JP2012077785A - 多連式給水電磁弁 - Google Patents

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Abstract

【課題】部品コストを抑え、かつ、性能を確保する要求を満足することができる多連式給水電磁弁を提供する。
【解決手段】第一電磁弁2Cは、オリフィスを設けた硬質部材のダイヤフラムイタ、軟質部材のダイヤフラムおよび水撃圧低減部品を有するダイヤフラムクミ6と、所定の第一流量の流体を吐き出す流量調整機構部品7と、を備えるパイロット作動式の電磁弁であり、第二電磁弁2Dは、オリフィスを設けた硬質部材のダイヤフラムイタ81、軟質部材のダイヤフラム82およびメッシュを有するダイヤフラムクミ8と、流出口4Dと連通する流出管に、第一流量よりも少ない所定の第二流量の流体を吐き出す微少流量調整機構部品9と、を備え、ダイヤフラムイタ81は、流路壁面と当接してダイヤフラムクミ8を固定する突き当て部を有する直動式の電磁弁である。
【選択図】図4

Description

本発明は、パイロット作動式電磁弁および直動式電磁弁を備える多連式給水電磁弁に関する。
例えば、全自動洗濯機、全自動洗濯乾燥機等の一般民生用機器の性能が向上する中、一つの流入口に対して、流出する水の流量が異なる複数の流出口を備える多連式給水電磁弁のニーズが高まりつつある。こうした中で、多連式給水電磁弁の部品コストを抑え、かつ、流入口の水圧の高低に左右されず流出口から流出する水の流量を一定に確保することを要求されることが多くなっている。特に、微少流量用の給水電磁弁において、異物が混入したことによる流量特性の低下を防止することが必要になっている。
これらを解決するための手段として、特許文献1および特許文献2には、従来の交流電源にて駆動するパイロット作動式電磁弁の弁本体、ガイドケース、パイロット弁、プランジャ、ソレノイド等をそのまま流用しつつ、弾性部材の軟質ダイヤフラムと合成樹脂成形部材の硬質ディスクとからなるダイヤフラム弁を改変して、微少流量の給水を可能とした交流電磁式給水弁(直動式電磁弁)が開示されている。
また、水道水が流入する流入口に、異物を除去しながら流路を確保することに適した湾曲形状のメッシュフィルタを設けることが記載されている。加えて、微少流量を給水する直動式の電磁給水弁において、複数の貫通孔を有する弾性部材の軟質ダイヤフラムと、複数の貫通孔を有する合成樹脂成形部材の硬質ディスクと、両者の間に挟着される網目が細かい金属性平網と、からなるダイヤフラム弁が設置されることが開示されている(特許文献2の段落0022参照)。
特開2002−250464号公報 特開2002−331195号公報
しかしながら、特許文献1あるいは特許文献2に記載されている多連式給水電磁弁における直動方式の給水電磁弁では、所定の通水量以上に給水されないように、ダイヤフラム以外の軟体部品(Oリング等)を使用して水封性能を確保している(特許文献2の段落0025参照)。このため、組み込み部品点数およびコスト面に関して課題がある。
また、異物による流量特性の低下を防止するために金属性平網を設けているが、この金属性平網は硬質ディスクと軟質ダイヤフラムとの間に挟着されているので、流入口からの水圧が高くなった場合、硬質ディスクと金属性平網との間で水漏れすることがあった。この水漏れによる流出口からの水の流出を防ぐためにも、前述したダイヤフラム以外の軟体部品(Oリング等)を必要としていた。
また、特許文献2に記載されている多連式電磁給水弁は、パイロット作動式の電磁給水弁ユニットの流出口に少流量〜微少流量用の流量調節部品が設けられている。流量調節部品には、水圧または流量により撓む弾性部材の環状ディスクが用いられているが(特許文献2の段落0032参照)、環状ディスクの組み込み状態によっては撓み状態が変化してしまい、流量特性が安定しないという課題があった。
そこで、部品コストを抑え、かつ、性能を確保する要求を満足することができる多連式給水電磁弁を提供することを課題とする。
