JP2012083761A - 位相差フィルムおよびその製造方法、光学機能フィルム、偏光フィルム、並びに、表示装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】高分子フィルム内に屈折率異方性を有する材料が含有されてなる位相差フィルムであって、上記屈折率異方性を有する材料が、上記高分子フィルムの厚み方向に濃度勾配を有していることを特徴とする位相差フィルムを提供する。
【選択図】図1
Description
偏光板102Aおよび102Bは、所定の振動方向の振動面を有する直線偏光(図中、矢印で模式的に図示)のみを選択的に透過させるように構成されたものであり、それぞれの振動方向が相互に直角の関係になるようにクロスニコル状態で対向して配置されている。
また、液晶セル104は画素に対応する多数のセルを含むものであり、偏光板102Aと102Bとの間に配置されている。
ここで、コレステリック規則性の分子構造を有する位相差光学素子では、λ=nav・p(p:液晶分子の螺旋構造における螺旋(ヘリカル)ピッチ、nav:螺旋軸に直交する平面内での平均屈折率)で表される選択反射波長が、例えば特許文献1または特許文献2に開示されているように、透過光の波長よりも小さくなる、または大きくなるように調整している。
しかしながら、上述したような位相差層には、位相差層と基材(例えば偏光層の保護フィルムであるTAC(セルローストリアセテートフィルム))との間の密着性に問題があった。
また本発明は、上記目的を達成するために、第三のアスペクトとして、高分子フィルム内に屈折率異方性を有する材料が含有されてなる位相差フィルムであって、前記屈折率異方性を有する材料が、前記高分子フィルムの厚み方向に濃度勾配を有しており、当該濃度勾配が連続的に変化することを特徴とする位相差フィルムを提供することにより上記課題を解決するようにした。
まず、本発明の位相差フィルムについて説明する。
本発明の第一のアスペクトにおける位相差フィルムは、高分子フィルム内に屈折率異方性材料が含有されてなる位相差フィルムであって、上記屈折率異方性材料が、上記高分子フィルムの厚み方向に濃度勾配を有していることを特徴とするものである。
更に、本発明の第三のアスペクトにおける位相差フィルムは、高分子フィルム内に屈折率異方性を有する材料が含有されてなる位相差フィルムであって、前記屈折率異方性を有する材料が、前記高分子フィルムの厚み方向に濃度勾配を有しており、当該濃度勾配が連続的に変化することを特徴とするものである。
以下、このような本発明の位相差フィルムについて、各構成毎に詳細に説明する。
本発明に用いられる高分子フィルムは、特に限定されるものではないが、通常は可視光域の光を透過する樹脂から形成されるものが好適に用いられる。ここで、可視光域の光を透過するとは、可視光域380〜780nmにおける平均光透過率が50%以上、好ましくは70%以上、より好ましくは85%以上である場合である。なお、光透過率の測定は、紫外可視分光光度計(例えば、(株)島津製作所製 UV−3100PC)を用い、室温、大気中で測定した値を用いる。
すなわち、屈折率異方性材料を高分子フィルムに充填した際に、充填された屈折率異方性材料が、高分子フィルムが本来有する複屈折性等の屈折率の規則性をより強化し、これにより、種々の特性を有する位相差フィルムを得ることができると推測される。したがって、本発明に用いられる高分子フィルムは、何らかの屈折率の規則性を有するものが好適に用いられるのである。
また、面内リタデーション(Re)は、0nm〜300nmの範囲内であることが好ましく、特に0nm〜150nmの範囲内であることが好ましく、なかでも0nm〜125nmの範囲内であることが好ましい。
ここで、上記厚み方向及び面内方向リタデーションの値は、例えば自動複屈折測定装置(例えば、王子計測機器株式会社製、商品名:KOBRA−21ADH)を用いて、23℃、55%RHの環境下で、波長が589nmにおいて3次元屈折率測定を行い、屈折率nx、ny、nzを求めることにより得ることができる。
次に、本発明に用いられる屈折率異方性材料について説明する。本発明に用いられる屈折率異方性材料としては、高分子フィルム内に充填されることが可能であり、かつ複屈折性を有する材料であれば特に限定されるものではない。
