JP2012073571A - 有機感光体と画像形成装置 - Google Patents

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【課題】本願発明の目的は、コート紙上に電子写真画像を形成する時等の高画質、高階調の電子写真画像で発生しやすいスジ模様の画像欠陥や階調ムラの画像欠陥を解決し、高画質、高階調の電子写真画像を提供できる有機感光体を提供することであり、該有機感光体を用いた画像形成装置、プロセスカートリッジを提供することである。
【解決手段】円筒状基体上に少なくとも電荷発生層、電荷輸送層を有する有機感光体において、該円筒状基体がその外周面に中心軸に沿って規則的に形成された凹凸加工形状を有し、該凹凸形状の加工周期の差(ΔL)が式1を満たし、且つ前記電荷発生層が多環キノン顔料を含有することを特徴とする有機感光体。
式1 10μm≦ΔL
【選択図】図2

Description

本発明は、電子写真方式の画像形成において、極めて高画質な画像形成に対応できる有機感光体と、画像形成装置に関するものである。
近年、乾式電子写真方式を用いたプリントシステムの画質が向上し、比較的少部数の印刷分野で広く用いられるようになってきた。その結果として、要求画質が更に上昇し、また従来は珍しかった用いられ方、例えばコート紙へのプリント、高カバレッジ画像のプリント、高画質画像の大量プリント等が、多用されるようになってきた。それに伴い従来は指摘されなかった不具合の発生が増大している。
その一つに、露光パターンと感光体基体面の切削周期に起因すると思われるハーフトーン画像の干渉スジ模様の発生がある。これは中間色の均一性向上に関する要求と画像形成装置の性能の向上、及びコート紙の使用といった組み合わせによって、近年、頻発してきた問題であり、従来技術では対応し切れなくなっている。
因みに従来は、感光体基体面の凹凸形状を工夫して対応してきた(例えば、特許文献1〜3)。これらに示されている対応策は、従来問題となっていた干渉縞への対策としては効果を発揮している。しかしながら、これらの対応策の凹凸形状の基体面を有する感光体でコート紙での高画質画像を作製すると、該凹凸形状に基づくスジ模様が顕在化するという問題が発生している。
又、コート紙を用いた電子写真画像では、普通紙の電子写真画像に比べて多階調の高画質画像が得られるが、凹凸形状の基体面を有する感光体では、階調ムラが発生しやすいという問題も発生している。
即ち、従来の凹凸形状の感光体基体の加工では、従来主流であったオフィス等での普通紙に出力される画像品質レベルには充分な効果を有しているが、しかし、近年需要が増大している高画質出力画像(例えば軽印刷分野でのコート紙上への出力)では、その凹凸形状に基づく新たな画像欠陥が発生している。
さらに、高密度の書き込みを行う画像形成プロセスでは、上記課題が顕在化して問題となっていた。
特許第3480618号公報 特開2003−91085号公報 特許第3894023号公報
本願発明の目的は、前記で記載された問題を解決することである。即ち、コート紙上に電子写真画像を形成する時等の高画質、高階調の電子写真画像で発生しやすいスジ模様の画像欠陥や階調ムラの画像欠陥を解決し、高画質、高階調の電子写真画像を提供できる有機感光体(以下、単に感光体ともいう)を提供することであり、該有機感光体を用いた画像形成装置を提供することである。
本願発明者等は、バイト切削加工で形成される感光体基体の周期的な凹凸形状が、前記した画像欠陥に現れやすいのは、基体の周期的な形状と共に、感光体の電荷発生層に用いられる電荷発生物質にも関連していることを見いだし、本願発明を達成した。
即ち、基体の周期性を乱すことに加え、電荷発生物質に高感度でありながら、電荷発生層が膜厚変動に対して感度の変動の小さい顔料を用いることが有効であることを見いだし本願発明を達成した。
即ち、本発明の目的は、下記構成をとることにより達成される。
1.円筒状基体上に少なくとも電荷発生層、電荷輸送層を有する有機感光体において、該円筒状基体がその外周面に中心軸に沿って規則的に形成された凹凸加工形状を有し、該凹凸加工形状の加工周期の差(ΔL)が式1を満たし、且つ前記電荷発生層が多環キノン顔料を含有することを特徴とする有機感光体。
式1 10μm≦ΔL
(但しΔLは、円筒状基体の画像領域内において、中心軸方向での加工周期の差。)
2.前記多環キノン顔料が、ピランスロン顔料であることを特徴とする前記1記載の有機感光体。
3.前記多環キノン顔料が、ジフタロイルピレン顔料であることを特徴とする前記1記載の有機感光体。
4.前記1〜3のいずれか1項に記載の有機感光体を用いて、発振波長が350nm〜500nmのレーザー光による露光手段により静電潜像を形成する手段、該静電潜像をトナー現像する手段、形成されたトナー画像を画像支持体に転写する手段、転写後のトナー画像を定着する手段を、少なくとも有することを特徴とする画像形成装置。
本願発明の有機感光体を用いることにより、コート紙等で得られる高画質、高階調の電子写真画像で発生しやすいスジ模様の画像欠陥や階調ムラの画像欠陥を解決し、高画質、高階調の電子写真画像を提供できる。又、該有機感光体を用いた画像形成装置を提供することができる。