このような課題を解決するために、本発明の請求項1に係る多連式給水電磁弁は、オリフィスを開閉することにより弁の開閉を行う電磁弁を複数備える多連式給水電磁弁であって、前記電磁弁のうちの第一電磁弁は、オリフィスを設けた硬質部材の第一ダイヤフラムイタ、該第一ダイヤフラムイタに組み込む軟質部材の第一ダイヤフラムおよび水撃圧を低減する水撃圧低減部品を有する第一ダイヤフラムクミと、第一流出口と連通する流出管に、所定の第一流量の流体を吐き出す流量調整機構部品と、を備えるパイロット作動式の電磁弁であり、前記電磁弁のうちの第二電磁弁は、オリフィスを設けた硬質部材の第二ダイヤフラムイタ、該第二ダイヤフラムイタに組み込む軟質部材の第二ダイヤフラムおよび前記第二ダイヤフラムイタと前記第二ダイヤフラムを貫通する孔に設けられたメッシュを有する第二ダイヤフラムクミと、第二流出口と連通する流出管に、前記第一流量よりも少ない所定の第二流量の流体を吐き出す微少流量調整機構部品と、を備え、前記第二ダイヤフラムイタは、流路壁面と当接して前記第二ダイヤフラムクミを固定する突き当て部を有する直動式の電磁弁であることを特徴とする。
本発明によれば、部品コストを抑え、かつ、性能を確保する要求を満足することができる多連式給水電磁弁を安定供給することができる。
本実施形態に係る多連式給水電磁弁の外観斜視図である。 本実施形態に係る多連式給水電磁弁の流入口の断面図である。 本実施形態に係る多連式給水電磁弁のパイロット作動式電磁弁の断面図である。 本実施形態に係る多連式給水電磁弁の流量調整機構部品を備えたパイロット作動式電磁弁と、微少流量調整機構部品を備えた直動式電磁弁の断面図である。 (a)はフローコントローラの側面図であり、(b)はフローコントローラの斜視図である。 フローコントローラにフローワッシャを組み込んだ状態における図5(a)に示すA−A線矢視断面図である。 パイロット作動式電磁弁の流量調整機構部品の水圧印加時における変形状態を示す断面図である。 本実施形態に係る多連式給水電磁弁の微少流量調整機構部品を備えた直動式電磁弁の拡大断面図である。 直動式用ダイヤフラムイタの背面側斜視図である。 直動式用ダイヤフラムクミの分解斜視図である。 直動式用ダイヤフラムイタの断面図である。 比較例に係る流量調整機構部品の水圧印加時における変形状態を示す断面図である。 比較例に係る流量調整機構部品の水圧印加時における変形状態を示す断面図である。 比較例に係る多連式給水電磁弁の微少流量調整機構部品を備えた直動式電磁弁の拡大断面図である。
以下、本発明を実施するための形態(以下「実施形態」という)について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図において、共通する部分には同一の符号を付し重複した説明を省略する。
≪多連式給水電磁弁1≫
図1は、本実施形態に係る多連式給水電磁弁の外観斜視図である。
図1に示すように、多連式給水電磁弁1は、給水電磁弁ユニット2A,2B,2C,2Dを備える4連式給水電磁弁である。多連式給水電磁弁1は、ベースとなる鉄板プレート10と、鉄板プレート10の正面側に取り付けられるボディ11と、鉄板プレート10の背面側に取り付けられる4つのプランジャユニット5と、を備えている。
ボディ11は、水道水が流入する流入口3と、給水電磁弁ユニット2A,2B,2C,2D(図3,図4参照)と対応し水道水が流出する流出口4A,4B,4C,4Dとを有し、流入口3から各流出口4A,4B,4C,4Dに連通する流路が形成されている合成樹脂成形部材である。
なお、以下の説明において、多連式給水電磁弁1は、全自動洗濯乾燥機(図示せず)に用いられるものとする。ただし、本実施形態に係る多連式給水電磁弁1の用途はこれに限られるものではなく、また、流入口および流出口の数はこれに限られるものではない。
流入口3は、給水ホース(図示せず)を介して、水道栓(図示せず)と接続され、流入口3から多連式給水電磁弁1に水道水が供給される。図2に示すように、流入口3には、流入口フィルタ31と、流入口流量調整機構部品32とが設けられている。
