JP2012091352A - 親水性薄膜及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】励起光を必要とせず、また、経時劣化のない親水性薄膜及びその製造方法を得ることを目的とする。
【解決手段】基材上に設けられた、Si−O結合を主としたSiに直接接合された疎水性置換基を有する親水性薄膜であって、1回の励起光の照射で、OH基と前記疎水性置換基とを有し、前記励起光の照射から30日後に純水で測定した接触角が10°未満であるようにする。
【選択図】図4

Description

本発明は親水性薄膜及びその製造方法に係り、特に、長期間にわたり親水性が維持する親水性薄膜及びその製造方法に関する。
近年では、親水性が得られる親水性物質としては、SiOなどが知られている。SiOは、紫外線を照射したり、プラズマを照射することで、水における接触角が10°未満という超親水性を得られることが知られている。しかしながら、このようにして得られた親水性は、経時により劣化し、保持することができなかった。
一方、超親水性が保持できる例として、アナターゼ型TiOなどの光触媒物質が知られている。しかし、このような物質では、紫外線などバンドギャップに相当した光照射下でないと親水性が得られないことや、Tiなどの高価な金属を用いることによるコスト増大が問題である。
ところで、特許文献1には、磨耗耐久性に優れた親水性膜を提供する目的として、シラノール基の一部又は全部をシラノール基以外の親水性基に変換してなる親水性部材について開示されている。
また、特許文献2には、磨耗耐久性に優れた親水性膜を提供する目的として、ポリオルガノシロキサン膜の有機基の一部を切断して水酸基を導入し、その水酸基にカップリング剤で処理する成膜方法が開示されている。
特開2009−83147号公報 特開2005−246707号公報
しかしながら、特許文献1は、親水膜の基材への密着性・耐摩耗性を改良した技術であり、親水性基への置換は、親水性の維持能力の効果がないという問題がある。
また、特許文献2に関しては、OH基をシランカップリング剤でコートして親水性基を無効化してしまう技術であり、耐アルカリ性と耐摩擦性の両立を目的としており、疎水基(Si−CH)とSi−OHが混合した状態のSi−OHを利用するそのものを持続性親水性表面として利用するものではない。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、親水性が経時劣化することのない親水性薄膜及びその製造方法を得ることを目的とする。
本発明は、前記目的を達成するために、基材上に設けられた、Si−O結合を主としたSiに直接接合された疎水性置換基を有する親水性薄膜であって、1回の励起光の照射で、OH基と前記疎水性置換基とを有し、前記励起光の照射から30日後に純水で測定した接触角が10°未満であることを特徴とする親水性薄膜を提供する。
また、本発明は、前記目的を達成するために、基材上に、Si−O結合を主として、Siに疎水性置換基を直接接合された薄膜を形成する薄膜形成工程と、前記薄膜形成工程で得られた薄膜に励起光を照射し、前記薄膜にOH基と前記疎水性置換基とを有するようにする照射工程と、を備えたことを特徴とする親水性薄膜の製造方法を提供する。
一般に、Si−O結合を有する親水性薄膜は、励起光を十分に当てればSi−OH基が生成し、初期は親水性を得られる。即ち、親水性の起源は、Si−OH結合であると考えられる。
しかしながら、経時により、Si−O結合を有する親水性薄膜は、隣接したSi−OH同士が脱水縮合してSi−O−Si結合となってしまい、親水性が消失して行く。
そこで、本発明のように、疎水性置換基をSiに直接接合すると、疎水性置換基がかさ高く、また疎水性でOH基と親和性がないことから、Si−OH同士が引き離され、親水性を維持することができると考えられる。
本発明によれば、1回の励起光の照射のみで、30日後に純水で測定した接触角が10°未満である親水性薄膜を提供することができる。
なお、本発明において、前記疎水性置換基は、メチル基であることが好ましい。
本発明では、OHと親和性のないアルキル基、フェニル基のようなベンゼン環を有する基などの疎水基であれば良いが、CHであるときに容易に1回の励起光の照射のみで、少なくとも30日間純水で測定した接触角が10°未満である親水性薄膜を提供することができる。
また、本発明において、前記基材の材質は、シリコン、ガラス、金属、セラミック、高分子フィルムの何れかであることが好ましい。
