以下、本発明に係る画像形成方法及び画像形成装置を図面に則して更に詳しく説明する。
1.画像形成方法及び画像形成装置の実施形態
先ず、本発明に係る画像形成方法及び画像形成装置の一実施形態について説明する。
<画像形成装置>
図1は、本発明を適用し得る画像形成装置の一例の概略断面を示す。図1の画像形成装置100は、デジタル方式の複写機である。
画像形成装置100は、像担持体としてドラム型の感光体(感光ドラム)101を備えている。感光体101は、駆動手段(図示せず)によって図示矢印R1方向に回転駆動される。感光体101の周囲には、その回転方向に沿って、次の各手段が配設されている。先ず、帯電手段としての帯電部材たる帯電ローラ102である。次に、露光手段としての露光装置103である。次に、現像手段としての現像器104である。次に、転写手段としての転写帯電器105である。次に、クリーニング手段としてのクリーニング装置107である。更に、図中矢印R2で示す被転写体たる転写材Sの搬送方向において転写帯電器105の下流側には、定着手段としての定着器106が配設されている。
感光体101の表面は、帯電ローラ102に帯電バイアスが印加されることにより帯電される。次いで、露光装置103から発せられるレーザ光により、感光体101上のレーザ光照射部分の電荷が除去されて、感光体101上に静電潜像が形成される。感光体101上の静電潜像は、現像器104により、帯電したトナーによって現像される。
現像器104は、現像剤を収容する容器(現像器本体)を有する。容器内には、非磁性トナー(トナー)と磁性キャリア(キャリア)とを混合した二成分現像剤が収容されている。容器は、感光体101に対向した領域に開口部を有しており、この開口部に一部露出するようにして現像剤担持体としての現像スリーブが回転可能に配置されている。現像スリーブは、非磁性材料で構成され、その内部に磁界発生手段である固定のマグネットロールが配置されている。又、容器内には、現像剤撹拌搬送部材として撹拌スクリューが設けられている。容器内の現像剤は、この撹拌スクリューによって撹拌されながら容器内を循環搬送される。現像動作時には、摩擦帯電により表面にトナーが付着しているキャリアが、回転する現像スリーブ上に供給される。現像スリーブ上の二成分現像剤は、現像剤規制部材によりその量が規制される。感光体101と対向する現像領域(現像部)に搬送された二成分現像剤は、マグネットロールの発生する磁界により穂立ちして磁気ブラシを形成する。この磁気ブラシを感光体101に近接又は接触させることによって、静電潜像に応じて現像剤のトナーが感光体101上に供給される。この時、現像器104が備える現像スリーブには、現像バイアス出力手段たる現像バイアス電源(図示せず)により現像バイアスが印加される。本例では、現像スリーブには、直流電圧に交流電圧を重畳した現像バイアスが印加される。静電潜像を現像した後の現像剤は、現像スリーブの回転によって容器内に回収される。本例では、静電潜像は、反転現像により現像される。つまり、感光体101の表面の帯電極性と同極性(本例では負極性)に帯電したトナーが、露光により電荷が減衰した画像部(露光部)に付着し、感光体101上にトナー像が形成される。
感光体101上のトナー像は、図示矢印R2方向に搬送される転写材S上に、転写帯電器105によって転写される。トナー像が転写された後の転写材Sは、定着器106に搬送され、ここで加熱及び加圧を受けて、その表面にトナー像が定着される。又、トナー像の転写材Sへの転写後に感光体101上に残留したトナー(転写残トナー)は、クリーニング装置107にて回収される。
<クリーニング工程>
感光体上のトナーのクリーニング方式としては、クリーニング部材としてブラシローラ、弾性ローラ又は弾性ブレードを用いる方式が一般的である。弾性ブレードを感光体の表面の移動方向に対してカウンター方向、即ち、支持部に対して自由端部が感光体の表面の移動方向上流側に位置する方向に当接させる方式が、簡便な構成にできるために最もよく用いられている。
無機粒子で感光体の表面を研磨して、劣化した感光体の最表層或いは付着物の付いた感光体の最表層を掻き取るためには、弾性ブレード(クリーニングブレード)によるクリーニングブレード方式が適している。
本例では、クリーニングブレード108は、板金で形成された支持体の先端部に保持されている。クリーニングブレード108は、矩形板状の弾性部材である。クリーニングブレード108は、その長手方向が感光体101の長手方向と略平行となるように、短手方向の一方の端部側が支持体の先端部に固定され、短手方向の他方の端部である自由端が感光体101にカウンター方向に当接するように配設される。
クリーニングブレードの材質としては、感光体の表面への追従性と、感光体の表面へのキズの付け難さの点から、ゴム材料が適している。その中でも、ポリウレタンゴムが物性的な面と化学的な耐久性の面から最も適している。クリーニングブレードを構成するゴム材料のゴム硬度としては、国際ゴム硬さ(IRHD)で60度以上90度以下が、感光体からのトナーのクリーニングの安定性という点で好ましい。但し、研磨剤(無機粒子)を使用する本発明により得られる画像流れに対する効果は、クリーニングブレードの材質によらず、後述するクリーニングブレードの当接ニップ幅や当接面圧の方に感度があった。後述するように、本発明により得られる効果の主要因は、低硬度の無機粒子Aと高硬度の無機粒子Bとが感光体に擦りつけられることであり、クリーニングブレード自体の摺擦効果は限定的である。実際、研磨剤(無機粒子)の無い状態でクリーニングブレードの圧力を変化させても画像流れはほとんど改善しなかった。
クリーニングブレードの形状やサイズ自体が本発明の効果に大きな影響を及ぼすわけではない。しかし、摩擦によりクリーニングブレードに加わる力を緩和し、クリーニングブレードの先端のめくれとトナーのすり抜けに対するラチチュードを広くもたせるために、クリーニングブレードの厚みは1mm以上10mm以下が好ましい。
クリーニングブレードの当接方法としては、クリーニングブレードの当接位置における感光体の接線に対して15°以上45°以下傾けた支持体にゴムブレードを固定して、カウンターに当接するのが好ましい。
クリーニングブレードの当接線圧は、トナーをすり抜けさせないという観点で、0.1N/cm以上1N/cm以下程度に設定するのが好ましい。当接線圧はクリーニングブレードを固定する部分に荷重変換器(ロードセル)を設けて測定することができる。画像形成装置本体内のクリーニング装置を改造して荷重変換器を設置しても良いが、新東科学社製HEIDON摩擦試験機(トライボステーションTYPE32改造機)を利用すると測定し易い。
クリーニングブレードのエッジが感光体に当接して変形することで、幅のある接触部(接触領域)である当接ニップを形成する。クリーニングブレード602と感光体601との当接ニップの近傍の拡大図を図6(a)に示す。当接ニップ幅(接触部の感光体の表面の移動方向における上流側端部と下流側端部間の距離)は、次のようにして計測することができる。図6(b)に示すように、ガラスシリンダー603に画像形成装置内と同じ設定状態でクリーニングブレード604を当接させる。このときの接触ニップ幅を、次のようにして計測する。即ち、ガラスシリンダー603の内部に設置したミラー605を介して、マイクロスコープ(例えばキーエンス社製VHX500+レンズ)606にて、クリーニングブレード604がガラスシリンダー603に密着した部分を観察して計測する。
クリーニングブレードと感光体との摩擦係数は、当接ニップ幅に大きく依存するが、クリーニングブレードのエッジの当接安定性の観点から、感光体の静止時において当接ニップ幅を5μm以上120μm以下と設定するのが好ましい。好ましい範囲内において、当接ニップ幅が狭いと外添剤、例えば研磨剤(無機粒子)の掻き取り力が向上し、当接ニップ幅が広いと研磨剤(無機粒子)による摺擦力が向上する。
この当接ニップにおける圧力は微小な面積における面圧としてとらえることができる。クリーニングブレードの当接面圧は、当接線圧を当接ニップ幅で除することで算出できる。
研磨剤(無機粒子)を使用する本発明において、クリーニングブレードの当接面圧の大小によりその研磨効果が増減する。面圧が大きすぎると研磨剤(無機粒子)が当接ニップ内に入り込み難くなって研磨性能が低下し、逆に面圧が小さすぎても研磨する力が十分でなくなって研磨性能が低下する。その研磨性という点で、クリーニングブレードの当接面圧としては0.05N/mm2以上1.0N/mm2以下が好ましく、0.1N/mm2以上0.5N/mm2以下がより好ましい。
尚、本発明におけるクリーニングブレードと感光体との当接ニップ幅、及び平均当接面圧は感光体の静止時の値である。
<無機粒子(無機微粒子、研磨剤、研磨粒子)>
