JP2012116011A - 多層発泡体の製造方法及び多層発泡体 - Google Patents

多層発泡体の製造方法及び多層発泡体 Download PDF

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Abstract

【課題】成形品にヒケやソリが発生することなく、成形品の冷却時間を短縮することが可能な多層発泡体を提供する。
【解決手段】 発泡層(102)に非発泡層(101)が積層された多層発泡体(100)であって、非発泡層(101)に炭素繊維が含有されていることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、多層発泡体の製造方法及び多層発泡体に関する。
本発明より先に出願された技術文献として、多層パリソンを分割金型でコンプレッションし、多層パリソンの最内面同士を接着させ、多層発泡体を成形する方法について開示された文献がある(例えば、特許文献1:特開2004−82332号公報参照)。
具体的には、図15に示すように、発泡層2、樹脂層3から構成される多層パリソン5をダイ21から押し出し、減圧用配管23が設けられた分割金型22a,22b間に多層パリソン5を配置する。そして、分割金型22a,22bで多層パリソン5を挟み込みながら分割金型22a,22bを閉鎖する。分割金型22a,22bを閉鎖して行くと、多層パリソン5は、キャビティ24内で圧縮されて扁平状に変形しながら分割金型22a,22bの内面に密着する。そして、図16に示すように、分割金型22a,22bの閉鎖が完了すると、多層パリソン5の内面側を構成する発泡層2同士の少なくとも一部が接着して一体化し、表皮層13付き発泡成形品発泡層12が成形される。
特開2004−82332号公報
上述した特許文献1の方法のように、発泡層2、樹脂層3から構成される多層パリソン5を用いて、成形品である表皮層13付き発泡成形品発泡層12を成形する場合は、発泡層2が断熱性を有するため、成形品を冷却するのに時間がかかってしまう。もし、上述した特許文献1の方法において冷却時間を短くした場合は、成形品にヒケやソリが発生してしまうため、上記特許文献1の方法では、ヒケやソリの発生を防止するために、成形品の冷却時間を長く確保する必要がある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、成形品にヒケやソリが発生することなく、成形品の冷却時間を短縮することが可能な多層発泡体の製造方法及び多層発泡体を提供することを目的とする。
かかる目的を達成するために、本発明は、以下の特徴を有することとする。
<多層発泡体の製造方法>
本発明にかかる多層発泡体の製造方法は、
炭素繊維を含有した非発泡層が発泡層の外面に積層された多層樹脂を押し出す押出工程と、
前記多層樹脂を金型で挟み込み型締めする型締工程と、
前記多層樹脂を前記金型のキャビティ面に沿った形状に成形する成形工程と、
を有することを特徴とする。
<多層発泡体>
本発明にかかる多層発泡体は、
発泡層に非発泡層が積層された多層発泡体であって、
前記非発泡層に炭素繊維が含有されていることを特徴とする。
本発明によれば、成形品にヒケやソリが発生することなく、成形品の冷却時間を短縮することができる。
本実施形態の多層発泡体100の構成例を示す図である。 第1の実施形態の多層発泡体100の製造方法例を説明するための第1の図である。 第1の実施形態の多層発泡体100の製造方法例を説明するための第2の図である。 第1の実施形態の多層発泡体100の製造方法例を説明するための第3の図である。 第1の実施形態の多層発泡体100の製造方法例を説明するための第4の図である。 第1の実施形態の多層発泡体100の製造方法例を説明するための第5の図である。 多層発泡体100に窪みが発生する場合を説明するための図である。 第2の実施形態の多層発泡体100の製造方法例を説明するための第1の図である。 第2の実施形態の多層発泡体100の製造方法例を説明するための第2の図である。 第3の実施形態の多層発泡体100の製造方法例を説明するための図である。 第4の実施形態の多層発泡体100の製造方法例を説明するための第1の図である。 第4の実施形態の多層発泡体100の製造方法例を説明するための第2の図である。 ドローダウン指数の測定方法例を説明するための図である。 スウェル比の測定方法例を説明するための図である。 従来の多層発泡体の製造方法例を説明するための第1の図である。 従来の多層発泡体の製造方法例を説明するための第2の図である。
<本実施形態の多層発泡体100の概要>
まず、図1〜図6、図11、図12を参照しながら、本実施形態の多層発泡体100の概要について説明する。図1は、多層発泡体100の構成例を示し、図2〜図6、図11、図12は、多層発泡体100の製造方法例を示す。
本実施形態の多層発泡体100は、図1に示すように、非発泡層101と、発泡層102と、を有して構成し、非発泡層101には炭素繊維が含有されている。
本実施形態の多層発泡体100を製造する際は、まず、図2に示すように、炭素繊維を含有した非発泡層101が発泡層102の外面に積層された多層樹脂(多層パリソン)200を押し出す。次に、図3に示すように、多層樹脂200の最内面同士を接着し、多層樹脂積層体201を形成する。次に、図4に示すように、多層樹脂積層体201の最外面とキャビティ面12a,12bとの間に隙間が空くように多層樹脂積層体201を分割金型11a,11bで挟み込み型締めする。そして、図5に示すように、多層樹脂積層体201をキャビティ面12a,12bに沿った形状に成形し、分割金型11a,11bで型締めした状態で多層発泡体100を冷却し、図6に示す多層発泡体100を成形する。
本実施形態の多層発泡体100は、成形品である多層発泡体100を冷却した際に、熱伝導率の高い炭素繊維が短時間で冷却されるため、多層発泡体100の冷却時間を短縮することができる。また、分割金型11a,11bを冷却した際の冷却熱がその分割金型11a,11bに接触した非発泡層101に含まれる炭素繊維に伝わるため、炭素繊維を含有した多層発泡体100の冷却時間を短縮することができる。その結果、成形品にヒケやソリが発生することなく、成形品の冷却時間を短縮することができる。なお、本実施形態において多層樹脂200は、図2〜図6に示す円筒状の多層パリソン200だけでなく、図11、図12に示すシート状の多層シート200なども含まれる。以下、添付図面を参照しながら、本実施形態の多層発泡体100について詳細に説明する。
