JP2012074419A - 太陽電池モジュール用裏面保護シート、太陽電池モジュール用裏面一体化シート及び太陽電池モジュール - Google Patents
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Abstract
【解決手段】太陽電池モジュール用裏面保護シートが、フッ素系樹脂を主成分とするフッ素系樹脂層と、無延伸ポリプロピレン系樹脂層と、ポリエチレンナフタレート系樹脂層、ポリエチレンナフタレートポリカーボネート系樹脂層、又は変性ポリフェニレンエーテル系樹脂層と、耐候性樹脂を主成分とする耐候性樹脂層と、が順次配置される構成を含む4層以上の積層構造を有する。
【選択図】図2
Description
本発明の太陽電池モジュール用裏面保護シートは、フッ素系樹脂を主成分とするフッ素系樹脂層と、無延伸ポリプロピレン系樹脂層からなる第1中間層と、ポリエチレンナフタレート系樹脂層、ポリカーボネート系樹脂層、又は変性ポリフェニレンエーテル系樹脂層より選択される1以上の層からなる第2中間層と、耐候性樹脂を主成分とする耐候性樹脂層と、が順次配置される構成を含む4層以上の積層構造を有する。例えば、図2に示すような構造を有する。図2は本発明の太陽電池モジュール用裏面保護シートの一例を示す模式図であり、太陽電池モジュール用裏面保護シート10は、フッ素系樹脂層11と、無延伸ポリプロピレン系樹脂層12と、ポリエチレンナフタレート系樹脂層13と、耐候性樹脂層14とを有し、各層は接着剤で接着されており、各層間には接着剤層15が設けられている。
フッ素系樹脂層は、フッ素系樹脂を主成分とする。フッ素系樹脂としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレンとペルフルオロアルキルビニルエ−テルとの共重合体からなるペルフルオロアルコキシ樹脂(PFA)、テトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレンとペルフルオロアルキルビニルエ−テルとヘキサフルオロプロピレン共重合体(EPE)、テトラフルオロエチレンとエチレンとの共重合体(ETFE)、テトラフルオロエチレンとプロピレンとの共重合体、ポリクロロトリフルオロエチレン樹脂(PCTFE)、エチレンとクロロトリフルオロエチレンとの共重合体(ECTFE)、フッ化ビニリデン系樹脂(PVDF)、又は、フッ化ビニル系樹脂(PVF)等が挙げられる。また、これらの樹脂を2種以上併用してもよい。これらの中では、テトラフルオロエチレンとエチレンとの共重合体(ETFE)の使用が非常に好ましい。
また、フッ素系樹脂層の表面には、高い防湿性やガスバリア性を付与するために、金属酸化膜層、金属箔等を設けてもよい。金属酸化物層、金属箔は、従来公知の方法で設けることができる。
無延伸ポリプロピレン樹脂層(第1中間層)には、ポリプロピレン系樹脂が含まれる。使用可能なポリプロピレン系樹脂は、特に限定されず、一般的なものを使用可能である。一般的なのポリプロピレン系樹脂の具体例としては、ポリプロピレンホモポリマー、プロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−αオレフィン共重合体等の各種ポリプロピレン、メタロセン触媒ポリプロピレン等が挙げられる。また、上記ホモポリマーや共重合体に、本発明の効果を害さない範囲で、その他の樹脂成分を含んでもよい。また、無延伸ポリプロピレン系樹脂層には、本発明の効果を害さない範囲で、他の樹脂、一般的な添加剤を含有してもよい。一般的な添加剤としては、上記フッ素系樹脂層の説明で挙げたものと同様のものを挙げることができる。
第2中間層は、ポリエチレンナフタレート系樹脂層、ポリカーボネート系樹脂層、及び変性ポリフェニレンエーテル系樹脂層より選択される1層以上の層からなる。先ずこれらの層の共通点について説明した後、各層について説明する。
耐候性樹脂層とは特開2002−83988号公報に記載される耐候性樹脂と同様のものを使用することができる。耐候性樹脂層は充填材と接する層である。このため、使用する材料の選択は、例えば充填材との密着性を考慮して行うことができる。特に、充填材としてオレフィン系の充填材を用い、耐候性樹脂としてポリエチレン、ポリプロピレンを使用することが非常に好ましい。ポリエチレン、ポリプロピレンはオレフィン系の充填材との密着性も高く、また、これらの材料の組み合わせは太陽電池モジュール用裏面保護シートの耐久性向上に寄与する。耐候性樹脂層には、耐候性樹脂以外の樹脂を含有させてもよい。また、耐候性樹脂層には、フッ素系樹脂層に含有されるような各種添加剤を含有させてもよい。
