JP2012084629A - コイル装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 本発明は、コイル部品及びコイルを内蔵したノイズフィルタ部品に関して、サージ電圧が印加されても、コイルの特性劣化が起きないようにESD対策が施されたコイル装置を提供する。
【解決手段】 絶縁層と、絶縁層の両主面に設けられている磁性体基板を備える積層体と、絶縁層内にスパイラル型に設けられている第1のコイルと、積層体の側面に設けられ第1のコイルの一端と接続された第1の外部電極と、積層体の側面に設けられ第1のコイルの他端と接続された第2の外部電極と、第1のコイルの一端と接続された第1の放電電極と、第1のコイルの他端と接続された第2の放電電極とを備え、第1の放電電極と第2の放電電極は絶縁層の同一の側面に形成され、第1の放電電極と、第2の放電電極の間に第1の放電ギャップが設けられており、第1の放電ギャップにおける耐サージ電圧が、コイル内の耐サージ電圧未満であるように設計する。
【選択図】 図2
【解決手段】 絶縁層と、絶縁層の両主面に設けられている磁性体基板を備える積層体と、絶縁層内にスパイラル型に設けられている第1のコイルと、積層体の側面に設けられ第1のコイルの一端と接続された第1の外部電極と、積層体の側面に設けられ第1のコイルの他端と接続された第2の外部電極と、第1のコイルの一端と接続された第1の放電電極と、第1のコイルの他端と接続された第2の放電電極とを備え、第1の放電電極と第2の放電電極は絶縁層の同一の側面に形成され、第1の放電電極と、第2の放電電極の間に第1の放電ギャップが設けられており、第1の放電ギャップにおける耐サージ電圧が、コイル内の耐サージ電圧未満であるように設計する。
【選択図】 図2
Description
本発明は、コモンモードチョークコイル、EMI除去フィルタ、及びトランス等として使用されるコイル装置に関するものである。
従来のコイル装置としては、例えば特許文献1に開示されているような積層型コモンモードチョークコイルが知られている。図5において、コモンモードチョークコイル500は、磁性体基板52、磁性体基板53、及びこれらの磁性体基板52、53の間に挟まれた絶縁層51からなる積層体60より構成されている。具体的には、前記絶縁層51は第1の絶縁層54、第2の絶縁層55、第3の絶縁層56、及び第4の絶縁層57が順次積層された4層の絶縁層から構成されている。また、前記絶縁層51の内部には2つのスパイラルコイルL51及びL52が設けられている。前記積層体60の一方の側面には外部電極61と外部電極63が設けられており、前記積層体60の一方の側面と対向する側面には外部電極62と外部電極64が設けられている。前記外部電極61は前記第1のコイルL51の一端と接続されており、前記外部電極62は第1のコイルL51の他端と接続されている。前記外部電極63は前記第2のコイルL52の一端と接続されており、前記外部電極64は前記第2のコイルL52の他端と接続されている。
このようなコモンモードチョークコイルにおいては、静電気放電(以下、ESD)による絶縁破壊が起きる可能性がある。外部よりコモンモードチョークコイルの端子にESDが印加されると、内部のコイル部分にサージ電圧が印加され、耐サージ電圧が最も弱い箇所で絶縁破壊が起こる。その結果、絶縁体の破壊によってショート不良が発生したり、場合によってはショート箇所への過渡的な大電流導通による周辺電極の破壊によってオープン不良が発生したりする。
そこで、本発明の目的は、サージ電圧が印加されても、上記に示すコイルの特性劣化が発生しないようにESD対策が施されたコイル装置を提供することである。
前記問題点を解決するために、本発明は、絶縁層と、前記絶縁層の両主面に設けられている磁性体基板を備える積層体と、前記絶縁層内にスパイラル型に設けられている第1のコイルと、前記積層体の側面に設けられ、前記第1のコイルの一端と接続された第1の外部電極と、前記積層体の側面に設けられ、前記第1のコイルの他端と接続された第2の外部電極と、前記第1のコイルの一端と接続された第1の放電電極と、前記第1のコイルの他端と接続された第2の放電電極とを備え、前記第1の放電電極と、前記第2の放電電極は前記絶縁層の同一の側面に形成され、前記第1の放電電極と、前記第2の放電電極の間に第1の放電ギャップが設けられており、前記第1の放電ギャップにおける耐サージ電圧が、前記コイル内の耐サージ電圧未満であることを特徴とする。