本発明で課題とする最終画面のスジ状の濃度むらを説明している模式図。 導電性基体面の切削ピッチによる電荷発生層の膜厚変動を説明する模式図。 本発明におけるΔLの測定方法を説明する図。 本発明の電子写真感光体を用いたカラー画像形成装置の構成図。 ハーフトーンの露光パターンを図示した説明図。
本発明につきさらに説明する。
本願発明の有機感光体は、円筒状基体上に少なくとも電荷発生層、電荷輸送層を有する有機感光体において、該円筒状基体がその外周面に中心軸に沿って規則的に形成された凹凸加工形状を有し、該凹凸加工形状の加工周期の差(ΔL)が式1を満たし、且つ前記電荷発生層が多環キノン顔料を含有することを特徴とする。
式1 10μm≦ΔL
本願発明の有機感光体は上記構成を有することにより、コート紙等で得られる高画質、高階調の電子写真画像で発生しやすいスジ模様の画像欠陥や階調ムラの画像欠陥を解決し、高画質、高階調の電子写真画像を提供できる。
本発明で課題としている画像欠陥は、図1に示すように画面上に斜めのスジ状濃度ムラが生じる現象であり、一様な画像において目立つものである。特に滑面画像で軽印刷の如く大画面高画質画像において問題視される。
発明者の検討によれば、本発明にて問題視している干渉スジの発生原因は、下記の通りである。
干渉スジは、感光体の基体自体によるものではなく、該基体の表面形状を反映して電荷発生層(CGL)塗布液の付量が周期的に変動し、それにより乾燥後の膜厚が周期性をもって変動して、局所的な感度変動が周期性を有することにより生じる。即ち、図2に示す如き電荷発生層の膜厚が周期性をもって変動している(従って、感度が周期性をもって変動している)感光体に、レーザー光やLED光源等による周期的な露光が行われると、周期性をもって変動している感度と露光の干渉によるスジ状濃度ムラが生じる。
本発明の主旨は、円筒状導電性基体の表面に切削により生じる周期的な凹凸の幅をある程度以上変動させる事が、干渉スジ故障低減に極めて有効であることを見いだし、更に、その変動幅(加工周期幅の差)の下限値を見いだしたというものである。この限界範囲はΔ≧10μmであるが、その理由は、10μm未満では干渉による画像ムラやカラー画像の色調変動が発生するからである。
また、その上限値については、現時点では基体加工機の性能によって限定されているが、発明の効果による限界は存在しないと思われる。ただし、加工機の特性によっては、ΔLを大きく設定する事により、速度変動が急激に起こり、加工面に段差が発生し、スジ故障が生じることが在る。そのため、ΔLの好ましい範囲は300μm≧ΔL≧10μm、より好ましくは150μm≧ΔL≧10μmである。
また、『感光体の円筒状基体がその中心軸に沿った方向に規則的に形成された加工面形状』とは、該基体表面を切削加工により整形する時、基体を中心軸にて回転させながら、切削バイトを当接させるために生ずる凹凸形状であり、加工周期幅を変えるには、バイトの移動速度を変える等して行うことになる。
以下、本発明の基体加工について更に説明する。
円筒状基体の切削加工は、基体を中心軸にして回転させながら切削バイトを当接させる加工であるが、外径等の寸法精度を所望のレベルにする、基体表面の酸化膜を除きフレッシュにする、基体表面を所望の形状にする等の目的で行われる。従来の切削加工で仕上げられた基体は、その中心軸に沿った方向に極めて規則的に形成された加工面形状となり、基体上に形成された層の膜厚分布は加工面形状を反映した規則性を有し、その反映は層を重ねても容易には消失しない。
広く用いられている積層型の有機電子写真感光体においては、電荷発生層がこの様な膜厚周期性を有すると、入力光のスクリーンが有する周期性と干渉して周期的な電位ムラが生じる。これが、高画質な画像においては周期的な色ムラとして可視化される。図1は、本発明で課題とするスジ状の濃度むらを説明している図である。
例えば、感光体基体上に中間層が設けられ、中間層(UCL)上に電荷発生層が形成されている場合には、下地の表面形状とは中間層の表面形状であるが、それは基体の加工面形状と中間層の組成によって主に決定される(図2はこのケースを図示している)。
尚、このことから微粒子を含んだ中間層を用いれば、該微粒子の形状に由来するランダムな凸形状が中間層表面に現れ、基体由来の形状周期性を減ずることが出来るので画像ムラや色調変動故障の低減に有効である。
いずれにしろ、加工面形状の規則性を低減させることが極めて有効である。
周期的な凹凸加工形状は円筒状基体を回転させながら、切削加工やノズル加工(ノズル先端からの研磨剤吹きつけ)等により形成することができる。
不規則性の指標であるΔLを10μm以上とするためには、該基体表面を切削加工により整形する場合は加工周期幅を頻繁に変える必要がある。このためには、感光体表面に対するバイトの移動速度を加工途中で頻繁に変える指示を加えれば良い。
例えば、バイトの移動速度X(mm/rev)とその指示位置Y(mm)を指示するCNC旋盤の場合、(X1、Y1)、(X2、Y2)、…(Xn、Yn)とnブロックのプログラムを行う事になるが、例えば第mブロックにおいて、(Ym+1−Ym)/Xmが整数とならない場合にそのブロック終点で切り替えを可能とする為にバイト移動速度の減速が生じ、次の第m+1ブロックでは指示速度Xm+1までの増速が行われる。これを用いてバイトの移動速度を変化させる事が可能である。
