JP2012091949A - 水硬性物質 - Google Patents

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Abstract

【課題】高炉スラグ微粉末を用いつつ、環境負荷の少ない水硬性物質を提供する。
【解決手段】本発明の水硬性物質は、高炉スラグ微粉末、石膏および炭酸カルシウムを含有する。この構成によって、本発明の水硬性物質は、(1)水和反応での発熱量の低減、(2)硬化体となった後での強度の確保、(3)二酸化炭素排出量の低減の全てをバランスよく実現することができる。このような、水硬性物質により、セメント、構造体、地盤改良材が最適に実現されるようになる。結果として、様々な建築分野等での作業や建築物の精度や性能を向上させることができる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、銑鉄製造工程から算出される副産物である高炉スラグを有効活用する水硬性物質であって、アルカリ刺激剤を用いることなく高炉スラグの水硬性を生じさせる水硬性物質に関する。
水と反応することで硬化する特性を有する物質を用いて、セメントや地盤改良材が製造されることが多い。一般的には、石灰石を主原料としたポルトランドセメントが多く用いられている。このようなポルトランドセメントは、自然界から採取される石灰石(炭酸カルシウム)を焼成、粉砕して製造されるために、製造過程において多量の二酸化炭素を排出する問題が指摘されている。排出される多量の二酸化炭素は、地球温暖化や自然破壊の原因として考えられており、セメント製造における環境負荷軽減が望まれている。
このような環境負荷を軽減するために、銑鉄を製造する際の副産物である高炉スラグは、高炉セメントとしてポルトランドセメントに混合されたり、地盤改良材の主原料として使用されたりする。
高炉において銑鉄を製造する際に、副産物として高炉スラグが生成される。さらに、この高炉スラグの中の高炉水砕スラグは、潜在水硬性を有している。高炉水砕スラグは、1300℃〜1500℃で溶融状態にある高炉スラグを水冷することにより急速冷却されたガラス質を含む物質である。高炉水砕スラグを粉砕して微粉末にしたものが高炉スラグ微粉末である。この高炉スラグ微粉末は、潜在水硬性を有しているので、通常は水と接触しても水硬性を僅かにしか示さない。しかしながら、高炉スラグ微粉末にアルカリ刺激剤を加えることで、潜在水硬性が顕在化して硬化するようになる。
高炉スラグ微粉末の潜在水硬性を顕在化させるためのアルカリ刺激剤として、最も多く利用されているのが、ポルトランドセメントである。ポルトランドセメントの水和反応によりアルカリ性である水酸化カルシウムが生成される。このアルカリ性の物質による高炉スラグ微粉末の潜在水硬性が利用されて、高炉スラグを主原料とする高炉セメントや地盤改良材が製造される。高炉スラグ微粉末とポルトランドセメントとを、所定の割合で混合したものが高炉セメントである。一般的には、高炉スラグ微粉末が、全体の40質量%〜45質量%程度含まれているものが多い。
このように製造される高炉セメントは、構造体を形成するコンクリートの主原料として用いられたり、軟弱地盤を固める地盤改良材として用いられたりする。高炉セメントは、高炉スラグ微粉末の混合割合によって特性が変化し、高炉スラグの分量が多い方が、ポルトランドセメントのみを使用した場合に比べ優れた耐久性や低発熱性を示す。
このような用途に合わせて、ポルトランドセメントに代表されるアルカリ刺激剤以外に、種々の物質を高炉スラグ微粉末に混合させる技術が提案されている(例えば、特許文献1、2、3参照)。
特開2002−241152号公報 特開2002−320954号公報 特開2003−230221号公報
従来の高炉セメントは、高炉スラグ微粉末の潜在水硬性を顕在化させるために、ポルトランドセメントを混合させていた。このポルトランドセメントは、六価クロムを含有しているため、コンクリートのブリーディング水の中や地盤改良材として利用される場合にはこの六価クロムが環境中に溶出される可能性もある。しかしながら、高炉スラグは溶鉱炉の中で、還元雰囲気で生成されるため、クロムは三価クロムに還元され、六価クロムとしては存在しない。そのため高炉スラグ微粉末から六価クロムは溶出しない。
特許文献1〜3のそれぞれは、高炉スラグ微粉末の潜在水硬性を顕在化させるために、アルカリ刺激剤としてポルトランドセメントではなく、水酸化カルシウムを用いることを開示している。このため、特許文献1〜3のそれぞれの技術は、六価クロムの溶出を防止できる。
特許文献1は、高炉セメントの強度を高めるために、高炉スラグ微粉末、アルカリ刺激剤および石膏を混合させる水硬性物質を開示する。ここで、特許文献1は、アルカリ刺激剤として水酸化カルシウム(消石灰)を開示する。
しかしながら、特許文献1に開示される水硬性物質は、高炉スラグ微粉末に、アルカリ刺激剤(消石灰)を混合させる必要がある。消石灰は、自然界から採取された石灰石を焼成して生成される。このため、消石灰の生成過程では、多くの二酸化炭素が排出される。加えて、特許文献1は、ポルトランドセメントと同等以上の強度を得るために、消石灰に加えて、ポルトランドセメントを追加的に混合する技術を開示する。結果として、特許文献1に開示されるような水硬性物質は、二酸化炭素の排出を抑制できない問題を有し、環境破壊や地球温暖化の原因となる問題を生じさせる。
特許文献2は、高炉スラグ微粉末に、石膏、カルシウムを含有するアルカリ刺激剤を混合して製造される汚染土壌の重金属溶出抑制剤を開示する。
特許文献2に開示される技術も、特許文献1と同様に、高炉スラグ微粉末にアルカリ刺激剤を使用する。このアルカリ刺激剤は、消石灰や生石灰であり、石灰石の焼成過程を経て得られるものである。このため、特許文献2の技術は、アルカリ刺激剤を製造する過程で多量の二酸化炭素を生じさせる問題を有している。
特許文献3は、高炉スラグ微粉末に石膏および消石灰(水酸化カルシウム)を混合して製造される固化材を開示する。
特許文献3に開示される技術も、特許文献1,2と同様の問題を有する。
すなわち、従来技術においては、高炉スラグ微粉末の潜在水硬性を顕在化させて、高炉セメントや地盤改良材を製造するに際して、水酸化カルシウムなどのアルカリ刺激剤が用いられる。このようなアルカリ刺激剤は、原料の焼成・粉砕を経て得られる。この焼成の工程において多量の二酸化炭素が排出される。
高炉スラグ微粉末を用いた水硬性物質では、(1)水硬性を発現した後での発熱量の抑制、(2)水和反応によって硬化した硬化体の強度の確保、(3)二酸化炭素の排出量抑制、との特性がある。特許文献1〜3は、(1)の発熱量を抑制できたり、(2)の強度を確保したりすることは可能である。また、混合されるアルカリ刺激剤の量を非常に削減すれば、相対的に二酸化炭素の排出量を減少させることも可能である。
しかしながら、アルカリ刺激剤の混合量を削減すれば、(1)の発熱量の低減は実現されるものの、(2)の強度の確保に悪影響が生じることもある。
すなわち、従来技術1〜3は、上記の(1)〜(3)の全てを同時に実現させることが困難である。加えて、(1)の発熱量抑制や(2)の強度の確保のためには、アルカリ刺激剤を非常に厳密な混合比で混合させる必要がある。結果として、水硬性物質を、構造体を形成するコンクリートとして利用する場合や、地盤改良材として利用する場合にも、水硬性物質の硬化不良や強度不足を生じさせる問題もある。
本発明は、上記課題に鑑み、高炉スラグ微粉末を用いつつ、環境負荷の少ない水硬性物質を提供することを目的とする。
上記課題に鑑み、本発明の水硬性物質は、高炉スラグ微粉末、石膏および炭酸カルシウムを含有する。
本発明の水硬性物質は、製造過程で大量の二酸化炭素を排出することの無い、炭酸カルシウムを用いるので、最終的に製造される水硬性物質は、大量の二酸化炭素排出といった環境問題を引き起こしにくい。
また、水酸化カルシウムを用いる従来技術と異なり、炭酸カルシウムの混合量が厳密に制御される必要はなく、製造される水硬性物質は、安定した硬化や圧縮強度を確保できる。
更に、本発明の水硬性物質は、ポルトランドセメントの代わりに炭酸カルシウムを用いるので、六価クロムの溶出による環境負荷がなく、作業者の安全性も確保できる。
加えて、水硬性物質の強度や発熱量が、従来の高炉セメント同様あるいはそれ以上であることで、セメントや地盤改良材など種々の分野に適用できる。結果として、使用範囲が拡大できるので、環境にやさしい素材が多方面で活用でき、環境負荷の低い建設工事が営まれるようになる。