このように構成すると、サージ電圧による過電流の大部分を放電ギャップ側に通すことができる。これにより、コイル装置のESD耐性を向上させることができる。
また本発明は、前記絶縁層内にスパイラル型に設けられており、前記第1のコイルと磁気的に結合してコモンモードチョークコイルを構成している第2のコイルと、前記積層体の側面に設けられ、前記第2のコイルの一端と接続された第3の外部電極と、前記積層体の側面に設けられ、前記第2のコイルの他端と接続された第4の外部電極と、前記第2のコイルの一端と接続された第3の放電電極と、前記第2のコイルの他端と接続された第4の放電電極とを更に備え、前記第3の放電電極と、前記第4の放電電極は前記絶縁層の同一の側面に形成され、前記第3の放電電極と、前記第4の放電電極の間に第2の放電ギャップが設けられており、前記第2の放電ギャップにおける耐サージ電圧が、前記コイル内の耐サージ電圧未満であることが望ましい。
この場合は、コモンモードチョークコイルにおいても、サージ電圧による過電流の大部分を放電ギャップ側に通すことができるため、コイル装置のESD耐性を向上させることができる。
また本発明は、前記第1の放電ギャップと前記第2の放電ギャップが、前記絶縁層の側面のうち、対向する側面に形成されていることが望ましい。
この場合は、湿度が高い条件の時に第1のコイルの放電電極と第2のコイルの放電電極との間でマイグレーションが起きる可能性が低くなる。これより、第1のコイルの放電電極と第2のコイルの放電電極との間で絶縁抵抗の劣化(以下、IR劣化)が起こりにくくなるため、信頼性の低下を防ぐことができる。
また本発明は、前記放電ギャップは、前記絶縁層の側面のうち、前記外部電極が形成されている側面とは異なる側面に形成されていることが望ましい。
この場合は、コイル装置の実装時に放電電極と外部電極との間が電気的にショートする可能性が低くなるため、信頼性が向上する。
また本発明は、前記コイルを構成している配線と前記放電電極とは、同一平面上に一体成形されていることが望ましい。
この場合は、放電電極をコイルを構成している配線と同時に形成することができるので、コイル装置の製造が簡単になる。
また本発明は、前記絶縁層は、複数の絶縁体が積層されてなり、前記コイル内の耐サージ電圧は、前記コイルを構成している配線が、前記絶縁層内の一層を間に挟んで交差するように配置されている配線間の耐サージ電圧であることが望ましい。
この場合は、コイルの内部よりも放電ギャップ側にサージ電圧による過電流が通りやすくなるために、コイルの内部に流れる電流が抑制され、コイル装置のESD耐性を向上させることができる。
本発明のコイル装置によれば、コイルの巻き始めと、コイルの巻き終わりに形成された放電電極をそれぞれ積層体の同一の側面に形成し、2つの放電電極の間に放電ギャップを形成している。この放電ギャップにおける耐サージ電圧が、前記コイル内の耐サージ電圧未満となるように設定しているので、サージ電圧による過電流の大部分を放電ギャップ側に通すことができる。これにより、コイル装置のESD耐性を向上させることができる。
以下に、本発明の実施形態に係るコイル装置について説明する。
(実施形態1)
図1(A)は本実施形態1に係るコイル装置100の外観斜視図である。図1(B)はコイル装置100の側面図である。図2はコイル装置100の分解斜視図である。以下、図1と図2を参照しながら説明する。
図1(A)は本実施形態1に係るコイル装置100の外観斜視図である。図1(B)はコイル装置100の側面図である。図2はコイル装置100の分解斜視図である。以下、図1と図2を参照しながら説明する。
本実施形態1のコイル装置100は、図1(A)に示すように、絶縁層1と、前記絶縁層1の両主面に設けられている磁性体基板2、3が積層されてなる積層体10と、前記絶縁層1内にスパイラル型に設けられているコイルL1と、前記積層体10の側面に対向して設けられ、コイルL1の両端と接続されている外部電極11、12から構成されている。外部電極11、12は、例えばAgから構成されている。