また、同じプログラムでも主軸回転数を変えるとΔLは変わる事がある。この原因は、バイトの移動を観測した結果に基づいて行われるプログラムの速度切り換え判断がデジタル回路によって間欠的に行われ、その間隔が加工速度に対して充分短くはない為と考えられる。言い換えると、特定数は旋盤の設計及び設定と主軸回転数に依存する。
また、CNCでないアナログ旋盤の場合は、バイトの移動速度を制御しているモーター電圧を、例えば複数の抵抗をスイッチングする回路を通して出力させることによりバイトの移動速度を変化させる事が可能である。また例えば、指定した波形の電圧を出力できる電源を用いてバイトの移動を行わせる事によっても可能である。また、ΔLを10μm以上とすることは、加工時の導電性基体の回転を適宜変動させることにより実現することも可能である。これは、上記のアナログ旋盤の場合と同様な手段で達成出来る。
周期性をより低減させるために、移動速度を変える指示間隔は一定にしない事が望ましい。これは例えば、上記のCNC旋盤の場合はYnを一定にしない事で、上記のアナログ旋盤の場合はスイッチングするタイマーを複数用いる事や、出力波形を異なる波形の重畳等で複雑化が可能な電源を用いる事で達成できる。また、ΔLを10μm以上とすることは、加工時の導電性基体の回転を適宜変動させることにより実現することも可能である。これは例えば、上記のアナログ旋盤の場合と同様な手段で達成出来る。
また、感光体の円筒状導電性基体がその中心軸に沿った方向に規則的に形成された加工面形状とは、該基体表面を切削加工やノズル加工等により成型する時、基体を中心軸にて回転させながら、切削バイトやノズルを当接或いは近接させ中心軸方向に移動させながら加工することにより生ずる凹凸形状であり、加工周期幅を変えるには、例えばバイトやノズルの移動速度を変える等して行うことにより得られる。
以上のことから、本発明の干渉スジの低減に対しては、感光体の電荷発生層の周期性を低減するのが有効であり、このためには円筒状導電性基体の主走査方向における素管形状の周期性を減ずるのが効果的であると考えられる。また、さらに微粒子を含んだ中間層を用いれば、該粒子形状に由来するランダムな凸形状を表面に有し、素管由来の形状周期性を減ずることが出来るので干渉スジ故障低減に有効である。
(ΔLの測定方法)
本発明における円筒状導電性基体の画像領域内における中心軸方向での加工周期の差ΔLは、例えば図3に例示したように、加工面の断面曲線または粗さ曲線から、加工周期を読み取り算出することができる。即ち、図3上側のスペクトル図から繰り返し形状と周期に目ぼしをつけ、適切な倍率に上げてその周期長を読み取る。図3下側のスペクトル図の場合は横倍率を4倍にしている。
測定箇所は、円筒状導電性基体の画像領域内の任意の箇所でよく、1箇所でも複数箇所でもよい。また、本発明においては、前記式1中のΔLを各測定箇所から読み取った全加工周期から算出してもよいし、測定箇所が1箇所の場合は、当該測定箇所から読み取った複数の加工周期から算出してもよい。
加工面の測定長さは、加工周期を読み取れれば任意の長さでよいが、測定箇所が1箇所の場合は、加工周期が少なくとも5周期以上読み取れる長さが好ましく、10周期以上が特に好ましい。
測定箇所としては、例えば円筒状導電性基体の軸方向中央付近が、また、測定長さとしては、例えば4mm程度が選ばれる。
また、断面曲線または粗さ曲線の測定は、各曲線から加工周期が読み取れればよく、特に制限はないが、例えば、触針式の表面粗さ測定器やレーザー等を用いた非接触式の表面解析装置などが用いられる。
触針式の表面粗さ測定器を用いた例としては以下の条件が挙げられる。
測定器 :(株)東京精密製サーフコム1400D
測定モード:粗さ測定(JIS’01規格)
測定長 :4.0mm
カットオフ:0.8mm(ガウシアン)
測定速度 :0.3mm/sec
本発明においては、このようにして測定した断面曲線または粗さ曲線から読み取った切削周期の最大値と最小値の差をΔLと定義する。
〔有機感光体の構成〕
以下に、有機感光体の一般的な構成を記載する。
本発明において、有機感光体とは電子写真感光体の構成に必要不可欠な電荷発生機能及び電荷輸送機能の少なくとも一方の機能を有機化合物に持たせて構成された電子写真感光体を意味し、多くの場合、公知の有機電荷発生物質又は有機電荷輸送物質から構成された感光体である。又、電荷発生機能と電荷輸送機能を高分子錯体で構成した感光体等公知の有機感光体を全て含有するので、以下の説明では、有機感光体ということもある。
本発明の有機感光体は、円筒状導電性基体上に少なくとも電荷発生層、電荷輸送層を有し、あるいは更に保護層を順次積層したものであるが、具体的には、以下に示すような層構成を例示することができる。
1)円筒状導電性基体上に、中間層、感光層として電荷発生層と電荷輸送層、及び必要により、保護層を順次積層した層構成、
2)円筒状導電性基体上に、中間層、感光層として電荷輸送材料と電荷発生材料とを含む単層、及び必要により保護層を順次積層した層構成。
