JP2012089791A - トロイダル型コイル - Google Patents
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Abstract
【課題】トロイダル型コアにコイルの巻線を巻回する際の作業性を改善し、巻線の整列巻きをより簡便にかつ確実に行え、また、コイル形成後の巻線の位置ずれを抑制できるトロイダル型コイルを提供する。
【解決手段】巻線4aの巻始め位置Sを固定部に保持して巻線4aの巻回が行える。これにより、作業者が指もしくは治具を用いて巻線4aを巻始め位置Sで押さえる必要がなくなって作業が簡便となるとともに、巻線4aを固定部に保持して巻回を行えるのでより確実に巻線4aの整列巻きが行える。また、固定部を複数個所に設けることにより、コイルに円周方向の力が加わって巻線4aが位置ずれを起こしても、固定部に保持された巻線4aで位置ずれがストップするため、巻線4aの位置ずれに起因する性能の変化を最小限に抑えることができる。
【選択図】図4
【解決手段】巻線4aの巻始め位置Sを固定部に保持して巻線4aの巻回が行える。これにより、作業者が指もしくは治具を用いて巻線4aを巻始め位置Sで押さえる必要がなくなって作業が簡便となるとともに、巻線4aを固定部に保持して巻回を行えるのでより確実に巻線4aの整列巻きが行える。また、固定部を複数個所に設けることにより、コイルに円周方向の力が加わって巻線4aが位置ずれを起こしても、固定部に保持された巻線4aで位置ずれがストップするため、巻線4aの位置ずれに起因する性能の変化を最小限に抑えることができる。
【選択図】図4
Description
本発明は、トロイダル型コイルに係わり、より詳細には、コイルを形成するための巻線作業が簡便にかつ確実に行え、コイル形成後の巻線の位置ずれも抑制できるトロイダル型コイルに関する。
従来、トロイダル型コイルでは、トロイダル型コアを耐熱樹脂材を用いてインサート成形する、あるいは、耐熱樹脂材でコアケースを成形しケース内にトロイダル型コアを格納する等の方法によってトロイダル型コアの表面に絶縁層を形成し、絶縁層の外周に所定の巻回数で巻線を巻回してコイルを形成したものが知られている。
コイルを形成する巻線をトロイダル型コアに巻回する際は、巻線の間隔ができる限り一定となるよう整列巻きを行い、インダクタンス値やコイルのQといったトロイダル型コイルの性能がばらつかないようにする必要がある。しかし、従来のトロイダル型コイルでは、巻線をトロイダル型コアに巻回する際にガイドとなるものが何ら設けられていないため、巻回時に整列巻きを行うことが困難であった。また、巻回後の巻線の位置ずれを規制する工夫がなされておらず、整列巻きしたコイルに円周方向の力が加わると容易に巻線の位置ずれが発生するという問題があった。
上記のような問題を解決するために、トロイダル型コアの表面に形成された絶縁層の少なくとも外周の所定位置に、コイルの巻線の巻回位置を位置決めする位置決め溝を備え、巻線をトロイダル型コアに巻回する際はこのコイル位置決め溝に巻線を位置決めしながら巻回することによって、簡単に巻線の整列巻きが行える技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、上記特許文献1では、位置決め溝は巻線を巻回する際の巻回位置を決めるものであって、巻線が動かないように固定するものではない。従って、トロイダル型コアに巻線を巻回する際は、巻線の巻始め位置を作業者が指で押さえて固定しながら巻回作業を行う、あるいは、機械巻きの際は治具等で巻始め位置を固定して巻回作業を行う必要があり、作業が煩わしいものとなっていた。また、整列巻きしたコイルに円周方向の力が加わった際に巻線の位置ずれを防止できるものではなかった。
本発明は以上述べた問題点を解決し、トロイダル型コアにコイルの巻線を巻回する際の作業性を改善し、巻線の整列巻きをより簡便にかつ確実に行え、また、コイル形成後の巻線の位置ずれを抑制できるトロイダル型コイルを提供することを目的とする。
上記した課題を解決するために、本発明のトロイダル型コイルでは、トロイダル型コアの表面あるいはトロイダル型コアを被覆する状態で形成されたコアケースの表面に、コイルを形成する巻線の巻回位置を位置決めするための複数の位置決め溝を備えている。そして、複数の溝のうち少なくとも巻線の巻始め位置に対応する1箇所の溝が、巻線を保持することができる形状とした固定部となっている。また、巻線の巻始め位置に対応する固定部に加えて、トロイダル型コアの表面あるいはトロイダル型コアを被覆する状態で形成されたコアケースの表面に複数の固定部を配置している。
