JP2012086609A - 車両用シート - Google Patents

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Abstract

【課題】途中止め操作時にシートバックの前倒れ回転を前傾位置に留めるストッパ構造を、合理的かつ簡素に構成する。
【解決手段】シートバック2を前傾位置まで倒し込む途中止め操作と大倒し位置まで倒し込む大倒し操作とが可能な車両用シートであり、シートバック2はその両側部がリクライニング装置20を介して支持ベース4に連結され、その片側の側部は更にシートバック2の途中止め操作前の背凭れ角度を記憶するメモリ装置10を介して支持ベース4に連結され、メモリ装置10は互いに相対回転可能でかつ特定の一の回転位置において回転止め可能とされ途中止め操作により一方がシートバック2と共に他方に対して回転可能となる二部材(中間リング12とベース部材11)を備え、シートバック2を前傾位置に係止させるストッパ構造がベース部材11と中間リング12との間に形成されている。
【選択図】図10

Description

本発明は、車両用シートに関する。詳しくは、シートバックを前傾位置まで倒し込んで係止させる途中止め操作と、シートクッションを下方側へ沈み込ませ、その上部にシートバックを倒し込む大倒し操作とが可能な車両用シートに関する。
従来、車両用シートにおいて、いわゆるウォークイン機能とチルトダウン機能とを備えた構成が知られている(下記特許文献1参照)。前者のウォークイン機能は、シートバックを前傾姿勢に切り換えると共に、シート本体のフロアに対するスライドロック状態を解除して、シート全体を車両前方側へ退避させることにより、その後列側のシートへの乗降スペースを広げるものとなっている。後者のチルトダウン機能は、シートバックを上記前傾位置を越えた大倒し位置まで倒し込むと共に、シートクッションを下方側へ大きく沈み込ませることにより、シート全体を下方側へ小さく畳み込むものとなっている。
特開2009−154680号公報
しかし、上記従来技術では、ウォークイン操作時にシートバックの前倒れ回転を前傾位置に留めるストッパ構造が、ウォークイン操作時とチルトダウン操作時とでストッパとして機能する状態と機能しない状態とに切り替えられる切替え式の構成となっており、更に、ウォークイン操作によってシートバックを前傾させていく途中で操作の手が離されるなどの意図しない操作をされた場合にも、ストッパとして機能する状態が継続されるようにする誤動作防止構造が設けられていることにより、構造全体が複雑なものとなっている。本発明は、上記問題を解決するものとして創案されたものであって、本発明が解決しようとする課題は、ウォークイン操作(途中止め操作)時にシートバックの前倒れ回転を前傾位置に留めるストッパ構造を、合理的かつ簡素に構成することにある。
第1の発明は、シートバックを前傾位置まで倒し込んで係止させる途中止め操作と、シートクッションを下方側へ沈み込ませ、その上部にシートバックを倒し込む大倒し操作とが可能な車両用シートである。シートバックは、その両側の側部が、それぞれ、回転止め可能な回転軸装置として機能するリクライニング装置を介してフロア上に設けられた支持ベースに連結され、常時は支持ベースに対する背凭れ角度が固定された状態に保持されるが、途中止め操作或いは大倒し操作時にその背凭れ角度の固定状態が解かれるようになっている。シートクッションは、その前部が支持ベースに起倒回転可能に設けられたフロントリンクに連結され、後部が支持ベースにリンク連結されたリヤリンクに連結されている。リヤリンクは、シートバックが大倒し操作によって前傾位置を越えた大倒し位置まで倒し込まれることにより、シートバックに設けられた伝達部からの動力伝達を受けて動作し、フロントリンクを倒し込みながらシートクッションを下方側へ沈み込ませるようになっている。シートバックは、その片側の側部の支持ベースに対する連結が、シートバックの途中止め操作を行う前の背凭れ角度を記憶して途中止め操作後にシートバックを記憶した背凭れ角度位置まで戻せるように案内するメモリ装置をリクライニング装置と直列並びとなるように間に介在させた連結とされている。メモリ装置は、互いに相対回転可能な状態に組み付けられて特定の一の回転位置においてどちらか一方に設けられたフックが他方に設けられた凹部内に入り込んで係合する構成により、この特定の一の回転位置をシートバックの途中止め操作を行う前の背凭れ角度として記憶する二部材を備えた構成より成る。これら二部材は、常時は互いに係合して回転方向に一体的な状態に保持されるが、途中止め操作により互いの係合状態が外されてどちらか一方がシートバックと共に他方に対して回転可能となる構成とされている。シートバックを途中止め操作時に前傾位置に係止させるストッパ構造が、上記二部材のうちのどちらか一方に設けられた係止部に他方に設けられた被係止部に当たって係止される構成より成る。
この第1の発明によれば、シートバックを途中止め操作時に前傾位置に係止させるストッパ構造が、メモリ装置を構成する二部材間に設けられることにより、これら二部材は、大倒し操作時には互いに相対回転しないため、ストッパ機能が誤って働いてしまう誤作動を招くおそれのないものとなる。また、これら二部材は、特定の一の回転位置でのみ互いに係合する構成であるため、途中止め操作の途中で操作の手が離されても、ストッパとしての機能が阻害されないものとなる。このように、誤作動を生じさせないように機能させることのできるストッパ構造を、メモリ装置に設けることで合理的かつ簡素に構成することができる。
第2の発明は、上述した第1の発明において、メモリ装置が、シートバックに連結されたリクライニング装置と支持ベースとの間に介在して設けられ、フックが設けられる二部材のうちのどちらか一方が、支持ベースに固定されてリクライニング装置の下方側の領域部において、フックを他方に設けられた凹部内に下方側から入り込ませたり外したりする構成となっている。
この第2の発明によれば、メモリ装置がシートバック側にではなく支持ベース側に設けられて、リクライニング装置の下方側の領域部においてフックを凹部に対して下方側から入り込ませたり外したりする構成となっていることにより、シートバックに設けられる伝達部とフックとが互いに離れた配置関係となり干渉しにくくなる。したがって、障害物がなくなることで、伝達部をより自由な位置に設定することができ、伝達部の大型化を防ぐことができる。
