JP2012081455A - 樹脂塗膜剥離方法及びその装置 - Google Patents

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Hiroyasu Toyosawa
弘康 豊澤
Kazuaki Toyosawa
一晃 豊澤
Kazuhisa Fujita
藤田  和久
Shinichiro Okihara
伸一朗 沖原
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Abstract

【課題】
基体上に塗着された樹脂塗膜の剥離に関し、剥離した樹脂が粉塵となって飛散するのを防止し、容易かつ確実に回収することができる樹脂塗膜剥離方法を提供する。
【解決手段】
本発明の樹脂塗膜剥離方法は、基体b上に塗着された樹脂塗膜tを加熱して軟化させた後、軟化した樹脂塗膜tを、ヘラ3を用いて基体bから剥離させるものである。
【選択図】図6

Description

本発明は、基体上に塗着された樹脂塗膜剥離方法及びその装置に係り、特に、樹脂塗膜を加熱して軟化させた後、軟化した樹脂塗膜を、ヘラを用いて基体から剥離させるものに関する。
基体上に塗着された樹脂塗膜を剥離・除去する方法として、例えば、サンドブラストやショットブラストのようにメディア(砂や金属の粒子)を樹脂塗膜に衝突させ、この衝突エネルギーにより強制的に該樹脂塗膜を飛散させて除去するものがある。
しかしながら、このようなブラストによる除去方法にあっては、樹脂塗膜の除去に止まらず、基体をも破損させてしまう恐れがあり、加えて、生じた粉塵の回収や樹脂とメディアの分離に手間がかかるばかりか、樹脂塗膜や基体に有害な物質(例えば、アスベストなど)が含まれている場合にあっては、粉塵を吸引した作業者等に対して重大な健康上の被害をもたらす危険性を高めてしまう。
そこで、例えば、特許文献1の請求項2や図1等に示されているように、炭化させた塗装塗膜をワイヤブラシなどのスクレーパで構造物にダメージを与えることなく掻取り、この掻取られた塗装塗膜を吸引して回収するような塗装塗膜の除去装置が提案されている。
特開2001−334799号公報
しかしながら、上述した特許文献1記載の塗装塗膜の除去装置にあっては、塗装塗膜を炭化させて構造物と塗装塗膜との接着力を弱め、スクレーパで掻取って炭化物の粒子からなる粉塵を回収するものであり、密閉構造にしたり回収装置を備えさせる点で、装置が大掛かりになるばかりか、炭化物の粉塵が介在している以上、掻取った粉塵が外部に漏出する危険性を確実に排除できるとはいえない。
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものである。
請求項1に係る発明は、基体上に塗着された樹脂塗膜を加熱して軟化させた後、軟化した前記樹脂塗膜を、ヘラを用いて前記基体から剥離させる樹脂塗膜剥離方法である。
請求項2に係る発明は、請求項1記載の樹脂塗膜剥離方法において、樹脂塗膜の加熱は、加熱用ランプを用いて行うものであり、ヘラによる前記樹脂塗膜の剥離前に、予め前記加熱用ランプにより前記樹脂塗膜を加熱して軟化させておくものである。
請求項3に係る発明は、基体上に塗着された樹脂塗膜を加熱して軟化させる加熱手段と、軟化した前記樹脂塗膜を前記基体から剥離させるヘラと、を備えている樹脂塗膜剥離装置である。

