JP2012087339A - レーザー切断性に優れた鋼板およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】質量%で、特定量のC、Si、Mn、P、S、Al、N、O、下式によるPoが−5〜25、必要に応じて、Cu、Ni、Cr、Mo、Nb、V、Ti、B、REM、Ca、Mgの1種以上を含有し、残部Feおよび不可避的不純物の組成を有し、スケール層の平均厚さが10μm以下であり、スケール層中にマグネタイトが60mass%以上含まれ、より好ましくはスケール厚の標準偏差が4.0μm以下の鋼板。上記鋼組成からなる鋳片または鋼片を、1000〜1200℃に再加熱後、650〜850℃で終了する熱間圧延を実施し、950℃〜圧延終了温度の間の圧延パス中において、鋼板表裏面に水を噴射してデスケーリングを5回以上かつデスケーリングのパス間時間を10〜50秒で実施する。Po=(2.9Si−0.2Mn+0.7Al)×(O−0.0023)2×107 (ここで、Si、Mn、Al、およびOは含有量(mass%))
【選択図】なし
Description
1.mass%で、C:0.03〜0.20%、Si:0.01〜0.60%、 Mn:0.1〜2.5%、P:0.016〜0.050%、S:0.01%以下、Al:0.07%以下、N:0.01%以下、O:0.0005〜0.0050%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる組成を有する鋼板において、下式で示されるPoが−5〜25で、鋼板表面のスケール層の平均厚さが10μm以下であり、スケール層中にマグネタイトが60mass%以上含まれることを特徴とするレーザー切断性に優れた鋼板。
(ここで、Si、Mn、Al、およびOは含有量(mass%))
2.鋼板の成分組成に、mass%でさらに、Cu:1.5%以下、Ni:2.0%以下、Cr:1.0%以下、Mo:1.0%以下、Nb:0.1%以下、V:0.1%以下、Ti:0.03%以下、B:0.005%以下の1種または2種以上を含有することを特徴とする1記載のレーザー切断性に優れた鋼板。
3.鋼板の成分組成に、mass%でさらに、REM:0.008%以下、Ca:0.005%以下、Mg:0.005%以下の1種または2種以上を含有することを特徴とする1または2記載のレーザー切断性に優れた鋼板。
4.鋼板表面のスケール層厚さの標準偏差が4.0μm以下となることを特徴とする1〜3記載のレーザー切断性に優れた鋼板。
5.1乃至3のいずれか一つに記載した鋼組成からなる鋳片または鋼片を、1000〜1200℃に再加熱後、650〜850℃で終了する熱間圧延を実施し、950℃〜圧延終了温度の間の圧延パス中において、鋼板表裏面に水を噴射してデスケーリングを5回以上かつデスケーリングのパス間時間を10〜50秒で実施することを特徴とするレーザー切断性に優れた鋼板の製造方法。
6.950℃〜圧延終了温度の間の圧延パス中に、熱間圧延機に鋼板を通過させながら鋼板の上下面をそれぞれ4m3 /m2 min以上の水量密度で加速冷却を1回または2回以上実施することを特徴とする5記載のレーザー切断性に優れた鋼板の製造方法。
[スケールの形態]
鋼板表面のスケール層の平均厚さが10μm以下であり、スケール層中にマグネタイトが60%以上含まれるスケール組成とする。
本発明では、1..熱間圧延前、熱間圧延途中および熱間圧延後に生成、成長するスケールを熱間圧延時のデスケーリングで剥離しやすく、且つその成長を抑制し、2.レーザ切断時にはスケールと地鉄の密着性が高くなるように、鋼板の成分組成を規定する。なお、説明において%はmass%とする。
