以下、図面を用いて、本発明を実施するための形態(以下、実施形態と称する)を説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係わる誘導加熱調理器のトッププレート上の表示部および操作部を示す平面図である。同図に示す誘導加熱調理器は、図2に示すように、キッチンカウンタ100に形成された所定の大きさの開口部に筺体を嵌合させて組み込まれているものであり、図1は、このように組み込まれた誘導加熱調理器1の上面のトッププレート3の一部を図示しているものである。なお、トッププレート3は光透過性の透視可能な耐熱ガラスで形成されている。
図2に示す誘導加熱調理器1のトッププレート3上には、2つの大きな円形(ここでは200φ以上(単位mm、以下同様))の加熱領域表示マーク17、18と小さな円形の加熱領域表示マーク19が描かれているが、これらの加熱領域表示マーク17、18および加熱領域表示マーク19の真下の誘導加熱調理器筺体内には、それぞれ2個の大きな(ここでは200φ以上)誘導加熱コイルと1個の小さな例えばラジエントヒータなどからなるヒータが設けられている。そして、これらの加熱領域表示マークの上に鍋などを載置すれば、その真下に設けられた誘導加熱コイルまたはヒータにより鍋が加熱され、調理が行われるようになっている。
また、図2において、加熱領域表示マーク17、18の前側、すなわち誘導加熱調理器1のトッププレート3の前部には、図2では点々のようなドットとして見えるだけであり、後述する図1で詳しく説明するが、各誘導加熱コイルの火力の状態の表示、各誘導加熱コイルの火力の調整操作、各誘導加熱コイルの起動または停止などを行うための表示操作部5が設けられている。
この表示操作部5は、図1に詳細に示すように、加熱領域表示マーク17に対応して、その直近の前側に小さな矩形を一列に10個並べた火力表示マーク51がトッププレート3上に表示され、またこの10個の火力表示マーク51のすぐ傍の前側には、「とろ火」「弱火」「中火」「強火」なる文字からなる4個の火力操作スイッチ兼表示マーク53が火力表示マーク51と平行に並んでトッププレート3上に表示されている。また、上述した火力表示マーク51および火力操作スイッチ兼表示マーク53は、図1で左側に示す加熱領域表示マーク18に対しても同様に表示されている。
10個の矩形の火力表示マーク51は、後述するように、トッププレート3の下方に設けられている不透明な非導電性の塗装膜を打ち抜くなどして形成された矩形を下方から導かれてくる光で照明し、この照明表示された矩形の位置、すなわち10個の矩形のうちの表示された矩形の位置により誘導加熱コイルの火力の状態を段階的にトッププレート3を介して表示するものであり、火力が一番弱い場合には、左端の矩形の1個の火力表示マーク51のみが表示され、火力が最も強い場合には、左端から右端までの矩形の10個すべての火力表示マーク51が表示されるというように火力に応じて左端から順に右端まで表示されるようになっている。
「とろ火」「弱火」「中火」「強火」なる文字からなる4個の火力操作スイッチ兼表示マーク53は、これらの「とろ火」「弱火」「中火」「強火」の各文字のトッププレート3の下に静電容量検知スイッチが設けられ、これらの各文字の部分に対してトッププレート3上からユーザが指などを近接または接触させると、この近接または接触を静電容量検知スイッチで検知して、当該文字に対応する操作、例えば「弱火」の場合には誘導加熱コイルの火力を「弱火」に設定する操作を行わせるように制御するためのものであるとともに、また各文字のトッププレート3の下方に設けられた前記塗装膜や導電体などには各文字の形で打ち抜くなどして形成された「とろ火」「弱火」「中火」「強火」なる抜き孔が形成され、この各文字の抜き孔を下方から導かれてくる光で照明して表示するようになっている。
すなわち、上述したように、例えば「弱火」などの文字の部分に対してユーザが指などを近接または接触させて、「弱火」などの文字に対応する操作を設定した場合には、この近接または接触操作された「弱火」などの文字の抜き孔を下方からの光で照明して表示し、「弱火」などの文字に対応する操作が設定されたことを表示するとともに、この「弱火」に対応する火力の表示も火力操作スイッチ兼表示マーク53の上にある前記火力表示マーク51で行うように図示しない制御部で制御されるものである。すなわち、「弱火」が操作された場合には、火力表示マーク51も例えば左から3または4つまでの矩形が照明表示されるようになっている。