上記のように構成した本発明のトロイダル型コイルでは、巻線の巻始め位置を固定部に保持して巻線の巻回が行える。これにより、作業者の指もしくは治具を用いて巻線の巻始め位置を押さえる必要がなくなって作業が簡便となるとともに、巻線を固定部に保持し巻線が動かないようにして巻回を行えるのでより確実に巻線の整列巻きが行える。また、固定部を複数個所に設けることにより、コイルに円周方向の力が加わって巻線が位置ずれを起こしても、固定部に保持された巻線で位置ずれがストップするため、巻線の位置ずれに起因する性能の変化を最小限に抑えることができる。
以下、本発明の実施の形態を、添付図面に基づいて詳細に説明する。実施例としては、空気調和機のインバータ回路やノイズフィルタ等に使用されるトロイダル型コイルを例に挙げて説明する。尚、本発明は以下の実施形態に限定されることはなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々変形することが可能である。
図1は、本実施例によるトロイダル型コア1の外観図であり、(A)は上面図、(B)は側面図である。また、図2は、コア2、コアケース3およびスペーサ5を説明する図面であり、(A)は上面図、(B)は図1(B)のC−Cにおける要部断面図である。図1および図2に示すように、本発明によるトロイダル型コイル1は、コア2、コアケース3、コイル4、スペーサ5、リード線6、耐熱チューブ7、端子8、ハウジング9および中継端子10を備えて構成される。
コア2は、軟磁性材料(例えば、鉄、ケイ素鋼、パーマロイ、アモルファス等)や強磁性材料(例えば、アルニコ、フェライト、ネオジウム等)といった磁性材料を適宜選択し、トロイダル形状(ドーナツ形)に形成されている。
コアケース3は、耐熱性を有する樹脂材を用いて射出成形等により形成されており、上ケース3aと下ケース3bとで構成されている。上ケース3aと下ケース3bとは、共に外形部が略円筒状で内形部にはドーナツ状の空洞部を備えており、内部にコア2を格納した後、接着剤等により相互に接合される。
尚、下ケース3bには、取付穴3cを備えた取付部3dが等間隔(例えば、120°間隔)で3箇所に設けられており、トロイダル型コイル1を電気機器へ設置する際は、取付穴3cを介して電気機器へねじ止め固定する。
尚、下ケース3bには、取付穴3cを備えた取付部3dが等間隔(例えば、120°間隔)で3箇所に設けられており、トロイダル型コイル1を電気機器へ設置する際は、取付穴3cを介して電気機器へねじ止め固定する。
コイル4は、銅等の導電材料の表面にポリウレタン等の耐熱性を有する絶縁被覆を備えた巻線4aを所定の巻き回数でコアケース3に螺旋状に巻回して形成されている。巻線4aは、断面が略円形状であり、その線径やコアケース3への巻き回数はトロイダル型コイル1に所望される定格電流や直流重畳インダクタンス等といった電気的特性を満足するように決定される。
スペーサ5は、耐熱性を有する樹脂材を用いて略直方体形状に形成されている。図2(B)に示すように、スペーサ5は、コア2に設けられた図示しないギャップに挿入され、コア2の磁気飽和特性を調整するとともに、ギャップで発生する磁気吸引力に起因した騒音を低減する。
リード線6は、銅等の導電材料の表面に塩化ビニル等の絶縁被覆を備えたものであり、一端が中継端子10を介してコイル4の巻線4aの端末と電気的に接続されている。また、リード線6の他端は、雌型の端子8と電気的に接続されている。端子8は、トロイダル型コイル1が設置される電気機器に備えられた図示しない電源基板等に設けられた雄型の端子に嵌合する形状とされている。
端子8には、樹脂材で形成されたハウジング9が端子8を覆うよう設けられている。ハウジング9には、嵌合相手である雄型端子から端子8を引き抜く際に、ハウジング9に力を加えることで端子8に設けられている抜け防止用ロック機構を解除する機能、所謂ポジティブロック機能が備えられている。
耐熱チューブ7は、シリコンガラスやシリカガラス等の耐熱材料で略円筒状に形成されている。耐熱チューブ7は、巻線4aの引き出し部(コアケース3のドーナツ状空洞部)から端子8の方向に向かって中継端子10の少し先のリード線6の一部までを覆うように配置されている。これにより、耐熱チューブ7は、巻線4aやリード線6を熱から保護するとともに中継端子10の絶縁を確保している。
