート構造物1の表面に固定されている。そして、第二の片部32に沿って止水材4が設けられ、これによって誘発目地Mが形成されている。
【選択図】図3

Description

本発明は、誘発目地が形成されてなるコンクリート構造物の誘発目地構造に関する。
コンクリート構造物は、コンクリート打設後の発熱に伴う温度応力や乾燥収縮等によりひび割れが生じ易い。このようなひび割れ現象に対処するために、コンクリート構造物の施工時に、ひび割れ誘発目地(断面欠損部)を形成してコンクリート構造物にひび割れを生じさせる工法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
具体的には、鉛直方向に配筋された壁主筋に、壁の外面側に向かってV字形をなした薄鋼板からなる外部誘発目地板を、その両端に延びたフランジを結束線によって取り付けている。また、壁主筋に対して直交するように壁の内部に向けて、壁主筋にその端部を結束線によって内部誘発目地板を取り付け、さらに、外部誘発目地板の外側にせき板を設けて、このせき板にV字形の頂点位置に対向するように目地型材としての目地棒を取り付けている。その後、コンクリートを打設し、型枠脱型することによって、その目地棒部分に断面欠損部が形成される。したがって、温度変化や乾燥収縮等により生じるひび割れは、コンクリート内部の内部誘発目地板に沿って発生し、コンクリート表面の断面欠損部へとひび割れが貫通する。このようにして生じたひび割れは、所定のシーリング材により補修し、化粧目地とするとともにコンクリート構造物としての防水性を確保している。
特開2001−241117号公報(段落0004、0005)
しかしながら、上記特許文献1に記載されたようにひび割れ誘発目地を形成する場合、ひび割れ発生後、防水性を確保するためにシーリング材を設けたり、ひび割れ部分に充填材を充填して化粧目地とする作業等の後処理が必要であり、施工に手間がかかっていた。さらに、外部誘発目地板や内部誘発目地板等は既製品を使用することができないため、新たに部材を製造する必要があり、コスト高となるという問題があった。
また、これら誘発目地板を設置する作業が非常に複雑で、時間や手間がかかり、設置作業が複雑なため固定不良により、コンクリート打設時に位置ズレが発生し易く、予定箇所にひび割れが発生しない場合もあった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、防水性の確保や美観向上のための後処理を行うことなく、しかも施工が容易で、また、所定位置に確実にひび割れを生じさせることのできるコンクリート構造物の誘発目地構造を提供することを目的としている。
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、例えば、図1〜図3に示すように、コンクリート構造物1の内部に、その厚さ方向に延在して鋼板(例えば、亜鉛メッキ鋼板5)が設けられ、
前記コンクリート構造物の表面には、止着材2によって止着される第一の片部31と、該第一の片部に設けられてコンクリート構造物の厚さ方向に延在する第二の片部32とを有するアングル部材3が前記コンクリート構造物の表面に固定されており、
前記第二の片部に沿って止水材4が設けられ、これによって誘発目地Mが形成されていることを特徴とする。
請求項1の発明によれば、第一の片部と第二の片部とを有するアングル部材が、コンクリート構造物の表面に止着材によって固定され、第二の片部に沿って止水材が設けられ、これによって誘発目地が形成されているので、従来のようにコンクリート構造物の壁主筋にV字型の誘発目地板を結束線によって取り付けて、誘発目地板の外側にせき板を設けて、さらにせき板に目地型材を取り付けるといった複雑で手間のかかる作業を行うことなく、簡単に誘発目地を形成することができる。そして、コンクリート打設後の温度応力や乾燥収縮によってひび割れが生じた場合に、アングル部材の第二の片部によって、断面欠損率が高められて、誘発目地部位にコンクリート構造物の厚み方向に沿ってひび割れを誘発させることができる。また、このようにひび割れが生じた場合でも、第一の片部によってひび割れの進行が抑制されるとともに、第一の片部が化粧目地としての機能を有することから美観にも優れる。さらに、止水材によって、ひび割れからコンクリート構造物の内部への浸水を抑制することができるため、防水性を確保でき、防錆にも効果的である。
