JP2012076199A - ハイドロチャック - Google Patents

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Masayuki Doi
正幸 土居
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Abstract

【課題】被保持物のびびり現象が生じた場合においても、チャック筒の先端部分に亀裂が生じ難いハイドロチャックを提供すること。
【解決手段】チャック本体のチャック筒3の肉厚内部に流体圧室8を設けつつ、チャック筒3の筒孔4の内周面に肉薄部9を形成し、流体圧室8に流体を封入して、流体圧室8内の圧力を上昇させ、肉薄部9を膨張させることによってチャック筒3に嵌合させた被保持物を把持するハイドロチャックにおいて、チャック筒3の筒孔の内周面において、少なくとも流体圧室8の先端に対応する位置Pから、チャック筒3の筒孔の先端に亘る部分に、膨張していない状態の肉薄部9の内径よりも大きな内径を有する拡径部15を備える。
【選択図】図2

Description

本発明は、チャック本体のチャック筒の肉厚内部に流体圧室を設けつつ、チャック筒の筒孔の内周面に肉薄部を形成し、前記流体圧室に流体を封入して、該流体圧室内の圧力を上昇させ、前記肉薄部を膨張させることによって前記チャック筒に嵌合させた被保持物を把持するハイドロチャックに関する。
従来のハイドロチャックとしては、例えば、特許文献1に示すものが知られている。ここではチャック筒の筒孔の中に、被保持物としてチャック筒の筒孔の内径と略同じか又は該筒孔よりもわずかに小さな径を有する円柱形状の切削工具の基端部分を挿入し、この切削工具の基端部分の外周面と筒孔の内周面とを略密着させた状態において、流体圧室内の圧力を上昇させて肉薄部を径方向に膨張させて肉薄部を切削工具の基端部分の外周面に当接させることによって切削工具を強力に保持するものである。
実開平7−40007号公報
従来のハイドロチャックにおいては、切削工具を保持した場合、チャック筒の肉薄部が径方向の内側に膨張して切削工具に強固に当接する一方で、チャック筒の筒孔の先端部分は切削工具に対して近接状態となる。そのため、使用中に所謂「びびり現象」が発生して切削工具が振動すると、切削工具がチャック筒の筒孔の先端部分に当たりチャック筒の先端部分を径方向の外側に曲げようとする力が作用する。
このときチャック筒の筒孔の内周面全体にわたって軸方向に作用する応力が生じるが、流体圧室の先端付近は肉厚が変化していることにより応力が集中し易く、このため、チャック筒の筒孔の内周面における流体圧室の先端に対応する位置(以下、この位置を対応位置と称する)において特に強い応力が作用する。その結果、この対応位置が破断する虞があった。
本発明の目的は、被保持物のびびり現象が生じた場合においても、チャック筒の先端部分に破断が生じ難いハイドロチャックを提供することにある。
本発明に係るハイドロチャックの第1特徴構成は、チャック本体のチャック筒の肉厚内部に流体圧室を設けつつ、チャック筒の筒孔の内周面に肉薄部を形成し、前記流体圧室に流体を封入して、該流体圧室内の圧力を上昇させ、前記肉薄部を膨張させることによって前記チャック筒の筒孔に嵌合させた被保持物を把持するハイドロチャックにおいて、前記チャック筒の筒孔の内周面において、少なくとも前記流体圧室の先端に対応する位置から、前記チャック筒の筒孔の先端に亘る部分に、膨張していない状態の前記肉薄部の内径よりも大きな内径を有する拡径部を備える点にある。
〔作用及び効果〕
