JP2012081627A - 発泡体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】発泡倍率を向上させると共に、キャビティの形状に沿った発泡体を容易に成形することが可能な発泡体の製造方法を提供する。
【解決手段】本発明にかかる発泡体の製造方法は、押し出された発泡層(102)を分割金型(11a,11b)で挟み込んで分割金型(11a,11b)のキャビティ(12a,12b)の形状に沿った発泡体を成形する際に、発泡層(102)内に気体導入手段(31)を挿入し、発泡層(102)内に気体を導入する。
【選択図】図4

Description

本発明は、発泡体の製造方法に関する。
本発明より先に出願された技術文献として、多層パリソンを分割金型でコンプレッションし、多層パリソンの最内面同士を接着させ、多層発泡体を成形する方法について開示された文献がある(例えば、特許文献1:特開2004−82332号公報参照)。
具体的には、図15に示すように、発泡層2、樹脂層3から構成される多層パリソン5をダイ21から押し出し、減圧用配管23が設けられた分割金型22a,22b間に多層パリソン5を配置する。そして、分割金型22a,22bで多層パリソン5を挟み込みながら分割金型22a,22bを閉鎖する。分割金型22a,22bを閉鎖して行くと、多層パリソン5は、キャビティ24内で圧縮されて扁平状に変形しながら分割金型22a,22bの内面に密着する。そして、図16に示すように、分割金型22a,22bの閉鎖が完了すると、多層パリソン5の内面側を構成する発泡層2同士が接着して一体化し、表皮層13付き発泡成形品発泡層12が成形される。
特開2004−82332号公報
しかし、上述した特許文献1の方法は、分割金型22a,22bの減圧用配管23からの吸引により、分割金型22a,22bのキャビティ24の形状に沿った発泡成形体を成形するものである。このため、減圧用配管23の配置位置が適切でなかったり、吸引力が弱かったりした場合は、キャビティ24の形状に沿った発泡成形体を成形し難いという問題がある。特に、キャビティ24の形状が複雑な場合は、上記の問題が顕著になる。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、発泡倍率を向上させると共に、キャビティの形状に沿った発泡体を容易に成形することが可能な発泡体の製造方法を提供することを目的とする。
かかる目的を達成するために、本発明は、以下の特徴を有することとする。
<発泡体の製造方法>
本発明にかかる発泡体の製造方法は、
押し出された発泡層を分割金型で挟み込んで前記分割金型のキャビティの形状に沿った発泡体を成形する際に、前記発泡層内に気体導入手段を挿入し、前記発泡層内に気体を導入することを特徴とする。
本発明によれば、発泡倍率を向上させると共に、キャビティの形状に沿った発泡体を容易に成形することができる。
本実施形態の多層発泡体100の構成例を示す図である。 第1の実施形態の多層発泡体100の製造方法例を説明するための第1の図である。 第1の実施形態の多層発泡体100の製造方法例を説明するための第2の図である。 第1の実施形態の多層発泡体100の製造方法例を説明するための第3の図である。 第1の実施形態の多層発泡体100の製造方法例を説明するための第4の図である。 第1の実施形態の多層発泡体100の製造方法例を説明するための第5の図である。 第2の実施形態の多層発泡体100の製造方法例を説明するための第1の図である。 第2の実施形態の多層発泡体100の製造方法例を説明するための第2の図である。 第3の実施形態の多層発泡体100の製造方法例を説明するための図である。 第4の実施形態の多層発泡体100の製造方法例を説明するための図である。 第5の実施形態の多層発泡体100の製造方法例を説明するための第1の図である。 第5の実施形態の多層発泡体100の製造方法例を説明するための第2の図である。 第5の実施形態の多層発泡体100の製造方法例を説明するための第3の図である。 第5の実施形態の多層発泡体100の製造方法例を説明するための第4の図である。 従来の多層発泡体の製造方法例を説明するための第1の図である。 従来の多層発泡体の製造方法例を説明するための第2の図である。
<本実施形態の発泡体100の概要>
まず、図1〜図6、図10を参照しながら、本実施形態の発泡体100の概要について説明する。図1は、発泡体100の構成例を示し、図2〜図6、図10は、発泡体100の製造方法例を示す。
本実施形態の発泡体100は、図1に示すように、非発泡層101と、発泡層102と、を有して構成する。
本実施形態の発泡体100を製造する際は、まず、図2に示すように、発泡層102の外面に非発泡層101を有する多層樹脂200を押し出す。次に、図3に示すように、多層樹脂200の最内面同士を接着し、発泡層102の両面が非発泡層101で覆われた多層樹脂積層体201を形成する。次に、図4に示すように、多層樹脂積層体201の最外面とキャビティ面12a,12bとの間に隙間が空くように多層樹脂積層体201を分割金型11a,11bで挟み込み型締めする。また、図4に示すように、多層樹脂積層体201の発泡層102内に、気体導入手段である吹き込み針31を挿入する。そして、吹き込み針31から加圧エアーによる吹き込みを行うと同時に、分割金型11a,11bのキャビティ面12a,12bに配置された孔14,15から所定の圧力で真空吸引を行い、図5に示すように、多層樹脂積層体201を構成する非発泡層101をキャビティ面12a,12bに沿った形状に成形すると共に、多層樹脂積層体201を構成する発泡層102を二次発泡させ、発泡層102の発泡倍率を更に大きくし、図6に示す発泡体100を成形する。
本実施形態の発泡体100は、多層樹脂200を分割金型11a,11bで挟み込んで分割金型11a,11bのキャビティ面12a,12bの形状に沿った発泡体100を成形する際に、図4に示すように、発泡層102内に気体導入手段である吹き込み針31を挿入し、発泡層102内に気体を導入することにしている。これにより、二次発泡を補助し、発泡倍率を向上させると共に、キャビティ面12a,12bの形状に沿った発泡体100を容易に成形することができる。なお、本実施形態において多層樹脂200は、図2〜図6に示す円筒状の多層パリソン200だけでなく、図10に示すシート状の多層シート200なども含まれる。また、本実施形態の発泡体100は、発泡層102の両面に非発泡層101を有する多層発泡体100だけでなく、単層の発泡層102のみで構成する発泡体100も含まれる。以下、添付図面を参照しながら、本実施形態の発泡体100について詳細に説明する。なお、以下の説明では、発泡層102の両面に非発泡層101を有する多層樹脂200で構成する多層発泡体100を例に説明する。