(第1の実施形態)
<多層発泡体100の構成例>
まず、図1を参照しながら、本実施形態の多層発泡体100の構成例について説明する。
本実施形態の多層発泡体100は、非発泡層101と、発泡層102と、を有して構成する。
非発泡層101は、多層発泡体100の外側を構成し、発泡層102は、多層発泡体100の内側を構成する。
本実施形態の多層発泡体100は、外側を非発泡層101で構成しているため、多層発泡体100の剛性を高めることができる。また、外側の非発泡層101が内側の発泡層102の破泡を抑制するため、高発泡倍率の発泡層102を構成することができる。
本実施形態の非発泡層101は、公知の非発泡樹脂に対して炭素繊維を添加して構成している。このため、本実施形態の非発泡層101は高い剛性を有している。炭素繊維としては、繊維状にした直径8μm程度の黒鉛を10〜90μm単位の長さに切断した筒状の短繊維が適用可能であり、具体的には、ラヒーマ等が適用可能である。ラヒーマは、樹脂への分散性に優れているため、自由な形状で効率的な放熱計算が可能である。また、熱膨張率もセラミックと同じくらい低いため、成形品の寸法安定性を確保することができる。また、高い電気伝導性を有しており、帯電防止、電波遮断などの効果も発揮することができる。なお、非発泡層101のドローダウン指数は、2.5〜4.0の範囲であることが好ましい。ドローダウン指数が2.5未満の場合は、成形時にドローダウンし易くなり、成形品の表皮の肉厚のばらつきが発生し易くなる。また、ドローダウン指数が4.0より大きい場合は、成形時のドローダウン指数が変動するため、成形品のばらつきが発生し易くなる。ドローダウン指数については後述する実施例で説明する。また、非発泡層101に含まれる炭素繊維の含有量は、10Wt%以下であることが好ましい。
発泡層102は、発泡倍率が2.0倍以上であり、複数の気泡セルを有する独立気泡構造(独立気泡率が70%以上)の発泡樹脂で構成する。発泡層102の厚み方向における気泡セルの平均気泡径は、1000μm未満、好ましくは、300μm未満で構成する。
発泡層102は、ポリプロピレン系樹脂で構成し、好ましくは、ポリプロピレン系樹脂に対し、1〜20wt%のポリエチレン及び/または5〜40wt%の水素添加スチレン系エラストマーを混合させたブレンド樹脂で構成する。
なお、本実施形態において発泡倍率は、後述する本実施形態の成形方法で用いた熱可塑性樹脂の密度を、本実施形態の成形方法により得られた多層発泡体100の非発泡層101,発泡層102の壁面の見かけ密度で割った値を発泡倍率とした。
また、引張破壊伸びは、後述する本実施形態の成形方法により得られた多層発泡体100の非発泡層101,発泡層102の壁面を切り出し、−10℃で保管後に、JIS K-7113に準じて2号形試験片として引張速度を50mm/分で測定を行った値を引張破壊伸びとした。
また、引張弾性率は、後述する本実施形態の成形方法により得られた多層発泡体100の非発泡層101,発泡層102の壁面を切り出し、常温(23℃)で、JIS K-7113に準じて2号形試験片として引張速度を50mm/分で測定を行った値を引張弾性率とした。
<多層発泡体100の製造方法例>
次に、図2〜図6を参照しながら、本実施形態の多層発泡体100の製造方法例について説明する。図2〜図6は、多層発泡体100の製造方法例を示す図である。
本実施形態の多層発泡体100は、非発泡層101,発泡層102で構成する多層パリソン200を後述する分割金型11a,11bで挟み込んで成形する。
多層パリソン200を形成する際は、非発泡層101,発泡層102を構成する各基材樹脂をそれぞれ個別の押出機(図示せず)内で溶融混練し、アキュムレータ(図示せず)のアキュム室に一時的に貯留し、一定間隔毎にダイ(図示せず)に供給し、非発泡層101,発泡層102を構成する各基材樹脂をダイ内で合流し、多層パリソン200を形成する。
次に、図2に示すように、押出ヘッド10から多層パリソン200を押し出し、多層パリソン200を分割金型11a,11b間に配置する。押出ヘッド10から多層パリソン200を押し出すと、その押し出しと同時に多層パリソン200を構成する発泡層102が発泡する。
非発泡層101,発泡層102を構成するための熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン系樹脂などが適用可能である。但し、発泡層102を構成する熱可塑性樹脂としては、プロピレン単体を有するものが好ましく、具体的には、プロピレン単独重合体、エチレン−プロピレンブロック共重合体であることが好ましい。これにより、溶融張力が高くなるため、発泡層102を発泡し易くしたり、気泡セルも均一化し易くしたりすることができる。
また、長鎖分岐構造を有するプロピレン単独重合体は、0.9以下の重量平均分岐指数を有するプロピレン単独重合体であることが好ましい。また、重量平均分岐指数は、v1/v2で表され、v1が分岐ポリオレフィンの極限粘度数、v2が分岐ポリオレフィンと同じ重量平均分子量を有する線状ポリオレフィンの極限粘度数である。
また、非発泡層101,発泡層102を構成するための熱可塑性樹脂は、230℃におけるメルトテンション(MT)が30〜350mNの範囲内のポリプロピレン樹脂を用いることが好ましい。ここで、MTとは、溶融張力を意味する。発泡層102を構成するための熱可塑性樹脂のMTが30〜350mNの範囲内であると、ポリプロピレン系樹脂は歪み硬化性を示し、高い発泡倍率を得ることができる。なお、MTは、メルトテンションテスター(株式会社東洋精機製作所製)を用い、余熱温度230℃、押出速度5.7mm/分で、直径2.095mm、長さ8mmのオリフィスからストランドを押し出し、このストランドを直径50mmのローラに巻き取り速度100rpmで巻き取ったときの張力を示すものである。
