JP2012077876A - 免震構造 - Google Patents

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春美 米田
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Abstract

【課題】構造物を上下免震支持する免震構造に水平免震機能を持たせて、1つの免震構造により構造物を3次元免震する。
【解決手段】空気層20によって下部構造物14の上に上部構造物16が支持されている。空気層20を形成する周壁18の下端部は、下部構造物14の上を横方向へ移動可能となっている。よって、上部構造物16を上下免震支持する免震構造に水平免震機能を持たせて1つの免震構造10により上部構造物16を3次元免震することができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、構造物を3次元免震する免震構造に関する。
積層ゴム等の水平免震装置を介して基盤上に構造物を支持することにより、構造物を水平免震する技術が普及している。また、空気バネ等の上下免震装置を介して基盤上に構造物を支持することにより、構造物を上下免震する技術が提案されている。
一方、近年においては、より高い免震性が構造物に必要とされ、構造物を上下方向及び水平方向に対して免震する3次元免震構造のニーズも高まってきている。これに対して現状では、水平免震装置と上下免震装置とを上下方向へ直列配置して3次元免震構造を構成し、この3次元免震構造を介して基盤上に構造物を支持することが考えられている。
例えば、特許文献1には、下部構造物上に設置され剛性部材を支持する水平免震装置と、この剛性部材上に設置され上部構造物を支持する鉛直免震装置とによって構成された3次元免震構造が開示されている。
特開平6−294240号公報
本発明は係る事実を考慮し、構造物を上下免震支持する免震構造に水平免震機能を持たせて、1つの免震構造により構造物を3次元免震することを課題とする。
請求項1に記載の発明は、下部構造物の上に上部構造物を支持する免震構造において、前記上部構造物又は前記下部構造物に固定され前記下部構造物又は前記上部構造物に対して横方向へ移動可能な周壁と、前記周壁に取り囲まれて形成され前記上部構造物の下面を支持する密閉された空気層と、を有する免震構造である。
請求項1に記載の発明では、密閉された空気層によって下部構造物の上に上部構造物が支持されている。空気層は、周壁に取り囲まれて形成されており、周壁は、下部構造物又は上部構造物に対して横方向へ移動可能となっている。
よって、空気層によって上部構造物を上下免震することができる。また、上部構造物が横方向へ移動可能なので、上部構造物を水平免震することができる。すなわち、上部構造物を上下免震支持する免震構造に水平免震機能を持たせて、1つの免震構造により上部構造物を3次元免震(上下方向及び水平方向へ対して免震)することができる。
請求項2に記載の発明は、前記空気層と連通する補助空気室を有する免震構造である。
請求項2に記載の発明では、補助空気室によって空気層のバネ定数を小さくすることが可能になり、これにより、上部構造物に生じる上下振動の長周期化を図ることができる。
請求項3に記載の発明は、前記上部構造物に生じる上下方向の振動を低減する減衰手段を有する免震構造である。
請求項3に記載の発明では、減衰手段によって、上部構造物に生じる上下振動を低減することができる。
請求項4に記載の発明は、前記上部構造物の上下方向の振動に対して前記上部構造物の下面を平行移動させる平行リンク機構を有する免震構造である。
請求項4に記載の発明では、平行リンク機構によって、上部構造物に対して空気層が発揮する上下免震性能を阻害することなく、上部構造物のロッキング動を低減する又は防ぐことができる。
本発明は上記構成としたので、構造物を上下免震支持する免震構造に水平免震機能を持たせて、1つの免震構造により構造物を3次元免震することができる。