次に、図2および図4を用いてコアケース3の形状について詳細に説明する。図2(A)および(B)に示すように、上ケース3aおよび下ケース3bの外周部には、巻線4aをコアケース3に巻回してコイル4を形成する際に、巻線4aの位置決めを行うための位置決め溝3eが複数設けられている。
図2(A)および(B)に示すように、位置決め溝3eは、取付部3d間に等間隔で配置されており、その数や間隔はコイル4の巻き回数や巻回ピッチに対応している。位置決め溝3eは半円より小さい(短い)円弧形状であり、図4(B)に示すように、その大きさは、巻線4aの半径をr、位置決め溝3gの円弧の半径をRとすれば、位置決め溝3eの円弧の半径Rは巻線4aの半径r以上と規定される。また、図4(B)に示すように、隣り合う位置決め溝3eの間隔Pは巻線4aの半径rの2倍である2r以上と規定される。
また、位置決め溝3eのうち所定の箇所は、例えば図2(B)に示すように、スペーサ5近傍の取付部3dの両脇に配置された2個の位置決め溝3eを固定部3fとしており、固定部3fがコイル4の巻線4aの巻始め位置および巻終わり位置となる。
図2(A)および(B)に示すように、固定部3fは固定溝3gと固定片3hとで構成されている。固定溝3gの形状は半円より大きい(長い)円弧形状であり、円弧の半径は位置決め溝3gの半径Rと同じとされている。また、固定片3hは上記した固定溝3gの一部、詳しくは上ケース3aおよび下ケース3bの外周部から半径方向に外側にはみ出す固定溝3gの一部を形成している。
尚、位置決め溝3eと固定溝3gは半径方向の位置が同じとなるよう、つまり、位置決め溝3eや固定溝3gを形成する円弧の中心点が同心円上に存在するよう配置されている。これにより、図2(B)に示すように、上ケース3aや下ケース3bの成形肉厚を厚くしたりコア2の外径を小さくする必要なく固定溝3gを設けることができる。
次に、図3および図4を用いて、本実施例によるトロイダル型コア1において巻線4aをコアケース3に巻回してコイル4を形成する手順および固定部3fや位置決め溝3eによる効果について説明する。
図3は、巻線4aの巻回方法(手順)を説明する図であり、図4は、巻線4aの巻回状態を説明する図面である。
図3は、巻線4aの巻回方法(手順)を説明する図であり、図4は、巻線4aの巻回状態を説明する図面である。
巻線4aをコアケース3に巻始める際は、図3(A)に示すように、巻線4aをコアケース3の下側(下ケース3b側)からドーナツ状の空洞部に通し、コアケース3の上側(上ケース3a側)に導出した後、巻始め位置Sである固定部3fの固定溝3gに巻線4aを嵌め込んで巻線4aを固定部3fに保持する。
固定溝3gの形状は、巻線4aの線径より少し大きい直径の円弧形状で、かつ半円より大きい(長い)円弧形状とされているため、図4(B)に示すように、固定部3hで形成される固定溝3gの端部の寸法Yは、巻線4aの直径寸法Xよりも小さくなっている。
固定溝3gの端部の寸法Xは巻線4aの直径寸法Y(=2r)よりも小さくなっているため、巻線4aに図4(B)の矢印Zで示す方向へ力が加わっても、巻線4aの動きを固定片3hが規制する。従って、図3(A)および(B)に示すような手順で、巻線4aの巻回作業を進めていく際に巻線4aの巻始め位置を作業者が指で押さえたり治具を用いて押さえなくても巻線4aが動くことがなく、巻線4aの巻回作業が簡便となる。
尚、図3(A)では巻線4aの巻始め位置Sを図面下側の固定部3fとしているが、図面上側の固定部3fとしてもよい。また、固定部3fへの巻線4aの嵌め込みは、巻線4aを固定溝3gの上から下へ貫通させるように通して行ってもよく、また、図4(B)の矢印Zと反対方向から固定片3hを弾性変形させて巻線4aを固定溝3gに嵌め込んでもよい。
巻線4aを巻始め位置Sの固定部3fに保持した後は、図3(A)および(B)に示すように、巻線4aをコアケース3の外周部からコアケース3の下側、ドーナツ状の空洞部、コアケース3の上側、の順に時計回りで順次巻回していく。この際、巻線4aを位置決め溝3eに位置決めしながら巻回することで、巻線4aの整列巻きが簡単に行えるとともに、上述した固定部3fによる効果で巻線4aの巻始め位置Sでの動きが規制されているので、より確実な整列巻きが行える。