更に、加熱領域表示マーク17に対応する火力操作スイッチ兼表示マーク53と加熱領域表示マーク18に対応する火力操作スイッチ兼表示マーク53との間のトッププレート3には、「< >」「メニュー」「スタート/切」「スタート/切」「メニュー」「< >」からなる6個の操作スイッチマーク55が設けられているが、この操作スイッチマーク55は、これらの「< >」「メニュー」「スタート/切」「スタート/切」「メニュー」「< >」の各文字、マークのトッププレート3の下に静電容量検知スイッチが設けられ、これらの各文字マークの部分に対してトッププレート3上からユーザが指などを近接または接触させると、当該文字、マークに対応する操作を行うためのものである。
例えば、「< >」は、「<」に対してユーザが指などを近接または接触させると、該当する誘導加熱コイル、すなわちこの「< >」に対応する近い方の誘導加熱コイルの火力を低減する操作を行い、「>」に対してユーザが指などを近接または接触させると、該当する誘導加熱コイルの火力を増大する操作を行うものである。また、「メニュー」は、この「メニュー」に対してユーザが指などを近接または接触させると、該当する誘導加熱コイルに対するメニューを選択表示するものであり、更に「スタート/切」は、この「スタート/切」に対してユーザが指などを近接または接触させると、該当する誘導加熱コイルを起動させたり、遮断させる動作が一回毎に交互に行われるものである。
また、前記表示操作部5の奥側の加熱領域表示マーク17、18の間にある「高温注意」なる文字と3つの丸印からなる高温注意マーク57は、火力表示マーク51と同様にトッププレート3の下方に設けられている前記塗装膜に「高温注意」および3つの丸印なる抜き孔が形成されていて、この各文字の抜き孔を下方から導かれてくる光で照明して表示するようになっている。「高温注意」は、誘導加熱コイルが使用後などで高温状態にあることを示すものであり、その下の3つの丸印は、図2に示す加熱領域表示マーク17、18および加熱領域表示マーク19を示すものであり、この3つの丸印により加熱領域表示マーク17、18および加熱領域表示マーク19のうちのどのマーク上のトッププレート3の部分が高温状態にあるかを示しているものである。なお、誘導加熱コイルが高温状態にあるか、またどの誘導加熱コイルであるかは、誘導加熱調理器1の筺体内に設けられている図示しない制御部からの制御により行われるようになっている。
図1において、加熱領域表示マーク17、18と火力表示マーク51との間には、点線で筺体の前側の枠体が示されているが、上述した火力表示マーク51、火力操作スイッチ兼表示マーク53および操作スイッチマーク55は、この点線の前側、すなわち筺体の前側の枠体の前方の前側フランジ部に設けられているものであり、詳細には図3を参照して後述するように、筺体内には設けられていない。
なお、筺体は、上述したように、キッチンカウンタに形成された所定の大きさの開口部に嵌合して組み込まれるように構成されるが、この筺体は、前記開口部に嵌合される外周が矩形の枠体で構成され、この周囲を囲む矩形の枠体には筺体から外方に鍔状に延出するフランジ部が設けられ、誘導加熱調理器の筺体をキッチンカウンタの開口部に組み込んだ場合、筺体の周囲のフランジ部がキッチンカウンタ上に掛かって、誘導加熱調理器がキッチンカウンタに組み込まれるようになっている。
そして、上述した火力表示マーク51、火力操作スイッチ兼表示マーク53および操作スイッチマーク55は、誘導加熱調理器の筺体の矩形の枠体の中に相当する部分に位置するのでなく、枠体から前方に延出したフランジ部、すなわち前側フランジ部とトッププレート3との間に配設されるものである。この結果、従来では、筐体内に収納される誘導加熱コイルやヒータの直径は、大きくても例えば、左右前方190φ、中央後方145φ程度以下であったが、誘導加熱調理器の筺体は、従来のように表示部や表示装置で占有されることがなく、その分誘導加熱コイルなどを例えば200φ以上に大きくすることができ、ひいては誘導加熱コイルが大きくなった分、加熱領域表示マーク17、18なども例えば200φ以上に大きく示すことができるものである。
