JP2012084577A - 電磁波吸収粉末及び樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】磁性金属を樹脂に混練した場合に磁性金属と樹脂とが接触して触媒反応を生ずることを防止するとともに、磁性金属を混練した樹脂に十分な絶縁性を付与する。
【解決手段】磁性金属粒子11と、磁性金属粒子11を覆うセラミックス粒子13とを含み、磁性金属粒子11とセラミックス粒子13との間に磁性金属粒子11を構成する金属成分の無機化合物の中間層12を有する電磁波吸収粉末を用いる。
【選択図】図1

Description

本発明は、電磁波吸収粉末及びこの電磁波吸収粉末を有する樹脂組成物に関する。
モバイル等の半導体機器のリードフレーム金属からは、高周波の電磁波が発生し、これらの電磁波は、他の要素、部品等に悪影響を及ぼすノイズの原因となる。これは、リードフレーム金属を有する半導体機器における最大の課題である。
この課題を解決するため、磁性体の粉末を電磁波吸収フィラーとして用いる技術がある。しかし、電磁波吸収フィラーの構成要素である磁性金属粉末が互いに接触する場合があるため、磁性金属粉体をセラミックスで被覆して絶縁性を確保する技術が開発されてきている。
情報機器への電磁波対策の国際規格「CISPR22」の導入などにより、電磁波吸収性能と絶縁性との両立が新たに求められるようになっている。
このため、電磁波吸収材料である磁性体をシリカ等のセラミックスとの複合材料とし、この複合材料をフィラーとして樹脂に混練し、樹脂の高機能化を図ることが必要とされている。
特許文献1には、フェライト磁性粉体として、シリカで被覆したスピネル型フェライト磁性粉体が開示されている。
特許文献2には、磁性金属材料とセラミックスとが一体となった複合磁性粒子を、高電気抵抗率を有する材料に分散させた電磁波吸収材が開示されている。
特許文献3には、磁性金属材料とセラミックスとが一体となった電磁波吸収材料を有する部材で覆われた発光素子及び受光素子を搭載した光送信・受信モジュールが開示されている。
特許文献4には、軟磁性金属材料から成り非金属物質で表面処理が施された粉末がゴムに分散してなる耐食性に優れた電磁波吸収材が開示されている。
特許文献5には、フェライト酸化物と軟磁性金属粒子とからなる高周波磁性材料をエアロゾル化して吹きつけることによって、所望の部材に電磁波吸収特性を付与する方法が開示されている。
特許文献6には、高導電性を示すアルミ粉末を異種金属で被覆した導電性粉末が開示されている。
特開2005−139050号公報 特開2001−358493号公報 特開2002−299648号公報 特開2000−223884号公報 特開2006−128278号公報 特開2000−17194号公報
従来の電磁波対策は、シランカップリングなどによって電磁波吸収に有効な磁性金属粉末の表面にシリカ若しくはガラス状物質をコーティングした電磁波吸収フィラーを、樹脂に混練することにより行われてきた。
しかし、この対策では、樹脂混練中に電磁波吸収フィラーにかかるストレスのため、被覆物質であるシリカの破砕又は剥離が生じる。このため、磁性金属が露出しやすく、その後のシート化のプレス加工によって磁性金属粉末同士が接触して絶縁性が低下する傾向があった。
また、磁性金属と樹脂とが接触すると、加熱・混練の際に磁性金属の触媒作用によって樹脂の高分子鎖が切断され、樹脂の物理的および機械的性質が劣化する場合があった。
特許文献1〜6のいずれの技術を用いても、樹脂の絶縁性を高く保つためには、熱可塑性樹脂に混練する際に粉末が受ける強いストレスによる粉末のせん断から十分に保護することは難しい。
本発明の目的は、磁性金属を樹脂に混練した場合に磁性金属と樹脂とが接触して触媒反応を生ずることを防止するとともに、磁性金属を混練した樹脂に十分な絶縁性を付与することにある。
