JP2012090130A - 半導体装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】CMOSトランジスタによって構成されたVCOを備えた半導体装置において、発振信号の発振振幅のばらつきの抑制および低消費電力化を実現する。
【解決手段】VCO30は、CMOSトランジスタによって構成されたLCタンクVCOと、VCOの発振周波数帯域から一の発振周波数を選択するための周波数選択信号を生成する自動周波数選択回路42と、VCOの制御電圧を生成するPLL32と、周波数選択信号に基づいて差動型のMOSトランジスタのゲートに供給するバイアス電圧を調整するバイアス回路50とを備える。
【選択図】図2

Description

この発明は、半導体装置に関し、特に、MOS(Metal Oxide Semiconductor)トランジスタによって構成された電圧制御発振回路(VCO:Voltage Controlled Oscillator)に関する。
近年、通信機器用のRFIC(Radio Frequency Integrated Circuit)に、安価でコンパクトなCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)技術によってVCOなどの部品を構成することが注目されている。
たとえば、非特許文献1は、センサ向け短距離無線通信規格であるZigBee(登録商標)に対応した通信機器のRFICに、CMOSトランジスタによって構成されたLCタンクVCOを搭載する技術を提案している。
特開2003−332841号公報
S. Beyer et al., "A 2.4GHz directed modulated 0.18μm CMOS IEEE 802.15.4 compliant Transmitter for ZigBeeTM", IEEE 2006 Custom Integrated Circuits Conference, pp.121-124.
しかしながら、CMOSトランジスタを用いたLCタンクVCOにおいては、MOSトランジスタのしきい値電圧が製造ばらつき等に起因して変動すると、MOSトランジスタを用いたMOSバラクタの電圧−容量特性が変動するため、VCOの発振周波数特性が変動してしまう。
また、MOSトランジスタのしきい値電圧が変動すると、MOSトランジスタの電流駆動力(オン抵抗)が変動するため、負性抵抗を構成する差動型のMOSトランジスタの相互コンダクタンスgmも変動する。その結果、VCOの発振振幅にもばらつきが生じてしまうという問題があった。
ここで、LCタンクVCOの発振周波数は、LCタンク(LC共振回路)に含まれるMOSバラクタ等の容量を変化させることで調整することができる。その一方で、LCタンクVCOの発振振幅は、差動型のMOSトランジスタの相互コンダクタンスgmで決まる。MOSトランジスタの相互コンダクタンスgmが小さくなると、発振動作を停止する可能性がある。
このような不具合を回避するためには、電流駆動力が小さいMOSトランジスタにおいても所望の発振振幅が確保できる電圧レベルに、MOSトランジスタのゲートに供給するバイアス電圧を固定しておくことが有効である。しかしながら、このような方法では、電流駆動力が大きいMOSトランジスタに対しては、発振動作を維持するのに必要十分な電流を超える電流が流れることとなり、無駄に電力を消費してしまうという問題が生じる。
ここで、VCOの発振振幅をほぼ均一とするための技術としては、ベース−エミッタ間に帰還コンデンサが接続され、ベースと基準電位点間にバラクタダイオードを含む発振周波数設定回路が接続された発振用トランジスタを有する電圧制御発振回路において、発振用トランジスタのコレクタと基準電位点間に接続された側路コンデンサに対して、容量値が選択可能な付加側路コンデンサを並列接続し、発振周波数に対応して付加側路コンデンサの容量値を選択する構成が開示されている。
しかしながら、上記の特許文献1に記載の電圧制御発振回路においては、発振信号出力端子から出力される発振信号の発振周波数を検出し、その検出された発振周波数に応じて付加側路コンデンサの容量値を調整するものであるため、発振周波数を検出するための回路自体のばらつきを考慮する必要がある。また、検出回路を付加することによる消費電流および回路面積が増大するという不具合が生じてしまう。
それゆえ、この発明は、かかる課題を解決するためになされたものであり、その目的は、CMOSトランジスタによって構成されたVCOを備えた半導体装置において、発振信号の発振振幅のばらつきの抑制および低消費電力化を実現することである。
この発明に従う半導体装置は、制御電圧により発振周波数を可変する電圧制御発振回路と、電圧制御発振回路の発振周波数帯域から一の発振周波数を選択するための周波数選択信号に基づいて制御電圧を生成し、生成した制御電圧を電圧制御発振回路に供給する周波数選択回路とを備える。電圧制御発振回路は、出力端子間対に接続されるインダクタ素子と、インダクタ素子に並列接続され、制御電圧に応じて容量が可変する可変容量とを含むLC共振回路と、LC共振回路と電源との間に接続された一対のMOSトランジスタを含む負性抵抗回路とを含む。半導体装置は、周波数選択信号に基づいて一対のMOSトランジスタのゲートに供給するバイアス電圧を調整するバイアス回路をさらに備える。
この発明によれば、CMOSトランジスタによって構成されたVCOを備えた半導体装置において、発振信号の発振振幅のばらつきの抑制および低消費電力化を実現できる。