絶縁層1は、図2に示すように、直方体形状をした磁性体基板2の表面に順次積層固着された第1の外側絶縁層4、層間絶縁層5、及び第2の外側絶縁層6でもって構成されている。絶縁層1の各層は、例えば感光性ポリイミド樹脂から構成されている。
絶縁層1の一部を構成する第1の外側絶縁層4は、薄い板状をしており、磁性体基板2の表面に形成されている。
第1の外側絶縁層4の表面には、導電性材料からなるコイルL1の電極パターンL1bが形成されている。コイルL1の電極パターンL1bは薄膜導体からなり、例えばフォトリソグラフィにより形成されている。
層間絶縁層5は薄い板状をしており、第1の外側絶縁層4の表面に形成されている。層間絶縁層5には、充填ビア15が形成されており、層間絶縁層5の表面には、導電性材料からなるコイルL1の電極パターンL1aが形成されている。コイルL1の電極パターンL1aは薄膜導体からなり、例えばフォトリソグラフィにより形成されている。
第2の外側絶縁層6は薄い板状をしており、層間絶縁層5の表面に形成されている。
磁性体基板3は直方体をしており、第2の外側絶縁層6の表面に接着剤により接着されている。接着剤は、例えば熱硬化性のポリイミド樹脂が用いられており、例えば印刷により形成されている。
コイルL1の電極パターンL1aは、略スパイラル形状に形成されている。電極パターンL1aの一端には充填ビア15が形成されており、他端は同一平面上の側面に達して外部電極12と導通するように形成されている。
コイルL1の電極パターンL1bの一端は同一平面上の側面に達して外部電極11と導通するように形成されており、他端は充填ビア15と導通するように形成されている。
コイルL1の電極パターンL1bの一端は、層間絶縁層5に形成されている充填ビア15を介してコイルL1の電極パターンL1aの他端と導通し、一巻きのコイルL1が形成されている。
コイルL1の電極パターンL1aの他端からは、外部電極が形成されている側面とは異なる側面方向にパターンがのびており、層間絶縁層5の側面に達して放電電極31が形成されている。放電電極31は薄膜導体からなり、例えばフォトリソグラフィにより同一平面上のコイルL1の電極パターンL1aと一体成形されている。
また、電極パターンL1bの一端からは、外部電極が形成されている側面とは異なる同一平面上の側面方向にパターンがのびており、外側絶縁層4の側面に達して放電電極30が形成されている。放電電極30は薄膜導体からなり、例えばフォトリソグラフィにより同一平面上のコイルL1の電極パターンL1bと一体成形されている。
放電電極30と放電電極31は、積層体10の同一の側面の端部に露出している。放電電極30と放電電極31は、上主面からの平面視で略重なって形成されている。
図1(B)に示すように、放電電極30と、放電電極31との間には、放電ギャップ30aが形成されている。放電ギャップ30aは側面の端部に露出し、エアギャップをなしている。放電ギャップ30aの間隔は、放電電極30と放電電極31の最短距離によって規定されている。本実施形態では、放電ギャップ30aの間隔は層間絶縁層5の厚みによって規定される。この放電ギャップ30aにかかる耐サージ電圧を、コイルL1内の耐サージ電圧未満に設定しているので、サージ電圧による過電流の大部分を放電ギャップ30a側に通すことができる。
耐サージ電圧は、配線間の間隔と配線間の材質の絶縁破壊電圧を乗じた値によって決定される。コイルL1内の耐サージ電圧は、具体的には、コイルL1内で最も近接している配線間における耐サージ電圧、すなわちコイルL1の電極パターンL1aとコイルL1の電極パターンL1bが、層間絶縁層5を間に挟んで交差するように配置されている配線間の耐サージ電圧である。配線間の間隔は、層間絶縁層5の厚みによって規定されるので、放電ギャップ30aと同条件である。ここで、コイルL1内の配線間の材質はポリイミド樹脂であり、絶縁破壊電圧は307kV/mmである。放電ギャップ30aの配線間の材質は空気であり、絶縁破壊電圧は3.6kV/mmである。
