JP2012080902A - 軟性内視鏡用リトラクター - Google Patents
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Abstract
【課題】腹腔鏡下手術やNOTESなどの低侵襲性の手術において、体表からの挿入経路を必要としないリトラクターを提供する。
【解決手段】リトラクター1は、鈍い形状の遠位端を有する圧排部10、に延設される導入部、および該導入部の近位端に設けられたハンドル部を備える。圧排部10および導入部は、管腔臓器の体表開口部から管腔内へ挿入される軟性内視鏡40の処置具チャンネルに挿入可能な外径を有し、圧排部10は、該処置具チャンネルから管腔内部に突出されると所定の形状を発現し、そして平滑な表面を有し、導入部は、可撓性材料から構成され、そしてハンドル部は、圧排部10の形状を変化させるように操作可能である。圧排部10は、形状記憶材料で構成されることが好ましい。
【選択図】図4
【解決手段】リトラクター1は、鈍い形状の遠位端を有する圧排部10、に延設される導入部、および該導入部の近位端に設けられたハンドル部を備える。圧排部10および導入部は、管腔臓器の体表開口部から管腔内へ挿入される軟性内視鏡40の処置具チャンネルに挿入可能な外径を有し、圧排部10は、該処置具チャンネルから管腔内部に突出されると所定の形状を発現し、そして平滑な表面を有し、導入部は、可撓性材料から構成され、そしてハンドル部は、圧排部10の形状を変化させるように操作可能である。圧排部10は、形状記憶材料で構成されることが好ましい。
【選択図】図4
Description
本発明は、内視鏡下外科手術において、施術対象臓器を適正視野に移動し、術野の妨げとなる臓器などを圧排・牽引して制御し、術中の視野(術野)を確保するための軟性内視鏡用リトラクターに関する。
臨床各科においては、様々な病態に対する診断、治療効果の判定、治療方針の決定などを目的として体腔内の直接観察や処置が行われる。従来、これらは試験開腹あるいは試験開胸という侵襲の大きなアプローチで行われていた。しかし、近年の内視鏡下手術の普及に伴い、より切開創の小さな試験腹腔鏡や試験胸腔鏡で行われるようになってきた。
例えば、特許文献1および2には、小さな直径で皮膚を貫通して体腔まで挿入した後に、貫通腔を容易に拡張して、さらに大きい直径の外科器具を通す通路を提供することができるトロカールシステムが開示されている。このシステムによれば、従来のように外科器具の直径に応じた大きな切開を施した場合と比較して、患者の外傷が小さく、回復にかかる時間は非常に短くなる。
一方、患者の外傷を最小限に抑えるための低侵襲性の新たな技術が開発されている。この技術は、Natural Orifice Translumenal Endoscopic Surgery(NOTES:体表無切開内視鏡手術)として知られており、管腔臓器の体表開口部(natural orifice:口、肛門、膣など)から管腔内へ軟性内視鏡を挿入し、管腔臓器の壁を切開して体腔内へ到達し、診断・処置・治療を行うという全く新しい技術である。理論的には、体表の切開創を一切必要としないため(incisionless)、内視鏡下手術を上回る低侵襲性が期待される。海外では、腹腔鏡補助下の経腟的あるいは経胃的「部分的NOTES」の臨床成功例も報告され、大きな関心を集めている。近い将来には腹腔鏡の補助を要さない、軟性内視鏡のみによる「完全NOTES」の臨床導入も期待されている。
