JP2012077720A - スクリュー圧縮機 - Google Patents

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Abstract

【課題】簡素な構成で圧縮比を自動調整することができ、かつ圧縮比の調整幅を向上させることができるスクリュー圧縮機を提供する。
【解決手段】アキシャル吐出ポート10を形成する開口縁の一部を構成するとともに、ロータ軸方向に対して略垂直で且つ雄ロータ1と雌ロータ2との軸心間方向に対して略垂直な方向にスライド可能に設けられ、そのスライド位置によって雄ロータ側作動室3及び雌ロータ側作動室4の吐出開始タイミングを変更する弁板12aと、吐出流路11の圧力に応じて弁部12aをスライドさせる移動機構(詳細には、ピストン板12b、高圧室13a、低圧室13b、及び弾性体15)とを備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、吐出ポートの形状を変化させて圧縮比を調整するスクリュー圧縮機に関する。
スクリュー圧縮機は、回転軸が略平行で互いに噛み合いながら回転する雄ロータ及び雌ロータと、これら雄ロータ及び雌ロータを収納してそれらの歯溝に雄ロータ側作動室及び雌ロータ側作動室を形成するケーシングとを備えている。そして、雄ロータ側作動室及び雌ロータ側作動室は、雄ロータ及び雌ロータの回転に伴って軸方向に移動しつつ、容積を増加させて気体(例えば空気)を吸入し、その後、容積を減少させて気体を圧縮し、この圧縮気体を吐出するようになっている。また、スクリュー圧縮機は、吸入行程の雄ロータ側作動室及び雌ロータ側作動室に気体を吸入するための吸入ポート(開口)と、この吸入ポートを介し吸入行程の雄ロータ側作動室及び雌ロータ側作動室に連通する吸入流路と、吐出行程の雄ロータ側作動室及び雌ロータ側作動室から圧縮気体を吐出するための吐出ポート(開口)と、この吐出ポートを介し吐出行程の雄ロータ側作動室及び雌ロータ側作動室に連通する吐出流路とを有している。そして、吐出ポートの形状が固定されていれば、雄ロータ側作動室及び雌ロータ側作動室の吐出開始タイミングが固定されて、圧縮比(言い換えれば、吸入容積と吐出容積との比)が固定されることになる。
ここで、従来、吐出ポートの形状を変化させ、これによって作動室の吐出開始タイミングを変更して、圧縮比を調整するものが知られている(例えば、特許文献1及び2参照)。
特許文献1に記載のスクリュー圧縮機では、雄ロータと雌ロータ回転軸に対して平行に可動し、圧縮開始タイミングを変更する容量制御弁と吸込容量を可変にするVi可変弁を有し、これらの弁を組み合わせて可動させることにより圧縮比を連続的に可変させるようになっている。詳細には、作動室の吐出直前の圧力と吐出流路の圧力を圧力センサでそれぞれ検出し、それら圧力の差を最小とするように(言い換えれば、圧縮機の必要動力が最小となるように)モータの駆動によって容量制御弁とVi可変弁をスライドさせ、それらのスライド位置によってロータ側作動室及び雌ロータ側作動室の吐出開始タイミングを変更して、圧縮比を連続的に可変させるようになっている。
しかし、上記特許文献1に記載のスクリュー圧縮機では、弁部をロータ軸方向にスライド可能な構造としていることから構造が複雑になり、加工が難しくて製造コストが高くなる。また、圧力センサ、モータ、及び制御装置を有することから、製造コスト及び運転コストが高くなる。