実施例1の車両用シートの概略構成を示す側面図である。 車両用シートのアウター側部の要部拡大図である。 図2のIII-III線断面図である。 車両用シートのインナー側部の要部拡大図である。 図4のV-V線断面図である。 各操作軸と連結ロッドとの連結構造を示す分解斜視図である。 車両用シートのアウター側部の内部構造を可視化した側面図である。 ウォークインレバーを操作した状態を示すアウター側部の側面図である。 同インナー側部の側面図である。 シートバックを前傾位置まで倒し込んで係止させた状態を示すアウター側部の側面図である。 同インナー側部の側面図である。 チルトダウンレバーを操作してシートバックを大倒し位置まで倒し込んだ状態を示すアウター側部の側面図である。 同インナー側部の側面図である。
以下に、本発明を実施するための形態について、図面を用いて説明する。
始めに、実施例1の車両用シートの構成について、図1〜図13を用いて説明する。本実施例の車両用シートは、車両の助手席後ろ側の2列目シートとして構成されており、図1に示すように、シート本体1を車両前方側へ退避移動させて、その後列側の3列目シート(図示省略)への乗降スペースを広げられるようにするウォークイン機能と、シート本体1を下方側へ小さく畳み込めるように動作させるチルトダウン機能と、を備えている。前者のウォークイン機能は、シートバック2を前傾姿勢に切り換えると共に、シート本体1のフロアFに対するスライドロック状態を解除して、シート本体1全体を車両前方側へスライドさせることで、その後列側のシートへの乗降スペースを広げるものである。後者のチルトダウン機能は、シートバック2を上記前傾位置よりも更に大きく前方側へ倒し込むと共に、この動きに連動させて、シートクッション3を下方側に大きく沈み込ませ、シートバック2をこの沈み込ませたシートクッション3の上部に倒し込むことにより、シート本体1全体を下方側へ小さく畳み込むものである。
更に、上記車両用シートの紙面手前側となるアウター側部(紙面奥側がインナー側部)には、上記ウォークイン操作時に、シートバック2の前傾操作前の背凭れ角度を記憶して、ウォークイン操作後にシートバック2を元の姿勢に起こし上げる操作によって、シートバック2を元の記憶した背凭れ角度位置に戻せるようにするメモリ装置10が設けられている。このメモリ装置10の具体的な構成については後に詳しく説明することとする。
ここで、シート本体1は、背凭れとなるシートバック2と、着座部となるシートクッション3と、これらシートバック2とシートクッション3とをフロアFに対して支持する支持ベース4と、を有し、支持ベース4の下面部に設けられた左右一対のスライダ装置30を介して、フロアFに対して車両前後方向にスライド可能な状態に連結されている。上記シートバック2は、その左右両側の下端部が、それぞれ、回転止め可能な回転軸装置として機能するリクライニング装置20を介して、その両外側に配された支持ベース4の起立した面部の内側面に回転可能な状態に連結されている。
上記リクライニング装置20は、常時は回転止め状態とされて、シートバック2の背凭れ角度を固定した状態に保持されている。このリクライニング装置20の回転止め状態は、シートバック2の肩口部に設けられたウォークインレバー8やシートバック2の側部に設けられたチルトダウンレバー9の操作によって解除されるようになっている。詳しくは、両リクライニング装置20は、チルトダウンレバー9が操作された時には、その両方の回転止め状態が解除されるが、ウォークインレバー8が操作された時には、インナー側部のリクライニング装置20の回転止め状態は解除されるが、アウター側部のリクライニング装置20の回転止め状態は解除されないようになっており、代わりに、アウター側部では、後述するメモリ装置10を構成する二部材(ベース部材11と中間リング12)間の回転止め状態が解除されて、シートバック2が支持ベース4に対して前倒れ回転することができる状態に切り換えられるようになっている。
ここで、シートバック2は、支持ベース4との間に掛着された図示しないバネ部材の附勢力によって、常時は支持ベース4に対してリクライニング装置20の回転中心20Rまわりに前倒れする方向に回転附勢された状態とされている。したがって、シートバック2は、その背凭れ角度の固定状態が解かれることにより、上記附勢力によって支持ベース4に対して前倒れ回転するようになっている。
ここで、上記シートバック2の前倒れ回転は、上記ウォークインレバー8が操作されて行われる時には、図10に示すように、前述したメモリ装置10の二部材(ベース部材11と中間リング12)間の回転止め状態が解除されることで、これら二部材間に設けられたストッパ構造(係止角部12Cがストッパピン11Bに当たる構造)が機能して、その回転が同図に示す前傾位置にて係止されるようになっている。しかし、シートバック2の前倒れ回転は、チルトダウンレバー9が操作されて行われる時には、図12に示すように、上記メモリ装置10の回転止め状態は解除されず、両側のリクライニング装置20の回転止め状態が解除されることで、上記ストッパ構造が機能することなく、その回転が同図に示す大倒し位置まで行われて係止されるようになっている。
ところで、図1に戻って、シートクッション3は、その骨格を成すクッションフレーム3Fの左右両側の前部が、それぞれ、フロントリンク5によって左右両側の支持ベース4の前端部に回転可能にリンク連結されており、クッションフレーム3Fの左右両側の後端部が、それぞれ、これらに一体的に結合されたリアリンク6によって、支持ベース4に回転可能に軸連結されて設けられた被伝達板4Dの下端部に回転可能にリンク連結されている。これら被伝達板4Dは、図2及び図4に示すように、それぞれ、シート上下方向に長尺で、かつ、シート前後方向に短尺な三角形状に形成されており、そのシート前方側に突出する高さ方向の中央の角部が、それぞれ、連結軸4D1によって、各支持ベース4の前端側の側部に固定された支持ブラケット4Cに回転可能に軸連結され、シート後ろ下方側に突出する角部が、それぞれ、連結軸6Aによってリアリンク6の後端部に回転可能に軸連結されている。
また、上記各被伝達板4Dのシート前方側に突出する高さ方向の中央の角部と、シート後ろ上方側に突出する角部と、の間には、これらの間の縁部に沿って長尺状に延びる長孔4D2が形成されている。そして、これら長孔4D2の孔内には、シートバック2の骨格を成すバックフレーム2Fの側部に固設されたブラケット2Aの前下側の端部に固定された伝達ピン2A1が回転可能かつスライド可能な状態に嵌合されている。これにより、各被伝達板4Dは、上記長孔4D2内に嵌合された伝達ピン2A1を介して、シートバック2に吊持される格好でそれらの回転姿勢が保持されており、これら被伝達板4Dを介して、シートクッション3の姿勢が保持されるようになっている(図1参照)。