巻線4aの巻回作業の最終段階では、図3(C)に示すように、巻終わり位置Eであるもう一方の固定部3f(図面上側の固定部3f)に巻線4aを挿入して保持する。そして、巻線4aをコアケース3の下側からドーナツ状の空洞部を介してコアケース3の上側に導出する。この後、巻線4aの巻始め側と巻終わり側の端末を中継端子10を介してリード線6に接続しコイル4の形成が完了する。
以上のように巻線4aの巻回作業を行った結果、図4(A)に示すように、巻線4aは位置決め溝3eに沿って正確に整列巻きされる。また、巻線4aが、巻始め位置Sと巻終わり位置Eの2箇所で固定部3fによって動きが規制されているので、例えば、トロイダル型コア1の設置時にリード線6に力が加わることによって、図3(C)に示す巻始め位置Sや巻終わり位置Eで図4(B)に示す矢印Zの方向に巻線4aが動くように力が加わっても、固定部3fの働きによって矢印Zの方向への巻線4aの動きを規制でき、巻線4aのコアケース3に対する巻きゆるみを抑制できる。これらの効果によって、巻線4aの位置ずれを最小限に抑えることができ巻線4aの位置ずれに起因する性能の変化を最小限とすることができる。
以上説明した実施例では、巻線4aの固定部3fを巻線4aの巻始め位置Sと巻終わり位置Eにそれぞれ対応する2箇所に設けた場合について説明したが、これに限るものではなく、例えば、図5(A)に示すように、固定部3fを巻線4aの巻始め位置のみに設けて巻回作業が容易に行えるようにしてもよい。
また、図5(B)に示すように、固定部3fを巻線4aの巻始め位置Sと巻終わり位置Eにそれぞれ対応する2箇所に設けることに加えて、所定の箇所に複数の固定部3fを設けてもよい。固定部3fを複数個所に設けることによって、コイル4自体に円周方向の力が加わって巻線4aが位置ずれを起こした場合でも、固定部3fで位置ずれがストップするので、巻線4aの位置ずれに起因する性能の変化を最小限とすることができる。
次に、本発明によるトロイダル型コイルの第2の実施例について説明する。尚、本実施例では、トロイダル型コイルの構成や巻線の巻回方法および巻線の位置決め溝や固定部による効果については、第1の実施例と同じであるため詳細な説明を省略する。第1の実施例と異なるのは、コアの構成である。
図6は、第2の実施例におけるコア30を説明する図面であり、(A)は上面図、(B)は(A)における要部断面図である。第1の実施例では、図1および図2で説明したようにコア2とコアケース3とスペーサ5とを備えていたが、図6に示すコア30は、金属粉等を含有した軟磁性複合材料、所謂ダストコア材料を使用してコア30を成形することで、第1の実施例におけるコア2とコアケース3とを一体的に形成し、スペーサ5を省略している。
尚、以下の説明では、上述したコア30以外の構成部材については、第1の実施例で説明したトロイダル型コイル1と同様であるため、図1や図2に記載した部材名称とその番号を適宜用いて説明を進める。コア30には、図6に示すように、取付穴30cを備えた取付部30dが等間隔(例えば、120°間隔)で3箇所に設けられており、トロイダル型コイル1を電気機器へ設置する際は、取付穴30cを介して電気機器へねじ止め固定する。
コア30は、その外周部に巻線4aをコア30に巻回してコイル4を形成する際に、巻線4aの位置決めを行うための位置決め溝30eが複数設けられている。図6(A)および(B)に示すように、位置決め溝30eは、取付部30d間に等間隔で配置されており、その数や間隔はコイル4の巻き回数や巻回ピッチに対応している。位置決め溝30eは半円より小さい(短い)円弧形状であり、位置決め溝30eの大きさおよび隣り合う位置決め溝30eの間隔は、第1の実施例で説明した位置決め溝3eと同じく、半径がRで間隔はPとされている(図4(B)を参照)。
また、位置決め溝30eのうち所定の箇所は、例えば具体的には図6(A)に示すように、図面右側の取付部30dの両脇に配置された2個の位置決め溝30eを固定部30fとしており、固定部30fがコイル4の巻線4aの巻始め位置および巻終わり位置となる。
図6(A)または(B)に示すように、固定部30fは固定溝30gと固定片30hとで構成されている。固定溝30gの形状は半円より大きい(長い)円弧形状であり、円弧の半径は位置決め溝30gの半径Rと同じとされている。また、固定片30hは上記した固定溝30gの一部、詳しくはコア30の外周部から半径方向に外側にはみ出す部分を形成している。
