JP2012092379A - アレスト特性および耐食性に優れた高強度厚肉鋼板 - Google Patents

アレスト特性および耐食性に優れた高強度厚肉鋼板 Download PDF

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Abstract

【課題】アレスト特性および耐食性に優れた高強度厚肉鋼板を低コストで提供する。
【解決手段】質量%で、C:0.01〜0.12%、Si:0.5%以下、Mn:0.4〜2.0%、P:0.05%以下、S:0.008%以下、Al:0.002〜0.05%、N:0.01%以下、Nb:0.003〜0.1%およびSn:0.03〜0.50%を含有し、残部Feおよび不可避不純物からなる化学組成を有する鋼板であって、次の(1)式で示される炭素当量Ceqが0.32〜0.40であり、板厚の(1/2)t部のフェライト組織分率が80%以上であり、かつ板厚の(1/2)t部の有効結晶粒径が25μm以下であり、45゜の角度の方向の(321)、(211)、(110)面のX線強度比の和の板厚の(1/2)t部と(1/4)t部での平均値が3.3以下であることを特徴とするアレスト特性および耐食性に優れた高強度厚肉鋼板。さらに、Cu、Ni、Crなどを含んでもよい。
Ceq=C+Mn/6+Cu/15+Ni/15+Cr/5+Mo/5+V/5・・・(1)
【選択図】なし

Description

本発明は、靭性に優れた厚鋼板に関する。特に、万が一、脆性き裂が発生した際に構造物全体の崩壊を阻止するために、き裂伝ぱを停止させる特性(アレスト特性)および耐食性に優れた高強度厚肉鋼板に関する。なお、ここで、高強度厚肉鋼板とは板厚50mmを超えるクラスのものが対象であり、そして、強度クラスとしては引張強さが490MPa以上のものが対象となる。
近年、各種の鋼構造物の規模が大型化するに伴い、その素材として使用される各種の鋼板に要求される板厚や強度はますます高くなってきている。特に、近年では国際商取引が活発になり、海上輸送需要が増大していることから、商業用船舶はより大型化してきている。なかでもコンテナ船は10000TEU級(TEU:twenty-foot equivalent units)のものも運航されており、さらなる高強度化、厚肉化がコンテナ用の高強度厚肉鋼板に求められるようになってきた。このような高強度厚肉鋼板においては、使用時の力学的な拘束力も大きくなることから、板厚中心部の特性のさらなる向上が要求される傾向にある。しかしながら、板厚中心部の特性の向上は未だ十分に満足するに至っていない状況である。
あらゆる構造物において、脆性破壊は瞬時に構造物全体の崩壊をもたらし、甚大な被害が想定されることから、絶対に避けるべき破壊形態である。したがって、建造物は脆性破壊の発生を避けるべく設計がなされるものの、設計を上回る外力の作用や施工に起因する欠陥など、設計者の想定外の異常事態に起因して脆性破壊が発生してしまう場合も考慮する必要がある。一般に、脆性破壊が発生すると、極めて高速のき裂伝ぱにより脆性破壊が構造物全体に広がって構造物全体が破壊してしまう。
しかしながら、き裂伝ぱに対する抵抗性を著しく高めた鋼材は、伝ぱにより進展してきたき裂を停止させることができる特性を有する。この特性を一般的に「アレスト特性」と呼ぶ。アレスト特性を有した部材を適所に配した構造物は、脆性き裂の発生を避けるだけでなく、万が一脆性き裂が発生しても、伝ぱにより進展してきたき裂を停止させることができるので、脆性き裂の発生と伝ぱの段階で二重の安全性(ダブルインテグリティ)を有することになる。構造物の設計思想として極めて重要なものである。
例えば、造船分野では、このダブルインテグリティに基づいた設計思想の下に船舶が建造される方向にある。しかしながら、上述したとおり、商業用船舶等の構造物の大型化に伴い使用鋼材の板厚はますます厚肉化しているので、材料的特性および力学的特性の両面において、厚肉鋼材の特性向上に対する要求はより苛酷なものとなってきている。
鋼材にアレスト特性を付与する方法として最も単純なものは、靭性を著しく向上させる元素であるNiを添加することである。Niの添加によるアレスト特性の改善効果は大きく、アレスト特性を向上させることができることが判っている。例えば、−165℃という極低温環境でダブルインテグリティを保証する鋼材としては、9%のNiを添加したいわゆる9%Ni鋼が一般的であり、日本工業規格(JIS)にも規定されている。
特許文献1には、圧延の際のAr点とAr点の間における圧下量(二相域圧延)を規定することにより、結晶粒の微細化及び破面上でのセパレーション発生を促し、もってアレスト特性を向上させる方法が開示されている。特許文献2および3には、表層組織を極細粒化することにより、脆性き裂伝ぱ時のシアリップ形成を促す鋼板の製造方法が開示されている。そして、特許文献4には、板厚中心部の組織分率と粒径を規定した厚肉鋼板およびその製造方法が開示されている。これらの方法によれば、Niなどの高価な元素に頼ることなく、アレスト特性を向上させることが可能である。
一方で、船舶に用いられる造船用鋼板は、通常、海洋上すなわち飛来塩分量が多い環境下で、あるいは海水飛沫環境下で使用される。
一般に、耐候性鋼板を大気腐食環境中に暴露すると、その表面に保護性のあるさび層が形成され、それ以降の鋼材腐食が抑制される。そのため、耐候性鋼板は、塗装せずに裸のまま使用できるミニマムメンテナンス鋼材として構造物に用いられている。
ところが、飛来塩分量が多い地域では、耐候性鋼板の表面に保護性のあるさび層が形成されにくいために、腐食を抑制する効果が発揮されにくい。そのため、これらの地域では、裸のままの耐候性鋼板を用いることができず、普通鋼に塗装を施して使用する普通鋼の塗装使用が一般的である。しかし、このような普通鋼の塗装使用の場合には、腐食による塗膜劣化のため約10年毎に再塗装する必要があり、そのため維持管理に要する費用は莫大なものとなる。
近年、日本工業規格(JIS)で規格化された耐候性鋼(JIS G 3114:溶接構造用耐候性熱間圧延鋼材)は、飛来塩分量がNaClとして0.05mg/dm/day(0.05mdd)以上の地域では、ウロコ状錆や層状錆等の発生により腐食減量が大きいため、無塗装では使用できないことになっている(建設省土木研究所、(社)鋼材倶楽部、(社)日本橋梁建設協会:耐候性鋼の橋梁への適用に関する共同研究報告書(XX)−無塗耐候性橋梁の設計・施工要領(改訂版−1993.3)参照)。
このように、塩分の多い環境下では、通常普通鋼材に塗装を行って対処している。しかしながら、飛来塩分量が多い海洋上で使用される船舶等の鋼板は腐食が著しく、再塗装せざるを得ないのが現状である。これらの再塗装には多大な工数がかかることから、無塗装で使用できる鋼板への要望が強い。
