JP2012087220A - 半導体ナノ粒子蛍光体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の半導体ナノ粒子蛍光体は、In1-xGaxA(x≧0、AはNもしくはP)からなるナノ粒子コアと、該ナノ粒子コアを被覆する積層構造シェルとを備え、該積層構造シェルは、2以上のシェル層を積層した構造であり、ナノ粒子コアからn層目のシェル層の組成はIn1-xnGaxnA(xn≧0、AはNもしくはP)であり、ナノ粒子コアからn層目のシェル層のガリウムの原子比をxnとし、ナノ粒子コアから(n+1)層目のシェル層のガリウムの原子比をxn+1とすると、x<xn<xn+1を満たすことを特徴とする。
【選択図】図1
Description
図1は、本発明の半導体ナノ粒子蛍光体の基本構造を示す模式的な断面図である。本発明の半導体ナノ粒子蛍光体10は、図1に示されるように、In1-xGaxA(x≧0、AはNもしくはP)からなるナノ粒子コア11と、該ナノ粒子コア11を被覆する積層構造シェル12とを備え、該積層構造シェル12は、2以上のシェル層を積層した構造であり、ナノ粒子コア11からn層目のシェル層の組成はIn1-xnGaxnA(xn≧0、AはNもしくはP)であり、ナノ粒子コア11からn層目のシェル層のガリウムの原子比をxnとし、ナノ粒子コア11から(n+1)層目のシェル層のガリウムの原子比をxn+1とすると、x<xn<xn+1を満たすことを特徴とする。
本発明において、ナノ粒子コア11は、積層構造シェル12を結晶成長させる時に成長の核となる。すなわち、ナノ粒子コア11の表面には、未結合手を有する13族元素および15族元素が配列しており、その未結合手に積層構造シェル12の第1層目の第1シェル層1の原料となる元素が結合する。
ここで、式(1)中の各記号はそれぞれ、y:ボーア半径、ε:誘電率、h:プランク定数、m:有効質量、e:電荷素量である。この数式に基づいてボーア半径を算出すると、GaNのボーア半径は、3nm程度であり、InNのボーア半径は7nm程度である。
本発明において、積層構造シェル12は、2以上のシェル層を積層した構造のものである。かかる積層構造シェル12は、ナノ粒子コア11の結晶構造を引き継いで、ナノ粒子コア11の表面に形成されるものであるため、それぞれのシェル層が互いに化学結合している。このような積層構造シェル12において、ナノ粒子コアからn層目のシェル層の組成はIn1-xnGaxnA(xn≧0、AはNもしくはP)と表される。そして、ナノ粒子コア11からn層目のシェル層のガリウムの原子比をxnとし、ナノ粒子コア11から(n+1)層目のシェル層のガリウムの原子比をxn+1とすると、x<xn<xn+1を満たすことを特徴とする。
本発明において、積層構造シェル12の外表面に修飾有機分子13が結合されてなるか、または積層構造シェル12が修飾有機分子13に被覆されてなることが好ましい。このように修飾有機分子13が半導体ナノ粒子蛍光体10の表面を被覆することにより、半導体ナノ粒子蛍光体10同士が隔離されやすくなり、分散性がよく、半導体ナノ粒子蛍光体10を応用する際に取り扱いが容易である。
本実施の形態の半導体ナノ粒子蛍光体の製造方法は、特に制限なくいかなる製造方法をも用いることができるが、簡便な手法であり、かつ低コストであるという観点から、化学合成法を用いることが好ましい。化学合成法は、生成物質の構成元素を含む複数の出発物質を媒体に分散させた上で、これらを反応させることにより目的の生成物質を得ることができる。このような化学合成法の具体例としては、ゾルゲル法(コロイド法)、ホットソープ法、逆ミセル法、ソルボサーマル法、分子プレカーサ法、水熱合成法、フラックス法等を挙げることができる。
まず、ナノ粒子コア11を液相合成する。たとえばInNからなるナノ粒子コア11を製造する場合、フラスコなどに合成溶媒として1−オクタデセンを満たし、トリス(ジメチルアミノ)インジウムと、ヘキサデシルアミン(HDA)とを混合する。この混合液を十分に攪拌した後、合成温度180〜500℃で反応を行なうことにより、InNからなるナノ粒子コア11にHDAからなる修飾有機分子が結合する。なお、修飾有機分子は、後述する積層構造シェルを成長させた後に溶液中に添加してもよい。