本発明者らは前述した感光体の表面の低電気抵抗化による画像流れの分析結果を踏まえ、先ず画像形成中に起こる画像流れ(前述の2つ目のパターン)の原因となる感光体の表面に形成される高濃度の低電気抵抗物質の除去を目指して検討を行った。その検討の結果、画像形成中の画像流れに対して、低硬度且つある粒子径範囲の無機粒子をクリーニングブレードと感光体との当接部に供給することが有効であることを見出した。しかしながら、画像流れに大きな効果がある一方、低硬度且つある粒子径範囲の無機粒子を使う方法において、感光体の表面に無機粒子が付着してクリーニングブレードによる掻き取りが難しくなる傾向が見られた。
そこで、更に検討した結果、適切な粒子径の低硬度の無機粒子A及び高硬度の無機粒子Bをクリーニングブレードと感光体との当接部に供給して感光体の表面の清掃を効果的に行うことで、高品質、且つ、長寿命の画像形成を行えることを見出した。
これまで電子写真画像形成方法において感光体の表面を摺擦し研磨することで表面劣化を抑える様々な無機粒子が提案されてきている。その中で、粒子径が0.03μm以上0.5μm以下程度の直方体形状の無機粒子が、放電生成物などの画像流れの原因となる感光体の表面の低電気抵抗化を引き起こす物質の掻き取り清掃効果の点で優れていることがわかってきた。
特に、低硬度の無機粒子Aと高硬度の無機粒子Bを併用する本発明においては、無機粒子の粒子径は0.05μm以上0.3μm以下(即ち、50nm以上300nm以下)が望ましい。
粒子径が0.05μm未満では、クリーニングブレードによる感光体への押し付け負荷が小さくなるので、十分な画像流れ防止効果が発現し難い。
粒子径が0.3μmより大きいとクリーニングブレードと感光体との当接ニップに入り込み難くなって、圧力を受ける機会が減り、十分な画像流れ防止効果が発現し難い。
又、高硬度の無機粒子Bの粒子径が、低硬度の無機粒子Aの粒子径よりもある程度小さい方が、感光体の表面のキズの発生が低減できるので好ましい。
無機粒子の材質は、一般的な金属酸化物や水に不溶な塩で良いが、所定の範囲の粒子径と硬度を有していることが必要である。
無機粒子の形状は、クリーニングブレードと感光体との当接ニップ内における摺擦時に転がってしまわないように、非球形が好ましく、立方体などの角状が更に好ましい。
無機粒子の硬度については、感光体を単純に削るという目的に対しては、化学研磨が発現する材料である場合を除き、感光体にキズが出ない範囲で高硬度であることが最も効果がある。しかしながら、感光体の表面の低電気抵抗化を防ぐという目的に対しては、硬度は必ずしも大きければいいというものではない。以下、更に詳しく説明する。
本発明は、適切な粒子径の低硬度の無機粒子Aと高硬度の無機粒子Bをクリーニングブレードによる感光体のクリーニング部に供給して感光体の表面の清掃を効果的に行うものである。
本発明における無機粒子の硬度の規定には、材料の違いによりキズの発生し易さを順位付けするところから策定されたモース硬度を用いる。
モース硬度は、滑石からダイヤモンドまで10段階に分けた従来の旧モース硬度と、15段階に分けた新(修正)モース硬度がある。本発明におけるモース硬度の値は、新モース硬度の値である。
新モース硬度は、15種類の標準物質について、互いに引っかいた時のキズの発生の有無により硬度の順位をつけた数値である。硬さを計る試料物質で標準物質をこすり、ひっかき傷の有無で硬さを測定する。標準物質は、硬度の低い方から1:滑石、2:石膏、3:方解石、4:蛍石、5:燐灰石、6:正長石、7:溶融石英、8:水晶、9:黄玉(トパーズ)、10:柘榴石、11:溶融ジルコニア、12:溶融アルミナ、13:炭化ケイ素、14:炭化ホウ素、15:ダイヤモンドである。
無機粒子の硬度と粒子径が画像流れ抑止効果におよぼす影響ついて調べた。ここでは、モータ駆動により回転するドラム型のアモルファスシリコン感光体(感光ドラム)に帯電ローラとクリーニングブレードが当接された感光ドラム空回転装置を使用した。この装置のクリーニングブレードと感光ドラムとの当接部に、低硬度の無機粒子Aと高硬度の無機粒子Bをミキサーで混合した混合粉体を充分量供給した。そして、この装置において、帯電ローラに帯電バイアスを印加するによる帯電処理を行いながら、高湿環境にて感光ドラムを回転させた後、高湿環境に72時間放置した。放置した感光ドラムを通常の画像形成装置(キヤノン製IR6570)に組み込んで、高湿環境で罫線画像出力を行い、その罫線の線の細り具合を画素数低下率として算出した。
先ず、新モース硬度が3、個数平均粒子径が約2000nmの無機粒子(竹原化学工業株式会社製炭酸カルシウム粒子、SL1500)を無機粒子Aとして用いる。又、新モース硬度が12、個数平均粒子径が約400nmの無機粒子(住友化学社製アルミナ粒子、AKP30)を無機粒子Bとして用いる。そして、上述の画像流れの評価を行った。その結果、出力画像の罫線の細りが大きく、画像流れに対して充分有効な効果が得られなかった。
次に、新モース硬度が3、個数平均粒子径が100nmの無機粒子Aと、新モース硬度が12、個数平均粒子径が100nmの無機粒子Bとの混合粉体を用いて、上述の画像流れの評価を行った。その結果、出力画像の罫線の細りがない良好な評価結果が得られた。この結果を中心にして、
(1)無機粒子Aの新モース硬度を変えた場合、
(2)無機粒子Aの粒子径を変えた場合、
(3)無機粒子Bの新モース硬度を変えた場合、
(4)無機粒子Bの粒子径を変えた場合、
について評価を行った。それぞれの評価結果を、図7(a)、図7(b)、図8(a)、図8(b)に示す。
無機粒子Aについて、上記(1)の結果(図7(a))から新モース硬度は3以上4以下が良く、上記(2)の結果(図7(b))から個数平均粒子径は50nm以上300nm以下が良いことがわかる。又、無機粒子Bについて、上記(3)の結果(図8(a))から新モース硬度は7以上が良く、上記(4)の結果(図8(b))から個数平均粒子径は50nm以上300nm以下が良いことがわかる。
又、上記(1)で無機粒子Aの硬度を大きした場合、上記(3)で無機粒子Bの硬度を小さくした場合の結果から明らかなように、低硬度の無機粒子Aと高硬度の無機粒子Bの両方が存在してはじめて本発明の効果を得ることができる。
本発明の目的に対して、(1)の結果で示されるように、低硬度の無機粒子Aは、新モース硬度が3以上4以下の必要がある。
低硬度の無機粒子Aが、画像形成中の画像流れを抑制する効果を有する理由については、まだ完全には明確になっていない。しかし、感光体の表面に付着した放電生成物は硬い粒子で感光体の表面ごと削り取る方法よりも、柔らかい粒子で感光体の表面に密着させて拭き取るような方法の方が効果的であると考えられる。柔らかい粒子の方が、クリーニングブレードで押付けられた時に感光体の表面と粒子との接触機会が大きくなり、感光体上の画像流れの原因となる物質をむらなく吸着除去できるのではないかと考えられる。尚、新モース硬度3未満では、粒子の変形や破壊が発生するために、画像流れに対する効果が得られ難いと考えられる。
無機粒子Aの材質としては、一般的な金属酸化物や水に難溶な塩で良いが、上記のごとく、ある範囲の粒子径と硬度を有していることが必要である。
新モース硬度が3以上4以下の具体的な材質としては、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ベーマイト(酸化アルミニウム1水和物)、フッ化カルシウム、硫酸ストロンチウム、硫化亜鉛などがある。
本発明の目的に対して、上記(3)の結果で示されるように、高硬度の無機粒子Bは、新モース硬度が7以上であることが必要である。新モース硬度が7未満では、特に低硬度の無機粒子Aとの併用において、感光体の表面から低硬度の無機粒子Aを削り取る能力が小さい。又、新モース硬度が13より大きくなると、低硬度の無機粒子Bとの併用であっても、感光体の表面にキズが発生し易くなる。
新モース硬度が7以上13以下の具体的な無機粒子の材質としては、酸化チタン(ルチル型)、石英(酸化ケイ素)、フォルステライト(珪酸マグネシウム)、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、窒化珪素、炭化珪素などが挙げられる。
本発明において、無機粒子A及び無機粒子Bの個数平均粒子径は、(2)と(4)の結果で示されるように、0.05μm以上0.3以下である必要がある。
粒子径が0.05μm未満ではクリーニングブレードの弾性や感光体の微細な粗さにより粒子の大きさがキャンセルされ易く、粒子の感光体への押付け負荷が小さくなるので、十分な画像流れ防止効果が発現し難いと考えられる。粒子径が0.3μmより大きいと、クリーニングブレードと感光体との当接ニップに粒子が入り込み難くなって、粒子が圧力を受ける機会が減り、やはり十分な画像流れ防止効果が発現し難いと考えられる。