次に、特許文献2に記載のスクリュー圧縮機では、雄ロータ側作動室及び雌ロータ側作動室から圧縮気体をロータ軸方向に吐出するためのアキシャル吐出ポート(吐出室)を有し、このアキシャル吐出ポートの形状を変化させ、これによって作動室の吐出開始タイミングを変更して、圧縮比を連続的に可変させるようになっている。詳細には、アキシャル吐出ポートを形成する開口縁の一部を構成する弁部(露出部)を、ロータ軸方向に対して略垂直で且つ雄ロータと雌ロータとの軸心間方向に対して略平行な方向にスライド可能に設けている。また、吐出流路(吐出ポート)の圧力に応じて弁部をスライドさせる移動機構として、弁部に結合されたピストン部と、このピストン部の移動方向一方側に形成されて吐出流路と連通し、内部圧力をピストン部に作用させる高圧室と、ピストン部の移動方向他方側に形成されて高圧室より低圧な気体を収容し(詳細には、例えば吸気流路と連通するか若しくは外気に開放し)、内部圧力をピストン部に作用させる低圧室と、ピストン部に低圧室側から高圧室側へ付勢する付勢力を付与するバネとを有している。そして、例えば吐出流路の圧力が上昇すると、高圧室の圧力が上昇してバネの付勢力に抗う方向にピストン部が移動し、弁部が閉じ方向に移動する。これにより、作動室の吐出開始タイミングが遅くなり、圧縮比が高くなる。一方、例えば吐出流路の圧力が下降すると、高圧室の圧力が下降してバネの付勢方向にピストン部が移動し、弁部が開き方向に移動する。これにより、作動室の吐出開始タイミングが早くなり、圧縮比が低くなる。そして、バネの弾性係数を適切に設定すれば、作動室の吐出直前の圧力と吐出流路の圧力をほぼ一致させることが可能となり、エネルギー効率を向上させるようになっている。
特開平5−231363号公報 特開2008−75618号公報
しかしながら、上記特許文献2に記載のスクリュー圧縮機には更なる改善の余地があった。
すなわち、特許文献2に記載のスクリュー圧縮機においては、アキシャル吐出ポートを形成する開口縁の一部を構成する弁部は、ロータ軸方向に対して略垂直で且つ雄ロータと雌ロータとの軸心間方向に対して略平行な方向にスライド可能に設けられている。そのため、雄ロータ側作動室及び雌ロータ側作動室のうちの一方、例えば雌ロータ側作動室の吐出開始タイミングだけを変更するようになっている。そして、雄ロータ側作動室と雌ロータ側作動室は連通していることから、それら全体の吐出開始タイミングとしては、雄ロータ側作動室の吐出開始タイミング(詳細には、吐出ポートにおける雄ロータ側の部分によって決まる吐出開始タイミング)より遅くすることができず、圧縮比の調整幅が限定されてしまう。また、仮に、前述した雄ロータ側作動室の吐出開始タイミングを、雌ロータ側作動室の吐出開始タイミングが最も遅くなる場合に合わせたとしても、雌ロータ側作動室の吐出開始タイミングが早くなれば、雄ロータ側作動室の吐出開始タイミングとの差が大きくなり、雄ロータ側作動室内の圧縮空気の吐出がスムーズに行われず、所望の圧縮比を得ることが困難になる。かといって、雌ロータ側だけでなく雄ロータ側にも弁部を追設すると、部品点数が増加し、構造が複雑となる。
本発明の目的は、簡素な構成で圧縮比を自動調整することができ、かつ圧縮比の調整幅を向上させることができるスクリュー圧縮機を提供することにある。
(1)上記目的を達成するために、本発明は、回転軸が略平行で互いに噛み合いながら回転する雄ロータ及び雌ロータと、前記雄ロータ及び前記雌ロータを収納してそれらの歯溝に複数の雄ロータ側作動室及び雌ロータ側作動室を形成させるケーシングと、前記雄ロータ側作動室及び前記雌ロータ側作動室で圧縮した圧縮気体をロータ軸方向に吐出するためのアキシャル吐出ポートと、前記アキシャル吐出ポートを介して前記雄ロータ側作動室及び前記雌ロータ側作動室に連通する吐出流路とを有するスクリュー圧縮機において、前記アキシャル吐出ポートを形成する開口縁の一部を構成するとともに、ロータ軸方向に対して略垂直で且つ前記雄ロータと前記雌ロータとの軸心間方向に対して略垂直な方向にスライド可能に設けられ、そのスライド位置によって前記雄ロータ側作動室及び前記雌ロータ側作動室の吐出開始タイミングを変更する弁部と、前記吐出流路の圧力に応じて前記弁部をスライドさせる移動機構とを備え、前記移動機構は、前記弁部に結合されたピストン部と、前記ピストン部の移動方向一方側に形成されて前記吐出流路と連通し、内部圧力を前記ピストン部に作用させる高圧室と、前記ピストン部の移動方向他方側に形成されて前記高圧室より低圧な気体を収容し、内部圧力を前記ピストン部に作用させる低圧室と、前記ピストン部に前記低圧室側から前記高圧室側へ付勢する付勢力を付与する弾性体とを有する。