本発明の実施の形態1における水硬性物質の製造工程を示すブロック図である。 参考例としての、水酸化カルシウムを混合する水硬性物質の性能一覧を示す表である。 参考例である水酸化カルシウムを用いた水硬性物質の材齢に伴う圧縮強さを表したグラフである。 参考例である水酸化カルシウムが混合された水硬性物質の、混合量の相違による圧縮強さの変化を示すグラフである。 本発明の実施の形態1における水硬性物質の、炭酸カルシウムの混合量の違いによる水硬性物質の性能を示す表である。 比較例としての水硬性物質の性能を示す表である。 本発明の実施の形態1における炭酸カルシウムの混合量と圧縮強さとの関係を示すグラフである。 本発明の実施の形態2における石膏の混合量と圧縮強さの関係を示す表とグラフである。 本発明の実施の形態2における炭酸カルシウムの平均粒径と圧縮強さとの関係を示す表とグラフである。
本発明の第1の発明に係る水硬性物質は、高炉スラグ微粉末、石膏および炭酸カルシウムを含有する。
この構成により、炭酸カルシウムが、高炉スラグ微粉末の潜在水硬性を顕在化させて水硬性物質の硬化を実現する。炭酸カルシウムが用いられることで、水硬性物質は、(1)水和反応における発熱量の低減、(2)硬化体の圧縮強度の確保、(3)二酸化炭素排出量の低減、の全てをバランスよく実現できる。
本発明の第2の発明に係る水硬性物質では、第1の発明に加えて、高炉スラグ微粉末、石膏および炭酸カルシウムが混合された混合物に対して、1質量%〜10質量%の炭酸カルシウムが混合される。
この構成により、水硬性物質は、普通ポルトランドセメント以上の圧縮強度と、普通ポルトランドセメント以下の発熱量および二酸化炭素排出量をもって、普通ポルトランドセメントが用いられる分野に好適に使用される。
本発明の第3の発明に係る水硬性物質では、第1の発明に加えて、高炉スラグ微粉末、石膏および炭酸カルシウムが混合された混合物に対して、1質量%〜15質量%の炭酸カルシウムが混合される。
この構成により、水硬性物質は、高炉セメントB種以上の圧縮強度と、高炉セメントB種以下の発熱量および二酸化炭素排出量をもって、高炉セメントB種が用いられる分野に好適に使用される。
本発明の第4の発明に係る水硬性物質では、第1の発明に加えて、高炉スラグ微粉末、石膏および炭酸カルシウムが混合された混合物に対して、1質量%〜30質量%の炭酸カルシウムが混合される。
この構成により、水硬性物質は、中庸熱ポルトランドセメント以上の圧縮強度と、中庸熱ポルトランドセメント以下の発熱量および二酸化炭素排出量をもって、中庸熱ポルトランドセメントが用いられる分野に好適に使用される。
本発明の第5の発明に係る水硬性物質では、第1の発明に加えて、高炉スラグ微粉末、石膏および炭酸カルシウムが混合された混合物に対して、1質量%〜50質量%の炭酸カルシウムが混合される。
この構成により、水硬性物質は、低熱ポルトランドセメント以上の圧縮強度と、低熱ポルトランドセメント以下の発熱量および二酸化炭素排出量をもって、低熱ポルトランドセメントが用いられる分野に好適に使用される。
本発明の第6の発明に係る水硬性物質では、第2から第5のいずれかの発明に加えて、混合物に対して、10質量%〜20質量%の石膏が混合される。
この構成により、水硬性物質は、高い圧縮強度を確保できる。
本発明の第7の発明に係る水硬性物質では、第1から第6のいずれかの発明に加えて、高炉スラグ微粉末のブレーン比表面積が、3000cm/g以上であり、石膏のブレーン比表面積が、3000cm/g以上である。
この構成により、水硬性物質は、高い圧縮強度を確保できる。
本発明の第8の発明に係る水硬性物質では、第1から第7のいずれかの発明に加えて、炭酸カルシウムの平均粒径は、10μm〜50μmである。
この構成により、水硬性物質は、圧縮強度を低下させない。
(実施の形態1)
実施の形態1について説明する。
なお、本明細書において説明される「水硬性物質の圧縮強度(単に強度もしくは圧縮強さ)」は、水和反応を受ける前の混合物としての水硬性物質そのものの圧縮強度ではなく、水硬性物質が水和反応によって硬化した硬化体の圧縮強度を示している。但し、説明の便宜のために、水硬性物質の圧縮強度との表現によって、水硬性物質が硬化体となった場合での圧縮強度を説明することも含まれる。
本明細書での「強度」は、硬化体に作用する外力に対する最大限度の抵抗値を示し、「圧縮強度」は、「強度」のうち硬化体に作用する外力が圧縮力である場合を示す。また、「圧縮強さ」は、JIS R5201に規定されている圧縮強さの試験方法に準じ実施した試験値を示し、JIS A0203に規定されている用語の定義に基づく。尚、本明細書では、「圧縮強さ」によって硬化体の「圧縮強度」の指標とし、「圧縮強度」によって硬化体の「強度」の指標とする。
本明細書での「材齢」は、水硬性物質が水和反応を開始してからの経過時間を示す。JIS R5201に規定されている圧縮強さの試験方法に準じ実施した試験値の材齢は、水硬性物質と水の練混ぜ開始時からの経過時間を示す。
(全体概要)
実施の形態1における水硬性物質は、高炉スラグ微粉末と、石膏および炭酸カルシウムを含有する。もちろん、不可避混合物が混入することを排除するものではない。
高炉では、原料の鉄鉱石、コークス、石灰石などを用いて銑鉄が製造される。高炉スラグは、銑鉄製造工程において得られる副産物で原料中の鉄以外の成分により構成され、セメントと同様にCaO、Al、SiO等の化学成分を含む。このような高炉スラグの有効活用の一つとして、高炉セメントが製造されている。
高炉セメントは、高炉スラグを粉砕して高炉スラグ微粉末とした上で、この高炉スラグ微粉末に石膏およびアルカリ刺激剤としてポルトランドセメントを混合することで得られる。高炉スラグ微粉末は、潜在水硬性を有しており、ポルトランドセメントのアルカリ刺激により高炉スラグが水和反応を開始すると同時に、ポルトランドセメント自体も水和反応することにより硬化する。アルカリ刺激剤は、高炉スラグ微粉末の潜在水硬性を顕在化させる。従来技術では、このアルカリ刺激剤として、ポルトランドセメントや水酸化カルシウムが用いられていた。
実施の形態1における水硬性物質は、高炉スラグ微粉末の潜在水硬性を顕在化させるために炭酸カルシウムを用いる。炭酸カルシウムを含有することによって、高炉スラグ微粉末の潜在水硬性が顕在化するようになる。
炭酸カルシウムは、水酸化カルシウムと異なり、その製造過程において焼成等を必要としない。このため、水酸化カルシウムを用いる水硬性物質と異なり、実施の形態1における水硬性物質は、二酸化炭素の排出を低減できる。また、炭酸カルシウムは、六価クロムなどの有害物質を含んでいないので、実施の形態1における水硬性物質は、有害物質を溶出させることもない。
実施の形態1における水硬性物質は、高炉フラグ微粉末、石膏および炭酸カルシウムが混合されることで製造される。このとき、石膏や炭酸カルシウムなどの添加剤が、主原料である高炉スラグ微粉末に混合されることで水硬性物質が製造される。石膏や炭酸カルシウムの混合は、様々な手順で行われればよい。
例えば、石膏および炭酸カルシウムが同時に高炉スラグ微粉末と混合されても良いし、石膏および炭酸カルシウムの少なくとも一方が、高炉スラグ微粉末に予め混合されても良い。混合手順を自由に選定できることで、汎用性の高い水硬性物質の製造が可能となる。
あるいは、石膏のみが高炉スラグ微粉末に混合されて十分に攪拌されておき、事後的に炭酸カルシウムが混合されても良い。炭酸カルシウムが高炉スラグ微粉末の潜在水硬性を顕在化させるので、炭酸カルシウムが顕在化の重要な要素となる。このため、炭酸カルシウムを事後的に混合することも好適である。例えば、炭酸カルシウムが含まれていない混合物の状態で流通し、水硬性物質として使用する際に炭酸カルシウムを混合する。このような段階的な混合によって、流通経路や実際の使用時における水硬性物質の作業ミスを防止できる。
図1は、本発明の実施の形態1における水硬性物質の製造工程を示すブロック図である。図1は、高炉スラグ微粉末7、石膏(粉末)8および炭酸カルシウム9のそれぞれを同時に混合する製造方法を示している。高炉スラグ微粉末7、石膏(粉末)8、炭酸カルシウム粉末9は、それぞれの原料である高炉水砕スラグ1、石膏2、石灰石3から乾燥工程4、粉砕工程5を経て、分級工程6で所定の粒径に選別されて製造される。所定の粒径に選別された高炉スラグ微粉末7、石膏(粉末)8、炭酸カルシウム粉末9は、計量工程10で所定の質量%になるよう計量された後、混合工程11で均等に混ざり合うように攪拌混合される。
以上の、工程を経て、水硬性物質が製造される。なお、高炉スラグ微粉末7、石膏(粉末)8、炭酸カルシウム粉末9は、同一施設で製造されても良いし、各々が別の施設で製造されても良い。
(炭酸カルシウムによる潜在水硬性の顕在化)
炭酸カルシウムは、高炉スラグ微粉末の有する潜在水硬性を顕在化させる。