クリーニングブレードと感光体との当接ニップへの粒子の侵入し易さは、クリーニングブレードの感光体に対する当接圧力の影響を受ける。しかし、前述した感光体からトナーをクリーニングできる圧力範囲のレベルでは、特に粒子径0.3μm以下の粒子はすり抜け易い。このように、外添剤などの粒子がクリーニングブレードからいくらかすり抜ける状態で設計することで、クリーニングブレードの滑り性を維持して、感光体からのトナークリーニングを良好に行うことができる。
尚、本発明における無機粒子の粒子径については、電子顕微鏡にて5万倍の倍率で撮影した写真からランダムに100個の粒子径を測定してその平均値(個数平均粒子径)を求めた。粒子径は一次粒子の最長辺をa、最短辺をbとしたとき、(a+b)/2で求めた。
又、高硬度の無機粒子Bの粒子径が、低硬度の無機粒子Aの粒子径よりもある程度小さい方が、感光体の表面のキズ発生を低減できるので好ましい。
更に、無機粒子は、転がりを抑止して、感光体に対する摺擦による清掃効果を最大限に発揮させるために、非球形であることが好ましく、その円形度は0.930以下が好ましい。
無機粒子の円形度は、電子顕微鏡にて撮影された無機粒子の拡大画像をコンピュータに取り込む。そして、SoftImagingSystem社のソフトウェア「analySIS」にて粒子投影面積と同じ円の周囲長と粒子投影像の周囲長を算出し、以下の式にて円形度を算出した。
円形度=(粒子投影面積と同じ円の周囲長)/(粒子投影像の周囲長)
対象データには、画像から得られた50nm以上300nm以下の無機粒子の像の中から無作為に100サンプル抽出したものを用い、その平均値を算出した。
無機粒子のクリーニング部への供給方法としては、無機粒子をトナーに外添して、転写残トナーに含まれる状態としてクリーニングブレードと感光体との当接位置に供給する方法が、装置の簡略化という点で好ましい。
無機粒子のトナーへの外添量は、次のように設定するのが好ましい。即ち、感光体の清掃効果と現像性能への影響という観点で、トナー粒子100質量部に対して、低硬度の無機粒子Aと高硬度の無機粒子Bをそれぞれ0.1質量部以上2質量部以下ずつ外添するのが好ましい。転写効率や画像印字率によらず、画像流れに対する効果を発揮させるためには、無機粒子Aと無機粒子Bを0.2質量部ずつ以上外添することがより好ましい。
尚、無機粒子をトナーに外添する際には、ベタ白画像を連続出力する場合でも、非画像部に付着するかぶりトナーが感光体に供給されるので、本発明の効果を発揮できる。しかし、その場合は、画像を形成して出力する転写材と転写材との間に相当する期間(紙間)などの非画像形成時に、ライン画像を形成させるなどして感光体にトナーを供給するのが好ましい。
又、別法として、クリーニング装置内などに、無機粒子供給手段を設けても良い。例えば、無機粒子を圧縮固形化した部材をファーブラシローラなどで削り出して、感光体の表面に供給する方法が挙げられる。ファーブラシローラ(クリーニング補助ブラシローラ)としては、感光体の表面の移動方向においてクリーニングブレードよりも上流側で感光体に接触しながら回転するものがあり、感光体上のトナーを均すなどするために用いられる。無機粒子を圧縮固形化した部材から、無機粒子をファーブラシローラで削り出すために、ファーブラシローラをその圧縮固形化した部材に接触しながら回転するように設置することができる。この方法を用いた場合には、一定量の無機粒子をクリーニング部に供給することが可能になり、画像出力の仕方によらず安定した研磨効果を得ることができる利点がある。
<感光体>
露光により静電潜像を形成する感光体は表面劣化及び汚染物付着により表面が低電気抵抗化して電荷が拡散し、画像ボケにつながって、画像不良に直結し易い。本発明を適用した場合に最も効果が発揮できる、或いは適用の必要性が高い感光体は、磨耗に強く高耐久性を有する感光体である。高耐久性の感光体は、長寿命である反面、感光体の表面劣化及び汚染物質付着が蓄積し易く、感光体の表面のリフレッシュを助ける必要が大きいからである。
<高耐久性感光体>
高耐久性を有する感光体について、その作製方法を含めて詳細に説明する。
感光体は、主に、積層構造を有し、支持体の上に電荷発生層、電荷輸送層が順に設けられており、更に最表面に保護層が設けられている。又、支持体と電荷発生層との間に、結着層、更には干渉縞防止などを目的とする下引き層が設けられていてもよい。
支持体としては、支持体自身が導電性を持つもの、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金又はステンレスなどを用いることができる。
電荷発生層に用いる結着樹脂及び電荷発生物質並びに電荷輸送層を形成するのに用いられる結着樹脂及び電荷輸送物質としては、いずれも公知の材料を任意に用いることができる。
感光体と接触する部材と摺擦することによる磨耗で感光体の表面形状が変化するのを抑制するために、感光体の最表面を機械的強度の高い樹脂を用いた層とすることが好ましい。電荷輸送層を最表層としても構わないが、表面の機械的強度をより高めるために、電荷輸送層の上に機械的強度のより高い電荷輸送層を保護層として形成するのが好ましい。保護層は、その機械的強度の観点から、硬化型樹脂を60%以上含有するのが好ましい。
高耐久性の感光体の保護層として、下記化学式(1)で示すような同一分子内に2つ以上の連鎖重合性官能基を有する電荷輸送性化合物を重合した化合物を含有する保護層がある。
式中、Aは電荷輸送性基を示す。P1及びP2は連鎖重合性官能基を示す。P1とP2は同一でも異なってもよい。Zは置換基を有してもよい有機残基を示す。a、b及びdは0又は1以上の整数を示し、a+b×dは2以上の整数を示す。又、aが2以上の場合P1は同一でも異なってもよく、dが2以上の場合P2は同一でも異なってもよく、又bが2以上の場合、Z及びP2は同一でも異なってもよい。
前記同一分子内に二つ以上の連鎖重合性官能基を有する電荷輸送性化合物を重合させることで、その保護層中において、電荷輸送能を有する化合物は少なくとも二つ以上の架橋点をもって3次元架橋構造の中に共有結合を介して取り込まれる。前記電荷輸送性化合物はそれのみを重合させる、又は他の連鎖重合性基を有する化合物と混合させることのいずれもが可能であり、その種類/比率はすべて任意である。ここでいう他の連鎖重合性基を有する化合物とは、連鎖重合性基を有する単量体又はオリゴマー/ポリマーのいずれもが含まれる。電荷輸送性化合物の官能基とその他の連鎖重合性化合物の官能基が同一の基又は互いに重合可能な基である場合には、両者は共有結合を介した共重合3次元架橋構造をとることが可能である。両者の官能基が互いに重合しない官能基である場合には、感光層は少なくとも二つ以上の3次元硬化物の混合物又は主成分の3次元硬化物中に他の連鎖重合性化合物単量体又はその硬化物を含んだ物として構成される。
保護層には、潤滑材としてフッ素原子含有樹脂、フッ化カーボン、ポリオレフィン樹脂からなる群の中から選ばれた少なくとも一種を含有させることが可能である。その好ましい化合物としては、以下のものが挙げられる。フッ素原子含有樹脂として好ましいものは、ビニルフルオライド、ビニリデンフルオロライド、クロロトリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレンより選ばれる化合物の重合体若しくは共重合体樹脂及び樹脂微粒子が挙げられる。フッ化カーボンとしては、(CF)n、(C2F)nで表される化合物が挙げられる。ポリオレフィン系樹脂として好ましいものは、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリブテン樹脂等のホモポリマー樹脂、エチレン−プロピレン共重合体が挙げられる。これらの潤滑材は、それぞれ単独でも2種以上を任意の割合で用いることも可能である。又、保護層には、前記潤滑材の分散剤、分散助剤、その他の各種添加剤、界面活性剤等を含有してもよい。
保護層に含有させる潤滑材の割合は、表面層となる層の全重量に対し、1%以上70%以下が好ましい。本発明においては、低硬度の無機粒子Aの効果を発現し易くさせるために、より好ましくは2%以上20%以下である。
前記連鎖重合性基を有する電荷輸送性化合物の硬化物を含有する保護層に、電荷輸送物質を含有させることも可能である。
前記保護層の形成方法は、前記電荷輸送性化合物を含有する溶液を塗布後、重合反応をさせるのが一般的であるが、前もって該電荷輸送性化合物を含む溶液を反応させて硬化物を得た後に、再度溶剤中に分散又は溶解させて、保護層を形成することも可能である。これらの溶液を塗布する方法は、例えば、浸漬コーティング法、スプレーコーティング法、カーテンコーティング法及びスピンコーティング法などが知られているが、効率性/生産性の点からは浸漬コーティング法が好ましい。保護層の膜厚は、膜強度と電荷輸送性の観点から、2μm以上10μm以下が好ましい。