本発明の実施の形態に係る半導体装置の代表例であるRFICを用いた通信機の全体構成を示す図である。 図1におけるVCOの構成を示す図である。 図2におけるバイアス回路の構成を示す図である。 図2における電流調整回路の構成を示す図である。 電流調整信号の補正量算出用のテーブルの一例を示す図である。 電流調整信号および負性抵抗回路を流れる電流の関係と、該電流および発振振幅の関係を示す図である。 本実施の形態における電流調整回路の電流調整動作を説明する図である。 MOSトランジスタのしきい値電圧によって、CMOS VCOの発振周波数帯域が決定される様子を説明する図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中の同一または相当する部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
図1は、本発明の実施の形態に係る半導体装置の代表例であるRFIC(Radio Frequency Integrated Circuit)を用いた通信機の全体構成を示す図である。本実施の形態に従う通信機器は、一例として、センサ向け短距離無線通信規格であるZigBee(登録商標)の通信プロトコルに従って、2.4MHz帯のISMバンドを使用するものとする。
図1を参照して、通信機は、RFIC1と、ベースバンド回路2と、RFIC1に電源電圧VDDを供給する電源回路3と、アンテナ素子4とを備える。
RFIC1は、受信部100、発振部200、送信部400、ロジック回路300およびフロントエンドモジュール500から構成される。受信部100は、アンテナ素子4が受信した2.4GH帯の高周波信号を、フロントエンドモジュール500を介して受信すると、その受信した高周波信号をベースバンド信号(I信号、Q信号)に変換する。なお、フロントエンドモジュール500は、送信時と受信時とで、アンテナ素子とRFIC1との接続を切替えるためのスイッチである。
具体的には、受信部100は、LNA(Low Noise Amplifier:低雑音増幅器)10と、PPF(Polyphase Filter:ポリフェーズフィルタ)12と、ミキサ(混合器)14,16と、PGA(Programmable Gain Amplifier:プログラマブルゲインアンプ)18と、BPF(Band Pass Filter:帯域通過フィルタ)20とを含む。
LNA10は、受信された高周波信号を低雑音増幅する。低雑音増幅された高周波信号のうち不要な周波数成分は、PPF12によって減衰される。PPF12を通過した高周波信号は、ミキサ14,16によって中間周波数信号に変換される。ミキサ14は、発振部200内のVCO30で生成された局部発振信号と高周波信号とを混合して同相成分であるI信号を生成する。ミキサ16は、図示しない移相器によって該局部発振信号が90°位相シフトされた局部発振信号と高周波信号とを混合して直交位相成分であるQ信号を生成する。
PGA18は、ミキサ14,16によって生成されたI信号およびQ信号をそれぞれレベル調整した後、BPF20に出力する。BRF20は、I信号およびQ信号のうちの不要な周波数成分を減衰させる。BPF20を通過したI信号およびQ信号は、ベースバンド回路2に出力される。ベースバンド回路2は、受信したI信号およびQ信号を復調することにより、受信情報である受信ベースバンド信号を得る。
発振部200は、送信情報である送信ベースバンド信号を直接高周波信号に変換するDSM(直接変調)34、PLL(Phased Locked Loop:位相同期ループ)32、およびVCO30から構成される。発振部200は、VCO30から出力される局部発振信号を、ベースバンド回路2から出力される送信ベースバンド信号で変調し、その変調信号を送信部400に出力する。VCO30における局部発振周波数は、搬送波の周波数として用いられる。PLL32は、VCO32からの局部発振信号を分周して生成される比較クロック信号と、外部からの基準クロック信号との位相差が一定になるように、VCO32にフィードバック制御をかけて発振させる。
送信部400は、PA(Power Amplifier:電力増幅器)22を含む。PA22は、発振部200から出力された高周波の送信信号を増幅する。増幅された送信信号は、フロントエンドモジュール500によってアンテナ素子4に供給され、アンテナ素子4から出力される。
ロジック回路300は、発振部200内部のVCO30から出力される局部発振信号の発振周波数を、ベースバンド回路2から指示された所定の周波数帯域に収めるための制御信号を生成する。また、ロジック回路300は、局部発振信号の発振振幅を一定レベルに保つための制御信号を生成する。ロジック回路300により生成されたこれらの制御信号は、PLL32およびVCO30に与えられる。
図2は、図1におけるVCO30の構成を示す図である。
図2を参照して、VCO30は、LC共振回路(LCタンク回路)を有しており、PチャネルMOSトランジスタおよびNチャネルMOSトランジスタからなる相補型MOSトランジスタ(以下、Complementary Metal Oxide Semiconductor:CMOS)により構成されたCMOS VCOを含む。なお、MOSトランジスタは、半導体基板上に絶縁膜を形成し、その上にゲート電極を形成した構造を有する電界効果型トランジスタである。ゲートスタック構造としては、シリコン酸窒化膜をゲート絶縁膜とする構造のほかに、シリコン酸窒化膜よりも高い誘電率を有する高誘電率(High−k)ゲート絶縁膜の上に金属膜を積層させた構造(Hkメタルゲート構造)などが採用される。
VCO30は、該CMOS VCOの出力ノードN1,N2の電圧を受けて、第1の出力信号LOOUTXおよび第2の出力信号LOOUTYを出力するローカルバッファ52をさらに含む。
CMOS VCOは、PチャネルMOSトランジスタQ1,Q2と、NチャネルMOSトランジスタQ3,Q4と、スパイラルインダクタL1と、MOSバラクタM1〜M4と、コンデンサC1〜C4とを含む。