以下、上記1)を中心に、本発明の有機感光体の層構成を記載する。
(円筒状導電性基体)
本発明で用いる円筒状導電性基体(円筒状導電性支持体ともいう)は、円筒状で導電性を有するものであればいずれのものでもよく、例えば、アルミニウム、銅、クロム、ニッケル、亜鉛及びステンレスなどの金属をドラム状に成形したもの、または円筒状に成型したプラスチックドラムで、アルミニウムや銅などの金属箔をプラスチックドラム上に形成したもの、アルミニウム、酸化インジウム及び酸化スズなどをプラスチックドラム上に蒸着したもの、導電性物質を単独またはバインダー樹脂と共に塗布して導電層を設けた金属、プラスチックドラムなどが挙げられ、本願の形状が形成できるものであればいずれの材質、構成でも良い。
(中間層)
本発明においては、導電層と感光層の中間にバリアー機能と接着機能をもつ中間層を設けることもできる。種々の故障防止等を考慮すると、中間層を設けるのが好ましい態様といえる。
中間層はカゼイン、ポリビニルアルコール、ニトロセルロース、エチレン−アクリル酸コポリマー、ポリアミド、ポリウレタン及びゼラチンなどのバインダー樹脂を公知の溶媒に溶解し、浸漬塗布などによって形成できる。中でもアルコール可溶性のポリアミド樹脂が好ましい。
また、中間層の抵抗調整の目的で各種の微粒子(金属酸化物粒子等)を含有させることができる。例えば、アルミナ、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化ビスマス等の各種金属酸化物、スズをドープした酸化インジウム、アンチモンをドープした酸化スズ及び酸化ジルコニウムなどの微粒子を用いることができる。
これら金属酸化物を1種類もしくは2種類以上混合して用いてもよい。2種類以上混合した場合には、固溶体または融着の形をとってもよい。このような金属酸化物の平均粒径は好ましくは0.3μm以下、より好ましくは0.1μm以下である。また、これらの金属酸化物粒子は、無機化合物や有機化合物で表面処理されていてもよい。
中間層に使用する溶媒としては、無機粒子を良好に分散し、ポリアミド樹脂を溶解するものが好ましい。具体的には、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、t−ブタノール、sec−ブタノール等の炭素数1〜4のアルコール類が、ポリアミド樹脂の溶解性と塗布性能に優れ好ましい。また、保存性、粒子の分散性を向上するために、前記溶媒と併用し、好ましい効果を得られる助溶媒としては、ベンジルアルコール、トルエン、メチレンクロライド、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン等が挙げられる。
バインダー樹脂の濃度は、中間層の膜厚や生産速度に合わせて適宜選択される。
無機粒子などを分散した時のバインダー樹脂に対する無機粒子の混合割合は、バインダー樹脂100質量部に対して無機粒子20〜400質量部が好ましく、さらに好ましくは50〜200部である。
無機粒子の分散手段としては、超音波分散機、ボールミル、サンドグラインダー及びホモミキサー等が使用できるが、これらに限定されるものではない。
中間層の乾燥方法は、溶媒の種類、膜厚に応じて適宜選択することができるが、熱乾燥が好ましい。
中間層の膜厚は、0.1〜30μmが好ましく、0.3〜15μmがより好ましい。
(電荷発生層)
電荷発生層には電荷発生物質(CGM)を含有する。その他の物質としては必要によりバインダー樹脂、その他添加剤を含有しても良い。
本発明の電荷発生層の電荷発生物質には、多環キノン顔料を用いる。本願発明において、多環キノン顔料を電荷発生層に用いた場合、高感度の特性を有する上に、電荷発生層の膜厚変化に対する感度の変動も比較的小さく、本願発明の目的をより効果的に改善することができる。この原因は顔料の吸光度が高く、かつ多環キノン顔料のキャリア移動性が高いためと推定している。
又、多環キノン顔料は一般的に、短波長レーザー光に対して高感度の化合物であり、このことから、高密度書き込みで有用である。中でもピランスロン系顔料、ジフタロイルピレン系顔料は、短波長光源の波長が350〜500nmの範囲内の半導体レーザー又は発光ダイオードの像露光に十分な感度を有し、好ましい。
次に、前記ピランスロン系顔料について記載する。
ピランスロン系顔料としては、下記一般式(1)の化合物が挙げられる。
Figure 2012073571
(一般式(1)中、nは1〜6の整数)
一般式(1)の化合物で、置換Brの数、nは1〜6個であり、これらBrの置換位置は下記一般式(2)のR〜R14の位置に置換可能である。
Figure 2012073571
しかしながら、Brの置換位置を正確に特定する手段は、確立されておらず、置換位置の正確な特定は困難である。
又、前記一般式(1)の化合物は下記の合成例で示すように、置換Brの数、nが複数の混合体として得られ、これら混合体を電荷発生層の電荷発生物質として使用することが好ましい。
以下に、本発明に係わる前記一般式(1)で表される化合物の合成例を記載する。
合成例1
CGM−1(n=1〜3の混合物)