本発明においては、高分子フィルム内への充填のし易さから、分子量が比較的小さい材料が好適に用いられる。具体的には、分子量が200〜1200の範囲内、特に400〜800の範囲内の材料が好適に用いられる。なお、ここでいう分子量とは、後述する重合性官能基を有し、高分子フィルム内で重合される屈折率異方性材料ついては、重合前の分子量を示すものである。
具体的には末端にアクリレート基を有する液晶性分子が好適に用いられる。末端にアクリレート基を有するネマチック液晶性分子の具体例を下記化学式(1)〜(6)に示す。
例えば、屈折率異方性材料が、分子構造が棒状である液晶性分子であって両末端に重合性官能基を1つ以上有するもの、及び分子構造が棒状である液晶性分子であって片末端に重合性官能基を1つ以上有するものを含む場合は、両者の配合比の調整により重合密度(架橋密度)及び位相差機能を好適に調整できる点から好ましい。
片末端に重合性官能基を1つ以上有する棒状液晶性分子の方が、高分子フィルムに浸透し易い、及び/又は高分子フィルム内で配向し易いため、位相差機能をより強化し易い傾向があるからである。一方で、両末端に重合性官能基を1つ以上有する棒状液晶性分子の方が、重合密度を高くすることができるため、分子の染み出し防止性や耐溶剤性や耐熱性等の耐久性を付与することができるからである。
本発明においては、上記屈折率異方性材料が、上記高分子フィルムの厚み方向に濃度勾配を有している点に特徴を有するものである。
本発明において、濃度勾配を有するとは、厚み方向の任意の2点において濃度が異なるものであれば特に限定されるものではない。本発明においては、屈折率異方性材料の濃度勾配が、高分子フィルムの一方の表面側が高濃度であり、他方の表面側に向かって低濃度となる濃度勾配である態様(第1の態様)、および屈折率異方性材料の濃度勾配が、高分子フィルムの両表面側が高濃度であり、中央部に向かって低濃度となる濃度勾配である態様(第2の態様)の二つの態様が好ましい態様であるといえる。しかしながら、表面側が低濃度であり、高分子フィルムの内部に高濃度の領域を有しているような態様であっても良い。以下、好ましい二つの態様について、各態様毎に説明する。
本発明における第1の態様は、屈折率異方性材料の高分子フィルムの厚み方向の濃度勾配が、高分子フィルムの一方の表面側が高濃度であり、他方の表面側に向かって低濃度となる濃度勾配である態様である。この第1の態様を図1に模式的に示す。図1に示すように、本態様においては、高分子フィルム1の一方の表面側3に屈折率異方性材料を含有する位相差強化領域2が形成されており、反対側の表面側4には、基材領域5が形成されている。
これにより、位相差強化領域において、屈折率異方性材料の電気双極子モーメントベクトルが平均して高分子フィルムの表裏面に平行な面内に揃う為、高分子フィルムの表裏面に平行な面と直交する法線方向の屈折率が、該面内方向の屈折率よりも相対的に低くなる。それによって負のCプレート特性を発現する。
以上のような状態により、屈折率異方性材料の染み出しが防止され安定した屈折率異方性を発現する。
本態様においては、このように高分子フィルムの一方の表面側に位相差強化領域が形成されたものであるので、以下のような利点を有する。
屈折率異方性材料の濃度勾配が、本態様のようになっているか否かの判断は、位相差強化領域および基材領域の組成分析により判断することができる。
本発明において、位相差フィルムの純水に対する接触角の一方の表面と他方の表面の差異は、2度以上であることが好ましく、更に4度以上、特に5度以上であることが好ましい。
本発明における第2の態様は、屈折率異方性材料の高分子フィルムの厚み方向の濃度勾配が、高分子フィルムの両表面側が高濃度であり、中央部に向かって低濃度となる濃度勾配である態様である。この第2の態様を図2に模式的に示す。図2に示すように、本態様においては、高分子フィルム1の両方の表面側に屈折率異方性材料を含有する位相差強化領域2が形成されており、中央部には、基材領域5が形成されている。
本態様においては、このように高分子フィルムの両表面側に位相差強化領域が形成されたものであるので、以下のような利点を有する。