スパイラルインダクタL1と、MOSバラクタM1〜M4およびコンデンサC1〜C4は、出力ノードN1,N2間に接続されたLC共振回路を構成する。
LC共振回路は、負性抵抗となるPチャネルクロスカップルトランジスタを介して第1の電源(以下、電源VDDと称す)に接続され、負性抵抗となるNチャネルクロスカップルトランジスタを介して第2の電源(以下、電源VSSと称す)に接続される。
Pチャネルクロスカップルトランジスタは、差動型のPチャネルMOSトランジスタQ1およびQ2を備え、負性抵抗を構成する。詳細には、PチャネルMOSトランジスタQ1,Q2のそれぞれのソースは、第1の電源VDDに接続される。PチャネルMOSトランジスタQ1のドレインは出力ノードN1に接続され、ゲートは出力ノードN2に接続される。また、PチャネルMOSトランジスタQ2のドレインは出力ノードN2に接続され、ゲートは出力ノードN1に接続される。すなわち、PチャネルMOSトランジスタQ1およびQ2は、クロスカップル接続される。
同様に、Nチャネルクロスカップルトランジスタは、差動型のNチャネルMOSトランジスタQ3およびQ4を備え、負性抵抗を構成する。詳細には、NチャネルMOSトランジスタQ3,Q4のソースは電源VSSに接続される。NチャネルMOSトランジスタQ3のドレインは出力ノードN1に接続され、ゲートは出力ノードN2に接続される。NチャネルMOSトランジスタQ4のドレインは出力ノードN2に接続され、ゲートは出力ノードN1に接続される。
PチャネルMOSトランジスタQ1のゲートおよびドレイン間には、コンデンサC1が接続される。PチャネルMOSトランジスタQ2のゲートおよびドレイン間には、コンデンサC2が接続される。
スパイラルインダクタL1は、出力ノードN1および出力ノードN2の間に接続されている。MOSバラクタM1の一端は出力ノードN1に接続され、他端はNチャネルMOSトランジスタQ5のドレインに接続される。MOSバラクタM2の一端は出力ノードN2に接続され、他端はNチャネルMOSトランジスタQ5のソースに接続される。このMOSバラクタM1、NチャネルMOSトランジスタQ5およびMOSバラクタM2の直列回路は、出力ノードN1および出力ノードN2の間に複数個が並列に接続される。各直列回路におけるNチャネルMOSトランジスタQ5は、ロジック回路300内の自動周波数選択回路42から出力される周波数選択信号VCOTRMを、そのゲートに受ける。この周波数選択信号VCOTRMに応じて直列回路ごとにNチャネルMOSトランジスタQ5がオン/オフされることによって、直列回路全体での容量が可変に制御される。
MOSバラクタM3の一端は出力ノードN1に接続され、他端は出力ノードN3に接続される。MOSバラクタM4の一端は出力ノードN2に接続され、他端はノードN3に接続される。ノードN3は、MOSバラクタM3,M4の容量を制御する制御電圧VCONTを、PLL32から受ける。PLL32は、図示は省略するが、位相比較器と、チャージポンプと、ループフィルタと、帰還分周回路とを含む。帰還分周回路は、VCO32から出力される発振信号を所定の分周比で分周して比較クロック信号を生成する。位相比較器は、外部から入力される基準クロック信号と、該比較クロック信号との立上りエッジ差を検出し、その検出結果に応じたパルス幅の位相差信号を出力する。チャージポンプは、位相比較器からの位相差信号に応答して正電流または負電流を供給する。ループフィルタは、チャージポンプの出力電流を積分して制御電圧VCONTを生成する。
出力ノードN1および出力ノードN2の間には、可変容量C3,C4およびMOSバラクタM5からなる直列回路がさらに接続される。この可変容量C3,C4の容量は、DSM34に内蔵されたロジック回路から出力される制御電圧VCOKVSELに応じて制御される。また、MOSバラクタM5の容量は、DSM34内のロジック回路から出力される制御電圧VCOMODに応じて制御される。VCO30の発振周波数は、送信部400の搬送波周波数として用いられることから、DSM34内のロジック回路は、VCO30の発振周波数と搬送波周波数の設計値とのずれ量に応じて、制御電圧VCOKVSEL,VCOMODを生成する。
図1に示すように、本実施の形態に係るRFIC1においては、送信用の局部発振回路と受信用の局部発振回路とを1つの局部発振回路(VCO30)で共用している。そのため、VCO30においては、CMOS VCOの発振周波数が、送受信時に所望の局部発振周波数となるように、LC共振回路に含まれる容量(MOSバラクタM1〜M4および可変容量C3,C4)を可変に制御する。
具体的には、ロジック回路300は、自動周波数選択回路42を含む。自動周波数選択回路42は、予め設定されている局部発振周波数の設計値(たとえば、2440MHzとする)に従って、CMOS VCOが有する発振周波数帯域から当該設計値に応じた一の発振周波数を選択するための周波数選択信号VCOTRMを設定する。この周波数選択信号VCOTRMは、7ビットのデジタル信号である、VCOTRIM[6:0]から構成されるものとする。自動周波数選択回路42には、ベースバンド回路2(図1)から、初期値として、周波数調整信号VCOTRM[6:0]のセンター値であるVCOTRM=「64」が与えられる。すなわち、VCO30においては、CMOS VCOの発振周波数帯域の中心周波数が、発振周波数の初期値に設定される。
自動周波数選択回路42は、周波数選択信号VCOTRIMに基づいて、NチャネルMOSトランジスタQ5およびMOSバラクタM2からなる直列回路ごとに、NチャネルMOSトランジスタQ5のオン/オフを制御する。この周波数選択信号VCOTRMに従って、各直列回路のNチャネルMOSトランジスタQ5がオン/オフされることによって、直列回路全体での容量が変化する。これにより、LC共振回路の共振周波数が変化する。