したがって、ひび割れが生じた後に、止水処理や化粧目地を形成するための充填材の充填作業等の後処理を施す必要がなく、施工を簡略化することができる。さらに、従来と異なり、施工に要する部品点数も少なくコスト削減につながる。
また、コンクリート構造物の内部には、その厚さ方向に延在して鋼板が設けられているので、この鋼板によって断面欠損率をさらに高めることができ、誘発目地部位に確実にひび割れを誘発させることができる。また、この鋼板によってコンクリート構造物中の鉄筋に加わる圧縮強度や引っ張り強度に対して剛性を得ることができる。さらに、鋼板は板厚を薄くして容易に対応することができ、既製品を使用することができるため安価な施工が可能である。また、鋼板の板厚を変更することによってコンクリート構造物の強度に応じて、断面欠損率を容易に調整することができる。
なお、この鋼板と前記止水材とをコンクリート構造物の厚み方向において上断面視略一直線上に配置すれば、コンクリート構造物の断面欠損部を略一直線上に集中させることができ、誘発目地部位にひび割れを発生させ易くすることができる。
本発明に係るコンクリート構造物の誘発目地構造によれば、簡単に誘発目地を形成することができ、ひび割れが生じた場合に、鋼板及びアングル部材の第二の片部によって断面欠損率が高められて、誘発目地部位にコンクリート構造物の厚み方向に沿ってひび割れを誘発させることができる。また、第一の片部によってそのひび割れの進行を抑制することができるとともに、化粧目地としての機能を有することから美観にも優れる。さらに、止水材によってひび割れから浸入する水を抑制でき、防水及び防錆に効果的である。
したがって、ひび割れが生じた後に、止水処理や化粧目地の形成等の後処理を施す必要がなく、施工を簡略化することができる。さらに、施工に要する部品点数も少なくコスト削減につながる。
以下、本実施の形態について図面を参照しながら説明する。
図1(a)は、本発明の実施の形態のコンクリート構造物の正面図、(b)は、コンクリート構造物の側断面図、図2は、コンクリート構造物の誘発目地構造を示した上断面図、図3は、コンクリート構造物の誘発目地構造の施工手順を説明するための上断面図である。
図1、図2に示すように、コンクリート構造物1の表面には、止着材2によって止着される第一の片部31と、該第一の片部31に設けられてコンクリート構造物1の厚さ方向に延在する第二の片部32とを有するアングル部材3がコンクリート構造物1の表面に固定されている。
本実施の形態におけるコンクリート構造物1は、複数のコンクリート柱11間にコンクリート壁12が構築されている。具体的には、砂礫質土等の地盤13上に均しコンクリート14が打設され、均しコンクリート14上に底版15が構築されている。そして、底版15から上方に傾斜してハンチ部16が形成され、さらにハンチ部16上にコンクリート柱11及びコンクリート壁12がそれぞれ構築されている。また、これらコンクリート柱11及びコンクリート壁12上にはスラブ17が構築されている。
コンクリート壁12は、横方向の長さが約4.8mで、厚さ方向の長さが約700mmとされている。また、コンクリート柱11の厚みは、コンクリート壁12の厚みよりも厚くなっている。そして、このコンクリート柱11とコンクリート壁12との境界部分に誘発目地Mが形成されている。すなわち、誘発目地Mは、約4.8m間隔に形成されている。
アングル部材3は、例えば塩化ビニル樹脂製であり、第一の片部31と第二の片部32とが互いに直交し断面視略L字型とされている。
止着材2は、例えば強化プラスチック製であり、アングル部材3の第一の片部31からコンクリート壁12の表面に向けて打ち込まれ、これによってアングル部材3がコンクリート壁12に固定されている。
また、アングル部材3の第二の片部32の外面には、コンクリート壁12の表面から内部に垂直に延在するように止水材4が設けられている。