本発明の位相差フィルムは、位相差フィルムの可視光領域におけるリタデーション値が、短波長側の方が長波長側よりも大きいものであることが好ましい。これは、一般に、液晶表示装置の液晶層に用いられる液晶材料の可視光域におけるリタデーション値は、短波長側の方が長波長側よりも大きい。したがって、本発明の位相差フィルムを例えば光学補償板として用いた場合、可視光域における全て波長において補償を行うことができるといった利点を有するからである。
なお、上記厚み方向及び面内方向リタデーションの値は、例えば自動複屈折測定装置(例えば、王子計測機器株式会社製、商品名:KOBRA−21ADH)を用いて、23℃、55%RHの環境下で、波長が589nmにおいて3次元屈折率測定を行い、屈折率nx、ny、nzを求めることにより得ることができる。
すなわち、本発明の位相差フィルムは、JIS−K7105に準拠して測定した際のヘイズ値が1%以下、更に0.8%以下であることを達成可能である。
尚、位相差フィルム同士の貼合わせ、積層は、例えば、適当な透明な接着剤層を介して貼り合せることにより行なわれる。
本発明の位相差フィルムの用途としては、光学的機能フィルムとして種々の用途に用いることができる。具体的には、光学補償板(例えば、視角補償板)、楕円偏光板、輝度向上板等を挙げることができる。
本発明の位相差フィルムの製造方法は、高分子フィルムの少なくとも一方の表面に、屈折率異方性材料が溶媒に溶解もしくは分散されてなる位相差強化領域形成用塗工液を塗布する塗布工程と、上記塗布工程により塗布された上記位相差強化領域形成用塗工液中の上記屈折率異方性材料を上記高分子フィルムに浸透させる浸透工程と、上記塗布工程により塗布された上記位相差強化領域形成用塗工液中の上記溶媒を乾燥させる乾燥工程とを有することを特徴とするものである。
次いで、第一の位相差強化領域形成用塗工液を塗布した側の面に更に、第二の位相差強化領域形成用塗工液を塗布する塗布工程を行い、続いて、第二の位相差強化領域形成用塗工液中の第二の屈折率異方性材料を浸透させる浸透工程、および上記第二の位相差強化領域形成用塗工液中の溶媒を乾燥させる乾燥工程を行ない、第二の位相差強化領域形成用塗工液を塗布した側から固定化工程を行うことにより、位相差フィルムを形成しても良い。この場合において、例えば、第一の屈折率異方性材料として、高分子フィルムに浸透し易い重合性官能基を有しない棒状液晶性分子を用い、第二の屈折率異方性材料として重合性官能基を有する棒状液晶性分子を用いると、高分子フィルムは、位相差をより強化しやすい重合性官能基を有しない棒状液晶性分子が含有された領域と、より表面側に重合性官能基を有する棒状液晶性分子が含有された領域とが共存して形成され、より強化された位相差を有しながら、高分子フィルム表面は固定化工程により重合されて安定化されるという効果が得られる。第一の屈折率異方性材料として、重合性官能基がより少ない棒状液晶性分子を用い、第二の屈折率異方性材料として重合性官能基がより多い棒状液晶性分子を用いても、上記と同様の効果が得られる。
以下、本発明の位相差フィルムの製造方法について、工程毎に説明する。
本発明における塗布工程は、高分子フィルムの少なくとも一方の表面に、屈折率異方性材料が溶媒に溶解もしくは分散されてなる位相差強化領域形成用塗工液を塗布する工程である。
本発明においては、塗布工程における位相差強化領域形成用塗工液の塗布量により、得られる位相差フィルムのリタデーション値を変化させることができる。
その他、重合禁止剤、レベリング剤、カイラル剤、シランカップリング剤等を挙げることができる。
また、高分子フィルム上への塗工量としては、得られる位相差フィルムが要求されるリタデーション値により異なるものであるが、屈折率異方性材料の乾燥後の塗工量が0.8g/m2〜8g/m2の範囲内、特に1.6g/m2〜5g/m2の範囲内であることが好ましい。
本発明においては、上記塗布工程の後、上記塗布工程により塗布された上記位相差強化領域形成用塗工液中の上記屈折率異方性材料を上記高分子フィルムに浸透させる浸透工程、および上記塗布工程により塗布された上記位相差強化領域形成用塗工液中の上記溶媒を乾燥させる乾燥工程が行われる。