VCO32が、周波数調整信号VCOTRM(初期値)に従って、CMOS VCOの発振周波数帯域の中心周波数の発振信号を出力すると、PLL32は、該発振信号の発振周波数が局部発振周波数の設計値に一致するように制御電圧VCONTを制御する。
そして、PLL32が局部発振周波数の設計値に従って、VCO30の発振周波数を調整することにより、周波数調整信号VCOTRMの値は、初期値「64」から増加または減少させられる。具体的には、CMOS VCOの発振周波数(発振周波数帯域の中心周波数に相当)が局部発振周波数の設計値を上回る場合には、PLL32は、局部発振周波数の設計値と発振周波数とのずれ量に応じた制御電圧VCONTを生成することにより、CMOS VCO内のMOSバラクタの容量値を変化させる。この場合、周波数調整信号VCOTRMは、初期値よりも低い値にロックされる。
一方、CMOS VCOの発振周波数が局部発振周波数の設計値を下回る場合には、PLL32は、局部発振周波数の設計値と発振周波数とのずれ量に応じた制御電圧VCONTを生成することにより、MOSバラクタの容量値を変化させる。この場合、周波数調整値VCOTRMは、初期値よりも高い値にロックされる。
このようにして、周波数調整信号VCOTRMは、CMOS VCOに固有の発振周波数帯域に照らして、最終的に、局部発振周波数の設計値と一致した発振周波数を実現し得る最適値となるように調整される。
なお、本実施の形態においては、自動周波数選択回路42における周波数調整信号VCOTRMを調整することによって、たとえば、所定の規格周波数帯域である2405MHz〜2480MHzに対して所定のマージンを付加した周波数帯域内でCMOS VCOの発振周波数を変化させている。
さらに、CMOS VCOの発振周波数は、PLL32によって制御電圧VCONTに応じてMOSバラクタM3,M4の容量を変化させることによって微調整することができる。また、受信時においては、直接変調方式を採用するため、変調信号に応じて制御電圧VCOMOD,VCOKVSELを変化させることによって、MOSバラクタM5および容量素子C3,C4の容量を変化させることにより、所定の可変範囲(たとえば、±500kHz程度)で発振周波数を調整することができる。
以上に説明したように、CMOS VCOから出力される局部発振信号の発振周波数は、LC共振回路に含まれるMOSバラクタ等の容量を変化させることで調整することができる。その一方で、局部発振信号の発振振幅は、負性抵抗を構成するPチャネルクロスカップルトランジスタ(PMOSトランジスタQ1,Q2)の相互コンダクタンスgmで決まる。なお、Pチャネルクロスカップルトランジスタの相互コンダクタンスgmが小さくなると、LC共振回路は、発振条件であるgm/gl≧1を満足しなくなり、発振動作を停止する可能性がある。ただし、glはLC共振回路のコンダクタンスである。
本実施の形態に係るVCO30は、Pチャネルクロスカップルトランジスタの相互コンダクタンスを調整するために、PMOSトランジスタQ1,Q2の各々のゲートに印加するバイアス電圧を生成するバイアス回路50をさらに含む。具体的には、バイアス回路50は、ロジック回路300から受ける制御信号VCO_ONに応じて動作状態となると、ロジック回路300から入力される電流調整信号VCOIに基づいて、PチャネルMOSトランジスタQ1,Q2のゲートに印加するバイアス電圧を生成する。なお、この電流調整信号VCOIは、4ビットのデジタル信号である、VCOI[3:0](=VCOI[0]〜VCOI[3])から構成されるものとする。
図3は、図2におけるバイアス回路50の構成を示す図である。
図3を参照して、バイアス回路50は、コンスタントGm回路502と、バイアス調整回路504とを含む。
コンスタントGm回路502は、PチャネルMOSトランジスタQ5,Q6からなる第1の電流ミラー回路と、NチャネルMOSトランジスタQ7,Q8からなる第2の電流ミラー回路と、抵抗R1とを含む。第1の電流ミラー回路は、NチャネルMOSトランジスタQ7のドレインと電源VDDとの間に設けられたダイオード接続のPチャネルMOSトランジスタQ5と、PチャネルMOSトランジスタQ5とゲートおよびソースが共通化されたPチャネルMOSトランジスタQ6とから構成される。
第2の電流ミラー回路は、PチャネルMOSNMOSトランジスタQ6のドレインと電源VSSとの間に設けられたダイオード接続のNチャネルMOSトランジスタQ8と、NチャネルMOSトランジスタQ8とゲートが共通化されたNチャネルMOSトランジスタQ7から構成される。NチャネルMOSトランジスタQ7と電源VSSとの間には抵抗R1が接続されている。この抵抗R1に第1および第2のミラー回路で形成された一定電流が流れることにより、NチャネルMOSトランジスタQ7のゲート−ソース間には一定電圧が生成される。
この生成された一定電圧は、バイアス調整回路504に与えられる。バイアス調整回路504は、NチャネルMOSトランジスタQ9〜Q18と、PチャネルMOSトランジスタQ19とを含む。NチャネルMOSトランジスタQ9は、ロジック回路300(図2)からH(論理ハイ)レベルの制御信号VCO_ONを受けてオン状態とされると、コンスタントGm回路502の出力電圧をそのゲートに受ける。
NチャネルMOSトランジスタQ10〜Q14は、PチャネルMOSトランジスタQ19のドレインと電源VSSとの間に並列に接続されている。NチャネルMOSトランジスタQ10は、そのゲートに、オン状態のNチャネルMOSトランジスタQ9を介して、コンスタントGm回路の出力電圧を受ける。