また、非発泡層101,発泡層102を構成するための熱可塑性樹脂は、230℃におけるメルトフローレイト(MFR)が1〜10であることが好ましい。ここで、MFRとは、JIS K-7210に順じて測定した値である。MFRが1未満であると、MFRが1〜10の範囲内にある場合と比較し、押出速度を上げることが困難になる傾向があり、MFRが10を超えると、MFRが1〜10の範囲内にある場合と比較し、ドローダウン等の発生によりブロー成形が困難になる傾向がある。
発泡層102を構成するためのスチレン系エラストマーとしては、分子内に水素が添加されたスチレン単位を有するエラストマーが適用可能である。例えば、スチレン−エチレン・ブチレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−エチレン・プロピレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−ブタジエンランダム共重合体等の水素添加エラストマーが適用可能である。スチレン系エラストマーの配合割合は、熱可塑性樹脂に対して、成形性の観点から40wt%未満の範囲であることが好ましい。また、スチレン系エラストマー中のスチレンの含有量は、低温時の衝撃強度の観点から、30wt%未満であることが好ましく、20wt%未満であることがより好ましい。
また、発泡層102を構成するためのポリエチレンとしては、低温時の衝撃強度の観点から、密度0.91g/cm3以下のものが適用可能である。特に、メタロセン系触媒により重合された直鎖状超低密度ポリエチレンを用いることが好ましい。低密度ポリエチレンの配合割合は、上述した熱可塑性樹脂に対して、剛性及び耐熱性の観点から40wt%未満の範囲であることが好ましい。
また、発泡層102を構成する基材樹脂には、スチレン系エラストマー、低密度のポリエチレン及び発泡剤以外に、核剤、着色剤等を添加することも可能である。
発泡剤としては、空気、炭酸ガス、窒素ガス、水等の無機系発泡剤、または、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ジクロロメタン、ジクロロエタン等の有機系発泡剤が挙げられる。これらの中でも、発泡剤は、空気、炭酸ガスまたは窒素ガスを用いることが好ましい。この場合、有機物の混入がなく、耐久性等の低下がない。
発泡方法としては、超臨界流体を用いることが好ましい。特に、炭酸ガス、または、窒素ガスを超臨界状態とし、発泡層102を構成する基材樹脂を発泡させることが好ましい。この場合、均一かつ確実に発泡することができる。なお、窒素の超臨界流体は、窒素を臨界温度−149.1℃、臨界圧力3.4MPa以上とすることにより得られ、二酸化炭素の超臨界流体は、二酸化炭素を臨界温度31℃、臨界圧力7.4MPa以上とすることにより得られる。
次に、図2に示すように、押出ヘッド10から押し出した多層パリソン200の下部側を下ピンチ13で塞ぎ、プリブローにより多層パリソン200を所定の大きさまで拡張する。これにより、多層パリソン200のしわを伸ばすことができる。また、多層パリソン200を構成する発泡層102の発泡倍率を大きくすることができる。
なお、プリブローの方法は特に限定せず、例えば、押出ヘッド10側からプリブロー用のエアーを多層パリソン200の内部に吹き込むようにすることも可能である。また、下ピンチ13側から吹き込みノズルを多層パリソン200内に挿入し、下ピンチ13側からプリブロー用のエアーを多層パリソン200の内部に吹き込むようにすることも可能である。
次に、図3に示すように、分割金型11a,11bを移動させ、分割金型11a,11b同士が締まる直前で分割金型11a,11bのキャビティ面12a,12bに配置された孔14,15から加圧エアーによる吹き込みを行い、多層パリソン200に圧力を加え、多層パリソン200の最内面同士を接着させ、多層パリソン積層体201を形成する。この時、押出ヘッド10側と、下ピンチ13側と、の少なくとも一方から多層パリソン200内の空気を吸引することが好ましい。これにより、多層パリソン積層体201を形成する際に、多層パリソン200内の空気を吸引し、多層パリソン積層体201の内部に空気だまりが発生するのを抑制することができる。
多層パリソン積層体201を形成した後は、図4に示すように、多層パリソン積層体201の最外面とキャビティ面12a,12bとの間に隙間が空くように多層パリソン積層体201を分割金型11a,11bで挟み込み型締めする。そして、図5に示すように、分割金型11a,11bのキャビティ面12a,12bに配置された孔14,15から所定の圧力で真空吸引を行い、多層パリソン積層体201を構成する非発泡層101をキャビティ面12a,12bに沿った形状に成形すると共に、多層パリソン積層体201を構成する発泡層102を二次発泡させ、発泡層102の発泡倍率を更に大きくする。これにより、多層パリソン積層体201をキャビティ面12a,12bに沿った形状に成形し、高発泡倍率の多層発泡体100を成形することができる。
次に、分割金型11a,11bで型締めした状態で、分割金型11a,11bを冷却し、多層発泡体100を冷却する。分割金型11a,11bを冷却することで、分割金型11a,11bの冷却熱が多層発泡体100に伝わり、多層発泡体100を冷却することができる。そして、図6に示すように、分割金型11a,11bを後退させ、分割金型11a,11bを多層発泡体100から離型し、多層発泡体100を分割金型11a,11bから取り出す。
<本実施形態の多層発泡体100の製造方法の作用・効果>
このように、本実施形態では、図2に示すように、炭素繊維を含有した非発泡層101が発泡層102の外面に積層された多層パリソン200を分割金型11a,11b間に押し出し、図3に示すように、多層パリソン200の最外面に流体を吹き付け、多層パリソン200の最内面同士を接着し、多層パリソン積層体201を形成する。そして、図4に示すように、多層パリソン積層体201の最外面とキャビティ面12a,12bとの間に隙間が空くように多層パリソン積層体201を分割金型11a,11bで挟み込み型締めし、図5に示すように、多層パリソン積層体201をキャビティ面12a,12bに沿った形状に成形し、高発泡倍率の多層発泡体100を成形する。そして、分割金型11a,11bで型締めした状態で多層発泡体100を冷却し、図6に示すように、分割金型11a,11bを後退させ、分割金型11a,11bを多層発泡体100から離型し、多層発泡体100を分割金型11a,11bから取り出す。
