JP2012075412A - ソーラーパネルを用いた屋上緑化の施工設備 - Google Patents

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Abstract

【課題】屋上緑化の施工がなされる建築物の屋上部に設置されるソーラーパネルの高温下での発電効率の低下や劣化を好適に防止することができ、且つ屋上部における緑化用として用いられる貯水部の水の有効利用を図ることができる屋上緑化設備を提供することを課題とする。
【解決手段】屋上部において植物を植生させて緑化を行う水を貯留する緑化用貯水部と、屋上部に設置されたソーラーパネルと、前記緑化用貯水部に貯留された水をソーラーパネルに供給する水供給手段とを具備し、前記ソーラーパネルに供給された水は前記緑化用貯水部に返送可能であり、ソーラーパネルへの水の供給と、供給された水の緑化用貯水部への返送とを繰り返して、水が循環して使用されうるように構成されていることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、ソーラーパネルを用いた屋上緑化の施工設備、さらに詳しくは、ソーラーパネルを屋上部に設置する建築物において、その建築物の屋上部において緑化を行う施工設備に関する。
周知のように、ソーラーパネルは、化石燃料から自然エネルギーへの転換を図る媒体として開発されたもので、戸建て住宅の傾斜屋根では、簡単な金具で取り付けが可能であり、比較的施工費を抑制して設置することが可能であるため、近年、急速に普及しつつある。
このようなソーラーパネルは、戸建て住宅のみならず、ビル等の巨大な建築物の屋上部においても設置されつつある。しかし、ビル等の巨大な建築物の屋上部では、60℃程度まで温度が上昇するため、発電効率が低下するという問題がある。特に発電効率に優れた単結晶シリコンや多結晶シリコンからなるソーラーパネルは高温に弱いため、ビル等の巨大な建築物の屋上部に設置すると、比較的短期間に劣化するおそれもある。
一方、近年では都市緑化等の要請が高まり、それに応じて建築物の屋上を緑化する技術が開発され、普及しつつある。このような屋上緑化に関する技術の一例として、たとえば特許文献1のような特許出願がなされている。当該特許文献1の明細書の段落[0002]にも記載されているように、屋上緑化は、コンクリート建造物の増加、エアコンによる外気放熱など種々の要因による都市部の異常な高温化によって生じるヒートアイランド現象を、直射日光の遮断効果や植物の蒸散作用によって抑制するものである。そして特許文献1に係る発明は、常緑性植物を定植した植物育成培地を用いた屋上緑化工法を対象としている。
また、屋上緑化を行うとともに、屋上部に上記のようなソーラーパネルを設置した技術として、たとえば特許文献2及び特許文献3のような特許出願がなされている。特許文献2に係る発明は、緑化設備が施された建築物の屋上に設置された電気設備機器のインターネットによる管理設備に係るものであり、特許文献3に係る発明は、空きビル等を利用して都市緑化が可能な農業施設を有するビルディングを提供するものである。
しかしながら、上記特許文献1にも記載されているように、屋上緑化は直射日光の遮断効果や植物の蒸散作用によってヒートアイランド現象を緩和するにすぎないものであるため、屋上緑化を行うことが、ビル等の巨大な建築物の屋上部での温度上昇を極端に低下させるわけではない。従って、上記特許文献2及び特許文献3のように、屋上緑化を施工する領域と、ソーラーパネルを設置する領域とを単に併備したような技術では、高温に弱いソーラーパネルの劣化という問題点を解決することはできない。
特開2006−112040号公報 特開2005−333723号公報 特開2005−207082号公報
本発明は、このような問題点を解決するためになされたもので、屋上緑化の施工がなされる建築物の屋上部に設置されるソーラーパネルの高温下での発電効率の低下や劣化を好適に防止することができ、且つ屋上部における緑化用として用いられる貯水部の水の有効利用を図ることができる屋上緑化設備を提供することを課題とするものである。
本発明は、このような課題を解決するために、屋上部において植物を植生させて緑化を行う水を貯留する緑化用貯水部と、屋上部に設置されたソーラーパネルと、前記緑化用貯水部に貯留された水をソーラーパネルに供給する水供給手段とを具備し、前記ソーラーパネルに供給された水は前記緑化用貯水部に返送可能であり、ソーラーパネルへの水の供給と、供給された水の緑化用貯水部への返送とを繰り返して、水が循環して使用されうるように構成されていることを特徴とする、ソーラーパネルを用いた屋上緑化の施工設備を提供するものである。