流入口フィルタ31は、湾曲したメッシュ状のフィルタであり、水道水中の異物を除去しつつ水道水の流路を確保する。これにより、多連式給水電磁弁1の内部に異物が侵入することによる多連式給水電磁弁1の動作不良や流量特性が低下することを防止する。
流入口流量調整機構部品32は、多連式給水電磁弁1に流入する水道水の流量を調整するための部品であり、水道栓から給水される水圧や流量が異なる場合でも、流入口流量調整機構部品32により流量が調整される。流量が調整された水道水は、流入路(図示せず)を介して各給水電磁弁ユニット2A,2B,2C,2Dの流入室12(図3,図4参照)に流入する。
図1に戻り、流出口4A,4B,4C,4Dについて説明する。
流出口4Aは、全自動洗濯乾燥機の外槽(図示せず)と接続ホース(図示せず)を介して接続されている。給水電磁弁ユニット2Aを開弁することにより、流出口4Aから大流量程度の水道水が外槽に給水される。ちなみに、給水電磁弁ユニット2Aは、全自動洗濯乾燥機の洗い運転時や溜めすすぎ運転時に、外槽内に給水する際に用いられるものである。なお、詳細は後述するが、給水電磁弁ユニット2Aは、パイロット作動式電磁弁である(図3参照)。
流出口4Bは、全自動洗濯乾燥機の外槽カバー(図示せず)と接続ホース(図示せず)を介して接続されている。給水電磁弁ユニット2Bを開弁することにより、流出口4Bから大流量程度の水道水が外槽カバーの噴出口からドラム(図示せず)内に給水される。ちなみに、給水電磁弁ユニット2Bは、全自動洗濯乾燥機のすすぎ運転時にドラム内の衣類に水道水を直接吹きつけるように給水する際に用いられる。なお、詳細は後述するが、給水電磁弁ユニット2Bは、パイロット作動式電磁弁である(図3参照)。
流出口4Cは、全自動洗濯乾燥機の洗剤ケース(図示せず)と接続ホース(図示せず)を介して接続されている。給水電磁弁ユニット2Cを開弁することにより、流出口4Cから少流量程度の水道水が洗剤ケースに給水される。なお、詳細は後述するが、給水電磁弁ユニット2Cは、流量調整機構部品7を備えたパイロット作動式電磁弁である(図4参照)。
流出口4Dは、全自動洗濯乾燥機の水冷除湿機構(図示せず)と接続ホース(図示せず)を介して接続されている。給水電磁弁ユニット2Dを開弁することにより、流出口4Dから微少流量程度の水道水が水冷除湿機構に給水される。なお、詳細は後述するが、給水電磁弁ユニット2Dは、直動式用ダイヤフラムクミ8と微少流量調整機構部品9とを備えた直動式電磁弁である(図4,図8参照)。
≪給水電磁弁ユニット2A,2B≫
次に、図3を用いて、多連式給水電磁弁1の備える給水電磁弁ユニット2A,2Bについて説明する。図3は、本実施形態に係る多連式給水電磁弁のパイロット作動式電磁弁の断面図である。なお、給水電磁弁ユニット2A,2Bは同じ構成を有しているため、給水電磁弁ユニット2Aについて説明し、給水電磁弁ユニット2Bの説明は省略する。
給水電磁弁ユニット2Aは、流入口3および流出口4Aが形成されたボディ11と、プランジャユニット5と、ダイヤフラムクミ(ダイヤフラム弁)6と、を備えている。また、給水電磁弁ユニット2Aは、流入室12、背圧室13、流出管14、リップ15および部品取付部16が形成されている。
流入室12は、ボディ11とダイヤフラムクミ6との間に形成された室であり、流入口流量調整機構部品32(図2参照)により流量が調整された水道水が流入する。
背圧室13は、ダイヤフラムクミ6と後述するパイプ54との間に形成された室である。
流出管14は、上流側にリップ15が形成され、下流側は流出口4Aと接続している。また、流出管14には、流量を制限する流量調整機構部品7(図4参照)や微少流量調整機構部品9(図4参照)を取り付け可能な部品取付部16が形成されている。なお、給水電磁弁ユニット2A(2B)は、流出口4A(4B)から大流量程度の水道水を流出するものであり、部品取付部16には何も取り付けられていない。
<プランジャユニット5>
まず、プランジャユニット5について説明する。