本実施形態では、炭素繊維を含有した非発泡層101が発泡層102の外面に積層された多層パリソン200を用いて多層発泡体100を成形することにしている。このため、成形品である多層発泡体100を冷却した際に、熱伝導率の高い炭素繊維が短時間で冷却されるため、多層発泡体100の冷却時間を短縮することができる。また、分割金型11a,11bの冷却熱がその分割金型11a,11bに接触した非発泡層101に含まれる炭素繊維に伝わるため、炭素繊維を含有した多層発泡体100の冷却時間を短縮することができる。
なお、多層パリソン積層体201を形成した場合は、図7に示すように、多層パリソン積層体201の中心部分にエアーが残存する場合がある。多層パリソン積層体201の中心部分にエアーが残存した状態で成形品である多層発泡体100を冷却した場合は、そのエアーが残存した箇所の領域が縮小し、そのエアーが残存した箇所からクレータ状の窪みが成形品の表面に発生し易くなってしまう。このため、従来は、上述した窪みの発生を回避するために、多層発泡体100の冷却時間を長くしていた。
本実施形態では、炭素繊維を含有した非発泡層101が発泡層102の外面に積層された多層パリソン200を用いて多層発泡体100を成形しているため、短時間で多層発泡体100を十分に冷却することができる。その結果、炭素繊維を含有した多層発泡体100を成形することで、上述した窪みの発生を回避しつつ、多層発泡体100の冷却時間を短くすることができる。
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について説明する。
第1の実施形態では、図3に示すように、多層パリソン200の最内面同士を接着させ、多層パリソン積層体201を形成した際に、その形成した多層パリソン積層体201の厚さが分割金型11a,11bの隙間よりも薄くなるようにしている。これにより、図4に示すように、多層パリソン積層体201を分割金型11a,11bで挟み込み型締めした際に、多層パリソン積層体201の最外面とキャビティ面12a,12bとの間に隙間が空くようにしている。
第2の実施形態では、図8に示すように、多層パリソン200の最内面同士を接着させ、多層パリソン積層体201を形成した際に、その形成した多層パリソン積層体201の厚さTが分割金型11a,11bの隙間(TA+TB)よりも厚くなるようにした。図8に示す多層パリソン積層体201の厚さTは、分割金型11a,11bの隙間(TA+TB)よりも厚くなっている。これにより、図9に示すように、多層パリソン積層体201を分割金型11a,11bで挟み込み型締めした際に、多層パリソン積層体201の厚さTが分割金型11a,11bの隙間(TA+TB)の厚さになるため、多層パリソン積層体201を構成する非発泡層101をキャビティ面12a,12bに沿った形状にすることができる。
そして、図5に示すように、分割金型11a,11bのキャビティ面12a,12bに配置された孔14,15から所定の圧力で真空吸引を行い、多層パリソン積層体201を構成する発泡層102を二次発泡させ、発泡層102の発泡倍率を更に大きくする。これにより、高発泡倍率の多層発泡体100を成形することができる。
次に、分割金型11a,11bで型締めした状態で、分割金型11a,11bを冷却し、多層発泡体100を冷却する。分割金型11a,11bを冷却することで、分割金型11a,11bの冷却熱が多層発泡体100に伝わり、多層発泡体100を冷却することができる。そして、図6に示すように、分割金型11a,11bを後退させ、分割金型11a,11bを多層発泡体100から離型し、多層発泡体100を分割金型11a,11bから取り出す。
<本実施形態の多層発泡体100の製造方法の作用・効果>
このように、本実施形態では、炭素繊維を含有した非発泡層101が発泡層102の外面に積層された多層パリソン200を分割金型11a,11b間に押し出し、図8に示すように、多層パリソン200の最外面に流体を吹き付け、多層パリソン200の最内面同士を接着し、多層パリソン積層体201を形成する。そして、図9に示すように、多層パリソン積層体201を分割金型11a,11bで挟み込み型締めし、多層パリソン積層体201を構成する非発泡層101をキャビティ面12a,12bに沿った形状にする。そして、分割金型11a,11bで型締めした状態で多層発泡体100を冷却し、図6に示すように、分割金型11a,11bを後退させ、分割金型11a,11bを多層発泡体100から離型し、多層発泡体100を分割金型11a,11bから取り出す。これにより、高発泡倍率の多層発泡体100を成形することができる。
なお、上記実施形態では、図8に示すように、多層パリソン200の最内面同士を接着させ、分割金型11a,11bの隙間(TA+TB)よりも厚い多層パリソン積層体201を形成した。しかし、分割金型11a,11bの隙間(TA+TB)よりも厚い多層パリソン積層体201を形成せずに、図2に示すように、押出ヘッド10から押し出した多層パリソン200を分割金型11a,11bで挟み込み型締めし、多層パリソン200の最内面同士を接着させ、多層パリソン積層体201を形成すると共に、その多層パリソン積層体201を構成する非発泡層101をキャビティ面12a,12bに沿った形状にすることも可能である。但し、この場合も、押出ヘッド10から押し出した多層パリソン200の厚さが分割金型11a,11bの隙間(TA+TB)よりも厚くする必要がある。
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態について説明する。
第1の実施形態では、多層パリソン200の最外面に流体を吹き付け、多層パリソン200の最内面同士を接着し、多層パリソン積層体201を形成することにした。
第3の実施形態は、図10に示すように、圧着ローラ24を用いて多層パリソン200の最内面同士を接着し、多層パリソン積層体201を形成する。これにより、第1の実施形態と同様に空気だまりのない多層パリソン積層体201を形成することができる。以下、図10を参照しながら、第3の実施形態について説明する。
<多層発泡体100の製造方法例>