8,16−ピランスレンジオン:5.0g、ヨウ素:0.25gをクロロ硫酸:50gに溶解し、臭素3.0gを滴下した。50℃にて3時間加熱撹拌し、室温まで冷却後、氷500gにあけた。濾過、水洗した後乾燥し、顔料粗品6.8gを得た。顔料粗品5.0gをパイレックス(登録商標)ガラスチューブに入れ、このチューブを、チューブの長さに沿って約440℃〜約20℃の温度勾配(1mの長さで、約440℃〜約20℃の温度勾配をつけた)を生ずる炉の内側に置いた。ガラスチューブ内を約1×10−2Paに減圧し、精製すべき顔料粗品が置かれた位置を約440℃に加熱した。生成した蒸気をチューブの低温側に移動、凝縮させ、約300〜380℃の間の領域に凝縮した昇華物(CGM−1)2.4gを得た。
CGM−1のマススペクトル測定の結果、n=1〜3の混合物であり、n=1/n=2/n=3のピーク強度比は11/59/30であった。
合成例2
CGM−2(n=3〜5の混合物)
8,16−ピランスレンジオン:5.0g、ヨウ素:0.25gをクロロ硫酸:50gに溶解し、臭素5.9gを滴下した。70℃にて5時間加熱撹拌し、室温まで冷却後氷500gにあけた。濾過、水洗した後乾燥し、顔料粗品8.5gを得た。顔料粗品5.0gをパイレックス(登録商標)ガラスチューブに入れ、このチューブを、チューブの長さに沿って約460℃〜約20℃の温度勾配(1mの長さで、約460℃〜約20℃の温度勾配をつけた)を生ずる炉の内側に置いた。ガラスチューブ内を約1×10−2Paに減圧し、精製すべき顔料粗品が置かれた位置を約460℃に加熱した。生成した蒸気をチューブの低温側に移動、凝縮させ、約300〜400℃の間の領域に凝縮した昇華物3.3gを得た。
マススペクトル測定の結果、n=3〜5の混合物であり、n=3/n=4/n=5のピーク強度比は16/67/17であった。
合成例3
CGM−3(n=3〜6の混合物)
8,16−ピランスレンジオン:5.0g、ヨウ素:0.25gをクロロ硫酸:50gに溶解し、臭素5.9gを滴下した。75℃にて6時間加熱撹拌し、室温まで冷却後氷500gにあけた。濾過、水洗した後乾燥し、顔料粗品8.7gを得た。顔料粗品5.0gをパイレックス(登録商標)ガラスチューブに入れ、このチューブを、チューブの長さに沿って約480℃〜約20℃の温度勾配(1mの長さで、約480℃〜約20℃の温度勾配をつけた)を生ずる炉の内側に置いた。ガラスチューブ内を約1×10−2Paに減圧し、精製すべき顔料粗品が置かれた位置を約480℃に加熱した。生成した蒸気をチューブの低温側に移動、凝縮させ、約300〜420℃の間の領域に凝縮した昇華物(CGM−3)3.0gを得た。
CGM−3のマススペクトル測定の結果、n=3〜6の混合物であり、n=3/n=4/n=5/n=6のピーク強度比は17/51/27/5であった。
一方、ジフタロイルピレン系顔料としては、下記一般式(3)の化合物が挙げられる。
Figure 2012073571
(一般式(3)中、X及びXはアルキル基、アルコシキ基、アリール基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基を表し、同時に2個以上置換して環構造を形成してもよい。又、X及びXは同じでも異なってもよい。R〜Rは、水素原子、アルキル基、アルコシキ基、アリール基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基を表す。nは1〜4の整数を表す。)
上記一般式(3)の化合物の具体例を下記に例示する。
Figure 2012073571
Figure 2012073571
Figure 2012073571
Figure 2012073571
Figure 2012073571
Figure 2012073571
Figure 2012073571
上記一般式(3)の化合物は公知の方法で合成することができる。
本願発明に係わる多環キノン顔料で、上記ピランスロン系顔料、ジフタロイルピレン系顔料以外の電荷発生物質としては、下記に例示するような化合物が挙げられる。
Figure 2012073571
本発明の有機感光体には、電荷発生物質として上記のような多環キノン顔料を用いるが、必要により、他の電荷発生物質を併用してもよい。併用の場合でも、少なくとも50質量%以上は多環キノン系顔料を用いることが好ましい。
一方、電荷発生層のバインダー樹脂として、ブチラール樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン変性ブチラール樹脂、フェノキシ樹脂等が用いられるが、中でも、ポリビニルブチラールと塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合体を併用することが好ましい。
電荷発生物質の分散手段としては、超音波分散機、ボールミル、サンドグラインダー及びホモミキサー等が使用できるが、これらに限定されるものではない。
バインダー樹脂と電荷発生物質の顔料との割合は、バインダー樹脂100質量部に対し、顔料100〜500質量部が好ましく、100〜300質量部が特に好ましい。又、電荷発生層の膜厚は0.2μm〜2μmが好ましい。