ここで、上記各被伝達板4Dの長孔4D2は、湾曲部4D2aと直線部4D2bとが連なる形に形成されている。湾曲部4D2aは、リクライニング装置20の回転中心20Rまわりの円弧の形に湾曲して形成されており、シートバック2が通常、背凭れとして使用される起立した姿勢状態(図2及び図4の状態)から、ウォークイン操作(途中止め操作)によって前傾位置まで倒し込まれても、伝達ピン2A1を被伝達板4Dの回転姿勢を変化させないように長孔4D2内でスライドさせられるようにする(図10及び図11参照)ものとなっている。直線部4D2bは、湾曲部4D2aの図示下端部からシート前下方向側に向かって斜め真っ直ぐに延びる形状とされており、シートバック2をチルトダウン操作(大倒し操作)によって上記前傾位置を超えた大倒し位置まで倒し込む動作によって、被伝達板4Dを連結軸4D1を中心に図示時計回り方向に回転させるように伝達ピン2A1をスライドさせるものとなっている。
上記長孔4D2の形状により、着座使用時に、シートバック2の背凭れ角度を前後方向にある程度傾動させても、被伝達板4Dの回転姿勢は変化しないため、シートクッション3の姿勢を変化させないようにシートバック2の背凭れ角度の調整を行うことができる。また、シートバック2を通常の背凭れとして使用される起立姿勢の状態(図2及び図4の状態)から、ウォークイン操作によって前傾位置まで倒し込んでも(図10及び図11参照)、この間、被伝達板4Dの回転姿勢は変化しないため、この場合にもシートクッション3の姿勢を一定状態に保つことができる。したがって、シートバック2を前傾姿勢に切り換えても、シートクッション3がシート前方側に移動することがないため、シート本体1を前方側へスライドさせる際に、シートクッション3がその前方側の障害物と当たるまでの移動許容量が多く確保されるため、シート本体1をより前方側へ大きく退避移動させられるようになる。
また、シートバック2を上記通常の背凭れとして使用される起立姿勢の状態(図2及び図4の状態)から、チルトダウン操作によって大倒し位置まで倒し込むことにより、伝達ピン2A1が長孔4D2の湾曲部4D2aの領域から直線部4D2bの領域内に入って、被伝達板4Dが連結軸4D1を中心に図示時計回り方向に回される。これにより、図12及び図13に示すように、被伝達板4Dの下端部に連結されているリアリンク6がシート前方側へと押し出されて、シートクッション3がフロントリンク5(図1参照)を前倒れ回転させながら前方かつ下方側へと沈められる。
以下、上記ウォークインレバー8やチルトダウンレバー9の操作によって、シートバック2を前傾位置まで倒し込んで係止させたり、大倒し位置まで倒し込んで係止させたりする機構、及び前傾位置まで倒し込んだシートバック2を、前傾操作前の記憶した背凭れ角度位置まで戻せるようにするメモリ装置10の構成について詳しく説明する。先ず、メモリ装置10の構成について説明する。メモリ装置10は、図7及び図3に示すように、ベース部材11と、中間リング12と、フック13と、カム体14と、を有する。
上記ベース部材11は、板状の部材により形成され、前述した支持ベース4のインナー側面に板面が向かい合わされた状態で設けられて、支持ベース4に一体に固定されている。このベース部材11には、後述する中間リング12の円筒部12Aを相対回転可能な状態に嵌合させるための正円孔11Aと、ウォークイン操作時にシートバック2を前傾位置に係止させるためのストッパピン11Bと、が設けられている。前者の正円孔11Aは、前述したリクライニング装置20の回転中心20Rまわりに描かれる円形状に形成されており、後者のストッパピン11Bは、ベース部材11と支持ベース4とに貫通して設けられて、これらに固定された状態となっている。上記ストッパピン11Bは、図10に示すように、ウォークイン操作時にシートバック2と一体的となって前倒れ回転する中間リング12の回転を、中間リング12の外周部に突出形成された係止角部12Cを当接させて係止させることにより、シートバック2の前倒れ回転を前傾位置にて係止させるようになっている。ここで、ストッパピン11Bが本発明の係止部に相当し、係止角部12Cが本発明の被係止部に相当する。
図7及び図3に示すように、中間リング12は、中央部に正円状の孔を有するリング状の円板部材により形成され、その内周縁部に、軸線方向に円筒状に突出する円筒部12Aが形成されている。この中間リング12は、ベース部材11と支持ベース4との間に挟まれて配置され、上記円筒部12Aがベース部材11の正円孔11A内に嵌め込まれることにより、ベース部材11に対して回転可能な状態に組み付けられている。また、中間リング12は、図3に示すように、その円筒部12Aが、同側のリクライニング装置20を構成するラチェット21の外側盤面に一体に溶着されて固定されている。これにより、中間リング12は、リクライニング装置20が回転止めされた状態(後述するラチェット21とガイド22との相対回転が規制された状態)であっても、リクライニング装置20及びシートバック2と一体的となって、ベース部材11に対して回転中心20Rのまわりに回転して、シートバック2を支持ベース4に対して回転させられるようになっている。
上記中間リング12は、常時は、ベース部材11に設けられたフック13との係合により、ベース部材11に対して回転止めされた状態に保持されている。詳しくは、中間リング12は、常時は、その外周部に形成された凹部12B内にフック13が入り込んで係合することにより、ベース部材11に対する回転が規制された状態に保持されている。ここで、フック13は、連結軸13Aにより、ベース部材11に対して回転可能な状態に軸連結されて設けられている。詳しくは、フック13は、ベース部材11に対し、リクライニング装置20よりも下方側の領域部に配設されており、その連結軸13Aを中心とした回転により、その先端部に形成された突起状の係脱部13Bを、中間リング12の図示下端側領域の外周部に形成された凹部12B内に入り込ませて係合させたり、凹部12Bから外したりするようになっている。
上記フック13は、常時は、ベース部材11に回転可能に設けられたカム体14により、図示下方側から押圧されて、その係脱部13Bを中間リング12の凹部12B内に入り込ませて係合させた状態に保持されている。このフック13の中間リング12に対する係合状態は、図8に示すように、ウォークインレバー8が操作されて、カム体14が上記フック13の押圧状態から外される動作によって解除されるようになっている。