本発明は、シリコン、ガラス、金属、セラミック、高分子フィルムの何れであっても、1回の励起光の照射のみで、励起光の照射から30日後に純水で測定した接触角が10°未満である親水性薄膜を提供することができる。
また、本発明において、前記基材は、インクジェットヘッドの流路であることが好ましい。
光が照射されない環境下で用いるインクジェットヘッドの流路に本発明の励起光を必要とせず、また、経時劣化のない親水性薄膜を設けることで、好適にインクジェットヘッドの流路の親水性を保持することができる。
本発明では、薄膜形成工程は、cat−CVD、プラズマCVD、又は、塗布して焼成することが考えられる。また、本発明では、前記励起光は、紫外線又はプラズマとすることが考えられる。
特に、本発明の親水性薄膜をインクジェットヘッドの流路に設ける場合には、前記疎水性置換基をSiに直接接合する方法がCVDであり、前記励起光の照射がプラズマ処理であることが好ましい。
本発明の親水性薄膜及びその製造方法によれば、励起光を必要とせず、また、経時劣化のない親水性薄膜及びその製造方法を得ることができる。
インクジェット記録装置の概略を示す全体構成図である。 インクジェットヘッドの構造例を示す平面透視図である。 図2中IV−IV線に沿う断面図である。 親水性薄膜を構成する分子の化学構造の概略図である。
以下、本発明に係る親水性薄膜及びその製造方法の好ましい実施の形態について説明する。
先ず、本発明の親水性薄膜を好適に設けることができるインクジェット記録装置について説明する。
<インクジェット記録装置の全体構成>
図1は、インクジェット記録装置の構成図である。このインクジェット記録装置100は、描画部116の圧胴(描画ドラム170)に保持された記録媒体124(便宜上「用紙」と呼ぶ場合がある。)にインクジェットヘッド172M,172K,172C,172Yから複数色のインクを打滴して所望のカラー画像を形成する圧胴直描方式のインクジェット記録装置であり、インクの打滴前に記録媒体124上に処理液(ここでは凝集処理液)を付与し、処理液とインク液を反応させて記録媒体124上に画像形成を行う2液反応(凝集)方式が適用されたオンデマンドタイプの画像形成装置である。
図示のように、インクジェット記録装置100は、主として、給紙部112、処理液付与部114、描画部116、乾燥部118、定着部120、及び排出部122を備えて構成される。
(給紙部)
給紙部112は、記録媒体124を処理液付与部114に供給する機構であり、当該給紙部112には、枚葉紙である記録媒体124が積層されている。給紙部112には、給紙トレイ150が設けられ、この給紙トレイ150から記録媒体124が一枚ずつ処理液付与部114に給紙される。
(処理液付与部)
処理液付与部114は、記録媒体124の記録面に処理液を付与する機構である。処理液は、描画部116で付与されるインク中の色材(本例では顔料)を凝集させる色材凝集剤を含んでおり、この処理液とインクとが接触することによって、インクは色材と溶媒との分離が促進される。
図1に示すように、処理液付与部114は、給紙胴152、処理液ドラム154、及び処理液塗布装置156を備えている。処理液ドラム154は、記録媒体124を保持し、回転搬送させるドラムである。処理液ドラム154は、その外周面に爪形状の保持手段(グリッパー)155を備え、この保持手段155の爪と処理液ドラム154の周面の間に記録媒体124を挟み込むことによって記録媒体124の先端を保持できるようになっている。
処理液ドラム154の外側には、その周面に対向して処理液塗布装置156が設けられる。処理液塗布装置156は、処理液が貯留された処理液容器と、この処理液容器の処理液に一部が浸漬されたアニックスローラと、アニックスローラと処理液ドラム154上の記録媒体124に圧接されて計量後の処理液を記録媒体124に転移するゴムローラとで構成される。この処理液塗布装置156によれば、処理液を計量しながら記録媒体124に塗布することができる。
処理液付与部114で処理液が付与された記録媒体124は、処理液ドラム154から中間搬送部126を介して描画部116の描画ドラム170へ受け渡される。
(描画部)
描画部116は、描画ドラム(第2の搬送体)170、用紙抑えローラ174、及びインクジェットヘッド172M,172K,172C,172Yを備えている。描画ドラム170は、処理液ドラム154と同様に、その外周面に爪形状の保持手段(グリッパー)171を備える。描画ドラム170に固定された記録媒体124は、記録面が外側を向くようにして搬送され、この記録面にインクジェットヘッド172M,172K,172C,172Yからインクが付与される。