最近、Niを1〜3%程度添加したNi系高耐候性鋼が開発された。しかしながら、飛来塩分量が0.3〜0.4mddを越える地域では、このようなNi添加だけでは、無塗装で使用できる鋼板への適用が難しいことが判明してきた。
鋼板の腐食は、飛来塩分量が多くなるにしたがって激しくなるため、耐食性と経済性の観点からは、飛来塩分量に応じた耐候性鋼板が必要になる。また、使用される場所や部位により鋼板の腐食環境は同じではない。例えば、降雨、結露水および日照に曝される部位もあれば、結露水に曝されるが雨掛かりはない部位もある。一般に、飛来塩分量が多い環境では、前者の部位より後者の部位の方が腐食が激しいと言われている。
このような問題に対応するため、飛来塩分量が多い環境での腐食を防止する鋼板の開発が従来から進められている。
たとえば、特許文献5にはクロム(Cr)の含有量を増加させた耐候性鋼材が提案され、そして、特許文献6にはニッケル(Ni)含有量を増加させた耐候性鋼材が提案されている。
しかしながら、上記特許文献5で提案されたクロム(Cr)の含有量を増加させた耐候性鋼材は、ある程度以下の飛来塩分量の領域においては耐候性を改善することができるものの、それを超える厳しい塩分環境においては逆に耐候性を劣化させる。
また、上記特許文献6で提案されたニッケル(Ni)含有量を増加させた耐候性鋼材の場合、耐候性はある程度改善されるが、鋼材自体のコストが高くなる。これを避けるため、Ni含有量を少なくすると、耐候性はさほど改善されず、飛来塩分量が多い場合には、鋼材の表面に層状の剥離さびが生成し、腐食が著しく、長期間の使用に耐えられないという問題が生じる。
特開昭55−148746号公報 特開平3−2322号公報 特開平7−126798号公報 特開2009−41083号公報 特開平9−176790号公報 特開平5−118011号公報
上述したとおり、Niによるアレスト特性の改善効果は大きく、アレスト特性を向上させることができる。しかしながら、Niは非常に高価な元素であり、Niを9%も添加するとなると、鋼材コストの高騰を引き起こすことになる。したがって、Ni添加によるアレスト特性の向上は、コスト面での問題が多い。
これに対して、特許文献1〜4に開示された発明によれば、Niなどの高価な元素を添加することなく、アレスト特性を向上させることが可能である。しかしながら、圧延方向に対して平行な方向(L方向)のアレスト特性と、圧延方向に対して垂直な方向(C方向)のアレスト特性は向上させることができるものの、圧延方向に対して45°角度の方向のアレスト特性は向上させることが困難である。構造物において、応力が負荷される方向は必ずしも一定とは限らないため、これらの方法でアレスト性を向上させても、その安全性は十分とは言えない。
このように、従来の鋼板は、圧延方向に対して45°の角度の方向のアレスト特性にまで配慮されていななかった。
さらに、飛来塩分量が多い環境下で使用される船舶は耐塗装剥離性が大きな問題となる。すなわち、上記に示したように、多量の塩化物が飛来する海洋上では、塗装を施しても塗装が早期に剥離し、且つ腐食が進行するという問題があり、数年から十数年毎に塗装の塗り替えを実施する必要がある。また、塗装の塗り替えを実施する際にはその前工程として、一度腐食した船舶に足場を組んで再ブラスト処理を施す必要があるので多大なコストがかかる。そして、再ブラスト処理を施してもさびを完全に除去することは困難であるところ、さびを完全には除去しきれていない鋼材上に再度、塗装しても、塗装寿命が著しく短くなる。耐塗装剥離性は下地である鋼材の耐食性を含めた特性によるところも大きい。
したがって、塗装の寿命を延長し、補修塗装間隔を大きく延ばすことが強く望まれていた。すなわち、ライフサイクルコストのミニマム化の要求が高く、塗装寿命を延長することは船舶のライフサイクルマネジメントを考える上で非常に重要となる。
本発明は、このような状況に鑑み、圧延方向に対して45°の角度の方向のアレスト特性に優れた高強度厚肉鋼板を低コストで提供することを目的とする。特に、−10℃で6000N/mm1.5以上のアレスト特性を有し、引張強度TSが490MPa以上の高強度の厚肉鋼板を低コストで提供することを目的とする。また、本発明は、高塩化物環境における耐食性(塗装が剥離せず且つ塗装欠陥部における腐食が抑制され耐食性が維持されること(耐塗装剥離性)および無塗装時の耐候性を含む)にも優れた高強度厚肉鋼板を提供することを目的とする。
まず、本発明者らは、特にコンテナ船のコンテナ用の鋼板について、造船メーカーが製造するコンテナの構造設計から問題点を抽出する作業を行った。
図1に、コンテナ船に搭載されるコンテナの断面を模式的に示す。このコンテナは、アッパーデッキ(上甲板)に、貨物の積み下ろしのための大きな開口部(ハッチ口)を有する。ハッチ口にはハッチサイドコーミングが設けられる。ハッチサイドコーミングとは、ハッチ口を囲むように立設された部位であり、波浪による海水の流入を防止し、ハッチカバーを支持する役割を果たす。
このコンテナはハッチ口を有する構造体からなるため、強度を確保しにくい。船体が波浪等により大きな曲げモーメント、特に縦曲げのモーメントを受けるので、コンテナは損傷を受けやすい。特に、ハッチ口に近いハッチサイドコーミングは最も大きなモーメントを受けやすい。このため、従来はハッチサイドコーミングに用いる鋼板の高強度化・肉厚化を図ることにより損傷を防止している。しかし、鋼板の高強度化・肉厚化を図るにしても、それには一定の限界がある。
これに対して、コンテナの構造設計の観点から破損防止することも考えられている。すなわち、コンテナ、特にハッチサイドコーミングでは溶接線でき裂が発生しやすく、そして、溶接線に沿ってき裂が伝ぱしやすい。このため、溶接線の位置をずらして鋼板を溶接することで、発生したき裂の伝ぱを溶接線の端部で停止させ、それ以上の破損を防止する構造設計がなされている(図2参照)。
前述のように、圧延方向に対して平行な方向(L方向)および垂直な方向(C方向)のアレスト特性に優れた鋼板は、通常、L方向とC方向は、それぞれ、溶接線の垂直方向と水平方向に一致するように、ハッチサイドコーミングやコンテナ自体の鋼板として使用される。しかしながら、溶接線の端部でき裂の伝ぱが一時停止したとしても、その端部を起点としてさらにき裂が進展する場合もある。このように、溶接線の端部を起点としてさらにき裂が進展する場合、必ずしも溶接線の端部から溶接線に対して垂直方向にまたは水平方向だけにき裂が進展するわけではない。したがって、溶接線の端部を起点として、さらにき裂が進展する場合、そのき裂は溶接線に対して垂直方向にまたは水平方向には進行しにくいが、L方向およびC方向に対して45°の角度の方向にはき裂進展しやすい。よって、45°の角度の方向のアレスト性も必要とされることが判明した。
そこで、本発明者らは、上記の課題を解決するために、種々の検討と実験を行った結果、次の(a)〜(h)に示す知見を得た。