連鎖重合性基を有する電荷輸送性化合物は放射線により重合させることが好ましい。放射線による重合の最大の利点は重合開始剤を必要としない点であり、これにより非常に高純度な三次元感光層の作製が可能となり、良好な電子写真特性が確保される点である。又、短時間で且つ効率的な重合反応であるがゆえに生産性も高く、更には放射線の透過性のよさから、厚膜時や添加剤などの遮蔽物質が膜中に存在する際の硬化阻害の影響が非常に小さいことなどが挙げられる。但し、連鎖重合性基の種類や中心骨格の種類によっては重合反応が進行し難い場合があり、その際には影響のない範囲内での重合開始剤の添加は可能である。この際使用する放射線とは電子線及びγ線である。電子線照射をする場合、加速器としてはスキャニング型、エレクトロカーテン型、ブロードビーム型、パルス型及びラミナー型などいずれの形式も使用することができる。電子線を照射する場合、感光体の電気特性及び耐久性能を発現させる上で、照射条件が非常に重要である。加速電圧は250kV以下が好ましく、最適には150kV以下である。又、線量は好ましくは10kGy以上1000kGy以下の範囲である。加速電圧が上記を越えると、感光体特性に対する電子線照射のダメージが増加する傾向にある。又、線量が上記範囲よりも少ない場合には硬化が不十分となり易く、線量が多い場合には感光体特性の劣化が起こり易い。
前述したように、画像流れは、感光体の削れ量の影響が大きい。画像形成時の感光体の3000回転当たりの感光体の磨耗量が、約0.5μmより小さくなるような高耐久性の感光体は、画像流れが特に悪くなり易い。本発明は、上記保護層を有する感光体に限らず有効であるが、こういった高耐久性の感光体の場合に特に有効である。例えば、本発明によれば、保護層のない有機感光体やセレン感光体でも画像流れの改善効果が得られるが、より高耐久性の感光体であるアモルファスシリコン感光体に適用した場合には、長寿命と高画質を両立した画像形成システムを構築できる。
<感光体の表面粗さ>
感光体の表面は、該表面に当接する部材との摩擦低減の必要から、ある程度の表面粗さを有していることが望ましい。感光体の表面の表面粗さを制御する方法として、特に微細な粗さを得るためには、感光体の表面を形成させた後に、表面を何らかの粗面化加工処理により変化させるのが有効である。粗面化処理方法としては、ブラシや研磨テープによって表面を摺擦する方法、砥粒をぶつけて凹凸を形成させる方法(ブラスト処理)、微細な金型を押付けて所望の表面形状を得る方法(ナノインプリント法)などがある。
ここで、感光体の製造に用いることのできる粗面化手段として、研磨シートを含む研磨機の一例を図4に示す。研磨シート(ラッピングフィルムなど)403は、研磨砥粒が結着樹脂に分散されたものが基材に塗布されたシートである。研磨シート403は中空の軸404に巻かれており、軸404にシートが送られる方向と逆方向に、研磨シート403に張力が与えられるようモータ(図示せず)が配置されている。研磨シート403は図示矢印方向に送られ、ガイドローラ406を介してバックアップローラ402を通り、研磨後のシートはガイドローラ407を介してモータ(図示せず)により巻き取り手段405に巻き取られる。研磨は、基本的に未処理の研磨シート403が感光体401の表面に常時圧接され、感光体401の表面を粗面化することで行われる。
研磨シートとしては、以下のような市販のものを用いることができる。例えば、レフライト(株)製MAXIMA LAP(登録商標)、MAXIMA Tタイプ;(株)KOVAX製ラピカ;住友3M(株)製マイクロフィニッシングフィルム、ラッピングフィルム;三共理化学(株)製ミラーフィルム(登録商標)、ラップングフィルム;日本ミクロコーティング(株)製ミポックス(登録商標)等が挙げられる。
表面粗さは、市販の接触式の表面粗さ測定器にて測定できる。感光体の表面粗さは、一般的には、十点平均粗さRz、算術平均粗さRa、算術平均傾斜Δa、凹凸の平均間隔Smといった評価基準で表されることが多い。粗さが大きい方が、摩擦係数が低下するため、当接部材及び感光体の破損が減り、長寿命化につながる。逆に、粗さが大きすぎると、トナー、外添剤、紙粉が溝に沿ってクリーニングブレードをすり抜けてしまって、クリーニング性能が低下する。
本発明を検討する中で、無機粒子の使用時には、油溜まり深さ(突出谷部深さ)Rvkという値に、低硬度の無機粒子Aの付着を抑止する性能に対する感度があることがわかってきた。油溜まり深さRvkは、一般的に、摩擦面に潤滑油を用いる場合の凹凸の谷部分への潤滑油の溜まり易さ、即ち、摩擦面の潤滑油保持性能の指標として使われる数値である。Rvk値が大きいことは凹部に狭く深い溝を有することを意味する。油溜まり深さRvkは、測定された表面形状プロファイルから得られる線形負荷曲線の図2のような作図により求まる。
本発明においては、表面粗さ測定機サーフテストSVC−4000S4(ミツトヨ社製)により感光体の表面を測定し、油溜まり深さRvkを自動算出させた。測定条件及び評価条件は以下のとおりである。
測定条件
測定長さ:5.0mm
速度:1.0mm/s
ピッチ:1μm
検出器:4mN
評価条件
規格:JIS2001
基準長さ:2.5mm
区間数:1
λc:2.5mm
λs:0.008mm
評価長さ:2.5mm
助走:1.25mm
後走:1.25mm
感光体の表面の放電生成物や水分などの低電気抵抗物質の掻き取り及び拭き取り性の観点から、感光体の表面が適度な油溜まり深さRvkの値であると、より画像流れ防止効果が発現し易い。
<現像剤>
トナーは、少なくとも結着樹脂、着色剤、及び離型剤を含有するトナー粒子を有するものである。
トナーは、流動性及び帯電性並びにドット/ライン再現性の観点から、重量平均粒子径が3.0μm以上7.0μm以下であることが好ましい。
トナーに含有させる結着樹脂、着色剤、及び離型剤には、いずれも公知の材料を任意に用いることができる。又、必要に応じて種々の添加剤(荷電制御剤など)を更に含有させてもよい。
トナーには、流動性や現像性を制御するため流動化剤として、公知の外添剤を添加することができる。外添剤としては、シリカ、アルミナ、酸化チタンの他シリカ、アルミナ、酸化チタン、酸化セリウム、チタン酸ストロンチウムなどの各種無機酸化微粒子、又必要に応じて疎水化処理した微粒子、ビニル系重合体、ステアリン酸亜鉛、樹脂微粒子などが使用できる。流動性が改良されることで、現像器内での撹拌によるトナー帯電が十分に行われ、カブリ(感光体上のトナーが付着すべきでない非画像部にトナーが付着する現象)やトナー飛散の抑制に対して効果的なトナーとなる。外添剤の添加量は、トナー粒子100質量部に対して0.02質量部以上5質量部以下が好ましい。流動化剤としての外添剤の粒子径は1nm以上30nm以下程度が望ましい。
更に、本発明では、トナーには、感光体の表面を清掃及び研磨するための、平均粒子径が50nm以上300nm以下の無機粒子を外添する。
無機粒子を外添処理する方法としては、分級されたトナーと各種外添剤を所定量配合し、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサーなどの粉体にせん断力を与える高速撹拌機を外添機として用いて、撹拌及び混合する方法が挙げられる。
尚、本発明は、トナーのみからなる(キャリアを含まない)一成分系現像剤、トナーとキャリアとからなる二成分系現像剤のいずれを現像剤として用いる場合にも適用できる。二成分系現像剤に用いる場合は、トナーは磁性キャリアと混合して使用される。
磁性キャリアとしては、例えば、表面酸化又は未酸化の鉄、リチウム、カルシウム、マグネシウム、ニッケル、銅、亜鉛、コバルト、マンガン、クロム、希土類の如き金属粒子、それらの合金粒子、酸化物粒子及びフェライトなどが使用できる。
磁性キャリア粒子の表面を樹脂で被覆した被覆キャリアは、現像スリーブに交流バイアスを印加する現像法において特に好ましく使用できる。被覆方法としては、樹脂の如き被覆材を溶剤中に溶解もしくは懸濁せしめて調製した塗布液を磁性キャリアコア粒子の表面に付着せしめる方法、磁性キャリアコア粒子と被覆材とを粉体で混合する方法など、公知の方法が適用できる。
トナーと磁性キャリアとを混合して二成分系現像剤を調製する場合、その混合比率は、二成分系現像剤中のトナー濃度として、2質量%以上15質量%以下、好ましくは4質量%以上13質量%以下にすると、通常良好な結果が得られる。トナー濃度が2質量%未満では画像濃度が低下し易く、15質量%を超えるとカブリや機内飛散が発生し易い。
次に、トナーを製造する方法について説明する。
結着樹脂、着色剤、離型剤及び任意の材料を溶融混練し、これを冷却して粗粉砕し、気流式又は機械式粉砕機で微粉砕する。その後、後述する機械式粉砕機と後述する分級及び表面改質処理を同時に行うことができる表面改質装置で分級と表面改質処理し、これに無機粒子を混合することによって、本発明に好適に使用されるトナーを得ることができる。
表面改質処理により、粉砕されたトナーの円形度を変化させることが可能である。
表面改質装置として、微粉砕物に含まれる微粉及び超微粉を分級して除去する工程と微粉砕物の含まれる粒子の表面改質処理の工程とを同時に行う回分式の装置が好ましい。