さらに、用いた屈折率異方性材料が重合性官能基を有する場合は、屈折率異方性材料を重合させて高分子化するために、固定化工程が行われる。このような固定化工程を行うことにより、一旦高分子フィルム内に取り込まれた屈折率異方性材料が染み出すことを防止することが可能となり、得られる位相差フィルムの安定性を向上させるものである。
次に、本発明の光学機能フィルムについて説明する。本発明の光学機能フィルムは、上記「A.位相差フィルム」の欄で説明した位相差フィルムに、位相差フィルム以外の光学機能層を直接貼り合わせることにより形成されたことを特徴とするものである。
なお、本発明における光学機能層は、本発明の位相差フィルムを使用する各種用途において、本発明の位相差フィルムと協働して所望の光学機能を総合的に発現するものであれば特に限定されない。本発明における光学機能層には、例えば反射防止層、紫外線吸収層、赤外線吸収層などが挙げられる。
次に、本発明の偏光フィルムについて説明する。本発明の偏光フィルムは、上記「A.位相差フィルム」の欄で説明した位相差フィルムに、偏光層をポリビニルアルコール(PVA)系接着剤等で直接貼り合わせることにより形成されたことを特徴とするものである。
偏光層としては、特に限定されないが、例えばヨウ素系偏光層、二色性染料を用いる染料系偏光層やポリエン系偏光層などを用いることができる。ヨウ素系偏光層や染料系偏光層は、一般にポリビニルアルコールを用いて製造される。
最後に、本発明の表示装置について説明する。本発明における表示装置としては、例えば液晶表示装置、有機EL表示装置などが挙げられる。
本発明の表示装置の第一の態様は、上述した本発明に係る位相差フィルムを、光路に配置したことを特徴とする。本発明の表示装置は、剥離等の問題がなく、適切なリタデーションを有する位相差フィルムが配置されていることにより、信頼性が高く、表示品位に優れるものである。
(実施例1)
屈折率異方性材料として光重合性液晶化合物(下記化合物(1))をシクロヘキサノンに20質量%溶解させ、TACフィルム(富士写真フィルム株式会社製、商品名:TF80UL)から成る基材フィルム表面にバーコーティングにより、乾燥後の塗工量が2.5g/m2となるように塗工した。次いで、90℃で4分間加熱して溶剤乾燥除去すると共に、該光重合性液晶化合物を該TACフィルム内に浸透させた。さらに、塗工面に紫外線を照射することにより、上記光重合性液晶化合物を固定化して位相差フィルムを作製した。得られた位相差フィルムをサンプルとして、以下の項目で評価した。
サンプルの位相差を自動複屈折測定装置(王子計測機器株式会社製、商品名:KOBRA-21ADH)により測定した。測定光をサンプル表面に対して垂直あるいは斜めから入射して、その光学位相差と測定光の入射角度のチャートから基材フィルムの位相差を増加させる異方性を確認した。また、同測定装置により、3次元屈折率を測定した。その結果、基材フィルムの表面に平行な平面方向の屈折率をnx、ny、厚み方向の屈折率をnzとすると、下記表1に示すようにnz<nx=nyが成立しており、負のCプレートとなっているので、上の位相差の測定結果を合わせると、液晶分子の配向方向は、基材フィルムの表面に平行な面内に液晶分子が存在し、且つ該面内における配向方向がランダムであるホモジニアス配向していると考えられる。
サンプルの液晶塗工面に包埋樹脂を塗布して厚み方向に切断し、サンプルの断面をSEMにより観察した。結果を図10に示す。図10から明らかなように、フィルム表面と包埋樹脂の間に層は存在しておらず、上の位相差の測定結果を合わせて、高分子フィルム中に液晶化合物が浸透したと判断した。
サンプルの液晶塗工面に金属酸化物の表面保護を行ない、エポキシ樹脂包埋後クライオ支持台に接着した。次にクライオシステムによりダイヤモンドナイフ装着のウルトラミクロトームでトリミング/面出し、金属酸化物による蒸気染色を施し、超薄切片作製後にTEM観察を行なった。結果を図11に示す。図11から明らかなように、サンプルの屈折率異方性材料浸透側は3層(位相差強化領域のうち高濃度領域、位相差強化領域のうち中間領域、および基材領域))に分かれていることが分かった。