請求項4に係る発明は、請求項3記載の樹脂塗膜剥離装置において、加熱手段は加熱用ランプであり、該加熱用ランプは、ヘラ先端部の前方方向を加熱するように配置されているものである。
請求項1に記載の樹脂塗膜剥離方法によれば、基体上に塗着された樹脂塗膜を加熱して軟化させた後、軟化した前記樹脂塗膜を、ヘラを用いて前記基体から剥離させるため、粉塵を飛散させることなく樹脂塗膜を塊状にして剥離させることができ、剥離した樹脂を容易かつ確実に回収することができる共に、ヘラで剥ぎ取る分、基体への損傷を可及的に抑制することができる。
請求項2に記載の発明によれば、請求項1記載の樹脂塗膜剥離方法の効果に加え、樹脂塗膜の加熱は、加熱用ランプを用いて行うものであり、ヘラによる前記樹脂塗膜の剥離前に、予め前記加熱用ランプにより前記樹脂塗膜を加熱して軟化させておくため、加熱用ランプからの熱輻射により、所望領域の樹脂塗膜を短時間で昇温して軟化させることができ、ヘラによる樹脂塗膜の剥離をより一層迅速に行うことができる。
請求項3に記載の樹脂塗膜剥離装置によれば、基体上に塗着された樹脂塗膜を加熱して軟化させる加熱手段と、軟化した前記樹脂塗膜を前記基体から剥離させるヘラと、を備えているため、粉塵を飛散させることなく樹脂塗膜を塊状にして剥離させることができ、剥離した樹脂を容易かつ確実に回収することができる共に、ヘラで剥ぎ取る分、基体への損傷を可及的に抑制することができる。
請求項4に記載の発明によれば、請求項3記載の樹脂塗膜剥離装置の効果に加え、加熱手段は加熱用ランプであり、該加熱用ランプは、ヘラ先端部の前方方向を加熱するように配置されているため、加熱用ランプからの熱輻射により、所望領域の樹脂塗膜を短時間で昇温して軟化させることができ、ヘラによる樹脂塗膜の剥離をより一層迅速に行うことができる。
本発明に係る樹脂塗膜剥離装置の要部(ハンドリムーバ)を示した概略図である。 図1の一部を拡大して示した概略的断面図である。 図2の加熱手段の可動状態を示した一部切断概略的断面図である。 図1のヘラ作動状態の一例を示した概略図である。 図1のハンドリムーバを含む樹脂塗膜剥離装置の全体を示した概略図である。 図1の作用を説明するための概略図である。 図1の使用状態の一例を示した概略的斜視図である。 図1の使用状態の他の例を示した概略的斜視図である。
本発明の一実施例を、図1〜図5を参照して説明する。図1は本発明に係る樹脂塗膜剥離装置A(後記)の要部を示した概略図であり、同図において、1は、ハンドリムーバである。このハンドリムーバ1は、作業者が手で把持し、樹脂塗膜に直接作用して、基体上に塗着された樹脂塗膜を加熱して軟化させた後、軟化した樹脂塗膜を、ヘラを用いて基体から剥離させるもので、概略的に、加熱手段2とヘラ3とを備えている。
加熱手段2は、基体上に塗着された樹脂塗膜を加熱して軟化させるもので、例えば、熱風ブロアや加熱用ランプなどであるが、所望領域を短時間で加熱でき、かつ、剥離した樹脂塊の飛散を防止できる点で、加熱用ランプの方が好ましい。なお、加熱用ランプを用いる場合にあっては、ランプの波長が300nm〜14000nmであるのが樹脂塗膜(薄膜)を効率良く加熱できる点で好ましく、具体的には、ハロゲンランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ、赤外線ランプなどを使用することができる。
この加熱手段2は、接続部材4に接続され、接続部材4は、取付部材51、52、53を介してグリップ6に取り付けられている。なお、71は電源コードであり、加熱手段2に電力を供給するものである。
ここで、加熱手段2について、ハロゲンランプを例にとって詳述すると、図2に示したように、ハロゲンランプ21はソケット23に装着され、該ハロゲンランプ21の周囲にはリフレクタ22が設けられている。
そして、これらハロゲンランプ21、リフレクタ22およびソケット23は、ランプケース24内に一体的に内蔵され、このランプケース24におけるハロゲンランプ21の投光側と反対側には、接続部4aを介して接続部材4が接続されている。なお、接続部4aは、例えば、ユニバーサルジョイントや、同図に示したようなボールジョイントで構成されており、図3に示したように、接続部材4に対して加熱手段2の角度を自在に可変させることができ、投光方向を調整できるようになっている。
ヘラ3は、加熱手段2により軟化した樹脂塗膜を基体から剥離させるもので、耐熱性に優れている点で、例えば、ステンレス鋼などの金属材料や、ファインセラミックなどのセラミック材料、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)などの複合材料等を用いることができる。
このヘラ3は、図1に示したように、支持棒31を介してグリップ6に取り付けられ、加熱手段2と一体的に構成されている。
また、ヘラ3は、図4に示したように、進退自在に復動できるように構成してもよく、かかる構成にあっては、グリップ6内にモータ(不図示)を内蔵させ、このモータを駆動源としてヘラ3を駆動するようにしてもよい。なお、61はヘラ3駆動用のトリガーであり、81は電源コードで、ヘラ3駆動用のモータに電力を供給するものである。