(a) アレスト特性を有する厚肉鋼板を低コストで提供するためには、高価な合金元素を添加することは避けるべきである。
(b) 圧延方向に対して45°の角度の方向のアレスト特性を向上させるには、鋼板の結晶面の方位を一定の範囲内とするのがよい。具体的には、鋼板の板厚中心部(以下、「(1/2)t部」ともいう。)と鋼板の表面から1/4の板厚部(以下、「(1/4)t部」ともいう。)における、45゜の角度の方向の(321)、(211)、(110)面のX強度比の和の平均値を3.3以下とするのがよい。α鉄において、(321)、(211)、(110)面は代表的な劈開面であり、これらの面のX線強度比が低い場合には45°の角度の方向のアレスト性が優れる。
(c) 厚肉鋼板に45°の角度の方向のアレスト特性を付与するためには、未再結晶域の圧下による細粒化効果を利用するTMCP法(Thermo-Mechanical Controlled Process)を適用することが考えられる。しかしながら、通常のTMCP法を適用した厚肉鋼板では、未再結晶域の圧下による細粒化効果が板厚中心部まで浸透しないため、厚肉鋼板の(1/2)t部の組織サイズは粗大化する傾向にあり、板厚中心部のシャルピー衝撃特性が、厚肉鋼板の(1/4)t部または表層部分のシャルピー衝撃特性よりも悪化する傾向が顕著となる。また、板厚中心部は加工の浸透度が低いこともあり、上部ベイナイト組織が主体となる。一般に、上部ベイナイト組織は細粒フェライト組織に比べて、ラス間の硬質組織(MA)の影響により靭性が低下する。このように、これまで汎用的に実施されているTMCPの範囲内では、TMCP条件を種々調整しても、板厚中心部の組織の靭性不足により、アレスト特性は4000N/mm1.5程度に留まり、目標には到底及ばない。したがって、汎用的なTMCP条件に留まらず、より広範囲のTMCP条件で実験を行う必要がある。
(d) そこで、本発明者らは汎用的なTMCP条件を逸脱して、より広範囲のTMCP条件で種々の実験を行った結果、高強度厚肉鋼板の目標強度である490MPa以上の引張強度TSを実現するためには、適切な焼入れ性を有した化学成分にコントロールすることが必要であることと、そして、その焼入れ性の指標としては次の(1)式で示される炭素当量Ceqを用いることができることを見出すとともに、その炭素当量Ceqを0.32〜0.40とする必要があることを見出した。
Ceq=C+Mn/6+Cu/15+Ni/15+Cr/5+Mo/5+V/5・・・(1)
ここで、式中の、C、Mn、Cu、Ni、Cr、MoおよびVは、それぞれの元素の含有量(質量%)を意味する。
(e) そして、肉厚鋼板の素材である鋼塊の加熱条件のコントロールは極めて有効である。特に鋼塊の加熱温度を一定温度未満にしないと、結晶粒径の粗大化が進んでしまう。さらに、加熱温度と加熱時間を一定範囲内の値とすることで、低温化又は短時間化を図るとともに、圧延後の変態時にフェライト変態を起こさせ、もって初期γ粒径を細粒にすることができることを見出した。
具体的には、肉厚鋼板の素材である鋼塊の加熱工程においては、鋼塊の加熱温度Tr(℃)と加熱時間t(hr)が次の(2)式および(3)式の両方を満足するように、鋼塊を加熱することによって、低温化と短時間化を図ることが好ましい。
Tr<1050 ・・・・・・(2)
400≦t×exp(Tr/270000000)≦550 ・・・・・(3)
ここで、tは鋼塊の加熱時間(hr)を、そして、Trは加熱温度(℃)を、それぞれ表す。
なお、「鋼塊」とは、圧延、鍛造、押し出しなどの各工程に供給される素材のことであり、連続鋳造で製造され、分塊工程を省略して次の工程に供給される鋳片(連鋳鋼片)も含んでいる。
(f) 次に、圧延後に得られる肉厚鋼板の板厚中心部のフェライト組織分率が80%以上、かつ板厚中心部の有効結晶粒径が25μm以下とすることが、高強度厚肉鋼板の靱性の向上にとって有効であることを見出した。ここで、「有効結晶粒径」とは、EBSP(Electron Backscatter Diffraction Pattern:電子線後方散乱パターン)法により評価した場合の方位差15°以上の組織境界で囲まれる部分の結晶粒径を意味する。
このように、圧延後に得られる肉厚鋼板を、その板厚中心部において、フェライト組織分率を80%以上かつ有効結晶粒径を25μm以下とするためには、圧延温度の低温化が有効であり、調整板厚と、圧延温度および仕上圧延温度のコントロールが有効である。調整板厚を増加し、温度を低温化することにより、変態前のγ中の転位密度を上昇させることができるからである。
例えば、圧延工程においては、圧延途中の任意の厚みA(mm)における圧延温度B(℃)と、最終圧延により最終の厚肉鋼の板厚G(mm)に仕上げる際の仕上圧延温度C(℃)が、次の(4)式、(5)式、(6)式および(7)式を満足するように圧延を行う。
A−3.5G≦0 ・・・・・・(4)
A−1.5G≧0 ・・・・・・(5)
C−670−G≦0 ・・・・・・(6)
B−C−20−1400/G≦0 ・・・・・・(7)
ここで、Aは圧延途中の任意の厚み(mm)を、BはAにおける圧延温度(℃)を、Cは仕上圧延温度(℃)を、そして、Gは最終の厚肉鋼の板厚(mm)を、それぞれ表す。
(g) なお、冷却後にAc点以下の温度で焼戻すと、ベイナイト組織中の硬化組織が一部無害化する効果を有する場合があるので、必要に応じて実施することができる。
このような製造方法により、上述のような結晶方位が得られる。このような結晶方位が得られる理由は必ずしも明確ではないが、本発明鋼では、製造時におけるオーステナイト、フェライト変態時の核生成サイトが多いため、前述のように微細なフェライト主体の組織となる。この結果、オーステナイトの方位を引継ぎ、変態時に集合組織を形成し易いベイナイト組織の比率が低くなるため、結晶方位がランダム化され、これにより一般的に最もアレスト特性が劣位にある45°の角度の方向においてもアレスト特性の劣化が少ないものと思われる。
(h) このように、板厚中心部((1/2)t部)でフェライト組織の微細化を確保した鋼板は厚肉にもかかわらず、圧延方向に対し45°の角度の方向に極めて良好なアレスト特性を示し、十分に目標特性に到達する。ただし、加熱圧延条件が不適切で板厚中心部の組織サイズが粗大化しているものは、フェライト分率が高い場合でも靭性は悪くなる場合がある。
一方、本発明者らは、耐食性に関し、飛来塩分量の多い環境での腐食について検討した結果、飛来塩分量が多い環境下では、FeCl溶液の乾湿繰り返しが腐食の本質的な条件となり、Fe3+の加水分解によりpHが低下した状態で、かつFe3+が酸化剤として作用することによって腐食が加速されることを見出した。
このときの腐食反応は、以下に示すとおりである。
カソード反応としては、主として、次の反応が起こる。
Fe3++e→Fe2+ (Fe3+の還元反応)