(第1の実施形態)
<多層発泡体100の構成例>
まず、図1を参照しながら、本実施形態の多層発泡体100の構成例について説明する。
本実施形態の多層発泡体100は、非発泡層101と、発泡層102と、を有して構成する。
非発泡層101は、多層発泡体100の外側を構成し、発泡層102は、多層発泡体100の内側を構成する。
本実施形態の多層発泡体100は、外側を非発泡層101で構成しているため、多層発泡体100の剛性を高めることができる。また、外側の非発泡層101が内側の発泡層102の破泡を抑制するため、高発泡倍率の発泡層102を構成することができる。また、本実施形態の多層発泡体100は、リブ103を有しているため、多層発泡体100の剛性を高めることができる。
非発泡層101は、公知の非発泡樹脂を用いて構成する。
発泡層102は、発泡倍率が2.0倍以上であり、複数の気泡セルを有する独立気泡構造(独立気泡率が70%以上)の発泡樹脂で構成する。発泡層102の厚み方向における気泡セルの平均気泡径は、1000μm未満、好ましくは、300μm未満で構成する。
発泡層102は、ポリプロピレン系樹脂で構成し、好ましくは、ポリプロピレン系樹脂に対し、1〜20wt%のポリエチレン及び/または5〜40wt%の水素添加スチレン系エラストマーを混合させたブレンド樹脂で構成する。
なお、本実施形態において発泡倍率は、後述する本実施形態の成形方法で用いた熱可塑性樹脂の密度を、本実施形態の成形方法により得られた多層発泡体100の非発泡層101,発泡層102の壁面の見かけ密度で割った値を発泡倍率とした。
また、引張破壊伸びは、後述する本実施形態の成形方法により得られた多層発泡体100の非発泡層101,発泡層102の壁面を切り出し、−10℃で保管後に、JIS K-7113に準じて2号形試験片として引張速度を50mm/分で測定を行った値を引張破壊伸びとした。
また、引張弾性率は、後述する本実施形態の成形方法により得られた多層発泡体100の非発泡層101,発泡層102の壁面を切り出し、常温(23℃)で、JIS K-7113に準じて2号形試験片として引張速度を50mm/分で測定を行った値を引張弾性率とした。
<多層発泡体100の製造方法例>
次に、図2〜図6を参照しながら、本実施形態の多層発泡体100の製造方法例について説明する。図2〜図6は、多層発泡体100の製造方法例を示す図である。
本実施形態の多層発泡体100は、非発泡層101,発泡層102で構成する多層パリソン200を後述する分割金型11a,11bで挟み込んで成形する。
多層パリソン200を形成する際は、非発泡層101,発泡層102を構成する各基材樹脂をそれぞれ個別の押出機(図示せず)内で溶融混練し、アキュムレータ(図示せず)のアキュム室に一時的に貯留し、一定間隔毎にダイ(図示せず)に供給し、非発泡層101,発泡層102を構成する各基材樹脂をダイ内で合流し、多層パリソン200を形成する。
次に、図2に示すように、押出ヘッド10から多層パリソン200を押し出し、多層パリソン200を分割金型11a,11b間に配置する。押出ヘッド10から多層パリソン200を押し出すと、その押し出しと同時に多層パリソン200を構成する発泡層102が発泡する。
非発泡層101,発泡層102を構成するための熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン系樹脂などが適用可能である。但し、発泡層102を構成する熱可塑性樹脂としては、プロピレン単体を有するものが好ましく、具体的には、プロピレン単独重合体、エチレン−プロピレンブロック共重合体であることが好ましい。これにより、溶融張力が高くなるため、発泡層102を発泡し易くしたり、気泡セルも均一化し易くしたりすることができる。
また、長鎖分岐構造を有するプロピレン単独重合体は、0.9以下の重量平均分岐指数を有するプロピレン単独重合体であることが好ましい。また、重量平均分岐指数は、v1/v2で表され、v1が分岐ポリオレフィンの極限粘度数、v2が分岐ポリオレフィンと同じ重量平均分子量を有する線状ポリオレフィンの極限粘度数である。
また、非発泡層101,発泡層102を構成するための熱可塑性樹脂は、230℃におけるメルトテンション(MT)が30〜350mNの範囲内のポリプロピレン樹脂を用いることが好ましい。ここで、MTとは、溶融張力を意味する。発泡層102を構成するための熱可塑性樹脂のMTが30〜350mNの範囲内であると、ポリプロピレン系樹脂は歪み硬化性を示し、高い発泡倍率を得ることができる。なお、MTは、メルトテンションテスター(株式会社東洋精機製作所製)を用い、余熱温度230℃、押出速度10mm/分で、直径2.095mm、長さ8mmのオリフィスからストランドを押し出し、このストランドを直径50mmのローラに巻き取り速度5rpmで巻き取ったときの張力を示すものである。
また、非発泡層101,発泡層102を構成するための熱可塑性樹脂は、230℃におけるメルトフローレイト(MFR)が1〜10であることが好ましい。ここで、MFRとは、JIS K-7210に順じて測定した値である。MFRが1未満であると、MFRが1〜10の範囲内にある場合と比較し、押出速度を上げることが困難になる傾向があり、MFRが10を超えると、MFRが1〜10の範囲内にある場合と比較し、ドローダウン等の発生によりブロー成形が困難になる傾向がある。