このように誘導加熱コイルを大きくでき、加熱領域表示マーク17、18も大きくできることにより、従来のように、誘導加熱コイルが大きくできずに、例えば大きなフライパンなどの全体に熱が均等に発生せず、温度分布が不均一になるという問題が解消されるとともに、また加熱領域表示マークも大きくできないため、大きな鍋などで加熱領域表示マークが隠れてしまい、鍋が誘導加熱コイルの中心に設定されているのかどうか分かりにくくなり、鍋の中心が誘導加熱コイルの中心からずれたりして、加熱効率が悪くなり、調理性能が悪化するという問題も解消されるものである。
また、上述したように、表示操作部5が誘導加熱調理器の筺体の外側の前側フランジ部13に配設されたことにより、誘導加熱調理器の筺体にその分スペースができたので、図1に示す加熱領域表示マーク19の真下に設けられているラジエントヒータなどからなるヒータを例えば190φ程度の大きな誘導加熱コイルに変更することもでき、加熱領域表示マーク17、18の真下の2個の誘導加熱コイルも大きなものとして、3個の大きな誘導加熱コイルを誘導加熱調理器の筺体内に収納することも可能であるし、更には4個の誘導加熱コイルを筺体内に収納することも可能である。
図3は、図1および図2に示す誘導加熱調理器1の筺体の前側フランジ部とトッププレート3との間の構成を示す図1の線Z−Zに沿った断面図であり、この前側フランジ部とトッププレート3との間に前記火力表示マーク51、火力操作スイッチ兼表示マーク53、操作スイッチマーク55およびこれらのマークを構成する表示機能部および上述した静電容量検知スイッチからなる操作スイッチ制御機能部が構成されるものである。
図3において、符号11は、誘導加熱調理器1の上述した筺体の前側の枠体を示すものであり、この前側枠体11の上端は、図3で左側に折曲し、更に誘導加熱調理器の筺体の前方に延出して、前側フランジ部13を構成している。この前側フランジ部13と誘導加熱調理器1のトッププレート3との間に上述した各マーク51、53、55、57の内部構造を構成する表示機能部と静電容量検知スイッチを含む操作スイッチ制御機能部が設けられている。なお、前側フランジ部13の先端寄りの部分には、金属製の支持部材39が取り付けられ、この支持部材39の先端には、シリコンなどからなる周縁部材21が被せられ、これにより支持部材39の先端を外部に露出しないようになっている。
まず、トッププレート3の下面には、非導電性のスパッタにより半透明層15が形成され、この半透明層15の下面には不透明な非導電性の塗装膜37が形成され、この不透明な塗装膜37によりトッププレート3の下方の内部が見えないようになっている。なお、この塗装膜37に上述した火力表示マーク51の「矩形」や火力操作スイッチ兼表示マーク53の「とろ火」「弱火」「中火」「強火」なる文字が抜き孔などにより形成され、この抜き孔に対して下方から光で当てることにより、これらの「矩形」や「とろ火」「弱火」「中火」「強火」なる文字が照明表示されることになっている。また、この塗装膜37の下面に前記支持部材39および周縁部材21の上面が当接し、これにより塗装膜37、半透明層15を介してトッププレート3を前側フランジ部13で支持している。
更に、前記塗装膜37の下面には、例えば導電塗料の印刷焼き付けなどにより形成される第1の導電体23が設けられ、この第1の導電体23の下面は、フレキシブル基板などからなる可撓性のある光透過性の電気絶縁基板25を介して銅薄膜などからなる第2の導電体27が設けられている。電気絶縁基板25および第2の導電体27は、トッププレート3の下面に沿って平行に筺体内に向かって延出してから、下方に折曲し延出しているが、第2の導電体27の下端は、誘導加熱調理器の制御部35に接続されている。なお、電気絶縁基板25を間に挟んだ第1の導電体23と第2の導電体27とにより上述した操作スイッチ制御機能部の静電容量検知スイッチを構成している。
また、第2の導電体27の下面には、薄板状の光拡散板29が取り付けられ、この光拡散板29の下面には、導光部材31が取り付けられている。この導光部材31は、前記第2の導電体27に寄り添うようにトッププレート3の下面に沿って平行に筺体内に向かって延出してから、下方に折曲し延出しているが、この導光部材31の下端には、光源である発光ダイオード、すなわちLED33が近接して設けられ、このLED33からの光が導光部材31の下端から導光部材31内に入射し、導光部材31内を伝播して、前側フランジ部13で支持されているトッププレート3の真下の導光部材31の先端まで進み、この導光部材31の先端部分の上面に取り付けられている光拡散板29にLED33からの光が入射するようになっている。光拡散板29は、導光部材31を介したLED33からの光を受光すると、この光を上方に拡散するようになっている。