そして、この反応以外にも、次のカソード反応も併発する。
2HO+O+2e→4OH
2H+2e→H
一方、上記のFe3+の還元反応に対して、次のアノード反応が起こる。
アノード反応:Fe→Fe2++2e (Feの溶解反応)
従って、腐食の総括反応は、次の(8)式のとおりである。
2Fe3++Fe→3Fe2+・・・・・・(8)
上記(8)式の反応により生成したFe2+は、空気酸化によってFe3+に酸化され、生成したFe3+は再び酸化剤として作用し、腐食を加速する。この際、Fe2+の空気酸化の反応速度は低pH環境では一般に遅いが、濃厚塩化物溶液中では加速され、Fe3+が生成され易くなる。このようなサイクリックな反応のため、飛来塩分量が非常に多い環境では、Fe3+が常に供給され続け、鋼の腐食が加速され、耐食性が著しく劣化することになることが判明した。
そして、本発明者らは、このような塩分環境における腐食のメカニズムを基に、種々の合金元素の耐候性への影響について検討した結果、下記の(i)〜(k)に示す知見を得た。
(i)Snは、Sn2+として溶解し、2Fe3++Sn2+→2Fe2++Sn4+なる反応によりFe3+の濃度を低下させることで、(8)式の反応を抑制する。Snには、さらにアノード溶解を抑制するという作用もある。
(j)Cuは、従来から飛来塩分量の多い環境において耐食性改善効果の基本とされていた元素であり、比較的濡れ時間が長い環境において耐食性改善効果は見られる。しかしながら、塩化物濃度がさらに大きくなり、局部的にpHが下がるような環境、例えば塩分が付着し、湿度が変化することにより乾湿が繰り返され、β−FeOOHが生成するような比較的ドライな環境では、Cuはむしろ腐食を促進することが判明した。
(k)このように、この鋼材は、高い耐食性が期待できる。さらに耐食性が高いことから、鋼材に塗装を行っても、鋼材の腐食に起因する塗装の剥離が少なく塗装欠陥部の腐食を抑制する一方、塗膜による防食効果も期待できるため、塗装をした場合には、より一層の耐食性の効果が期待できる。したがって、耐食性のほかに、塗装の寿命を延長化でき、補修塗装間隔を大きく延ばす作用をも有する。
本発明に係るアレスト特性に優れた高強度厚肉鋼板は、このような知見に基づいて完成したものであり、下記の(1)〜(7)に示すアレスト特性および耐食性に優れた高強度厚肉鋼板をその要旨とする。以下、それぞれ、本発明(1)〜本発明(7)という。本発明(1)〜本発明(7)を総称して、本発明ということがある。
(1) 質量%で、C:0.01〜0.12%、Si:0.5%以下、Mn:0.4〜2.0%、P:0.05%以下、S:0.008%以下、Al:0.002〜0.05%、N:0.01%以下、Nb:0.003〜0.1%およびSn:0.03〜0.50%を含有し、残部Feおよび不可避不純物からなる化学組成を有する鋼板であって、次の(1)式で示される炭素当量Ceqが0.32〜0.40%であり、板厚の(1/2)t部のフェライト組織分率が80%以上であり、かつ板厚の(1/2)t部の有効結晶粒径が25μm以下であり、45゜の角度の方向の(321)、(211)、(110)面のX線強度比の和の板厚の(1/2)t部と(1/4)t部での平均値が3.3以下であることを特徴とするアレスト特性および耐食性に優れた高強度厚肉鋼板。
Ceq=C+Mn/6+Cu/15+Ni/15+Cr/5+Mo/5+V/5・・・(1)
ここで、式中の、C、Mn、Cu、Ni、Cr、MoおよびVは、それぞれの元素の含有量(質量%)を意味する。
(2) 質量%で、さらに、Ni:1.0%以下を含有することを特徴とする、上記(1)のアレスト特性および耐食性に優れた高強度厚肉鋼板。
(3) 質量%で、さらに、Cu:0.2%未満を含有し、Cu/Sn比が1.0以下であることを特徴とする、上記(1)または(2)のアレスト特性および耐食性に優れた高強度厚肉鋼板。
(4) 質量%で、さらに、Cr:1.0%以下を含有することを特徴とする、上記(1)〜(3)のいずれかのアレスト特性および耐食性に優れた高強度厚肉鋼板。
(5) 質量%で、さらに、Mo:0.5%以下、V:0.1%以下およびB:0.005%以下の元素のうち1種又は2種以上を含有することを特徴とする、上記(1)〜(4)のいずれかのアレスト特性および耐食性に優れた高強度厚肉鋼板。
(6) 質量%で、さらに、Ti:0.1%以下を含有することを特徴とする、上記(1)〜(5)のいずれかのアレスト特性および耐食性に優れた高強度厚肉鋼板。
(7) 質量%で、さらに、Ca:0.004%以下、Mg:0.002%以下およびREM:0.002%以下の元素のうち1種又は2種以上を含有することを特徴とする、上記(1)〜(6)のいずれかのアレスト特性および耐食性に優れた高強度厚肉鋼板。
本発明によれば、圧延方向に対して45°の角度の方向のアレスト特性に優れた高強度厚肉鋼板を低コストで提供することができる。特に、−10℃で6000N/mm1.5以上のアレスト特性を有し、引張強度TSが490MPa以上の高強度の厚肉鋼板を低コストで提供することができる。また、この高強度厚肉鋼板は、高塩化物環境における耐食性も良好であり、造船用鋼板、特にコンテナ船のコンテナ用鋼板として有効に使用できる。
コンテナ船に搭載されるコンテナの断面を模式的に示す。 発生したき裂の伝ぱを溶接線の端部で停止させ、それ以上の破損を防止する構造設計を示す。
以下に、本発明の各要件について詳しく説明する。ここで、化学組成を表す「%」は、特に断らない限り、「質量%」を意味する。
(A)化学組成について
C:0.01〜0.12%
Cは、強度確保のために必要な元素である。そして、実用的な強度を有する鋼とするためには、0.01%以上を含有させる必要がある。しかしながら、その含有量が0.12%を超えると、ベイナイト変態領域の靭性劣化が顕著化するとともに、溶接熱影響部の靭性も損ねる。したがって、Cの含有量は0.01〜0.12%とする。強度とアレスト特性のバランスの点から、Cの含有量の好ましい範囲は0.03〜0.10%である
Si:0.5%以下
Siは、精錬段階での脱酸に必要な元素であるとともに強度上昇に寄与する元素である。しかしながら、Siの含有量が0.5%を超えると、溶接熱影響部における島状マルテンサイトの生成を助長して靭性に悪影響を及ぼす。したがって、Siの含有量を0.5%以下とする必要がある。Siの含有量は、好ましくは0.3%以下である。なお、Siの効果を安定的に発現させるためには、Siを0.03%以上含有させるのが好ましい。
Mn:0.4〜2.0%
Mnは、強度確保のための必要な元素である。そして、実用的な強度を有する鋼とするためには、0.4%以上を含有させる必要がある。しかしながら、2.0%を超えると溶接熱影響部の靭性が大幅に劣化する。したがって、Mnの含有量の上限は2.0%とする。Mnの含有量の好ましい上限は1.6%である。なお、Mnによる強度確保を安定的に得るためには、0.4%以上含有させるのが好ましい。より好ましい含有量は0.6%以上である。