次に、図7に戻って、カム体14の構成について説明する。カム体14は、その図示時計回り方向の回転によりフック13を中間リング12に押し付ける方向に操作するカム14Bと、この押し付けた状態から、カム14Bと一体的となって図示反時計回り方向に回転することでフック13を中間リング12との係合状態から外すレリーズプレート14Cと、これらカム14Bやレリーズプレート14Cを各回転方向に操作する操作アーム14Dと、を有する。これらカム14B、レリーズプレート14C及び操作アーム14Dは、連結軸14Aを介して互いに回転方向に一体的な状態に連結されており、これらが一体的となってベース部材11に対して回転可能となるようにベース部材11に軸連結されて設けられている。
詳しくは、カム14Bは、これに板厚方向に突出して形成されたピン部14B1がレリーズプレート14Cに嵌め込まれることで、レリーズプレート14Cに回転方向に強固に一体的に連結された状態となっている。上記カム14Bは、常時は、操作アーム14Dから受ける引張バネ14Eのバネ附勢力により、連結軸14Aを中心に図示時計回り方向に回転操作されて、その外周部に一部突出して形成された押圧面14B2によってフック13を背面側(図示下面側)から押圧して、フック13に係脱部13Bを中間リング12の凹部12B内に押し込む方向の押圧力をかけるようになっている。
レリーズプレート14Cは、カム14Bと板厚方向に重ね合わされた状態で組み付けられ、その外周縁部に沿って延びる長孔14C1内に、フック13に板厚方向に突出して形成されたピン部13Cが回転可能かつスライド可能な状態に組み付けられている。このレリーズプレート14Cに形成された長孔14C1は、カム14Bが上記引張バネ14Eの附勢力によって図示時計回り方向に回されて、フック13が中間リング12の凹部12B内に押し込まれる時には、このフック13の動きを逃がせるようにピン部13Cのスライドを逃がし、図8に示すように、ウォークインレバー8の操作によって、カム14Bがフック13を押圧していた状態から外される図示反時計回り方向に回される時には、レリーズプレート14Cがカム14Bと一緒になって回転することで、フック13のピン部13Cをその孔の形状によって掬い掛ける格好で、フック13を中間リング12の凹部12Bから外し出す方向(図示時計回り方向)に引き下げるようになっている。
図7及び図3に戻って、操作アーム14Dは、ベース部材11を間に挟んで、上記レリーズプレート14Cとカム14Bとに連結軸14Aによって回転方向に一体的に連結された状態で設けられている。この操作アーム14Dは、連結軸14Aを中心に図示左右方向(シート前後方向)にアームが延びる形に形成されており、図7の左方側(シート前方側)に延出するアームの端部には、同端部に形成された長孔14D1内に、ウォークインレバー8の操作によって図示下方側に牽引操作される操作ケーブル8Aの端部が掛着されている。また、操作アーム14Dの図7の右方側(シート後方側)に延出するアームの端部には、同端部に形成された長孔14D2内に、操作アーム14Dがウォークインレバー8の操作によって図示反時計回り方向に回転操作されることにより図示上方側に牽引操作される伝達ケーブル8Bの端部が掛着されている。この伝達ケーブル8Bは、その図示されていない他端側の端部が、図4に示すように、インナー側部に設けられたリクライニング装置20の回転止め状態を解除操作する第1操作アーム28Aに繋がれており、図8に示すように操作アーム14Dによって牽引操作されることにより、図9に示すように第1操作アーム28Aを回転操作して、同側のリクライニング装置20の回転止め状態を解除するようになっている。
上記操作ケーブル8Aと伝達ケーブル8Bは、操作アーム14Dの回転中心となる連結軸14Aを間に挟むように、それらの図示された側の端部が操作アーム14Dの各側の端部にそれぞれ掛着されており、それぞれ、操作アーム14Dとの連結点から図示下方側(シート下方側)に向かって延びるように配索されている。詳しくは、上記操作ケーブル8Aと伝達ケーブル8Bは、それぞれ、その配索経路を案内する案内管8A1,8B1の内部にワイヤ部材が挿通された二重のケーブル構造となっており、それぞれ、各案内管8A1,8B1の端部が支持ベース4に一体に設けられた掛部4A,4Bに掛着されて固定され、この端部から繰り出された各ワイヤ部材の端部が操作アーム14Dの各側の端部に繋がれて牽引操作されるようになっている。上記操作ケーブル8Aの図示しない他端側の端部は、ウォークインレバー8に繋がれて、同レバーの操作によって牽引操作されるようになっている。また、伝達ケーブル8Bの他端部は、図4に示すように、その案内管8B1の端部が、シートバック2のインナー側部のバックフレーム2Fに一体に設けられた掛部2Cに掛着されて固定され、この端部から繰り出されたワイヤ部材の端部が、同側のリクライニング装置20の操作軸26に一体的に連結された第1操作アーム28Aに繋がれている。
図7に戻って、上記操作アーム14Dの図示右方側に延出するアームと上記支持ベース4の掛部4Bとの間には、操作アーム14Dを常時図示時計回り方向に回転附勢する引張バネ14Eが掛着されている。これにより、操作アーム14Dは、常時は上記引張バネ14Eの附勢力によって、図示時計回り方向に回転附勢された状態として、この操作アーム14Dと一体的となって回転するカム14Bの押圧面14B2によりフック13を押圧して、フック13の係脱部13Bを中間リング12の凹部12B内に押し込んで係合させた状態に保持されている。そして、この状態から、ウォークインレバー8が操作されて操作ケーブル8Aが図示下方側に牽引操作されることにより、図8に示すように、操作アーム14Dが図示反時計回り方向に回されて、カム14Bが操作アーム14Dと一体的となって回転してフック13を押圧していた状態から外されると共に、操作アーム14Dの図示右方側の端部に繋がれている伝達ケーブル8Bが図示上方側に牽引操作されて、図9に示すインナー側部に設けられたリクライニング装置20の回転止め状態が解除操作される。
これにより、図8に示すように、車両用シートのアウター側部においては、中間リング12のベース部材11に対する回転止め状態が解除された状態となって、中間リング12が回転止め状態となっているリクライニング装置20及びシートバック2と一体的となって支持ベース4に対して回転中心20Rのまわりに回転することができる状態となる。また、図9に示すように、車両用シートのインナー側部においては、リクライニング装置20の回転止め状態が解除されて、シートバック2が支持ベース4に対して回転中心20Rのまわりに回転することができる状態となる。これにより、アウター側部(図8)に設けられたリクライニング装置20が回転止め状態のまま保持されていても、シートバック2の両サイド部の支持ベース4に対する回転止め状態が解除された状態となって、シートバック2が前倒れ回転することのできる状態となる。このウォークイン操作によるシートバック2の前倒れ回転は、図10に示すように、シートバック2と一体的となって前倒れ回転する中間リング12の外周部に形成された係止角部12Cが、ベース部材11に固定されたストッパピン11Bと当接することにより係止されるようになっている。