本発明の電磁波吸収粉末は、磁性金属と、前記磁性金属を覆うセラミックス粒子とを含み、前記磁性金属と前記セラミックス粒子との間に前記磁性金属を構成する金属成分の無機化合物の中間層を有することを特徴とする。
本発明によれば、電気的絶縁性に優れ、かつ、樹脂との混練の際に樹脂の劣化を防止する電磁波吸収粉末(電磁波吸収フィラー)及び樹脂組成物を提供することができる。
実施例の電磁波吸収粉末を構成する粒子を示す模式断面図である。 複数個の磁性金属粒子を含む電磁波吸収粉末粒子を示す模式断面図である。 原材料である磁性金属/セラミックス複合粉末を構成する粒子を示す模式断面図である。 原材料である磁性金属/セラミックス複合粉末の窒化処理をするための処理設備を示す構成図である。 原材料である磁性金属/セラミックス複合粉末の浸炭処理をするための処理設備を示す構成図である。 原材料である磁性金属/セラミックス複合粉末のアルカリ黒色処理をするための処理設備を示す構成図である。 原材料である磁性金属/セラミックス複合粉末の中間層形成による三層構造を示す模式断面図である。
本発明は、電磁波吸収粉末(電磁波吸収フィラー)の中間層形成に関する。
本発明は、鉄等の磁性金属とシリカ等のセラミックスとで構成された磁性金属/セラミックス複合粉末において、セラミックス粒子の性質を変えることなく、磁性金属の表面に窒化処理、炭化処理若しくは酸化処理を施すことにより、磁性金属/セラミックス複合粉末と樹脂とを混練する際に磁性金属と樹脂との接触を防止するとともに、混練によって形成された樹脂成形体に十分な絶縁性を付与するものである。
ここで、磁性金属/セラミックス複合粉末に窒化処理、炭化処理、酸化処理等を施したものが本発明の電磁波吸収粉末(電磁波吸収フィラー)である。
実施例の電磁波吸収粉末は、最大長さが1〜30マイクロメートルの磁性金属片と、寸法が磁性金属片の十分の一以下であるセラミック粒子とを含み、磁性金属片の周囲をセラミックス粒子が覆う構造を有する。隣接するセラミックス粒子は接触しているが、接触していない部分は空隙である。実際には、このような構造を有する粒子が複数個結合(積層)している。
磁性金属片の表面、すなわち磁性金属片とセラミックス粒子との間には、厚さが10〜100ナノメートルである磁性金属と窒素との化合物、磁性金属と炭素との化合物、磁性金属と酸素との化合物、若しくは磁性金属と硫黄との化合物が中間層として形成されている。すなわち、ここでいう中間層は、磁性金属を構成する金属成分の無機化合物の膜である。
本発明の電磁波吸収粉末は、絶縁性、熱伝導性及び電磁波吸収性を向上させたものであり、粉末状の磁性金属/セラミックス複合材料として用いる。この電磁波吸収粉末は、樹脂に混練してもよい。
なお、本明細書において、電磁波吸収粉末とは、電磁波を吸収する粒子の集合体をいう。また、電磁波吸収粉末を構成する一個の粒子を粉末粒子(電磁波吸収粉末粒子)と呼ぶ。
中間層を構成する無機化合物は、磁性金属を構成する金属成分の炭化物、窒化物、酸化物又は硫化物である。
磁性金属粒子の表面は、前記セラミックス粒子及び前記無機化合物で覆われていることが望ましい。
電磁波吸収粉末と樹脂とを混練したものを樹脂組成物と呼ぶ。
また、樹脂組成物を成形したものを樹脂成形体と呼ぶ。
(複合材料の概要)
図1は、実施例の電磁波吸収粉末を構成する粒子を示す断面図である。
本図において、電磁波吸収粉末粒子14の中心部は、最大長さが1〜30マイクロメートルの磁性金属粒子11(鉄片)で構成されている。磁性金属粒子11の周囲は、直径10〜100ナノメートルのセラミックス粒子13(シリカ粒子)で覆われている。磁性金属粒子11の表面、すなわち磁性金属粒子11とセラミックス粒子13との間には、中間層12が形成されている。
図7は、実施例の電磁波吸収粉末を構成する粒子を示す断面図である。