このような内視鏡下手術では、開腹手術と比較して、手術空間に制約があること、あるいは自在に視野の方向が変えられないことなどにより、最適視野を確保するのが難しいという欠点がある。この問題点が内視鏡下手術を困難なものとする一因となっている。例えば、経腟NOTES胃手術においては、いかに胃壁を挙上させて、胃周囲の安定した術野展開を得るかが、技術的課題の1つである。胃の切除術においては、例えば、ステープラーによる胃切除に先立って胃周囲の間膜を広く切離し、胃を十分に授動しておく必要がある。この際、切離すべき間膜には適度な緊張(またはトラクション)を与えることが必要であるため、軟性内視鏡に設けられた1.2mm〜3.0mmのチャンネルを通して処置具を挿入し、間膜を把持・牽引するという操作が行われる。しかし、現状では、腹腔鏡用鉗子による補助が行われており、そのため、完全NOTESではなく部分的NOTESしかできない。
術中の視野(術野)の問題を緩和するために、種々のリトラクターが開発されている。リトラクターとは、手術対象組織の位置を適正な術野内に移動させたり、術野を妨げる組織を圧排あるいは牽引したりして、術野を確保するために主に用いられる器具である。リトラクターには、基本的な機能として、これを体内へ挿入する際、挿入通路となるトロッカー(外套管)または小切開創のような小さな開口通路より器具が挿通できることが求められている。したがって、少なくとも挿入時は細径であり(例えば、トロッカーの場合10mm以下、小切開創の場合20mm以下が望ましい)かつ棒状の形態であることが必要であり、一方、体腔内挿入後は、対象物を幅広く安全に圧排するために、圧排部がある程度大きな面積を有する形状に変形可能であることが要求される。
上述の相反する要求に応じて、種々に工夫されたリトラクターが提案あるいは市販されている。例えば、圧排部が扇状に拡開するものがある(例えば、特許文献3)。これは、トロッカーの腹腔への挿入時には、扇状圧排部が畳まれて棒状管の内部に収納されており、体腔内で棒状管より押し出されて扇状に広がるものである。扇状圧排部を任意の大きさまで手元操作により拡げる構造のものや、圧排部と基部との角度が可変するものなどがあり、比較的幅広く臓器を圧排できる利点があることから肝臓や腸を圧排するのに好適となっている。なお、形状は扇型に限らず、菱形などの種々の形状のものが多数提案されている。
これとは別のタイプとして、圧排部の棒状体が体腔内で屈曲するスネーク式リトラクターがある(例えば、特許文献4および5)。トロッカー挿入時は、屈曲した圧排部が直線状に棒状管内部に収納されており、体腔内で棒状管より押し出すと屈曲形状に戻るもの、あるいは挿入時には棒状のものを、体腔内で種々の形状に屈曲させ、該屈曲形状を固定することのできるものがある。これらは、対象物を屈曲部で挟み込むように牽引するのに特に有効であり、腹腔鏡下手術において広く普及している。
あるいは、先端部がループ形状のものもある(例えば、特許文献6)。これは、管の先端から細径のループを出し、該ループで組織を締めて把持牽引するタイプである。細径のトロッカーからの挿入が可能で極めて低侵襲性であるが、圧排には適応できない。一方、体内臓器などを圧排および牽引するリトラクターとして、ゴム弾性薄膜の面状シートおよび該面状シートの辺縁周囲を固着してほぼ囲繞するフレームとによりなる圧排部と、該圧排部に延設される把持部とから構成され、該フレームに超弾性合金または形状記憶合金を用いることにより、圧排部が、体腔内挿入時にはトロッカーあるいは小切開創より挿入可能な径に細径化可能であり、かつ体腔内部では広い圧排面積を有する元の形状へ復元する機能を有する器具もある(特許文献7および8)。
また、内視鏡挿入用のチューブに備えられた管腔を通じて挿入されるツールアームとして、可撓性でありかつ器官および組織の構造の操作を可能にするようなスネーク式リトラクターが開示されている(特許文献9)。これも、上記のトロッカー経由で挿入されるスネーク式リトラクターと同様に多節型のものであり、複雑な構造を有する。