高炉スラグ微粉末、石膏および炭酸カルシウムを含有する水硬性物質は、水の混合を受けることで、高炉スラグ微粉末からカルシウムやアルミナイオンが溶出して石膏と反応してエトリンガイトが形成される。このエトリンガイトは、水硬性の発現には、そこまで寄与しないが、エトリンガイトの形成後に更に水和反応が進行し、高炉スラグ微粉末からカルシウムやシリケートイオンが溶出する。この結果、カルシウムシリケートハイドレイト(以下、「C−S−H」という)というゲル状物質が生成されて、このゲル状物質が硬化体の空隙を充填して、硬化体の硬化が更に進む。この硬化が進んでいくことで、硬化体の圧縮強度が向上する。
ここで、従来技術のように潜在水硬性を顕在化させるために、水酸化カルシウムを用いる場合には、水酸化カルシウムの混合量が厳密に制御されなければならない。これは、水酸化カルシウムが混合物に対して0.5質量%以上となると、水和反応初期において、高炉スラグ微粉末の表面が微細な針状エトリンガイトで被覆されるためスラグ中からCaやSiイオンの溶出が抑制され、C−S−Hの生成が遅れるからである。
一方、実施の形態1における水硬性物質は、水酸化カルシウムではなく炭酸カルシウムを含有する。この炭酸カルシウムが高炉スラグ微粉末(および石膏)に混合されると、水和反応の初期に高炉スラグ微粉末表面に、微細なエトリンガイトが生成されることが無く、炭酸カルシウムを結晶核とする粗大な柱状エトリンガイトが生成される。この結果、高炉スラグ微粉末表面からカルシウムやシリケートイオンが溶出しやすくなって水和が進行する。この水和の進行によって、実施の形態1における水硬性物質は、高炉スラグ微粉末の潜在水硬性を顕在化させて、硬化体となる。このとき、十分な圧縮強度を実現できる。
以上のように炭酸カルシウムが混合されることによって、高炉スラグ微粉末の潜在水硬性が顕在化する。加えて、水酸化カルシウムのように、厳密な混合量の制御によらなければ水硬性物質の硬化不良や強度不足といった問題も生じにくい。
また、炭酸カルシウムは、天然素材から容易に入手できる(あるいは、天然素材の簡単な加工によって容易に入手できる)。炭酸カルシウムの生成工程においては、水酸化カルシウム(石灰石を高温で焼成して得られる酸化カルシウム(生石灰)に水を反応させて得られる)と異なり焼成工程を不要とする。このため、高炉スラグ微粉末の潜在水硬性を顕在化するために、炭酸カルシウムが用いられる場合には、二酸化炭素の排出量が抑制される。また、後で詳述するが、水和反応における発熱量や硬化体の圧縮強度も確保できる。
このように、発明者の鋭意の検討や研究によって、水酸化カルシウムなどのアルカリ刺激剤の代わりに、炭酸カルシウムを用いることで、高炉スラグ微粉末の潜在水硬性を顕在化させるとともに、(1)水和反応における発熱量を削減し、(2)硬化体の強度を確保し、(3)二酸化炭素の排出量を削減できる。
(セメントの規格)
JIS規格では、セメントには、大きく分けて4つの種類が定められている。ポルトランドセメント、高炉セメント、シリカセメント、フライアッシュセメントである。ポルトランドセメントには、普通、早強、超早強、中庸熱、低熱、耐硫酸塩のそれぞれの種別がある。高炉セメント、シリカセメントおよびフライアッシュセメントのそれぞれには、A種、B種、C種のそれぞれの種別がある。
このJIS規格は、圧縮強さを規定している。圧縮強さ(N/mm)は、材齢、3日、7日、28日(セメント種によっては7日、28日、91日)における値で特定されている。一般的には、材齢が経過することでセメントの水和反応が進行し、圧縮強さが増加していく。
水硬性物質は、セメントとして利用されたり地盤改良材として利用されたりするが、セメントとして利用される場合には、このJIS規格における各セメントの圧縮強さを基準として、実施の形態1の水硬性物質の性能を検討すればよい。
このようなJIS規格におけるセメントの各数値を基準として、実施の形態1における水硬性物質における石膏や炭酸カルシウムの混合比率を検討すればよい。
(水酸化カルシウムを用いる不具合)
実施の形態1における水硬性物質は、水酸化カルシウムを用いた従来技術よりも、種々の点で優れている。従来技術における水酸化カルシウムを用いた水硬性物質は、特許文献1〜3等に開示されるとおり、その混合量を非常に厳密に制御する必要がある。加えて、混合される水酸化カルシウムの量は非常に少ない。具体的には、高炉スラグ微粉末、石膏および水酸化カルシウムの混合物に対して、0.125質量%〜0.5質量%の水酸化カルシウムが混合されることが望ましい。
この水酸化カルシウムの混合量である0.125質量%〜0.5質量%は、絶対的な量も小さい上にその範囲も狭い。絶対的な量が小さいことで、混合物に対する水酸化カルシウムの混合量を調整するのは非常に困難である。また、水酸化カルシウムの絶対的な混合量が少ないことで、混合物の中での均等な攪拌が困難となる。このため、製造される水硬性物質の精度がばらつく問題が生じる。
また、混合量の許容範囲も、0.5%未満であるので、制御も非常に困難である。正確な制御ができないことによって、望ましい値よりも少ない水酸化カルシウムが混合されたり、望ましい値よりも多い水酸化カルシウムが混合されたりすることで、製造される水硬性物質の強度や発熱量に悪影響が生じる。
水硬性物質は、構造体を形成するセメントに使用されたり、地盤を固める地盤改良材として使用されたりする。これらのセメントや地盤改良材は、大量に使用されるので、低コストであることが求められる。このような低コストが求められる水硬性物質において、水酸化カルシウムの混合量や攪拌を非常に厳密に制御しなければならないとすると、水硬性物質の製造コストが高くなってしまう。
図2は、参考例としての、水酸化カルシウムを混合する水硬性物質の性能一覧を示す表である。図2を用いて、水酸化カルシウムを水硬性物質に用いる場合のデメリットを説明する。
図2(a)は、高炉スラグ微粉末、石膏および水酸化カルシウムを混合させた水硬性物質の配合割合を示している。図2(b)は、図2(a)に示された水硬性物質の圧縮強さを示している。図2(c)は、JIS規格における各種セメントの圧縮強さを示している。参考例16は普通ポルトランドセメント(一般の用途に用いる汎用性のあるポルトランドセメント)を、参考例17は中庸熱ポルトランドセメント(水和熱が普通ポルトランドセメントより小さくなるように調整されたポルトランドセメント)を、参考例18は低熱ポルトランドセメント(水和熱が中庸熱ポルトランドセメントよりも更に小さくなるように調整されたポルトランドセメント)を、参考例19は高炉セメントB種(ポルトランドセメントに高炉スラグ微粉末をあらかじめ混合したセメントであって、高炉スラグの分量が30質量%を超え60質量%以下)をそれぞれ示す。なお、図2(c)では、JIS規格に基づくため、材齢の全ての数値はそろっていない。
図2(d)は、高炉スラグ微粉末、石膏および水酸化カルシウムを混合させた水硬性物質の発熱量とJIS規格対象の各種セメントの発熱量を示している。なお、ここでいう発熱量とは20℃の養生条件でコンダクションカロリーメータにより測定した材齢5日(120時間)までの累積発熱量を示したものである。
図2(a)において、参考例1〜3は高炉スラグ微粉末のブレーン比表面積が2000(cm/g)である配合割合を示している。同様に参考例4〜6は高炉スラグ微粉末のブレーン比表面積が3000(cm/g)、参考例7〜9は高炉スラグ微粉末のブレーン比表面積が4000(cm/g)、参考例10〜12は高炉スラグ微粉末のブレーン比表面積が5000(cm/g)、参考例13〜15は高炉スラグ微粉末のブレーン比表面積が6000(cm/g)である配合を示している。
また、ブレーン比表面積の値毎に、混合物全体に対して、水酸化カルシウムの混合量を、0.125質量%、0.75質量%、2質量%の3種類の混合状態での配合割合を示している。
一般的には、水硬性物質としては、3000cm/g以上のブレーン比表面積のものが用いられる。図2(d)においてブレーン比表面積が3000cm/gである参考例4〜6をみると、混合量が0.125質量%である参考例4および0.75質量%である参考例5の場合には、発熱量は、低熱ポルトランドセメントである参考例18の発熱量を上回っている。しかしながら、水酸化カルシウムの混合量が2質量%である参考例6の場合には、低熱ポルトランドセメントの発熱量を下回っている。
一方、図2(b)と(c)において、水酸化カルシウムの混合量が0.75質量%である参考例5および2質量%である参考例6の場合には、普通ポルトランドセメント(参考例16)、中庸熱ポルトランドセメント(参考例17)、高炉セメントB種(参考例19)の圧縮強さを下回っている。材齢によっては、低熱ポルトランドセメント(参考例18)の圧縮強さをも下回っている。