本図において、電磁波吸収粉末粒子14の中心部は、最大長さが1〜30マイクロメートルの磁性金属粒子11(鉄片)で構成されている。磁性金属粒子11の周囲は、直径10〜100ナノメートルのセラミックス粒子13(シリカ粒子)で覆われている。磁性金属粒子11の表面、すなわち磁性金属粒子層511(磁性金属粒子単層)とセラミックス粒子層513(セラミックス粒子単層)との間には、中間層512が形成されている。中間層512は、磁性金属粒子11およびセラミックス粒子13が共存し、その界面には化合物層15が形成されている。
中間層12は、磁性金属粒子11の半径に対して、5乃至20パーセントの厚みを有する。
図2は、電磁波吸収粉末を構成する一個の粒子の例を示したものであり、図1に示す電磁波吸収粉末粒子が複数個積層して一個の粒子を形成している状態である。
本図において、電磁波吸収粉末粒子114には、針状又は扁平状の磁性金属粒子11が複数個含まれ、それぞれの磁性金属粒子11がセラミックス粒子13で覆われている。磁性金属粒子11の間にもセラミックス粒子13が存在する構成となっている。また、磁性金属粒子11の表面には、中間層12が形成されている。
実施例の電磁波吸収粉末は、本図に示すような電磁波吸収粉末粒子114を含むため、粒径分布は広く、100ナノメートルから30000ナノメートルにわたっている。篩別することによって粒径を揃えることは可能であるが、粒径分布の最大値が10000〜20000ナノメートルであるため、微細粉末の混練で見られるような、粉末の高充填時における樹脂の粘性の急激な低下は見られなかった。
以下、中間層の形成方法について説明する。
図3は、原材料である磁性金属/セラミックス複合粉末を構成する粒子を示す模式断面図である。
本図において、磁性金属/セラミックス複合粉末粒子214の中心部には、磁性金属粒子11があり、磁性金属粒子11の周囲はセラミックス粒子13で覆われている。
(複合材料の窒化処理工程)
図4は、窒化処理の処理設備の構成を示したものである。
図3に示す磁性金属/セラミックス複合粉末(原材料)に窒化処理を施すことによって、磁性金属粒子の表面、すなわち磁性金属粒子とセラミックス粒子との間に磁性金属の窒化物層を形成し、この窒化物層を中間層とする。これにより、磁性金属粒子の絶縁性を維持するとともに、電磁波吸収粉末に含まれる磁性金属が樹脂と直接接触し、触媒反応によって樹脂の高分子鎖が切断されることを防止し、樹脂の強度が劣化しないようにする。
図4に示す処理設備においては、磁性金属/セラミックス複合粉末粒子214を金属製の容器22に入れて電気炉21の内部に設置する。電気炉21には、窒素及びメタンの混合ガスを供給するための配管31、窒素及びアンモニアの混合ガス又は窒素ガスを供給するための配管32が接続してある。また、電気炉21には、配管41、42を介して真空ポンプ52が接続してある。配管41、42には、切り替え弁51が設けてあり、配管31、32からガスが供給された場合に圧力調節用排気管43を介してガスを排気することができるようになっている。
窒化処理は、以下の手順に従って実施した。
まず、粒径1〜5μmの鉄粉(Fe)50vol%、及び平均粒径0.3μmのシリカ粒子(SiO粒子)50vol%の混合粉末とSUS410製ボール(粒径:9.5mm)とを重量比にして粉末:ボール=1:80でSUS製の容器に一緒に入れ、アルゴンガスを封入して回転数200rpmで100時間、メカニカルアロイング(MA)処理を行った。これにより、鉄/シリカ複合粉末を作製した。MA後の複合粒子の形状は複雑な形状を有する不定形であり、複合粒子の平均粒径は数十μmであった。
上記の鉄/シリカ複合粉末を窒化処理の原材料である磁性金属/セラミックス複合粉末214とした。
つぎに、上記の鉄/シリカ複合粉末を50グラムほど電気炉21の内部に設置し、真空ポンプ52によって電気炉21の内部の空気を排気した後、5%メタンガスを含んだ窒素ガスを5SCCM(立方センチメートル気圧(standard cubic centimetre))で一定にして流した。また、別系統の配管からアンモニアを40%含んだ窒素ガスを流した。30分間室温で放置した後、570℃に加熱した。5時間の定温加熱後、炉内で徐冷した。