これらはいずれも、体表の切開部より体腔内へあるいは管腔臓器の体表開口部から臓器内部に挿入され、その挿入された腔内で内視鏡の観察下にて臓器を圧排するものである。
Nakajimaら,Surgical Endoscopy,2008年,12巻,pp.2733-2736
上述のように、現在の腹腔鏡下手術においては、腹腔鏡の挿入経路以外にも、臓器を圧排するための体表からの開口通路が必要である。また、NOTES研究者の間では、臓器の挙上や圧排を容易にするためのデバイスの必要性は未だ広く認識されていない。そこで、本発明は、腹腔鏡下手術やNOTESなどの低侵襲性の手術において、体表からの挿入経路を必要としないリトラクターを提供することを目的とする。
本発明者らは、ブタにおいて経腟NOTESによる胃の切除を行う際に、経腟的に腹腔内に挿入された軟性内視鏡とは別に、胃内へ挿入した別の軟性内視鏡(胃カメラ)を用いて、管腔側から胃壁を挙上し、間膜に適切なトラクションを得る手法を開発している(非特許文献1)。しかし、この方法では、内視鏡そのものをリトラクターとして使用するため、内視鏡の視野が失われるという欠点がある。視野を確保するために、先端に透明なキャップまたはフードを装着した内視鏡を用いて胃壁を挙上することも可能であるが、この場合も視野は制限される。
そこで、発明者らは、軟性内視鏡そのものではなく、軟性内視鏡の処置具チャンネル経由で圧排子(リトラクター)を胃内で展開することにより、胃内腔側から胃壁を挙上させて周囲間膜への適切なトラクションが得られることを見出し、本発明を完成した。すなわち、本発明は、腹腔内で必要とされているリトラクションを、臓器の外側からではなく、消化管内腔側から行うということを特徴とする。
本発明は、鈍い形状の遠位端を有する圧排部、該圧排部に延設される導入部、および該導入部の近位端に設けられたハンドル部を備えるリトラクターを提供し、該リトラクターにおいて、
該圧排部および該導入部は、管腔臓器の体表開口部から該管腔内へ挿入される軟性内視鏡の処置具チャンネルに挿入可能な外径を有し、
該圧排部は、該処置具チャンネルから該管腔内部に突出されると所定の形状を発現し、そして平滑な表面を有し、
該導入部は、可撓性材料から構成され、そして
該ハンドル部は、該圧排部の形状を変化させるように操作可能である。
該圧排部および該導入部は、管腔臓器の体表開口部から該管腔内へ挿入される軟性内視鏡の処置具チャンネルに挿入可能な外径を有し、
該圧排部は、該処置具チャンネルから該管腔内部に突出されると所定の形状を発現し、そして平滑な表面を有し、
該導入部は、可撓性材料から構成され、そして
該ハンドル部は、該圧排部の形状を変化させるように操作可能である。
1つの実施態様では、上記圧排部は、形状記憶材料から構成される。
1つの実施態様では、上記形状記憶材料は、形状記憶合金である。
1つの実施態様では、上記圧排部は、表面コーティングされている。
1つの実施態様では、上記圧排部は、15〜20cmの長さを有する。
1つの実施態様では、上記リトラクターは、腹腔鏡下手術およびNOTESからなる群より選択される手術において使用可能である。
本発明のリトラクターは、軟性内視鏡の処置具チャンネルを経由して管腔臓器の内腔へ挿入され、手元操作によって予め設計された形状を内腔で速やかに発現する。その発現した先端形状により、管腔臓器を内腔側から圧排・開排し、例えば、NOTESによる腹腔での手術操作を補助できる。
本発明のリトラクターを用いれば、腹腔鏡の挿入経路以外に臓器を圧排するための体表からの開口通路を必要とすることなく、術野を確保することができる。また、視野を確保しながら圧排操作を行うことが可能であるため、例えば、消化管腔に小さな病変がある場合、その病変を損傷することなく操作することが可能である。さらに、使用中に器具による組織の挟み込みや損傷を生じることもない。