発泡層102を構成するためのスチレン系エラストマーとしては、分子内に水素が添加されたスチレン単位を有するエラストマーが適用可能である。例えば、スチレン−エチレン・ブチレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−エチレン・プロピレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−ブタジエンランダム共重合体等の水素添加エラストマーが適用可能である。スチレン系エラストマーの配合割合は、熱可塑性樹脂に対して、成形性の観点から40wt%未満の範囲であることが好ましい。また、スチレン系エラストマー中のスチレンの含有量は、低温時の衝撃強度の観点から、30wt%未満であることが好ましく、20wt%未満であることがより好ましい。
また、発泡層102を構成するためのポリエチレンとしては、低温時の衝撃強度の観点から、密度0.91g/cm3以下のものが適用可能である。特に、メタロセン系触媒により重合された直鎖状超低密度ポリエチレンを用いることが好ましい。低密度ポリエチレンの配合割合は、上述した熱可塑性樹脂に対して、剛性及び耐熱性の観点から40wt%未満の範囲であることが好ましい。
また、発泡層102を構成する基材樹脂には、スチレン系エラストマー、低密度のポリエチレン及び発泡剤以外に、核剤、着色剤等を添加することも可能である。
発泡剤としては、空気、炭酸ガス、窒素ガス、水等の無機系発泡剤、または、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ジクロロメタン、ジクロロエタン等の有機系発泡剤が挙げられる。これらの中でも、発泡剤は、空気、炭酸ガスまたは窒素ガスを用いることが好ましい。この場合、有機物の混入がなく、耐久性等の低下がない。
発泡方法としては、超臨界流体を用いることが好ましい。特に、炭酸ガス、または、窒素ガスを超臨界状態とし、発泡層102を構成する基材樹脂を発泡させることが好ましい。この場合、均一かつ確実に発泡することができる。なお、窒素の超臨界流体は、窒素を臨界温度−149.1℃、臨界圧力3.4MPa以上とすることにより得られ、二酸化炭素の超臨界流体は、二酸化炭素を臨界温度31℃、臨界圧力7.4MPa以上とすることにより得られる。
次に、図2に示すように、押出ヘッド10から押し出した多層パリソン200の下部側を下ピンチ13で塞ぎ、プリブローにより多層パリソン200を所定の大きさまで拡張する。これにより、多層パリソン200のしわを伸ばすことができる。また、多層パリソン200を構成する発泡層102の発泡倍率を大きくすることができる。
なお、プリブローの方法は特に限定せず、例えば、押出ヘッド10側からプリブロー用のエアーを多層パリソン200の内部に吹き込むようにすることも可能である。また、下ピンチ13側から吹き込みノズルを多層パリソン200内に挿入し、下ピンチ13側からプリブロー用のエアーを多層パリソン200の内部に吹き込むようにすることも可能である。
次に、図3に示すように、分割金型11a,11bを移動させ、分割金型11a,11b同士が締まる直前で分割金型11a,11bのキャビティ面12a,12bに配置された孔14,15から加圧エアーによる吹き込みを行い、多層パリソン200に圧力を加え、多層パリソン200の最内面同士を接着させ、発泡層102の両面に非発泡層101を有する多層パリソン積層体201を形成する。この時、押出ヘッド10側と、下ピンチ13側と、の少なくとも一方から多層パリソン200内の空気を吸引することが好ましい。これにより、多層パリソン積層体201を形成する際に、多層パリソン200内の空気を吸引し、多層パリソン積層体201の内部に空気だまりが発生するのを抑制することができる。なお、加圧エアーの圧力が高すぎると、発泡層102の気泡を壊してしまうため、加圧エアーの圧力は、0.3Mpaまでの範囲で行うことが好ましい。
多層パリソン積層体201を形成した後は、図4に示すように、多層パリソン積層体201の最外面とキャビティ面12a,12bとの間に隙間が空くように多層パリソン積層体201を分割金型11a,11bで挟み込み型締めする。また、図4に示すように、吹き込み針31を多層パリソン積層体201に部分的に突き刺す。吹き込み針31は、分割金型11bに形成した孔32に吹き込み針31を挿入し、多層パリソン積層体201に吹き込み針31を突き刺す。なお、孔32は、吹き込み針31専用であっても、加圧エアーによる吹き込みが可能な孔15であっても良く、吹き込み針31を多層パリソン積層体201に突き刺すことが可能であれば特に限定しないものとする。また、吹き込み針31を多層パリソン積層体201に突き刺すのは、型締めと同時に行っても良く、また、型締め後に行っても良い。但し、吹き込み針31は、発泡層102内に到達するまで突き刺す。
また、吹き込み針31は、多層パリソン積層体201の複数の位置に突き刺すことが好ましい。これにより、複数の位置から発泡層102内に空気を挿入し、発泡層102の発泡倍率を向上させることができる。また、1箇所から多くの空気を挿入するよりも、複数箇所から空気を挿入することが好ましい。これにより、発泡層102内全体に亘って気泡を均一に形成することができる。また、吹き込み針31は、リブ形状30aの部分の多層パリソン積層体201に突き刺すことが好ましい。これにより、リブ103を成形する位置に空気を挿入することができるため、リブ形状30aが複雑な形状であっても、多層パリソン積層体201をリブ形状30aに沿った形状でリブ103を成形することができる。
次に、吹き込み針31から大気圧(又は、大気圧以上)程度の加圧エアーによる吹き込みを行うと同時に、分割金型11a,11bのキャビティ面12a,12bに配置された孔14,15から所定の圧力で真空吸引を行い、図5に示すように、多層パリソン積層体201を構成する非発泡層101をキャビティ面12a,12bに沿った形状に成形すると共に、多層パリソン積層体201を構成する発泡層102を二次発泡させ、発泡層102の発泡倍率を更に大きくする。
これにより、発泡層102内に加圧エアーによる吹き込みを行い、二次発泡を補助しているため、発泡倍率を更に向上させることができる。また、リブ形状30aの部分の多層パリソン積層体201に吹き込み針31を突き刺し、加圧エアーによる吹き込みを行うと同時に、キャビティ面12aに配置された孔14から真空吸引を行うため、リブ形状30aが複雑な形状であっても、多層パリソン積層体201をリブ形状30aに沿った形状に成形することができる。なお、吹き込み針31から加圧エアーによる吹き込みを行う場合は、0.1〜3.0kgf/cm2の圧力で行うことが好ましい。