本構成のごとく、チャック筒の筒孔の内周面において、流体圧室の先端に対応する位置から、チャック筒の筒孔の先端に亘る部分に、膨張していない状態の肉薄部の内径よりも大きな内径を有する拡径部を備えるものであれば、たとえ、被保持物がびびり現象等の振動を起こしたとしても、被保持物が、チャック筒の筒孔の先端部分、即ちチャック筒の内周面における流体圧室の先端に対応する位置(以下、この位置を対応位置と称する)から、チャック筒の筒孔の先端に亘る部分に対して当たり難くなる。これにより、チャック筒の先端を径方向の外側に曲げようとする力が生じ難くなるため、流体圧室の先端付近に応力が作用し難くなる。その結果、上記対応位置における破断の発生を防止することができる。
第2特徴構成は、前記拡径部が、前記チャック筒の筒孔の先端側ほど幅広となるテーパー面を有する点にある。
〔作用及び効果〕
本構成のごとく、拡径部がチャック筒の先端側ほど幅広となるテーパー面を有するものであれば、被保持物を拡径部のテーバー面に沿ってチャック筒の中に挿入し易く、作業性が良い。さらに、チャック筒の先端部分における極端な強度低下をもたらす虞もない。
本発明のハイドロチャックの縦断側面図である。 チャック筒の縦断側面図(肉薄部の非膨張時(a)及び肉薄部の膨張時(b))である。 別形態のチャック筒の縦断側面図(肉薄部の非膨張時(a)及び肉薄部の膨張時(b))である。 別形態のチャック筒の縦断側面図である。
以下、本発明の実施形態として、ねじ操作式のハイドロチャックを図面に基づいて説明する。
〔実施形態〕
(ハイドロチャックの全体構造)
図1に示すように、本実施形態に係るハイドロチャック1は、チャック本体2と、チャック本体2の先端側に突設されるチャック筒3と、チャック本体2の後端側に突設され工作機械のスピンドルに嵌合されるシャンク5とを備えており、チャック本体2の中間部にマニュピレーター把持用の溝6が形成されている。
チャック筒3は、切削工具などの被保持物7を収容して嵌合するための筒孔4を備える。またチャック筒3の肉厚内部には、チャック筒3の筒孔4の内周面を全周にわたって囲むように流体圧室8が設けられており、流体圧室8の底部が、チャック筒3の筒孔4の内周面の全周にわたる肉薄部9として構成されている。
チャック本体2は、その外周面から径方向に向かう雌ネジ孔10と、雌ネジ孔10と流体圧室8とを連通させる連通路11とを備える。連通路11の内径は、雌ネジ孔10の内径よりも小さく設定されている。
雌ネジ孔10及び連通路11には、頭部12aと頭部12aよりも小径の先端部12bとを備えるネジ棒12が装着される。ネジ棒12の頭部12aには、雄ネジ部が形成されており、ネジ棒12の先端部12bの外周面には、Oリングなどのシール部材13が設けられている。
ネジ棒12をその先端部12bから雌ネジ孔10に挿入して、頭部12aの雄ネジ部を雌ネジ孔10に螺入しながらネジ棒12の先端部12bを連通路11に押し込むことによって、先端部12bのシール部材13が連通路11の内周面の全周にわたって密着する。その結果、流体圧室8から連通路11にわたって水や油などの流体14が封入される。
図1に示すように、レンチTをネジ棒12の頭部12aに嵌合させてネジ棒12の軸心周りに回転操作することによって、ネジ棒12の雌ネジ孔10及び連通路11に対するねじ込み量を調節することができる。
ネジ棒12のねじ込み量を増加させて連通路11の容積を減少させると、連通路11と流体圧室8とにわたって封入される流体14の圧力が上昇するため、肉薄部9が筒孔4側に膨張して、チャック筒3の筒孔4に嵌合させた被保持物7を強力に把持する(図2(b)参照)。
一方、ネジ棒12のねじ込み量を減少させて連通路11の容積を増加させると、連通路11と流体圧室8とにわたって封入される流体14の圧力が低下するため、肉薄部9が流体圧室8側に復帰し、チャック筒3の筒孔4に嵌合させた被保持物7を取り外すことができるようになる(図2(a)参照)。
(チャック筒の肉薄部の構造)