図1を参照すると、本発明のリトラクター1は、鈍い形状の遠位端を有する圧排部10、該圧排部10に延設される導入部20、および該導入部20の近位端に設けられたハンドル部30を備え、該圧排部10および該導入部20は、管腔臓器の体表開口部から該管腔内へ挿入される軟性内視鏡の処置具チャンネルに挿入可能な外径を有する。圧排部10は、図1における可動部分に相当する。
本明細書において、用語「リトラクター」とは、医療分野において対象物(例えば、管腔臓器)の位置をずらし、あるいは視野を妨げるものを圧排、開排、牽引、または挙上し、視野を確保して手術を行うための医療器具をいう。また、圧排、開排、牽引、または挙上の操作をまとめて「リトラクション」または「リトラクト」という場合がある。なお、本明細書において、単に「圧排」という場合は、圧排の操作のみでなく、開排、牽引、または挙上する操作を包含する(すなわち、リトラクションを意味する)場合がある。
対象となる管腔臓器としては、胃、小腸、大腸、膣などが挙げられる。本発明のリトラクターは、好ましくは、胃、小腸、および大腸に対して用いられる。
本明細書において、軟性内視鏡とは、医療用の軟性内視鏡をいう。このような軟性内視鏡は、柔軟な素材を用いており、内蔵される観察光学系として、グラスファイバーを用いたものと、CCDを用いたものとがある。また、照明光学系として体外の制御装置側に光源を備え、光ファイバーで光を導いて先端部から照射するものが一般的である。また、LEDを内視鏡先端に内蔵したタイプもある。内視鏡は、一般的に、これらの光学系とは別の処置具チャンネル(サブルーメン)を有し、局所の洗浄、気体や液体の注入、薬剤散布、吸引、専用デバイスによる処置(把持、切断・穿刺など)などが可能である。また、手元の操作で内視鏡の先端の向きを自在に変更可能であり得る。軟性内視鏡は、目的の管腔に応じて適切なサイズの内視鏡が選択される。本発明のリトラクターの圧排部および導入部は、このような軟性内視鏡の処置具チャンネルに挿入可能な外径を有している。処置具チャンネルの内径は、通常約3mmである。したがって、本発明のリトラクターの圧排部および導入部は、処置具チャンネルに挿入される際には、その外径が3mm未満であり得る。
本発明のリトラクターの圧排部は、鈍い形状の遠位端を有し、そして処置具チャンネルから管腔内部に突出されると所定の形状を発現する。発現された形状において、圧排部は、管腔内部を傷つけないように、平滑な表面を有する。
本明細書において、用語「遠位」は、器具の操作者から最も遠い器具の部分をいい、そして用語「近位」は、操作者に最も近い器具の部分をいう。
本発明のリトラクターの圧排部は、軟性内視鏡の処置具チャンネルに挿入可能な外径を有するが、処置具チャンネルから管腔内部に突出されて所定の形状を発現でき、その形状により臓器を圧排するに十分な強度を有する限り、どのような構成であってもよい。例えば、形状記憶材料からなるワイヤー、チューブ、またはロッド状の構成であってもよい。あるいは、密着コイルやメッシュで構成されていてもよく、複数のセグメントが連続した構成であってもよい。本発明においては、形状記憶材料から構成されることが好ましい。
本発明のリトラクターの圧排部が形状記憶材料で構成される場合、形状記憶材料は、所定の形状により臓器を圧排するに十分な強度を有する材料であれば、生体に有害でない限り、特に限定されない。形状記憶材料は、好ましくは形状記憶合金であり、より好ましくは医療器具に通常用いられる形状記憶合金である。このような形状記憶合金は、種々開発されており、内視鏡、ガイドワイヤー、カテーテル、ステント、歯科矯正用ワイヤー、インプラント材、骨接合用ステープルなどに用いられている。例えば、ニッケル−チタン系合金(代表的には、ナイチノール)、銅−亜鉛−アルミニウム系合金などが挙げられる。例えば、形状変態温度が32℃〜40℃の範囲の形状記憶合金が好適に用いられる。