ソーラーパネルは、好ましくは、一端側から他端側に向かって低くなるように傾斜した状態で屋上部に設置され、水供給手段による水が、ソーラーパネルの一端側に供給されるように構成される。
本発明の屋上緑化の施工設備は、上述のように、屋上部において植物を植生させて緑化を行う水を貯留する緑化用貯水部と、屋上部に設置されたソーラーパネルと、前記緑化用貯水部に貯留された水をソーラーパネルに供給する水供給手段とを具備しているので、そのような水供給手段によって緑化用貯水部に貯留された水がソーラーパネルに供給され、それによってソーラーパネルが好適に冷却されることとなる。
従って、建築物の屋上部の温度が60℃程度の高い温度まで上昇したとしても、ソーラーパネルが上記のような水供給手段によって供給される水によって好適に冷却されるので、ソーラーパネルの発電効率の低下を極力防止することができる。特に、発電効率に優れているが高温に弱い単結晶シリコンや多結晶シリコンからなる汎用性の高いソーラーパネルであっても、上記のような水供給手段によって供給される水によって好適に冷却されるので、そのような汎用性の高いソーラーパネルの劣化を好適に防止できるという効果がある。
しかも、ソーラーパネルに供給された水は緑化用貯水部に返送され、返送された水が水供給手段によって再度ソーラーパネルに供給され、ソーラーパネルへの水の供給と、供給された水の緑化用貯水部への返送とを繰り返して、水が循環して使用されうるように構成されているので、緑化用貯水部に貯留された水を繰り返して使用することができ、緑化用貯水部の水の有効利用を図ることができる。
特に、緑化用貯水部は、植物を植生させて屋上部において緑化を行う水を貯留するためのものであるが、そのような緑化用貯水部の水を、屋上部に併設されているソーラーパネルの冷却という全く別の目的のために有効に利用することができるという効果がある。
一実施形態の屋上緑化設備の全体的配設態様を示す概略平面図。 図1のA−A線断面図。 図1のB−B線断面図。
本発明の屋上緑化の施工設備は、上述のように、屋上部において植物を植生させて緑化を行う水を貯留する緑化用貯水部と、屋上部に設置されたソーラーパネルと、前記緑化用貯水部に貯留された水をソーラーパネルに供給する水供給手段とを具備し、前記ソーラーパネルに供給された水は前記緑化用貯水部に返送可能であり、ソーラーパネルへの水の供給と、供給された水の緑化用貯水部への返送とを繰り返して、水が循環して使用されうるように構成されているものである。
本発明の屋上緑化の施工設備は、屋上部に適用されるものであり、建築物の種類は問うものではないが、傾斜屋根を有する戸建て住宅等よりも、むしろ平坦な屋上部を有するビル等の巨大な建築物の屋上部に好適に適用される。そのような巨大な建築物の屋上部は戸建て住宅の傾斜屋根等よりも高い温度に上昇するため、本発明を適用する実益があるからである。
また、ソーラーパネルの種類も特に限定されるものではないが、発電効率に優れる一方で、高温に比較的弱いことから、単結晶シリコンや多結晶シリコンからなるソーラーパネルに本発明を適用する実益があると考えられる。
さらに、ソーラーパネルを屋上部に設置させる手段は特に限定されるものではないが、たとえば複数の支持体にソーラーパネルを取り付けることによって設置することができる。この場合の支持体の形状、構造等も特に限定されるものではないが、後述するように、緑化用貯水部よりも高い位置に設置することで、容易に水を循環させることができるので、支柱のような支持体を介してソーラーパネルが設置されることが望ましい。
また、ソーラーパネルは、傾斜した状態で設置することが望ましい。この点、一般にソーラーパネルを設置する場合にも、太陽光を受けるのに好適な角度を考慮して傾斜した状態とされるが、本発明においては、ソーラーパネルに供給された水が、ソーラーパネル上を流れて緑化用貯水部へ返送されるようにするために、傾斜した状態で設置することの意義がある。このためには、水供給手段からの水は、傾斜した状態で設置されたソーラーパネルの高い一端側に供給されることが望ましい。
また、屋上緑化の施工に用いられる植物の種類も限定されるものではないが、たとえば緑化用貯水部内に植物を植生させて、緑化用貯水部にあたかも池のような景観を具備させる場合には、水性植物や湿性植物を用いるのが望ましい。これらの植物以外には、たとえばグランドカバー植物等を用いることも可能である。さらに、緑化用貯水部に貯留された水をソーラーパネルに供給すべく循環させる水供給手段としては、たとえばポンプのようなものが用いられる。