ここで、アウター側部に設けられたリクライニング装置20(図7及び図3参照)と、インナー側部に設けられたリクライニング装置20(図4及び図5参照)の構成について説明する。これらリクライニング装置20は、互いに左右対称に構成されたものとなっており、これらの基本的な構成は、特開2002−360368号公報や特開2005−312891号公報等の文献に開示されたものと同じ構成となっている。したがって、以下では、これらリクライニング装置20の基本的な構成について簡潔に説明し、互いの連結対象等の構成が異なる箇所について詳しく説明することとする。
リクライニング装置20は、図6に示すように、円盤形状のラチェット21及びガイド22と、円筒形状の外周リング23と、回転カム24と、バネ部材25と、操作軸26と、を有する。ラチェット21及びガイド22は、互いに相対回転可能な状態に組み付けられており、互いが軸方向に抜け外れないように外周リング23によって互いの外周部同士が挟み込まれた状態となって保持されている。このうち、図3に示すように、アウター側部に設けられたリクライニング装置20のラチェット21は、その外側の盤面が、中間リング12に溶着されて一体に固定されており、ガイド22は、その外側の盤面が、シートバック2の骨格を成すバックフレーム2Fに溶着されて一体に固定されている。また、図5に示すように、インナー側部に設けられたリクライニング装置20のラチェット21は、その外側の盤面が、支持ベース4に溶着されて一体に固定されており、ガイド22は、その外側の盤面が、バックフレーム2Fに溶着されて一体に固定されている。
回転カム24は、図3及び図5に示すように、ガイド22の軸心部に挿通されてガイド22に回転可能に軸支されて設けられており、その軸心部に挿通された操作軸26の軸回転操作に伴って、ラチェット21とガイド22との間の隙間内において、ガイド22に支持された図示しないロック部品をラチェット21にロックさせたり解除させたりして、ラチェット21とガイド22との間の相対回転を止めた状態にしたり許容した状態にしたりするように切り換える。上記回転カム24は、ガイド22との間に掛着されたバネ部材25の附勢力によって、常時はガイド22に対して上記不図示のロック部品をロック作動させる方向に回転附勢された状態とされている。上記回転カム24は、ガイド22とラチェット21との間の回転止め状態が解除されて、ガイド22がシートバック2と共にラチェット21に対して回転することにより、上記バネ部材25によりガイド22と繋がれた構成によりガイド22と一体的となってラチェット21に対して回転移動するようになっている。
図6に示すように、上記各側のリクライニング装置20の中心部に挿通された操作軸26は、連結ロッド27によって互いに連結されているが、アウター側部の操作軸26と連結ロッド27との連結部には、ワンウェイの伝達構造となる伝達部材40が介在して設けられている。これにより、アウター側部の操作軸26にチルトダウンレバー9(図7参照)の操作によって解除操作の回転力が入力された時には、この操作力が連結ロッド27を介してインナー側部の操作軸26にも伝達されて、両側のリクライニング装置20の回転止め状態が一斉に解除操作されるが、ウォークインレバー8(図8参照)の操作によってインナー側部の操作軸26に解除操作の回転力が入力された時(図9参照)には、この操作力は、図8に示すように、伝達部材40とアウター側部の操作軸26との間に生じる空転により、アウター側部の操作軸26への伝達が遮断され、インナー側部のリクライニング装置20のみの回転止め状態が解除操作されるようになっている。
具体的には、図6に示すように、上記各操作軸26と連結ロッド27及び伝達部材40との連結構造は、次のようになっている。先ず、アウター側部のリクライニング装置20に挿通される操作軸26は、そのインナー側部に向かって延びる軸部が、断面矩形状に形成された矩形部26Aとして形成されており、この矩形部26Aが伝達部材40の本体部42に形成された差込孔42A内に差し込まれて伝達部材40と連結されている。ここで、差込孔42Aは、その正円状に形成された孔の内周部の互いに対向する左右2箇所の位置に、孔内に向かって山状に突出する突起42A1が形成されている。この二箇所の突起42A1により、差込孔42A内に差し込まれた操作軸26は、その矩形の側面が各突起42A1の一端面42A1aと当接する位置と他端面42A2bと当接する位置との間でのみ、伝達部材40に対して回転することができるようになっており、回転によりどちらか一方側の側面が一端面42A1a或いは他端面42A2bと当接することにより、伝達部材40とその回転方向に一体的となって回転するようになっている。
伝達部材40は、そのインナー側部に向かって延びる差込軸41が、円管状に形成された連結ロッド27の端部に差し込まれて、その連結ロッド27の外周部に形成された開口窓27A(図3参照)から露呈する部位が溶接により連結ロッド27に一体に溶着されて固定されている。連結ロッド27のインナー側部の端部には、インナー側部のリクライニング装置20に挿通される操作軸26の端部が差し込まれて、同じく連結ロッド27の外周部に形成された開口窓27A(図5参照)から露呈する部位が溶接により連結ロッド27に一体に溶着されて固定されている。
ところで、図6に示すように、上記操作軸26の矩形部26Aは、伝達部材40の本体部42の差込孔42Aに対し、本体部42に装着される薄膜状の軟らかいゴム製のキャップ43により、その矩形部26Aの側面が差込孔42A内の各突起42A1の一端面42A1aにそれぞれ当接した状態となるように案内されて差し込まれるようになっている。具体的には、上記ゴム製のキャップ43には、上記操作軸26の矩形部26Aと同じ形のガイド孔43Aが形成されており、このガイド孔43Aの形に合わせて操作軸26の矩形部26Aを差し込むことにより、矩形部26Aが各突起42A1の一端面42A1aと当接した状態(図7参照)に差し込まれるようになっている。これにより、図7に示すように、アウター側部の操作軸26は、これに一体的に連結された第1操作アーム28Aが、チルトダウンレバー9の操作によって、操作ケーブル9Aを介して同側のリクライニング装置20の回転止め状態を解除操作する方向(図示反時計回り方向)に回転操作されることにより、この操作軸26の矩形部26Aの側面と当接している伝達部材40が同方向に押し回されるようになっている。詳しくは、上記操作ケーブル9Aは、その配索経路を案内する案内管9A1の内部にワイヤ部材が挿通された二重のケーブル構造となっており、案内管9A1の端部がシートバック2のバックフレーム2Fに一体に設けられた掛部2Dに掛着されて固定され、この端部から繰り出されたワイヤ部材の端部が第1操作アーム28Aに繋がれている。このワイヤ部材の図示しない他端側の端部は、チルトダウンレバー9に繋がれて、同レバーの操作によって牽引操作されるようになっている。