図3は、回分式表面改質装置の好適な一例を示す概略断面図である。この表面改質装置は、円筒形状の本体ケーシング30、微粉砕物を本体ケーシング30内に投入する投入部37を有する。又、この表面改質装置は、本体ケーシング30内に投入された微粉砕物から所定粒子径以下の微粉及び超微粉を装置外へ連続的に除去するために所定方向に回転する分級ローター35を有する分級手段を有する。又、この表面改質装置は、分級ローター35の回転方向と同方向に回転する分散ローター32を有する表面改質手段を有する。この表面改質手段は、上記分級手段によって除去された微粉及び超微粉を、本体ケーシング30外に微粉排出部44より排出し、微粉及び超微粉が除去された微粉砕物に含まれる粒子を、機械式衝撃力を用いて表面改質処理するためのものである。この表面改質装置は、本体ケーシング30内に第一の空間47と第二の空間48とを形成するための円筒形状の案内手段36を有する。又、この表面改質装置は、分散ローター32によって表面改質処理が行われたトナー粒子を本体ケーシング30外に排出するためのトナー粒子排出部40を少なくとも有する。本体ケーシング30の内壁と円筒形状の案内手段36の外壁との間に設けられた第一の空間47は、微粉砕物及び表面改質された粒子を分級ローター35へ導くための空間である。又、第二の空間48は、微粉及び超微粉が除去された微粉砕物及び表面改質された粒子を分散ローター32で処理するための空間である。
次の工程により、所定粒子径以下の微粉及び超微粉が所定量以下に除去されており且つ表面改質されたトナー粒子を得ることができる。上記表面改質装置内において、投入部37より本体ケーシング30内に投入された微粉砕物を第一の空間47に導入し、上記分級手段により所定粒子径以下の微粉及び超微粉を除去して装置外へ連続的に排出する。それと共に、微粉及び超微粉が除去された微粉砕物を第二の空間48へ移動させる。分散ローター32で処理して微粉砕物中の粒子の表面改質処理を行い、再び表面改質された粒子を含む微粉砕物を第一の空間47と第二の空間48とへ循環させることにより、分級と表面改質処理とを繰り返す。
尚、表面改質と分級とは別々に行ってもよい。このような場合では必要に応じて風力式篩のハイボルター(新東京機械社製)などの篩分機を用いても良い。又、必要に応じて、上記表面改質装置を用いた後に更に表面改質及び球形化処理を行ってもよい。前記表面改質及び球形化処理には、例えば奈良機械製作所製のハイブリタイゼーションシステム、ホソカワミクロン社製のメカノフージョンシステムを用いる。
<平均円形度の測定方法>
トナー粒子の平均円形度は、フロー式粒子像分析装置「FPIA−3000」(シスメックス社製)によって、校正作業時の測定及び解析条件で測定する。
具体的な測定方法は、以下の通りである。先ず、ガラス製の容器中に予め不純固形物などを除去したイオン交換水約20mlを入れる。この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で約3質量倍に希釈した希釈液を約0.2ml加える。更に測定試料を約0.02g加え、超音波分散器を用いて2分間分散処理を行い、測定用の分散液とする。その際、分散液の温度が10℃以上40℃以下となる様に適宜冷却する。超音波分散器としては、発振周波数50kHz、電気的出力150Wの卓上型の超音波洗浄器分散器(例えば「VS−150」(ヴェルヴォクリーア社製))を用い、水槽内には所定量のイオン交換水を入れ、この水槽中に前記コンタミノンNを約2ml添加する。
測定には、対物レンズとして「UPlanApro」(倍率10倍、開口数0.40)を搭載した前記フロー式粒子像分析装置を用い、シース液にはパーティクルシース「PSE−900A」(シスメックス社製)を使用した。前記手順に従い調整した分散液を前記フロー式粒子像分析装置に導入し、HPF測定モードで、トータルカウントモードにて3000個のトナー粒子を計測する。そして、粒子解析時の2値化閾値を85%とし、解析粒子径を円相当径1.985μm以上、39.69μm未満に限定し、トナー粒子の平均円形度を求める。
測定にあたっては、測定開始前に標準ラテックス粒子(例えば、Duke Scientific社製の「RESEARCH AND TEST PARTICLES Latex Microsphere Suspensions 5200A」をイオン交換水で希釈)を用いて自動焦点調整を行う。その後、測定開始から2時間毎に焦点調整を実施することが好ましい。
尚、実施例では、シスメックス社による校正作業が行われた、シスメックス社が発行する校正証明書の発行を受けたフロー式粒子像分析装置を使用した。解析粒子径を円相当径1.985μm以上、39.69μm未満に限定した以外は、校正証明を受けた時の測定及び解析条件で測定を行った。
フロー式粒子像分析装置「FPIA−3000」(シスメックス社製)の測定原理は、流れている粒子を静止画像として撮像し、画像解析を行うというものである。試料チャンバーへ加えられた試料は、試料吸引シリンジによって、フラットシースフローセルに送り込まれる。フラットシースフローに送り込まれた試料は、シース液に挟まれて扁平な流れを形成する。フラットシースフローセル内を通過する試料に対しては、1/60秒間隔でストロボ光が照射されており、流れている粒子を静止画像として撮影することが可能である。又、扁平な流れであるため、焦点の合った状態で撮像される。粒子像はCCDカメラで撮像され、撮像された画像は512×512の画像処理解像度(1画素あたり0.37×0.37μm)で画像処理され、各粒子像の輪郭抽出を行い、粒子像の投影面積Sや周囲長Lなどが計測される。
次に、上記面積Sと周囲長Lを用いて円相当径と円形度を求める。円相当径とは、粒子像の投影面積と同じ面積を持つ円の直径のことであり、円形度Cは、円相当径から求めた円の周囲長を粒子投影像の周囲長で割った値として定義され、次式で算出される。
円形度C=2×(π×S)1/2/L
粒子像が円形の時に円形度は1になり、粒子像の外周の凹凸の程度が大きくなればなるほど円形度は小さい値になる。各粒子の円形度を算出後、円形度0.200以上1.000以下の範囲を800分割し、得られた円形度の相加平均値を算出し、その値を平均円形度とする。
平均円形度とは、トナーの凹凸度合いの指標であり、トナーが完全な球形の場合1.000を示し、トナーの表面形状が複雑になるほど平均円形度は小さな値となる。
円形度の高い球形トナーはトナー母体自体の流動性が高いため、外添された無機粉体の量が変化しても流動性が大きく変化し難い。更に、感光体からの離形性に優れるため転写効率が優れており、画像濃度を十分かせげると共に転写残トナーを少なくすることができる。このような利点がある一方、トナーをクリーニングブレードにより感光体からクリーニングするシステムにおいては、円形度が大きいほどクリーニングし難くなる。円形度が高いことでトナーの転がりが発生し、クリーニングブレードと感光体との当接ニップを通過し易くなるのが一因である。更に、外添剤などの粒子で、感光体の表面の移動方向においてクリーニングブレードの当接位置の直前に、阻止層と呼ばれるトナー粒子をブロックする層を形成させてクリーニングを安定化させる場合においては、次のような傾向がある。即ち、トナーの円形度が高いことで阻止層の手前でのトナーの運動性が増大し、阻止層を破壊し易くなって、クリーニングが安定し難くなる。
本発明においては、50nm以上300nm以下の無機粒子により阻止層が形成され、そのことがトナーのクリーニングを助けると同時に、感光体を研磨する性能の安定化に寄与している。トナーによるこの阻止層の破壊を低減するために、トナーの円形度は最適化が図られるのが望ましい。本発明においては、トナーの平均円形度は0.970以下が望ましく、転写性能の十分な発現を考えれば0.950以上が望ましい。
<効果>
本発明によれば、感光体上の静電像をトナーで現像する工程と、感光体にクリーニングブレードを当接させて感光体の表面の付着物を清掃する工程と、を有する画像形成方法が提供される。当該方法は、次の低硬度の無機粒子Aと高硬度の無機粒子Bとを、クリーニングブレードと感光体の当接部に供給するものである。無機粒子Aは、新モース硬度が3以上4以下で且つ個数平均粒子径が50nm以上300nm以下である。無機粒子Bは、新モース硬度が7以上13以下で且つ個数平均粒子径が50nm以上300nm以下である。これにより、感光体の表面の必要以上の磨耗と低硬度の無機粒子の感光体への付着を抑えた上で、画像がボケたようになる現象、所謂、画像流れを防止して、高画質の画像を出力できる。低硬度の無機粒子Aが、画像形成中の画像流れの防止に効果がある理由については、必ずしも明確になっていない。しかし、感光体の表面に付着した放電生成物は硬い粒子で感光体の表面ごと掻き取る方法よりも、柔らかい粒子で感光体の表面を拭き取るような方法の方が効果的である可能性がある。即ち、柔らかい粒子の方が感光体の表面と粒子とのインタラクションが大きくなり、感光体上の画像流れを引き起こす物質をむらなく吸着し除去できるものと考えられる。