サンプルの透明性を調べるため、濁度計(日本電色工業株式会社製、商品名:NDH2000)により、JIS−K7105に準拠してヘイズ値を測定した。その結果、0.35%で良好であった。
密着性を調べるために、剥離試験を行った。剥離試験としては、得られたサンプルに1mm角の切れ目を碁盤目状に入れ、接着テープ(ニチバン株式会社製、セロテープ(登録商標))を液晶面に貼り付け、その後テープを引き剥がし、目視により観察した。その結果、密着度は100%であった。
密着度(%)=(剥がれなかった部分/テープを貼り付けた領域)×100
サンプルを90℃の熱水に60分間浸し、上述した方法により光学特性及び密着性を測定した。その結果、試験前後で光学特性及び密着性の変動は見られなかった。
サンプルを80℃、湿度95%の環境下において、24時間静置し、上述した方法により光学特性及び密着性を測定した。その結果、試験前後で光学特性及び密着性の変動は見られなかった。また、試験後に屈折率異方性材料の染み出しも、白濁も見られなかった。
サンプルを室温(23.5℃)下で純水に1日浸し、上述した方法により光学特性及び密着性を測定した。その結果、試験前後で光学特性及び密着性の変動は見られなかった。
サンプルを55℃下でアルカリ水溶液(1.5Nの水酸化ナトリウム水溶液)に3分間浸し、水洗、乾燥し、上述した方法により光学特性及び密着性を測定した。その結果、試験前後で光学特性及び密着性の変動は見られなかった。また、着色も見られなかった。
GSP(精密斜め切削法)により位相差フィルムを切断して厚み方向の断面が出るようにし、飛行時間型二次イオン質量分析計(TOF−SIMS)(装置:Physical Electronics社製TFS−2000)を用いて、切削面における厚み方向の材料の濃度分布を測定した。測定条件は、2次イオン極性を正及び負、質量範囲(M/Z)を0〜1000、ラスターサイズを180μm□、測定時間を3分、エネルギーフィルターなし、コントラストダイアフラムを0#、後段加速を5kV、測定真空度は4×10-7Pa(3×10−9Torr、1次イオン種をGa+、1次イオンエネルギーを25k
V、試料電位を+3.2kV、パルス周波数を8.3kHz、パルス幅を12ns、バンチングなし、帯電中和あり、時間分解能を1.1ns/chとした。
実施例1において、溶媒をシクロヘキサノンとメチルエチルケトン(MEK)の混合溶媒(溶媒比7:1)にしたこと以外は実施例1と同様にして位相差フィルムを作製した。得られた位相差フィルムを実施例1と同様に、光学特性、密着性、耐湿熱試験、および耐水試験を行った結果、実施例1と同様の結果が得られた。
実施例1において、溶媒をシクロヘキサノンとMEKの混合溶媒(溶媒比7:1)にし、塗布方法をダイコーティングとした以外は、実施例1と同様にして位相差フィルムを作製した。得られた位相差フィルムを実施例1と同様に評価した。その結果、実施例1と同様の結果が得られた。
実施例1により得られた位相差フィルムの位相差強化領域表面および基材領域表面の接触角を測定した。具体的には、接触角測定器(協和界面科学株式会社製、CA-Z型)により位相差強化領域表面および基材領域表面(TAC面)の純水に対する接触角を測定した。接触角は、測定面に0.1mlの純水を滴下30秒後に測定した。その結果、位相差強化領域表面が62.6°、基材領域表面が57.3°であり、位相差強化領域表面の方が高い値となっており、位相差強化領域でない表面の方が親水性を有するという結果が得られた。
実施例1において、乾燥後の塗工量を2.0、2.6、3.2、3.8 g/m2に変えてサンプルを作製し、同様の評価を行った。その結果、同様の結果が得られた。さらに、塗工量と位相差(法線方向に対して30°の角度で測定したリタデーション値:30°Re)には図14に示すようにリニアな関係が見られ、塗布量で位相差を制御できることが分った。
屈折率異方性材料として光重合性液晶化合物(下記化合物(1))を、シクロヘキサノンとn−プロピルアルコールの混合溶媒(溶媒比9:1)に20質量%溶解させ、TACフィルム(富士写真フィルム株式会社製、商品名:TF80UL)から成る基材フィルム表面にバーコーティングにより、乾燥後の塗工量が片面1g/m2となるように、両面に塗工した。次いで、70℃で4分間加熱して溶剤を乾燥除去すると共に、該光重合性液晶化合物を該TACフィルム内に浸透させた。さらに、塗工面に紫外線を照射することにより、上記光重合性液晶化合物を固定化した。