これより、放電ギャップ30aにかかる耐サージ電圧<コイルL1内の耐サージ電圧となるので、本実施形態では、サージ電圧による過電流の大部分を放電ギャップ30a側に通すことができる。このように構成しているので、コイル装置のESD耐性を向上させることができる。
本実施形態では、放電ギャップ30aは、絶縁層1の側面のうち、外部電極11、12が形成されている側面とは異なる側面に形成されている。このように構成しているので、コイル装置100の実装時に放電電極30、31と外部電極11、12との間が電気的にショートする可能性が低くなるため、信頼性が向上する。
本実施形態では、放電電極31とコイルL1の電極パターンL1aとは、同一平面上に一体成形されている。また、放電電極30とコイルL1の電極パターンL1bとは、同一平面上に一体成形されている。このように構成しているので、コイル装置の製造が簡単になる。
本実施形態では、コイルL1内の耐サージ電圧は、コイルL1内で最も近接している配線間における耐サージ電圧、すなわちコイルL1の電極パターンL1aとコイルL1の電極パターンL1bが、層間絶縁層5を間に挟んで交差するように配置されている配線間の耐サージ電圧である。このように構成しているので、コイルL1の内部よりも放電ギャップ30a側にサージ電圧による過電流が通りやすくなり、コイルの内部に流れる電流が抑制され、コイル装置のESD耐性を向上させることができる。
本実施形態では、サージ電圧による過電流は、配線間の最短経路を流れる。これより、放電電極30と放電電極31は、必ずしも上主面からの平面視で略重なって形成されていなくてもよい。配線が近接していれば、積層方向に対して垂直方向にずれて形成されていても構わない。
(実施形態2)
図3(A)は本実施形態2に係るコイル装置200の外観斜視図である。図3(B)はコイル装置200の側面図である。図3(C)は図3(B)の側面と対向する側面の側面図である。図4は本実施形態2に係るコイル装置200の分解斜視図である。ここで、実施形態2は、前述した実施形態1におけるコイルL1をコモンモードチョークコイルに置き換えた構成のものである。以下、図3と図4を参照しながら説明する。実施形態1と同一の部分には、同一符号を付して重複説明を省略する。
図3(A)は本実施形態2に係るコイル装置200の外観斜視図である。図3(B)はコイル装置200の側面図である。図3(C)は図3(B)の側面と対向する側面の側面図である。図4は本実施形態2に係るコイル装置200の分解斜視図である。ここで、実施形態2は、前述した実施形態1におけるコイルL1をコモンモードチョークコイルに置き換えた構成のものである。以下、図3と図4を参照しながら説明する。実施形態1と同一の部分には、同一符号を付して重複説明を省略する。
本実施形態2のコイル装置200は、図3(A)に示すように、絶縁層41と、前記絶縁層41の両主面に設けられている磁性体基板2、3が積層されてなる積層体50と、前記絶縁層41内にスパイラル型に設けられているコイルL1及びL2と、前記積層体10の側面に対向して設けられ、コイルL1の両端と接続されている外部電極20、21と、コイルL2の両端と接続されている外部電極22、23から構成されている。外部電極20、21、22、23は、例えばAgから構成されている。
絶縁層41は、図4に示すように、直方体形状をした磁性体基板2の表面に順次積層固着された第1の外側絶縁層4、第1の層間絶縁層5、第2の層間絶縁層7、第3の層間絶縁層8、及び第2の外側絶縁層6でもって構成されている。絶縁層41の各層は、例えば感光性ポリイミド樹脂から構成されている。
絶縁層41の一部を構成する第1の外側絶縁層4、第1のコイルL1の電極パターンL1b、第1の層間絶縁層5、及び第1のコイルL1の電極パターンL1aについては実施形態1に対応するので説明を省略する。
第2の層間絶縁層7は薄い板状をしており、第1の層間絶縁層5の表面に形成されている。
第2の層間絶縁層7の表面には、導電性材料からなる第2のコイルL2の電極パターンL2aが形成されている。第2のコイルL2の電極パターンL2aは薄膜導体からなり、例えばフォトリソグラフィにより形成されている。