このように本発明においては、アキシャル吐出ポートを形成する開口縁の一部を構成する弁部は、ロータ軸方向に対して略垂直な方向で且つ雄ロータと雌ロータとの軸心間方向に対して略垂直な方向にスライド可能に設けられており、そのスライド位置によって雄ロータ側作動室及び雌ロータ側作動室の吐出開始タイミングを変更する。すなわち、特許文献2に記載の従来技術とは異なり、1つの弁部によって雄ロータ側作動室及び雌ロータ側作動室の両方の吐出開始タイミングを変更することができる。したがって、簡素な構成で圧縮比を自動調整することができ、かつ圧縮比の調整幅を向上させることができる。
(2)上記(1)において、好ましくは、前記移動機構は、前記高圧室内に配設され、前記高圧室の温度上昇に応じて伸張して前記ピストン部を前記低圧室側に押し出すバイメタルを有する。
本発明によれば、簡素な構成で圧縮比を自動調整することができ、かつ圧縮比の調整幅を向上させることができる。
本発明の一実施形態におけるスクリュー圧縮機の構造を表すロータ軸方向断面図である。 図1中矢視断面II−IIによるロータ径方向断面図であり、アキシャル吐出ポートを示す。 図2で示すロータ径方向断面図に対し、雄ロータ及び雌ロータの歯部並びにメインケーシングのボアの吐出側端面形状を投影した図であり、スライド部材が最小スライド位置にある場合及び最大スライド位置にある場合をそれぞれ表す。 本発明の一実施形態における圧縮比を調整したときの指圧線図である。 本発明の一変形例におけるスクリュー圧縮機の構造を表すロータ軸方向断面図である。
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照しつつ説明する。
図1は、本実施形態におけるスクリュー圧縮機の構造を表すロータ軸方向断面図である。図2は、図1中矢視断面II−IIによるロータ径方向断面図である。図3(a)及び図3(b)は、図2で示すロータ径方向断面図に対し、雄ロータ及び雌ロータの歯部並びにメインケーシングのボアの吐出側端面形状を投影した図である。なお、図3(a)はスライド部材が最小スライド位置にある場合を表し、図3(b)はスライド部材が最大スライド位置にある場合を表している。
これら図1、図2、図3(a)、及び図3(b)において、スクリュー圧縮機は、回転軸が略平行で互いに噛み合いながら回転する雄ロータ1及び雌ロータ2と、これら雄ロータ1及び雌ロータ2の歯部を収納してそれらの歯溝に雄ロータ側作動室3及び雌ロータ側作動室4を形成するメインケーシング5と、このメインケーシング5のロータ軸方向吐出側(図1中左側)に接続された吐出ケーシング6とを備えている。
雄ロータ1の吸入側(図1中右側)及び吐出側(図1中左側)の軸部には図示しない軸受が設けられており、雄ロータ1を回転可能に支持している。同様に、雌ロータ2の吸入側及び吐出側の軸部には図示しない軸受が設けられており、雌ロータ2を回転可能に支持している。また、雄ロータ1の吸入側軸部は、メインケーシング3から突出して図示しないモータ(電動機)の回転軸に連結されている。これにより、モータの駆動によって雄ロータ1が回転し、これに伴い、雄ロータ1と噛み合わされた雌ロータ2が回転するようになっている。
そして、雄ロータ側作動室3及び雌ロータ側作動室4は、雄ロータ1及び雌ロータ2の回転に軸方向に移動しつつ、容積を増加させて気体(例えば空気)を吸入し、その後、容積を減少させて気体を圧縮し、この圧縮気体を吐出するようになっている。