また、実施例1と同様にヘイズ値を測定したところ、0.7%であった。
乾燥後の塗工量が片面3g/m2となるように、基材フィルムの片面に塗工した以外、実施例6と同様にして位相差フィルムを作成した。
サンプルの位相差を自動複屈折測定装置(王子計測機器株式会社製、商品名:KOBRA-21ADH)により測定した。図15に併せて位相差角度依存性について示す。
また、実施例1と同様にヘイズ値を測定したところ、0.5%であった。
屈折率異方性材料として実施例1と同じ光重合性液晶化合物(上記化合物(1))をシクロヘキサノンに20質量%溶解させ、幅650mm、長さ30mの長尺状TACフィルム(富士写真フィルム株式会社製、商品名:TF80UL)から成る基材フィルム表面に、各乾燥後の塗工量が3g/m2となるように塗工した。次いで、90℃で4分間加熱して溶剤を乾燥除去すると共に、該光重合性液晶化合物を該TACフィルム内に浸透させた。さらに、塗工面に紫外線を照射することにより、上記光重合性液晶化合物を固定化して本発明に係る位相差フィルムを作製した。3mに切り出した長尺状位相差フィルムを最小直径が31mmであるようにロール状に巻いた形態にして、23℃で1ヶ月間保存した。その結果、位相差フィルムの表面は保存前後で変動が見られず、クラックの発生はなく、巻いたフィルム間での貼り付きもなかった。
屈折率異方性材料として光重合性液晶化合物(上記化合物(1))をシクロヘキサノンに20質量%溶解させ、一軸延伸COP(シクロオレフィンポリマー)フィルム(JSR株式会社製、商品名:ARTON)にバーコーティングにより塗工量が3g/m2となるように塗工した。次いで、50℃で2分間加熱して溶剤を除去した。さらに、塗工面に紫外線を照射することにより、上記光重合性液晶化合物を固定化し、90℃で2分間加熱することにより残留溶媒を除去して位相差フィルムを作製した。得られた位相差フィルムをサンプルとして、以下の項目で評価した。
サンプルの位相差を自動複屈折測定装置(王子計測機器株式会社製、商品名:KOBRA-21ADH)により測定した。測定光をサンプル表面に対して垂直あるいは斜めから入射して、その光学位相差と測定光の入射角度のチャートから基材フィルムの位相差を増加させる異方性を確認した。また、同測定装置により、3次元屈折率を測定した。その結果を表2に示す。
サンプルの断面をSEMにより観察した結果を図16に示す。図16から明らかなように、サンプル中に位相差強化領域と高分子フイルムとの境界は存在しておらず、上の位相差の測定結果を合わせて、高分子フィルム中に液晶化合物が浸透したと判断した。
サンプルの透明性を調べるため、実施例1と同様の方法によりヘイズ値を測定した。その結果、0.3%以下と良好であった。
密着性を調べるために、実施例1と同様の方法により剥離試験を行った。その結果、密着度は100%であった。
実施例1における耐湿熱試験−1と同様の方法により、耐湿熱試験を行った。その結果、試験前後で光学特性及び密着性の変動は見られなかった。
実施例1と同様の方法により耐水試験を行った。その結果、試験前後で光学特性及び密着性の変動は見られなかった。
未延伸COPフィルム(JSR株式会社製、商品名:ARTON)に実施例9と同様の方法により、位相差フィルムを作製した。実施例9と同様の評価を行った結果、光学特性(3次元屈折率)が、表3に示す結果となったこと以外は、実施例9と同様な結果が得られた。
2…位相差強化領域
3…表面側
4…反対側の表面側
5…基材領域
6…位相差強化領域形成用塗工液
7…紫外線
8…位相差フィルム
9…中間領域
10…位相差フィルム
20、30、50…液晶表示装置
40…光学機能フィルム
60…偏光フィルム
Claims (18)
- 高分子フィルム内に屈折率異方性を有する材料が含有されてなる位相差フィルムであって、前記屈折率異方性を有する材料が、前記高分子フィルムの厚み方向に濃度勾配を有し、