本発明の第1の実施形態に係る建物を示す立面図である。 本発明の第1の実施形態に係る弾性部材を示す説明図である。 本発明の第2の実施形態に係る建物を示す立面図である。 本発明の第2の実施形態に係るゴムシールを示す説明図である。 本発明の第3の実施形態に係る建物を示す立面図である。 本発明の第3の実施形態に係る平行リンク機構の変形例を示す説明図である。 本発明の第3の実施形態に係る平行リンク機構の変形例を示す説明図である。 本発明の実施形態に係る免震構造の変形例を示す説明図である。 本発明の実施形態に係る周壁の変形例を示す説明図である。
図面を参照しながら、本発明の免震構造を説明する。なお、本実施形態では、鉄筋コンクリート造の建物に本発明を適用した例を示すが、鉄骨造、鉄骨鉄筋コンクリート造、CFT造(Concrete-Filled Steel Tube:充填形鋼管コンクリート構造)、それらの混合構造など、さまざまな構造や規模の建物に対して適用することができる。
まず、本発明の第1の実施形態について説明する。
図1の立面図に示すように、第1の実施形態の建物11は、地盤12に埋設された下部構造物としての鉄筋コンクリート造の地下建物14、免震構造10、及び上部構造物としての鉄筋コンクリート造の上部建物16によって構成されている。
免震構造10は、地下建物14の上に上部建物16を支持している。免震構造10は、周壁としての弾性部材18、空気層20、補助空気室30及び減衰手段としてのオイルダンパー24を有している。
弾性部材18は、地下建物14の上に配置され、上端部が上部建物16の下面26に固定されている。弾性部材18は、円弧状の横断面形状を有する線状のゴム製部材である。
空気層20は、弾性部材18に側面を取り囲まれて形成され、地下建物14の上に上部建物16の下面26を支持している。弾性部材18は、平面視にて角部が丸みを帯びた略矩形の環状に配置されており、空気層20の上面(受圧面)は、上部建物16の下面26のほぼ全域によって覆われている。
空気層20及び補助空気室30には、上部建物16内の下部に設置されたエアーポンプ28から送られた空気Qが封入されている。エアーポンプ28は常時稼働しており、空気層20又は補助空気室30内に設置されたセンサー32により計測される圧力に基づいて、制御手段34によりエアーポンプ28からの送気量を制御し、空気層20内の圧力が所定の大きさになるように調整している。なお、空気層20と補助空気室30とは連通しているので、空気層20と補助空気室30との圧力は同じになる。
図2に示すように、地下建物14の上面には、上面に滑り材38が貼られたベースプレート36が敷設され、弾性部材18の下端部には、この下端部に沿って平面視にて枠状に配置された裾部材としての移動プレート40が固定されている。移動プレート40の下面には、滑り材42が貼られている。滑り材38、42は、例えば、ステンレス鋼板、フッ素系樹脂をコーティングした板材、又は四フッ化エチレン(PTFE)、ポリアミド、ポリエチレン等により形成した板材によって構成することができる。
滑り材42の滑り面(下面)は、滑り材38の滑り面(上面)に接触しており、滑り材38の滑り面に対して滑り材42の滑り面を滑らせることによって、弾性部材18の下端部は地下建物14の上を横方向へ移動することができる。また、滑り材38の滑り面に滑り材42の滑り面を接触させることにより、上部建物16が横方向に対して止まっている状態において、空気層20は略密閉されている。
補助空気室30は、地下建物14の内部に設けられた空間であり、地下建物14の天井部に形成された開口部44を介して空気層20と連通している。オイルダンパー24は、上部建物16の下面26と、地下建物14の床部22とを連結している。
次に、本発明の第1の実施形態の作用及び効果について説明する。