Cは、鋼の強度を増加させ、構造用鋼材として必要な強度を確保するために必要な元素で、その効果を得るため0.03%以上の含有を必要とする。一方、0.20%を超える含有は、靭性を劣化させるとともに、溶接性が低下する。このため、0.03〜0.20%の範囲に限定する。好ましくは、0.04〜0.18%である。
Siは、脱酸材として作用し、製鋼上必要であるだけでなく、スケールと地鉄の界面に濃化して、スケールの密着性を低下させる。これによりデスケーリングの際のスケールの剥離性が向上する。
Mnは、鋼の焼入れ性を増加させる効果を有し、母材の強度を確保するために0.1%以上の含有が必要である。一方、2.5%を超えて含有すると、母材の靭性、延性および溶接性が著しく劣化するため、0.1〜2.5%の範囲に限定する。好ましくは、0.2〜2.0%である。
Pは、微量の添加でも、スケールと地鉄の界面に濃化して、スケールの密着性を低下させる。これによりデスケーリングの際のスケールの剥離性が向上する。
このような効果は、特に650〜950℃という高温域で顕著であり、この温度域でデスケーリングをすると、圧延前および圧延中に生成したスケールを効果的に除去することができる。
Sは、母材の低温靭性や延性を劣化させるため、0.01%を上限として低減することが望ましい。
Alは、脱酸剤として作用し、鋼板の溶鋼脱酸プロセスに於いてもっとも汎用的に使われる。また、鋼中のNをAlNとして固定し、母材および溶接部の靭性向上に寄与する。一方、0.07%を超えて含有すると、母材の靭性が低下するとともに、溶接時に溶接金属部に混入して溶接金属の靭性を劣化させるようになるため、0.07%以下に限定する。
Nは、不可避的不純物として鋼中に含まれ、0.01%を超えて含有すると、母材および溶接部靭性が著しく低下するため、0.01%以下に限定する。
Oは不可避的不純物として含有され,鋼中では酸化物として存在する。レーザー切断中は、加熱段階において母材とともに酸化物が溶融するものの、冷却過程で溶鋼中にAlやSiなどの酸化物として再晶出し、溶鋼の粘性を低下させることにより、レーザー切断性を向上させる効果を有する。このような効果を得るためには、0.0005%以上の含有を必要とする。一方、0.0050%を超えると鋼中に存在する酸化物が粗大化して,清浄度を低下させ、母材の靭性に悪影響を及ぼすため、0.0005〜0.0050%の範囲に限定する。
本パラメータ式Poは本発明鋼の溶鋼の粘性を低下させてレーザ切断性に優れる特性を付与するためのもので、−5〜25とする。
Cu、Ni、Cr、Mo、Nb、V、Ti、Bは、いずれも鋼の強度向上に寄与する元素であり、所望する強度に応じて適宜含有できる。
REM、CaおよびMgは、いずれも靭性向上に寄与し、所望する特性に応じて選択して添加する。REMを添加する場合は、0.002%以上とすることが好ましいが、0.02%を超えても効果が飽和するため、0.008%を上限とする。
上記した成分以外の残部は、Feおよび不可避的不純物である。
上述した組成の鋳片または鋼片の鋼素材を転炉、電気炉、真空溶解炉等、通常公知の方法による溶鋼から作成し、1000℃〜1250℃に再加熱する。再加熱温度が1000℃未満では、熱間圧延での変形抵抗が高く、1パス当たりの圧下量が大きく取れなくなることから、圧延パス数が増加し、圧延能率の低下を招くとともに、鋼素材(スラブ)中の鋳造欠陥を圧着することができない場合が生じる。一方、再加熱温度が1250℃を超えると、加熱時のスケールによって表面疵が生じやすく、圧延後の手入れ負荷が増大するとともに、結晶粒が粗大化して所望のミクロ組織が得られず、局部伸びの低下を介して全伸びが低下するため、1000〜1250℃の範囲とする。