同様に、高炉スラグ微粉末のブレーン比表面積が4000cm/gである場合にも、混合量が0.125質量%(参考例7)および0.75質量%(参考例8)の場合には、発熱量が低熱ポルトランドセメント(参考例18)の数値を上回ってしまう。一方、混合量が0.75重量(参考例8)%および2質量%(参考例9)の場合には、普通ポルトランドセメント(参考例16)、中庸熱ポルトランドセメント(参考例17)、低熱ポルトランドセメント(参考例18)、高炉セメントB種(参考例19)の圧縮強さを下回ってしまうことがある。これらの傾向は、高炉スラグ微粉末のブレーン比表面積が、2000cm/g(参考例1〜3)、5000cm/g(参考例10〜12)、6000cm/g(参考例13〜15)の場合でも、同様に見られる。
以上のように、水酸化カルシウムがアルカリ刺激剤として用いられる水硬性物質は、水酸化カルシウムの添加比率の僅かな違いによって、圧縮強さおよび発熱量において大きな違いを生じさせてしまう。
図3は、参考例である水酸化カルシウムを用いた水硬性物質の材齢に伴う圧縮強さを表したグラフである。図3(a)〜図3(d)のそれぞれは、混合される水酸化カルシウムの比率ごとに、高炉スラグ微粉末のブレーン比表面積の変化によって生じる圧縮強さを示している。図3に示されるグラフは、図2の表から得られる。
図3(a)は、水硬性物質の材齢が1日である場合における圧縮強さを示している。圧縮強さは、折れ線で示されている。菱形を用いた折れ線は、0.125質量%の水酸化カルシウム(図3においては、消石灰と記載されているが、これは水酸化カルシウムのことである)が混合された水硬性物質での結果を示しており、方形を用いた折れ線は、0.75質量%の水酸化カルシウムが混合された水硬性物質での結果を示しており、三角形を用いた折れ線は、2質量%の水酸化カルシウムが混合された水硬性物質での結果を示している。
これらの表示は、図3(b)〜図3(d)のそれぞれで同様である。図3(b)は、水硬性物質の材齢が3日である場合における圧縮強さを示している。図3(c)は、水硬性物質の材齢が7日である場合における圧縮強さ強度を示している。図3(d)は、水硬性物質の材齢が28日である場合における圧縮強さを示している。
若干の相違はあるもの、図3(a)〜図3(d)のそれぞれに示されるように、材齢が1日程度の場合では、水酸化カルシウムの混合量が0.75質量%である場合が、最も高い圧縮強さを示す。しかし材齢が経過するにつれ、水酸化カルシウムの混合量が0.125質量%である場合が、最も高い圧縮強さを示すようになる。これに対して、水酸化カルシウムの混合量が2質量%である場合は、圧縮強さは非常に低く、図2(c)の表に示されるJIS規格で要求される圧縮強さに満たない。高炉スラグ微粉末のブレーン比表面積が変化しても同様の傾向が示される。
図3のそれぞれのグラフからわかる通り、水酸化カルシウムの混合量が、僅か0.3質量%程度変化しただけで、材齢に対する圧縮強さの現れ方が異なったり、僅か1質量%程度変化しただけで、十分な圧縮強さが確保できなかったりする。
図4は、参考例である水酸化カルシウムが混合された水硬性物質の、混合量の相違による圧縮強さの変化を示すグラフである。それぞれ、高炉スラグ微粉末のブレーン比表面積の違いに伴った変化を示している。なお、グラフ中の横軸に平行な破線は、JIS規格における、各材齢での圧縮強さを示している。すなわち、図4(a)〜図4(c)の各グラフ中の破線は、上の破線から順に、JIS規格における普通ポルトランドセメントの、材齢が28日、7日、3日における圧縮強さを示している。各グラフの折れ線(水酸化カルシウムが混合された水硬性物質の圧縮強さを示す)がこの破線と比較されることで、水酸化カルシウムが混合された水硬性物質の圧縮強さの十分・不十分が判断できる。
図4(a)は、水酸化カルシウムの混合量が0.125質量%である場合の水硬性物質の圧縮強さを示している。また、グラフのそれぞれは、0.125質量%の水酸化カルシウムが混合された水硬性物質の、材齢が3日、7日、28日での圧縮強さを示している。JIS規格においては、これら3種類の材齢に対応する圧縮強さのみが示されているので、図4のグラフでは、この3種類の材齢に対応した圧縮強さを折れ線で示している。
図4(a)は、混合物に対して0.125質量%の水酸化カルシウムが混合された水硬性物質の、高炉スラグ微粉末のブレーン比表面積のそれぞれにおける、材齢が3日、7日、28日での圧縮強さを示している。菱形を用いた折れ線は、材齢が3日である水硬性物質の圧縮強さを示している。方形を用いた折れ線は、材齢が7日である水硬性物質の圧縮強さを示している。三角形を用いた折れ線は、材齢が28日である水硬性物質の圧縮強さを示している。図4(b)、図4(c)においても同様である。
図4(a)、(b)から明らかな通り、材齢が経過するに従って、圧縮強さは増加していく。しかしながら、図4(c)から明らかな通り、水酸化カルシウムの混合量が2質量%である場合には、材齢に関らず圧縮強さは非常に弱い。2質量%の水酸化カルシウムが混合された水硬性物質の圧縮強さは、JIS規格で要求される圧縮強さに比較して非常に弱い。また、図4(b)から明らかな通り、0.75質量%の水酸化カルシウムが混合された水硬性物質は、高炉スラグ微粉末のブレーン比表面積が小さい状態では、弱い圧縮強さを示す。
このように、高炉スラグ微粉末に混合される水酸化カルシウムの量や高炉スラグ微粉末のブレーン比表面積が厳密に制御されなければ、十分な圧縮強度を確保できない問題がある。
(炭酸カルシウムの混合)
本発明の水硬性物質は、従来技術と異なり水酸化カルシウムに置き換えて炭酸カルシウムを用いる。
ここで、炭酸カルシウムは、従来技術である水酸化カルシウムと異なり、その混合量が厳密に制御されなくてもよい。炭酸カルシウムが混合されることによって、高炉スラグ微粉末の潜在水硬性が顕在化するのは、上記で説明した通りである。炭酸カルシウムは、生成過程で二酸化炭素を排出しない上に、混合量の厳密な制御無しに、発熱量の抑制や圧縮強度の確保を実現できる。
図5は、本発明の実施の形態1における水硬性物質の、炭酸カルシウムの混合量の違いによる水硬性物質の性能を示す表である。図5は、実施の形態1の水硬性物質の、炭酸カルシウムの混合率のそれぞれにおける圧縮強さ、発熱量および二酸化炭素排出量を一覧として示している。図6は、比較例としての水硬性物質の性能を示す表である。図6は、図5と対比させるために、JIS規格におけるセメントの規格および従来技術における水酸化カルシウムを用いた水硬性物質での性能を示している。
図5(a)は、水硬性物質を構成する、高炉スラグ微粉末(ブレーン比表面積4000(cm/g))、石膏(二水石膏)および炭酸カルシウム(粒径15.7μm)の配合割合を示している。実施例1〜7はそれぞれ、水硬性物質に対する炭酸カルシウムの混合量が、1質量%、3質量%、5質量%、10質量%、15質量%、30質量%、50質量%である場合を示している。図5(b)は、図5(a)に示す水硬性物質の圧縮強さを示している。図5(c)および(d)は、図5(a)に示す水硬性物質の発熱量と二酸化炭素排出量を示している。ここで、発熱量とは、図2(d)で示された発熱量と同一方法で測定された累積発熱量を示す。二酸化炭素排出量は、文献「コンクリートセクターにおける地球温暖化物質・廃棄物の最小化に関する研究委員会報告」日本コンクリート工学協会、2010.7に記載されている内容を基に、発明者が試算した結果である。
図6(a)は、高炉スラグ微粉末(ブレーン比表面積4000(cm/g))、石膏(二水石膏)および消石灰(水酸化カルシウム)を混合させた水硬性物質の配合割合を示している。比較例1および2は、消石灰の混合量がそれぞれ0.125質量%、0.75質量%である場合を示す。図6(b)は、図6(a)に示す水硬性物質の圧縮強さを示している。図6(c)は、JIS規格における各種セメントの圧縮強さを示している。比較例3は普通ポルトランドセメントを、比較例4は中庸熱ポルトランドセメントを、比較例5は低熱ポルトランドセメントを、比較例6は高炉セメントB種をそれぞれ示す。図6(d)および(e)は、図6(a)に示す水硬性物質の発熱量と二酸化炭素排出量を示している。ここで、発熱量および二酸化炭素排出量は、図5(c)および(d)と同一の方法で測定および試算した結果である。
(発熱量の検討)
まず、図5、図6より、炭酸カルシウムを含有する実施の形態1における水硬性物質の発熱量を検討する。図6(d)の表から明らかな通り、JIS規格対象セメントの発熱量の測定値は、普通ポルトランドセメント(比較例3)の場合で215J/g、中庸熱ポルトランドセメント(比較例4)の場合で167J/g、低熱ポルトランドセメント(比較例5)の場合で148J/g、高炉セメントB種(比較例6)の場合で184J/gである。
次に、高炉スラグ微粉末の潜在水硬性を顕在化させるために消石灰(水酸化カルシウム)を混合した比較例1および2における発熱量は、消石灰の混合量が0.125質量%(比較例1)の場合で175J/g、消石灰の混合量が0.75質量%(比較例2)の場合に173J/gである。