炉から取り出した鉄/シリカ複合粉末の断面組織を走査型電子顕微鏡およびエネルギー分散型スペクトロスコピーによって測定した。その結果、鉄/シリカ複合粉末に含まれる鉄の表面層が厚さ約100ナノメートルにわたって磁性金属の窒化物層に変化していることを検証した。
(複合材料の炭化処理工程)
図5は、浸炭処理(炭化処理)の処理設備の構成を示したものである。
磁性金属/セラミックス複合粉末に浸炭処理を施すことによって、磁性金属の表面に磁性金属の炭化物層が形成される。
図5に示す処理設備においては、磁性金属/セラミックス複合粉末粒子214及び炭素粒子15(微粉炭)を金属製の容器22に入れて電気炉21の内部に設置する。電気炉21には、窒素ガスを供給するための配管33が接続してある。また、電気炉21には、配管41、42を介して真空ポンプ52が接続してある。配管41、42には、切り替え弁51が設けてあり、配管33からガスが供給された場合に圧力調節用排気管43を介してガスを排気することができるようになっている。
浸炭処理は、以下の手順に従って実施した。
窒化処理の場合と同様に、上記の鉄/シリカ複合粉末を浸炭処理の原材料とした。
鉄/シリカ複合粉末約20グラムおよび微粉炭であるVULKAN1グラムをV字型ブレンダーによって30分間混合した。そして、混合した粉末を鉄製の箱(金属製の容器22)に詰めて電気炉21の内部に設置し、真空ポンプ52によって炉内の空気を排気した後、窒素ガスを5SCCMで流した。30分間室温で放置した後、1000℃に加熱した。6時間の定温加熱後、炉内で徐冷した。
電気炉21から取り出した粉末の断面組織を走査型電子顕微鏡およびエネルギー分散型スペクトロスコピーによって測定した。その結果、鉄/シリカ複合粉末に含まれる鉄の表面層が、厚さ約100乃至1000ナノメートルにわたって炭化物層に変化していることを検証した。樹脂の種類や粒径にもよるが、100ナノメートル以上の厚みが必要であり、例えば、粉末粒子の10000ナノメートルの半径に対して、その五分の一乃至十分の一程度の幅である1000乃至2000ナノメートル程度の厚さがあれば良い。
(複合材料の酸化処理工程)
図6は、アルカリ黒色処理(酸化処理)の処理設備の構成を示したものである。
磁性金属/セラミックス複合粉末にアルカリ黒色処理を施すことによって、磁性金属の表面に形成された磁性金属の炭化物層が形成される。
図6に示す処理設備においては、磁性金属/セラミックス複合粉末粒子214及びアルカリ溶液301を耐食性容器302に入れて耐食性の蓋303をし、さらに、耐食性容器302をステンレス製の容器304に入れてステンレス製の蓋305をし、電気炉21の内部に設置する。
窒化処理の場合と同様に、上記の鉄/シリカ複合粉末を浸炭処理の原材料とした。
鉄/シリカ複合粉末10グラムをテフロン(登録商標)製容器(耐食性容器302)に入れ、アルカリ溶液301として10%水酸化ナトリウム水溶液を20ミリリットル注いだ。
これにテフロン(登録商標)製の上蓋(蓋305)をしてステンレス製のオートクレーブ容器(容器304)に入れ、140℃に加熱した電気炉21で6時間加熱した後、炉内で徐冷した。電気炉21から取り出した後、ろ過および水洗浄を行い、ロータリーポンプを用いて10−2パスカルまで減圧した雰囲気で110℃に加熱して乾燥させた。
これにより、鉄/シリカ複合粉末に含まれる鉄の表面に酸化物層を形成することができた。
(複合材料のアルゴンガス処理工程)
前記の鉄/シリカ複合粉末を50グラムほど電気炉21の内部に設置し、真空ポンプ52によって電気炉21の内部の空気を排気した後、アルゴンガスを5SCCMで一定にして流した。30分間室温で放置した後、950℃に加熱した。6時間の定温加熱後、炉内で徐冷した。