第1の実施形態の免震構造10では、空気層20が上部建物16を支持するので、上部建物16を上下免震することができる。また、地震時には、滑り材38の滑り面(上面)に対して滑り材42の滑り面(下面)が横方向へ滑り、地下建物14の上で弾性部材18の下端部が横方向へ移動する。これによって、地下建物14に対して上部建物16を横方向へ移動させることができ、地下建物14に対して上部建物16を水平免震することができる。すなわち、上部建物16を上下免震支持する免震構造に水平免震機能を持たせて1つの免震構造10により上部建物16を3次元免震(上下方向及び水平方向へ対して免震)することができる。
例えば、上下免震装置と水平免震装置とを上下方向へ直列配置して構成する3次元免震構造では、上下免震装置を配置する上下免震層と、水平免震装置を配置する水平免震層とをそれぞれ施工しなければならず、上下免震層のためのスペースと、水平免震層のためのスペースとをそれぞれ確保しなければならない。すなわち、2層分の大きなスペースを確保しなければならない。また、上下免震装置と水平免震装置との2種類の免震装置を用いるので、免震装置の維持管理が煩雑になることが懸念される。
これに対して、第1の実施形態の免震構造10は、上部建物16を上下免震支持する免震構造に水平免震機能を持たせた構成なので、1つの免震層を構築するだけでよい。これによって、免震層の施工手間を軽減することができ、必要とする免震層のスペースを極力小さくすることができる。
また、空気層20へ空気Qを送り込む装置(エアーポンプ28)のみを用いればよいので、複数の種類の装置の維持管理を行う必要はなく、免震装置の維持管理の煩雑さを低減することができる。なお、地下建物14に対して上部建物16が横方向へ移動する際に、滑り材38の滑り面(上面)と滑り材42の滑り面(下面)との間から空気層20の外部へ漏れる分の空気は、エアーポンプ28によって補充される。これによって、地下建物14に対する上部建物16の横方向への移動中においても空気層20は上下免震性能を発揮することができる。
また、弾性部材18は、空気層20の上下方向の変形に追随して弾性変形するので、空気層20による上下免震性能を阻害しない。
また、空気層20は、上部建物16の下面26の略全面を支持しているので、弾性部材18に作用する鉛直力は小さく、これにより、滑り材38の滑り面(上面)と滑り材42の滑り面(下面)との摩擦抵抗も小さい。よって、滑り材42の滑り面を、滑り材38の滑り面に対して横方向へ容易に滑らせることができる。
また、空気層20の受圧面積は、上部建物16の下面26の全面と略等しく、一般的な空気バネの受圧面積よりも大きいので、一般的な空気バネよりも空気層20の圧力を小さくすることができる。
また、地下建物14に設けられた補助空気室30により、上部建物16の荷重を受ける空気の体積(=空気層20の体積+補助空気室30の容積)を空気層20の体積よりも大きくすることができるので、空気層20のバネ定数を、補助空気室30が連通していない場合の空気層20のバネ定数よりも小さくすることが可能になり、上部建物16に生じる上下振動の長周期化を効果的に図ることができる。
また、上部建物16に発生する上下方向の振動は、減衰手段としてのオイルダンパー24によって低減することができる。
また、移動プレート40によって、弾性部材18が外側へ(空気層20の内部から外部へ向かう方向へ)広がったり、捲れたりすることを防ぐことができる。
次に、本発明の第2の実施形態とその作用及び効果について説明する。
第2の実施形態の説明において、第1の実施形態と同じ構成のものは、同符号を付すると共に、適宜省略して説明する。
図3の立面図に示すように、第2の実施形態の免震構造46では、地盤12に埋設された下部構造物としての鉄筋コンクリート造の基盤48の上に、上部構造物としての上部建物16を支持している。
上部建物16の下層部50には、補助空気室54が設けられている。補助空気室54は、上部建物16の下層部50の外周に配置された鉄筋コンクリート造の構造壁56に側面を取り囲まれて形成された空間であり、補助空気室54の下面に形成された開口部58を介して、空気層20と連通している。弾性部材18は、上端部が構造壁56の下端部に固定されており、空気層20は、弾性部材18に側面を取り囲まれて形成されている。