第3の層間絶縁層8は薄い板状をしており、第2の層間絶縁層7の表面に形成されている。第3の層間絶縁層8には、充填ビア16が形成されており、第3の層間絶縁層8の表面には、導電性材料からなる第2のコイルL2の電極パターンL2bが形成されている。第2のコイルL2の電極パターンL2bは薄膜導体からなり、例えばフォトリソグラフィにより形成されている。
第2の外側絶縁層6は薄い板状をしており、第3の層間絶縁層8の表面に形成されている。
磁性体基板3は直方体をしており、第2の外側絶縁層6の表面に接着剤により接着されている。接着剤は、例えば熱硬化性のポリイミド樹脂が用いられており、例えば印刷により形成されている。
第1のコイルL1の電極パターンL1aは、略スパイラル形状に形成されている。電極パターンL1aの一端には充填ビア15が形成されており、他端は同一平面上の側面に達して外部電極21と導通するように形成されている。
第1のコイルL1の電極パターンL1bの一端は同一平面上の側面に達して外部電極20と導通するように形成されており、他端は充填ビア15と導通するように形成されている。
第1のコイルL1の電極パターンL1bの一端は、第1の層間絶縁層5に形成されている充填ビア15を介して第1のコイルL1の電極パターンL1aの他端と導通し、一巻きのコイルL1が形成されている。
第2のコイルL2の電極パターンL2aは、略スパイラル形状に形成されている。電極パターンL2aの一端には充填ビア16が形成されており、他端は同一平面上の側面に達して外部電極23と導通するように形成されている。
第2のコイルL2の電極パターンL2bの一端は同一平面上の側面に達して外部電極22と導通するように形成されており、他端は充填ビア16と導通するように形成されている。
第2のコイルL2の電極パターンL2aの一端は、第3の層間絶縁層8に形成されている充填ビア16を介して第2のコイルL2の電極パターンL2bの他端と導通し、一巻きのコイルL2が形成されている。
第1のコイルL1と第2のコイルL2は絶縁層41内で磁気的に結合してコモンモードチョークコイルを形成している。
第1のコイルL1の電極パターンL1aの他端からは、外部電極が形成されている側面とは異なる側面方向にパターンがのびており、第1の層間絶縁層5の側面に達して放電電極31が形成されている。放電電極31は薄膜導体からなり、例えばフォトリソグラフィにより同一平面上のコイルL1の電極パターンL1aと一体成形されている。
また、電極パターンL1bの一端からは、外部電極が形成されている側面とは異なる側面方向にパターンがのびており、外側絶縁層4の側面に達して放電電極30が形成されている。放電電極30は薄膜導体からなり、例えばフォトリソグラフィにより同一平面上のコイルL1の電極パターンL1bと一体成形されている。
第2のコイルL2の電極パターンL2aの他端からは、外部電極が形成されている側面とは異なる側面方向にパターンがのびており、第2の層間絶縁層7の側面に達して放電電極33が形成されている。放電電極33は薄膜導体からなり、例えばフォトリソグラフィにより同一平面上のコイルL2の電極パターンL2aと一体成形されている。
また、電極パターンL2bの一端からは、外部電極が形成されている側面とは異なる側面方向にパターンがのびており、第3の層間絶縁層8の側面に達して放電電極32が形成されている。放電電極32は薄膜導体からなり、例えばフォトリソグラフィにより同一平面上のコイルL2の電極パターンL2bと一体成形されている。
放電電極30及び放電電極31については実施形態1に対応するので説明を省略する。
放電電極32と放電電極33は、絶縁層41の同一の側面の端部に露出している。放電電極32と放電電極33は、上主面からの平面視で略重なって形成されている。
図3(C)に示すように、放電電極32と、放電電極33との間には、放電ギャップ32aが形成されている。放電ギャップ32aの間隔は、放電電極32と放電電極33の最短距離によって規定されている。本実施形態では、放電ギャップ32aの間隔は第3の層間絶縁層8の厚みによって規定される。放電ギャップ32aは側面の端部に露出し、エアギャップをなしている。この放電ギャップ32aにかかる耐サージ電圧を、コイルL1及びコイルL2内の耐サージ電圧未満に設定しているので、サージ電圧による過電流の大部分を放電ギャップ32a側に通すことができる。