一方、図5(c)に示されるように、炭酸カルシウムを含有する実施の形態1における水硬性物質の発熱量は、混合物に対する炭酸カルシウムの混合量が1質量%(実施例1)の場合に147J/g、炭酸カルシウムの混合量が3質量%(実施例2)の場合に145J/g、炭酸カルシウムの混合量が5質量%(実施例3)の場合に135J/g、炭酸カルシウムの混合量が10質量%(実施例4)の場合に124J/g、炭酸カルシウムの混合量が15質量%(実施例5)の場合に119J/g、炭酸カルシウムの混合量が30質量%(実施例6)の場合に107J/g、炭酸カルシウムの混合量が50質量%(実施例7)の場合に94J/gである。
図5に示される実施の形態1における水硬性物質の発熱量は、図6に示されるいずれの種類のセメントおよび水硬性物質の発熱量を下回っている。すなわち、高炉スラグ微粉末の潜在水硬性を顕在化させるのに炭酸カルシウムを含有する水硬性物質(実施の形態1の水硬性物質)は、発熱量の面で、JISに規定されるいずれのセメントよりも低い値を示しており、消石灰を混合した水硬性物質よりも低い値を示している。当然ながら、従来技術の高炉セメントよりも発熱量が小さい。
水酸化カルシウムの代わりに炭酸カルシウムを用いることでアルカリ添加量が減少し高炉スラグの水和反応が抑制されるので、水和反応における発熱量が減少していると考えられる。
また、図5の表から明らかな通り、炭酸カルシウムの混合量が、1質量%〜50質量%での幅広い範囲において、発熱量は、大きく変動しない。炭酸カルシウムの混合量の大小に関らず、発熱量は各種セメントの実測値を下回っている上に、混合量の大小によって発熱量の変動が少ない。すなわち、炭酸カルシウムの高炉スラグ微粉末への混合量は、発熱量抑制の観点から、厳密な制御を必要としない。
以上のように、炭酸カルシウムを含有する実施の形態1における水硬性物質は、発熱量を抑えることができる。
(二酸化炭素排出量の検討)
次に、図5、図6を用いて実施の形態1における水硬性物質が、二酸化炭素の排出量を低減できていることについて説明する。
図5(d)は、炭酸カルシウムの混合量のそれぞれにおける二酸化炭素の排出量を示している。図5(d)に示されるとおり、炭酸カルシウムの混合量が1質量%(実施例1)の場合の二酸化炭素排出量は21.6kg/tであり、炭酸カルシウムの混合量が3質量%(実施例2)の場合の二酸化炭素排出量は21.4kg/tであり、炭酸カルシウムの混合量が5質量%(実施例3)である場合の二酸化炭素排出量は21.2kg/tであり、炭酸カルシウムの混合量が10質量%(実施例4)である場合の二酸化炭素排出量は20.8kg/tであり、炭酸カルシウムの混合量が15質量%(実施例5)である場合の二酸化炭素排出量は20.3kg/tであり、炭酸カルシウムの混合量が30質量%(実施例6)である場合の二酸化炭素排出量は18.9kg/tであり、炭酸カルシウムの混合量が50質量%(実施例7)である場合の二酸化炭素排出量は17.0kg/tである。
炭酸カルシウムの混合量が増加するにつれて、二酸化炭素排出量が減少するのは、水硬性物質の主原料の一つであるである石灰石の方が高炉スラグよりも粉砕が容易なため粉砕時のエネルギー原単位が低くなるからである。
また、図5(d)の表から明らかな通り、炭酸カルシウムの混合量に関らず、いずれの水硬性物質の二酸化炭素排出量も、図6(e)の表に示されるJIS規格に規定されるセメントの二酸化炭素排出量よりも極めて少ない。ポルトランドセメントやポルトランドセメントを用いる高炉セメントよりも、実施の形態1における水硬性物質の二酸化炭素排出量は低減されている。
図6(e)の表は、消石灰(水酸化カルシウム)を含有する水硬性物質での二酸化炭素排出量を示している。消石灰の混合量が0.125質量%(比較例1)である場合には、二酸化炭素排出量は22.4kg/tであり、消石灰の混合量が0.75質量%(比較例2)の場合には、二酸化炭素排出量は26.0kg/tである。
炭酸カルシウムを含有する実施の形態1の水硬性物質は、これら消石灰(水酸化カルシウム)を含有する従来技術の水硬性物質よりも、二酸化炭素排出量を低減している。実際に図5(d)の表と図6(e)の表とを比較すると、消石灰を含有する従来技術の水硬性物質に比較して、炭酸カルシウムを含有する水硬性物質の二酸化炭素排出量の削減率は少ないようにも見える。しかし、これは従来技術の水酸化カルシウムを含有する水硬性物質は、圧縮強度を確保するために0.125重雨量%〜0.5質量%程度しか混合されることができないので、水酸化カルシウムによる二酸化炭素排出量の絶対値が低くなるためである。しかしながら、従来技術の水酸化カルシウムを含有する水硬性物質は、混合される水酸化カルシウムの比率が少ない分、高炉スラグ微粉末の相対量が多くなるため、この高炉スラグ微粉末の粉砕過程での二酸化炭素排出量に起因する。
実施の形態1の水硬性物質は、従来技術と異なりポルトランドセメントや水酸化カルシウムの代わりに、炭酸カルシウムを含有する。第1に、炭酸カルシウムは、その生成過程で二酸化炭素を排出しない。第2に、炭酸カルシウムは、広い幅の比率で混合されればよいので、混合物に含有される高炉スラグ微粉末の相対的な量を減らすことができる。これら2つの利点が相まって、実施の形態1の水硬性物質は、従来技術に比較して、二酸化炭素排出量を削減できる。
また、発熱量の場合と同様に、炭酸カルシウムの混合量の変化によって二酸化炭素排出量が大きく変動することがない。このため、炭酸カルシウムの混合量の厳密な制御が不要である。この結果、水硬性物質の製造コストが低減でき(製造工程や品質管理工程でのコストが低減できるため)、水硬性物質を使用したセメントや地盤改良材のコストも低減できる。
(圧縮強度の検討)
次に、実施の形態1の炭酸カルシウムを含有する水硬性物質の圧縮強度、圧縮強度から検討される炭酸カルシウムの混合比率について説明する。
実施の形態1における水硬性物質では、混合される炭酸カルシウムが高炉スラグ微粉末の潜在水硬性を顕在化させる。この潜在水硬性が顕在化することで、水硬性物質は、水和反応を通じて固化して硬化体となる。このとき、硬化体の圧縮強度は、潜在水硬性を顕在化させる炭酸カルシウムの混合量によって左右される。
ここで、水硬性物質に要求される圧縮強度は、水硬性物質の利用用途によって、異なる。例えば、図6(c)に示されるように、JIS規格は、普通ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、低熱ポルトランドセメント、高炉セメントB種の圧縮強さをそれぞれ規定している。
実施の形態1における水硬性物質は、これらJIS規格で規定される種々のセメントと同様の使用目的を有する場合には、それぞれのセメントとの比較によって、必要な圧縮強さを定義できる。ここで、一般的には、普通ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、低熱ポルトランドセメント、高炉セメントB種が用いられるので、これらそれぞれの対比するセメントに要求される圧縮強さに見合う炭酸カルシウムの混合比率を検討する。
(混合比率の範囲その1)
高炉スラグ微粉末、石膏および炭酸カルシウムの混合物に対して、1質量%〜10質量%の炭酸カルシウムが混合されるのが好ましい。
図5(b)の表から明らかな通り、1質量%の炭酸カルシウムが混合されている場合(実施例1)には、材齢が3日での圧縮強さは、14.20(単位は省略。以下同じ)、材齢が7日での圧縮強さは、35.70、材齢が28日での圧縮強さは、53.30である。
これらの値は、いずれも図6(c)の表に示されるJIS規格の普通ポルトランドセメントの圧縮強さを上回っている。また、1質量%の炭酸カルシウムが混合された実施の形態1の水硬性物質は、発熱量でも普通ポルトランドセメントを下回っている。
同様に、3質量%の炭酸カルシウムが混合されている場合(実施例2)には、材齢が3日での圧縮強さは13.80、材齢が7日での圧縮強さは34.70、材齢が28日での圧縮強さは52.60である。いずれも図6(c)の表に示されるJIS規格の普通ポルトランドセメントの圧縮強さを上回っている。発熱量は、普通ポルトランドセメントを下回っている。
同様に、5質量%の炭酸カルシウムが混合されている場合(実施例3)には、材齢が3日での圧縮強さは13.90、材齢が7日での圧縮強さは35.50、材齢が28日での圧縮強さは54.40である。いずれも図6(c)の表に示されるJIS規格の普通ポルトランドセメントの圧縮強さを上回っている。発熱量は、普通ポルトランドセメントを下回っている。