炉から取り出した鉄/シリカ複合粉末の断面組織を走査型電子顕微鏡およびエネルギー分散型スペクトロスコピーによって測定した。その結果、鉄/シリカ複合粉末でシリカに接触した面の鉄がシリカ粒子間の隙間に浸透してゆき、シリカ/鉄界面に複合相を形成し、鉄/鉄シリカ化合物/シリカの混合した領域が形成された。鉄シリカ化合物は、SEM観察およびEDX分析により10乃至100ナノメートルの厚さの化合物層であることを検証した。鉄の表面層が厚さ10乃至100ナノメートルにわたって磁性金属の窒化物層に変化していることを検証した。三層構造の模式図を図7に示す。
(複合材料の真空処理工程)
前記の鉄/シリカ複合粉末を50グラムほど電気炉21の内部に設置し、真空ポンプ52によって電気炉21の内部の空気を排気した後、真空度が10−4Paに到達したのを確認した後、さらに30分間室温で放置してから、950℃に加熱した。6時間の定温加熱後、炉内で徐冷した。
炉から取り出した鉄/シリカ複合粉末の断面組織を走査型電子顕微鏡およびエネルギー分散型スペクトロスコピーによって測定した。その結果、前記アルゴンガス処理工程と同様な、鉄/鉄シリカ化合物/シリカの混合した領域が形成された。鉄シリカ化合物は、SEM観察およびEDX分析により10乃至100ナノメートルの厚さの化合物層であることを検証した。中間層の構成はアルゴンガス処理工程と類似しており、鉄の表面層が厚さ10乃至100ナノメートルにわたって磁性金属の窒化物層に変化していることを検証した。三層構造の模式図を図7に示す。
以下、上記のいずれかの処理工程によって作製した電磁波吸収粉末を樹脂に混練して成形する工程について説明する。
(電磁波吸収粉末と樹脂との混練及び成形)
電磁波吸収粉末と樹脂との配合比は、重量基準で85:15とした。
使用した樹脂は、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合樹脂(ABS)、ポリカーボネート(PC)、ポリプロピレン(PP)、ナイロン66、ポリブチレンテレフタレート(PBT)及びポリエチレン(PE)である。
混練装置は、Plasti−Corder PL2000(Brabender社製、容積55ml)である。この混練装置を用いて15分間撹拌した。その後、80℃で12時間乾燥した。
混練温度は、下記のように設定した。
PP:220℃
PE:220℃
PC:260℃
ABS:270℃
PBT:280℃
ナイロン66:300℃
プレス成形装置は、26トン−プレス機(150kgf/cm)である。
成形条件は、予熱3分、熱間加圧2分及び冷間加圧とした。
成形温度は、下記のように設定した。
PP:220℃
PE:220℃
ABS:270℃
PBT:270℃
PC:270℃
ナイロン66:280℃
実施例の電磁波吸収粉末を用いた場合、いずれの混練条件及び成形条件においても、磁性金属と樹脂とが接触して触媒反応を生ずることもなく、磁性金属を混練した樹脂に十分な絶縁性(体積抵抗率が1013Ω・cm以上)を付与することができた。樹脂にもよるが、本実施例で示した重量比で粉末:樹脂が85:15であれば、体積比で粉末が40乃至50パーセント入ることになる。従って、粉末同士の接触が不可避であり、もし剥離することがあると必ず体積抵抗が極端に低下し、導電体レベルの低抵抗率を示す。体積抵抗率が1013Ω・cm以上であるということは、絶縁性セラミックスであるシリカ粉末単体を樹脂混練した場合と同等の高抵抗であることを示している。
このほか、樹脂としてゴムを用いる場合、磁性金属/セラミックス複合粉末に含まれる磁性金属の表面に硫化物層を形成することが望ましい。磁性金属が鉄の場合、硫化物層はFeS又はFeである。ゴムは、加硫剤として硫黄を含むため、硫化物との親和性が高いこと、及び、ゴムと炭素とを混合することが望ましくないことがその理由である。