まず、図10を参照しながら、本実施形態の多層発泡体100の製造方法例について説明する。図10は、多層発泡体100の製造方法例を示す図である。
本実施形態では、押出ヘッド10から押し出された多層パリソン200を一対の圧着ローラ24間で挟み込んで、多層パリソン200の最内面同士を接着させ、多層パリソン積層体201を形成する。
本実施形態では、一対の圧着ローラ24間で多層パリソン200を挟み込んでいるため、多層パリソン200の最内面同士を広い面積で連続的に密着させることができ、且つ、多層パリソン積層体201の厚みも一定にすることができる。
但し、多層パリソン200を圧着ローラ24で挟み込む時の圧着ローラ24の圧力は、最終成形品となる多層発泡体100の発泡倍率を低下させないようにするため、多層パリソン200の発泡層102の気泡を極力潰さない程度の圧力であることが好ましく、具体的には、1kg/cm2以下であることが好ましい。これにより、多層パリソン200を圧着ローラ24で挟み込んでも、発泡層102の気泡が潰れにくいので、最終成形品となる多層発泡体100の成形性を向上させることができる。また、圧着ローラ24で多層パリソン積層体201を形成する際は、多層パリソン積層体201の表面にしわが発生しないようにするために、圧着ローラ24で多層パリソン積層体201を形成する前に、多層パリソン200に対してプリブローを行うことが好ましい。この場合は、押出ヘッド10側からプリブロー用のエアーを多層パリソン200の内部に吹き込むことになる。
また、圧着ローラ24で多層パリソン積層体201を形成する際は、押出ヘッド10側から多層パリソン200内の空気を吸引することが好ましい。これにより、多層パリソン200の最内面同士が接着する部分に空気だまりが発生するのを防止することができる。但し、押出ヘッド10側からプリブロー用のエアーを多層パリソン200の内部に吹き込み、且つ、多層パリソン200の内部の空気を吸引する場合は、吹き込み処理と、吸引処理と、を動的に変更する必要がある。
圧着ローラ24で多層パリソン積層体201を形成した後は、その多層パリソン積層体201を分割金型11a,11b間に搬送し、第1の実施形態と同様に、多層パリソン積層体201の最外面とキャビティ面12a,12bとの間に隙間が空くように多層パリソン積層体201を分割金型11a,11bで挟み込み型締めする。そして、分割金型11a,11bのキャビティ面12a,12bに配置された孔14,15から所定の圧力で真空吸引を行い、多層パリソン積層体201を構成する非発泡層101をキャビティ面12a,12bに沿った形状に成形すると共に、多層パリソン積層体201を構成する発泡層102を二次発泡させ、発泡層102の発泡倍率を大きくする。これにより、多層パリソン積層体201をキャビティ面12a,12bに沿った形状に成形し、高発泡倍率の多層発泡体100を成形することができる。
次に、分割金型11a,11bで型締めした状態で、分割金型11a,11bを冷却し、多層発泡体100を冷却する。分割金型11a,11bを冷却することで、分割金型11a,11bの冷却熱が多層発泡体100に伝わり、多層発泡体100を冷却することができる。そして、分割金型11a,11bを後退させ、分割金型11a,11bを多層発泡体100から離型し、多層発泡体100を分割金型11a,11bから取り出す。
<本実施形態の多層発泡体100の製造方法の作用・効果>
このように、本実施形態では、図10に示すように、発泡層102の外面に非発泡層101を有する多層パリソン200を一対の圧着ローラ24間で挟み込んで、多層パリソン200の最内面同士を接着させ、多層パリソン積層体201を形成する。
これにより、多層パリソン200を分割金型11a,11bで型締めする前に、一対の圧着ローラ24を用いて多層パリソン200の内面同士を接着し、多層パリソン積層体201を形成することができるため、多層パリソン積層体201を形成する際に、多層パリソン積層体201の内部に空気だまりを発生し難くすることができる。その結果、空気だまりが発生し難い多層発泡体100を製造することができる。
(第4の実施形態)
次に、第4の実施形態について説明する。
上述した第1〜第3の実施形態では、円筒状の多層パリソン200を用いて多層発泡体100を成形することにした。しかし、第1〜第3の実施形態においても溶融状態の複数のシート状の多層シート200を用いて多層発泡体100を成形することも可能である。以下、図11を参照しながら、本実施形態の多層発泡体100について説明する。
<多層発泡体100の製造方法例>
まず、図11を参照しながら、本実施形態の多層発泡体100の製造方法例について説明する。図11は、本実施形態の多層発泡体100を成形する成形装置の構成例を示す図である。
本実施形態の多層発泡体100を成形するための成形装置は、押出装置1と、型締装置2と、を有して構成し、押出装置1から溶融状態の熱可塑性樹脂シート18,19を型締装置2に押し出し、型締装置2で熱可塑性樹脂シート18,19を型締めし、図1に示す多層発泡体100を成形する。第1の熱可塑性樹脂シート18は、外側を非発泡層101で構成し、内側を発泡層102で構成している。また、第2の熱可塑性樹脂シート19は、外側を非発泡層101で構成し、内側を発泡層102で構成している。
押出装置1は、第1のアキュムレータ31と、第2のアキュムレータ32と、第1のプランジャー33と、第2のプランジャー34と、第1のTダイ35と、第2のTダイ36と、第1の押出機37と、第2の押出機38と、第1の熱可塑性樹脂供給ホッパ39と、第2の熱可塑性樹脂供給ホッパ40と、第1の一対のローラ41と、第2の一対のローラ42と、を有して構成する。
型締装置2は、分割金型11a,11bを有して構成する。分割金型11a,11bは、キャビティ12a,12bを有して構成する。
まず、図11に示すように、一方の非発泡層101,発泡層102を構成するための熱可塑性樹脂シート18を第1のTダイ35から押し出し、第1の熱可塑性樹脂シート18を一対の分割金型11a,11bの間に垂下させる。第1の熱可塑性樹脂シート18は、外側を非発泡層101で構成し、内側を発泡層102で構成する。