同様に、10質量%の炭酸カルシウムが混合されている場合(実施例4)には、材齢が3日での圧縮強さは14.60、材齢が7日での圧縮強さは34.30、材齢が28日での圧縮強さは50.90である。いずれも図6(c)の表に示されるJIS規格の普通ポルトランドセメントの圧縮強さを上回っている。発熱量は、普通ポルトランドセメントを下回っている。
また、1質量%、3質量%、5質量%および10質量%のいずれの混合量の場合においても、二酸化炭素排出量は、普通ポルトランドセメントよりも少ない。
一方、炭酸カルシウムの混合量が15質量%となる場合(実施例5)には、炭酸カルシウムを含有する実施の形態1の水硬性物質の材齢3日の圧縮強さは、11.70であり、JIS規格における普通ポルトランドセメントの3日の圧縮強さの12.5より小さい。このため、炭酸カルシウムの混合量が10質量%を越えると、実施の形態1の水硬性物質が普通ポルトランドセメントと同様の用途に使用することに困難が生じる可能性がある。
以上のように、混合される炭酸カルシウムの混合量が、1質量%〜10質量%である場合には、圧縮強さは普通ポルトランドセメントよりも高く、発熱量は普通ポルトランドセメントよりも小さい。すなわち、実施の形態1における水硬性物質が、普通ポルトランドセメントと同一用途に使用される場合には、炭酸カルシウムの混合量は、混合物に対して1質量%〜10質量%であることが好ましい。
このように、実施の形態1の水硬性物質が1質量%〜10質量%の炭酸カルシウムを含有することで、この水硬性物質が、普通ポルトランドセメントを上回る性能(発熱量、二酸化炭素排出量、圧縮強度)を有することができる。
なお、水硬性物質が不可避混合物を含む場合に、炭酸カルシウムの混合量の比率が1質量%〜10質量%から変動する可能性もあるが、本発明の趣旨として、本発明はこのような場合も含むものである。
(混合比率の範囲その2)
高炉スラグ微粉末、石膏および炭酸カルシウムの混合物に対して、1質量%〜15質量%の炭酸カルシウムが混合されることが好ましい。
炭酸カルシウムの混合量が1質量%、3質量%、5質量%および10質量%である場合の、水硬性物質の圧縮強さは、図5(b)および混合比率の範囲その1で記載した通りである。これらのように、炭酸カルシウムの混合量が1質量%、3質量%、5質量%および10質量%においては、材齢が、3日、7日、28日のいずれにおいても、水硬性物質の圧縮強さが、図6(c)の表における高炉セメントB種よりも大きい。高炉セメントB種の材齢が3日での圧縮強さは10.0、7日での圧縮強さは17.5、材齢が28日での圧縮強さは42.5である。
また、炭酸カルシウムの混合量が、混合物に対して15質量%である場合(実施例5)には、材齢が3日での圧縮強さは11.70、材齢が7日での圧縮強さは33.50、材齢が28日での圧縮強さは53.50である。
この炭酸カルシウムの混合量が、15質量%である水硬性物質の圧縮強さは、材齢のいずれにおいても図6(c)の表に示される高炉セメントB種の圧縮強さを上回っている。
一方で、図5(b)の表から明らかな通り、炭酸カルシウムの混合量が、混合物に対して30質量%である場合(実施例6)には、材齢が3日での圧縮強さは7.85、材齢が7日での圧縮強さは26.60、材齢が28日での圧縮強さは44.40である。このため、実施の形態1の水硬性物質は、材齢が3日における圧縮強さが、JIS規格における高炉セメントB種の圧縮強さを下回っている。このため、実施の形態1の水硬性物質は、高炉セメントB種と同様の用途に使用される場合には、炭酸カルシウムの混合量は、15質量%程度までが適当である。
また、炭酸カルシウムの混合量が1質量%〜15質量%である場合には、いずれの場合でも発熱量が高炉セメントB種の発熱量を下回っている。
また、1質量%〜15質量%のいずれの混合量の場合においても、二酸化炭素排出量は、高炉セメントB種よりも少ない。
以上のように、混合される炭酸カルシウムの混合量が、1質量%〜15質量%である場合には、圧縮強さは高炉セメントB種よりも高く、発熱量は高炉セメントB種よりも小さい。すなわち、実施の形態1における水硬性物質が、高炉セメントB種と同一用途に使用される場合には、炭酸カルシウムの混合量は、混合物に対して1質量%〜15質量%であることが好ましい。
(混合比率の範囲その3)
高炉スラグ微粉末、石膏および炭酸カルシウムの混合物に対して、1質量%〜30質量%の炭酸カルシウムが混合されることが好ましい。
炭酸カルシウムの混合量が1質量%、3質量%、5質量%、10質量%および15質量%である場合の、水硬性物質の圧縮強さは、図5(b)および混合比率の範囲その1、その2で記載した通りである。これらのように、炭酸カルシウムの混合量が1質量%、3質量%、5質量%、10質量%および15質量%においては、材齢が、3日、7日、28日のいずれにおいても、水硬性物質の圧縮強さが、図6(c)の表における中庸熱ポルトランドセメントよりも大きい。中庸熱ポルトランドセメントの材齢が3日での圧縮強さは7.5、材齢が7日での圧縮強さは15.0、材齢が28日での圧縮強さは32.5である。
また、炭酸カルシウムの混合量が、混合物に対して30質量%である場合(実施例6)には、材齢が3日での圧縮強さは7.85、材齢が7日での圧縮強さは26.60、材齢が28日での圧縮強さは44.40である。
この炭酸カルシウムの混合量が、30質量%である水硬性物質の圧縮強さは、材齢のいずれにおいても図6(c)の表に示される中庸熱ポルトランドセメントの圧縮強さを上回っている。
一方で、図5(b)の表から明らかな通り、炭酸カルシウムの混合量が、混合物に対して50質量%である場合(実施例7)には、材齢が3日での圧縮強さは4.09、材齢が7日での圧縮強さは17.30、材齢が28日での圧縮強さは33.00である。このため、実施の形態1の水硬性物質は、材齢が3日における圧縮強さが、JIS規格における中庸熱ポルトランドセメントの圧縮強さを下回っている。このため、実施の形態1の水硬性物質は、中庸熱ポルトランドセメントと同様の用途に使用される場合には、炭酸カルシウムの混合量は、30質量%程度までが適当である。
また、炭酸カルシウムの混合量が1質量%〜30質量%である場合には、いずれの場合でも発熱量が中庸熱ポルトランドセメントの発熱量を下回っている。当然ながら、二酸化炭素排出量はポルトランドセメントよりも少ない。
以上のように、混合される炭酸カルシウムの混合量が、1質量%〜30質量%である場合には、圧縮強さは中庸熱ポルトランドセメントよりも高く、発熱量は中庸熱ポルトランドセメントよりも小さい。すなわち、実施の形態1における水硬性物質が、中庸熱ポルトランドセメントと同一用途に使用される場合には、炭酸カルシウムの混合量は、混合物に対して1質量%〜30質量%であることが好ましい。
(混合比率の範囲その4)
高炉スラグ微粉末、石膏および炭酸カルシウムの混合物に対して、1質量%〜50質量%の炭酸カルシウムが混合されることが好ましい。
炭酸カルシウムの混合量が1質量%、3質量%、5質量%、10質量%、15質量%および30質量%である場合の、水硬性物質の圧縮強さは、図5(b)および混合比率の範囲その1、その2、その3で記載した通りである。これらのように、炭酸カルシウムの混合量が1質量%、3質量%、5質量%、10質量%、15質量%および30質量%においては、材齢が7日、28日、91日のいずれにおいても、水硬性物質の圧縮強さが、図6(c)の表における低熱ポルトランドセメントよりも大きい。低熱ポルトランドセメントの材齢が7日での圧縮強さは7.5、材齢が28日での圧縮強さは22.5、材齢が91日での圧縮強さは42.5である。
また、炭酸カルシウムの混合量が、混合物に対して50質量%である場合には、材齢が7日での圧縮強さは17.3、材齢が28日での圧縮強さは33.00、材齢が91日での圧縮強さは43.60である。
この炭酸カルシウムの混合量が、50質量%である水硬性物質の圧縮強さは、材齢のいずれにおいても図6(c)の表に示される低熱ポルトランドセメントの圧縮強さを上回っている。
一方で、低熱ポルトランドセメントの材齢が91日での圧縮強さは42.5である。これに対して、炭酸カルシウムの混合量が、混合物に対して50質量%である場合での、材齢が91日での圧縮強さは43.60であって、圧縮強さの余裕量が少ない。すなわち、炭酸カルシウムの混合量が、混合物に対して50質量%を超えると、圧縮強さが低熱ポルトランドセメントのJIS規格値を満足できない可能性がある。このため、実施の形態1の水硬性物質は、低熱ポルトランドセメントと同様の用途に使用される場合には、炭酸カルシウムの混合量は、50質量%程度までが適当である。
また、炭酸カルシウムの混合量が1質量%〜50質量%である場合には、いずれの場合でも発熱量が低熱ポルトランドセメントの発熱量を下回っている。当然ながら、二酸化炭素排出量はポルトランドセメントよりも少ない。