インクジェットヘッド172M,172K,172C,172Yはそれぞれ、記録媒体124における画像形成領域の最大幅に対応する長さを有するフルライン型のインクジェット方式の記録ヘッド(インクジェットヘッド)とすることが好ましい。インク吐出面には、画像形成領域の全幅にわたってインク吐出用のノズルが複数配列されたノズル列が形成されている。各インクジェットヘッド172M,172K,172C,172Yは、記録媒体124の搬送方向(描画ドラム170の回転方向)と直交する方向に延在するように設置される。
描画ドラム170上に密着保持された記録媒体124の記録面に向かって各インクジェットヘッド172M,172K,172C,172Yから、対応する色インクの液滴が吐出されることにより、処理液付与部114で予め記録面に付与された処理液にインクが接触し、インク中に分散する色材(顔料)が凝集され、色材凝集体が形成される。これにより、記録媒体124上での色材流れなどが防止され、記録媒体124の記録面に画像が形成される。
描画部116で画像が形成された記録媒体124は、描画ドラム170から中間搬送部128を介して乾燥部118の乾燥ドラム176へ受け渡される。
(乾燥部)
乾燥部118は、色材凝集作用により分離された溶媒に含まれる水分を乾燥させる機構であり、図1に示すように、乾燥ドラム176、及び溶媒乾燥装置178を備えている。
乾燥ドラム176は、処理液ドラム154と同様に、その外周面に爪形状の保持手段(グリッパー)177を備え、この保持手段177によって記録媒体124の先端を保持できるようになっている。
溶媒乾燥装置178は、乾燥ドラム176の外周面に対向する位置に配置され、複数のハロゲンヒータ180と、各ハロゲンヒータ180の間にそれぞれ配置された温風噴出しノズル182とで構成される。
乾燥部118で乾燥処理が行われた記録媒体124は、乾燥ドラム176から中間搬送部130を介して定着部120の定着ドラム184へ受け渡される。
(定着部)
定着部120は、定着ドラム184、ハロゲンヒータ186、定着ローラ188、及びインラインセンサ190で構成される。定着ドラム184は、処理液ドラム154と同様に、その外周面に爪形状の保持手段(グリッパー)185を備え、この保持手段185によって記録媒体124の先端を保持できるようになっている。
定着ドラム184の回転により、記録媒体124は記録面が外側を向くようにして搬送され、この記録面に対して、ハロゲンヒータ186による予備加熱と、定着ローラ188による定着処理と、インラインセンサ190による検査が行われる。
定着部120によれば、乾燥部118で形成された薄層の画像層内の熱可塑性樹脂微粒子が定着ローラ188によって加熱加圧されて溶融されるので、記録媒体124に固定定着させることができる。また、定着ドラム184の表面温度を50℃以上に設定することで、定着ドラム184の外周面に保持された記録媒体124を裏面から加熱することによって乾燥が促進され、定着時における画像破壊を防止することができるとともに、画像温度の昇温効果によって画像強度を高めることができる。
また、インク中にUV硬化性モノマーを含有させた場合は、乾燥部で水分を充分に揮発させた後に、UV照射ランプを備えた定着部で、画像にUVを照射することで、UV硬化性モノマーを硬化重合させ、画像強度を向上させることができる。
(排出部)
図1に示すように、定着部120に続いて排出部122が設けられている。排出部122は、排出トレイ192を備えており、この排出トレイ192と定着部120の定着ドラム184との間に、これらに対接するように渡し胴194、搬送ベルト196、張架ローラ198が設けられている。記録媒体124は、渡し胴194により搬送ベルト196に送られ、排出トレイ192に排出される。
また、図には示されていないが、本例のインクジェット記録装置100には、上記構成の他、各インクジェットヘッド172M,172K,172C,172Yにインクを供給するインク貯蔵/装填部、処理液付与部114に対して処理液を供給する手段を備えるとともに、各インクジェットヘッド172M,172K,172C,172Yのクリーニング(ノズル面のワイピング、パージ、ノズル吸引等)を行うヘッドメンテナンス部や、用紙搬送路上における記録媒体124の位置を検出する位置検出センサ、装置各部の温度を検出する温度センサなどを備えている。
なお、図1においてはドラム搬送方式のインクジェット記録装置について説明したが、本発明はこれに限定されず、ベルト搬送方式のインクジェット記録装置などにおいても用いることができる。
〔インクジェットヘッドの構造〕