図6(A)または(B)に示すように、位置決め溝30eと固定溝30gは半径方向の位置が同じとなるよう、つまり、位置決め溝30eや固定溝30gを形成する円弧の中心点が同心円上に存在するよう配置されている。尚、本実施例では、コア30は軟磁性複合材料を用いた成形によって形成されているため、第1の実施例のようにコアケース3の内部にコア2を格納することによるコアケース3の肉厚を考慮する必要がないため、固定溝30gの半径方向の位置を位置決め溝30eと揃える必要はなく、図7に示す固定部30jのように、固定溝30kをコア30の半径方向の内側にずらして配置してもよい。
以上説明したコア30を備えたトロイダル型コイル1に巻線4aの巻回作業を行えば、第1の実施例と同様に、巻線4aの整列巻きが簡便かつ正確に行えるとともに、固定部30fの働きによって巻線4aの位置ずれを最小限に抑えることができ、巻線4aの位置ずれに起因する性能の変化を最小限とすることができる。
これに加えて、第2の実施例では、軟磁性複合材料を用いた成形によってコア30を形成しているので、第1の実施例におけるコア2とコアケース3とスペーサ5とを、コア30として一体成形していることにより部品点数を削減することができ、より安価なトロイダル型コイル1とすることができる。
以上説明した実施例では、巻線4aの固定部30fを巻線4aの巻始め位置と巻終わり位置にそれぞれ対応する2箇所に設けた場合について説明したが、これに限るものではなく、例えば、第1の実施例で図5(A)を用いて説明したように、固定部30fを巻線4aの巻始め位置のみに設けて巻回作業が容易に行えるようにしてもよい。
また、固定部30fを巻線4aの巻始め位置と巻終わり位置にそれぞれ対応する2箇所に設けることに加えて、所定の箇所に複数の固定部30fを設けてもよい。固定部30fを複数個所に設けることによって、コイル4自体に円周方向の力が加わって巻線4aが位置ずれを起こした場合でも、固定部30fで位置ずれがストップするので、巻線4aの位置ずれに起因する性能の変化を最小限とすることができる。
以上説明した通り、本発明のトロイダル型コイルでは、巻線の巻始め位置を固定部に保持して巻線の巻回が行える。これにより、作業者の指もしくは治具を用いて巻線の巻始め位置を押さえる必要がなくなって作業が簡便となるとともに、巻線を固定部に保持し巻線が動かないようにして巻回を行えるのでより確実に巻線の整列巻きが行える。また、固定部を複数個所に設けることにより、コイルに円周方向の力が加わって巻線が位置ずれを起こしても、固定部に保持された巻線で位置ずれがストップするため、巻線の位置ずれに起因する性能の変化を最小限に抑えることができる。
尚、以上説明した実施例では、コアケース3あるいはコア30の外周部に位置決め溝を設ける場合について説明したが、これに限るものではなく、固定部のみを外周部に設けて位置決め溝は内周部に設けてもよい。また、位置決め溝を外周部と内周部の両方に設けてもよい。あるいは、コアケース3あるいはコア30の上下面にも位置決め溝を設けてもよい。
また、位置決め溝の形状は、巻線の線径に対応した半径の円弧形状である場合について説明したが、円弧形状の代わりに、三角形状や四角形状等でコアケース3あるいはコア30の外周部から半径方向に内側に凹となっている形状で、巻線の位置決めができる寸法(深さ)であればよい。
1 トロイダル型コイル
2 コア
3 コアケース
3a 上ケース
3b 下ケース
3c、30c 取付穴
3d、30d 取付部
3e、30e 位置決め溝
3f、30f 固定部
3g、30g 固定溝
3h、30h 固定片
30j 固定部
30k 固定溝
4 コイル
4a 巻線
5 スペーサ
6 リード線
7 耐熱チューブ
8 端子
9 ハウジング
10 中継端子
30 コア
S 巻始め位置
E 巻終わり位置
D 巻き方向
r 巻線の半径
R 位置決め溝および固定溝の円弧の半径
P 位置決め溝の間隔
X 巻線の直径寸法
Y 固定溝の端部の寸法
2 コア
3 コアケース
3a 上ケース
3b 下ケース
3c、30c 取付穴
3d、30d 取付部
3e、30e 位置決め溝
3f、30f 固定部
3g、30g 固定溝
3h、30h 固定片
30j 固定部
30k 固定溝
4 コイル
4a 巻線
5 スペーサ
6 リード線
7 耐熱チューブ
8 端子
9 ハウジング
10 中継端子
30 コア
S 巻始め位置
E 巻終わり位置
D 巻き方向
r 巻線の半径
R 位置決め溝および固定溝の円弧の半径