また、分割金型11a,11bの材質に多孔質金属を使用することが好ましい。これにより、複数必要であった真空吸引を行うための孔14,15を簡潔にし、金型成形面全面に渡って真空吸引を行うことができる。
次に、図6に示すように、分割金型11a,11bを後退させ、分割金型11a,11bを多層発泡体100から離型し、多層発泡体100を分割金型11a,11bから取り出す。
<本実施形態の多層発泡体100の製造方法の作用・効果>
このように、本実施形態では、多層パリソン200を分割金型11a,11bで挟み込んで分割金型11a,11bのキャビティ面12a,12bの形状に沿った多層発泡体100を成形する際に、図4に示すように、発泡層102内に吹き込み針31を挿入し、発泡層102内に気体を導入する。これにより、キャビティ面12a,12bの形状に沿った多層発泡体100を容易に成形することができる。また、発泡層102内に気体を導入し、二次発泡を補助しているため、発泡倍率を更に向上させることができる。例えば、発泡層102内に吹き込み針31を挿入しない場合は、発泡倍率が4倍程度になるのに対し、発泡層102内に吹き込み針31を挿入した場合は、発泡倍率が5〜6倍程度に向上させることができる。
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について説明する。
第1の実施形態は、図4に示すように、分割金型11bに形成した孔32に吹き込み針31を挿入し、多層パリソン積層体201に吹き込み針31を突き刺すことにした。
第2の実施形態は、図7に示すように、分割金型11a,11b間に形成した孔33に吹き込み針31を挿入し、多層パリソン積層体201に吹き込み針31を突き刺す。このように、パーティングラインを形成する分割金型11a,11b間に孔33を形成し、その形成した孔33から吹き込み針31を挿入することも可能である。但し、孔33は、2つの分割金型11a,11bを型締めした際に形成されるため、本実施形態では、分割金型11a,11bを型締めした後に、孔33から吹き込み針31を挿入し、多層パリソン積層体201に吹き込み針31を突き刺すことになる。そして、第1の実施形態と同様に、吹き込み針31から大気圧(又は、大気圧以上)程度の加圧エアーによる吹き込みを行うと同時に、分割金型11a,11bのキャビティ面12a,12bに配置された孔14,15から所定の圧力で真空吸引を行い、図8に示すように、多層パリソン積層体201を構成する非発泡層101をキャビティ面12a,12bに沿った形状に成形すると共に、多層パリソン積層体201を構成する発泡層102を二次発泡させ、発泡層102の発泡倍率を更に大きくする。
これにより、発泡層102内に加圧エアーによる吹き込みを行い、二次発泡を補助しているため、発泡倍率を更に向上させることができる。また、発泡層102内に加圧エアーによる吹き込みを行っているため、キャビティ面12a,12bの形状に沿った多層発泡体100を容易に成形することができる。
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態について説明する。
第1、第2の実施形態では、多層パリソン200の最外面に流体を吹き付け、多層パリソン200の最内面同士を接着し、多層パリソン積層体201を形成することにした。
第3の実施形態は、図9に示すように、圧着ローラ24を用いて多層パリソン200の最内面同士を接着し、多層パリソン積層体201を形成する。そして、多層パリソン200を分割金型11a,11bで挟み込んで分割金型11a,11bのキャビティ面12a,12bの形状に沿った多層発泡体100を成形する際に、図4に示すように、発泡層102内に、吹き込み針31を挿入し、発泡層102内に気体を導入する。これにより、第1、第2の実施形態と同様に多層パリソン積層体201を形成することができる。以下、図9を参照しながら、第3の実施形態について説明する。
<多層発泡体100の製造方法例>
まず、図9を参照しながら、本実施形態の多層発泡体100の製造方法例について説明する。図9は、多層発泡体100の製造方法例を示す図である。
本実施形態では、押出ヘッド10から押し出された多層パリソン200を一対の圧着ローラ24間で挟み込んで、多層パリソン200の最内面同士を接着させ、多層パリソン積層体201を形成する。
本実施形態では、一対の圧着ローラ24間で多層パリソン200を挟み込んでいるため、多層パリソン200の最内面同士を広い面積で連続的に密着させることができ、且つ、多層パリソン積層体201の厚みも一定にすることができる。
但し、多層パリソン200を圧着ローラ24で挟み込む時の圧着ローラ24の圧力は、最終成形品となる多層発泡体100の発泡倍率を低下させないようにするため、多層パリソン200の発泡層102の気泡を極力潰さない程度の圧力であることが好ましく、具体的には、1kg/cm2以下であることが好ましい。これにより、多層パリソン200を圧着ローラ24で挟み込んでも、発泡層102の気泡が潰れにくいので、最終成形品となる多層発泡体100の成形性を向上させることができる。また、圧着ローラ24で多層パリソン積層体201を形成する際は、多層パリソン積層体201の表面にしわが発生しないようにするために、圧着ローラ24で多層パリソン積層体201を形成する前に、多層パリソン200に対してプリブローを行うことが好ましい。この場合は、押出ヘッド10側からプリブロー用のエアーを多層パリソン200の内部に吹き込むことになる。
また、圧着ローラ24で多層パリソン積層体201を形成する際は、押出ヘッド10側から多層パリソン200内の空気を吸引することが好ましい。これにより、多層パリソン200の最内面同士が接着する部分に空気だまりが発生するのを防止することができる。但し、押出ヘッド10側からプリブロー用のエアーを多層パリソン200の内部に吹き込み、且つ、多層パリソン200の内部の空気を吸引する場合は、吹き込み処理と、吸引処理と、を動的に変更する必要がある。