また、図11に示すように、他方の非発泡層101,発泡層102を構成するための熱可塑性樹脂シート19を第2のTダイ36から押し出し、第2の熱可塑性樹脂シート19を一対の分割金型11a,11bの間に垂下させる。第2の熱可塑性樹脂シート19は、外側を非発泡層101で構成し、内側を発泡層102で構成する。これにより、第1の熱可塑性樹脂シート18及び第2の熱可塑性樹脂シート19で構成する多層シート200を形成する。
なお、一対の分割金型11a,11bの間に垂下された熱可塑性樹脂シート18,19は、ドローダウン、ネックインなどにより肉厚のバラツキが発生するのを防止するため、樹脂シートの厚み、押出速度、押出方向の肉厚分布などを個別に調整することが必要になる。
第1の熱可塑性樹脂シート18は、非発泡層101,発泡層102を構成する各基材樹脂をそれぞれ個別の第1の押出機37内で溶融混練し、第1のアキュムレータ31のアキュム室に一時的に貯留し、一定間隔毎に第1のプランジャー33によって第1のTダイ35に供給し、非発泡層101,発泡層102を構成する各基材樹脂を第1のTダイ35内で合流し、外側を非発泡層101で構成し、内側を発泡層102で構成する第1の熱可塑性樹脂シート18を形成する。
また、第2の熱可塑性樹脂シート19も、第1の熱可塑性樹脂シート18と同様に、非発泡層101,発泡層102を構成する各基材樹脂をそれぞれ個別の第2の押出機38内で溶融混練し、第2のアキュムレータ32のアキュム室に一時的に貯留し、一定間隔毎に第2のプランジャー34によって第2のTダイ36に供給し、非発泡層101,発泡層102を構成する各基材樹脂を第2のTダイ36内で合流し、外側を非発泡層101で構成し、内側を発泡層102で構成する第2の熱可塑性樹脂シート19を形成する。
第1のTダイ35により押し出された第1の熱可塑性樹脂シート18は、第1の一対のローラ41,41によって挟圧されて一対の分割金型11a,11b間に配置される。また、第2のTダイ36により押し出された第2の熱可塑性樹脂シート19は、第2の一対のローラ42,42によって挟圧されて一対の分割金型11a,11b間に配置される。この時、第1の熱可塑性樹脂シート18及び第2の熱可塑性樹脂シート19の厚み、肉厚分布などを個別に調整することになる。
第1のTダイ35及び第2のTダイ36にそれぞれ供給された熱可塑性樹脂は、図示しない各Tダイ本体のマニホールドから樹脂流路を通ってスリットから樹脂シートとして押し出される。各Tダイ本体は、一方のダイ及び他方のダイを重ね合わせて構成し、各Tダイ本体の先端部分において一方のダイリップ及び他方のダイリップがスリット隙間をもって対向しており、スリット隙間の間隔は、スリット隙間調整装置43により設定される。
第1のTダイ35及び第2のTダイ36から押し出される樹脂シートの厚みは、スリット隙間により決定されるが、そのスリット隙間は、公知のスリット隙間調整装置43によって樹脂シートの幅方向における均一性が調整されることになる。更に、図示しないスリット隙間駆動装置により、間欠的に押し出される樹脂シートの押出開始から樹脂シートの押出終了までの間で他方のダイリップを変動させて、樹脂シートの押出方向の厚みが調整されることになる。
スリット隙間調整装置43としては、熱膨張式または機械式があり、その両方の機能を併せ持つ装置を用いることが好ましい。スリット隙間調整装置43は、スリットの幅方向に沿って等間隔に複数配置され、各スリット隙間調整装置43によってスリット隙間をそれぞれ狭くしたり、広くしたりすることで幅方向における樹脂シートの厚みを均一なものにすることができる。
第1のTダイ35及び第2のTダイ36から押し出された樹脂シートは、一対の分割金型11a,11b間に垂下された状態で、つまり、型締めされる時点において押出方向の厚みが均一となるように調整することが好ましい。この場合、スリット隙間を、樹脂シートの押出開始から徐々に広げ、樹脂シートの押出終了時に最大となるように変動させる。
これにより、第1のTダイ35及び第2のTダイ36から押し出される樹脂シートの厚みは、樹脂シートの押出開始から徐々に厚くなるが、溶融状態で押し出された樹脂シートは、自重により引き伸ばされて樹脂シートの下方から上方へ徐々に薄くなるため、スリット隙間を広げて厚く押し出した分とドローダウン現象により引き伸ばされて薄くなった分とが相殺されて、樹脂シート上方から下方にわたって均一な厚みに調整することができる。
一対の分割金型11a,11bの間に熱可塑性樹脂シート18,19を垂下し、多層シート200を形成した後は、第1の実施形態と同様に、図3に示すように、分割金型11a,11bを移動させ、分割金型11a,11b同士が締まる直前で分割金型11a,11bのキャビティ面12a,12bに配置された孔14,15から加圧エアーによる吹き込みを行い、第1の熱可塑性樹脂シート18と第2の熱可塑性樹脂シート19とで構成する多層シート200に圧力を加え、多層シート200の最内面同士を接着させ、多層シート積層体201を形成する。
多層シート積層体201を形成した後は、図4に示すように、多層シート積層体201の最外面とキャビティ面12a,12bとの間に隙間が空くように多層シート積層体201を分割金型11a,11bで挟み込み型締めする。そして、図5に示すように、分割金型11a,11bのキャビティ面12a,12bに配置された孔14,15から所定の圧力で真空吸引を行い、多層シート積層体201を構成する非発泡層101をキャビティ面12a,12bに沿った形状に成形すると共に、多層シート積層体201を構成する発泡層102を二次発泡させ、発泡層102の発泡倍率を更に大きくする。これにより、多層シート積層体201をキャビティ面12a,12bに沿った形状に成形し、高発泡倍率の多層発泡体100を成形することができる。
次に、分割金型11a,11bで型締めした状態で、分割金型11a,11bを冷却し、多層発泡体100を冷却する。分割金型11a,11bを冷却することで、分割金型11a,11bの冷却熱が多層発泡体100に伝わり、多層発泡体100を冷却することができる。そして、図6に示すように、分割金型11a,11bを後退させ、分割金型11a,11bを多層発泡体100から離型し、多層発泡体100を分割金型11a,11bから取り出す。
<本実施形態の多層発泡体100の製造方法の作用・効果>