NチャネルMOSトランジスタQ11〜Q14は、入力側のNチャネルMOSトランジスタQ10を基準の1として、2進の重みを持つように形成される。たとえば、NチャネルMOSトランジスタQ10のサイズをWとすると、NチャネルMOSトランジスタQ11は同じくW、NチャネルMOSトランジスタQ12はその2倍である2W、NチャネルMOSトランジスタQ13はその4倍である4W、NチャネルMOSトランジスタQ14はその8倍である8Wのサイズとされる。
NチャネルMOSトランジスタQ11〜Q14の各々のゲートとNチャネルMOSトランジスタQ10のゲートとの間には、NチャネルMOSトランジスタQ15〜Q18が設けられている。NチャネルMOSトランジスタQ15〜Q18は、そのゲートに電流調整信号VCOI[0]〜VCOI[3]をそれぞれ受ける。
図3に示すバイアス調整回路504において、電流調整信号VCOI[0]〜VCOI[3]が全てL(論理ロー)レベルのときには、PチャネルMOSトランジスタQ19およびNチャネルMOSトランジスタQ10からなる直列回路にコンスタントGm回路502に形成される一定電流に等しい電流が流れる。これに対して、電流調整信号VCOI[0]のみをHレベルとし、かつ電流調整信号VCOI[1]〜[3]をLレベルとしたときには、NチャネルMOSトランジスタQ15,Q11がともにオンされるため、NチャネルMOSトランジスタQ10およびQ11に電流が流れる。これにより、PチャネルMOSトランジスタQ19を流れる電流が2倍に増大する。PチャネルMOSトランジスタQ19と、CMOS VCO内のPチャネルクロスカップルトランジスタとはカレントミラー回路を構成することから、この2倍に増幅された電流がPチャネルクロスカップルトランジスタに駆動されることとなる。
同様にして、電流調整信号VCOI[0]およびVCOI[1]をHレベルとし、電流調整信号VCOI[2]およびVCOI[3]をHレベルとしたときには、コンスタントGm回路502に流れる電流を4倍した電流が、Pチャネルクロスカップルトランジスタを流れることになる。このように、電流調整信号VCOI[0]〜[3]に応じて、コンスタントGm回路502に流れる電流を最大16倍した電流でPチャネルクロスカップルトランジスタを駆動することが可能となる。
ここで、電流調整信号VCOIは、図2に示されるように、ロジック回路300内の電流調整回路40によって生成される信号である。以下に、電流調整回路40が行なう電流調整信号VCOIの生成動作について説明する。
図4は、図2における電流調整回路40の構成を示す図である。
図4を参照して、電流調整回路40は、換算部402と、記憶部404と、加算部406とを含む。
換算部402は、自動周波数選択回路42から周波数選択信号VCOTRMを受けると、その受けた周波数選択信号VCOTRMを、電流調整信号VCOIの初期値に対する補正量ΔVCOIに換算する。
記憶部404は、予め設定された電流調整信号VCOIの標準値VCOI♯を記憶している。加算部406は、この記憶部404に記憶された標準値VCOI♯に対して、換算部402により算出された補正量ΔVCOIを加算し、その加算結果を最終的な電流調整信号VCOIとしてバイアス回路50に出力する。すなわち、電流調整回路40は、標準値VCOI♯を、周波数選択信号VCOTRMに基づいた補正量ΔVCOIを用いて補正し、その補正後の電流調整信号VCOIを出力する。
図4に示す電流調整回路40において、換算部402は、図5に示すような、周波数選択信号VCOTRMごとに予め設定された補正量ΔVCOIをテーブルとして記憶している。換算部402は、周波数選択信号VCOTRMを受けると、図5のテーブルを参照することにより、周波数選択信号VCOTRMに対応する補正量ΔVCOIを算出する。
詳細には、図5のテーブルにおいては、周波数選択信号VCOTRMが複数の領域に分割され、領域ごとに補正量ΔVCOIが設定されている。図5の例では、周波数選択信号VCOTRMの値が「51」〜「76」を示す領域における補正量ΔVCOIを「±0」(すなわち、補正無し)として、当該領域に比べてVCOTRMの値が大きくなる領域では、補正量ΔVCOIが正の値(+1,+2)に設定される。一方、VCOTRMの値が小さくなる領域においては、補正量ΔVCOIが負の値(−1,−2)に設定される。
上述したように、周波数選択信号VCOTRMは、7ビットのデジタル信号のセンター値「64」を初期値としてPLL32を動作させることにより、CMOS VCOの有する発振周波数帯域に応じて増加方向または減少方向に調整される。図5のテーブルでは、周波数選択信号VCOTRMがセンター値を上回るときには、補正量ΔVCOIは正の値をとる。ここで、周波数選択信号VCOTRMがセンター値を上回る場合とは、CMOS VCOの発振周波数帯域が、局部発振周波数の設計値(2440MHz)を中心周波数とする所定の規格周波数帯域(2405MHz〜2480MHz)と比較して、低周波側にシフトしていることを意味している。このような場合には、電流調整信号VCOIは増加方向に補正される。この補正後の電流調整信号VCOIに従ってバイアス回路50がバイアス電圧を生成することにより、PチャネルクロスカップルトランジスタおよびNチャネルクロスカップルトランジスタから構成される負性抵抗回路を流れる電流が増加する。
これに対して、周波数選択信号VCOTRMがセンター値を下回るときには、補正量ΔVCOIは負の値をとる。周波数選択信号VCOTRMがセンター値を下回る場合とは、CMOS VCOの発振周波数帯域が、上記所定の規格周波数帯域と比較して高周波側にシフトしていることを意味している。このような場合には、電流調整信号VCOIは減少方向に補正される。この補正後の電流調整信号VCOIに従ってバイアス回路50がバイアス電圧を生成することにより、負性抵抗回路を流れる電流が減少する。