本発明のリトラクターの圧排部が密着コイルやメッシュで構成される場合、形状発現は、これらにとともに備えられた操作手段でコントロールされる。操作手段は、例えば、ワイヤーであり得る。また、形状発現時にコイル間の間隙やメッシュ間に臓器が挟み込まれる可能性を排除するために、圧排部は、平滑な表面を提供する可撓性の外套(例えば、シリコーンゴム、ポリウレタン)を備える。
本発明のリトラクターの圧排部が複数のセグメントで構成される場合、好適には、各筒状のセグメントが連結しており、筒内には形状発現をコントロールするための操作手段が備えられる。この場合も、セグメント間に挟み込まれることによる臓器損傷を防止するために、圧排部は、上記のような外套を備える。
図2を参照すると、本発明のリトラクター1の圧排部10は、内視鏡40の処置具チャンネル42から管腔内部に突出されると所定の形状を発現する。所望の形状は、対象とする管腔臓器において目的の圧排を行うことが可能な形状であれば、特に限定されない。例えば、扇型、屈曲型、ループ型、バー型、カーブ型などであり得る。本発明のリトラクターにおいては、1つの部材が滑らかに屈曲した屈曲型の形状が特に好ましい。屈曲型の形状としては、図3に示す(a)トライアングル型、(b)サークル型、(c)角度付トライアングル型などが挙げられる。このような圧排部は、目的の圧排や形状に応じた長さを有し、例えば、15〜20cmの長さを有する。
また、本発明のリトラクターの圧排部には、使用中に器具による組織の挟み込みや損傷を生じないように、関節または継ぎ目が表面に存在しないこと、言い換えれば、多関節型や蛇腹式でないことが好ましい。しかし、圧排部が密着コイルやメッシュあるいは複数のセグメントで構成される場合には、上述のように、平滑な表面を提供する可撓性の外套を備えていればよい。
なお、圧排部は、形状記憶材料から構成される場合、その形状が製造時に予め設計され、使用時に変更することはできない。したがって、圧排すべき部位や圧排範囲に応じて、種々の形状、種々の可動部分の長さ、種々の屈曲の角度など有するリトラクターが提供されるべきである。先端の形状は、圧排すべき部位や圧排範囲に応じて複数存在する
本発明のリトラクターの圧排部は、臓器を損傷しないように、平滑な表面を有する。その遠位端は、鈍い(すなわち、鋭利でない)形状である。好ましくは、遠位端付近は、図3の(a)〜(c)に示すようなピッグテイル様の形状(すなわち、丸まっている)である。遠位端の先端は、丸くなっており、好ましくは球状である。さらに、圧排部は、表面コーティングされていてもよい。コーティングには、医療器具のコーティングに通常用いられる素材が用いられ得る。例えば、多孔質ポリ四フッ化エチレン(ePTFE)膜、シリコーン膜、ポリウレタン膜、ポリエチレンテレフタラート(ダクロン(登録商標))膜などで外表面がコーティングされていてもよい。
形状記憶材料で構成される場合、圧排部は、処置具チャンネルに挿入される場合は可撓性の棒状になり、そして処置具チャンネルから管腔内に露出すると、記憶させた形状(例えば、屈曲型の形状)を発現する。処置具チャンネル内では、チャンネルの内腔によって物理的に真っ直ぐな棒状にされるか、あるいは形状変態温度より高いまたは低い温度で真っ直ぐな棒状になるように形状記憶されている。管腔内での形状の発現は、形状変態温度より高いまたは低い温度により行われるか、あるいは物理的な拘束から解放されることにより行われ得る。
本発明のリトラクターの導入部は、上記圧排部に延設され、そしてハンドル部と圧排部とを接続している。導入部の長さは、圧排部を対象とする管腔内に突出(または露出)させるに十分な長さであればよく、通常、軟性内視鏡用の処置具に延設されているワイヤー類と同等であり得る。導入部の外径は、上述のように処置具チャンネルの内径より小さく、通常3mm未満である。