圧着ローラ24で多層パリソン積層体201を形成した後は、その多層パリソン積層体201を分割金型11a,11b間に搬送し、第1の実施形態と同様に、多層パリソン積層体201の最外面とキャビティ面12a,12bとの間に隙間が空くように多層パリソン積層体201を分割金型11a,11bで挟み込み型締めする。また、吹き込み針31を多層パリソン積層体201に部分的に突き刺す。次に、吹き込み針31から大気圧(又は、大気圧以上)程度の加圧エアーによる吹き込みを行うと同時に、分割金型11a,11bのキャビティ面12a,12bに配置された孔14,15から所定の圧力で真空吸引を行い、多層パリソン積層体201を構成する非発泡層101をキャビティ面12a,12bに沿った形状に成形すると共に、多層パリソン積層体201を構成する発泡層102を二次発泡させ、発泡層102の発泡倍率を更に大きくする。これにより、多層パリソン積層体201をキャビティ面12a,12bに沿った形状に成形し、高発泡倍率の多層発泡体100を成形することができる。
次に、分割金型11a,11bを後退させ、分割金型11a,11bを多層発泡体100から離型し、多層発泡体100を分割金型11a,11bから取り出す。
<本実施形態の多層発泡体100の製造方法の作用・効果>
このように、本実施形態では、図9に示すように、発泡層102の外面に非発泡層101を有する多層パリソン200を一対の圧着ローラ24間で挟み込んで、多層パリソン200の最内面同士を接着させ、多層パリソン積層体201を形成する。
これにより、多層パリソン200を分割金型11a,11bで型締めする前に、一対の圧着ローラ24を用いて多層パリソン200の内面同士を接着し、多層パリソン積層体201を形成することができるため、多層パリソン積層体201を形成する際に、多層パリソン積層体201の内部に空気だまりを発生し難くすることができる。その結果、空気だまりが発生し難い多層発泡体100を製造することができる。
(第4の実施形態)
次に、第4の実施形態について説明する。
上述した第1〜第3の実施形態では、円筒状の多層パリソン200を用いて多層発泡体100を成形することにした。しかし、第1〜第3の実施形態においても溶融状態の複数のシート状の多層シート200を用いて多層発泡体100を成形することも可能である。以下、図10を参照しながら、本実施形態の多層発泡体100について説明する。
<多層発泡体100の製造方法例>
まず、図10を参照しながら、本実施形態の多層発泡体100の製造方法例について説明する。図10は、本実施形態の多層発泡体100を成形する成形装置の構成例を示す図である。
本実施形態の多層発泡体100を成形するための成形装置は、押出装置1と、型締装置2と、を有して構成し、押出装置1から溶融状態の熱可塑性樹脂シート18,19を型締装置2に押し出し、型締装置2で熱可塑性樹脂シート18,19を型締めし、図1に示す多層発泡体100を成形する。第1の熱可塑性樹脂シート18は、外側を非発泡層101で構成し、内側を発泡層102で構成している。また、第2の熱可塑性樹脂シート19は、外側を非発泡層101で構成し、内側を発泡層102で構成している。
押出装置1は、第1のアキュムレータ31と、第2のアキュムレータ32と、第1のプランジャー33と、第2のプランジャー34と、第1のTダイ35と、第2のTダイ36と、第1の押出機37と、第2の押出機38と、第1の熱可塑性樹脂供給ホッパ39と、第2の熱可塑性樹脂供給ホッパ40と、第1の一対のローラ41と、第2の一対のローラ42と、を有して構成する。
型締装置2は、分割金型11a,11bを有して構成する。分割金型11a,11bは、キャビティ12a,12bを有して構成する。
まず、図10に示すように、一方の非発泡層101,発泡層102を構成するための熱可塑性樹脂シート18を第1のTダイ35から押し出し、第1の熱可塑性樹脂シート18を一対の分割金型11a,11bの間に垂下させる。第1の熱可塑性樹脂シート18は、外側を非発泡層101で構成し、内側を発泡層102で構成する。
また、図10に示すように、他方の非発泡層101,発泡層102を構成するための熱可塑性樹脂シート19を第2のTダイ36から押し出し、第2の熱可塑性樹脂シート19を一対の分割金型11a,11bの間に垂下させる。第2の熱可塑性樹脂シート19は、外側を非発泡層101で構成し、内側を発泡層102で構成する。これにより、第1の熱可塑性樹脂シート18及び第2の熱可塑性樹脂シート19で構成する多層シート200を形成する。
なお、一対の分割金型11a,11bの間に垂下された熱可塑性樹脂シート18,19は、ドローダウン、ネックインなどにより肉厚のバラツキが発生するのを防止するため、樹脂シートの厚み、押出速度、押出方向の肉厚分布などを個別に調整することが必要になる。
第1の熱可塑性樹脂シート18は、非発泡層101,発泡層102を構成する各基材樹脂をそれぞれ個別の第1の押出機37内で溶融混練し、第1のアキュムレータ31のアキュム室に一時的に貯留し、一定間隔毎に第1のプランジャー33によって第1のTダイ35に供給し、非発泡層101,発泡層102を構成する各基材樹脂を第1のTダイ35内で合流し、外側を非発泡層101で構成し、内側を発泡層102で構成する第1の熱可塑性樹脂シート18を形成する。
また、第2の熱可塑性樹脂シート19も、第1の熱可塑性樹脂シート18と同様に、非発泡層101,発泡層102を構成する各基材樹脂をそれぞれ個別の第2の押出機38内で溶融混練し、第2のアキュムレータ32のアキュム室に一時的に貯留し、一定間隔毎に第2のプランジャー34によって第2のTダイ36に供給し、非発泡層101,発泡層102を構成する各基材樹脂を第2のTダイ36内で合流し、外側を非発泡層101で構成し、内側を発泡層102で構成する第2の熱可塑性樹脂シート19を形成する。
第1のTダイ35により押し出された第1の熱可塑性樹脂シート18は、第1の一対のローラ41,41によって挟圧されて一対の分割金型11a,11b間に配置される。また、第2のTダイ36により押し出された第2の熱可塑性樹脂シート19は、第2の一対のローラ42,42によって挟圧されて一対の分割金型11a,11b間に配置される。この時、第1の熱可塑性樹脂シート18及び第2の熱可塑性樹脂シート19の厚み、肉厚分布などを個別に調整することになる。
第1のTダイ35及び第2のTダイ36にそれぞれ供給された熱可塑性樹脂は、図示しない各Tダイ本体のマニホールドから樹脂流路を通ってスリットから樹脂シートとして押し出される。各Tダイ本体は、一方のダイ及び他方のダイを重ね合わせて構成し、各Tダイ本体の先端部分において一方のダイリップ及び他方のダイリップがスリット隙間をもって対向しており、スリット隙間の間隔は、スリット隙間調整装置43により設定される。