無機粒子Aとしては、炭酸カルシウムを主成分とするものを好適に用いることができる。低硬度の無機粒子Aとして炭酸カルシウムを使用すれば、画像形成中の画像流れを抑止する性能が更に高く、より高品質の画像を出力できる。無機粒子Bとしては、酸化チタンを主成分とするものを好適に用いることができる。高硬度の無機粒子Bとして酸化チタンを用いることで、クリーニングブレードの欠けが発生し難くなり、クリーニングブレードの長寿命化が達成できる。又、無機粒子Bとしては、酸化アルミニウムを主成分とするものも好適に用いることができる。高硬度の無機粒子Bとして酸化アルミニウムを用いることにより、感光体の表面への低硬度の無機粒子Aの付着が発生し難くなる。
好ましくは、無機粒子Aの個数平均粒子径が無機粒子Bの個数平均粒子径の1.2倍以上2.5倍以下である。これにより、無機粒子Bによる感光体の表面の深いキズが発生し難くなる。これは無機粒子Aによるクリーニングブレードと感光体との当接ニップにおけるスペーサ効果が発現し易くなっていることによるものと考えられる。1.2倍以上2.5倍以下という関係は、クリーニングブレードと感光体との当接ニップにおける無機粒子Aと無機粒子Bとの同時介在確率の問題であると考えられる。
又、好ましくは、トナーの平均円形度が0.950以上0.970以下である。トナー粒子の円形度が最適であると、高い転写性を維持した上で、クリーニングブレードの近傍におけるトナーの動きが小さくなり、無機粒子の層が乱れることがない。これにより、トラブルなどで未転写トナーがクリーニングブレードと感光体との当接部に突入した場合にもクリーニング性が向上する。
又、好ましくは、感光体の表面に硬化型樹脂を60重量%以上含有し、感光体の表面の油溜り深さRvkが0.03μm以上0.10μm以下である。硬化樹脂を含有することにより表面形状を維持し易くなって、且つ、表面粗さの溝最深部においても低硬度の無機粒子Aの高硬度の無機粒子Bによる掻き取りが行われ易くなるために、低硬度の無機粒子Aの感光体への付着を防止する性能が更に高まる。
又、好ましくは、感光体の静止時における、クリーニングブレードと感光体との当接ニップ幅が50μm以上120μm以下、平均当接面圧が0.1N/mm2以上0.5N/mm2以下である。これにより、無機粒子による感光体の表面の研磨性能が発揮し易くなり、放置後の画像流れを防止する効果が更に高くなる。
又、上記清掃する工程では複数のクリーニングブレードが感光体に当接されてよい。この場合、好ましくは、感光体の静止時における、複数のクリーニングブレードの内の1つのクリーニングブレードの感光体との当接ニップ幅が5μm以上30μm以下、平均当接面圧が0.3N/mm2以上1.0N/mm2以下である。これにより、無機粒子のすり抜けが抑えられ、他の部材の汚染が低減できる。
2.実施例及び比較例
次に、実施例及び比較例を参照して本発明の効果を更に具体的に説明する。
<トナー粒子(分級品)製造例>
・ポリエステル樹脂 100質量部
・C.I.ピグメントブルー15:3 5質量部
・ノルマルパラフィンワックス(最大吸熱ピーク:70℃) 5質量部
・ジ−ターシャリブチルサリチル酸のアルミニウム化合物(荷電制御剤) 1質量部
上記材料をヘンシェルミキサーにより十分予備混合し、二軸押出し混練機で任意のバレル温度にて溶融混練した。冷却後ハンマーミルを用いて約1〜2mm程度に粗粉砕し、第一段階として機械式粉砕方式による微粉砕機で1時間あたり50kgの処理スピードで10μm以下の粒子径に微粉砕した。更に、第二段階として、微粉砕物を、ライナーとローターとの間の距離を、ローター長手方向に4等分し、粉砕物が投入される方向から0.1倍ずつ段階的に狭めた機械式粉砕機により粉砕し、1時間あたり50kgの処理スピードで機械式粉砕機により処理した。このとき、冷風温度を制御し、排温を43度まで上昇させた。続いて、得られた微粉砕物を分級と機械式衝撃力を用いる表面改質処理を同時に行う装置にて分級及び球形化した。これにより、粒度分布における重量平均粒子径が5.3μm以上5.8μm以下、このトナー粒子のフロー式粒子像測定装置における円相当径(個数基準)2μm以上の粒子の平均円形度が0.940以上0.980以下のトナー粒子1〜5(分級品)を得た。各トナーの平均円形度、重量平均粒子径を表1に示す。
<無機粒子(無機微粒子、研磨剤、研磨粒子)>
実施例に用いる無機粒子を表2に示す。
各無機粒子は公知の製造法にて製造し、数十から数百nm程度の粒子径となるように結晶成長条件や焼結条件、分級工程などを調節した。尚、使用する無機粒子の形状は全て、円形度が0.930以下の非円形粒子である。
新モース硬度は、無機粒子をペレット化して新モース硬度測定標準物質に擦ることにより測定することができる。
上記無機粒子は、トナー粒子に0.3質量部ずつ外添することにより、転写残トナー中に含まれる状態でクリーニング部(クリーニング工程)、即ち、クリーニングブレードと感光体との当接部に供給されるようにする。
<トナー粒子(外添品)製造例>
トナー粒子100質量部に対して、シリカ100質量部にジメチルシリコーンオイル20質量部で表面処理した疎水性シリカ(BET=220m2/g)1.5質量部、無機粒子a〜w(表2)の中から選んだ2つの無機粒子0.3質量部ずつを、ヘンシェルミキサーFM10B(三井三池化工機社製)にて、回転数が66S−1、時間が2分の条件で外添して、トナー1〜27を得た。得られたトナーの外添処方を表3に示す。
<キャリア製造例>
実施例及び比較例では、トナーとキャリアによる二成分現像を行うため、樹脂コートフェライトキャリアを以下の方法にて作製した。
熱硬化性樹脂:熱硬化性フェノール樹脂(硬化温度:120℃)
熱可塑性樹脂:フェノールノボラック樹脂(軟化点:160℃)
上記2種類の熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂を固形分としてそれぞれ30質量部と70質量部の割合で混合した後、メチルセロソルブ溶液で希釈して10重量%の被覆樹脂溶液を作製した。この被覆樹脂溶液を流動床コーティング装置を用いて平均粒子径40μm、飽和磁化20emu/gの球形フェライト粒子1.5kgにスプレー塗布した。このとき、流動化ベッド室への送風温度を40℃に設定した。又、このときの撹拌羽根の回転速度は450rpmであり、スプレー条件はスプレーノズルヘの空気圧が3.4kg/cm2であり、流量が48l/minであり、被覆樹脂溶液の供給速度が8.0ml/minであった。スプレー終了後、得られたキャリアを流動化ベッド室中において、温度140℃で20分間保持して熱硬化性樹脂を硬化させ、樹脂被覆キャリアを得た。
<感光体製造例>
直径60mmのアルミニウムシリンダーを支持体として、この上にポリアミド樹脂(商品名:アミランCM8000、東レ製)の5質量%メタノール溶液を浸漬法で塗布し、膜厚が0.5μmの下引き層を形成した。
次に、電荷発生材料としてCuKαのX線回折における回折角2θ±0.2が28.1°に最も強いピークを有するヒドロキシガリウムフタロシアニンの結晶3質量部とポリビニルブチラール2質量部をシクロヘキサノン100質量部に添加し、1mmφガラスビーズを用いたサンドミルで1時間分散し、これにメチルエチルケトン100質量部を加えて希釈して電荷発生層用塗料を調製し、上記下引き層上に、この電荷発生層用塗料を浸漬塗布し、90℃で10分間乾燥して、膜厚0.17μmの電荷発生層を形成した。
次いで、下記化学式(2)の電荷輸送材料化合物7質量部及びポリカーボネート樹脂(ユーピロンZ400、三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社製)10質量部を、モノクロロベンゼン105質量部及びジクロロメタン35質量部に溶解した。この溶液を、前記電荷発生層上に浸漬塗布し、110℃で1時間熱風乾燥し、膜厚が13μmの電荷輸送層を形成した。電荷輸送層の上に更に保護層を形成させた。
実施例では反転現像を用いている。感光体は、直径60mmのアルミシリンダー上に前述したように3層を重ねた後、表面保護層として下記化学式(3)の電荷輸送性化合物を電子線照射により重合させた化合物を含有する表層を塗工し硬化させた有機感光体である。
この電荷輸送性化合物45質量部をn−プロピルアルコール55質量部に溶解し、更にテトラフルオロエチレン微粒子(PTFE)を5質量部添加して、高圧分散機(マイクロフルイタイザー、Microfluidics社製)にて分散させた表面保護層用塗料を調整した。この塗料を前記4層感光体上に塗布したのち、加速電圧150KV、線量100kGyの条件で電子線を照射し、膜厚4μmの保護層を形成し、感光体を得た。これらの操作により、硬化型樹脂を90重量%含有する保護層を有する感光体Aを得た。