このように、本実施形態では、図11に示すように、炭素繊維を含有した非発泡層101が発泡層102の外面に積層された多層シート200を分割金型11a,11b間に押し出し、後は、第1の実施形態と同様に、図3に示すように、多層シート200の最外面に流体を吹き付け、多層シート200の最内面同士を接着し、多層シート積層体201を形成する。そして、図4に示すように、多層シート積層体201の最外面とキャビティ面12a,12bとの間に隙間が空くように多層シート積層体201を分割金型11a,11bで挟み込み型締めし、図5に示すように、多層シート積層体201をキャビティ面12a,12bに沿った形状に成形し、高発泡倍率の多層発泡体100を成形する。
本実施形態では、多層シート200を分割金型11a,11bで型締めする前に、多層シート200の最外面に流体を吹き付け、多層シート200の最内面同士を接着し、多層シート積層体201を形成するため、多層シート200内に存在する空気の逃げ場を確保することができる。このため、多層シート積層体201を形成する際に、多層シート積層体201の内部に空気だまりを発生し難くすることができる。その結果、空気だまりが発生し難い多層発泡体100を製造することができる。
また、本実施形態では、多層シート200の最外面に流体を吹き付け、多層シート200の最内面同士を接着し、多層シート積層体201を形成するため、多層シート200を構成する発泡層102の気泡を潰さずに、多層シート積層体201を形成することができる。その結果、最終成形品である多層発泡体100の発泡倍率を向上させることができる。
なお、上述した実施形態では、溶融状態の熱可塑性樹脂シートを用いて型締めし、多層発泡体100を成形する好適な成形方法を用いた場合について説明した。しかし、上記実施形態で説明した成形方法に限定せず、例えば、特開2009−233960号公報等に開示されている成形方法(固形化した板状のシートを、再加熱し、その再加熱したシートをブロー成形して多層発泡体100を成形する方法)等を適用して成形することも可能である。
また、上述した実施形態では、図11に示すように、溶融状態の複数のシート状の多層シート200を用いて多層発泡体100を成形することにした。しかし、図12に示すように、溶融状態の1枚の多層シート200を用いて多層発泡体100を成形することも可能である。この場合、多層シート200は、炭素繊維を含有した非発泡層101が発泡層102の両外面に積層されて構成することになる。
次に、上述した実施形態の多層発泡体100の実施例について説明する。但し、以下に示す実施例は一例であり、以下に説明する実施例に限定するものではない。
<ドローダウン指数の測定方法>
まず、ドローダウン指数の測定方法について説明する。
図13(a)に示す25mm押出機に対し、図13(b)に示すような25mmのスリットを有するダイスを取り付け、所定の温度にて表1、2に示す原料の押し出しを行う。表1、2に示す原料の詳細を表3に示す。表1は、炭素繊維(CF)を含有していない非発泡樹脂を示し、表2は、炭素繊維(CF)を5Wt%含有した非発泡樹脂を示す。
図13(c)に示すように、ダイスのスリットから押し出した溶融樹脂の長さが120mmに到達した時の時間T1と、600mmに到達した時の時間T2と、を測定し、以下の(式1)により算出した値をドローダウン指数とする。
Figure 2012116011
Figure 2012116011
Figure 2012116011
ドローダウン指数=T2/T1・・・(式1)
溶融樹脂のドローダウン指数が2.5未満の場合は、溶融樹脂がドローダウンし易くなることが判明した。このため、成形時に成型品の鉛直方向において表皮の肉厚のばらつきが発生し易く、成型品の上部の表皮の肉厚が薄く、成形品の下部の表皮の肉厚が厚くなってしまうことが判明した。また、溶融樹脂のドローダウン指数が4.0より大きい場合は、ドローダウン指数のばらつき(標準偏差)が大きくなり、成形品のばらつきが発生し易くなることが判明した。このため、表1、表2の結果から、溶融樹脂のドローダウン指数が2.5〜4.0の範囲になるようにすることが好ましいことが判明した。従って、非発泡層101を構成する原料としては、AH561やEA6Aを用いることが好ましいことが判明した。特に、EA6Aは、炭素繊維を添加してもドローダウン指数のばらつきが発生し難いため、非発泡層101を構成する原料としては、EA6Aを用いることが好ましいことが判明した。
次に、非発泡層101を構成する原料としてAH561、EA6Aを用いた場合に、炭素繊維の添加量を変化させた場合のドローダウン指数を表4に示す。
Figure 2012116011
表4に示す結果から、非発泡層101に含有する炭素繊維の含有量が10Wt%より多くなると、ドローダウンし易くなるため、炭素繊維の含有量が10Wt%以下であることが好ましいことが判明した。
<スウェル比の測定方法>
次に、スウェル比の測定方法について説明する。
JIS K-7210に記載のMFR測定機において図14に示すオリフィスを取り付け、230℃にて2.16kgの荷重で原料の押し出しを行う。
ストランドの長さが1cmになった時点でのストランド径(d)を測定し、以下の(式2)により算出した値をスウェル比とする。このスウェル比の計算を3回行い、3回のスウェル比の平均値を求める。
スウェル比=ストランド径(d)/オリフィス径(D)・・・(式2)
非発泡層101を構成する原料としてAH561、EA6Aを用いた場合に、炭素繊維の添加量を変化させた場合のスウェル比を表5に示す。
Figure 2012116011
表5に示す結果から、非発泡層101に含有する炭素繊維の含有量が10Wt%より多くなると、ドローダウンし易くなるため、炭素繊維の含有量が10Wt%以下であることが好ましいことが判明した。従って、本実施形態の多層発泡体100を製造する際には、非発泡層101に含有する炭素繊維の含有量を10Wt%以下にすることが好ましい。これにより、成形品の冷却時間を短縮することが可能になると共に、ヒケやソリがない成形品を安定して製造することができる。
なお、上述する実施形態は、本発明の好適な実施形態であり、上記実施形態のみに本発明の範囲を限定するものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更を施した形態での実施が可能である。