上述のナノ粒子コア11を含む溶液に、積層構造シェル12の最内層である第1シェル層1の原材料である反応試薬を加え、加熱反応させることによってナノ粒子コア11表面に第1シェル層1を化学的に結合させる。これによりナノ粒子コア11の表面を第1シェル層1が覆い、該第1シェル層1の表面を修飾有機分子13が被覆した構造の半導体ナノ粒子蛍光体が分散された溶液が製造される。第1シェル層1は、ナノ粒子コア11の結晶構造を引き継いで成長されるため、ナノ粒子コア11は第1シェル層1からの応力を受ける。
本実施例では、図1に示す構造の半導体ナノ粒子蛍光体をホットソープ法により作製した。具体的には、平均粒子径5nmのナノ粒子コア11に対し、表1に示す構成の積層構造シェル12を備える半導体ナノ粒子蛍光体10を作製した。なお、表1中の「格子定数」は、TEMによる格子像観察を行なうことにより確認(測定)することができる。以下において、その製造方法を具体的に説明する。
本実施例では、ナノ粒子コアの粒子径および修飾有機分子が異なる他は、実施例1と同一の構造の半導体ナノ粒子蛍光体を作製した。具体的には、平均粒子径4nmのナノ粒子コア11に対し、表1に示す構成の積層構造シェル12を備える半導体ナノ粒子蛍光体10を作製した。以下において、その製造方法を具体的に説明する。
本実施例では、ナノ粒子コアの組成および積層構造シェルの構造ならびに組成が異なる他は、実施例1と同一の方法によって半導体ナノ粒子蛍光体を作製した。具体的には、平均粒子径5nmのナノ粒子コアに対し、表1に示す構成の積層構造シェルを備える半導体ナノ粒子蛍光体を作製した。以下において、その製造方法を具体的に説明する。
本実施例では、ナノ粒子コアの組成および積層構造シェルの構造および組成が異なる他は、実施例1と同一の方法によって半導体ナノ粒子蛍光体を作製した。具体的には、平均粒子径3nmのナノ粒子コアに対し、表1に示す構成の積層構造シェルを備える半導体ナノ粒子蛍光体を作製した。以下において、その製造方法を具体的に説明する。
本実施例では、ナノ粒子コアの組成および積層構造シェルの構造および組成が異なる他は、実施例1と同一の方法によって半導体ナノ粒子蛍光体を作製した。具体的には、平均粒子径3nmのナノ粒子コアに対し、表1に示す構成の積層構造シェルを備える半導体ナノ粒子蛍光体を作製した。以下において、その製造方法を具体的に説明する。
比較例1では、平均粒子径5nmのInNからなるナノ粒子コア21の表面に積層構造シェルを被覆せずに、図2に示されるようにGaNからなるシェル層22を1層被覆したことが異なる他は、実施例1と同一の方法によって半導体ナノ粒子蛍光体20を作製した。図2は、比較例1の半導体ナノ粒子蛍光体の構造を模式的に示す断面図である。以下において、その製造方法を具体的に説明する。
実施例1〜5および比較例1で作製した半導体ナノ粒子蛍光体に対し、X線回折測定を行なった結果、このスペクトル半値幅によって見積もられた半導体ナノ粒子蛍光体の平均粒子径は、表1の「粒子径」の欄に示す結果となった。このため、実施例1〜5の半導体ナノ粒子蛍光体は、量子サイズ効果を示し、高い発光効率を有することがわかった。なお、半導体ナノ粒子蛍光体の平均粒子径の算出には、以下のScherrerの式(2)を用いた。
B=λ/cosθ・R ・・・式(2)
Claims (5)
- In1-xGaxA(x≧0、AはNもしくはP)からなるナノ粒子コアと、
前記ナノ粒子コアを被覆する積層構造シェルとを備え、
前記積層構造シェルは、2以上のシェル層を積層した構造であり、
前記ナノ粒子コアからn層目の前記シェル層の組成はIn1-xnGaxnA(xn≧0、AはNもしくはP)であり、
前記ナノ粒子コアからn層目の前記シェル層のガリウムの原子比をxnとし、前記ナノ粒子コアから(n+1)層目の前記シェル層のガリウムの原子比をxn+1とすると、x<xn<xn+1を満たす、半導体ナノ粒子蛍光体。 - 前記ナノ粒子コアは、13族窒化物半導体からなる、請求項1に記載の半導体ナノ粒子蛍光体。
- 前記ナノ粒子コアは、InNからなる、請求項2に記載の半導体ナノ粒子蛍光体。
- 前記ナノ粒子コアは、InGaNからなる、請求項2に記載の半導体ナノ粒子蛍光体。
- 前記積層構造シェルは、その外表面に修飾有機分子が結合されてなるか、または修飾有機分子に被覆されてなる、請求項1〜4のいずれかに記載の半導体ナノ粒子蛍光体。
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