耐サージ電圧は、配線間の間隔と配線間の材質の絶縁破壊電圧を乗じた値によって決定される。コイルL1及びコイルL2内の耐サージ電圧は、具体的には、コイルL1及びコイルL2内で最も近接している配線間における耐サージ電圧、すなわちコイルL1を構成しているコイルL1の電極パターンL1aとコイルL1の電極パターンL1bが、第1の層間絶縁層5を間に挟んで交差するように配置されている配線間の耐サージ電圧、あるいはコイルL2を構成しているコイルL2の電極パターンL2aとコイルL2の電極パターンL2bが、第3の層間絶縁層8を間に挟んで交差するように配置されている配線間の耐サージ電圧である。
前者の配線間の間隔は、第1の層間絶縁層5の厚みによって規定されるので、放電ギャップ30aと同条件である。後者の配線間の間隔は、第3の層間絶縁層8の厚みによって規定されるので、放電ギャップ32aと同条件である。ここで、コイル内の配線間の材質はポリイミド樹脂であり、絶縁破壊電圧は307kV/mmである。放電ギャップ30aと32aの配線間の材質は空気であり、絶縁破壊電圧は3.6kV/mmである。
これより、放電ギャップ30aにかかる耐サージ電圧<コイルL1内の耐サージ電圧となるので、本実施形態では、サージ電圧による過電流の大部分を放電ギャップ30a側に通すことができる。
また、放電ギャップ32aにかかる耐サージ電圧<コイルL2内の耐サージ電圧となるので、本実施形態では、サージ電圧による過電流の大部分を放電ギャップ32a側に通すことができる。このように構成しているので、コモンモードチョークコイルにおいても、コイル装置のESD耐性を向上させることができる。
本実施形態では、放電電極33とコイルL2の電極パターンL2aとは、同一平面上に一体成形されている。また、放電電極32とコイルL2の電極パターンL2bとは、同一平面上に一体成形されている。このように構成しているので、コイル装置の製造が簡単になる。
本実施形態では、第1のコイルL1の放電ギャップ30aと、第2のコイルL2の放電ギャップ32aが、前記絶縁層41の側面のうち、対向する側面に形成されている。このように構成しているので、湿度が高い条件の時に第1のコイルL1の放電電極と第2のコイルL2の放電電極との間でマイグレーションが起きる可能性が低くなる。これより、第1のコイルの放電電極と第2のコイルの放電電極の間でIR劣化が起こりにくくなるため、信頼性の低下を防ぐことができる。
本実施形態では、コイルL1及びコイルL2内の耐サージ電圧は、コイルL1及びコイルL2内で最も近接している配線間における耐サージ電圧、すなわちコイルL1を構成しているコイルL1の電極パターンL1aとコイルL1の電極パターンL1bが、第1の層間絶縁層5を間に挟んで交差するように配置されている配線間の耐サージ電圧、あるいはコイルL2を構成しているコイルL2の電極パターンL2aとコイルL2の電極パターンL2bが、第3の層間絶縁層8を間に挟んで交差するように配置されている配線間の耐サージ電圧である。
このように構成しているので、コイルの内部よりも放電ギャップ30aまたは放電ギャップ32a側にサージ電圧による過電流が通りやすくなり、コイルの内部に流れる電流が抑制され、コイル装置のESD耐性を向上させることができる。
本実施形態では、サージ電圧による過電流は、配線間の最短経路を流れる。これより、放電電極30と放電電極31は、必ずしも上主面からの平面視で略重なって形成されていなくてもよい。配線が近接していれば、積層方向に対して垂直側面に並列に露出していなくてもよい。配線が近接していれば、積層方向に対して垂直方向にずれて形成されていても構わない。また、放電電極32と、放電電極33も同様にずれて形成されていても構わない。
本実施形態では、コモンモードチョークコイルを例にして説明をしたが、これに限るものではない。例えば、トランス等であってもよい。
前記実施形態では、磁性体基板の材料としてポリイミド樹脂を使用したが、これに限るものではない。例えば、フェライトなどを用いてもよい。
前記実施形態では、絶縁層の材料として感光性ポリイミド樹脂を使用したが、これに限るものではない。例えば、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ベンゾシクロブテン樹脂等の樹脂材料や、SiO2等のガラス、ガラスセラミックス等や、誘電体等を用いてもよい。