メインケーシング5には、雄ロータ1及び雌ロータ2の歯部を収納してそれらの歯溝に雄ロータ側作動室3及び雌ロータ側作動室4を形成するボア7と、吸入行程の雄ロータ側作動室3及び雌ロータ作動室4に気体を吸入するための吸入ポート(開口)8と、この吸入ポート8を介し吸入行程の雄ロータ側作動室3及び雌ロータ作動室4に連通する吸入流路9とが形成されている。吐出ケーシング6には、吐出行程の雄ロータ側作動室3及び雌ロータ作動室4からロータ軸方向に気体(例えば空気)を吐出するためのアキシャル吐出ポート(開口)10と、このアキシャル吐出ポート10を介し吐出行程の雄ロータ側作動室3及び雌ロータ作動室4に連通する吐出流路11とが形成されている。
ここで本実施形態の特徴として、アキシャル吐出ポート10はその形状が変化可能に構成されており、これによって雄ロータ側作動室3及び雌ロータ側作動室4の吐出開始タイミングを変更して、圧縮比を連続的に可変可能としている。詳しく説明すると、アキシャル吐出ポート10を形成する開口縁の一部を構成する弁板12a(弁部)とこの弁板12aに結合されたピストン板12b(ピストン部)からなるL字状のスライド部材12が設けられている。そして、このスライド部材12をスライドさせることにより、アキシャル吐出ポート10の形状を変化させるようになっている。
スライド部材12の弁板12aは、その先端部が雄ロータ1及び雌ロータ2の歯すじに沿うような形状となっている。そして、スライド部材12の弁板12aは、メインケーシング5と吐出ケーシング6との間で挿嵌されており、ロータ軸方向に対して略垂直で且つ雄ロータ1と雌ロータ2との軸心間(A−B)方向に対して略垂直な方向(図中上下方向)にスライド可能に設けられている。なお、メインケーシング5及び吐出ケーシング6とスライド部材12との摺動面には、図示しないシール部材が設けられている。
吐出ケーシング6には、スライド部材12のピストン板12bを収容するシリンダ13が形成されており、このシリンダ13には、ピストン板12bで仕切られた高圧室13aと低圧室13bが形成される。高圧室13aは、連通路14を介し吐出流路11に連通しており、その内部圧力が吐出流路11とほぼ同じとなってピストン板12bに作用するようになっている。低圧室13bは、例えば吸気流路9と連通するか若しくは外気に開放することで、高圧室13aより低圧な気体を収容しており、その内部圧力がピストン板12bに作用するようになっている。また、低圧室13b内には弾性体15(例えばコイルバネ等)が配設されており、この弾性体15は、ピストン板12bに低圧室13b側から高圧室側13aに付勢する付勢力を付与するようになっている。
そして、高圧室13aと低圧室13bとの差圧によるピストン板12bを図中上側に付勢する力とピストン板12bを図中下側に付勢する弾性体15の付勢力との釣り合いによって、スライド部材12のスライド位置が決まるようになっている。なお、上述したスライド部材12のピストン板12b、高圧室13a、低圧室13b、及び弾性体15は、スライド部材12(の弁体12a)をスライドさせる移動機構を構成している。
そして、例えば吐出流路11の圧力が比較的高くなって、図3(a)で示すようにスライド部材12が最大スライド位置となる場合は、スライド部材12の弁板12aが図中上側に位置して、雄ロータ側作動室3及び雌ロータ側作動室4の吐出開始タイミングを比較的遅くする。すなわち、雄ロータ側作動室3の吐出開始タイミングは、雄ロータ1の回転角θ1となる。一方、例えば吐出流路11の圧力が比較的低くなって、図3(b)で示すようにスライド部材12が最小スライド位置となる場合は、スライド部材12の弁板12aが図中下側に位置して、雄ロータ側作動室3及び雌ロータ側作動室4の吐出開始タイミングを比較的早くする。すなわち、雄ロータ側作動室3の吐出開始タイミングは雄ロータ1の回転角θ2となる。なお、本実施形態では、Δθ=θ2−θ1=20°程度である。
そして、弾性体15の弾性係数を適切に設定することにより、雄ロータ側作動室3及び雌ロータ側作動室4の吐出直前の圧力と吐出流路11の圧力とがほぼ一致するように、雄ロータ側作動室3及び雌ロータ側作動室4の吐出開始タイミングを変更して、圧力比を調整することができる。具体例の一つとして、圧縮比を調整したときの指圧線図(詳細には、作動室の移動による容積変化と圧力変化の関係を表す図)を図4で示す。