空気層20は、補助空気室54を介して、基盤48の上に、上部建物16の上層部52の下面60を支持しており、補助空気室54の上面は、上層部52の下面60のほぼ全域によって覆われている。補助空気室54及び空気層20には、エアーポンプ28から送られた空気Qが封入されている。上部建物16が横方向に対して止まっている状態において、空気層20は略密閉されている。オイルダンパー24は、上層部52の下面60と、基盤48とを連結している。
図4の拡大図に示すように、上層部52の下端部外壁面62と、構造壁56の上端部内壁面64との間に形成される隙間66は、ゴムシール68によって塞がれている。ゴムシール68は、アラミド繊維が混入されたゴムシートによって形成されており、湾曲部が上方に凸となるように湾曲した状態で端部が上層部52の下端部外壁面62と、構造壁56の上端部内壁面64とに固定されている。なお、ゴムシール68は、アラミド繊維によって表面が補強されたゴムシートとしてもよい。
ゴムシール68は、鋼板70、72、及びボルト74によって、上層部52の下端部外壁面62と、構造壁56の上端部内壁面64とに固定されている。鋼板70は、この鋼板70に設けられたスタッド76を、上層部52の下端部と、構造壁56の上端部とに埋設することによって、上層部52の下端部と、構造壁56の上端部とに固定されている。そして、鋼板70と鋼板72とによってゴムシール68の端部を挟み込んだ状態で、ボルト74を、押さえ付け金具78、鋼板72、ガスケット82、ゴムシール68、ガスケット80、鋼板70の順に貫通させ、鋼板70に設けられたスタッド84の内壁に形成された雌ネジに捩じ込んで締め付けることにより、ゴムシール68の端部を上層部52の下端部外壁面62と、構造壁56の上端部内壁面64とに固定している。なお、ガスケット80、82は、機密性を確保するために設けられている。
ゴムシール68は、基盤48に対する上部建物16(上層部52)の上下方向及び水平方向の移動に対し変形してこの移動を許容すると共に、隙間66から空気が漏れるのを防ぐことができる。すなわち、空気層20によって上部建物16を水平免震する効果が期待できる。
よって、第2の実施形態の免震構造46では、上部建物16の下層部50に設けられた補助空気室54により、空気層20のバネ定数を小さくすることが可能になり、上部建物16に生じる上下振動の長周期化を効果的に図ることができる。
以上、本発明の第2の実施形態について説明した。
なお、第2の実施形態では、構造壁56の下端部に弾性部材18を設け、上端部にゴムシール68を設けた例を示したが、弾性部材18及びゴムシール68の少なくとも一方が設けられていればよい。弾性部材18を設けない場合には、構造壁56の下端面に移動プレート40を設ければよい。また、ゴムシール68を設けない場合には、上層部52の下端部外壁面62に、直接、構造壁56の上端部を接合すればよい。
次に、本発明の第3の実施形態とその作用及び効果について説明する。
第3の実施形態の説明において、第1の実施形態と同じ構成のものは、同符号を付すると共に、適宜省略して説明する。
図5の立面図に示すように、第3の実施形態の免震構造86では、地下建物14の床部22の上面92と、上部建物16の下面26との間に平行リンク機構88が設けられている。また、オイルダンパー24は、空気層20の外部に斜めに配置され、地盤12の上面と、上部建物16の下部外壁面とを連結している。
平行リンク機構88は、5つのリンク部材90A〜90Eによって構成されている。リンク部材90Aは、上部建物16の下面26、及び地下建物14の床部22の上面92と略平行になるように略水平に配置されている。
リンク部材90Bとリンク部材90C、及びリンク部材90Eとリンク部材90Dとは、略平行になるように斜めに配置されている。
リンク部材90B、90Cの上端部は、上部建物16の下面26に回転可能にピン固定され、リンク部材90B、90Cの下端部は、リンク部材90Aの左右端部にそれぞれピン連結されている。