P:0.05%以下
Pは、不純物として存在し、溶接熱影響部における粒界割れの原因となる。Pの含有量が0.05%を超えると、溶接熱影響部における粒界割れの発生が著しくなることから、P含有量の上限を0.05%とする必要がある。なお、その混入量はできるだけ低くするのが好ましく、アレスト特性を安定的に得るためには、Pの含有量を0.03%以下とするのが好ましい。
S:0.008%以下
Sは、不純物として存在し、脆性破壊の基点となるMnSを形成して、アレスト特性を損なう元素である。Sの含有量が0.008%を超えると、アレスト特性が顕著に劣化するため、不純物元素とてのS含有量の上限を0.008%とする必要がある。なお、その混入量はできるだけ低くするのが好ましく、アレスト特性を安定的に得るためには、Sの含有量を0.003%以下とするのが好ましい。
Al:0.002〜0.05%
Alは鋼の脱酸に必要な元素である。本発明に係る鋼材の場合、脱酸にはAlは0.002%以上の含有量が必要である。しかし、その含有量が0.05%を超えると析出物の増加を通じてアレスト特性の劣化が顕著化する。したがってAlの含有量は0.002〜0.05%とする。好ましくは0.002〜0.04%である。
N:0.01%以下
Nは、不純物として存在し、析出物を形成することで靭性劣化をもたらす元素である。Nの含有量が0.01%を超えるとアレスト特性の劣化が顕著化するため、Nの含有量は0.01%以下とする必要がある。なお、低温靭性確保のためには低い方が良く、好ましくは0.006%以下である。
Nb:0.003〜0.1%
Nbは、組織の微細化、焼入れ性の向上及び析出硬化による強度上昇に有効な元素であり、特に未再結晶域の拡大効果が大きいことから、TMCP法を適用する鋼材には必要な元素である。この効果を発揮させるためには、Nbを0.003%以上含有させる必要がある。しかし、その含有量が0.1%を超えると、析出物の増加により却って靭性の劣化をもたらす。したがって、Nbの含有量を0.003〜0.1%とする。好ましくは0.003〜0.04%である。
Sn:0.03〜0.50%
Snは、Sn2+となって溶解し、酸性塩化物溶液中でのインヒビター作用により腐食を抑制する作用を有する。また、Fe3+を速やかに還元させ、酸化剤としてのFe3+濃度を低減する作用を有することにより、Fe3+の腐食促進作用を抑制するので、高飛来塩分環境における耐候性を向上させる。また、Snには鋼のアノード溶解反応を抑制し耐食性を向上させる作用がある。これらの作用は、Snを0.03%以上含有させることにより得られ、0.50%を超えると飽和する。したがって、Snの含有量は0.03〜0.50%とする。なお、Snの含有量の好ましい下限は0.05%であり、好ましい上限は0.30%である。
本発明に係る厚肉鋼板は、上記の化学組成を有し、残部がFeおよび不純物からなる。ここで、不純物とは、厚肉鋼板を工業的に製造する際に鉱石やスクラップ等のような原料をはじめとして製造工程の種々の要因によって混入する成分であって、本発明に悪影響を与えない範囲で許容されるものを意味する。
本発明に係る厚肉鋼板は、次のとおり、上記の元素の他に、Ni、Cu、Cr、Mo、V、B、Ti、Ca、MgおよびREMのうち、少なくとも1種を含有させてもよい。
Ni:1.0%以下
Ni、必要に応じて含有させることができる。Niを含有させると、鋼板のアレスト特性を向上させることができる。しかしながら、Niの含有はコストアップ要因となるため、その含有量を1.0%以下とする。好ましくは0.6%以下である。なお、Niによるアレスト特性向上効果を安定的に発現させるためには、Niを0.03%以上含有させることが好ましい。
Cu:0.2%未満かつCu/Sn比 1.0以下
Cuは、必要に応じて含有させることができる。Cuを含有させると、靭性を劣化させずに強度を向上させることができる。しかしながら、その含有量が0.2%以上であるかまたはCu/Sn比が1.0を超えると、Snを含有する鋼では、Cuの含有による耐食性の低下が著しい、さらに、鋼板を製造する際に圧延割れの原因となる。このため、Cuを含有させる場合のCu含有量は0.2%未満とし、かつSn含有量に対するCu含有量の比、すなわち、Cu/Sn比を1.0以下とする。なお、Cuを含有させる場合のCu含有量の上限は、より好ましくは0.15%である。
なお、Cuによる上記の効果を安定的に発現させるためには、Cuを0.01%以上含有させることが好ましい。Cuを含有させる場合のCu含有量の下限は、より好ましくは0.05%である。
Cr:1.0%以下
Crは、必要に応じて含有させることができる。Crを含有させると、強度を上昇させることができる。しかしながら、その含有量が1%を超えると、却って靭性の劣化をきたし、更に、溶接熱影響部に硬化した組織を形成し靭性を劣化させるので、その含有量の上限は1%とする。Crの好ましい上限は0.6%である。なお、Crによる強度向上効果を安定的に発現させるためには、Crを0.05%以上含有させることが好ましい。
Mo:0.5%以下
Moは、必要に応じて含有させることができる。Moを含有させると、焼入れ性を高め、強度を向上させることができる。しかしながら、Moの含有はコストアップ要因となり、また、その含有量が0.5%を超えると、却って溶接熱影響部の靭性を劣化させるので、その含有量の上限は0.5%とする。Moの好ましい上限は0.3%である。なお、Moによる焼入性と強度の向上効果を安定的に発現させるためには、Moを0.02%以上含有させることが好ましい。
V:0.1%以下
Vは、必要に応じて含有させることができる。Vを含有させると、焼入れ性の向上及び析出硬化による強度の向上に有効となる。しかしながら、Vの含有量が0.1%を超えると、却って靭性の著しい劣化をもたらすので、その含有量の上限は0.1%とする。Vの好ましい上限は0.06%である。なお、Vによる焼入性と強度の向上効果を安定的に発現させるためには、Vを0.003%以上含有させることが好ましい。
B:0.005%以下
Bは、必要に応じて含有させることができる。Bを含有させると、オーステナイト粒界からのフェライト変態を抑制して焼入れ性を向上させ、強度を高めることができる。しかしながら、Bの含有量が0.005%を超えると靭性が劣化するので、その含有量の上限は0.005%とする。Bの好ましい上限は0.0015%である。なお、Bによる焼入性および強度の向上効果を安定的に発現させるためには、Bを0.0003%以上含有させることが好ましい。さらに、本発明においては板厚中心部のフェライト量を確保することが必要であるので、Bを含有させるときは、炭素当量で示される焼入れ性とのバランスを十分考慮することが重要となる。
Ti:0.1%以下