P 位置決め溝の間隔
X 巻線の直径寸法
Y 固定溝の端部の寸法
Claims (6)
- 磁性材料からなるトロイダル型コアと、同トロイダル型コアを被覆する状態で形成されたコアケースと、同コアケースに巻線を所定回数巻回してなるコイルとを備えたトロイダル型コイルであって、
前記コアケースの表面には、前記巻線の巻回位置を位置決めする複数の位置決め溝と、少なくとも前記巻線の巻始め位置に前記巻線を保持する固定部とを設けたことを特徴とするトロイダル型コイル。 - 前記位置決め溝は、半円以下の長さの円弧形状であり、前記位置決め溝の円弧の中心点と前記固定溝の円弧の中心点とは同心円上に位置することを特徴とする請求項1に記載のトロイダル型コイル。
- 前記固定部を複数設けたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のトロイダル型コイル。
- 磁性材料からなるトロイダル型コアと、同トロイダル型コアに巻線を所定回数巻回してなるコイルとを備えたトロイダル型コイルであって、
前記トロイダル型コアの表面には、前記巻線の巻回位置を位置決めする複数の位置決め溝と、少なくとも前記巻線の巻始め位置に前記巻線を保持する固定部とを設けたことを特徴とするトロイダル型コイル。 - 前記位置決め溝は、半円以下の長さの円弧形状であり、前記位置決め溝の円弧の中心点と前記固定溝の円弧の中心点とは同心円上に位置することを特徴とする請求項4に記載のトロイダル型コイル。
- 前記固定部を複数設けたことを特徴とする請求項4または請求項5に記載のトロイダル型コイル。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2010237448A JP2012089791A (ja) | 2010-10-22 | 2010-10-22 | トロイダル型コイル |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2010237448A JP2012089791A (ja) | 2010-10-22 | 2010-10-22 | トロイダル型コイル |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2012089791A true JP2012089791A (ja) | 2012-05-10 |
Family
ID=46261059
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2010237448A Pending JP2012089791A (ja) | 2010-10-22 | 2010-10-22 | トロイダル型コイル |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2012089791A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2017034002A (ja) * | 2015-07-29 | 2017-02-09 | 株式会社タムラ製作所 | インダクタ |
JP2017034001A (ja) * | 2015-07-29 | 2017-02-09 | 株式会社タムラ製作所 | インダクタ |
JP2017191925A (ja) * | 2016-04-12 | 2017-10-19 | センチュリーイノヴェーション株式会社 | コイル部品及びその製造方法 |
-
2010
- 2010-10-22 JP JP2010237448A patent/JP2012089791A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2017034002A (ja) * | 2015-07-29 | 2017-02-09 | 株式会社タムラ製作所 | インダクタ |
JP2017034001A (ja) * | 2015-07-29 | 2017-02-09 | 株式会社タムラ製作所 | インダクタ |
JP2017191925A (ja) * | 2016-04-12 | 2017-10-19 | センチュリーイノヴェーション株式会社 | コイル部品及びその製造方法 |
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