止水材4の材料としては、例えばブチルゴムが好適であり、他の合成ゴム、合成天然ゴム等であっても構わない。
また、この止水材4は、アングル部材3の第二の片部32の先端部に係止する係止部41が形成されている。そして、止水材41は、第二の片部32の外面に当接する箇所に、例えばプライマー等を塗布することにより接着されている。また、その他の箇所には、接着面が形成され、この接着面には離型フィルム(図示略)が貼り付けられている。そして、離型フィルムが剥がされて露出された接着面が、打設されたコンクリートと接着し、止水材4がずれないように固定されている。このようにコンクリート構造物1の表面にアングル部材3と止水材4とが設けられることによって、誘発目地Mが形成されている。
一方、コンクリート柱11の柱フープ筋11aには、互いに対向するようにコンクリート柱11の厚み方向に沿って亜鉛メッキ鋼板5が取り付けられている。この亜鉛メッキ鋼板5は、厚み約0.3mmで、断面視略コ字型に形成されている。そして、その両端部が結束線6によって柱フープ筋11aに固定されている。また、この亜鉛メッキ鋼板5は、コンクリート構造物1の厚さ方向において、止水材3と上断面視略一直線上となるように配置されている。
次に、上述のコンクリート構造物1の誘発目地構造を施工する方法について説明する。
図2、図3に示すように、構築されるコンクリート壁12の鉛直方向に沿って壁主筋(図示略)を配設するとともに、該鉛直方向に直交する方向に沿って壁配力筋12aを配設して組み立てる。また、構築されるコンクリート柱11の鉛直方向に沿って柱主筋(図示略)を配設するとともに、コンクリート柱11の鉛直方向に柱主筋を囲うように柱フープ筋11aを配設して組み立てる。
このようにして組み立てられた配筋構造体に、壁型枠12bと柱型枠11bとをそれぞれ建て込む。この際に、コンクリート柱11の厚み方向に延在する柱フープ筋11aの互いに対向する箇所に、亜鉛メッキ鋼板5を結束線6によって固定しておく。また、壁型枠12bと柱型枠11bとの境界部分にアングル部材3と止水材4を設置する。つまり、構築されるコンクリート壁12とコンクリート柱11との境界部分に当たる箇所において、コンクリート壁12の表面にアングル部材3の第一の片部31を止着材2によって打ち込むとともに、第二の片部32の裏面に、予めプライマーを塗布した止水材4を接着させて、第二の片部32の先端に係止させて固定する。その後、止水材4に設けられた離型フィルムを剥がして接着面を露出させ、この作業を各境界部分に施しておく。
次いで、これら壁型枠12bと柱型枠11bとによって形成された空間内にコンクリートを打設し、コンクリート硬化後、各型枠12b、11bを脱型する。その後、コンクリート構造物1の表面から突出する止着材2の先端部分を切断して、コンクリート構造物1の表面を平坦にする。
このようにしてアングル部材3と止水材4とによって誘発目地Mが形成される。その結果、コンクリートの硬化時における温度応力や乾燥収縮によって、コンクリート構造物1の内部にひび割れが生じ、このひび割れが亜鉛メッキ鋼板5に沿って外方に向かって進行しても第一の片部31によってひび割れの進行が抑制されるとともに、化粧目地としての機能を有することから美観にも優れる。また、止水材4によってひび割れからコンクリート構造物1内への浸水が抑制される。
以上、本発明の実施の形態のコンクリート構造物1の誘発目地構造によれば、第一の片部31と第二の片部32とを有するアングル部材3が、コンクリート構造物1の表面に止着材2によって固定され、第二の片部32に沿って止水材4が設けられ、これによって誘発目地Mが形成されているので、従来と異なり簡単に誘発目地Mを形成することができる。そして、コンクリートの硬化時における温度応力や乾燥収縮によってひび割れが生じた場合に、第二の片部32によってコンクリート構造物1の断面欠損率が高められて誘発目地M部位にひび割れを誘発させることができる。また、このようにコンクリート構造物1の内部にひび割れが生じた場合でも、第一の片部31によってひび割れの進行が抑制されるとともに、化粧目地としての機能を有することから美観にも優れる。また、止水材4によってひび割れからコンクリート構造物1内への浸水が抑制され、防水性及び防錆にも効果的である。