第1のTダイ35及び第2のTダイ36から押し出される樹脂シートの厚みは、スリット隙間により決定されるが、そのスリット隙間は、公知のスリット隙間調整装置43によって樹脂シートの幅方向における均一性が調整されることになる。更に、図示しないスリット隙間駆動装置により、間欠的に押し出される樹脂シートの押出開始から樹脂シートの押出終了までの間で他方のダイリップを変動させて、樹脂シートの押出方向の厚みが調整されることになる。
スリット隙間調整装置43としては、熱膨張式または機械式があり、その両方の機能を併せ持つ装置を用いることが好ましい。スリット隙間調整装置43は、スリットの幅方向に沿って等間隔に複数配置され、各スリット隙間調整装置43によってスリット隙間をそれぞれ狭くしたり、広くしたりすることで幅方向における樹脂シートの厚みを均一なものにすることができる。
第1のTダイ35及び第2のTダイ36から押し出された樹脂シートは、一対の分割金型11a,11b間に垂下された状態で、つまり、型締めされる時点において押出方向の厚みが均一となるように調整することが好ましい。この場合、スリット隙間を、樹脂シートの押出開始から徐々に広げ、樹脂シートの押出終了時に最大となるように変動させる。
これにより、第1のTダイ35及び第2のTダイ36から押し出される樹脂シートの厚みは、樹脂シートの押出開始から徐々に厚くなるが、溶融状態で押し出された樹脂シートは、自重により引き伸ばされて樹脂シートの下方から上方へ徐々に薄くなるため、スリット隙間を広げて厚く押し出した分とドローダウン現象により引き伸ばされて薄くなった分とが相殺されて、樹脂シート上方から下方にわたって均一な厚みに調整することができる。
一対の分割金型11a,11bの間に熱可塑性樹脂シート18,19を垂下し、多層シート200を形成した後は、第1の実施形態と同様に、図3に示すように、分割金型11a,11bを移動させ、分割金型11a,11b同士が締まる直前で分割金型11a,11bのキャビティ面12a,12bに配置された孔14,15から加圧エアーによる吹き込みを行い、第1の熱可塑性樹脂シート18と第2の熱可塑性樹脂シート19とで構成する多層シート200に圧力を加え、多層シート200の最内面同士を接着させ、多層シート積層体201を形成する。
多層シート積層体201を形成した後は、図4に示すように、多層シート積層体201の最外面とキャビティ面12a,12bとの間に隙間が空くように多層シート積層体201を分割金型11a,11bで挟み込み型締めする。また、図4に示すように、吹き込み針31を多層シート積層体201に部分的に突き刺す。次に、吹き込み針31から大気圧(又は、大気圧以上)程度の加圧エアーによる吹き込みを行うと同時に、分割金型11a,11bのキャビティ面12a,12bに配置された孔14,15から所定の圧力で真空吸引を行い、図5に示すように、多層シート積層体201を構成する非発泡層101をキャビティ面12a,12bに沿った形状に成形すると共に、多層シート積層体201を構成する発泡層102を二次発泡させ、発泡層102の発泡倍率を更に大きくする。
これにより、発泡層102内に加圧エアーによる吹き込みを行い、二次発泡を補助しているため、発泡倍率を更に向上させることができる。また、リブ形状30aの部分の多層シート積層体201に吹き込み針31を突き刺し、加圧エアーによる吹き込みを行うと同時に、キャビティ面12aに配置された孔14から所定の圧力で真空吸引を行うため、リブ形状30aが複雑な形状であっても、多層シート積層体201をリブ形状30aに沿った形状に成形することができる。
次に、図6に示すように、分割金型11a,11bを後退させ、分割金型11a,11bを多層発泡体100から離型し、多層発泡体100を分割金型11a,11bから取り出す。
<本実施形態の多層発泡体100の製造方法の作用・効果>
このように、本実施形態では、図10に示すように、発泡層102の外面に非発泡層101を有する多層シート200を分割金型11a,11b間に押し出し、後は、第1の実施形態と同様に、図3に示すように、多層シート200の最外面に流体を吹き付け、多層シート200の最内面同士を接着し、多層シート積層体201を形成する。そして、図4に示すように、多層シート積層体201の最外面とキャビティ面12a,12bとの間に隙間が空くように多層シート積層体201を分割金型11a,11bで挟み込み型締めし、また、吹き込み針31を多層シート積層体201に部分的に突き刺す。そして、吹き込み針31から加圧エアーによる吹き込みを行うと同時に、分割金型11a,11bのキャビティ面12a,12bに配置された孔14,15から真空吸引を行い、図5に示すように、多層シート積層体201をキャビティ面12a,12bに沿った形状に成形し、高発泡倍率の多層発泡体100を成形する。
本実施形態では、多層シート200を分割金型11a,11bで型締めする前に、多層シート200の最外面に流体を吹き付け、多層シート200の最内面同士を接着し、多層シート積層体201を形成するため、多層シート200内に存在する空気の逃げ場を確保することができる。このため、多層シート積層体201を形成する際に、多層シート積層体201の内部に空気だまりを発生し難くすることができる。その結果、空気だまりが発生し難い多層発泡体100を製造することができる。
また、本実施形態では、多層シート200の最外面に流体を吹き付け、多層シート200の最内面同士を接着し、多層シート積層体201を形成するため、多層シート200を構成する発泡層102の気泡を潰さずに、多層シート積層体201を形成することができる。その結果、最終成形品である多層発泡体100の発泡倍率を向上させることができる。
なお、上述した実施形態では、溶融状態の熱可塑性樹脂シートを用いて型締めし、多層発泡体100を成形する好適な成形方法を用いた場合について説明した。しかし、上記実施形態で説明した成形方法に限定せず、例えば、特開2009−233960号公報等に開示されている成形方法(固形化した板状のシートを、再加熱し、その再加熱したシートをブロー成形して多層発泡体100を成形する方法)等を適用して成形することも可能である。
(第5の実施形態)