ところで、前記した樹脂塗膜剥離装置Aは、図5に示したように、上述のハンドリムーバ1と、ランプ駆動電源7と、ヘラ駆動電源8とにより構成されているもので、ハンドリムーバ1には、電源コード71を介してランプ駆動電源7が、電源コード81を介してヘラ駆動電源8が、それぞれ接続されている。
ランプ駆動電源7は、オンオフスイッチ72とランプ強度可変ツマミ73とを備えており、電源コード71を介して加熱手段2に接続され、該加熱手段2への電力供給の入切を行うと共に、供給する電力を制御して加熱される樹脂塗膜の温度を調整するものである。
ヘラ駆動電源8は、オンオフスイッチ82とヘラ速度可変ツマミ83とを備えており、電源コード81を介してグリップ6内のモータに接続され、該モータへの電力供給の入切を行うと共に、供給する電力を制御してヘラ3の進退速度を調整するものである。
次に、上述のように構成した実施例に係る樹脂塗膜剥離装置Aの作用について、図6〜図8を参照して説明する。図6は、基体b上に塗着された樹脂塗膜tを剥離させる状態を示したものであり、仮想線で示したようにグリップ6を手で把持してヘラ3により樹脂塗膜tを剥離させるもので、まず、図5に示したランプ駆動電源7のオンオフスイッチ72をオンにし、ランプ強度可変ツマミ73を操作して樹脂塗膜tの温度を調整する。
ここで、樹脂塗膜tの温度は、該樹脂塗膜tが軟化するものであればよく、例えば、エポキシ樹脂やウレタン樹脂の場合にあっては、70〜120℃の範囲になるように加熱する。なお、樹脂塗膜tを加熱し過ぎて固化(炭化や灰化を含む)させるのは好ましくない。かかる場合、固形物の生成により基体bとの接着力が弱められ、基体bからの剥離は容易になるものの、脆化して粉塵となり易く、剥離した樹脂(粉塵)が飛散して回収が困難となるからである。
また、図6に示したように、加熱手段2による加熱領域rは、ヘラ3先端部の前方方向とし、ヘラ3による樹脂塗膜tの剥離前に、予め加熱手段2により該樹脂塗膜tを加熱して軟化させておくのが好ましく、ヘラ3の先端部を含むように調節するのがより好ましい。加熱領域rの調節は、接続部4aを支点としてランプケース24を動かして行う(図3参照)。
そして、ハンドリムーバ1を操作し、基体bの表面にヘラ3を押し当て、該基体b上に塗着された樹脂塗膜tを加熱して軟化させた後、ヘラ3の先端部の前方方向に向かってハンドリムーバ1を移動させながら、軟化した樹脂塗膜tを徐々に基体bから剥離させていくもので、ヘラ3による樹脂塗膜tの剥離前に、該樹脂塗膜tが軟化しているため、粉塵を発生させることなく容易に塊状にして基体bから剥離させることができる(図6において、t’は剥離した塊状の樹脂を示している)。
このとき、図5に示したヘラ駆動電源8のオンオフスイッチ82をオンにし、図4および図6に図示したトリガー61を引いて、同図の双矢印dで示したように、ヘラ3をハンドリムーバ1の移動方向に対して前後方向に復動(進退)させて樹脂塗膜tを剥離させると、より一層確実に樹脂塗膜tを剥離させることができる。
なお、本発明に係る樹脂塗膜tの剥離にあっては、基体bの形状が限定されるものではなく、例えば、図7に示したように、平板状の基体bに対して用いたり、図8に示したように、曲面状の基体bに対して用いることができる。
ところで、上述した実施例にあっては、ヘラ駆動電源8を設け、モータによりヘラ3を前後方向に復動(進退)させる例について示したが、軟化した樹脂塗膜tが容易に剥離できる場合にあっては、このヘラ駆動電源8を設けず、ヘラ3をグリップ6に対して固定するようにしてもよい。
また、上述した実施例にあっては、ヘラ3として、金属材料やセラミック材料等を厚肉に形成したものを用いた例を示したが(図1、図4、図6等参照)、基体b表面への追従性を向上させるため、可撓性を有する金属製の薄板(例えば、JIS G4303規定のSUS303、SUS304など)を用いるようにしてもよい。
A 樹脂塗膜剥離装置
b 基体
t 樹脂塗膜
t’ 剥離した樹脂
1 ハンドリムーバ
2 加熱手段
3 ヘラ

Claims (4)

  1. 基体上に塗着された樹脂塗膜を加熱して軟化させた後、軟化した前記樹脂塗膜を、ヘラを用いて前記基体から剥離させることを特徴とする樹脂塗膜剥離方法。
  2. 樹脂塗膜の加熱は、加熱用ランプを用いて行うものであり、ヘラによる前記樹脂塗膜の剥離前に、予め前記加熱用ランプにより前記樹脂塗膜を加熱して軟化させておくことを特徴とする請求項1記載の樹脂塗膜剥離方法。
  3. 基体上に塗着された樹脂塗膜を加熱して軟化させる加熱手段と、軟化した前記樹脂塗膜を前記基体から剥離させるヘラと、を備えていることを特徴とする樹脂塗膜剥離装置。
  4. 加熱手段は加熱用ランプであり、該加熱用ランプは、ヘラ先端部の前方方向を加熱するように配置されていることを特徴とする請求項3記載の樹脂塗膜剥離装置。
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