図3において、塗装膜37には、抜き孔などの開口部である2個の光透過部37aおよび光透過部37bが形成されているが、図3は図1の線Z−Zに沿った断面図であって、この光透過部37aは、図1に示す火力操作スイッチ兼表示マーク53の「弱火」なる文字を示すための開口部であり、光透過部37bは、火力表示マーク51の左から4番目の「矩形」を示すための開口部である。
まず、火力操作スイッチ兼表示マーク53を構成する表示機能部および静電容量検知スイッチからなる操作スイッチ制御機能部について説明する。火力操作スイッチ兼表示マーク53の表示機能部は、光透過部37aの下側の第1の導電体23にも同様に抜き孔などの開口部からなる光透過部23aが形成されているが、この第1の導電体23の光透過部23aは、「弱火」なる文字の形の抜き孔などを第1の導電体23に形成して構成されるものである。
また、第1の導電体23の光透過部23aの下方、すなわち第1の導電体23の下面の電気絶縁基板25を介した光透過部23aの下方の第2の導電体27にも同様に抜き孔などの開口部である光透過部27aが形成されている。この第2の導電体27の光透過部27aも、光透過部23aと同様に、「弱火」なる文字の形の抜き孔などを第2の導電体27に形成して構成されるものであるが、光透過部27aで形成される「弱火」なる文字の形の抜き孔は光透過部23aのものよりも若干大きく相似形に形成されている。
このように「弱火」なる文字の抜き孔が相似形に形成された第1の導電体23の光透過部23aおよび第2の導電体27の光透過部27aに対して、前記LED33からの光が導光部材31を伝播して光拡散板29に入射して上方に拡散されると、この光は、光透過部27aを通過し、更に透光性の電気絶縁基板25を透過してから、光透過部23a、光透過部37aを通過し、半透明層15を透過し、トッププレート3も通過し、トッププレート3の上方に出射するので、ユーザはトッププレート3の上方から「弱火」なる文字が照明表示されたことを認識することができる。
なお、このLED33からの光による「弱火」なる文字の表示は、制御部35の制御により行われるものである。すなわち、後述するように、この「弱火」の火力操作スイッチ兼表示マーク53を構成している静電容量検知スイッチがユーザの指などの近接または接触を検知し、この検知信号に応答して制御部が作動し、LED33からの光による「弱火」なる文字の表示を行うものである。
この光透過部23aおよび光透過部27aで構成される「弱火」なる文字表示部分は、この「弱火」なる文字の火力操作スイッチ兼表示マーク53のうちの火力操作スイッチ部分である静電容量検知スイッチも構成しているものであり、この「弱火」なる文字表示部分に対してユーザが指などをトッププレート3の上方から近接または接触させると、この近接または接触を静電容量検知スイッチが静電容量の変化として検知し、この検知信号により制御部35が作動し、対応する誘導加熱コイルの火力を「弱火」に設定するとともに、上述したように、「弱火」なる文字を表示するものであるが、この静電容量検知スイッチは、電気絶縁基板25を挟んだ光透過部23aを構成する第1の導電体23と光透過部27aを構成する第2の導電体27とで構成される。
更に詳しくは、「弱火」なる文字の抜き孔は、例えば15mm角程度の矩形の第1の導電体23と第2の導電体27に形成されているものであるが、この矩形の第1の導電体23と第2の導電体27の「弱火」なる文字として抜かれた部分以外のその他の残っている部分の第1の導電体23と第2の導電体27とが電気絶縁基板25を挟んで静電容量の両電極として機能して静電容量検知スイッチを構成しているものである。従って、この「弱火」なる文字部分に対してユーザが指などをトッププレート3の上方から近接または接触させると、この近接または接触により電気絶縁基板25を挟んだ「弱火」なる文字として抜かれた部分以外の矩形の第1の導電体23と第2の導電体27の間の静電容量が変化するので、この静電容量の変化を静電容量検知スイッチが検知するものである。