熱間圧延の終了温度が850℃を超えるとスケールにブリスターが発生するだけでなく、圧延終了後の冷却過程でスケールが過度に成長するために所望のスケール形態(スケール厚さ、スケール組成)およびスケール厚の標準偏差を得られない。一方、圧延終了温度が650℃より低いと、変形抵抗が高くなりすぎて、圧延荷重が増大し、圧延機への負担が大きくなる.また、圧延温度を低下させるためには、圧延途中で待機する必要があり、生産性を大きく阻害するだけでなく、待機中にスケールが過度に成長するために所望のスケール形態(スケール厚さおよびスケール組成)を得られない。さらには、鋼板中に蓄積される歪が大きくなるため、レーザー切断中に鋼板が変形し、切断精度の低下を招いたり、切断が途中で停止することが問題となる。このため、650〜850℃の範囲とする。
所望のスケール形態(スケール厚さ、スケール組成)およびスケール厚の標準偏差を安定して達成するためには、本発明では、圧延中のデスケーリングの回数およびパス間時間を厳格に管理することが重要である。デスケーリングの回数が5回より少ないと、圧延中に生成、成長するスケールの剥離が不十分となり所望のスケール形態(スケール厚さ、スケール組成)およびスケール厚の標準偏差を得られない。
レーザー切断性は、6kWの炭酸ガスレーザーを用いて切断し、切断後の鋼板断面におけるノッチの有無、および鋼板裏面でのドロスの付着有無を評価した。なお、酸素圧力0.3kgf/cm2、レーザー切断速度は1100mm/min.、切断長500mmとした。
発明例(鋼No.1−1、1−2、2、3、4、5、6)は、スケールの平均厚さ10μm以下、スケール層中に含まれるマグネタイトの体積分率が60%以上を有し、またレーザー切断中の溶鋼の粘性も低く、レーザー切断性が極めて良好であった。
Claims (6)
- mass%で、C:0.03〜0.20%、Si:0.01〜0.60%、 Mn:0.1〜2.5%、P:0.016〜0.050%、S:0.01%以下、Al:0.07%以下、N:0.01%以下、O:0.0005〜0.0050%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる組成を有する鋼板において、下式で示されるPoが−5〜25で、鋼板表面のスケール層の平均厚さが10μm以下であり、スケール層中にマグネタイトが60mass%以上含まれることを特徴とするレーザー切断性に優れた鋼板。
Po=(2.9Si−0.2Mn+0.7Al)×(O−0.0023)2×107
(ここで、Si、Mn、Al、およびOは含有量(mass%)) - 鋼板の成分組成に、mass%でさらに、Cu:1.5%以下、Ni:2.0%以下、Cr:1.0%以下、Mo:1.0%以下、Nb:0.1%以下、V:0.1%以下、Ti:0.03%以下、B:0.005%以下の1種又は2種以上を含有することを特徴とする請求項1記載のレーザー切断性に優れた鋼板。
- 鋼板の成分組成に、mass%でさらに、REM:0.008%以下、Ca:0.005%以下、Mg:0.005%以下の1種又は2種以上を含有することを特徴とする請求項1または2記載のレーザー切断性に優れた鋼板。
- 鋼板表面のスケール層厚さの標準偏差が4.0μm以下となることを特徴とする請求項1〜3に記載のレーザー切断性に優れた鋼板。
- 請求項1乃至3のいずれか一つに記載した成分組成からなる鋳片または鋼片を、1000〜1200℃に再加熱後、650〜850℃で終了する熱間圧延を実施し、950℃〜圧延終了温度の間の圧延パス中において、鋼板表裏面に水を噴射してデスケーリングを5回以上かつデスケーリングのパス間時間を10〜50秒で実施することを特徴とするレーザー切断性に優れた鋼板の製造方法。
- 950℃〜圧延終了温度の間の圧延パス中に、熱間圧延機に鋼板を通過させながら鋼板の上下面をそれぞれ4m3 /m2 min以上の水量密度で加速冷却を1回または2回以上実施することを特徴とする請求項5に記載のレーザー切断性に優れた鋼板の製造方法。
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