Tiは、必要に応じて含有させることができる。Tiを含有させると、酸化物粒子の構成元素として有効となり、また高温延性を高めて連続鋳造で製造される鋼塊のひび割れを防止するのに有効となる。しかしながら、Tiの含有量が0.1%を超えると、TiCを生成し、靭性を劣化させるので、その含有量の上限は0.1%とする。Tiの好ましい上限は0.04%である。なお、Tiによるこれらの効果を安定的に発現させるためには、Tiを0.003%以上含有させることが好ましい。
Ca:0.004%以下
Caは、必要に応じて含有させることができる。Caを含有させると、介在物の形態制御効果を有し、アレスト特性の向上に寄与する。しかしながら、その含有量が0.004%を超えると、鋼の清浄度自体を大きく低下させるので、その含有量の上限は0.004%以下とする。Caの好ましい上限は0.002%である。なお、Caによるこれらの効果を安定的に発現させるためには、Caを0.0003%以上含有させるのが好ましい。
Mg:0.002%以下
Mgは、必要に応じて含有させることができる。Mgを含有させると、微細酸化物の分散密度を増すことができる。しかしながら、その含有量が0.002%を超えると、微細酸化物が得られないし、鋼の清浄度を大きく低下させるので、その含有量の上限は0.002%以下とする。Mgの好ましい上限は0.0015%である。なお、Mgによる微細酸化物の分散密度の向上効果を安定的に発現させるためには、Mgを0.0002%以上含有させることが好ましい。ここで、Mgを溶鋼中に含有させる工程は、Alを溶鋼中に含有させる前に行うのが好ましい。
REM:0.002%以下
REM(希土類元素)は、必要に応じて含有させることができる。REMを含有させると、Mgと同様に、微細酸化物の分散密度を増すことができる。さらに、過剰なSを硫化物として固定する効果も得られる。しかしながら、その含有量が0.002%を超えると、微細酸化物が得られないし、鋼の清浄度を大きく低下させるので、その含有量の上限は0.002%以下とする。REMの好ましい上限は0.0015%である。なお、REMによるこれらの効果を安定的に発現させるためには、REMを0.0002%以上含有させることが好ましい。
ここで、REMを溶鋼中に含有させる工程は、Alを溶鋼中に含有させる前に行うのが好ましい。またREMとは、ランタニドの15元素にYおよびScを合わせた17元素の総称であり、これらの元素のうちの1種以上を含有させることができる。それぞれのREM元素に分離して鋼中に含有させてもよいし、ミッシュメタルという混合した状態で鋼中に含有させてもよい。なお、REMの含有量はこれらの元素の合計含有量を意味する。
(B)焼入れ性について
本発明で規定する高強度厚肉鋼板は強度部材として使用されることから、規格材として十分な強度を保有している必要がある。したがって、高強度厚肉鋼板の化学組成は各々の規定範囲を満足するだけではなく、適切な焼入れ性を有していることが必要である。高強度厚肉鋼板の焼入れ性を表すパラメータとしては炭素当量を用いることができる。特に、引張強さが490MPa以上の強度クラスの高強度厚肉鋼板の場合には、IIW(International Institute of Welding: 国際溶接学会)で規定されている炭素当量式を用いることができる。すなわち、次の(1)式で示される炭素当量Ceqを用いて整理することができる。
Ceq=C+Mn/6+Cu/15+Ni/15+Cr/5+Mo/5+V/5・・・(1)
ここで、式中の、C、Mn、Cu、Ni、Cr、MoおよびVは、それぞれの元素の含有量(質量%)を意味する。
この炭素当量Ceqが0.32%を下回る場合には十分な強度が確保されず、逆に0.40%を超える場合には板厚中心部のフェライト組織分率を確保できない。したがって、炭素当量Ceqを0.32〜0.40%と規定する。炭素当量Ceqの好ましい範囲は0.32〜0.38%である。
(C)フェライト組織分率について
板厚中心部は加工の浸透度が低いこともあり、上部ベイナイト組織が主体となる。そして、一般に上部ベイナイト組織は細粒フェライト組織に比べて、ラス間の硬質組織(MA)の影響により靭性が低下する。
したがって、上部ベイナイト組織が多くなると靭性が劣化する傾向を示すため、フェライト組織を増加させる必要がある。フェライト組織を増加する手法としては、低温加熱によるγ粒界の増加や加工誘起によるフェライト生成範囲の拡大などを挙げることができる。
本発明者らは、種々のフェライト率を有する鋼について試験をした結果、フェライト組織分率が80%以上の鋼は優れたアレスト特性を保有することが分かった。したがって、鋼中のフェライト組織分率は80%以上と規定する。好ましくは85%以上である。
なお、フェライト組織分率は、光学顕微鏡のほかに、走査型電子顕微鏡及び加速電圧が100〜200kVの透過電子顕微鏡を用いた観察に基づいて評価することができる。ここでは、フェライト組織分率をフェライトの面積率により評価している。具体的には、これらの観察法によって観察した100視野について、各視野において全視野面積に対するフェライトの面積割合を算出したのち、100視野のフェライトの面積割合の平均値を求めたものである。
(D)有効結晶粒径について
高強度厚肉鋼板の靱性は、圧延後に得られる肉厚鋼板の板厚中心部((1/2)t部)のフェライト組織分率を80%以上と規定することに加えて、板厚中心部の有効結晶粒径を25μm以下とすることによって向上することが分かった。
なお、有効結晶粒径の測定は光学顕微鏡や走査型電子顕微鏡で認められる粒界を基準として定量化した場合には、隣接する結晶粒の方位差が小さい場合などに破面単位との対応が悪く組織サイズを代表する数値となり得ない。したがって、本発明では、「有効結晶粒径」とは、EBSPにより評価した場合の方位差15°以上の組織境界で囲まれる部分の結晶粒径を意味する。すなわち、EBSP(Electron Backscatter Diffraction Pattern:電子線後方散乱パターン)法を用いて、倍率300倍で5視野以上の観察を行い、15°以上の方位差を有する組織境界を粒界とみなし、ひとつの結晶内部の面積を求め、その面積を円相当径に換算したものを有効結晶粒径として評価した。
(E)X線強度比について 圧延方向に対し45°角度を持った方向のアレスト特性については、45゜の角度の方向の(321)、(211)、(110)面のX線強度比の和の板厚の(1/2)t部と(1/4)t部での平均値が3.3以下となると、顕著に向上する。
低温での圧下量が一定以上を超えた場合、45°の角度の方向への劈開面の集積が緩和され、Z方向への劈開面の集積が顕著となる。このため、圧延方向に対し45°の角度の方向のアレスト特性が改善されていると推測される。