次に、本発明のより具体的な実施形態について、図面に従って説明する。図1は、一実施形態の屋上緑化の施工設備を示す概略平面図、図2は図1のA−A線概略断面図、図3は図1のB−B線概略断面図である。
本実施形態の屋上緑化の施工設備においては、図1に示すように、複数のソーラーパネル1が所定間隔ずつ隔てて並設されており、並設された複数のソーラーパネル1,1・・・間には、平面視において多数の植栽ユニット2が2列ずつ配置されている。この植栽ユニット2は、たとえば合成樹脂等で箱状等に形成されたものであり、その植栽ユニット2内に土壌等の植栽基盤や植物等が植栽されるものである。また、前記複数のソーラーパネル1,1・・・間に2列ずつ配置された多数の植栽ユニット2と交差する方向にも植栽ユニット2が多数配置されている。これらの多数の植栽ユニット2によって、前記複数のソーラーパネル1が包囲されるような状態とされている。ソーラーパネル1は、図1に示すように、複数のソーラーパネルユニット1aを組み合わせることによって構成されている。
前記多数の植栽ユニット2のさらに外側には、周壁体3が立設されており、該周壁体3によって植栽ユニット2やソーラーパネル1が包囲された状態とされている。すなわち、この周壁体3は、施工区域の外壁をなすように配置されている。そして、周壁体3で包囲された施工区域の全域に水8が貯留され、その周壁体3で包囲された全域が緑化用貯水部24として構成されている。図1の平面視の状態においては、多数の植栽ユニット2と周壁体3との間の部分が緑化用貯水部24の一部として図示され、緑化用貯水部24の全体が図示されていないが、図2及び図3においては、周壁体3で包囲された全域に水8が貯留されていることが図示されている。
図2及び図3に示すように、屋上面を形成している基礎コンクリート4の上部に、コンクリートで構成された架台基礎5が設置されており、その架台基礎5の上面には、繊維強化プラスチック(以下、FRPという)からなる防水層6が設けられている。
緑化用貯水部24の水8は、上記のように周壁体3で包囲された全域に貯留されているので、図2及び図3に示すように、架台基礎5が設けられた部分において水8が貯留されており、さらに架台基礎5が設けられていない水深部7においても水8が貯留されている。緑化用貯水部24に貯留される水としては、雨水や灌水の余剰水等を利用することができる。
前記架台基礎5の上面に設けられている防水層6は、図2及び図3に示すように、水深部7を経て周壁体3まで延出されている。従って、前記架台基礎5の上面が防水層6で被覆されているだけでなく、水深部7の底面や周壁体3も防水層6で被覆されている。このように、架台基礎5の上面、水深部7の底面、及び周壁体3がすべて防水層6で被覆されていることによって、周壁体3で包囲された緑化用貯水部24の全域に水を貯留することが可能となるのである。
水深部7内には、図2に示すように、水中ポンプ9が設置されている。この水中ポンプ9は、緑化用貯水部24内に貯留された水を循環させるためのポンプである。水中ポンプ9は、それ自体に駆動源を有するが、その水中ポンプ9の動力はソーラーパネルによっても補われる。
さらに、前記架台基礎5には、図2に示すように、高さの異なる3本の支柱10a、10b、10cが立設されており、3本の支柱10a、10b、10cに、ソーラーパネル1が取り付けられている。このように、高さの異なる3本の支柱10a、10b、10cに取り付けられていることによって、ソーラーパネル1は、高い支柱10aで支持された一端11a側から、低い支柱10cで支持された他端11b側にかけて下向きに傾斜した状態となるように設置されている。
また前記水中ポンプ9には、灌水パイプ12が接続されており、該灌水パイプ12の先端部12aが前記ソーラーパネル1の一端11a側に取り付けられている。
さらに、ソーラーパネル1の下部における貯水部分であって架台基礎5の上面には、図2に示すように水性植物13が植栽されており、また架台基礎5の上面の別の箇所には、植栽ユニット2が載置されているとともに、その植栽ユニット2に湿生植物15が植栽されている。また水深部7においても、別の水性植物16が植栽されている。
またソーラーパネル1が設置されていない領域における貯水部分であって、架台基礎5の中央部分の上面には、図3に示すように複数の支持ユニット17(図3においては計7個)が載置されている。その複数の支持ユニット17のうち、中央の3個の支持ユニット17には別の2個の支持ユニット18、18が載置されており、さらにその2個の支持ユニット18、18上には、植栽ユニット2が載置されており、その植栽ユニット2には、グランドカバー植物20が植栽されている。