しかし、上記アウター側部の操作軸26は、ウォークインレバー8の操作によって、伝達ケーブル8Bを介してインナー側部のリクライニング装置20(図9参照)の操作軸26が回転止め状態を解除する図示時計回り方向に回転操作され、この回転操作力が連結ロッド27を介して図7に示す伝達部材40に図示反時計回り方向に回転させる操作力として伝達されても、アウター側部の操作軸26は、その矩形部26Aが伝達部材40の差込孔42A内の突起42A1とは図示反時計回り方向には当接していない関係となっていることから、伝達部材40が操作軸26に対して空回りして、アウター側部の操作軸26には上記操作力が伝達されないようになっている。なお、伝達部材40に装着されたゴム製のキャップ43は、薄膜状の軟らかい材質によって形成されており、伝達部材40が操作軸26に対して空回りする動きに抵抗を与えないように柔軟に撓み変形するようになっている。
したがって、上記ワンウェイの伝達構造により、図8及び図9に示すように、ウォークインレバー8の操作が行われた際には、アウター側部のリクライニング装置20(図8参照)が回転止め状態のまま保持されると共に、メモリ装置10を構成する中間リング12とベース部材11との間の回転止め状態と、インナー側部のリクライニング装置20(図9参照)の回転止め状態とが解除されて、シートバック2が、メモリ装置10(図8参照)の中間リング12の係止角部12Cとベース部材11のストッパピン11Bとが当接する位置(前傾位置)まで倒し込まれる。そして、この倒れ込みに伴って、シートバック2と一体的となって回転するアウター側部のリクライニング装置20のラチェット21に一体的に結合されて設けられた第2操作アーム28Bが、シートバック2と一体的となって回転して、この第2操作アーム28Bに繋がれた操作ケーブル35を牽引操作する。
上記操作ケーブル35は、その配索経路を案内する案内管35Aの内部にワイヤ部材が挿通された二重のケーブル構造となっており、案内管35Aの図示された側の端部が、メモリ装置10のベース部材11に一体に設けられた掛部11Cに掛着されて固定され、この端部から繰り出されたワイヤ部材の端部が第2操作アーム28Bに繋がれている。このワイヤ部材の図示しない他端側の端部は、図1に示した各スライダ装置30の図示しないスライドロック機構の操作レバー33に繋がれており、上記第2操作アーム28B(図10参照)によって牽引操作されることで、各スライダ装置30のスライドロック状態を解除するようになっている。ここで、各スライダ装置30は、フロアF上に一体に固定されたスライドレール31と、スライドレール31に対して車両前後方向にスライド可能な状態に組み付けられて支持ベース4の底部に一体に固定されたスライダ32と、スライダ32のスライドレール31に対するスライドをロック可能なスライドロック機構(図示省略)と、を有する。
上記図示しないスライドロック機構は、常時は附勢によってスライダ32のスライド移動をロックした状態に保持されているが、シートクッション3の前下部に設けられた引き上げ操作式の操作レバー33を引き上げることによって、そのスライドロック状態が解除される構成となっている。上記操作レバー33は、図8で前述した操作ケーブル35とも繋がれており、前述したウォークインレバー8の操作によって操作ケーブル35が牽引操作されることでも操作されて、各スライダ装置30のスライドロック状態を解除するようになっている。
したがって、上記ウォークインレバー8の操作によって、シートバック2が前傾位置まで倒し込まれて係止されると共に、シート本体1のフロアFに対するスライドロック状態が解除されて、図1に示すように、シート本体1をシートバック2を前傾姿勢に切り換えた状態にして車両前方側へ退避移動させることができる状態となる。そして、このスライドロック状態が解除されたシート本体1は、支持ベース4とスライドレール31との間に掛着された引張バネ34の附勢力によって、シート前方側に向かって所定の退避位置(図示省略)まで移動操作される。
ところで、上記ウォークインレバー8の操作によって、シートバック2が前傾位置まで倒し込まれてシート本体1全体がシート前方側へ移動操作される動きは、シートバック2の倒れ込み途中でウォークインレバー8の操作が中断されても、その動きが途中で止まることなく継続されるようになっている。具体的には、図7に示すように、メモリ装置10を構成するフック13は、その中間リング12の回転止めをすることのできる位置が、係脱部13Bが凹部12B内に入り込んで係合することのできる中間リング12の円周方向の一箇所の位置(本発明の特定の一の回転位置に相当する。)のみであるとして設定されている。
この、フック13が中間リング12の凹部12B内に入り込んで係合した状態では、中間リング12のベース部材11に対する回転が規制された状態とされ、この状態では、チルトダウンレバー9の操作によって両側のリクライニング装置20の回転止め状態が解除されてシートバック2の背凭れ角度が前後に調整されても、中間リング12とベース部材11との回転位置関係は変化せずに固定された状態に保たれる。しかし、この中間リング12とベース部材11との回転位置関係は、ウォークインレバー8が操作されて、フック13が中間リング12の凹部12Bから外し出されることにより解除され(図8参照)、この状態からシートバック2が少しでも前倒れ回転することにより、フック13はウォークインレバー8の操作が戻されても、凹部12B内には入り込めずに、中間リング12の円弧状に湾曲した外周部上に押し付けられた状態となる。