本発明の太陽電池モジュール用裏面保護シートは、フッ素系樹脂層と、ポリカーボネート系樹脂層又は変性ポリフェニレンエーテル系樹脂層と、耐候性樹脂層とが順次配置される構成を含む4層以上であればよく、本発明の効果を害さない範囲で他の層をさらに含んでもよい。その他の樹脂層に含有される成分、厚み等は適宜変更可能であり、その他の樹脂層の製造方法も特に限定されず、上述の必須の層と同様に従来公知の方法で製造することができる。
本発明の太陽電池モジュール用裏面保護シートの製造方法は、特に限定されるものではなく、例えば、各層の間に接着剤層を設けて、ドライラミネート加工により製造することができる。
本発明において好適な接着剤層は2液タイプの接着剤を用いて形成される。2液タイプの接着剤とは、主剤と硬化剤とを使用直前に混合するタイプの接着剤である。以下、2液タイプの接着剤を構成する主剤、硬化剤及び溶剤等について説明する。
上記接着剤の主剤成分は、ポリウレタンジオール(A)と脂肪族ポリカーボネートジオール(B)との混合物を含む。この混合物に含まれる(A)成分、(B)成分はイソシアネート基を有する硬化剤と反応して、接着剤層を構成する。
上記接着剤の硬化剤は、ポリイソシアネート化合物を主成分とするものである。ポリイソシアネート化合物としては、従来公知のものを使用できる。本発明において硬化剤は、イソホロンジイソシアネートのヌレート体(F)と、ヘキサメチレンジイソシアネート系2官能ポリウレタンジイソシアネート(G)との混合物を含み、これらの質量比率がおよそ(F):(G)=30:70〜50:50であるものが好ましい。
上記接着剤成分である主剤及び硬化剤には、良好な塗布性及びハンドリング適性を得るために、カルボン酸エステル等の溶剤成分を添加することが好ましい。なお、上記接着剤は、主剤と硬化剤の2液剤として構成されるが、主剤で使用される溶剤成分と硬化剤で使用される溶剤成分はそれぞれ独立に選択され、同一でも異なっていてもよい。
接着剤成分には、主剤、硬化剤及び溶剤の他、必要に応じてシランカップリング剤、粘着付与剤、安定化剤、充填剤、可塑剤、軟化点向上剤、触媒等を添加剤として混合することができる。太陽電池モジュール用裏面保護シートの耐久性を向上させる観点から、シランカップリング剤を使用することが好ましい。シランカップリング剤の使用量は、主剤と硬化剤との合計100質量部に対し、およそ1〜3質量部であることが好ましい。
本発明の太陽電池モジュール用裏面一体化シートは、本発明の太陽電池モジュール用裏面保護シートと背面充填材層とが一体化したものである。あらかじめ積層して一体化シートとしておけば、太陽電池モジュールの作製における工数を軽減できる他、部材の輸送や管理を簡略化できる等の面でメリットがある。先ず、背面充填材層について、説明する。
背面充填材層に使用される材料は、特に限定されず、太陽電池モジュールの充填層として使用される公知の樹脂を好ましく使用することができる。このような樹脂としては、例えば、EVA(エチレン−酢酸ビニル共重合体)、ポリビニルブチラール、エチレン系アイオノマー、α−オレフィンとエチレン性不飽和シラン化合物とをコモノマーとして共重合してなる共重合体(オレフィン系充填材)等が挙げられる。
後述する本発明の太陽電池モジュール用裏面一体化シートの製造の際に、背面充填材層からなる充填材シートを使用する場合には、あらかじめ以下の方法で充填材シートを作製する。
太陽電池モジュール用裏面一体化シートの製造方法は、特に限定されず、接着剤を介して張り合わせるドライラミネート法、充填材シートと本発明の太陽電池モジュール用裏面保護シートとの間に変性オレフィン系等の接着性樹脂を溶融押し出ししてサンドラミネートする押し出し同時ラミネーション法、本発明の太陽電池モジュール用裏面保護シート及び背面充填材シートをこれらの厚さ方向に加圧するのと同時に、本発明の太陽電池モジュール用裏面保護シート側から加熱することにより、本発明の太陽電池モジュール用裏面保護シートに面した側を軟化又は溶融させる熱ラミネーション法、本発明の太陽電池モジュール用裏面保護シート上に、充填材シートを構成する樹脂組成物を溶融押し出しする溶融充填材押し出し法等が挙げられる。
以下に示す方法で、フッ素系樹脂層と、無延伸ポリプロピレン系樹脂層と、ポリエチレンナフタレート系樹脂層と、耐候性樹脂層とが順次積層した4層構造の太陽電池モジュール用裏面保護シートを作製した。
フッ素系樹脂層として、25μmのETFEシート(旭硝子社製、商品名「アフレックス」)を使用した。
無延伸ポリプロピレン系樹脂層として、80μmの無延伸ポリプロピレン系樹脂シート(三菱樹脂社製、商品名「アートプライ」)
ポリエチレンナフタレート系樹脂層として、50μmのポリエチレンナフタレート系樹脂シート(帝人デュポン社製、商品名「テオネックス」)を使用した。