リンク部材90E、90Dの下端部は、地下建物14の床部22の上面92に回転可能にピン固定され、リンク部材90E、90Dの上端部は、リンク部材90Aの左右端部にそれぞれピン連結されている。
空気層20により上部建物16を地下建物14の上に上下免震支持して長周期化を図る場合、上部建物16にロッキング動が生じることが考えられる。これに対して、第3の実施形態の免震構造86では、上部建物16の上下方向の振動に対して上部建物16の下面26を平行移動させる平行リンク機構88が、上部建物16の上下移動を許容すると共に、上部建物16の下面26が斜めに傾こうとすることに抵抗するので、上部建物16に対して空気層20が発揮する上下免震性能を阻害することなく上部建物16に生じるロッキング動を低減する又は防ぐことができる。
以上、本発明の第3の実施形態について説明した。
なお、図6(a)〜(c)、及び図7(a)〜(c)に示すように、第3の実施形態で示した平行リンク機構88にバネ94を設けることにより、平行リンク機構88に鉛直支持力を持たせて、空気層20と協働して平行リンク機構88により上部建物16を上下免震支持するようにしてもよい。
図6(a)では、リンク部材90Fの上端部がリンク部材90Cの上端部に、リンク部材90Gの下端部がリンク部材90Dの下端部に、リンク部材90Fの下端部がリンク部材90Gの上端部にそれぞれピン連結されている。また、バネ94の左端部がリンク部材90Aの右端部に、バネ94の右端部がリンク部材90Fの下端部にそれぞれピン連結されている。
図6(b)では、バネ94の下端部が、床部22の上面92に立設された反力部材96の上端部に、バネ94の上端部がリンク部材90Cの上端部にそれぞれピン連結されている。
図6(c)では、リンク部材90Hの上端部がリンク部材90Aの左端部にピン連結されている。また、バネ94の左端部が、リンク部材90Hの下端部に、バネ94の右端部がリンク部材90Eの下端部にそれぞれピン連結されている。また、リンク部材90Hの下端部は、床部22の上面92に転動可能に転がり連結されている。
図7(a)〜(c)は、図6(a)〜(c)のリンク部材90B、90Cの上端部を、上部建物16の下面26に転動可能に転がり連結させたものである。リンク部材90Bの上端部は、略水平に配置されたリンク部材124の左端部にピン連結され、リンク部材90Cの上端部は、リンク部材124の右端部にピン連結されている。
図6(a)〜(c)、及び図7(a)〜(c)に示すように、平行リンク機構88にバネ94を設けることにより、平行リンク機構88は、上下方向に対して非線形バネのように挙動する。非線形バネは、小さい変位に対する剛性が高く、大きい変位に対する剛性が小さい非線形性を有する。よって、平行リンク機構88を上下方向へ縮めて(床部22の上面92に対して上部建物16の下面26を下方へ沈み込ませて)剛性を小さくした状態で、空気層20により上部建物16を支持するようにすれば、上部建物16を上下方向に対して柔らかく支持できるので、空気層20による上下免震性能を阻害しない。
また、非線形バネは、初期剛性が高いので(大きな鉛直荷重が、小さな変位で得られるので)、同じ鉛直荷重に対して線形バネよりも変位が小さくなる。すなわち、線形バネによって上部建物16を支持する場合に比べて、上部建物16の沈み込み量を小さくすることができる。
また、図6(a)〜(c)では、上下方向と水平方向とに対して、バネ94による復元力を付与することができ、図7(a)〜(c)では、上下方向に対して、バネ94による復元力を付与することができる。
以上、本発明の第1〜第3の実施形態について説明した。
なお、第1の実施形態では、空気層20の受圧面積(上面)を、上部建物16の下面26の全域と略等しくした例を示したが、図8(a)の立面図に示す免震構造98のように、空気層20の受圧面積(上面)を、上部建物16の下面26の全域よりも小さくしてもよい。このようにすれば、空気層20の高さを低くすることができる。