さらに、前記計7個の支持ユニット17のうち、両側の2個ずつの支持ユニット17、17上には、前記支持ユニット18を介さずに直接植栽ユニット2が載置されており、該植栽ユニット2にグランドカバー植物20が植栽されている。
さらに、架台基礎5の両側の部分においては、支持ユニット17、18を介さずに直接植栽ユニット2が2個ずつ載置されており、該両側の2個の植栽ユニット2には、それぞれ別の湿生植物21、22が植栽されている。さらに、水深部7には、水性植物23が植栽されている。これら支持ユニット17、18や、植栽ユニット2としては、たとえば合成樹脂製のものを用いることができる。
上述のように、平面視の状態を示す図1では、多数の植栽ユニット2が配置された状態のみが示されているが、実際には図2及び図3に示すように、上記支持ユニット17、18によって段差を設けて複数の植栽ユニット2が設置されている。従って、立体的な緑化の施工がなされていることとなる。
上記のような屋上緑化の施工設備において、ソーラーパネル1を冷却する場合には、水深部7に設置された水中ポンプ9を駆動させると、緑化用貯水部24の水は、灌水パイプ12を介して該灌水パイプ12の先端部12aが取り付けられたソーラーパネル1の一端11a側に供給されることとなる。
この場合において、ソーラーパネル1は、一端11a側から他端11b側にかけて下向きに傾斜した状態となるように設置されているので、ソーラーパネル1の一端11a側に供給された水は、該ソーラーパネル1の一端11a側から他端11b側に向かって流れることとなり、該ソーラーパネル1の他端11b側から緑化用貯水部24に落下することとなる。
ソーラーパネル1の他端11b側から緑化用貯水部24に落下した水は、再度水中ポンプ9によって汲み上げられ、灌水パイプ12を介してソーラーパネル1に供給されることとなる。
このようにして、緑化用貯水部24で貯留された水を水中ポンプ9の駆動により灌水パイプ12を介してソーラーパネル1に供給すること、供給された水をソーラーパネル1の一端11a側から他端11b側に向かって流すこと、その水をソーラーパネル1の他端11b側から緑化用貯水部24に落下させることの操作を繰り返すことによって、ソーラーパネル1が好適に冷却されることとなる。
このように、緑化用貯水部24に貯留された水は繰り返して使用することができ、ソーラーパネル1の冷却のために循環的に利用されることとなる。従って、本来は水性植物や湿生植物等を植生させるために屋上部に設置された緑化用貯水部24の水を、ソーラーパネル1の冷却という全く別の目的のために有効に利用することができることとなる。
また、上記のような水の循環利用により、ソーラーパネル1は好適に冷却されることとなる。従って、建築物の屋上部の温度が60℃程度の高い温度まで上昇したとしても、ソーラーパネル1の発電効率の低下を極力防止することができることとなる。
さらに、このようなソーラーパネル1の冷却のための水を貯留する緑化用貯水部24には、上記のように各種の植物が植栽されているので、これらの種々の植物によって、あたかも池に植物が植生しているような景観を付与することができ、変化に富んだ景観を都市部におけるビル等の建築物の屋上部において現出することができることとなる。
1 ソーラーパネル
9 水中ポンプ
10a、10b、10c 支柱
11a 一端
11b 他端
24 緑化用貯水部

Claims (2)

  1. 屋上部において植物を植生させて緑化を行う水を貯留する緑化用貯水部(24)と、屋上部に設置されたソーラーパネル(1)と、前記緑化用貯水部(24)に貯留された水をソーラーパネル(1)に供給する水供給手段とを具備し、前記ソーラーパネル(1)に供給された水は前記緑化用貯水部(24)に返送可能であり、ソーラーパネル(1)への水の供給と、供給された水の緑化用貯水部(24)への返送とを繰り返して、水が循環して使用されうるように構成されていることを特徴とする、ソーラーパネルを用いた屋上緑化の施工設備。
  2. ソーラーパネル(1)が、一端(11a)側から他端(11b)側に向かって低くなるように傾斜した状態で屋上部に設置されており、水供給手段による水が、前記ソーラーパネル(1)の一端(11a)側に供給されるように構成されている、請求項1記載のソーラーパネルを用いた屋上緑化の施工設備。
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