したがって、ひび割れが生じた後に、止水処理や化粧目地を形成するための後処理等を施す必要がなく、施工を簡略化することができる。さらに、施工に要する部品点数も少なくコスト削減にもつながる。
また、コンクリート柱11の柱フープ筋11aに、コンクリート柱11の厚さ方向に延在して亜鉛メッキ鋼板5が取り付けられているので、この亜鉛メッキ鋼板5によって断面欠損率をさらに高めることができ、誘発目地M部位により確実にひび割れを誘発させることができる。また、亜鉛メッキ鋼板5によって柱フープ筋11aに加わる圧縮強度や引っ張り強度に対して剛性を得ることができる。さらに、亜鉛メッキ鋼板5は板厚を薄くして容易に対応することができ、既製品を使用することができるため安価で施工できる。また、この亜鉛メッキ鋼板5の板厚を変更することによってコンクリート構造物1の強度に応じて、断面欠損率を容易に調整することもできる。
また、亜鉛メッキ鋼板5と止水材4とが、コンクリート構造物1の厚み方向において上断面視略一直線上に配置されているので、断面欠損部を略一直線上に集中させることができ、誘発目地M部位にひび割れを発生させ易い。
止水材4はブチルゴム製であるので、柔軟性及び粘着性を有しており、コンクリートの膨張収縮、不等変位に追従し止水効果を持続させることができる。また、防錆性や耐候性にも優れ、コンクリートの硬化反応とともにコンクリートとの接着性が良好である。
また、アングル部材3は塩化ビニル製で、止着材2は強化プラスチック製であるので、止水性にも優れ、これらの部材についても後処理を行う必要がない。
なお、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能なものとする。
例えば、上記実施の形態では、コンクリート柱11とコンクリート壁12との境界部分にアングル部材3と止水材4とを設けて誘発目地Mを形成したが、境界部分に限らず従来と同様にコンクリート壁12の壁面部に形成しても構わない。
また、コンクリート構造物1の強度に応じて、断面欠損率を亜鉛メッキ鋼板5の厚みや、コンクリート壁12の厚さ方向における亜鉛メッキ鋼板5の長さによって調整することが好ましい。例えば、断面欠損率を高めるためには亜鉛メッキ鋼板5の厚みを厚くしたり、亜鉛メッキ鋼板5の長さを長くすれば良い。
さらに、例えば、止水材4は上記形状に限られず、適宜変更可能である。
本発明の実施の形態を示すためのもので、(a)は、コンクリート構造物の正面図、(b)は、コンクリート構造物の側断面図である。 同、コンクリート構造物の上断面図である。 同、誘発目地構造の施工手順を説明するための上断面図である。
符号の説明
1 コンクリート構造物
2 止着材
3 アングル部材
4 止水材
5 亜鉛メッキ鋼板(鋼板)
31 第一の片部
32 第二の片部
M 誘発目地

Claims (1)

  1. コンクリート構造物の内部に、その厚さ方向に延在して鋼板が設けられ、
    前記コンクリート構造物の表面には、止着材によって止着される第一の片部と、該第一の片部に設けられてコンクリート構造物の厚さ方向に延在する第二の片部とを有するアングル部材が前記コンクリート構造物の表面に固定されており、
    前記第二の片部に沿って止水材が設けられ、これによって誘発目地が形成されていることを特徴とするコンクリート構造物の誘発目地構造。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR102056025B1 (ko) * 2019-05-07 2019-12-13 김동역 대형 단면 콘크리트 구조물의 균열 유도 줄눈 구조 및 그 시공방법
KR102358453B1 (ko) * 2021-09-30 2022-02-08 김동역 콘크리트 구조물의 단면 감소부재와 고정대의 구조 및 그 시공방법

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