次に、インクジェットヘッド172M、172K、172C、172Yの構造について説明する。なお、各インクジェットヘッド172M、172K、172C、172Yの構造は共通しているので、以下では、これらを代表して符号250によってヘッドを示すものとする。
図2(a)は、インクジェットヘッド250の構造例を示す平面透視図であり、図2(b)は、インクジェットヘッド250の他の構造例を示す平面透視図である。図3は、インク室ユニットの立体的構成を示す断面図(図2(a)中、IV−IV線に沿う断面図)である。
記録紙面上に形成されるドットピッチを高密度化するためには、インクジェットヘッド250におけるノズルピッチを高密度化する必要がある。本例のインクジェットヘッド250は、図2(a)に示すように、インク滴の吐出孔であるノズル251と、各ノズル251に対応する圧力室252などからなる複数のインク室ユニット253を千鳥でマトリクス状に(2次元的に)配置させた構造を有し、これにより、ヘッド長手方向(紙搬送方向と直交する主走査方向)に沿って並ぶように投影される実質的なノズル間隔(投影ノズルピッチ)の高密度化を達成している。
紙搬送方向と略直交する方向に記録媒体124の全幅に対応する長さにわたり1列以上のノズル列を構成する形態は本例に限定されない。例えば、図2(a)の構成に代えて、図2(b)に示すように、複数のノズル251が2次元に配列された短尺のヘッドブロック(ヘッドチップ)250’を千鳥状に配列して繋ぎ合わせることで記録媒体124の全幅に対応する長さのノズル列を有するラインヘッドを構成してもよい。また、図示は省略するが、短尺のヘッドを一列に並べてラインヘッドを構成してもよい。
図3に示すように、各ノズル251は、インクジェットヘッド250のインク吐出面250aを構成するノズルプレート260に形成されている。ノズルプレート260は、例えば、Si、SiO、SiN、石英ガラスのようなシリコン系材料、Al、Fe、Ni、Cu又はこれらを含む合金のような金属系材料、アルミナ、酸化鉄のような酸化物材料、カーボンブラック、グラファイトのような炭素系材料、ポリイミドのような樹脂系材料で構成されている。
ノズルプレート260の表面(インク吐出側の面)には、インクに対して撥液性を有する撥水膜262が形成されており、インクの付着防止が図られている。
各ノズル251に対応して設けられている圧力室252は、その平面形状が概略正方形となっており、対角線上の両隅部にノズル251と供給口254が設けられている。各圧力室252は供給口254を介して共通流路255と連通されている。共通流路255はインク供給源たるインク供給タンク(不図示)と連通しており、該インク供給タンクから供給されるインクは共通流路255を介して各圧力室252に分配供給される。
圧力室252の天面を構成し共通電極と兼用される振動板256には個別電極257を備えた圧電素子258が接合されており、個別電極257に駆動電圧を印加することによって圧電素子258が変形してノズル251からインクが吐出される。インクが吐出されると、共通流路255から供給口254を通って新しいインクが圧力室252に供給される。
なお、ノズルの配置構造は図示の例に限定されず、副走査方向に1列のノズル列を有する配置構造など、様々なノズル配置構造を適用できる。
また、ライン型ヘッドによる印字方式に限定されず、記録紙16の幅方向(主走査方向)の長さに満たない短尺のヘッドを記録紙16の幅方向に走査させて当該幅方向の印字を行い、1回の幅方向の印字が終わると記録紙16を幅方向と直交する方向(副走査方向)に所定量だけ移動させて、次の印字領域の記録紙16の幅方向の印字を行い、この動作を繰り返して記録紙16の印字領域の全面にわたって印字を行うシリアル方式を適用してもよい。
本発明の親水性薄膜は、上記した共通流路255の表面に好適に用いることができる。光が照射されない環境下で用いるインクジェットヘッドの流路に本発明の励起光を必要とせず、また、経時劣化のない親水性薄膜を設けることで、好適にインクジェットヘッドの流路の親水性を保持することができる。
<親水性薄膜>
本発明の親水性薄膜について説明する。
基材上に、Si−O結合を主として、Siに疎水性置換基を直接接合された薄膜を形成する薄膜形成工程と、前記薄膜形成工程で得られた薄膜に励起光を照射し、OH基と疎水性置換基とを有するようにする照射工程と、で構成されている。
本発明では、薄膜形成工程は、cat−CVD、プラズマCVD、又は、塗布して焼成することが考えられる。また、本発明では、励起光を照射する照射工程は、紫外線又はプラズマで照射することが考えられる。