前記実施形態では、絶縁層の形成に、スパッタリングや蒸着等の薄膜形成法、あるいはスクリーン印刷やスピンコートなどの厚膜形成法といった成膜技術を用いることができる。
前記実施形態では、絶縁層への導電配線パターンの形成に、フォトリソグラフィ工法を用いることができる。この場合は、前記絶縁層の各材料に感光性機能を付加した材料を用いるなど、導電配線パターンの形成方法に応じて、絶縁層に複数材料を組み合わせたものを使用してもよい。
前記実施形態では、内部電極及びコイルの材料にAgを用いているが、これに限るものではない。例えば、Pb、Cu、Al等の金属、あるいはAgを含むこれらの金属の合金等を用いてもよい。このとき、電極材料の組み合わせは、加工、密着性を考慮して選択することが望ましい。
前記実施形態では、外部絶縁層は単独の層で絶縁と接着の機能を持たせてもよいし、絶縁層、接着層、基材等の複合材でもよい。材料としては、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、フッ素樹脂等の樹脂あるいはガラス、ガラスセラミックス、無機セメント等が使用できる。
前記実施形態では、接着剤の接着方法にスクリーン印刷を用いたが、これに限るものではない。例えば、スピンコート等でもよい。
前記実施形態では、外部電極端子の材料にAgを用いているが、これに限るものではない。例えばCu、NiCrまたはNiCu等の材料を用いてもよい。
前記実施形態では、外部電極端子の形成方法に、導電性ペーストの塗布、スパッタリング、あるいは蒸着等の方法を使用することができる。
前記実施形態では、外部電極上に、例えば湿式電界めっきにより金属膜を形成してもよい。金属膜は例えばNi、Sn、Sn−Pb等の材料から構成されている。
前記実施形態では、放電電極上に、例えば湿式電界めっきにより金属膜を形成してもよい。金属膜は例えばNi、Sn、Sn−Pb等の材料から構成されている。
100、200、500…コイル装置
1、41…絶縁層
2、3…磁性体基板
4、6…外部絶縁層
5、7、8…層間絶縁層
10、50…積層体
15、16…充填ビア
L1、L1a、L1b…第1のコイル
L2、L2a、L2b…第2のコイル
11、12、20、21、22、23…外部電極
30、31、32、33…放電電極
30a、32a…放電ギャップ
1、41…絶縁層
2、3…磁性体基板
4、6…外部絶縁層
5、7、8…層間絶縁層
10、50…積層体
15、16…充填ビア
L1、L1a、L1b…第1のコイル
L2、L2a、L2b…第2のコイル
11、12、20、21、22、23…外部電極
30、31、32、33…放電電極
30a、32a…放電ギャップ
Claims (6)
- 絶縁層と、前記絶縁層の両主面に設けられている磁性体基板を備える積層体と、
前記絶縁層内にスパイラル型に設けられている第1のコイルと、
前記積層体の側面に設けられ、前記第1のコイルの一端と接続された第1の外部電極と、
前記積層体の側面に設けられ、前記第1のコイルの他端と接続された第2の外部電極と、
前記第1のコイルの一端と接続された第1の放電電極と、
前記第1のコイルの他端と接続された第2の放電電極とを備え、
前記第1の放電電極と、前記第2の放電電極は前記絶縁層の同一の側面に形成され、前記第1の放電電極と、前記第2の放電電極の間に第1の放電ギャップが設けられており、
前記第1の放電ギャップにおける耐サージ電圧が、前記コイル内の耐サージ電圧未満であることを特徴とするコイル装置。 - 前記絶縁層内にスパイラル型に設けられており、前記第1のコイルと磁気的に結合してコモンモードチョークコイルを構成している第2のコイルと、
前記積層体の側面に設けられ、前記第2のコイルの一端と接続された第3の外部電極と、
前記積層体の側面に設けられ、前記第2のコイルの他端と接続された第4の外部電極と、
前記第2のコイルの一端と接続された第3の放電電極と、
前記第2のコイルの他端と接続された第4の放電電極とを更に備え、
前記第3の放電電極と、前記第4の放電電極は前記絶縁層の同一の側面に形成され、前記第3の放電電極と、前記第4の放電電極の間に第2の放電ギャップが設けられており、