次に、第5の実施形態について説明する。
第1〜第4の実施形態は、非発泡層101、発泡層102で構成する多層発泡体100を成形することにした。
第5の実施形態は、分割金型11a,11bに表皮材104を配置し、表皮材104を有する多層発泡体100を成形する。以下、図11〜図14を参照しながら、本実施形態の多層発泡体100について詳細に説明する。
本実施形態では、図11に示すように、分割金型11a,11bと多層パリソン200との間に表皮材104を配置し、表皮材104を有する多層発泡体100を成形する。
表皮材104は、綿、麻、羊毛、絹などの天然繊維、ビスコースレーヨン、銅アンモニアレーヨンなどの再生繊維、アセテート、レーヨンなどの半合成繊維、ナイロン、ポリエステル、アクリル、ビニロン、ポリプロピレン、ポリウレタンなどの合成繊維、およびこれらのブレンド繊維を加工して得られる編物、織物、不織布等の繊維シートである。表皮材104は、布の広がり方向に対して垂直な外方に向けて起毛状態の毛羽を有する起毛した布地や剪毛した布地とすることが意匠的に好適であるが、表皮材104は、毛羽を有しないものでも適用可能である。また、塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタンなどの熱可塑性樹脂製の樹脂シートとすることも可能である。樹脂シートは、クッション性、表皮材104と多層パリソン200等との間のエア溜り防止、表皮材104と多層パリソン200等との貼着強度の向上のため不織布などの繊維シート、発泡シートまたは公知の裏打ち材などを積層することができる。このうち、ポリエステル、ポリプロピレンまたはポリアミドからなる合成繊維よりなる目付重量が100g/m2以上の不織布であることが成形性の観点から特に好ましい。
表皮材104は、多層発泡体100の表面側および裏面側のうち主に表面側に貼着されるものであるが、表面側および裏面側の双方に表皮材104を設けることで、多層発泡体100が露出することがないように全面にわたって表皮材104で覆うこともできる。
ここで、表面側および裏面側の双方に貼着される表皮材104のうち少なくとも一方、特に、裏面側に貼着される表皮材104を曲げ弾性率が21000kg/cm2以上、かつ、厚さ1.0mm以下の補強シートまたは破断強度が90kg/m2以上の不織布とすることができる。
補強シートとしては、ガラス繊維、タルク等の無機強化材を添加した強化樹脂シートまたはガラス繊維、炭素繊維等のからなる繊維補強シートなどが好適である。
ブロー成形時に表皮材104を多層パリソン200に貼着するのに充分な温度は、分割金型11a,11b間に配置された表皮材104に溶融状態の多層パリソン200が接触し、不織布等の繊維の目に入り込みアンカー効果により一体に固着するために必要な温度である。多層パリソン200の温度が低いと、多層パリソン200の流動性は低下し、表皮材104との固着強度が低下し、剥がれ等の問題が生じることになる。なお、ブロー成形時に表皮材104を一体に貼着するのに充分な温度として、ポリオレフィン系樹脂においては一般に溶融状態として押し出す際の温度または予備成形した樹脂シートを過熱溶融させる際の温度を185℃以上、好ましくは、190℃以上とする必要がある。
<多層発泡体100の製造方法例>
次に、図11〜図14を参照しながら、本実施形態の多層発泡体100の製造方法例について説明する。図11〜図14は、多層発泡体100の製造方法例を示す図である。
まず、図11に示すように、分割金型11a,11bと多層パリソン200との間に表皮材104を配置する。なお、表皮材104が通気性のない材料で構成している場合は、図11に示すように、表皮材104の上部側だけ分割金型11a,11bに取り付ける。
次に、図11に示すように、押出ヘッド10から多層パリソン200を押し出し、多層パリソン200を分割金型11a,11b間に配置する。そして、押出ヘッド10から押し出した多層パリソン200の下部側を下ピンチ13で塞ぎ、プリブローにより多層パリソン200を所定の大きさまで拡張する。
次に、図12に示すように、分割金型11a,11bを移動させ、分割金型11a,11b同士が締まる直前で分割金型11a,11bのキャビティ面12a,12bに配置された孔14,15から加圧エアーによる吹き込みを行い、表皮材104と共に多層パリソン200に圧力を加え、表皮材104と多層パリソン200の最外面とを接着させると共に、多層パリソン200の最内面同士を接着させ、表皮材104を有する多層パリソン積層体201を形成する。本実施形態の表皮材104は、通気性のない材料で構成しているため、孔14,15から加圧エアーによる吹き込みを行った場合に、表皮材104が加圧エアーの圧力を受け付けることになる。このため、加圧エアーの圧力により表皮材104を多層パリソン200の最外面に接着させると共に、多層パリソン200の最内面同士を接着させることになる。
表皮材104を有する多層パリソン積層体201を形成した後は、図13に示すように、表皮材104とキャビティ面12a,12bとの間に隙間が空くように多層パリソン積層体201を分割金型11a,11bで挟み込み型締めする。また、分割金型11a,11b間に形成した孔33に吹き込み針31を挿入し、多層パリソン積層体201に吹き込み針31を突き刺す。本実施形態の多層パリソン積層体201は、外面に表皮材104を有するため、第1の実施形態のように、分割金型11bに孔32を形成し、その孔32から吹き込み針31を挿入しても、多層パリソン積層体201に吹き込み針31を突き刺すことが困難である。このため、第2の実施形態のように、パーティングラインを形成する分割金型11a,11b間に孔33を形成し、その形成した孔33から吹き込み針31を挿入し、多層パリソン積層体201に吹き込み針31を突き刺すことにしている。これにより、吹き込み針31を多層パリソン積層体201に容易に突き刺すことができる。
多層パリソン積層体201に吹き込み針31を突き刺した後は、吹き込み針31から大気圧(又は、大気圧以上)程度の加圧エアーによる吹き込みを行うと同時に、分割金型11a,11bのキャビティ面12a,12bに配置された孔14,15から所定の圧力で真空吸引を行い、図14に示すように、表皮材104をキャビティ面12a,12bに沿った形状に成形すると共に、多層パリソン積層体201を構成する発泡層102を二次発泡させ、発泡層102の発泡倍率を更に大きくする。これにより、表皮材104を有する多層パリソン積層体201をキャビティ面12a,12bに沿った形状に成形し、表皮材104を有する高発泡倍率の多層発泡体100を成形することができる。