図3に示すように、プランジャユニット5は、プランジャ51と、プランジャシート(パイロット弁)52と、コイルバネ53と、パイプ54と、プランジャ51を吸引するソレノイド55と、ソレノイド55を鉄板プレート10に固定するヨーク56と、を備えている。
プランジャ51は、磁性部材であり、切削加工が容易で耐食性に優れたステンレス材が望ましい。プランジャシート52は、プランジャ51の一端に設けられた軟質部材であり、ダイヤフラムクミ6のオリフィス61bと当接することにより、オリフィス61bを水封する。コイルバネ53は、プランジャ51を正面方向に付勢する。コイルバネ53の材質としては、例えば、耐食性に優れたステンレス鋼線が用いられる。
パイプ54は、有底の筒部54aと、フランジ部54bと、水封部54cとからなる合成樹脂成形部材である。有底の筒部54a内には、プランジャ51とコイルバネ53が組み込まれている。また、筒部54aの外周には、ソレノイド55が設けられている。水封部54cは、軟質部材であるダイヤフラム62の外周部をボディ11に押止めして水封する。
ソレノイド55へ電源を印加することにより、磁気作用が発生し、プランジャ51が背面方向に吸引される。これにより、プランジャシート52がダイヤフラムクミ6のオリフィス61bから離れてオリフィス61bの水封が解除される。
一方、ソレノイド55への電源を遮断することにより、磁気作用によるプランジャ51の吸引が解除され、プランジャ51の背面側と筒部54aの底部との間に設けられたコイルバネ53の付勢力により、プランジャシート52がオリフィス61bに当接し、オリフィス61bの水封を行う。
<ダイヤフラムクミ6>
次に、ダイヤフラムクミ6について説明する。
図3に示すように、ダイヤフラムクミ6は、合成樹脂成形部材のダイヤフラムイタ61と、軟質部材のダイヤフラム62とで構成されている。
ダイヤフラムイタ61は、サイドオリフィス61aが形成され、流入室12と背圧室13とは、サイドオリフィス61aを介して通水可能となっている。
また、ダイヤフラムイタ61は、背圧室13側にオリフィス61bと、流出管14側に円筒部61cとが形成され、背圧室13と流出管14とは、オリフィス61bおよび円筒部61cを介して通水可能となっている。なお、円筒部61cの外径は流出管14の内径よりも小さく、円筒部61cの外周には整流羽根61dが複数枚形成され、円筒部61cおよび整流羽根61dが流出管14に嵌挿されている。
なお、サイドオリフィス61aには、合成樹脂成形部材である水撃圧低減部品63が設けられており、流入室12から背圧室13に流入する水道水の流量を制限している。
ソレノイド55へ電源を印加しオリフィス61bの水封が解除されると、流入室12の水道水は、サイドオリフィス61aから背圧室13に流入し、オリフィス61b、円筒部61c、流出管14を通り、流出口4Aから流出する。
この流路が開通されると、流入室12の水道水の圧力でダイヤフラムクミ6がリップ15から離れて隙間が生じ、大部分の水道水は、流入室12から、ダイヤフラムクミ6とリップ15との間に生じた隙間、流出管14の内壁と円筒部61cの外壁の間を通り、流出管14、流出口4Aから流出する。
一方、ソレノイド55への電源を遮断しオリフィス61bが水封されると、サイドオリフィス61aから背圧室13に流入した水道水は、行き場をなくして背圧室13内の水圧が上昇し、ダイヤフラムクミ6をリップ15に押圧する。これにより、ダイヤフラムクミ6(軟質部材のダイヤフラム62)とリップ15との間が水封され、流出口4Aが止水される。なお、水撃圧低減部品63により、急激な閉弁動作を防止して、ウォータハンマー(水撃作用、水槌)を低減する。
≪給水電磁弁ユニット2C≫
次に、図4を用いて、多連式給水電磁弁1の備える給水電磁弁ユニット2Cについて説明する。図4は、本実施形態に係る多連式給水電磁弁の流量調整機構部品を備えたパイロット作動式電磁弁と、微少流量調整機構部品を備えた直動式電磁弁の断面図である。なお、図4には給水電磁弁ユニット2Dも図示されているが、詳細な説明は後述する。