特に、前述のインクジェットヘッドの流路に本発明の親水性薄膜を設ける場合には、疎水性置換基をSiに直接接合する薄膜形成工程が、CVDであり、励起光を照射する照射工程が、プラズマ処理であることが好ましい。
このように、Si−O結合を主とする薄膜に疎水性置換基をSiに直接接合することで、1回の励起光の照射のみで、前記励起光の照射から30日後に純水で測定した接触角が10°未満である親水性薄膜を製造することができる。
なお、上記の疎水性置換基は、OHと親和性のないアルキル基、フェニル基のようなベンゼン環を有する基などの疎水基であれば良いが、CHであるときに容易に1回の励起光の照射のみで、前記励起光の照射から30日後に純水で測定した接触角が10°未満である親水性薄膜を提供することができる。
また、本発明の親水性薄膜を設ける基材の材質は、特に限定されないが、シリコン、ガラス、金属、セラミック、高分子フィルムの何れかであることが好ましい。本発明の親水性薄膜は、シリコン、ガラス、金属、セラミック、高分子フィルムの何れであっても、1回の励起光の照射のみで、前記励起光の照射から30日後に純水で測定した接触角が10°未満である親水性薄膜を提供することができる。
以下、本発明の親水性薄膜について実施例を用いて説明する。
[実施例]
(サンプルA)
cat−CVD法によりSiOC膜の作製を行った。
モノメチルシラン(CHSiH)と酸素の混合ガスをチャンバ内に導入した。
触媒であるタングステンワイヤの温度は1600℃とした。
サンプルをFT−IRによる測定を行ったところ、1080cm−1〜1100cm−1付近にSi−Oに対応するピークが、1200cm−1〜1300cm−1の間にSi−CHに対応するピークが観測された。
この膜の純水による接触角は47°であった。
(サンプルB)
プラズマ重合によりSiOC膜の作製を行った。
モノメチルシラン(CHSiH)とメタンと酸素の混合ガスを平行平板プラズマを有するチャンバに導入し、成膜を行った。
サンプルをFT−IRによる測定を行ったところ、1080cm−1〜1100cm−1付近にSi−Oに対応するピークが、1200cm−1〜1300cm−1の間にSi−CHに対応するピークが観測された。
この膜の純水による接触角は103°であった。
(サンプルC)
塗布法によりSiOC膜の作製を行った。
基板にアルバック社製ULKS Ver.3 の塗布液をスピンコートにより塗布し、350℃にて焼成を行った。
サンプルをFT−IRによる測定を行ったところ、1080cm−1〜1100cm−1付近にSi−Oに対応するピークが、1200cm−1〜1300cm−1の間にSi−CHに対応するピークが観測された。
この膜の純水による接触角は98°であった。
(サンプルD(比較サンプル))
TEOSを原料としてSiO膜の作製を行った。
TEOS(Si(OC)を熱気化により平行平板プラズマを備える真空チャンバに導入し、基板温度200℃にて成膜を行った。なお、装置は、アルバック社製プラズマCVD装置CC−200を用いた。
サンプルをFT−IRによる測定を行ったところ、1080cm−1〜1100cm−1付近にSi−Oに対応するピークが観測されたが、1200cm−1〜1300cm−1の間にSi−CHに対応するピークは見られなかった。
この膜の純粋による接触角は、41°であった。
(サンプルE(比較サンプル))
Si基板単体で実験を行った。
購入してきたシリコン基板をFT−IRによる測定を行ったところ、1080cm−1〜1100cm−1付近にSi−Oに対応するピークが観測された。空気中に放置したことによる酸化膜と推定される。1200cm−1〜1300cm−1の間にSi−CHに対応するピークは見られなかった。
この基板の純水による接触角は30°であった。
以上のサンプル情報を表1にまとめる。
Figure 2012091352
これらサンプルA〜Eに対し、セン特殊光源株式会社製PM1102−3低圧水銀ランプ(17mW/cm)を以下に示す表2の時間照射してサンプルを作製した。
UV照射直後、サンプルの水の接触角を測定した。そして、その後、窒素を流したデシケータの中で保管し、所定日数おきに接触角を測定し、接触角の推移を観察した。
また、サンプルをFT−IRによる測定を行い、1080cm−1〜1100cm−1付近のSi−Oに対応するピークと、1200cm−1〜1300cm−1の間のSi−CHに対応するピークとの有無を調べた。
なお、4°未満の接触角は、水の濡れ広がりが大きすぎるため、計測できなかったため、表2において4°未満と記載した。
Figure 2012091352