例えば吐出流路11の圧力が約780kPa程度となってスライド部材12が最大スライド位置となる場合に、雄ロータ側作動室3及び雌ロータ側作動室4の吐出開始タイミングが遅くなり、雄ロータ側作動室3及び雌ロータ側作動室4の吐出直前の圧力が約780kPa程度となる。また、例えば吐出流路11の圧力が約450kPa程度となってスライド部材12が最小スライド位置となる場合に、雄ロータ側作動室3及び雌ロータ側作動室4の吐出開始タイミングが早くなり、雄ロータ側作動室3及び雌ロータ側作動室4の吐出直前の圧力が約450kPa程度となる。
次に、本実施形態のスクリュー圧縮機の動作を説明する。
通常運転時、吸込フィルタ(図示せず)、吸込み絞り弁(図示せず)、吸入流路9、及び吸入ポート8を介して雄ロータ側作動室3及び雌ロータ側作動室4に気体が吸入され、これら雄ロータ側作動室3及び雌ロータ側作動室4の容積の減少によって気体が圧縮され、この圧縮気体が吐出ポート10及び吐出流路11を介して吐出される。吐出された圧縮気体は、アフタークーラ等(図示せず)で温度調整され、制御バルブ等(図示せず)で圧力調整されて、用途先へ供給される。
次に、本実施形態のスクリュー圧縮機の作用効果を説明する。
例えば圧縮気体の使用量の変動や圧縮機の運転制御(詳細には、例えば吸入側の吸込み絞り弁若しくは吐出側の放気弁の開閉制御)などに応じて、吐出流路11の圧力が変動する。ここで、第1の比較例として、吐出ポート10の形状が固定されている場合(すなわち、圧縮比が固定されている場合)を想定する。このような場合、雄ロータ側作動室3及び雌ロータ側作動室4の吐出直前の圧力より吐出流路11の圧力が高くなると、吐出流路11から雄ロータ側作動室3及び雌ロータ側作動室4に圧縮流体が逆流して、吐出完了までに必要な動力が大きくなるため、エネルギー効率が低下する。また、雄ロータ側作動室3及び雌ロータ側作動室4の吐出直前の圧力より吐出流路11の圧力が低くなると、必要以上の動力を浪費していることになり、エネルギー効率が低下する。
これに対し、本実施形態においては、スライド部材12及びその移動機構を設けることにより、吐出ポート10の形状を変化させる。これにより、雄ロータ側作動室3及び雌ロータ側作動室4の吐出直前の圧力と吐出流路11の圧力がほぼ一致するように、圧力比を調整することができる。したがって、エネルギー効率を向上させることができる。
また、第2の比較例として、特許文献1に記載のように、ロータ軸方向に対して略垂直で且つ雄ロータ1と雌ロータ2との軸心間方向に対して略平行な方向にスライド可能な容量制御弁とVi可変弁を設けた場合を想定する。この場合、容量制御弁の可動だけでは圧縮開始タイミングを変更することになり、圧縮比を可変にすることはできないが、Vi可変弁の可動を組み合わせて吸込容量を可変にすることにより、圧縮比を変更することが可能となる。しかしながら、これらの弁をロータ軸方向にスライド可能な構造としているため、構造が複雑な上、加工が難しい。また、弁を制御するための制御装置を有する必要があるため、結果として製造コストおよび運転コストが高くなる。また、圧力低下時の運転においては、容量制御弁の可動により圧縮開始タイミングを遅らせて圧縮機の必要動力が最小限になるように調整可能であるが、本構造では所定の圧縮まで圧縮することになる。結果として過圧縮状態となり、余分な動力を必要とするため、改善の余地がある。
これに対し、本実施形態においては、アキシャル吐出ポート10を形成する開口縁の一部を構成する弁板12aは、ロータ軸方向に対して略垂直な方向で且つ雄ロータ1と雌ロータ2との軸心間方向に対して略垂直な方向にスライド可能に設けられており、そのスライド位置によって雄ロータ側作動室3及び雌ロータ側作動室4の吐出開始タイミングを変更する。すなわち、上述した第2の比較例とは異なり、1つの弁板12aによって雄ロータ側作動室3及び雌ロータ側作動室4の両方の吐出開始タイミングを変更することができる。したがって、簡素な構成で圧縮比を自動調整することができ、かつ圧縮比の調整幅を向上させることができる。