図6には、電流調整信号VCOIおよびCMOS VCOの負性抵抗回路を流れる電流の関係(図6(a))と、負性抵抗回路を流れる電流およびCMOS VCOの発振信号の発振振幅の関係(図6(b))が示されている。図6(a)を参照して、横軸は4ビットの電流調整信号VCOI(最小値を「2」とする)を示し、縦軸は負性抵抗回路を流れる電流を示す。同図において、負性抵抗回路を流れる電流は、電流調整信号VCOIの値が大きくなるに従って増大する。なお、電流調整信号VCOIは最小値を「2」としている。
図6(b)は、負性抵抗回路を流れる電流とCMOS VCOの発振振幅との関係を示す図である。同図において、実線k2は、図6(a)に示した電流調整信号VCOIおよび電流の関係を有するCMOS VCOにおいて現われる、該電流および発振振幅の関係を示している。電流の増加に伴なって発振振幅が増加することが分かる。
一方、図中の実線k1,k3は、実線k2に対応するCMOS VCOとは異なるCMOS VCOの電流および発振振幅の関係を表わしている。これらのCMOS VCOは、実線k2に対応するCMOS VCOと比較して、CMOS VCOに用いられるMOSトランジスタのしきい値電圧Vthが異なっている。なお、MOSトランジスタのしきい値電圧Vthのばらつきは、製造ばらつき等に起因して発生する。なお、LSI中のMOSトランジスタの微細化に伴い、製造パラメータの変動が大きくなるため、しきい値電圧Vthのばらつきは増大する傾向にある。
MOSトランジスタのしきい値電圧Vthに製造ばらつきが生じることにより、負性抵抗回路の入力インピーダンスが変動するため、Pチャネルクロスカップルトランジスタの相互コンダクタンスgmが変動する。これにより、CMOS VCOの発振信号の発振振幅が変動してしまう。また、MOSバラクタにおいても、MOSトランジスタのしきい値電圧Vthのばらつきによってバイアス−容量特性が変動する。
図6(b)中の実線k1は、実線k2に対応するMOSトランジスタのしきい値電圧Vthを標準値として、しきい値電圧Vthが標準値よりも低い方向にばらついた場合の電流および発振振幅の関係を表わす。一方、実線k3は、MOSトランジスタのしきい値電圧Vthが標準値よりも高い方向にばらついた場合の電流および発振振幅の関係を表わす。同図に示すように、CMOS VCOの発振振幅は、MOSトランジスタのしきい値電圧Vthのばらつきに起因して変動する。
ここで、MOSトランジスタのしきい値電圧Vthのばらつきによらず、発振動作を継続するのに必要な所定の発振振幅を確保するためには、実線k3に示されるMOSトランジスタのしきい値電圧Vthが高い方向にばらついたときの関係に基づいてバイアス電圧を設定することが有効である。しかしながら、このような方法では、実線k1およびk2に対応するMOSトランジスタにおいては電流量が必要以上に大きくなってしまい、その結果、消費電力を無駄に増大させるという問題が生じる。
あるいは、このようなしきい値Vthのばらつきによって変動した発振振幅を検波回路で検出し、その検出結果に応じて負性抵抗回路を流れる電流を調整する構成とした場合には、検波回路自体の特性ばらつきを考慮する必要が新たに生じるとともに、該検波回路を付加することによる消費電力および回路面積の増加が問題となる。
本実施の形態に係るVCOにおいては、図4および図5で説明したように、電流調整回路40は、自動周波数選択回路42によって最適化された周波数選択信号VCOTRMに応じて電流調整信号VCOIを調整する。具体的には、電流調整回路40は、MOSトランジスタのしきい値電圧Vthが標準値となるときに所定の発振振幅を実現可能なバイアス電圧を生成するための電流調整信号VCOIを標準値として有している。そして、周波数選択信号VCOTRMに応じて、当該標準値に加算する補正量ΔVCOIを調整する。
このような構成としたことにより、バイアス回路50からPチャネルクロスカップルに供給されるバイアス電圧は、MOSトランジスタのしきい値電圧Vthが標準値となるときに対応して設定されたバイアス電圧を中心として、該バイアス電圧から増加または減少するように調整される。したがって、従来のように、MOSトランジスタのしきい値電圧Vthが標準値から高くなる方向にばらついた場合を想定してバイアス電圧を設定する構成と比較して、消費電力の低減を実現できる。
(電流調整信号の調整)
以下、図面を参照して、本実施の形態における電流調整回路40の電流調整動作を詳細に説明する。
本実施の形態に係る電流調整回路40は、上述したように、自動周波数選択回路42によって生成された周波数選択信号VCOTRMに応じて電流調整信号VCOIを調整するように構成される。かかる構成は、本発明者が、図7に示すような、MOSトランジスタのしきい値電圧VthとCMOS VCOの発振振幅との関係、および、CMOS VCOの発振周波数帯域と発振振幅との関係を確認したことに基づいている。本発明者は、これらの関係から、周波数選択信号VCOTRMとMOSトランジスタのしきい値電圧Vthとの間に相関関係があることを知見した。そして、検討を重ねることによって、周波数選択信号VCOTRMに応じて電流調整信号VCOIを調整してバイアス電圧を調整することにより、CMOS VCOの発振振幅のばらつきを抑制できることを解明し、本発明の完成に至ったものである。
図7(a)は、MOSバラクタの電圧−容量特性を示す図である。同図において、横軸はMOSバラクタ制御用の制御電圧VCONTを示し、縦軸はMOSバラクタの容量値を示す。図中に実線k1〜k3で示す特性は、MOSバラクタを構成するMOSトランジスタのしきい値電圧Vthが異なっている。詳細には、実線k5は、MOSトランジスタのしきい値電圧Vthが標準値のときの電圧−容量特性である。実線k4は、MOSトランジスタのしきい値電圧Vthが標準値よりも高いときの電圧−容量特性であり、実線k6は、MOSトランジスタのしきい値電圧Vthが標準値を低いときの電圧−容量特性である。