また、第1〜第3の実施形態では、1つの空気層20によって上部建物16を支持する例を示したが、図8(b)、(c)の立面図に示す免震構造100、102のように、複数の空気層20によって上部建物16を支持するようにしてもよい。これによって、空気層20を形成する弾性部材18の標準化を図ることができる。各空気層20は、図8(b)に示すように、1つの補助空気室30と連通するようにしてもよいし、図8(c)に示すように、異なる補助空気室30とそれぞれ連通するようにしてもよい。
また、第1〜第3の実施形態では、空気層20を形成する周壁を弾性部材18とした例を示したが、周壁は、側面を取り囲むことにより密閉された空気層20を形成し、且つ上部建物16の上下移動を許容するものであれば、どのような形状や構造のものでもよいし、どのような材料によって形成してもよい。例えば、図9(a)〜(c)の断面図に示す周壁112、114、116のように、ゴムチューブ104、106や鋼板108によって周壁を構成してもよい。また、ゴムシートや蛇腹状に加工した鋼板等により周壁を構成してもよい。図2で示した弾性部材18のように、半円断面のゴム部材を周壁とする場合には、空気層20の圧力に抵抗可能な耐力(強度)を有するように、周壁の厚みや材料等を選定する。
図9(a)では、周壁112を構成するゴムチューブ104は中空なので、周壁の軽量化を図ることができる。なお、ゴムチューブ104の中空部に減衰材を充填して、上部建物16に生じる上下方向の振動を低減するようにしてもよい。
図9(b)では、上下方向に交互に積層されたゴムチューブ106と鉄筋コンクリート製の安定部材110とによって周壁114が構成されている。安定部材110は、平面視にてゴムチューブ106に沿って配置された板状の枠部材であり、ゴムチューブ106のはらみを低減することができる。このような構成により、周壁114では、ゴムチューブ106を積層することによって、さまざまな高さの空気室20を形成することができる。すなわち、ゴムチューブ106の標準化が図れる。
図9(c)では、上端部が上部建物16の下面26にピン固定され、下部が内側(空気層20側)に曲げられた鋼板108によって周壁116が構成されている。地下建物14に対して上部建物16の下面26が上下動した場合、鋼板108は、上端部を回転軸にして回転するとともに、下端部がベースプレート36に設けられた滑り材38の滑り面(上面)上を滑るので、空気層20による上下免震性能を阻害しない。なお、上部建物16の下面26と、鋼板108の上端部との間に形成される隙間は、弾性を有するシール部材118によって塞ぐのが好ましい。
また、第1〜第3の実施形態では、エアーポンプ28から空気層20又は補助空気室54へ空気Qを直接送り込む例を示したが、図9(d)の断面図に示す周壁120のように、ゴムチューブ122内に空気Qを送り込み、ゴムチューブ122内から空気層20へ空気Qを送り込むようにしてもよい。このようにすれば、空気を最初にゴムチューブ122内へ入れることによってゴムチューブ122内の圧力を確実に高くすることができるので、地下建物14に対して上部建物16が横方向へ移動する際に、滑り材38の滑り面(上面)と滑り材42の滑り面(下面)との間から空気層20の外部へ空気が漏れ難くなる。
また、第1〜第3の実施形態では、弾性部材18の下端部に移動プレート40を固定した例を示したが、ベースプレート36に設けられた滑り材38の滑り面(上面)上を弾性部材18の下端面が滑ることによる、この下端面の摩擦抵抗や磨耗等の問題が無ければ、移動プレート40や滑り材42を設けなくてもよい。
また、第1及び第3の実施形態では、上部構造物としての上部建物16の下面26に固定され、下部構造物としての地下建物14の上を下端部が横方向へ移動可能な弾性部材18を周壁とした例を示したが、周壁は、上部構造物又は下部構造物に固定され、下部構造物又は上部構造物に対して横方向へ移動可能であればよい。例えば、地下建物14の上面に弾性部材18の下端部を固定し、弾性部材18の上端部の上を上部建物16の下面26が滑るようにしてもよい。