更に、上記化学式(3)の電荷輸送性化合物30質量部と、下記化学式(4)の電荷輸送性化合物15質量部をn−プロピルアルコール55質量部に溶解し、更にテトラフルオロエチレン微粒子(PTFE)を5質量部添加して、上記と同様の方法で硬化型樹脂を60重量%含有する保護層を有する感光体Bを得た。
更に、上記化学式(3)の電荷輸送性化合物25質量部と上記化学式(4)の電荷輸送性化合物20質量部をn−プロピルアルコール55質量部に溶解し、更にテトラフルオロエチレン微粒子(PTFE)を5質量部添加して、上記と同様の方法で硬化型樹脂を50重量%含有する保護層を有する感光体Cを得た。
次に、図4に示される粗面化手段により、以下に示す条件で、上記の要領で作成した感光体A〜Cの表面の粗面化を行った。
ラッピングフィルム 研磨砥粒:酸化アルミニウム
基材:ポリエステルフィルム(厚さ:75μm)
ラッピングフィルム送りスピード:5mm/sec
感光体回転数:20rpm
押し当て圧:1〜4N/m2
シート及び感光体の回転方向:同方向
バックアップローラは外径:直径40cm
バックアップロ−ラアスカーC硬度:30
処理時間:120〜180秒
研磨条件(ラッピングフィルム中の砥粒)を変えて5段階の粗さの感光体を作製した。塗料処方及び研磨条件の変更により得られた感光体を表4に示す。
<クリーニング装置>
クリーニングブレードは1枚の場合と2枚の場合について実施した。
クリーニングブレードが1枚の場合のクリーニング装置の構成は上述の通りである。クリーニングブレードが1枚の場合、該クリーニングブレードとしてゴム硬度77度、反発弾性47%のウレタンゴムブレードを用い、侵入量を変化させて当接面圧及び当接角度を変えて9パターンの設定条件とした。
図5は、クリーニングブレードが2枚の場合のクリーニング装置の構成を示す。即ち、この場合、クリーニング装置107は、クリーニングブレードとして、感光体101の表面の移動方向において上流側で感光体101に当接する第1クリーニングブレード108Aと、下流側で当接する第2クリーニングブレード108Bと、を有する。第1、第2クリーニングブレード108A、108Bは、それぞれ板金で形成された支持体の先端部に保持されている。第1、第2クリーニングブレード108A、108Bはそれぞれ、矩形板状の弾性部材である。第1、第2クリーニングブレード108A、108Bは、その長手方向が感光体101の長手方向と略平行となるように、短手方向の一方の端部側が支持体の先端部に固定される。そして、その短手方向の他方の端部である自由端が感光体101にカウンター方向に当接するように配設される。
クリーニングブレードが2枚の場合、2枚目のクリーニングブレードに関しては、1枚目のクリーニングブレードの下流側に位置するため、感光体101との当接部に到達する外添剤量が少ない。そのため、2枚目のクリーニングブレードと感光体との間の潤滑性が小さくなり易いので、ファーブラシローラ109を2枚目のクリーニングブレードと感光体101との当接位置の上流に設けて、外添剤が潤滑剤として滞留し易くなるようにしている。ファーブラシローラ109は、感光体101の回転軸方向と略平行の回転軸を中心として回転し、ブラシ部分が感光体101と接触して感光体の表面を摺擦する。
クリーニングブレードが2枚の場合、1枚目のクリーニングブレードとしては、上記クリーニングブレードが1枚の場合と同じものを用い、侵入量を調整して当接面圧及び当接角度を調整した。又、2枚目のクリーニングブレードとしてはゴム硬度82度、反発弾性11%のウレタンゴムブレードを用い、1枚目のクリーニングブレードと同様、侵入量と当接角度を調節し、9パターンの設定とした。
各クリーニング設定を表5に示す。
<試験>
1.評価方法1
キヤノン製複合機CLC5000の改造機(帯電方式を接触ローラ帯電に改造、クリーニング部分を前記の構成に改造、感光体温度制御装置除去、定着オイル除去)にて以下の条件で画像出力評価を行った。
尚、帯電ローラにはDCバイアスにACバイアスを重畳したバイアスを印加し、放電電流が100μAとなるようにACバイアスのVppを設定した。又、試験にはシアンステーションを使用した。
評価は以下の評価基準で行った。
<画像形成中画像流れ>
評価環境は30℃85%Rhである。1ドット2スペース横罫線画像を1枚間欠で1000枚出力し、初期から1000枚の間における画像の罫線の細り具合を、23℃5%Rh環境の画像と比較して、画像形成中に起こる画像流れを評価した。A、B、Cランクを合格とした。
A:罫線幅の細り10%未満(見た目画質良好)
B:罫線幅の細り10%以上30%未満(見た目画質ほぼ良好)
C:罫線幅の細り30%以上50%未満(見た目画質少し悪目だが許容レベル)
D:罫線幅の細り50%以上(画質が一目見て悪いレベル)
<長期放置画像流れ>
評価環境は30℃85%Rhである。画像形成パターンは、画像比率4%の横罫線チャート(A4)とし、これをスキャナに読み込ませ、出力した。1枚間欠で10万枚出力した後、24時間放置後の1ドット2スペース横罫線画像を、放置前の画像と比較して評価した。A、B、Cランクを合格とした。
A:罫線幅の細り10%未満(見た目画質良好)
B:罫線幅の細り10%以上30%未満(見た目画質ほぼ良好)
C:罫線幅の細り30%以上50%未満(見た目画質少し悪目だが許容レベル)
D:罫線幅の細り50%以上(画質が一目見て悪いレベル)
<感光体微粒子付着>
評価環境は30℃85%Rhである。画像形成パターンは、画像比率4%の横罫線チャートとし、これをスキャナに読み込ませ、出力した。1枚間欠で10万枚出力した後に、16階調画像を出力して、感光体の表面の顕微鏡観察とあわせて以下の基準で感光体上の無機粒子Aの付着について評価した。A、B、C、Dランクを合格とした。
A:粒子付着はほとんど無く、視覚的に見えず、出力画像に影響ほとんどなし。
B:顕微鏡で見える粒子付着がわずかにあるが、階調出力画像のハイライト部の一部にのみわずかに帯電ムラが認められる程度(見た目画質良好)
C:顕微鏡で見える粒子付着はあるが、階調出力画像のハイライト部分にのみ、帯電ムラが見える程度(見た目画質ほぼ良好)
D:粒子付着が発生し階調出力画像全体に帯電ムラができるが、露光は遮断しないレベル(見た目画質少し悪目だが許容レベル)
E:粒子付着により露光を遮断されてしまう画像不良が発生(画質が一目見て悪いレベル)
<クリーニングブレード欠け>
高温高湿環境下(30度85%Rh)で、1%比率横罫線画像(A4)を1枚間欠で出力する耐久試験を行った。そして、クリーニングブレードのエッジが磨耗又は破損したことによるトナーのクリーニング不良により出力画像不良が発生するときの画像出力枚数を評価した。A、B、Cランクを合格とした。
A:30万枚以上問題なし
B:10万枚以上30万枚未満で発生
C:1万枚以上10万枚未満で発生
D:1万枚未満で発生
<トナークリーニング性>
低湿環境下(23度5%Rh)で、A4全面ベタ画像を千枚連続出力する耐久試験を行い、クリーニング性能の評価を行った。A、B、Cランクを合格とした。
A:クリーニング不良ほとんどなし、帯電ローラ汚れも良好
B:クリーニング不良画像なし、帯電ローラトナー汚れあり
C:50枚以上千枚未満で、トナーがクリーニングブレードをすり抜けることによる縦線が画像に発生
D:50枚未満で、トナーがクリーニングブレードをすり抜けることによる縦線が画像に発生
<転写効率>
高温高湿環境下(30度85%Rh)で画像出力し、感光体上のトナー載り量と紙上のトナー載り量より転写効率を算出した。A、B、Cランクを合格とした。
A:転写効率92%以上
B:転写効率88%以上92%未満
C:転写効率80%以上88%未満
D:転写効率80%未満となり、画質劣化が認識し易くなる
<帯電部材汚染>
低湿環境下(23度5%Rh)で連続画像出力を行い、ハーフトーン画像において帯電ローラの外添剤によるスジ汚れに起因する画像不良がはっきり見えたときの画像出力枚数により、帯電部材汚れの評価を行った。A、B、C、Dランクを合格とした。
A:100万枚以上問題なし
B:75万枚以上100万枚未満
C:50万枚以上75万枚未満
D:20万枚以上50万枚未満
E:20万枚未満
<感光体キズ>
高温高湿環境下(30度85%Rh)で画像比率4%の横罫線チャートを10万枚出力した後に、感光体の表面のキズの状態を、表面粗さ計にて測定した10点平均粗さRzとキズの観察結果により評価した。A、B、Cランクを合格とした。
A:Rz変化率20%未満(深いキズ無く、出力画像ではわからない)
B:Rz変化率20%以上だが1μm以上のキズなし(画像への影響ほとんどなし)
C:1μm以上2μm未満の深いキズが発生(画像への影響軽微)
D:2μm以上の深いキズが発生(出力画像でキズの影響がみえる)
<感光体磨耗>
高温高湿環境下(30度85%Rh)で画像比率4%の横罫線チャートを5万枚出力した後、感光体の膜厚を干渉膜厚計にて測定して、磨耗量を評価した。A、B、Cランクを合格とした。