以上のように、混合される炭酸カルシウムの混合量が、1質量%〜50質量%である場合には、圧縮強さは低熱ポルトランドセメントよりも高く、発熱量は低熱ポルトランドセメントよりも小さい。すなわち、実施の形態1における水硬性物質が、低熱ポルトランドセメントと同一用途に使用される場合には、炭酸カルシウムの混合量は、混合物に対して1質量%〜50質量%であることが好ましい。
以上のように、実施の形態1における水硬性物質は、混合物に対して種々の範囲の割合で混合されることで、得られる水硬性物質の用途を決定できる。まとめると、混合物に対して1質量%〜10質量%の炭酸カルシウムが混合される水硬性物質は、普通ポルトランドセメントと同様の用途に使用でき、1質量%〜15質量%の炭酸カルシウムが混合される水硬性物質は、高炉セメントB種と同様の用途に使用でき、1質量%〜30質量%の炭酸カルシウムが混合される水硬性物質は、中庸熱ポルトランドセメントと同様の用途に使用でき、1質量%〜50質量%の炭酸カルシウムが混合される水硬性物質は、低熱ポルトランドセメントと同様の用途に使用できる。
図6(b)の表に示される、水酸化カルシウム(消石灰)を混合する従来技術の水硬性物質においては、消石灰の混合量が0.125質量%(比較例1)である場合は、材齢が3日での圧縮強さは12.2、材齢が7日での圧縮強さは21.9、材齢が28日での圧縮強さは35.6である。これは、図6(c)の表に示される、圧縮強さのJIS規格値のうち、普通ポルトランドセメントおよび高炉セメントB種の値をすべて満足するものではないが、中庸熱ポルトランドセメントの規格値をすべての材齢で上回っている。消石灰の混合量が0.75質量%(比較例2)である場合は、すべての材齢で圧縮強さが低い。
一方で、中庸熱ポルトランドセメントと同様の用途に使用できる、1質量%〜30質量%の炭酸カルシウムが混合される水硬性物質は、炭酸カルシウムの混合量が15質量%(実施例5)および30質量%(実施例6)の場合に、材齢3日での圧縮強さで比較例1の圧縮強さを下回るものの、材齢7日、材齢28日では比較例1の圧縮強さを上回っている。炭酸カルシウムの混合量を10質量%以下(実施例1〜4)にすることで、すべての材齢で比較例1の圧縮強さを上回る。
このように、水酸化カルシウムを含有する従来技術の水硬性物質においては、各々の用途によって要求される圧縮強度を満足させるためには、水酸化カルシウムの混合量が非常に狭い範囲に限定されることに対し、炭酸カルシウムを混合する水硬性物質においては、混合量を広い範囲で選択することができる。
また、水酸化カルシウムを混合する従来技術の水硬性物質と炭酸カルシウムを混合する水硬性物質を同様の用途で使用する場合、炭酸カルシウムを混合する水硬性物質の方が、発熱量および二酸化炭素排出量が少なくなる。
(圧縮強度の面からの炭酸カルシウム比率の広さ)
また、実施の形態1の水硬性物質は、圧縮強度の観点からも、幅広い炭酸カルシウムの混合量を許容できる。炭酸カルシウムの混合量は、上述の通り用途によってその範囲が異なるが、いずれの場合でも、幅広い混合範囲が許容される。
図7は、本発明の実施の形態1における炭酸カルシウムの混合量と圧縮強さとの関係を示すグラフである。図7は、横軸に炭酸カルシウムの混合量を示し、縦軸に得られる水硬性物質の圧縮強さを示している。グラフ中の菱形の付された折れ線は材齢が3日での圧縮強さを示しており、方形の付された折れ線は材齢が7日での圧縮強さを示しており、三角形の付された折れ線は材齢が28日での圧縮強さを示しており、丸の付された折れ線は材齢が91日での圧縮強さを示している。また、図7のグラフの破線は、上の破線から順に、JIS規格における普通ポルトランドセメントの、材齢が28日、7日、3日における圧縮強さを示している。各グラフの折れ線(炭酸カルシウムが混合された水硬性物質の圧縮強さを示す)がこの破線と比較されることで、炭酸カルシウムが混合された水硬性物質の圧縮強さの十分・不十分が容易に判断できる。
材齢の異なるそれぞれの折れ線から明らかな通り、炭酸カルシウムの混合量が30質量%くらいまでは、圧縮強さが極端に低下することはない。特に、炭酸カルシウムの混合量が15質量%くらいまでは、圧縮強さはほとんど同程度の値を示している。一方で、図4に示されるように、水酸化カルシウムを含有する従来技術の水硬性物質は、その混合量が僅かに変動するだけで圧縮強さが極端に低下するなどの問題を有している。
図4と図7との比較からわかる通り、圧縮強度の観点からも、炭酸カルシウムを含有する実施の形態1における水硬性物質は、炭酸カルシウムの混合量の幅を広くできる。幅が広いことに加えて、混合物に対する混合される炭酸カルシウムの絶対量も十分に大きい。これらが相まって、実施の形態1における水硬性物質の製造は容易になり、製造工程でのコストも低減できる。結果として水硬性物質がセメントや地盤改良材に使用される場合のコストも低減できる。これらは、上述の通り、発熱量や二酸化炭素排出量の観点からも同様である。
以上のように、実施の形態1における水硬性物質は、従来技術が有していた問題である、(1)発熱量の削減、(2)強度の確保、(3)二酸化炭素排出量の削減、の全てをバランスよく実現できる。加えて、製造コストも低減できるので、従来の各種セメントのそれぞれに対応する用途に幅広く使用される。結果として、実施の形態1の水硬性物質の流通量が増加することになって、水硬性物質のコストも低減できる。
(実施の形態2)
次に、実施の形態2について説明する。実施の形態2では、実施の形態1で説明した以外の各種特性や工夫について説明する。なお、実施の形態1で説明された、水硬性物質、水硬性物質の含む物質(高炉スラグ微粉末、石膏、炭酸カルシウム)の特性や制御内容は、実施の形態2でも同様である。
(高炉スラグ微粉末)
高炉スラグ微粉末は、そのブレーン比表面積が3000cm/g以上であることが好ましい。ブレーン比表面積が3000cm/g未満であると、構造用コンクリートや地盤改良材などで実用上の十分な強度が得られなくなるからである。これは、高炉スラグ微粉末のブレーン比表面積が、3000cm/g未満であると、水硬性物質の水和反応が遅延するからである。図2より明らかな通り、高炉スラグ微粉末の潜在水硬性を顕在化させるのに水酸化カルシウムが用いられる場合でも、高炉スラグ微粉末のブレーン比表面積が3000cm/g以上であることが、圧縮強度の面から好ましい。潜在水硬性を顕在化させるのに、炭酸カルシウムが用いられる水硬性物質であっても同様である。
特に、一般的な高炉セメントに含有される高炉スラグ微粉末のブレーン比表面積は3000cm/g以上が適当であるので、この点からも高炉スラグ微粉末のブレーン比表面積は、3000cm/g以上であることが好ましい。
(石膏)
石膏としては、例えば、二水石膏、半水石膏、無水石膏等があげられ、これらが単独で使用されても良いし、2種以上の石膏が適宜混合されて使用されても良い。石膏においては、産業副産物として生成する排煙脱硫石膏、廃石膏ボード等が使用されても良いし、天然に産出される石膏が使用されても良い
水硬性物質に混合される石膏は、そのブレーン比表面積が3000cm/g以上であることが好ましい。これは、高炉スラグ微粉末に要求されるブレーン比表面積の場合と同じである。石膏のブレーン比表面積が3000cm/g未満であると、水硬性物質の水和反応において未反応の石膏が残ってしまい、この残留した石膏が硬化後に異常膨張を生じさせる恐れがあるからである。
また、高炉スラグ微粉末、石膏および炭酸カルシウムが混合された混合物に対して、10質量%〜20質量%の石膏が混合されることが好ましい。
石膏は、水硬性物質が硬化体になる際の硬化を促進させる。このため、石膏のブレーン比表面積および混合量は、上述のような範囲にあることが好ましい。
図8は、本発明の実施の形態2における石膏の混合量と圧縮強さの関係を示す表とグラフである。図8(a)の表は、水硬性物質を構成する、高炉スラグ微粉末(ブレーン比表面積4000cm/g)、石膏(二水石膏)および炭酸カルシウム(粒径15.7μm)の配合割合を示している。図8(b)の表は、図8(a)に示された水硬性物質の材齢毎の圧縮強さを示している。図8(c)のグラフは、図8(b)の表に対応し、石膏の混合量の変化によって、得られる水硬性物質の圧縮強さの変化を示している。図8(c)のグラフでは、横軸が石膏の混合量(質量%)を示しており、縦軸は圧縮強さを示している。菱形の付された折れ線は、材齢が3日での圧縮強さを示しており、方形の付された折れ線は、材齢が7日での圧縮強さを示しており、三角形の付された折れ線は、材齢が28日での圧縮強さを示しており、丸の付された折れ線は、材齢が91日での圧縮強さを示している。