また、第2の実施形態では、構造壁56の下端部に固定され、下端部が基盤48の上を横方向へ移動可能な弾性部材18の例を示したが、例えば、基盤48の上面に弾性部材18の下端部を固定し、弾性部材18の上端部の上を構造壁56の下端部が滑るようにしてもよい。
また、第1〜第3の実施形態では、減衰手段をオイルダンパー24とした例を示したが、上部建物16に生じる上下振動を低減できれば、どのような機構のものを用いてもよいし、どのように配置してもよい。例えば、減衰手段として、オイルダンパーの他に、鉛ダンパーや摩擦ダンパー等のダンパーを用いてもよい。
また、第1〜第3の実施形態において、地震によって横方向へ移動した上部建物16は、油圧ジャッキ等によって元の位置に戻せばよい。また、上部建物16を元の位置に戻す復元力を上部建物16へ付与するバネ等の復元手段を設けてもよい。所定値以上、上部建物16が横方向へ移動してしまわないように、上部建物16の横方向への移動を拘束するストッパー部材を設けておくのが好ましい。
また、第1の実施形態で示した開口部44は、上部建物16が横方向へ移動したときに、開口部44から空気が漏れてしまわないように、上部建物16の横方向への最大移動量を考慮した位置及び大きさに形成する。開口部44を通気性のある部材(例えば、金網やパンチングメタル)で覆うようにしてもよい。
また、第1〜第3の実施形態では、基礎免震層に免震構造10、46、86を設けた例を示したが、建物の中間免震層に、これらの免震構造10、46、86を設けてもよい。
以上、本発明の第1〜第3の実施形態について説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものでなく、第1〜第3の実施形態を組み合わせて用いてもよいし、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
<実施例>
本実施例では、空気バネによって上下免震された建物の振動数の計算式を示し、第1〜第3の実施形態の免震構造10、46、86が実施可能であることを説明する。
大気圧をP、空気バネの受圧面積をA、建物の重量をW、ポリトロープ指数をγ、重力加速度をg、空気バネの空気室の体積をVとすると、建物に生じる上下振動の振動数fは、式(1)によって求められる。
Figure 2012077876
よって、P=1気圧、A=300m、W=2,500ton、γ=1.4(動的の場合の値)、g=980cm/cmとし、建物に生じる上下振動の周期T(=1/f)を2秒とすると、空気バネの空気室の体積Vは930mとなり、空気バネの空気室の高さは3.1mとなるので、十分に実施可能なことがわかる。
また、このときの空気圧は、0.08MPaと非常に小さいことがわかる。これにより、小さな容量のエアーポンプを用いることができるので、免震構造の運用やメンテナンスが容易になり、また運用やメンテナンスにおける高い安全性を確保できる。
10、46、86、98、100、102 免震構造
14 地下建物(下部構造物)
16 上部建物(上部構造物)
18 弾性部材(周壁)
20 空気層
24 オイルダンパー(減衰手段)
30、54 補助空気室
48 基盤(下部構造物)
112、114、116、120 周壁

Claims (4)

  1. 下部構造物の上に上部構造物を支持する免震構造において、
    前記上部構造物又は前記下部構造物に固定され前記下部構造物又は前記上部構造物に対して横方向へ移動可能な周壁と、
    前記周壁に取り囲まれて形成され前記上部構造物の下面を支持する密閉された空気層と、を有する免震構造。
  2. 前記空気層と連通する補助空気室を有する請求項1に記載の免震構造。
  3. 前記上部構造物に生じる上下方向の振動を低減する減衰手段を有する請求項1又は2に記載の免震構造。
  4. 前記上部構造物の上下方向の振動に対して前記上部構造物の下面を平行移動させる平行リンク機構を有する請求項1〜3の何れか1項に記載の免震構造。
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