図7(a)を参照して、MOSバラクタの容量は、制御電圧VCONTの増加に応じて減少するように変化する。なお、MOSバラクタの容量が減少することによって、CMOS VCOの発振周波数が上昇する。
さらに、MOSバラクタの電圧−容量特性は、しきい値電圧Vthが変動することによって変動する。具体的には、MOSトランジスタのしきい値電圧Vthが標準値から高い方向に変動したときには、容量が標準値に対応する容量よりも大きくなる。その一方で、しきい値電圧Vthが標準値から低い方向に変動したときには、容量が標準値に対応する容量よりも小さくなる。
ここで、MOSバラクタの容量が増加したときには、発振周波数が低下するとともに、LC共振回路のQ値が低下することによってCMOS VCOの発振振幅が小さくなる。すなわち、MOSトランジスタのしきい値電圧Vthが高い方向に変動したときには、CMOS VCOの発振振幅は小さくなる。その一方で、MOSバラクタの容量が減少したときには、発振周波数が増加するとともに、LC共振回路のQ値が増加することによってCMOS VCOの発振振幅が大きくなる。すなわち、MOSトランジスタのしきい値電圧Vthが低い方向に変動したときには、CMOS VCOの発振振幅が大きくなる。
図7(b)は、CMOS VCOの発振周波数および発振振幅とMOSトランジスタのしきい値電圧Vthとの関係を説明する図である。同図において、MOSトランジスタのしきい値電圧Vthが標準値よりも低いときには、発振周波数が増加するとともに、発振振幅が増加している。
図7(c)は、CMOS VCOが有する発振周波数帯域における、発振周波数と発振振幅との関係を説明する図である。同図では、所定の発振周波数帯域は、2440MHzと中心周波数とするものとする。発振周波数帯域において、発振周波数が高いときと発振周波数が低いときとでは、発振振幅が異なっている。発振周波数が高いときには発振振幅が大きく、発振周波数が低いときには発振振幅が小さい。発振周波数が高いときに発振振幅が大きくなるのは、LC共振回路において容量が小さくなることによってQ値が増加することによると考えられる。一方、発振周波数が低いときに発振振幅が小さくなるのは、LC共振回路の容量が大きくなることによってQ値が低下することによると考えられる。このように、発振周波数帯域内における発振振幅は、発振周波数に応じて異なるものとなる。
図8は、MOSトランジスタのしきい値電圧Vthによって、CMOS VCOの発振周波数帯域が決定される様子を説明する図である。
図8を参照して、MOSトランジスタのしきい値電圧Vthが標準値であるときのCMOS VCOの発振周波数帯域を、2440MHzを中心周波数とし、2246MHz〜2676MHzである場合を想定する。この場合、自動周波数選択回路42においては、発振周波数帯域の中心周波数2440MHzが局部発振周波数の設計値である2440MHzに一致することから、周波数選択信号VCOTRMはセンター値である「64」にロックされる。
これに対して、MOSトランジスタのしきい値電圧Vthが標準値よりも低いときには、発振周波数帯域は高周波側にシフトする。これは、図7(a),(b)で示したように、MOSトランジスタのしきい値電圧Vthの低下によってMOSバラクタの容量が減少することにより、発振周波数が上昇したことによる。自動周波数選択回路42は、発振周波数帯域の中心周波数が局部発振周波数の設計値2440MHzを上回ることから、周波数選択信号VCOTRMを初期値(センター値「64」)から減少させる。図8の例では、周波数選択信号VCOTRMは「16」にロックされる。
また、MOSトランジスタのしきい値電圧Vthが標準値よりも高いときには、発振周波数帯域は低周波側にシフトする。これは、MOSトランジスタのしきい値電圧Vthの増加によってMOSバラクタの容量が増加することにより、発振周波数が減少したことによる。
このように、MOSトランジスタのしきい値電圧Vthが変動することにより、CMOS VCOの発振周波数帯域が変動する。そして、自動周波数選択回路42から出力される周波数選択信号VCOTRMは、この発振周波数帯の変動を反映した値にロックされる。したがって、自動周波数選択回路42から出力される周波数選択信号VCOTRMをモニタすることにより、MOSトランジスタのしきい値電圧Vthが高い方向に変動しているのか、低い方向に変動しているのかを知ることができる。
ここで、CMOS VCOの発振振幅に着目すると、MOSトランジスタのしきい値電圧Vthが高いときには、図7(b)に示す関係に従えば、発振振幅は増加することが予想される。その一方で、発振周波数帯域において発振周波数2440MHzは中心周波数よりも低周波側に位置することから、図7(c)に示す関係に従えば、発振振幅は減少することが予想される。すなわち、発振振幅は、MOSトランジスタのしきい値電圧Vthの観点からは増加することが予想され、発振周波数帯域の観点からは減少することが予想される。したがって、この発振振幅の増加量と減少量とが同等であれば、発振振幅に変動が生じない結果となる。一方、MOSトランジスタのしきい値電圧Vthが発振振幅に及ぼす影響力と、発振周波数帯域が発振振幅に及ぼす影響力とが異なる場合には、発振振幅の変動量は、より影響力が大きい方に支配されることになる。
本実施の形態においては、本発明者は、検討を重ねた結果、MOSトランジスタのしきい値電圧Vthが発振振幅に及ぼす影響の方が、発振周波数帯域が発振振幅に及ぼす影響よりも大きいという知見を得た。この知見によれば、周波数選択信号VCOTRMがセンター値を下回る場合には、発振振幅が増加する傾向にあることが推定される。したがって、電流調整回路40は、電流調整信号VCOIを標準値から減少させるように補正することにより、負性抵抗回路に流れる電流を低減させる。この結果、発振振幅の増加が抑えられる。