前記屈折率異方性を有する材料が、重合性官能基を有するものと重合性官能基を有しないものを含むことを特徴とする位相差フィルム。 - 前記高分子フィルムは、屈折率に規則性を有するものであることを特徴とする請求項1に記載の位相差フィルム。
- 前記屈折率異方性を有する材料が、液晶性を有する材料であることを特徴とする請求項1乃至2のいずれか記載の位相差フィルム。
- 前記屈折率異方性を有する材料の分子構造が、棒状であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の位相差フィルム。
- 前記屈折率異方性を有する材料の前記高分子フィルムの厚み方向の濃度勾配が、前記高分子フィルムの一方の表面側が高濃度であり、他方の表面側に向かって低濃度となる濃度勾配であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の位相差フィルム。
- 前記位相差フィルムの純水に対する接触角が、一方の表面と他方の表面とで異なることを特徴とする請求項5に記載の位相差フィルム。
- 前記屈折率異方性を有する材料の前記高分子フィルムの厚み方向の濃度勾配が、前記高分子フィルムの両表面側が高濃度であり、中央部に向かって低濃度となる濃度勾配であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の位相差フィルム。
- 前記屈折率異方性を有する材料の濃度勾配が緩やかな領域と、前記屈折率異方性を有する材料の濃度勾配が急な領域を有することを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の位相差フィルム。
- 前記屈折率異方性を有する材料が含有されてない領域を有することを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の位相差フィルム。
- 前記フィルムの面内方向における遅相軸方向の屈折率をnx、フィルム面内方向における進相軸方向の屈折率をny、及びフィルムの厚み方向の屈折率をnz、並びに厚みをdとし、Rth[nm]={(nx+ny)/2−nz}×dで表されるRthを厚み方向リタデーションとした時に、前記厚み方向リタデーションが70〜300nmであることを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の位相差フィルム。
- JIS−K7105に準拠して測定した際のヘイズ値が1%以下であることを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載の位相差フィルム。
- 前記位相差フィルムの可視光領域におけるリタデーション値が、短波長側の方が長波長側よりも大きいことを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載の位相差フィルム。
- 前記位相差フィルムの可視光領域におけるリタデーション値が、長波長側の方が短波長側よりも大きいことを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載の位相差フィルム。
- 前記位相差フィルムの波長550nmで測定した厚み方向リタデーション(Rth)のフィルム面方向におけるばらつきがRthの平均値を基準として±5nmの範囲内であることを特徴とする請求項1乃至13のいずれかに記載の位相差フィルム。
- 請求項1乃至14のいずれかに記載の単層の位相差フィルム2枚以上を、互いに貼り合わせてなることを特徴とする位相差フィルム。
- 請求項1乃至15のいずれかに記載の位相差フィルムを、位相差フィルム以外の光学機能層と直接貼り合わせてなることを特徴とする光学機能フィルム。
- 請求項1乃至15のいずれかに記載の位相差フィルムを、偏光層と直接貼り合わせてなることを特徴とする偏光フィルム。
- 請求項1乃至15のいずれかに記載の位相差フィルム、請求項16に記載の光学機能フィルム、又は、請求項17に記載の偏光フィルムのいずれかを、光路に配置したことを特徴とする表示装置。
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