すなわち、光透過部37aの下側の光透過部23aと光透過部27aの第1の導電体23および第2の導電体27は、電気絶縁基板25を挟んで静電容量検知スイッチとしても機能して、「弱火」なる文字へのユーザの指などの近接または接触を検知するとともに、この検知に応じて制御部35が光透過部23aと光透過部27aからなる「弱火」なる文字をLED33の光で下方から照明して表示するとともに、誘導加熱コイルの火力を「弱火」に設定するものである。
次に、図3において、光透過部37aの後方の筺体寄りに位置し、火力表示マーク51の左から4番目の矩形を示すための開口部である光透過部37bに関連する火力表示マーク51を構成する表示機能部について説明する。この火力表示マーク51の表示機能部は、光透過部37bの下側の第1の導電体23にも同様に抜き孔などの開口部からなる光透過部23bが形成されているが、この第1の導電体23の光透過部23bは、火力表示マーク51の左から4番目の矩形を抜き孔などで第1の導電体23に形成して構成されるものである。
また、第1の導電体23の光透過部23bの下方、すなわち第1の導電体23の下面の電気絶縁基板25を介した光透過部23bの下方の第2の導電体27にも同様に抜き孔などの開口部である光透過部27bが形成されているが、この第2の導電体27の光透過部27bも、光透過部23bと同様に、矩形の形を抜き孔などで第2の導電体27に形成して構成されるものであるが、光透過部27bで形成される矩形の形の抜き孔は光透過部23bのものよりも若干大きく相似形に形成されている。
このように矩形の形の抜き孔が相似形に形成された第1の導電体23の光透過部23bおよび第2の導電体27の光透過部27bに対して、LED33からの光が導光部材31を伝播して光拡散板29に入射して上方に拡散されると、この光は、光透過部27bを通過し、更に透光性の電気絶縁基板25を透過してから、光透過部23b、光透過部37bを通過し、半透明層15を透過し、トッププレート3も通過し、トッププレート3の上方に出射するので、ユーザはトッププレート3の上方から矩形の形が照明表示されたことを認識することができる。なお、この第1の導電体23の光透過部23bおよび第2の導電体27の光透過部27bで構成される火力表示マーク51の表示機能部は、操作スイッチ制御機能部の静電容量検知スイッチを持ってなく、単に表示機能のみである。
次に、「< >」「メニュー」「スタート/切」「スタート/切」「メニュー」「< >」からなる6個の操作スイッチマーク55の操作スイッチ制御機能部は、表示機能部はなく、単に静電容量検知スイッチによる操作スイッチ機能のみであるので、その構成は、火力操作スイッチ兼表示マーク53の操作スイッチ制御機能部と同じ構成である。また、高温注意マーク57は、表示機能部のみであるので、火力表示マーク51と同じ構成である。
なお、上述した火力表示マーク51を構成する10個の「矩形」、火力操作スイッチ兼表示マーク53を構成する「とろ火」「弱火」「中火」「強火」および操作スイッチマーク55を構成する「< >」「メニュー」「スタート/切」「スタート/切」「メニュー」「< >」なる複数の表示/操作要素の各々毎に上述した表示機能部および操作スイッチ制御機能部がそれぞれ独立に設けられているものである。すなわち、各表示/操作要素毎に、少なくとも光透過部37a、光透過部23a、光透過部27a、導光部材31およびLED33が独立に設けられているものである。
但し、「弱火」などの文字の1つと火力表示マークの1つ(例えば3つめ)を共用しても良い。また、火力表示マーク51と「弱火」などの文字(キー)の数を同数とし、個々の火力表示マーク51と「弱火」などの文字(キー)を一対一に対応させれる構成とすれば、導光部材31およびLED33を兼用できる。更にまた、火力表示マーク51を省略し、「弱火」などの文字で火力表示を兼用しても良い。
なお、上記実施形態では、操作スイッチマーク55を構成する「< >」「メニュー」「スタート/切」「スタート/切」「メニュー」「< >」は、操作スイッチ制御機能部のみとしたが、火力操作スイッチ兼表示マーク53と同様に表示機能部を有してもよいものであり、その場合の構成は、火力操作スイッチ兼表示マーク53と同じである。