直鎖状低密度ポリエチレン(密度0.920g/cm3、住友化学社製、商品名「スミカセン−L」)80質量部に、白色化剤として酸化チタン(石原産業社製、商品名「タイペーク」)を20質量部添加し、ポリエチレン系樹脂組成物を調製し、このポリエチレン系樹脂組成物を押し出し機で押し出して140μmの耐候性樹脂層を作製した。
先ず、主剤の調製について説明する。主剤は、ポリウレタンジオール(A)と脂肪族ポリカーボネートジオール(B)とを混合してなる。以下、ポリウレタンジオール(A)、脂肪族ポリカーボネートジオール(B)の順で説明する。
これらの層を下記のドライラミネート加工により接合し、5日間40℃でエージングすることにより、実施例1の太陽電池モジュール用裏面保護シートを作製した。
耐候性樹脂層として、白色化剤としての酸化チタンを10質量%配合した80μmの無延伸ポリプロピレン系樹脂シートを用いた以外は実施例1と同様の方法で実施例2の太陽電池モジュール用保護シートを製造した。
上記の方法で製造した接着剤に変えて、接着剤として、ポリエステルウレタンを主成分とする接着剤(三井化学社製、商品名「タケラック」)に硬化剤(三井化学社製、商品名「タケネート」)を混合してなる接着性混合液を用いた以外は、実施例1と同様の方法で、実施例3の太陽電池モジュール用裏面保護シートを製造した。
無延伸ポリプロピレン系樹脂層及びポリエチレンナフタレート系樹脂層の変わりに、これらの層の合計厚みと同じ厚みのポリエチレンテレフタレート樹脂層(PET)をフッ素系樹脂層と耐候性樹脂層との間に設けた以外は、実施例1と同様の方法で、比較例1の太陽電池モジュール用裏面保護シートを作製した。
縦150mm、横10mmの実施例及び比較例の太陽電池モジュール用裏面保護シートの耐久性を、太陽電池モジュールの国際規格IEC 61730に準じた方法で評価した。温度85℃、湿度85%RHに設定した環境試験機内に8000時間放置した。その太陽電池モジュール用裏面保護シートを取り出しその縦方向の破断強度を5回測定し平均値を求めた。その平均値を放置前の破断強度の測定値で割った値を破断強度保持率(%)とし、下記基準で評価した。
破断強度保持率(%)
=(8000時間経過後の破断強度)/(初期の破断強度)×100
◎:破断強度保持率 80%以上
○:破断強度保持率 50%以上80%未満
×:破断強度保持率 5%以上50%未満
2 透明前面基板
3 前面充填材層
4 太陽電池素子
5 背面充填材層
6 裏面保護シート
10 太陽電池モジュール用裏面保護シート
11 フッ素系樹脂層
12 無延伸ポリプロピレン系樹脂層
13 ポリエチレンナフタレート系樹脂層
14 耐候性樹脂層
15 接着剤層
Claims (6)
- フッ素系樹脂を主成分とするフッ素系樹脂層と、
無延伸ポリプロピレン系樹脂層からなる第1中間層と、
ポリエチレンナフタレート系樹脂層、ポリカーボネート系樹脂層、及び変性ポリフェニレンエーテル系樹脂層より選択される1以上の層からなる第2中間層と、
耐候性樹脂を主成分とする耐候性樹脂層と、が順次配置される構成を含む4層以上の積層構造を有する太陽電池モジュール用裏面保護シート。 - 前記フッ素系樹脂が、テトラフルオロエチレンとエチレンとの共重合体であり、
前記耐候性樹脂がポリエチレンである請求項1に記載の太陽電池モジュール用裏面保護シート。 - 前記フッ素系樹脂層の厚みが15μm以上75μm以下であり、
無延伸ポリプロピレン系樹脂層の厚みが20μm以上180μm以下であり、
前記第2中間層の総厚みが20μm以上180μm以下であり、
前記耐候性樹脂層の厚みが15μm以上180μm以下である請求項1又は2に記載の太陽電池モジュール用裏面保護シート。 - 前記積層構造の各層は、接着剤層を介して積層され、
前記接着剤層は、主剤と硬化剤とを含む2液タイプの接着剤で形成され、
前記主剤は、下記のポリウレタンジオール(A)と、脂肪族ポリカーボネートジオール(B)との混合物を含み、
前記ポリウレタンジオール(A)は、少なくとも脂肪族ポリカーボネートジオール(C)と、1,6へキサンジオール(D)と、イソホロンジイソシアネート(E)と、を原料とする反応物であり、
前記ポリウレタンジオール(A)の数平均分子量は、7000から13000である請求項1から3のいずれかに記載の太陽電池モジュール用裏面保護シート。 - 請求項1から4のいずれかに記載の太陽電池モジュール用裏面保護シートと、裏面側の充填材層と、が積層工程によりあらかじめ一体化された、太陽電池モジュール用裏面一体化シート。
- 請求項1から4のいずれかに記載の太陽電池モジュール用裏面保護シート、又は請求項5に記載の太陽電池モジュール用裏面一体化シートを使用した太陽電池モジュール。
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