例えば、上述した実施形態では、リブのない分割金型11a,11bを用いて多層発泡体100を成形することにした。しかし、リブのある分割金型11a,11bを用いて多層発泡体100を成形することも可能である。分割金型11a,11bにリブを設けることで、分割金型11a,11b同士を型締めした際に、リブが多層パリソン200に接触し、多層パリソン200の最内面同士を接着することになるため、多層パリソン200内部に空気だまりを更に発生し難くすることができる。また、リブにより、多層発泡体100の表面に凹部が形成されることになるため、多層発泡体100の容積を軽減し、多層発泡体100の軽量化を図ることも可能となる。このため、多層発泡体100の使用用途に応じてリブのある分割金型11a,11bを用いて、多層発泡体100を成形することも可能である。
また、上述した実施形態では、多層発泡体100は、非発泡層101、発泡層102を各々1層有して構成することにした。しかし、多層発泡体100は、発泡層102、非発泡層101を各々少なくとも1層有して構成していれば、あらゆる層構成で構成することも可能である。
また、上述した実施形態のように、非発泡層101と発泡層102とを共に押し出すのではなく、非発泡層101と発泡層102とをそれぞれ、別々に(離隔した状態で)押し出し、押出後に、非発泡層101と発泡層102とを溶着するようにすることも可能である。
また、上記実施形態では、2つの分割金型11a,11bを用いた場合について説明した。しかし、分割金型11a,11bは、2つに限定するものではなく、任意の数の分割金型を用いることも可能である。
また、上述した実施形態では、自動車に好適な多層発泡体100について説明した。しかし、本実施形態の多層発泡体100は、自動車に限定するものではなく、多層発泡体100の形状を適宜設計変更し、列車、船舶、航空機等の輸送機にも適用することができる。なお、本実施形態の多層発泡体100は、軽量化及び低コスト化を図ることができるため、輸送機のコストを低減することができると共に、輸送機の燃費も向上させることができる。また、本実施形態の多層発泡体100は、建材用、各種電気機器のハウジング用、スポーツ・レジャー用部材などにも適用可能である。
100 多層発泡体
101 非発泡層
102 発泡層
200 多層パリソン、多層シート(多層樹脂)
201 多層パリソン積層体、多層シート積層体(多層樹脂積層体)
10 押出ヘッド
11a、11b 分割金型
12a、12b キャビティ面
13 下ピンチ
14、15 孔
24 圧着ローラ
1 押出装置
2 型締装置
31 第1のアキュムレータ
32 第2のアキュムレータ
33 第1のプランジャー
34 第2のプランジャー
35 第1のTダイ
36 第2のTダイ
37 第1の押出機
38 第2の押出機
39 第1の熱可塑性樹脂供給ホッパ
40 第2の熱可塑性樹脂供給ホッパ
41 第1の一対のローラ
42 第2の一対のローラ
43 スリット隙間調整装置
18 第1の熱可塑性樹脂シート
19 第2の熱可塑性樹脂シート

Claims (10)

  1. 炭素繊維を含有した非発泡層が発泡層の外面に積層された多層樹脂を押し出す押出工程と、
    前記多層樹脂を金型で挟み込み型締めする型締工程と、
    前記多層樹脂を前記金型のキャビティ面に沿った形状に成形する成形工程と、
    を有することを特徴とする多層発泡体の製造方法。
  2. 前記多層樹脂の最内面同士を接着し、多層樹脂積層体を形成する接着工程を有し、
    前記型締工程は、
    前記多層樹脂積層体の最外面と前記キャビティ面との間に隙間が空くように前記多層樹脂積層体を前記金型で挟み込み型締めし、
    前記成形工程は、
    前記多層樹脂積層体を前記キャビティ面に沿った形状に成形することを特徴とする請求項1記載の多層発泡体の製造方法。
  3. 前記多層樹脂の最内面同士を接着し、多層樹脂積層体を形成する接着工程を有し、
    前記型締工程は、
    前記多層樹脂積層体の最外面が前記キャビティ面に沿った形状になるように前記多層樹脂積層体を前記金型で挟み込み型締めし、
    前記成形工程は、
    前記多層樹脂積層体を前記キャビティ面に沿った形状に成形することを特徴とする請求項1記載の多層発泡体の製造方法。
  4. 前記型締工程は、
    前記多層樹脂の最外面が前記キャビティ面に沿った形状になるように前記多層樹脂を前記金型で挟み込み型締めし、
    前記成形工程は、
    前記多層樹脂を前記キャビティ面に沿った形状に成形することを特徴とする請求項1記載の多層発泡体の製造方法。
  5. 前記非発泡層のドローダウン指数が2.5〜4.0であることを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の多層発泡体の製造方法。
  6. 前記炭素繊維の含有量が10Wt%以下であることを特徴とする請求項1から5の何れか1項に記載の多層発泡体の製造方法。
  7. 前記多層樹脂は、円筒状の多層パリソンであることを特徴とする請求項1から6の何れか1項に記載の多層発泡体の製造方法。
  8. 前記多層樹脂は、シート状の多層シートであることを特徴とする請求項1から6の何れか1項に記載の多層発泡体の製造方法。
  9. 発泡層に非発泡層が積層された多層発泡体であって、
    前記非発泡層に炭素繊維が含有されていることを特徴とする多層発泡体。
  10. 前記非発泡層のドローダウン指数が2.5〜4.0であることを特徴とする請求項9記載の多層発泡体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2015158022A (ja) * 2014-02-24 2015-09-03 株式会社ジェイエスピー ポリオレフィン系発泡繊維
JP2018083306A (ja) * 2016-11-21 2018-05-31 キョーラク株式会社 成形体の製造方法及び成形体の製造装置
CN110303663A (zh) * 2019-07-31 2019-10-08 汕头市永安塑胶实业有限公司 一种双层pe大型中空吹塑桶及其生产工艺

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