<本実施形態の多層発泡体100の製造方法の作用・効果>
このように、本実施形態では、図11に示すように、分割金型11a,11bと多層パリソン200との間に表皮材104を配置する。そして、多層パリソン200を分割金型11a,11b間に押し出し、図12に示すように、表皮材104に流体を吹き付け、表皮材104を多層パリソン200の最外面に接着させると共に、多層パリソン200の最内面同士を接着させ、表皮材104を有する多層パリソン積層体201を形成する。そして、図13に示すように、表皮材104とキャビティ面12a,12bとの間に隙間が空くように多層パリソン積層体201を分割金型11a,11bで挟み込み型締めすると共に、分割金型11a,11b間に形成した孔33に吹き込み針31を挿入し、多層パリソン積層体201に吹き込み針31を突き刺す。そして、吹き込み針31から加圧エアーによる吹き込みを行うと同時に、分割金型11a,11bのキャビティ面12a,12bに配置された孔14,15から真空吸引を行い、図14に示すように、表皮材104を有する多層パリソン積層体201をキャビティ面12a,12bに沿った形状に成形し、表皮材104を有する高発泡倍率の多層発泡体100を成形する。これにより、表皮材104を有する多層発泡体100を成形することができる。
なお、上記実施形態では、通気性のない表皮材104を用いて多層発泡体100を成形する例について説明した。しかし、通気性のある表皮材104を用いて多層発泡体100を成形することも可能である。また、上述した実施形態では、多層パリソン200を用いた場合について説明した。しかし、第4の実施形態と同様に多層シート200を用いて行うことも可能である。
なお、上述する実施形態は、本発明の好適な実施形態であり、上記実施形態のみに本発明の範囲を限定するものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更を施した形態での実施が可能である。
例えば、上述した実施形態では、多層発泡体100は、非発泡層101、発泡層102を各々1層有して構成することにした。しかし、多層発泡体100ではなく、発泡層102のみで構成した単層発泡体でも上記の技術思想を適用することが可能である。但し、上述した実施形態のように発泡層102内に吹き込み針31から気体を導入するときに発泡層102の両面が非発泡層101で覆われていると、発泡層102内に導入した気体が外部に漏れにくく、発泡倍率を向上させることができる。
また、上述した実施形態では、吹き込み針31から加圧エアーによる吹き込みを行うことにした。しかし、吹き込みを行わずに、発泡層102内に気体を導入するようにすることも可能である。
また、上記実施形態では、2つの分割金型11a,11bを用いた場合について説明した。しかし、分割金型11a,11bは、2つに限定するものではなく、任意の数の分割金型を用いることも可能である。
また、上述した実施形態では、自動車に好適な多層発泡体100について説明した。しかし、本実施形態の多層発泡体100は、自動車に限定するものではなく、多層発泡体100の形状を適宜設計変更し、列車、船舶、航空機等の輸送機にも適用することができる。なお、本実施形態の多層発泡体100は、軽量化及び低コスト化を図ることができるため、輸送機のコストを低減することができると共に、輸送機の燃費も向上させることができる。また、本実施形態の多層発泡体100は、建材用、各種電気機器のハウジング用、スポーツ・レジャー用部材などにも適用可能である。
100 多層発泡体(発泡体)
101 非発泡層
102 発泡層
103 リブ
104 表皮材
200 多層パリソン、多層シート(多層樹脂)
201 多層パリソン積層体、多層シート積層体(多層樹脂積層体)
10 押出ヘッド
11a、11b 分割金型
12a、12b キャビティ面
13 下ピンチ
14、15 孔
30a リブ形状
31 吹き込み針(気体導入手段)
32、33 孔

Claims (7)

  1. 押し出された発泡層を分割金型で挟み込んで前記分割金型のキャビティの形状に沿った発泡体を成形する際に、前記発泡層内に気体導入手段を挿入し、前記発泡層内に気体を導入することを特徴とする発泡体の製造方法。
  2. 前記発泡層の両面が非発泡層で覆われていることを特徴とする請求項1に記載の発泡体の製造方法。
  3. 前記発泡層の外面に前記非発泡層を有する多層樹脂を押し出し、前記多層樹脂の最内面同士を接着し、前記発泡層の両面が前記非発泡層で覆われた多層樹脂積層体を形成し、前記多層樹脂積層体を前記分割金型で挟み込んで前記分割金型のキャビティの形状に沿った発泡体を成形する際に、前記発泡層内に前記気体導入手段を挿入することを特徴とする請求項2記載の発泡体の製造方法。
  4. 前記キャビティの形状は、前記発泡体にリブを成形するためのリブ形状を有し、前記リブ形状に位置する前記発泡層内に前記気体導入手段を挿入することを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の発泡体の製造方法。
  5. 前記発泡層内に気体を導入すると共に、前記分割金型の前記キャビティに配置された孔から真空吸引を行い、前記発泡体を前記キャビティに沿った形状に成形することを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の発泡体の製造方法。
  6. 前記分割金型に形成された孔、または、前記分割金型間に形成された孔から前記気体導入手段を前記発泡層内に挿入することを特徴とする請求項1から5の何れか1項に記載の発泡体の製造方法。
  7. 前記発泡層の外面に表皮材を有し、表皮材を有する前記発泡体を成形する際は、前記分割金型間に形成された孔から前記気体導入手段を前記発泡層内に挿入することを特徴とする請求項6記載の発泡体の製造方法。
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