したがって、シートバック2が前傾位置まで倒し込まれる途中でウォークインレバー8の操作が中断されても、フック13が中間リング12の外周部上に押し付けられて外周部上を摺動することにより、シートバック2の前傾移動が途中で止められることなく継続され、シートバック2がメモリ装置10に設けられたストッパ構造(係止角部12Cがストッパピン11Bに当たって係止する構造)によって係止される前傾位置まで倒し込まれていくようになっている(図10参照)。詳しくは、上記シートバック2が倒し込まれていく間、フック13が中間リング12の外周部上に押し付けられてその回転が規制されていることにより、カム体14の操作アーム14Dもウォークインレバー8によって回転操作された角度状態のままに保持され、この操作アーム14Dに繋がれた伝達ケーブル8Bも牽引操作された状態のままに保持されて、インナー側部のリクライニング装置20も回転止め状態が解除されたままの状態に保持される。したがって、ウォークインレバー8の操作が途中で中断されても、シートバック2を前傾位置まで倒し込むことができる。
そして、上記ウォークイン操作によってシートバック2が前傾位置まで倒し込まれて車両前方側へ退避移動されたシート本体1は、これを後方側にスライドさせてスライド位置を戻したところでスライドロックさせた後、シートバック2を起こし上げる操作を行うことにより、他に何らの操作を行うことなく、シートバック2をウォークイン操作前の調整された背凭れ角度位置に戻すことができる。具体的には、シートバック2を図10に示す前傾位置の状態から後方側に向かって起こし上げていくことにより、メモリ装置10のフック13が中間リング12の外周部上を摺動していき、その係脱部13Bが凹部12B内に入り込める位置までシートバック2が起こし上げられることにより、フック13が附勢によって凹部12B内に入り込んで係合する。これにより、中間リング12が回転止めされた状態に戻され(図7参照)、伝達ケーブル8Bの牽引操作状態が解かれてインナー側部のリクライニング装置20(図4参照)も回転止めされた状態に戻され、シートバック2がウォークイン操作前の背凭れ角度位置に戻されて固定された状態となる。
すなわち、メモリ装置10は、上記フック13が中間リング12の凹部12B内に入り込んで係合する一の回転位置を、シートバック2のウォークイン操作前の背凭れ角度位置として記憶する構成となっており、この一の回転位置でのみ係合する構成となっていることから、シートバック2の前傾移動の途中でウォークインレバー8の操作を中断してもシートバック2を前傾位置まで倒し込むことができ、また、シートバック2を前傾位置から後方側に向かって起こし上げる操作を行うのみで、シートバック2をウォークイン操作前の元の背凭れ角度位置に戻して固定した状態に戻すことができるようになっている。
一方、上記図6に示したワンウェイの伝達構造により、図2〜図5に示すように、チルトダウンレバー9の操作が行われた際には、このチルトダウンレバー9に繋がれた操作ケーブル9Aによりアウター側部のリクライニング装置20の操作軸26に一体的に連結された第1操作アーム28Aが解除操作方向(図示反時計回り方向)に回転操作され、この回転操作力が連結ロッド27を介してインナー側部のリクライニング装置20の操作軸26にも伝達されて、両側のリクライニング装置20の回転止め状態が解除される。詳しくは、図7を参照して分かるように、チルトダウンレバー9の操作によって、アウター側部のリクライニング装置20の操作軸26が回転止め状態を解除する図示反時計回り方向に回転操作されると、この操作軸26は、その矩形部26Aが伝達部材40の差込孔42A内の突起42A1と図示反時計回り方向に当接している関係となっていることから、操作軸26の回転力が伝達部材40に伝達されて、連結ロッド27を介してインナー側部の操作軸26(図4参照)にも伝達されるようになっている。なお、このとき、メモリ装置10(図7参照)は何らの操作もされない。これにより、シートバック2は、図12及び図13に示すように、上記ウォークイン操作時の前傾位置(図10及び図11参照)を越えた大倒し位置まで大きく前倒しされて、その両側部のバックフレーム2Fの下端部に角状に突出して形成された前倒れ係止片2Bが、各側の支持ベース4に一体に設けられた前倒れストッパ4E,11Dとそれぞれ当たることで、その前倒れ回転が係止された状態となる。なお、上記前倒れストッパ4E,11Dうち、アウター側部に設けられた前倒れストッパ11Dは、アウター側部の支持ベース4に一体に設けられたベース部材11に形成されている。
このように、本実施例の車両用シートによれば、シートバック2をウォークイン操作時(途中止め操作時)に前傾位置に係止させるストッパ構造(図10に示す、係止角部12Cがストッパピン11Bに当たって係止する構造)が、メモリ装置10を構成する二部材間(中間リング12とベース部材11との間)に設けられることにより、これら二部材は、チルトダウン操作時(大倒し操作時)には互いに相対回転しないため、ストッパ機能が誤って働いてしまう誤作動を招くおそれのないものとなる。また、これら二部材(中間リング12とベース部材11)は、フック13と凹部12Bとの係合構造により特定の一の回転位置でのみ互いに係合する構成となっているため、ウォークイン操作の途中で操作の手が離されても、ストッパとしての機能が阻害されないものとなる。このように、誤作動を生じさせないように機能させることのできるストッパ構造を、メモリ装置10に設けることで合理的かつ簡素に構成することができる。
また、メモリ装置10がシートバック2側にではなく支持ベース4側に設けられて、リクライニング装置20の下方側の領域部においてフック13を凹部12Bに対して下方側から入り込ませたり外したりする構成となっていることにより、シートバック2に設けられる伝達ピン2A1とフック13とが互いに離れた配置関係となり干渉しにくくなる。したがって、障害物がなくなることで、伝達ピン2A1をより自由な位置に設定することができ、伝達ピン2A1による伝達構造の大型化を防ぐことができる。
以上、本発明の実施形態を一つの実施例を用いて説明したが、本発明は上記実施例のほか各種の形態で実施することができるものである。例えば、上記実施例では、各側のリクライニング装置20の中心部に挿通される操作軸26同士が連結ロッド27により連結され、更に、この動力伝達経路の途中箇所にワンウェイの伝達構造が設けられることで、大倒し操作時(チルトダウン操作時)には両側のリクライニング装置20の回転止め状態が一斉に解除され、途中止め操作時(ウォークイン操作時)にはメモリ装置10が設けられた側とは反対側のリクライニング装置20のみの回転止め状態が解除されるように構成されたものを例示したが、連結ロッド27による連結ではなく、各側の操作軸26にチルトダウンレバー9の操作時に操作されるケーブルを繋げ、更に、一方側の操作軸26にのみウォークインレバー8の操作時に操作されるケーブルを繋げる構成とすることで、同じように解除操作を行える構成とすることができる。