表2から、Si−O結合を有するこれらのサンプル(実施例1〜6)は、UV光を十分に当てれば、Si−OH基が生成し、初期は親水性を得られることが分かる。一方、サンプルA〜CでUV光を当てすぎてSi−CHが消失してしまったサンプル(比較例1、3、5)、及び、そもそもSi−CHを有していないサンプルD、E(比較例6、7)は、経時により劣化してしまい、濡れ広がり(親水性)が十分でないことが分かる。
以上の実験結果から考察すると、親水性の起源はSi−OH結合であると考えられるが、図4(a)に示すようにSi−CHが存在しないサンプルでは隣接したSi−OH同士が脱水縮合してSi−O−Si結合となってしまい親水性が消失して行くのに対し、図4(b)に示すようにSi−CH結合を有するサンプルはCHがかさ高く、又、疎水性でOH基と親和性がないことから、Si−OH同士が引き離され、親水性を維持すると考えられる。
また、CH自体は疎水性であるが、10°未満の接触角を有するサンプルでは、OH基の量は親水性を得るには十分あり、疎水基の影響は受けないと考えられる。
なお、ここでは、CHを疎水基としたが、OHと親和性のない疎水基であり、CH同様、OH基同士を離すかさ高い基であれば、どのような基でも良い。例えば、CH、Cなどのアルキル基、フェニル基のようなベンゼン環を有する基などでも良い。
以上の実験から、Si−O結合を主とする薄膜に疎水性置換基をSiに直接接合することで、1回の励起光の照射のみで、この励起光の照射から30日後に純水で測定した接触角が10°未満である親水性薄膜を提供することができることが分かる。
本発明により、経時により親水性が劣化することのない親水コートが得られ、樹脂フィルム・無機材料などの基材に親水性が付与されると均一な水膜を形成するようになるので、ガラス・レンズ・鏡の曇りを有効に防止でき、雨天の視界確保、自動車排ガスなど疎水性物質が付着しにくくなり、また、付着しても容易に雨水などで洗い流せるようになる。
また、インクジェットヘッドの流路は、親水性が劣化すると、インク顔料などのインク構成物が流路に付着しインク流路が詰まり、吐出の障害となる可能性があるが、本発明により、流路の親水性を維持することができるので、このような故障を防ぐことができる。
100…インクジェット記録装置、112…給紙部、114…処理液付与部、116…描画部、118…乾燥部、120…定着部、122…排出部、124…記録媒体、154…処理液ドラム、156…処理液塗布装置、170…描画ドラム、172M、172K、172C、172Y…インクジェットヘッド、176…乾燥ドラム、180…温風噴出しノズル、182…IRヒータ、184…定着ドラム、186…ハロゲンヒータ、188…定着ローラ、192…排出トレイ、196…搬送ベルト

Claims (9)

  1. 基材上に設けられた、Si−O結合を主としたSiに直接接合された疎水性置換基を有する親水性薄膜であって、
    1回の励起光の照射で、OH基と前記疎水性置換基とを有し、
    前記励起光の照射から30日後に純水で測定した接触角が10°未満であることを特徴とする親水性薄膜。
  2. 前記疎水性置換基は、メチル基であることを特徴とする請求項1に記載の親水性薄膜。
  3. 前記基材の材質は、シリコン、ガラス、金属、セラミック、高分子フィルムの何れかであることを特徴とする請求項1又は2に記載の親水性薄膜。
  4. 前記基材は、インクジェットヘッドの流路であることを特徴とする請求項1〜3の何れか1に記載の親水性薄膜。
  5. 前記インクジェットヘッドの流路上に設けた場合には、前記疎水性置換基をSiに直接接合する方法がCVDであり、前記励起光の照射がプラズマ処理であることを特徴とする請求項4に記載の親水性薄膜。
  6. 基材上に、Si−O結合を主として、Siに疎水性置換基を直接接合された薄膜を形成する薄膜形成工程と、
    前記薄膜形成工程で得られた薄膜に励起光を照射し、前記薄膜にOH基と前記疎水性置換基とを有するようにする照射工程と、を備えたことを特徴とする親水性薄膜の製造方法。
  7. 前記疎水性置換基は、メチル基であることを特徴とする請求項6に記載の親水性薄膜の製造方法。
  8. 前記薄膜形成工程は、cat−CVD、プラズマCVD、又は、塗布して焼成することを特徴とする請求項6又は7に記載の親水性薄膜の製造方法。
  9. 前記励起光は、紫外線又はプラズマであることを特徴とする請求項6〜8の何れか1に記載の親水性薄膜の製造方法。
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