電荷発生層の分散塗布溶媒としては、ケトン系溶媒が好ましい。例えば、2−ブタノン、シクロヘキサン、アセトン、メチルイソブチルケトン等が好ましい。また、これら溶媒にエステル系溶媒、或いはエーテル系溶媒を混合して用いてもよい。例えば、酢酸エチル、酢酸t−ブチル等或いはテトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン等が挙げられる。
(電荷輸送層)
本願発明に係わる電荷輸送層は1層又は複層で構成される。電荷輸送層には電荷輸送物質(CTM)及びCTMを分散し製膜するバインダー樹脂を含有する。その他の物質としては必要により無機微粒子や酸化防止剤等の添加剤を含有しても良い。
電荷輸送層(CTL)に用いられるバインダー樹脂としてはポリカーボネート、ポリカーボネート共重合体、ポリアリレート等が好ましく用いられるが、ポリスチレン、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリエステル樹脂等を用いてもよい。
電荷輸送物質(CTM)としては、公知の電荷発生物質を用いることができるが、本願発明では、短波長のレーザー光等に対し、透過性のよい電荷輸送物質を用いることが好ましい。短波長のレーザー光等に対し、透過性のよい電荷輸送物質として、下記一般式(4)の化合物を用いることが好ましい。該電荷輸送物質は、350〜500nmの波長領域に吸収を有しないので、350〜500nmの波長領域の像露光の露光光を遮ることなく電荷発生層に到達させ、又、電荷輸送層中で、光露光による電荷トラップの発生もなく、電荷発生層からの正孔キャリアを効率よく感光体の表面まで輸送することができる。
Figure 2012073571
(一般式(4)中、R及びRは、それぞれ独立して、アルキル基又はアリール基を表し、RとRが一体となって、環構造を形成してもよい。R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基又はアリール基を表し、Ar〜Arは各々置換又は無置換のアリール基を表す。Ar〜Arはそれぞれ同一でも異なってもよい。又、ArとAr、ArとArが結合して環構造を形成してもよい。m、nは1〜4の整数を表す。)
下記に一般式(4)の化合物の具体例を例示する。
Figure 2012073571
Figure 2012073571
Figure 2012073571
尚、上記一般式(4)の化合物は、公知の方法で合成することができる。
これら電荷輸送物質は通常、適当なバインダー樹脂中に溶解して層形成が行われる。
バインダー樹脂と電荷輸送物質との割合は、バインダー樹脂100質量部に対し50〜200質量部が好ましい。
電荷輸送層の合計膜厚は、10〜25μmが好ましい。該合計膜厚が10μm未満では、現像時の潜像電位を十分に獲得しにくく、画像濃度の低下やドット再現性の劣化が発生しやすく、又、25μmを超えると、電荷キャリアの拡散(電荷発生層で発生した電荷キャリアの拡散)が大きくなり、ドット再現性が劣化しやすい。
上記電荷輸送物質、バインダー樹脂及び添加材剤を溶解するための溶媒としては、例えば、n−ブチルアミン、ジエチルアミン、エチレンジアミン、イソプロパノールアミン、トリエタノールアミン、トリエチレンジアミン、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソプロピルケトン、シクロヘキサノン、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロホルム、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、1,2−ジクロロプロパン、1,1,2−トリクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエタン、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、ジオキサン、ピリジン、メタノール、エタノール、ブタノール、イソプロパノール、酢酸エチル、酢酸ブチル、ジメチルスルホキシド、メチルセロソルブ等が挙げられる。本発明はこれらに限定されるものではないが、テトラヒドロフラン、メチルエチルケトン等の地球環境に優しい非ハロゲン溶媒が好ましく用いられる。また、これらの溶媒は単独或いは2種以上の混合溶媒として用いることもできる。
(保護層)
本発明の感光体には必要により保護層を設けることができる。該保護層は、バインダー樹脂に無機微粒子を添加して調製した塗布液を電荷輸送層の上に塗布して形成したものである。尚、保護層には酸化防止剤や滑剤等を含有させてもよい。
無機微粒子としては、シリカ、アルミナ、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化ビスマス、スズをドープした酸化インジウム、アンチモンやタンタルをドープした酸化スズ、酸化ジルコニウム等の微粒子を好ましく用いることが出来る。特に表面を疎水化した疎水性シリカや疎水性アルミナ、疎水性ジルコニア、微粉末焼結シリカ等が好ましい。