給水電磁弁ユニット2Cと、給水電磁弁ユニット2A,2B(図3参照)とは、流出口4Cへ向かう流出管14の部品取付部16に流量調整機構部品7が取り付けられている点で異なる。その他の構成は、給水電磁弁ユニット2A,2Bと同様であり説明を省略する。
<流量調整機構部品7>
図4に示すように、流量調整機構部品7は、合成樹脂成形部材であるフローコントローラ71と、軟質部材であるフローワッシャ72とで構成されている。
流出口4Cから流出する水道水の流量範囲は、流出口4A,4Bよりも比較的狭く一定に規定されている。このため、流入口3に設けられた流入口流量調整機構部品32(図2参照)とは別に、流出口4Cへと向かう流出管14の部品取付部16に流量調整機構部品7が取り付けられており、給水栓の水圧に左右されず、安定した少流量程度の水道水が流出口4Cから流出するようになっている。
図5は、(a)はフローコントローラの側面図であり、(b)はフローコントローラの斜視図である。
フローコントローラ71には、フローワッシャ72の孔に挿入する中心軸体73と、外周側に複数の凸部体74とが形成されている。また、中心軸体73には、フローワッシャ72を組み込んだ際に、フローワッシャ72を係止するための係止部75が形成されている。ここで、係止部75は、液体の流れ方向の下流側から見て、凸部体74よりも高い位置に形成されている。
また、フローコントローラ71には、切欠76や、上流側から下流側に連通する流路77(図6参照)が形成され、流量調整機構部品7が調整する流量が規定される。
図6は、フローコントローラにフローワッシャを組み込んだ状態における図5(a)に示すA−A線矢視断面図である。
係止部75が凸部体74よりもわずかにながらも高い位置に形成されていることにより、フローワッシャ72をフローコントローラ71に組み込んだ状態において、フローワッシャ72の下流側平面と、凸部体74の上端面との間にクリアランス78が形成される。
なお、フローワッシャ72の組み込みは、フローワッシャ72が係止部75と当接するまで中心軸体73に挿入する。このように、フローワッシャ72の中心側を所定位置(係止部75と当接する位置)まで押し込むことにより、フローワッシャ72の外周側の位置も自ずと決まるため、流量調整機構部品7の組み込み作業が安定し、流量調整機構部品7におけるフローワッシャ72の取付状態の統一性を図ることができる。
図7は、パイロット作動式電磁弁の流量調整機構部品の水圧印加時における変形状態を示す断面図である。なお、図7および後述する図12,図13においては、断面の両側に凸部体74(74A,74B)が設けられているものとして説明する。
図7に示すように、係止部75が凸部体74よりも高い位置に形成されていることにより、水圧印加持には、フローワッシャ72の中心側は係止部75に固定されたまま、水圧によりフローワッシャ72の外周部が凸部体74と当接するように変形する。このように、フローワッシャ72が受ける水圧による変形量を最小限にして、変形した形状を一定とすることができ、流量調整機構部品7の流量特性が安定する。
ここで、本実施形態に係る多連式給水電磁弁1が備える流量調整機構部品7(図7参照)と、比較例に係る流量調整機構部品(図12,図13参照)とを比較しつつ、流量調整機構部品7の作用・効果について説明する。
図12に示す比較例に係る流量調整機構部品は、外周側の凸部体74Aを中心軸体73Aの支持部75Aよりも高く形成されており、フローワッシャ72の外周側はフローコントローラ71Aの凸部体74Aにより支えられている。このため、水圧印加持には、図12に示すように、水圧によりフローワッシャ72の中心部(凸部体74Aに接している部分)が変形することになるが、中心軸73Aとフローワッシャ72との摩擦によりフローワッシャ72の変形量が安定せず、流量特性が変動してしまう。
また、図13に示す比較例に係る流量調整機構部品は、特許文献1および特許文献2に記載された流量調整機構部品であり、中心軸体73Bに支持部が形成されていない。なお、図13の(a)はフローワッシャ72を正しい組み込み位置に組み込んだ場合の図であり、(b)(c)(d)は、フローワッシャ72を不適切な位置に組み込んだ場合の図である。