本発明のリトラクターの導入部を構成する可撓性材料は、圧排部を、処置具チャンネルを介して内視鏡の遠位端に送達しそして管腔内に突出(または露出)させることが可能な可撓性および強度を有する限り、特に限定されない。例えば、軟性内視鏡用の処置具(例えば、鉗子)に延設されるワイヤーであり得る。その素材は、ステントなどに用いられる可撓性の素材が挙げられる。例えば、医療用ステンレスである316Lステンレス、タンタル、コバルト合金、ナイチノール(ニッケル−チタン合金)などが挙げられる。これらのワイヤーは、例えば、コイル状ワイヤーやワイヤーメッシュであってもよい。この導入部は、軟性内視鏡の動きを妨げることなく、軟性内視鏡の動きに伴って処置具チャンネル内で一緒に動くことができる。あるいは、導入部を介して、圧排部を処置具チャンネルから管腔内にさらに押し出すこと、または圧排部の向きを管腔内で変化させることも可能である。
導入部には、必要に応じて、ハンドル部の操作によって圧排部の形状を変化させるための手段が備えられ得る。例えば、圧排部を構成する形状記憶合金の形状変態温度の変化により、記憶形状を発現させる場合は、熱伝達手段が併設される。熱伝達手段としては、周囲に絶縁および断熱処理が施された可撓性の電熱線が挙げられる。
本発明のリトラクターのハンドル部は、上記導入部の近位端に備えられる。ハンドル部の操作によって、圧排部および導入部を、内視鏡の処置具チャンネルに挿入して、圧排部を内視鏡の遠位端に送達しそして管腔内に突出(または露出)させることができる。例えば、ハンドル部にダイアルを設け、このダイアルを操作する(例えば、内視鏡の軸周囲に沿って回転させる)ことによって、圧排部を処置具チャンネル中で進入または後退させる構造であってもよい。
このハンドル部は、圧排部の形状を変化させるように操作可能である。圧排部の形状を変化させる方法は、圧排部の構成に応じて適宜決定される。例えば、上記のように形状記憶合金の形状変態温度の変化により、形状を発現させる場合は、ハンドル部に備えられた温度調節手段(例えば、電源に接続された発熱装置)により、熱伝達手段を介して圧排部を所定の温度にするように調節して、圧排部の形状を変化させる。
ハンドル部の形状および構造は、上記のような機能を有する限り、特に限定されない。器具の操作者が取り扱いやすく、当該技術分野で通常採用されるサイズおよび形状であり得る。
本発明のリトラクターは、軟性内視鏡の処置具チャンネルから管腔臓器内に挿入され、圧排部が所定の形状(例えば、記憶した形状)を発現する。この圧排部を、内視鏡でモニターしながら、ハンドル部による操作または内視鏡自体の操作によって、管腔の内壁に接触させて、内壁を押し付けたり、押し上げたりする。この操作により、腹腔内での手術などにおいて管腔の外壁に必要とされる圧排、開排、牽引、または挙上を実現することができる。あるいは、例えば、大腸内の粘膜面を展開し、襞を拡げることによって、例えば、襞に隠れていたポリープ全体を観察することで通常の内視鏡での処置が可能となる。
本発明のリトラクターの具体的な使用方法を、胃内視鏡を用いた場合を例に挙げて、図2〜4を参照しながら具体的に説明する。
胃内視鏡40を、経口的に胃S内に挿入し、本発明のリトラクター1を処置具チャンネル42から胃S内へ挿入する。次いで、圧排部10を完全に胃S内に露出させ、記憶形状を発現させる(図2および図4(a)参照)。胃内視鏡40の観察光学系41によるモニタリング下、圧排部10を胃壁に接触させて胃壁を押し付ける(図4(a))。次いで、胃内視鏡40を移動または屈曲させる操作を行うことによって、胃壁を内部から圧排部10によって持ち上げる(図4(b))。腹腔において胃壁の一部が挙上され、周囲との間に緊張ができ、腹腔内で手術しやすくなる。したがって、この操作により、体表の切開を行うことなく、胃を圧排することができる。