なお、図3に示す実施形態では、透光性の電気絶縁基板25を用いたが、非透光性の基板を用いてもよく、この場合は、第2の光透過部27aと同様の光透過部を設ければよい。
なお、図2に示す実施形態では、「とろ火」「弱火」「中火」「強火」なる文字からなる4個の火力操作スイッチ兼表示マーク53を設け、これらの「とろ火」「弱火」「中火」「強火」の各文字のトッププレート3の下に4個の静電容量検知スイッチを設け、抜き孔を設けて光で照明し、「< >」で火力を調節する構成としたが、この静電容量検知スイッチの構成を、光照明をなしにするとともに、10個の火力表示マーク51に対応した10個の静電容量検知スイッチの構成として、「< >」を用いることなく直接火力を調節するようにしても良い。この場合「< >」は、タイマー設定や温度設定用とする。
図4は、本発明の他の実施形態に係わる誘導加熱調理器の回路機能部の構成を示す機能ブロック図である。この実施形態の誘導加熱調理器は、大直径の誘導加熱コイル、中直径の誘導加熱コイル、および小直径の誘導加熱コイルを有し、トッププレート3上に載置される鍋などの被加熱物である調理器具36の大きさに応じて大直径と小直径または中直径と小直径の誘導加熱コイルを選択し、調理器具の大きさに適した誘導加熱コイルで調理器具を均一に加熱しようするものである。
すなわち、本発明では、上述した図1乃至図3の実施形態で説明したように、火力表示マーク51、火力操作スイッチ兼表示マーク53および操作スイッチマーク55を前側フランジ部上のトッププレート3の上に表示するとともに、これらのマークを構成する操作スイッチ制御機能部および表示機能部を前側フランジ部とトッププレート3との間に配設し得るように構成したことも相俟って大直径の誘導加熱コイルを使用可能になったものであるので、この大直径の誘導加熱コイルを使用して、直径の大きな調理器具36の場合には、大直径と小直径の誘導加熱コイルを選択し、この大直径と小直径の誘導加熱コイルで大直径の調理器具36の底全体を均等に加熱するも、直径の小さなまたは中位の調理器具36の場合には、大直径の誘導加熱コイルは不要であるので、中直径と小直径の誘導加熱コイルを選択し、この大直径と小直径の誘導加熱コイルで小直径または中直径の調理器具36の底全体を無駄なく効率的に加熱しようとするものである。
図4に示す誘導加熱調理器の回路機能部は、調理器本体3の内部に設けられ、マイクロコンピュータによって構成される火力制御装置41を有する。この火力制御装置41には、上述したように、筺体から前側に延出した前側フランジ部13の上のトッププレート3上に表示された表示操作部5を構成する火力操作スイッチ兼表示マーク53および操作スイッチマーク55のスイッチ操作を検知する操作スイッチ制御機能部60と火力表示マーク51および火力操作スイッチ兼表示マーク53に対する表示制御を行う表示機能部62とが接続され、操作スイッチ制御機能部60からは、前記静電容量検知スイッチからのスイッチ操作信号が火力制御装置41に供給され、表示機能部62に対しては、火力制御装置41から表示信号が供給されるようになっている。
火力制御装置41には、誘導加熱コイルに高周波電流を供給して駆動するインバータ42が接続されているが、このインバータ42の一方の出力端は、トッププレート上に載置される鍋などの調理器具36の大きさを検知する検知手段を構成する電流トランス47を介して直径が小さな誘導加熱コイル8cの一端に接続され、この小直径誘導加熱コイル8cの他端は、切替スイッチ10を介して直径が大きな誘導加熱コイル8aの一端と直径が中位の誘導加熱コイル8bの一端に接続され、この大直径誘導加熱コイル8aと中直径誘導加熱コイル8bの他端は、共通に接続されてから共振コンデンサ43を介してインバータ42の他方の出力端に接続されている。
なお、図4では、切替スイッチ10は、実線で示すように小直径誘導加熱コイル8cを大直径誘導加熱コイル8aに接続するように切り替えられているが、火力制御装置41の制御により切替スイッチ10が図4において点線で示す側に切替制御された場合には、切替スイッチ10は小直径誘導加熱コイル8cを中直径誘導加熱コイル8bに接続することになる。