特許文献1および特許文献2に記載された流量調整機構部品は、フローワッシャ72の取り付け位置を容易に決めることができず、正しい組み込み位置以外の位置にフローワッシャ72を取り付けた場合(図13(b)(c)(d)参照)、水圧印加持の水圧によるフローワッシャ72の変形量が安定せず、流量調整機構部品の流量特性を一定に確保することができない。
また、多連式給水電磁弁1は、流出口4A,4Bから流出する水道水の流量が大きくなるように流入口流量調整機構部品32が設計されているため、流量調整機構部品7の上流側には高い水圧が印加されている場合が多い。このため、流量調整機構部品7の流量特性を一定に確保するためには、フローワッシャ72の変形量を一定とすることが重要となる。
このように、本実施形態に係る多連式給水電磁弁1が備える流量調整機構部品7は、係止部75が凸部体74よりも高い位置に形成されていることにより、図7に示すように、水圧印加持の水圧によるフローワッシャ72の変形量を少なくしながら、フローワッシャ72の中心側を中心軸体73に形成された係止部75で固定している。このため、フローワッシャ72の組み込み性の向上を図りつつ、流量調整機構部品7の流量特性を安定させることができる。
≪給水電磁弁ユニット2D、流出口4D≫
次に、図4に示した多連式給水電磁弁1の備える給水電磁弁ユニット2Dについて図8を用いて説明する。図8は、本実施形態に係る多連式給水電磁弁の微少流量調整機構部品を備えた直動式電磁弁の断面図である。
給水電磁弁ユニット2A,2B,2Cはダイヤフラムクミ6を備えたパイロット作動式電磁弁であるのに対し(図3参照)、図8に示すように、給水電磁弁ユニット2Dは直動式用ダイヤフラムクミ8を備えた直動式電磁弁である点で異なる。また、流出口4Dへ向かう流出管14の部品取付部16に微少流量調整機構部品9が取り付けられている点で異なる。その他の構成は、給水電磁弁ユニット2A,2B,2Cと同様であり説明を省略する。
直動式用ダイヤフラムクミ8を用いることにより、給水電磁弁ユニット2Dは直動式電磁弁となる。パイロット作動式電磁弁と比較して、流量が小さい直動式電磁弁を用い、更に、微少流量調整機構部品9を用いて流量を規制することにより、流出口4Dから微少流量の水道水を供給することができる。
給水電磁弁ユニット2Dは、ソレノイド55へ電源を印加しオリフィス81bの水封が解除されると、流入室12の水道水は、直動式用ダイヤフラム82の孔82a、メッシュ83、直動式用ダイヤフラムイタ81の孔81aを通り、背圧室13に流入し、直動式用ダイヤフラムイタ81のオリフィス81b、流出管14、微少流量調整機構部品9を通り、流出口4Dから流出する。
また、給水電磁弁ユニット2Dは、ソレノイド55への電源を遮断しオリフィス81bが水封されると、流出口4Dが止水される。
<直動式用ダイヤフラムクミ8>
図8に示す直動式用ダイヤフラムクミ8は、合成樹脂成形部材の直動式用ダイヤフラムイタ81と、軟質部材の直動式用ダイヤフラム82と、ステンレス性で耐食性の優れたメッシュ83とで構成されている。
図9は、直動式用ダイヤフラムイタの背面側斜視図である。
直動式用ダイヤフラムイタ81は、孔81aと、オリフィス81bと、ボス81cが形成されている。
孔81aは、直動式用ダイヤフラム82の孔82a(図8参照)と合わせて、流入室12(図8参照)から背圧室13(図8参照)へ通水可能としている。オリフィス81bは、背圧室13(図8参照)から流出管14(図8参照)へ通水可能としている。ボス81cは、フランジ部54b(図8参照)と当接して、直動式用ダイヤフラムクミ8を固定する。
孔82aと孔81aとの間には、微少流量調整機構部品9(図8参照)における水道水中の異物による詰まりなどが発生しやすくなることを防止するために、メッシュ83が設けられている。
図10は、直動式用ダイヤフラムクミの分解斜視図である。