A:磨耗量が0.10μm未満(寿命50万枚以上)
B:磨耗量が0.10μm以上0.25μm未満(寿命30万枚クラス)
C:磨耗量が0.25μm以上0.50μm未満(寿命15万枚クラス)
D:磨耗量が0.50μm以上(寿命10万枚未満レベル)
実施例1〜9の現像剤、感光体、クリーニングの各条件を表6に示す。トナー番号は表3、感光体番号は表4、クリーニング設定番号は表5にそれぞれ示したものである(以下同じ)。
実施例1〜9の評価結果を表7に示す。
実施例10〜18の現像剤、感光体、クリーニングの各条件を表8に示す。
実施例10〜18の評価結果を表9に示す。
実施例19〜24の現像剤、感光体、クリーニングの各条件を表10に示す。
実施例19〜24の評価結果を実施例10の評価結果とあわせて表11に示す。
実施例25〜28の現像剤、感光体、クリーニングの各条件を表12に示す。
実施例25〜28の評価結果を実施例10の評価結果とあわせて表13に示す。
実施例29〜34の現像剤、感光体、クリーニングの各条件を表14に示す。
実施例29〜34の評価結果を実施例10の評価結果とあわせて表15に示す。
実施例35〜43及び比較例1〜8の現像剤、感光体、クリーニングの各条件を表16に示す。
実施例35〜43及び比較例1〜8の評価結果を実施例10の評価結果とあわせて表17に示す。
実施例1〜36、41〜43は、実施例37〜40と比較して、画像形成中に発生する画像流れがより良好となっている。従って、低高度の無機粒子Aとして炭酸カルシウムを使用することで、より高品質な画像出力を行えることがわかる。
実施例1〜34、37は実施例35、36、38〜43と比較して、クリーニングブレード欠けが発生し難くなっている。従って、高硬度の無機粒子Bとして酸化チタンを用いることで、クリーニングブレードの一層の長寿命化を達成できることがわかる。
実施例35、36、38〜40は、実施例1〜34、37、41〜43と比較して、感光体の表面への低硬度の無機粒子の付着が発生し難くなり、感光体の帯電性均一性が向上している。従って、高硬度の無機微粒子Bとして酸化アルミニウムを用いることで、長期使用を通じてより高品質な画像出力を行うことができることがわかる。
実施例1〜28、35〜43は、実施例31〜34と比較して、感光体表面の深いキズが発生し難くなっている。従って、低硬度の無機粒子Aの個数平均粒子径が、無機粒子Bの個数平粒子径の1.2倍以上2.5倍以下であることで、より長期にわたり感光体を良好な状態に維持できることがわかる。これにより、感光体の交換、感光体の研磨によるリフレッシュ化などのメンテナンスの手間を低減することができる。この粒子径の関係では、クリーニングブレードと感光体との当接ニップにおける無機粒子Bによる感光体の局部的研磨が、無機粒子Aのスペーサ効果により緩和されるものと考えられる。
実施例1〜26、29〜43は、実施例27、28と比較して、クリーニング性と転写性の両立が図れている。このように、トナーの平均円経度が0.95以上0.97以下であることで、高い転写性を維持した上で、クリーニングブレード近傍におけるトナーの動きが小さくなり、無機粒子の層が乱れることがないことがわかる。これにより、トラブルなどで未転写トナーがクリーニング部に突入した場合にも、良好なクリーニング性を維持できる。
実施例1〜18、25〜43は、実施例19〜24(特に、実施例21、22、24)と比較して、トナーの外添剤や紙粉などの微粒子の感光体への付着が低減されている。従って、感光体の表層に硬化型樹脂を60重量%以上含有し、感光体の表面の油溜り深さRvkが0.03μm以上0.10μm以下であることで、感光体の帯電ムラや露光不良による画質低下をより抑えることができることが分かる。これは、次のような理由によるものと考えられる。即ち、上述のような感光体では、表層に硬化樹脂を含有することにより、初期の表面形状を維持し易い。そのため、感光体からの良好な微粒子のクリーニング性を維持でき、且つ、表面粗さの溝最深部においても低硬度の無機粒子Aの高硬度の無機粒子Bによる掻き取りが行われ易くなる。
実施例1〜14、19〜43は、実施例15〜18と比較して、長期放置時の画像流れが抑止できている。従って、感光体の静止時におけるクリーニングブレードと感光体との接触ニップ幅が50μm以上120μm以下、平均当接面圧が0.1N/mm2以上0.5N/mm2以下であることで、画像形成装置が高湿環境下に長期放置された場合にも、より良好な画像出力を行うことができることがわかる。
実施例1〜5、35は、実施例6〜34、36〜43と比較して、感光体に接触する帯電部材の汚染が抑止できている。従って、複数のクリーニングブレードを有し、その内の1つのクリーニングブレードの感光体の静止時における当接ニップ幅が5μm以上30μm以下、平均当接面圧が0.3N/mm2以上1.0N/mm2以下であることで、無機粒子のクリーニング装置からのすり抜けを抑え、感光体に接触ないし近接する部材の汚染を抑止して、装置又は部品の一層の長寿命化を図ることができる。
2.評価方法2
次に、低硬度の無機粒子Aと高硬度の無機粒子Bとを、クリーニング装置から、クリーニング部に供給する実施例として、キヤノン製複合機ImagePRESS C7000VPのブラックステーションを使用した実験を行った。
使用したImagePRESS C7000VPのブラックステーションは、帯電装置をローラ接触帯電に改造し、感光体ヒータを外した。更に、ImagePRESS C7000VPの感光体クリーニング装置内におけるクリーニング補助ブラシローラに対して、粒径が約10μmのポリエステル樹脂粒子と、低硬度の無機粒子Aと、高硬度の無機粒子Bと、を混合圧縮成形して固形化した部材(固形体)を当接させて設置した。無機粒子A、無機粒子Bとしては、表2に示したものをそれぞれ用いた。これらの粒子の混合圧縮成形は、メノウ乳鉢で乾式混合した後、直方体状の型に詰め、プレス機にて8000kg/cm2の圧力を加えて行った。クリーニング補助ブラシローラに当接させる固形体の成形処方を表18に示す。
ImagePRESS C7000VPの感光体クリーニング装置内におけるクリーニング補助ブラシローラに上記固形体を当接させ、評価方法1と同様の評価モード・評価基準で評価した結果を表19に示す。
実施例44では、無機粒子Aと無機粒子Bとを固形体として、これから各粒子を感光体の表面に塗布する。このような構成でも、画像流れを抑止することができる。この方法によれば、無機粒子をトナーに外添することによる現像性への影響をなくすことが可能である。
3.評価方法3
次に、アモルファスシリコン感光体を搭載したキヤノン製複合機iRC6800に本発明を適用し、その効果を確認した。
キヤノン製複合機iRC6800のシアンの現像器には、評価方法1で使用したトナー1、トナー12、トナー21、トナー23を投入した。又、非接触コロナ帯電部材を接触ローラ帯電部材に変更した。又、クリーニングブレードの材料をゴム硬度70度、反発弾性8%のウレタンゴムとした。又、感光体の内部に設置されたヒータを取り外した。
評価方法1とほぼ同様の評価モード・評価基準で評価した結果を表20に示す。但し、アモルファスシリコン感光体は、有機感光体に比べて機械的ストレスに対して100〜1000倍程度の長寿命を有する。又、アモルファスシリコン感光体は、感光体の最表層の膜厚を9000Å程度の薄膜としていることもある。そのため、ここでは、感光体のキズと磨耗量に関してのみ以下の評価基準にて評価した。
<感光体キズ>
高温高湿環境下(30度85%Rh)で画像比率4%の横罫線チャートを100万枚出力した後に、感光体の表面のキズを調べ、発生したキズのうち最も深いキズの深さを測定した。A、Bランクを合格とした。
A:キズ発生が確認されず、出力画像でもわからない
B:1000Å以上3000Å未満のキズが発生(画像への影響極軽微)
C:3000Å以上のキズが発生(出力画像でキズの影響がわかり易い)
<感光体磨耗>
高温高湿環境下(30度85%Rh)で画像比率4%の横罫線チャート100万枚出力した後、感光体の膜厚を干渉膜厚計にて測定して、磨耗量を評価した。A、Bランクを合格とした。
A:磨耗量が1000Å未満(寿命600万枚以上クラス)
B:磨耗量が1000Å以上2000Å未満(寿命400万枚クラス)
C:磨耗量が2000Å以上(寿命200万枚以下クラス)
実施例45、46のように、アモルファスシリコン感光体を搭載した画像形成装置においても、本発明による感光体の清掃効果が得られ、感光体やその他の画像形成装置本体の構成によらず、本発明の無機粒子の組合せが効果を発揮することが確認された。又、アモルファスシリコン感光体を搭載した画像形成装置においても、無機粒子Bとしての酸化チタン(ルチル)粒子の使用により、感光体の磨耗を低減できる効果があった。又、無機粒子Bとしてのアルミナ(酸化アルミニウム)粒子の使用により、感光体の微粒子付着汚染を低減できる効果があった。