誘導加熱コイル8a、8b、8cは、図5にトッププレート3の上方からトッププレート3を除いて見た平面図として示すように、大直径誘導加熱コイル8a、中直径誘導加熱コイル8bおよび小直径誘導加熱コイル8cの順で外周部側から内側に向かって同心円状にトッププレート3の下側に構成されている。すなわち、大直径誘導加熱コイル8aは、直径が一番大きく、小直径誘導加熱コイル8cは、直径が一番小さく、中直径誘導加熱コイル8bは、大直径誘導加熱コイル8aと小直径誘導加熱コイル8cとの間の中位の直径を有し、これら3個の誘導加熱コイル8a、8b、8cが同心円状に配設されている。
そして、誘導加熱調理器のトッププレート3上に載置される鍋などの調理器具36の直径が大きい場合には、切替スイッチ10の切替により大直径誘導加熱コイル8aと小直径誘導加熱コイル8cで直径の大きな調理器具36の底全体を均等に加熱し、調理器具36の直径が小さい場合には、切替スイッチ10の切替により中直径誘導加熱コイル8bと小直径誘導加熱コイル8cで直径の小さな調理器具36の底全体を無駄なく効率的に加熱するようになっている。
図4では、インバータ42の出力に接続された小直径誘導加熱コイル8cに対して切替スイッチ10を介して大直径誘導加熱コイル8aまたは中直径誘導加熱コイル8bが直列に接続されている。そして、切替スイッチ10が図示のように小直径誘導加熱コイル8cを大直径誘導加熱コイル8aに接続している状態では、小直径誘導加熱コイル8cは切替スイッチ10を介して大直径誘導加熱コイル8aに直列に接続され、この小直径誘導加熱コイル8cと大直径誘導加熱コイル8aの直列回路には、更に共振コンデンサ43が直列に接続されてから、インバータ42の他方の出力に接続され、共振コンデンサ43を介して小直径誘導加熱コイル8cと大直径誘導加熱コイル8aがインバータ42からの高周波電流で駆動され、これにより直径が大きい調理器具36を小直径誘導加熱コイル8cと大直径誘導加熱コイル8aとで均一に加熱する。
また、切替スイッチ10が点線で示すように図4で上側に切り替わって、小直径誘導加熱コイル8cが切替スイッチ10を介して中直径誘導加熱コイル8bに直列に接続されると、この小直径誘導加熱コイル8cと中直径誘導加熱コイル8bの直列回路に共振コンデンサ43が直列に接続されてから、インバータ42の他方の出力に接続され、共振コンデンサ43を介して小直径誘導加熱コイル8cと中直径誘導加熱コイル8bがインバータ42からの高周波電流で駆動され、これにより直径が小さい調理器具36を小直径誘導加熱コイル8cと中直径誘導加熱コイル8bとで無駄なく効率的に加熱するようになっている。
トッププレート3上に載置される鍋などの調理器具36の大きさを検知する検知手段を構成する電流トランス47は、具体的にはトッププレート3上に載置される鍋などの調理器具36を誘導加熱コイル8(誘導加熱コイル8a、8b、8cを総称的に記載する場合には、単に誘導加熱コイル8と記載する)で加熱した場合に誘導加熱コイル8に流れる電流を検知し、この検知信号を火力制御装置41に供給する。
この電流トランス47の検出値に入力電圧を乗ずると皮相電力になる。また、整流回路45の入力側には、電流トランス46が配置されており、その検知信号は火力制御装置41に与えられている。この電流トランス46の検出値に入力電圧を乗ずると有効電力になる。火力制御装置41は、この所定有効電力当たりの皮相電力、即ち、(皮相電力/有効電力)=(電流トランス46の検出電流/電流トランス47の検出電流)に基づき調理器具36の大きさ、すなわち調理器具36の直径の大きさを判定することができる。
火力制御装置41は、この判定結果で調理器具36が直径の小さいものであると判定した場合には、切替スイッチ10を図4で点線のように上側に切替制御し、小直径誘導加熱コイル8cと中直径誘導加熱コイル8bを直列接続し、この小直径誘導加熱コイル8cと中直径誘導加熱コイル8bにインバータ42から高周波電流を供給して駆動し、直径の小さい調理器具36を無駄なく効率的に加熱する。
一方、火力制御装置41は、前記判定結果で調理器具36が直径の大きなものであると判定した場合には、切替スイッチ10を図4で実線のように下側に切替制御し、小直径誘導加熱コイル8cと大直径誘導加熱コイル8aを直列接続し、この小直径誘導加熱コイル8cと大直径誘導加熱コイル8aにインバータ42から高周波電流を供給して駆動し、直径の大きな調理器具36の底全体を均等に加熱する。