図8(c)のグラフにおいては、横軸に石膏の混合量(質量%)を示している。図8(c)のグラフから明らかな通り、材齢の違いによらず、10質量%〜20質量%の石膏が混合されている場合の水硬性物質は、その圧縮強さに大きな変動を有さない。一方で、石膏の混合量が5質量%もしくは25質量%である場合は、材齢7日での圧縮強さが大きく低下している。すなわち、石膏は、10質量%〜20質量%の範囲で、混合物に混合されるのが好ましい。石膏は、水硬性物質の硬化を促進させる役割を有するが、混合率が10質量%〜20質量%の範囲であれば、図8(c)のグラフの通り、圧縮強さの低下などをもたらさないからである。
以上のように、炭酸カルシウムを含有する実施の形態2における水硬性物質は、10質量%〜20質量%の範囲での石膏を含有することが適当である。
(炭酸カルシウムの平均粒径)
実施の形態2における水硬性物質に含有される炭酸カルシウムは、10μm〜50μmの平均粒径を有することが好ましい。平均粒径が50μmを越えてしまうと、水硬性物質の水和反応において、エトリンガイトが高炉スラグ微粉末の表面を覆ってしまい水和反応が遅延するからである。水和反応が遅延すると、水硬性物質が硬化した硬化体の圧縮強度が低下する問題が生じてしまう。
このため、水硬性物質は、10μm〜50μmの平均粒径を有する炭酸カルシウムを含有することが好ましい。水硬性物質の製造においては、10μm〜50μmの平均粒径を有する炭酸カルシウムが混合される。
図9は、本発明の実施の形態2における炭酸カルシウムの平均粒径と圧縮強さとの関係を示す表とグラフである。図9(a)の表は、水硬性物質を構成する、高炉スラグ微粉末(ブレーン比表面積4000cm/g)、石膏(二水石膏)および炭酸カルシウム(平均粒径2.0μm〜15.7μm)の配合割合を示している。図9(b)の表は、図8(a)に示された水硬性物質の材齢毎の圧縮強さを示している。図9(c)のグラフの横軸は、炭酸カルシウムの平均粒径を示しており、縦軸は、得られる水硬性物質の圧縮強さを示している。図9(c)のグラフ中の菱形の付された折れ線は、材齢が3日での圧縮強さを示しており、方形の付された折れ線は、材齢が7日での圧縮強さを示しており、三角形の付された折れ線は、材齢が28日での圧縮強さを示している。
これら3つの折れ線からわかる通り、材齢の違いに関らず、炭酸カルシウムの平均粒径が10μm〜50μmの範囲であれば、圧縮強さに悪影響を与えない。炭酸カルシウムの平均粒径が10μm未満となる範囲では、圧縮強さが低下している。特に、材齢が28日での圧縮強さは、炭酸カルシウムの平均粒径が15μm程度の場合に比較して、炭酸カルシウムの平均粒径が5μmの場合では、かなり低下している(図9(c)では、炭酸カルシウムの平均粒径が10μm辺りから、材齢が28日の折れ線グラフは、圧縮強さの弱いほうに向けて下がっていっている)。
水硬性物質が水和反応を生じて硬化体となる場合には、一般的には、材齢が進むにつれて水和反応が進み、圧縮強度は増加する傾向にある。このような一般的な状況下で、材齢が28日となる場合に、圧縮強度が低下することは好ましくない。
発明者の実験では、炭酸カルシウムの平均粒径が15.7μmの水硬性物質の材齢28日の圧縮強さは52.4であって十分であるが、炭酸カルシウムの平均粒径が5.8μmの水硬性物質の材齢28日の圧縮強さは、49.1であり、炭酸カルシウムの平均粒径が2.0μmの水硬性物質の材齢28日の圧縮強さは、46.0であり、次第に低下している。炭酸カルシウムの平均粒径が15.7μmの水硬性物質の材齢28日の圧縮強さに対して、炭酸カルシウムの平均粒径が2.0μmの水硬性物質の材齢28日の圧縮強さは、87.8%であり、12%以上も低下している。これだけの低下が見られることは、炭酸カルシウムの平均粒径が10μm以下では好ましくないといえる。
このように、水硬性物質に含有される炭酸カルシウムは、10μm〜50μmの平均粒径を有することが好ましい。
以上のように、実施の形態2における(実施の形態1における水硬性物質においても同様である)水硬性物質は、石膏の混合率、高炉スラグ微粉末のブレーン比表面積、石膏のブレーン比表面積、炭酸カルシウムの平均粒径を所定の範囲に特定することで、安定するとともに高い圧縮強度を得ることができる。
なお、実施の形態2で列挙した各物質の特定は一例であって、同様の効果を生じさせる他の例を排除するものではない。
(実施の形態3)
次に実施の形態3について説明する。
実施の形態1、2で説明される水硬性物質は、水和反応によって硬化する特徴を利用する様々な用途に使用される。例えば、水硬性物質は、建築物や土木構造物に用いられるセメントとして使用される。あるいは、水硬性物質は、地盤を固めるのに用いられる地盤改良材として使用される。
セメントとして使用される場合には、建設現場に水硬性物質(粉体である)が輸送され、現場で水等と混合されて水和反応によって硬化する。あるいは、生コン工場で水等と混合されて、建設現場等に輸送される。建設現場では、これら水硬性物質の硬化を利用して、構造体を形成する。すなわち、水硬性物質は、建設用コンクリートやモルタルとして使用される。
あるいは、水硬性物質が地盤改良材として使用される場合には、固化させたい土壌に粉体である水硬性物質が混合される。この混合によって土壌と水硬性物質とが混ぜ合わされる。この混ぜ合わされた土壌に対して水が添加されて水和反応が生じる。あるいは、粉体である水硬性物質に水を添加しスラリー化した状態で固化させたい土壌に混合させる。この水和反応によって、土壌を巻き込んで水硬性物質が硬化する。結果として、土壌が固化される。
このように、実施の形態1、2で説明された水硬性物質は、セメント、コンクリート、モルタル、地盤改良材などに使用される。
また、実施の形態1、2の水硬性物質は、図1に示される製造方法で製造される。
すなわち、高炉スラグ微粉末に、石膏および炭酸カルシウムが混合される混合工程を備える製造方法によって、水硬性物質が製造される。この製造方法は、石膏および炭酸カルシウムのいずれか一方が、高炉スラグ微粉末に先に混合されてから、他方が後から混合される混合工程を含んでも良いし、石膏および炭酸カルシウムの両方が、高炉スラグ微粉末に同時に混合される混合工程を含んでも良い。
また、混合工程においては、高炉スラグ微粉末に、石膏および炭酸カルシウムの少なくとも一方が、少量ずつ混合されても良いし、石膏および炭酸カルシウムの全ての所定量が、同時に混合されて攪拌されても良い。混合および攪拌の際には、混合状態が一様かつ均一になるように、十分に攪拌される。
炭酸カルシウムを含有する実施の形態1、2の水硬性物質は、このような製造方法によって製造される。
以上、実施の形態1〜3で説明された水硬性物質は、本発明の趣旨を説明する一例であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲での変形や改造を含む。また、実施の形態1〜3で説明された水硬性物質は、製造、流通などにおいて混合する可能性のある不可避混合物質を含むことを排除するものではない。
1 高炉水砕スラグ
2 石膏
3 石灰石
4 乾燥工程
5 粉砕工程
6 分級工程
7 高炉スラグ微粉末
8 石膏(粉末)
9 炭酸カルシウム粉末
10 計量工程
11 混合工程 12 水硬性物質

Claims (10)

  1. 高炉スラグ微粉末、石膏および炭酸カルシウムを含有する水硬性物質。
  2. 前記高炉スラグ微粉末、前記石膏および前記炭酸カルシウムが混合された混合物に対して、1質量%〜10質量%の前記炭酸カルシウムが混合される、請求項1記載の水硬性物質。
  3. 前記高炉スラグ微粉末、前記石膏および前記炭酸カルシウムが混合された混合物に対して、1質量%〜15質量%の前記炭酸カルシウムが混合される、請求項1記載の水硬性物質。
  4. 前記高炉スラグ微粉末、前記石膏および前記炭酸カルシウムが混合された混合物に対して、1質量%〜30質量%の前記炭酸カルシウムが混合される、請求項1記載の水硬性物質。
  5. 前記高炉スラグ微粉末、前記石膏および前記炭酸カルシウムが混合された混合物に対して、1質量%〜50質量%の前記炭酸カルシウムが混合される、請求項1記載の水硬性物質。
  6. 前記混合物に対して、10質量%〜20質量%の前記石膏が混合される、請求項2から5のいずれか記載の水硬性物質。
  7. 前記高炉スラグ微粉末のブレーン比表面積が、3000cm/g以上であり、前記石膏のブレーン比表面積が、3000cm/g以上である、請求項1から6のいずれか記載の水硬性物質。
  8. 前記炭酸カルシウムの平均粒径は、10μm〜50μmである、請求項1から7のいずれか記載の水硬性物質。
  9. 請求項1から8のいずれかに記載の水硬性物質を有効成分とする、セメント。
  10. 請求項1から9のいずれかに記載の水硬性物質を有効成分とする、地盤改良材。
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