なお、ここで言うX線強度比とは、ランダムな結晶方位を持ったサンプルとのX線強度の比であり、これはX線回折装置を用いることで測定できる。また、鋼板の表面直下では、圧延時の温度履歴が鋼板内部と大きく異なるため、X線強度比もばらつきが大きい。このため表面直下は避けてサンプルを採取することは望ましく、本発明では板厚の(1/2)t部と(1/4)t部において、圧延方向から45°の角度の方向のサンプルを採取し、X線強度比を測定した。
(F)製造条件について
以下に詳述する製造条件は、上述の厚肉鋼板を経済的に要領よく実現するための方法の一つであり、厚肉鋼板自体の技術的範囲はこの製造条件によって規定されるものではない。
厚肉鋼板の素材である鋼塊の加熱条件のコントロール、すなわち、加熱温度と加熱時間のコントロールは、鋼塊再加熱時の初期γ粒径化を制御する主な製造条件であり、本発明において極めて重要である。
高温度の加熱あるいは長時間の加熱はγ粒の成長を促進するので、α変態時のフェライト生成核が少なくなるので、最終組織におけるフェライト組織分率が減少するとともに、圧延中の待ち時間が長時間化するので、経済性を損ねる結果となる。したがって、加熱温度を低く、そして、加熱時間を短く制御する必要がある。ただし、温度と時間には等価性があるため、どちらか一方の条件を満足すればよい。すなわち、加熱の低温化又は短時間化を図ることにより、圧延後の変態時にフェライト変態を起こさせ、もって初期γ粒径を細粒にすることができる。この等価性を実験的に明らかにしたところ、肉厚鋼板の素材である鋼塊の加熱工程においては、鋼塊の加熱温度Tr(℃)と加熱時間t(hr)が、次の(2)式および(3)式の両方を満足していることが、アレスト特性に優れた高強度厚肉鋼板を経済的に製造する条件として好ましいことが分かった。
Tr<1050 ・・・・・・(2)
400≦t×exp(Tr/270000000)≦550 ・・・・・(3)
ここで、tは鋼塊の加熱時間(hr)を、そして、Trは加熱温度(℃)を、それぞれ表す。
なお、加熱温度が極端に低い場合には、変形抵抗の増加などにより圧延の実現が困難となるので、加熱温度は800℃以上にすることが好ましい。ただし、加熱温度は1050℃以下にすることが好ましい。
次に、アレスト特性に優れた高強度厚肉鋼板を経済的に得る方法としては、引き続き行われる圧延工程での調整板厚と、圧延温度および仕上圧延温度のコントロールも有効である。未再結晶域での圧延量を増加させ、α変態前のγ中の転位密度を高くすることでフェライト変態を促進するというTMCP技術を適用することで、厚肉材の板厚中心部でも十分なフェライト変態を期待することができるからである。
この未再結晶域での圧下量を制御する製造上のパラメータとしては、調整板厚、調整時の圧延温度および仕上圧延温度の3つが重要であることを知見した。
本発明者らによる多数の実験により得られた条件は、圧延工程においては、圧延途中の任意の厚み(調整板厚)A(mm)における圧延温度(調整時圧延温度)B(℃)と、最終圧延により最終の厚肉鋼の板厚G(mm)に仕上げる際の仕上圧延温度C(℃)が、次の(4)式、(5)式、(6)式および(7)式を満足するように圧延を行う。
A−3.5G≦0 ・・・・・・(4)
A−1.5G≧0 ・・・・・・(5)
C−670−G≦0 ・・・・・・(6)
B−C−20−1400/G≦0 ・・・・・・(7)
ここで、Aは圧延途中の任意の厚み(mm)を、BはAにおける圧延温度(℃)を、Cは仕上圧延温度(℃)を、そして、Gは最終の厚肉鋼の板厚(mm)を、それぞれ表す。
上記(4)式〜(7)式のうち、一つでも満足しない場合には、α変態前の転位密度が不足し、板厚中心部の組織におけるフェライト組織分率が低下することになるので、アレスト特性に優れた高強度厚肉鋼板を効率よく得ることができない。
また、十分な強度を確保するために、このような厚肉材の場合には、圧延後の冷却工程における冷却速度と冷却停止温度のコントロールも有効であり、水冷時の冷却速度が2℃/s以上であり、かつ水冷停止温度が500℃以下とするのが好ましい。すなわち、水冷停止温度E(℃)および板厚中心部における水冷中の平均冷却速度F(℃/s)が、次の(9)式および(10)式を満足するように水冷を行うのが好ましい。
E−500≦0 ・・・・・・・・・・・・・・・・(9)
F−5≧0 ・・・・・・・・・・・・・・・・(10)
ここで、Eは水冷停止温度(℃)を、そして、Fは板厚中心部((1/2)t部)における水冷中の平均冷却速度F(℃/s)を、それぞれ表す。
また、冷却後にAc点以下の温度で焼戻すと、ベイナイト組織中の硬化組織が一部無害化する効果を有する場合があるので、必要に応じ実施する。
表1に、今回供試した鋼の化学成分を示す。なお、これらの鋼のうち、鋼No.30〜35は比較鋼であって、本発明で規定する成分範囲又は(1)式で示される炭素当量Ceqを満足していない。
Figure 2012092379
これらの各種の鋼を用い、表2に示す製造条件に基づいて種々の高強度厚肉鋼板を製造した。なお、試験No.1−2については、表2中では明示していないが、冷却後520℃で焼戻しを行っている。
表2に各供試鋼の製造パラメータと得られた組織および結晶粒径並びに45゜の角度の方向の(321)、(211)、(110)面のX線強度比の和を示す。
なお、45゜の角度の方向の(321)、(211)、(110)面のX線強度比の和の板厚の(1/2)t部と(1/4)t部での平均値は、圧延方向に対し、45°の角度の方向より、20mm×20mmの試験片を採取し、X線回折試験にて測定した。
Figure 2012092379
得られた鋼板の特性については、引張試験ではJIS−Z−2201に記載の試験方法に準じて試片を採取した。採取位置は、板厚の(1/4)t部でかつC方向(圧延方向と直角の方向)とした。なお、降伏点は10N/(mm・s)の試験速度として下降伏点を求め、明確な降伏点が現れない場合は0.2%耐力とした。強度の目標値は、引張強度TS≧490MPaとした。
アレスト特性の評価方法としては、温度勾配型ESSO試験を複数体実施し、得られた結果をアレニウス形式のグラフ上にプロットして線形近似を行い、−10℃でのKca値をその鋼のアレスト特性(N/mm1.5)としての評価代表値とした。アレスト特性の目標値としては6000N/mm1.5とした。
アレスト特性とvTrsはある程度の相関があり、大まかにアレスト特性の良否を知ることができる。このため、45°方向のアレスト特性が、L、C方向と比較して劣位にないことを確認するために、シャルピー衝撃試験を実施した。まず、JIS−Z−2242に記載の試験方法に準じ、板厚の(1/4)t部の位置より、圧延方向及び45°の角度の方向の破面遷移温度(vTrs)を求めた後、下記の(11)式に従って、圧延方向及び45°の角度の方向の破面遷移温度(vTrs)の差のΔvTrsを求めることで、圧延方向及び45°の角度の方向の靭性の差異を評価した。