一方で、MOSトランジスタのしきい値電圧Vthが低いとき、すなわち、周波数選択信号VCOTRMがセンター値を上回る場合には、しきい値電圧Vthの影響を受けて発振振幅が減少することが推定される。したがって、電流調整回路40は、電流調整信号VCOIを標準値から増加させるように補正することによって、負性抵抗回路に流れる電流を増加させる。この結果、発振振幅の低下が抑えられる。
以上に述べたように、周波数選択信号VCOTRMをモニタすることにより、CMOS VCOの発振振幅が増加傾向にあるのか、減少傾向にあるのかを推定することができる。そして、この推定結果に基づいて、電流調整信号VCOIを調整することにより、発振振幅の変動を抑えることが可能となる。図5に示すテーブルは、以上のような知見および検討結果に基づいて作成したものである。なお、図5のテーブルにおいては、発振周波数帯域が複数の周波数領域に分割され、当該周波数領域ごとに電流調整信号VCOIの補正量ΔVCOIが設定されている。この補正量ΔVCOIは、周波数領域ごとの周波数が高くなるほど負性抵抗回路に流れる電流が大きくなるように設定される。これにより、バイアス回路50においては、周波数領域の周波数が高くなるほど、MOSトランジスタのゲート−ソース間電圧の絶対値が大きくなるように、バイアス電圧が生成される。
以上のように、電流調整回路40は、このテーブルを参照することにより、発振振幅のばらつきを抑制するのに適した値に電流調整信号を補正することができる。この結果、従来のように、発振周波数を検波する検波回路が不要となるため、検波回路の設置による消費電力および回路面積の増大を抑えることができる。
なお、図7で説明した、MOSトランジスタのしきい値電圧VthとCMOS VCOの発振振幅との関係、および発振周波数帯域と発振振幅との関係は、図2に示すCMOS VCOにおいて確認されたものであり、これに限定されるものではない。さらに、図7の関係に基づいて設定された図5のテーブルにおいても、これに限定されるものではない。すなわち、本実施の形態は、周波数選択信号VCOTRMとMOSトランジスタのしきい値電圧Vthとの相関関係に基づいて、周波数選択信号VCOTRMに応じて電流調整信号VCOIを調整することに技術的意義を有するものであり、相関関係および設定値そのものは例示であることを確認的に記載する。
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 RFIC、2 ベースバンド回路、3 電源回路、4 アンテナ素子、10 LNA、12 PPF、14,16 ミキサ、18 PGA、20 BPF、22 PA、30 VCO、32 PLL、34 DSM、100 受信部、200 発振部、300 ロジック回路、400 送信部、40 電流調整回路、42 自動周波数選択回路、50 バイアス回路、52 ローカルバッファ、402 換算部、404 記憶部、406 加算部、502 コンスタントGm回路、504 バイアス調整回路、C1〜C4 コンデンサ、L1 スパイラルインダクタ、M1〜M5 MOSバラクタ。

Claims (7)

  1. 制御電圧により発振周波数を可変する電圧制御発振回路と、
    前記電圧制御発振回路の発振周波数帯域から一の発振周波数を選択するための周波数選択信号に基づいて前記制御電圧を生成し、生成した前記制御電圧を前記電圧制御発振回路に供給する周波数選択回路とを備え、
    前記電圧制御発振回路は、
    出力端子間対に接続されるインダクタ素子と、前記インダクタ素子に並列接続され、前記制御電圧に応じて容量が可変する可変容量とを含むLC共振回路と、
    前記LC共振回路と電源との間に接続された一対のMOSトランジスタを含む負性抵抗回路とを含み、
    前記周波数選択信号に基づいて前記一対のMOSトランジスタのゲートに供給するバイアス電圧を調整するバイアス回路をさらに備える、半導体装置。
  2. 前記周波数選択信号は、前記発振周波数帯域における前記一の発振周波数の位置を指示する信号である、請求項1に記載の半導体装置。
  3. 前記バイアス回路は、前記電圧制御発振回路の発振振幅および前記差動型のMOSトランジスタのしきい値電圧の関係と、前記電圧制御発振回路の発振周波数帯域および発振振幅の関係とに基づいて推定される、前記一の発振周波数における発振振幅に応じて、前記バイアス電圧を調整する、請求項2に記載の半導体装置。
  4. 前記電圧制御発振回路の発振周波数と前記一の発振周波数との比較結果に応じて前記制御電圧を制御する位相同期ループをさらに備え、
    前記周波数選択回路は、前記位相同期ループによってフィードバック制御される発振周波数に基づいて前記周波数選択信号を生成する、請求項1に記載の半導体装置。
  5. 前記バイアス回路は、前記バイアス電圧として、互いに異なる複数の電圧値を設定可能であり、
    前記発振周波数帯域を互いに重複しない複数の周波数領域に分割したときに、前記複数の電圧値は、前記複数の周波数領域にそれぞれ対応付けられており、
    前記バイアス回路は、前記複数の周波数領域のうち前記一の発振周波数の属する周波数領域に対応する電圧値をバイアス値として出力し、
    前記複数の周波数領域の周波数が高くなるほど前記負性抵抗回路に生じる電流が大きくなるように前記複数の電圧値が設定される、請求項1に記載の半導体装置。
  6. 前記一対のMOSトランジスタは、差動型のMOSトランジスタである、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の半導体装置。
  7. 前記差動型のMOSトランジスタは、Pチャネル型MOSトランジスタからなる、請求項6に記載の半導体装置。
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