また、磁性金属は、磁性を有するものであれば特に限定されるものではなく、鉄、コバルト、ニッケル等、又はこれらを含む合金でもよい。合金の例としては、Sm−Co合金、Nd−Fe−B合金、センダスト(Fe−Si−Al合金)等が挙げられる。
また、実施例においては、セラミックス粒子としてシリカ粒子を用いたが、これに限定されるものではなく、鉄、アルミニウム、シリコン、チタン、バリウム、マンガン、亜鉛、マグネシウム、コバルト、ニッケル、ジルコニウム等の酸化物、窒化物又は炭化物でもよい。
電磁波吸収粉末を混練する樹脂も特に限定されるものではなく、天然樹脂でも合成樹脂でもよく、上記のほか、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリイミド(PI)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリスチレン(PS)、ポリ酢酸ビニル(PVAc)、アクリロニトリル−スチレン共重合樹脂(AS)、アクリル樹脂(PMMA)、ポリアミド(PA)、ポリアセタール(POM)、変性ポリフェニレンエーテル(m−PPE)、環状ポリオレフィン(COP)、ポリスルホン(PSF)、ポリエーテルサルフォン(PES)、非晶ポリアリレート(PAR)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリアミドイミド(PAI)等が挙げられる。
本発明の電磁波吸収粉末は、エステル結合等、混練の際に磁性金属による触媒反応で分解される化学構造を有する樹脂に適用することが特に望ましい。
11:磁性金属粒子、12:中間層、13:セラミック粒子、14、114:電磁波吸収粉末粒子、15:炭素粒子、21:電気炉、22:容器、31、32、33、41、42:配管、43:圧力調節用排気管、51:切り替え弁、52:真空ポンプ、214:磁性金属/セラミックス複合粉末粒子、301:アルカリ溶液、302:耐食性容器、303:蓋、304:容器、305:蓋。

Claims (6)

  1. 磁性金属粒子と、前記磁性金属粒子を覆うセラミックス粒子とを含み、前記磁性金属粒子と前記セラミックス粒子との間に前記磁性金属粒子を構成する金属成分の無機化合物の中間層を有することを特徴とする電磁波吸収粉末。
  2. 前記無機化合物は、前記金属成分の炭化物、窒化物、酸化物又は硫化物であることを特徴とする請求項1記載の電磁波吸収粉末。
  3. 磁性金属粒子の表面が、セラミックス粒子と接触する面から前記磁性金属粒子が前記セラミックス粒子間の隙間に浸透し、その界面に複合化合物を形成し、前記浸透した磁性金属とセラミック粒子と前記複合化合物の混合相で中間層が形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の電磁波吸収粉末。
  4. 前記中間層は、磁性金属粒子の半径に対して、5乃至20パーセントの厚みを有する請求項1乃至3のいずれかに記載の電磁波吸収粉末。
  5. 請求項1乃至4のいずれか一項に記載の電磁波吸収粉末と、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合樹脂、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ナイロン、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、アクリロニトリル−スチレン共重合樹脂、アクリル樹脂、ポリアミド、ポリアセタール、変性ポリフェニレンエーテル、環状ポリオレフィン、ポリスルホン、ポリエーテルサルフォン、非晶ポリアリレート、ポリエーテルエーテルケトン及びポリアミドイミドからなる群から選択される少なくとも1種類の樹脂とを含むことを特徴とする樹脂組成物。
  6. 体積抵抗率が1013Ω・cm以上であることを特徴とする請求項5記載の樹脂組成物。
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