また、インバータ42には、商用交流電源44の交流電力を整流回路45を介して直流電力に変換したものが駆動用電源として供給されている。火力設定表示手段としては、例えば図1に示す誘導加熱コイル8a、8b、8cに対応する部分に直接的に視認できる表示であったり、あるいは火力表示マーク51や火力操作スイッチ兼表示マーク53に間接的に認識できる表示が、それぞれ適宜、片方、あるいは両方の表示が採用される。
更に、トッププレート3の下面には、例えばサーミスタなどで構成される温度センサ32が配置され、この温度センサ34でトッププレート3の下面の温度を検知する。この検知信号は、温度センサ検知部34cを介して火力制御装置41に供給されている。また、トッププレート3の下方には、赤外線センサ32が設けられ、この赤外線センサ32により調理器具36から放射された赤外線を検知し、この検知信号を赤外線センサ検知部32cを介して火力制御装置41に供給するようになっている。
以上のように構成される誘導加熱調理器において、トッププレート3上に調理器具36が載置されてから、例えば火力操作スイッチ兼表示マーク53の「強火」に使用者の指などが近接または接近して操作されると、この指の近接または接近操作が「強火」の真下に設けられている静電容量検知スイッチにより検知され、この検知信号は操作スイッチ制御機能部60から火力制御装置41に供給される。
火力制御装置41は、操作スイッチ制御機能部60から「強火」の操作検知信号を受け取ると、インバータ42を介して小直径誘導加熱コイル8cと大直径誘導加熱コイル8aからなる誘導加熱コイルに高周波電流を流す。この場合の電流は、電流トランス47で検知され、検知信号として火力制御装置41に供給される。火力制御装置41は、この電流トランス46、47からの検知信号に基づいてトッププレート3上に載置された調理器具36が大きいものであるか小さいものであるかを判定する。
火力制御装置41は、調理器具36の大きさを判定した場合に、この判定結果から小さい調理器具36であることがわかると、切替スイッチ10を中直径誘導加熱コイル8b側に切替制御し、小直径誘導加熱コイル8cと中直径誘導加熱コイル8bにインバータ42から高周波電流を流して小さい調理器具36を無駄なく効率的に加熱する。一方、火力制御装置41は、判定結果から大きい調理器具36であることがわかると、切替スイッチ10を大直径誘導加熱コイル8a側に切替制御し、小直径誘導加熱コイル8cと大直径誘導加熱コイル8aにインバータ42から高周波電流を流して大きい調理器具36を均等に加熱する。
更に、上記実施形態では、電流トランス46、47で検知した誘導加熱コイルに流れる電流に基づき火力制御装置41において調理器具36の大きさを判定しているが、本発明は、これに限定されるものでなく、調理器具36の大きさが分かればよいものであり、例えば誘導加熱コイル8と共振コンデンサ43による共振回路のインピーダンスの変化を利用して調理器具36の大きさを判定したり、または複数の周波数の高周波電流を流し、各周波数における電流トランス47の検知電流、インピーダンス比、電力比などに基づき調理器具36の大きさを判定するなどのように種々の方法が可能である。
また更に、上記実施形態では、小直径誘導加熱コイル8cに対して大直径誘導加熱コイル8aまたは中直径誘導加熱コイル8bを切替スイッチ10で切り替えて直列接続しているが、小直径誘導加熱コイル8cに対して中直径誘導加熱コイル8bを常時接続した直列回路を小さい調理器具36に対して使用し、調理器具36が大きい場合には、この常時接続した小直径誘導加熱コイル8cと中直径誘導加熱コイル8bの直列回路に対して大直径誘導加熱コイル8aを更に直列接続するように構成してもよい。また、誘導加熱コイル8は3個である必要はなく、2個でもよいし、4個以上でもよい。更に、各誘導加熱コイル8は直列接続でなく、並列接続でもよいものである。
また、上記実施形態では、大直径誘導加熱コイル8a、中直径誘導加熱コイル8b、小直径誘導加熱コイル8cを設け、鍋などの被加熱物を大直径、中直径、小直径の3種類に分けているが、本発明はこれに限定されるものではなく、任意の種類に分けることも可能である。要は、被加熱物を均等に無駄なく、効率的に加熱し得るように被加熱物の大きさに合った加熱を行えばよいものであり、被加熱物の大きさの分類や誘導加熱コイルの数、接続方法、切替制御も被加熱物の大きさに合うように行えばよいものである。
なお、実施形態は例示であり、発明の範囲はそれらに限定されない。