本発明のリトラクターは、主として胃壁を内腔側からリトラクションするデバイスとして記載したが、例えば、大腸内腔で使用すれば、大腸切除術にも応用可能である。
本発明のリトラクターは、軟性内視鏡の処置具チャンネルを経由して管腔臓器の内腔へ挿入され、予め設計された形状を内腔で速やかに発現する。その発現した先端形状を有する圧排部を用いて、管腔臓器を内腔側から圧排・開排し、例えば、NOTESによる腹腔での手術操作を補助できる。
本発明のリトラクターを用いれば、腹腔鏡の挿入経路以外に臓器を圧排するための体表からの開口通路を必要とすることなく、術野を確保することができる。また、視野を確保しながら圧排操作を行うことが可能であるため、例えば、消化管腔に小さな病変がある場合、その病変を損傷することなく操作することが可能である。さらに、使用中に器具による組織の挟み込みや損傷を生じることもない。
より具体的には、本発明のリトラクターは、経腟NOTESでは、胃切除術、食道切除術、小腸切除術、脾切除術(胃を内腔から展開して胃と脾との間を展開する)などにおいて、胃内視鏡経由で応用可能である。また、経胃NOTESでは、結腸切除術、直腸切除術、小腸切除術などにおいて、腸内視鏡経由で応用できる。あるいは、婦人科や泌尿器科領域にも応用可能である。
さらに、本発明のリトラクターは、NOTESに限らず、腹腔鏡下手術や内視鏡手術、あるいは開腹手術においても応用可能である。例えば、通常の腹腔鏡下手術において消化管の適切なトラクションを得る目的で、当該消化管の内腔に内視鏡を経由して挿入して用いることができる。このような操作により、腹腔鏡下に用いる臓器圧排子は不要となり、腹部の切開創を減らすことが可能となる。
また、本発明のリトラクターは、通常の消化管内視鏡(胃カメラや大腸カメラ)において複雑な操作を行う際に補助的に使用することも可能である。例えば、アクセスが困難な襞の裏側に存在するポリープを、本発明のリトラクターを用いて壁を展開することによって正面視し、内視鏡的に切除することも可能である。
1 リトラクター
10 圧排部
20 導入部
30 ハンドル部
40 内視鏡
41 観察光学系(カメラレンズ)
42 処置具チャンネル
S 胃
10 圧排部
20 導入部
30 ハンドル部
40 内視鏡
41 観察光学系(カメラレンズ)
42 処置具チャンネル
S 胃
Claims (6)
- 鈍い形状の遠位端を有する圧排部、該圧排部に延設される導入部、および該導入部の近位端に設けられたハンドル部を備えるリトラクターであって、
該圧排部および該導入部が、管腔臓器の体表開口部から該管腔内へ挿入される軟性内視鏡の処置具チャンネルに挿入可能な外径を有し、
該圧排部が、該処置具チャンネルから該管腔内部に突出されると所定の形状を発現し、そして平滑な表面を有し、
該導入部が、可撓性材料から構成され、そして
該ハンドル部が、該圧排部の形状を変化させるように操作可能である、
リトラクター。 - 前記圧排部が、形状記憶材料から構成されている、請求項1に記載のリトラクター。
- 前記形状記憶材料が、形状記憶合金である、請求項2に記載のリトラクター。
- 前記圧排部が、表面コーティングされている、請求項1から3のいずれかの項に記載のリトラクター。
- 前記圧排部が、15〜20cmの長さを有する、請求項1から4のいずれかの項に記載のリトラクター。
- 前記リトラクターが、腹腔鏡下手術およびNOTESからなる群より選択される手術において使用可能である、請求項1から5のいずれかの項に記載のリトラクター。
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