なお、上記一実施形態においては、特に説明しなかったが、吐出流路11の圧力の変動及び弾性体15の付勢力の変動に伴うスライド部材12の移動のハンチング(すなわち、圧縮比のハンチング)を防止するため、高圧室13a又は低圧室13bにダンパを配設してもよい。あるいは、例えば図5に示す変形例のように、高圧室13a内にバイメタル16(詳細には、熱膨張率の異なる二種の金属の薄板を貼り合わせたもの)を配設してもよい。この変形例では、バイメタル16は、ピストン板12bの移動方向に延在し、両側端部が吐出ケーシング6の溝部及びピストン板12bの溝部に挿嵌されている。そして、吐出流路11の圧力の上昇に伴って温度が上昇すると、高圧室13aの温度が上昇し、これに応じてバイメタル16が伸張してピストン板12bを低圧室13b側に押し出す。このような変形例においても、ハンチングを防止することができる。
また、上記一実施形態においては、弁板12a(弁部)及びピストン板12b(ピストン部)が一体形成されたスライド部材12を備えた場合を例にとって説明したが、これに限られず、弁部とピストン部を別体としてそれぞれ形成し、それらを結合してもよい。また、上記一実施形態においては、メインケーシング5及び吐出ケーシング6を別体としてそれぞれ形成し、それらを接続した場合を例にとって説明したが、これに限られず、メインケーシング5及び吐出ケーシング6を一体形成してもよい。これらの場合も、上記同様の効果を得ることができる。
1 雄ロータ
2 雌ロータ
3 雄ロータ側作動室
4 雌ロータ側作動室
5 メインケーシング
6 吐出ケーシング
10 アキシャル吐出ポート
11 吐出流路
12 スライド部材
12a 弁板(弁部)
12b ピストン板(ピストン部)
13 シリンダ
13a 高圧室
13b 低圧室
15 弾性体
16 バイメタル

Claims (2)

  1. 回転軸が略平行で互いに噛み合いながら回転する雄ロータ及び雌ロータと、
    前記雄ロータ及び前記雌ロータを収納してそれらの歯溝に複数の雄ロータ側作動室及び雌ロータ側作動室を形成させるケーシングと、
    前記雄ロータ側作動室及び前記雌ロータ側作動室で圧縮した圧縮気体をロータ軸方向に吐出するためのアキシャル吐出ポートと、
    前記アキシャル吐出ポートを介して前記雄ロータ側作動室及び前記雌ロータ側作動室に連通する吐出流路とを有するスクリュー圧縮機において、
    前記アキシャル吐出ポートを形成する開口縁の一部を構成するとともに、ロータ軸方向に対して略垂直で且つ前記雄ロータと前記雌ロータとの軸心間方向に対して略垂直な方向にスライド可能に設けられ、そのスライド位置によって前記雄ロータ側作動室及び前記雌ロータ側作動室の吐出開始タイミングを変更する弁部と、
    前記吐出流路の圧力に応じて前記弁部をスライドさせる移動機構とを備え、
    前記移動機構は、
    前記弁部に結合されたピストン部と、
    前記ピストン部の移動方向一方側に形成されて前記吐出流路と連通し、内部圧力を前記ピストン部に作用させる高圧室と、
    前記ピストン部の移動方向他方側に形成されて前記高圧室より低圧な気体を収容し、内部圧力を前記ピストン部に作用させる低圧室と、
    前記ピストン部に前記低圧室側から前記高圧室側へ付勢する付勢力を付与する弾性体とを有することを特徴とするスクリュー圧縮機。
  2. 請求項1記載のスクリュー圧縮機において、前記移動機構は、前記高圧室内に配設され、前記高圧室の温度上昇に応じて伸張して前記ピストン部を前記低圧室側に押し出すバイメタルを有することを特徴とするスクリュー圧縮機。
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