図2(a),(b)に示すように、チャック筒3の軸心方向における肉薄部9の中央部分には、流体圧室8側に向けてなだらかに盛り上がる凸形状9aが設けられている。これにより、図2(b)に示すように、流体圧室8内の圧力を増加させると、肉薄部9の全体が筒孔4側に膨張するように構成されている。
尚、肉薄部9の形態としては、図2に示す形態に限定されるものではなく、その他にも、例えば、凸形状9aを有しない平坦な形状を有するものや、あるいは図3に示すような形態であっても良い。
図3に示す肉薄部9では、図3(a)に示すように肉薄部9におけるチャック筒3の軸心方向における中央部分に、流体圧室8側に向けて突出する台形凸部9bが設けられている。流体圧室8内の圧力を増加させると、図3(b)に示すように、肉薄部9の先端部分9cと後端部分9dとが特に大きく筒孔4側に膨張して、被保持物7が、肉薄部9の先端部分9cと後端部分9dという2点支持によって把持される。
(チャック筒の拡径部の構造)
チャック筒3の筒孔4の内周面において、少なくとも流体圧室8の先端に対応する位置から、チャック筒3の先端に亘る部分に、膨張していない状態の肉薄部9の内径よりも大きな内径を有する拡径部15が設けられている。拡径部15は、チャック筒3の先端側ほど幅広となるテーパー面15aを有する。
本構成によれば、たとえ被保持物7がびびり現象等の振動を起こしたとしても、被保持物7が、チャック筒3の筒孔4の先端部分、即ちチャック筒3の筒孔4の内周面における流体圧室8の先端に対応する位置P(以下、この位置を対応位置Pと称する)から、チャック筒3の筒孔4の先端に亘る部分に対して当たり難くなる。これにより、チャック筒3の先端部分を径方向の外側に曲げようとする力が生じ難くなるため、流体圧室8の先端付近に応力が作用し難くなる。その結果、対応位置Pにおける破断の発生を防止することができる。
さらに、被保持物7を拡径部15のテーパー面に沿ってチャック筒3の中に挿入し易く、作業性が良い。さらに、チャック筒3の先端部分における極端な強度低下をもたらす虞もない。
〔その他の実施形態〕
図4に示すように、前述の実施形態における拡径部15は、テーパー面15aを備えるものでなくとも良く、流体圧室8の先端に対応する位置から径方向外側にL字状に切り欠いた形状で合っても良い。
また、前述の図1〜図4の実施形態における拡径部15は、流体圧室8の先端に対応する位置から、チャック筒3の筒孔4の先端に亘る部分に設けられているが、この構成に限定されるものではなく、流体圧室8の先端に対応する位置よりも奥側の位置から、チャック筒3の筒孔4の先端に亘る部分に設けてある構成としても良い。
本発明は、切削工具などを工作機械のスピンドルに装着するため使用される様々なハイドロチャックに適用することができる。
1 ハイドロチャック
2 チャック本体
3 チャック筒
4 筒孔
7 被保持物
8 流体圧室
9 肉薄部
14 流体
15 拡径部
P 対応位置

Claims (2)

  1. チャック本体のチャック筒の肉厚内部に流体圧室を設けつつ、チャック筒の筒孔の内周面に肉薄部を形成し、前記流体圧室に流体を封入して、該流体圧室内の圧力を上昇させ、前記肉薄部を膨張させることによって前記チャック筒の筒孔に嵌合させた被保持物を把持するハイドロチャックにおいて、
    前記チャック筒の筒孔の内周面において、少なくとも前記流体圧室の先端に対応する位置から、前記チャック筒の筒孔の先端に亘る部分に、膨張していない状態の前記肉薄部の内径よりも大きな内径を有する拡径部を備えるハイドロチャック。
  2. 前記拡径部が、前記チャック筒の筒孔の先端側ほど幅広となるテーパー面を有する請求項1に記載のハイドロチャック。
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