図10に示すように、メッシュ83は直動式用ダイヤフラムイタ81にインサート成形されている。これにより、直動式用ダイヤフラムクミ8の組み込み性、即ち、直動式用ダイヤフラムイタ81と直動式用ダイヤフラム82との組み込み性を向上させることができる。
図11は、直動式用ダイヤフラムイタの断面図である。
ここで、メッシュ83を直動式用ダイヤフラムイタ81にインサート成形するときには、直動式用ダイヤフラムイタ81と直動式用ダイヤフラム82とが当接する部位81dが合成樹脂成形部分となるように形成している。これにより、水封する部分において、直動式用ダイヤフラム82が直動式用ダイヤフラムイタ81の合成樹脂成形部分である部位81dと接するので、確実に水封することができる。
ここで、図8に示す流入室12と流出管14との間の水封について説明する。
まず、リップ15に軟質部材の直動式用ダイヤフラム82を押し当てることにより、水漏れを防止する。
さらに、軟質部材の直動式用ダイヤフラム82と直動式用ダイヤフラムイタ81の合成樹脂成形部分である部位81dとが当接することにより水漏れを防止している。
リップ15に直動式用ダイヤフラム82を押し当て水封するのに必要な押し圧、および、直動式用ダイヤフラム82と部位81dとを当接して水封するのに必要な押し圧は、直動式用ダイヤフラムイタ81に形成されたボス81cをパイプ54のフランジ部54bと当接することで得ている。
このため、ボス81cは、図9に示すように、円柱状のボス81cを5本以上設けピッチを狭く確保しつつ、ボス81cと隣接するボス81cとの間に流路を確保し、等間隔に配置することが望ましい。これは、ボス81cは、水道水の流路中に設けられるため、円柱とすることが望ましく、また、等間隔に配置することが望ましい。また、等間隔にボス81cを配置して押し圧が均一となるようにすることが望ましい。
また、ボス81cの高さを調整することにより、押し圧を調整することができる。
ここで、本実施形態に係る多連式給水電磁弁1が備える給水電磁弁ユニット2D(図8参照)と、比較例に係る給水電磁弁ユニット(図14参照)とを比較しつつ、給水電磁弁ユニット2Dの作用・効果について説明する。
図14に示す直動式用ダイヤフラムクミ85は、直動式用ダイヤフラムイタ86と直動式用ダイヤフラム87と、メッシュ88と、軟体部材であるOリング89とで構成されている。このように、流入室12と流出管14との間の水漏れを防止するためには、軟体部材であるOリング89が使用されている。
また、リップ15を直動式用ダイヤフラム87と当接する構成としても(特許文献1、特許文献2参照)、直動式用ダイヤフラムイタ86と直動式用ダイヤフラム87との間に挟着されたメッシュ88から水漏れが発生するため、Oリング89を必要としている。
このように、本実施形態に係る多連式給水電磁弁1が備える直動式用ダイヤフラムクミ8は、直動式用ダイヤフラムイタ81と直動式用ダイヤフラム82とが当接する部位81dが合成樹脂成形部分となるようにメッシュ83を直動式用ダイヤフラムイタ81にインサート成形し、直動式用ダイヤフラム82をリップ15に押し当てて水封する。このため、水封のためのOリングを必要としない。これにより、直動式用ダイヤフラムクミ8の組み込み性の向上を図りつつ、部品点数の低減により安価とすることができる。
<微少流量調整機構部品9>
次に、給水電磁弁ユニット2Dが備える微少流量調整機構部品9について説明する。
微少流量調整機構部品9は、フローコントローラ91とフローワッシャ92とを備え、流量調整機構部品7と同様の構成を有する。ただし、調整される流量が微少流量となるように、凸部体および係止部の高さが低く設定し、切り欠きの形状が異なる。
なお、微少流量調整機構部品9は、流量調整機構部品7と同様に中心軸体に凸部体よりも高い係止部を設けてもよいが、直動式ダイヤフラムクミ8により流量や水圧が制限されているため、特許文献1および特許文献2に記載された流量調整機構部品と同様に係止部を設けなくてもよい。