前記第2の放電ギャップにおける耐サージ電圧が、前記コイル内の耐サージ電圧未満であることを特徴とする請求項1に記載のコイル装置。 - 前記第1の放電ギャップと、前記第2の放電ギャップが前記絶縁層の側面のうち、対向する側面に形成されていることを特徴とする請求項2に記載のコイル装置。
- 前記放電ギャップは、前記絶縁層の側面のうち、外部電極が形成されている側面とは異なる側面に形成されていることを特徴とする請求項1〜3のうち、いずれか1項に記載のコイル装置。
- 前記コイルを構成している配線と、前記放電電極とは、同一平面上に一体成形されていることを特徴とする請求項1〜4のうち、いずれか1項に記載のコイル装置。
- 前記絶縁層は、複数の絶縁体が積層されてなり、前記コイル内の耐サージ電圧は、前記コイルを構成している配線が、前記絶縁層内の一層を間に挟んで交差するように配置されている配線間の耐サージ電圧であることを特徴とする請求項1〜5のうち、いずれか1項に記載のコイル装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2010228271A JP2012084629A (ja) | 2010-10-08 | 2010-10-08 | コイル装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2010228271A JP2012084629A (ja) | 2010-10-08 | 2010-10-08 | コイル装置 |
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Publication Number | Publication Date |
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JP2012084629A true JP2012084629A (ja) | 2012-04-26 |
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ID=46243221
Family Applications (1)
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JP2010228271A Pending JP2012084629A (ja) | 2010-10-08 | 2010-10-08 | コイル装置 |
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Country | Link |
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JP (1) | JP2012084629A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN107683008A (zh) * | 2017-11-06 | 2018-02-09 | 佛山鑫进科技有限公司 | 一种低容esd静电保护抑制器 |
JP2018032843A (ja) * | 2016-08-23 | 2018-03-01 | サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド. | 複合電子部品 |
WO2021162294A1 (ko) * | 2020-02-10 | 2021-08-19 | 주식회사 모다이노칩 | 복합 소자 |
-
2010
- 2010-10-08 JP JP2010228271A patent/JP2012084629A/ja active Pending
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CN107683008A (zh) * | 2017-11-06 | 2018-02-09 | 佛山鑫进科技有限公司 | 一种低容esd静电保护抑制器 |
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