また、上記実施例では、メモリ装置10が、シートバック2のアウター側部における、バックフレーム2Fとリクライニング装置20と支持ベース4とが順に並んで連結される連結構造部のうちの、リクライニング装置20と支持ベース4との間に介在して設けられて、リクライニング装置20と直列並びとなるように連結されたもの(図3参照)を示したが、メモリ装置10がバックフレーム2Fとリクライニング装置20との間に介在して設けられて、リクライニング装置20と直列並びとなるように連結されたものであってもよい。但し、この場合には、バックフレーム2Fにメモリ装置10の構成部材が連結されることとなるため、シートバック2の側部に他の機能部品を配置するためのスペースが阻まれることとなるため留意が必要である。
また、上記実施例では、チルトダウンレバー9の操作によって牽引操作される操作ケーブル9Aが、アウター側部のバックフレーム2Fに対して案内管9A1の端部が固定されて、この端部から繰り出されたワイヤ部材が操作軸26に一体的に連結された第1操作アーム28Aと繋がれていることから、シートバック2の前倒れに伴って操作ケーブル9Aが更に牽引操作されてしまう事態を防止するために、シートバック2の前倒れ時に操作軸26と回転を共にするガイド22をバックフレーム2Fに連結し、ガイド22に対して相対回転するラチェット21を支持ベース4側に連結した構成を示したが(図3及び図5参照)、上記チルトダウンレバー9の操作ケーブル9Aが、支持ベース4に対して案内管9A1の端部が固定されて設けられる場合には、ガイド22を支持ベース4側に連結し、ラチェット21をバックフレーム2Fに連結する構成とすることで、シートバック2の前倒れに伴って操作ケーブル9Aが更に牽引操作されてしまう事態を防止することができる。また、上記実施例では、メモリ装置10がアウター側部に設けられた構成を例示したが、メモリ装置10はインナー側部に設けられていてもよい。
1 シート本体
2 シートバック
2F バックフレーム
2A ブラケット
2A1 伝達ピン(伝達部)
2B 前倒れ係止片
2C,2D 掛部
3 シートクッション
3F クッションフレーム
4 支持ベース
4A,4B 掛部
4C 支持ブラケット
4D 被伝達板
4D1 連結軸
4D2 長孔
4D2a 湾曲部
4D2b 直線部
4E 前倒れストッパ
5 フロントリンク
6 リアリンク
6A 連結軸
8 ウォークインレバー
8A 操作ケーブル
8A1 案内管
8B 伝達ケーブル
8B1 案内管
9 チルトダウンレバー
9A 操作ケーブル
9A1 案内管
10 メモリ装置
11 ベース部材
11A 正円孔
11B ストッパピン(係止部)
11C 掛部
11D 前倒れストッパ
12 中間リング
12A 円筒部
12B 凹部
12C 係止角部(被係止部)
13 フック
13A 連結軸
13B 係脱部
13C ピン部
14 カム体
14A 連結軸
14B カム
14B1 ピン部
14B2 押圧面
14C レリーズプレート
14C1 長孔
14D 操作アーム
14D1 長孔
14D2 長孔
14E 引張バネ
20 リクライニング装置
20R 回転中心
21 ラチェット
22 ガイド
23 外周リング
24 回転カム
25 バネ部材
26 操作軸
26A 矩形部
27 連結ロッド
27A 開口窓
28A 第1操作アーム
28B 第2操作アーム
30 スライダ装置
31 スライドレール
32 スライダ
33 操作レバー
34 引張バネ
35 操作ケーブル
35A 案内管
40 伝達部材
41 差込軸
42 本体部
42A 差込孔
42A1 突起
42A1a 一端面
42A2b 他端面
43 キャップ
43A ガイド孔
F フロア

Claims (2)

  1. シートバックを前傾位置まで倒し込んで係止させる途中止め操作と、シートクッションを下方側へ沈み込ませ、その上部に前記シートバックを倒し込む大倒し操作とが可能な車両用シートであって、
    前記シートバックは、その両側の側部が、それぞれ、回転止め可能な回転軸装置として機能するリクライニング装置を介してフロア上に設けられた支持ベースに連結され、常時は前記支持ベースに対する背凭れ角度が固定された状態に保持されるが、途中止め操作或いは大倒し操作時にその背凭れ角度の固定状態が解かれるようになっており、
    前記シートクッションは、その前部が前記支持ベースに起倒回転可能に設けられたフロントリンクに連結され、後部が前記支持ベースにリンク連結されたリヤリンクに連結されており、
    該リヤリンクは、前記シートバックが大倒し操作によって前傾位置を越えた大倒し位置まで倒し込まれることにより前記シートバックに設けられた伝達部からの動力伝達を受けて動作し前記フロントリンクを倒し込みながら前記シートクッションを下方側へ沈み込ませるようになっており、
    前記シートバックは、その片側の側部の前記支持ベースに対する連結が、前記シートバックの途中止め操作を行う前の背凭れ角度を記憶して途中止め操作後に前記シートバックを記憶した背凭れ角度位置まで戻せるように案内するメモリ装置を前記リクライニング装置と直列並びとなるように間に介在させた連結とされ、
    該メモリ装置は、互いに相対回転可能な状態に組み付けられて特定の一の回転位置においてどちらか一方に設けられたフックが他方に設けられた凹部内に入り込んで係合する構成によりこの特定の一の回転位置を前記シートバックの途中止め操作を行う前の背凭れ角度として記憶する二部材を備えた構成より成り、当該二部材は常時は互いに係合して回転方向に一体的な状態に保持されるが、途中止め操作により互いの係合状態が外されてどちらか一方が前記シートバックと共に他方に対して回転可能となる構成とされ、前記シートバックを途中止め操作時に前傾位置に係止させるストッパ構造が、前記二部材のうちのどちらか一方に設けられた係止部に他方に設けられた被係止部が当たって係止される構成より成ることを特徴とする車両用シート。
  2. 請求項1に記載の車両用シートであって、
    前記メモリ装置が、前記シートバックに連結された前記リクライニング装置と前記支持ベースとの間に介在して設けられ、前記フックが設けられる前記二部材のうちのどちらか一方が、前記支持ベースに固定されて前記リクライニング装置の下方側の領域部において前記フックを他方に設けられた前記凹部内に下方側から入り込ませたり外したりする構成となっていることを特徴とする車両用シート。
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