このように、多連式給水電磁弁1は、流量調整機構(流量調整機構部品7、微少流量調整機構部品9)や、ダイヤフラムクミ(パイロット作動方式ダイヤフラムクミ6、直動式ダイヤフラムクミ8)を組み替えることにより、流出口4A,4B,4C,4Dから流出する水の流量を調整することができる。
1 多連式給水電磁弁
2C 給水電磁弁ユニット(第一電磁弁)
2D 給水電磁弁ユニット(第二電磁弁)
3 流入口
31 流入口フィルタ
32 流入口流量調整機構部品
4A,4B 流出口
4C 流出口(第一流出口)
4D 流出口(第二流出口)
5 プランジャユニット
51 プランジャ
52 プランジャシート
53 コイルバネ
54 パイプ
54a 筒部
54b フランジ部
54c 水封部
55 ソレノイド
56 ヨーク
6 ダイヤフラムクミ(第一ダイヤフラムクミ)
61 ダイヤフラムイタ(第一ダイヤフラムイタ)
61a サイドオリフィス
61b オリフィス(第一オリフィス)
61c 円筒部
61d 整流羽根
62 ダイヤフラム(第一ダイヤフラム)
63 水撃圧低減部品
7 流量調整機構部品
71 フローコントローラ
72 フローワッシャ
73 中心軸体
74 凸部体
75 係止部
76 切欠
77 流路
78 クリアランス
8 直動式ダイヤフラムクミ(第二ダイヤフラムクミ)
81 直動式用ダイヤフラムイタ(第二ダイヤフラムイタ)
81a 孔
81b オリフィス(第二オリフィス)
81c ボス(突き当て部)
81d 部位(合成樹脂部位)
82 直動式用ダイヤフラム(第二ダイヤフラム)
82a 孔
83 メッシュ
9 微少流量調整機構部品
10 鉄板プレート
11 ボディ
12 流入室
13 背圧室
14 流出管
15 リップ
16 部品取付部

Claims (3)

  1. オリフィスを開閉することにより弁の開閉を行う電磁弁を複数備える多連式給水電磁弁であって、
    前記電磁弁のうちの第一電磁弁は、
    オリフィスを設けた硬質部材の第一ダイヤフラムイタ、該第一ダイヤフラムイタに組み込む軟質部材の第一ダイヤフラムおよび水撃圧を低減する水撃圧低減部品を有する第一ダイヤフラムクミと、
    第一流出口と連通する流出管に、所定の第一流量の流体を吐き出す流量調整機構部品と、を備えるパイロット作動式の電磁弁であり、
    前記電磁弁のうちの第二電磁弁は、
    オリフィスを設けた硬質部材の第二ダイヤフラムイタ、該第二ダイヤフラムイタに組み込む軟質部材の第二ダイヤフラムおよび前記第二ダイヤフラムイタと前記第二ダイヤフラムを貫通する孔に設けられたメッシュを有する第二ダイヤフラムクミと、
    第二流出口と連通する流出管に、前記第一流量よりも少ない所定の第二流量の流体を吐き出す微少流量調整機構部品と、を備え、
    前記第二ダイヤフラムイタは、
    流路壁面と当接して前記第二ダイヤフラムクミを固定する突き当て部を有する
    直動式の電磁弁である
    ことを特徴とする多連式給水電磁弁。
  2. 前記第一電磁弁に設けられた前記流量調整機構部品は、
    開口を有する軟質部材からなるフローワッシャと、
    該フローワッシャの開口に挿入する中心軸体と、複数の凸部体とが形成されたフローコントローラと、を有し、
    前記中心軸体は、
    前記フローワッシャが挿入されたときに係止する係止部が形成され、
    該係止部は、
    流体の流れ方向の下流側からみて、前記凸部体よりも高く形成されている
    ことを特徴とする請求項1に記載の多連式給水電磁弁。
  3. 前記第二電磁弁に設けられた第二ダイヤフラムクミは、
    前記メッシュを合成樹脂成形部材である前記第二ダイヤフラムイタにインサート成形して、該第二ダイヤフラムイタの合成樹脂部位と前記第二ダイヤフラムとが当接するように形成され、
    前記突き当て部と前記流出管の上流端に形成されたリップとで第二ダイヤフラムを挟み水封する
    ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の多連式給水電磁弁。
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