無機微粒子の数平均一次粒径は、1〜300nmのものが好ましく、5〜100nmが特に好ましい。無機微粒子の数平均一次粒径は、透過型電子顕微鏡観察によって10000倍に拡大し、ランダムに300個の粒子を一次粒子として観察し、画像解析によりフェレ径の数平均径として測定値を算出して得られた値である。
保護層に用いられるバインダー樹脂としては熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂何れの樹脂かを問わない。例えばポリビニルブチラール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、ポリカーボネート樹脂、シリコーン樹脂、メラミン樹脂等を挙げることが出来る。
保護層に用いられる滑剤としては、樹脂微粉末(例えば、フッ素系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、シリコーン樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、アクリル樹脂、スチレン樹脂等)、金属酸化物微粉末(例えば、酸化チタン、酸化アルミ、酸化スズ等)、固体潤滑剤(例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム等)、シリコーンオイル(例えば、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、メチルハイドロジェンポリシロキサン、環状ジメチルポリシロキサン、アルキル変性シリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、アルコール変性シリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、メルカプト変性シリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル、カルボキシル変性シリコーンオイル、高級脂肪酸変性シリコーンオイル等)、フッ素系樹脂粉体(例えば、四フッ化エチレン樹脂粉体、三フッ化塩化エチレン樹脂粉体、六フッ化エチレンプロピレン樹脂粉体、フッ化ビニル樹脂粉体、フッ化ビニリデン樹脂粉体、フッ化二塩化エチレン樹脂粉体及びそれらの共重合体等)、ポリオレフィン系樹脂粉体(例えば、ポリエチレン樹脂粉体、ポリプロピレン樹脂粉体、ポリブテン樹脂粉体、ポリヘキセン樹脂粉体などのホモポリマー樹脂粉体、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン共重合体などのコポリマー樹脂粉体、これらとヘキセンなどの三元共重合体、更にこれらの熱変成物の如きポリオレフィン系樹脂粉体等)等が挙げられる。
上記の潤滑剤に用いる各樹脂の分子量や粉体の粒径は適宜選択することが出来る、又粒径に関しては、特には0.1μm〜10μmが好ましい。これらの潤滑剤を均一に分散するため分散剤をバインダー樹脂に添加してもさしつかえない。
次に有機感光体を製造するための塗布加工方法としては、スライドホッパー型塗布装置の他に、浸漬塗布、スプレー塗布等の塗布加工法が用いられる。
上記塗布液供給型の塗布装置の中でもスライドホッパー型塗布装置を用いた塗布加方法は、前記した低沸点溶媒を用いた分散液を塗布液として用いる場合に最も適しており、円筒状の感光体の場合は特開昭58−189061号公報等に詳細に記載されている円形スライドホッパー型塗布装置等を用いて塗布することが好ましい。
〔画像形成装置〕
次に、本発明の感光体を用いた画像形成装置について説明する。
図4は、本発明の一実施の形態を示すカラー画像形成装置の断面構成図である。
本発明の画像形成装置においては、感光体上に静電潜像を形成するに際し、発振波長が350〜500nmの半導体レーザー又は発光ダイオードを、像露光光源として用いるのが望ましい。これらの像露光光源を用いて、書込みの主査方向の露光ドット径を10〜100μmに絞り込み、有機感光体上にデジタル露光を行うことにより、600dpi(dpi:2.54cm当たりのドット数)から2400dpi、あるいはそれ以上の高解像度の電子写真画像をうることができる。
前記露光ドット径とは該露光ビームの強度がピーク強度の1/e以上の領域の主走査方向にそった露光ビームの長さ(Ld:長さが最大位置で測定する)を云う。
用いられる光ビームとしては半導体レーザーを用いた走査光学系及びLEDの固体スキャナー等があり、光強度分布についてもガウス分布及びローレンツ分布等があるがそれぞれのピーク強度の1/e以上の領域を本発明に係わる露光ドット径とする。
このカラー画像形成装置は、タンデム型カラー画像形成装置と称せられるもので、4組の画像形成部(画像形成ユニット)10Y、10M、10C、10Bkと、無端ベルト状中間転写体ユニット7と、給紙搬送手段21及び定着手段24とから成る。画像形成装置の本体Aの上部には、原稿画像読み取り装置SCが配置されている。