ΔvTrs= vTrsL×(-1)-vTrs45×(-1)・・・・・・・・・・・・・・・・(11)
ここで、vTrsL:圧延方向のvTrs、vTrs45:45°方向のvTrsをそれぞれ表す。なお、ΔvTrsの目標値は≦10℃とした。
そして、耐食性は、得られた鋼材から得た試験片をSAE(Society of Automotive Engineers)J2334試験により評価した。SAE J2334試験は、湿潤:50℃、100%RH、6時間、塩分付着:0.5%NaCl、0.1%CaCl、0.075%NaHCO水溶液浸漬、0.25時間、乾燥:60℃、50%RH、17.75時間を1サイクル(合計24時間)とした加速試験であり、腐食形態が大気暴露試験に類似しているとされている(長野博夫、山下正人、内田仁著:環境材料学、共立出版(2004)、p.74)。なお、本試験は、飛来塩分量が1mddを超えるような厳しい腐食環境を模擬する試験である。
SAE J2334試験120サイクル終了後、各試験片の表面のさび層を除去し、板厚減少量を測定した。ここで、「板厚減少量」は、試験片の平均の板厚減少量であり、試験前後の重量減少と試験片の表面積を用いて算出したものである。
また、耐塗装剥離性を調べるために、150×70mmの大きさの試験片にエアースプレーにより変性エポキシ塗料(バンノー200:中国塗料製)を乾燥膜厚で150μmになるように塗装し、鋼材素地に達する深さでクロスカットを入れてから、同じくSAE J2334試験により評価した。
なお、以上の耐食性試験では、板厚減少量が0.25mm、剥離面積率30%以下であることを目標とした。
表3に、それぞれの高強度厚肉鋼板の機械的特性(降伏強度YS[MPa]と引張強度TS[MPa])、アレスト特性、ΔvTrsおよび耐食性の評価結果を示す。
Figure 2012092379
表3より、本発明例に係る試験No.1−2、1−3、2−6、3−1および試験No.4〜23の供試鋼は、いずれも厚肉鋼板であるにもかかわらず、必要な強度特性を確保したまま高いアレスト特性を確保している。また、45°の角度の方向の靭性に関しても劣化は見られず、応力負荷方向によらず、優れたアレスト特性を示すことが示唆されている。そして、いずれも優れた耐食性を有している。
比較例に係る試験No.1−1、1−4の供試鋼は、本願発明の組成範囲を満足するが、フェライト組織分率、有効結晶粒径およびX線強度比の和を満足しないため、アレスト特性、ΔvTrsが目標値を満足しなかった。
比較例に係る試験No.2−1〜2−5の供試鋼は、本願発明の組成範囲を満足するが、フェライト組織分率およびX線強度比の和を満足しないため、ΔvTrsと、引張強度またはアレスト特性のいずれか一方を満足しなかった。
比較例に係る試験No.3−2の供試鋼は、本願発明の組成範囲を満足するが、フェライト組織分率を満足しないため、引張強度、アレスト特性およびΔvTrsが目標値を満足しなかった。
比較例に係る試験No.30〜35の供試鋼は、本願発明の組成範囲を満足せず、さらにフェライト組織分率、有効結晶粒径およびX線強度比の和の少なくとも一つを満足しないため、アレスト特性、ΔvTrsが目標値を満足しなかった。
比較例に係る試験No.36の供試鋼は、Sn含有量が少ないために十分な耐食性を有しなかった。
比較例に係る試験No.37の供試鋼は、本願発明の組成範囲ではあるが、Cu/Sn比が1を超したため、圧延時に割れが生じた。このため、引張特性などの測定をしなかった。
以上のとおりであるから、本発明によれば、圧延方向に対して45°の角度の方向のアレスト特性に優れた高強度厚肉鋼板を低コストで提供することができる。特に、−10℃で6000N/mm1.5以上のアレスト特性を有し、引張強度TSが490MPa以上の高強度の厚肉鋼板を低コストで提供することができる。したがって、脆性破壊による大規模破壊を防止する必要がある船舶構造物に適用される高強度厚肉鋼板に、高い脆性き裂伝ぱ停止特性を低コストで安定的に付与することができる。船舶構造物の耐破壊安全性の向上に寄与することができ、社会的効果は極めて大きい。さらに、高塩化物環境における耐食性にも優れ、補修塗装間隔の延長によるライフサイクルコストの低減も図ることができる。

Claims (7)

  1. 質量%で、C:0.01〜0.12%、Si:0.5%以下、Mn:0.4〜2.0%、P:0.05%以下、S:0.008%以下、Al:0.002〜0.05%、N:0.01%以下、Nb:0.003〜0.1%およびSn:0.03〜0.50%を含有し、残部Feおよび不可避不純物からなる化学組成を有する鋼板であって、次の(1)式で示される炭素当量Ceqが0.32〜0.40%であり、板厚の(1/2)t部のフェライト組織分率が80%以上であり、かつ板厚の(1/2)t部の有効結晶粒径が25μm以下であり、45゜の角度の方向の(321)、(211)、(110)面のX線強度比の和の板厚の(1/2)t部と(1/4)t部での平均値が3.3以下であることを特徴とするアレスト特性および耐食性に優れた高強度厚肉鋼板。
    Ceq=C+Mn/6+Cu/15+Ni/15+Cr/5+Mo/5+V/5・・・(1)
    ここで、式中の、C、Mn、Cu、Ni、Cr、MoおよびVは、それぞれの元素の含有量(質量%)を意味する。
  2. 質量%で、さらに、Ni:1.0%以下を含有することを特徴とする、請求項1に記載のアレスト特性および耐食性に優れた高強度厚肉鋼板。
  3. 質量%で、さらに、Cu:0.2%未満を含有し、Cu/Sn比が1.0以下であることを特徴とする、請求項1または2に記載のアレスト特性および耐食性に優れた高強度厚肉鋼板。
  4. 質量%で、さらに、Cr:1.0%以下を含有することを特徴とする、請求項1から3までのいずれかに記載のアレスト特性および耐食性に優れた高強度厚肉鋼板。
  5. 質量%で、さらに、Mo:0.5%以下、V:0.1%以下およびB:0.005%以下の元素のうち1種又は2種以上を含有することを特徴とする、請求項1から4までのいずれかに記載のアレスト特性および耐食性に優れた高強度厚肉鋼板。
  6. 質量%で、さらに、Ti:0.1%以下を含有することを特徴とする、請求項1から5までのいずれかに記載のアレスト特性および耐食性に優れた高強度厚肉鋼板。
  7. 質量%で、さらに、Ca:0.004%以下、Mg:0.002%以下およびREM:0.002%以下の元素のうち1種又は2種以上を含有することを特徴とする、請求項1から6までのいずれかに記載のアレスト特性および耐食性に優れた高強度厚肉鋼板。
JP2010239292A 2010-10-26 2010-10-26 アレスト特性および耐食性に優れた高強度厚肉鋼板 Active JP5488395B2 (ja)

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