イエロー色の画像を形成する画像形成部10Yは、第1の像担持体としてのドラム状の感光体1Yの周囲に配置された帯電手段(帯電工程)2Y、露光手段(露光工程)3Y、現像手段(現像工程)4Y、一次転写手段(一次転写工程)としての一次転写ローラ5Y、クリーニング手段6Yを有する。マゼンタ色の画像を形成する画像形成部10Mは、第1の像担持体としてのドラム状の感光体1M、帯電手段2M、露光手段3M、現像手段4M、一次転写手段としての一次転写ローラ5M、クリーニング手段6Mを有する。シアン色の画像を形成する画像形成部10Cは、第1の像担持体としてのドラム状の感光体1C、帯電手段2C、露光手段3C、現像手段4C、一次転写手段としての一次転写ローラ5C、クリーニング手段6Cを有する。黒色画像を形成する画像形成部10Bkは、第1の像担持体としてのドラム状の感光体1Bk、帯電手段2Bk、露光手段3Bk、現像手段4Bk、一次転写手段としての一次転写ローラ5Bk、クリーニング手段6Bkを有する。
前記4組の画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Bkは、感光体ドラム1Y、1M、1C、1Bkを中心に、回転する帯電手段2Y、2M、2C、2Bkと、像露光手段3Y、3M、3C、3Bkと、回転する現像手段4Y、4M、4C、4Bk、及び、感光体ドラム1Y、1M、1C、1Bkをクリーニングするクリーニング手段6Y、6M、6C、6Bkより構成されている。
前記画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Bkは、感光体1Y、1M、1C、1Bkにそれぞれ形成するトナー画像の色が異なるだけで、同じ構成であり、画像形成ユニット10Yを例にして詳細に説明する。
画像形成ユニット10Yは、像形成体である感光体ドラム1Yの周囲に、帯電手段2Y(以下、単に帯電手段2Y、あるいは、帯電器2Yという)、露光手段3Y、現像手段4Y、クリーニング手段6Y(以下、単にクリーニング手段6Y、あるいは、クリーニングブレード6Yという)を配置し、感光体ドラム1Y上にイエロー(Y)のトナー画像を形成するものである。また、本実施の形態においては、この画像形成ユニット10Yのうち、少なくとも感光体ドラム1Y、帯電手段2Y、現像手段4Y、クリーニング手段6Yを一体化するように設けている。
帯電手段2Yは、感光体ドラム1Yに対して一様な電位を与える手段であって、本実施の形態においては、感光体ドラム1Yにコロナ放電型の帯電器2Yが用いられている。
像露光手段3Yは、帯電器2Yによって一様な電位を与えられた感光体ドラム1Y上に、画像信号(イエロー)に基づいて露光を行い、イエローの画像に対応する静電潜像を形成する手段であって、この露光手段3Yとしては、感光体ドラム1Yの軸方向にアレイ状に発光素子を配列したLEDと結像素子とから構成されるもの、あるいは、レーザー光学系などが用いられる。
本発明の画像形成装置としては、上述の感光体と、現像器、クリーニング器等の構成要素をプロセスカートリッジ(画像形成ユニット)として一体に結合して構成し、この画像形成ユニットを装置本体に対して着脱自在に構成しても良い。又、帯電器、像露光器、現像器、転写又は分離器、及びクリーニング器の少なくとも1つを感光体とともに一体に支持してプロセスカートリッジ(画像形成ユニット)を形成し、装置本体に着脱自在の単一画像形成ユニットとし、装置本体のレールなどの案内手段を用いて着脱自在の構成としても良い。
無端ベルト状中間転写体ユニット7は、複数のローラにより巻回され、回動可能に支持された半導電性エンドレスベルト状の第2の像担持体としての無端ベルト状中間転写体70を有する。
画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Bkより形成された各色の画像は、一次転写手段としての一次転写ローラ5Y、5M、5C、5Bkにより、回動する無端ベルト状中間転写体70上に逐次転写されて、合成されたカラー画像が形成される。給紙カセット20内に収容された転写材(定着された最終画像を担持する支持体:例えば普通紙、透明シート等)としての転写材Pは、給紙手段21により給紙され、複数の中間ローラ22A、22B、22C、22D、レジストローラ23を経て、二次転写手段としての二次転写ローラ5bに搬送され、転写材P上に二次転写してカラー画像が一括転写される。カラー画像が転写された転写材Pは、定着手段24により定着処理され、排紙ローラ25に挟持されて機外の排紙トレイ26上に載置される。ここで、中間転写体や転写材等の感光体上に形成されたトナー画像の転写支持体を総称して転写媒体と云う。
一方、二次転写手段としての二次転写ローラ5bにより転写材Pにカラー画像を転写した後、転写材Pを曲率分離した無端ベルト状中間転写体70は、クリーニング手段6bにより残留トナーが除去される。
画像形成処理中、一次転写ローラ5Bkは常時、感光体1Bkに当接している。他の一次転写ローラ5Y、5M、5Cはカラー画像形成時にのみ、それぞれ対応する感光体1Y、1M、1Cに当接する。
二次転写ローラ5bは、ここを転写材Pが通過して二次転写が行われる時にのみ、無端ベルト状中間転写体70に当接する。
また、装置本体Aから筐体8を支持レール82L、82Rを介して引き出し可能にしてある。
筐体8は、画像形成部10Y、10M、10C、10Bkと、無端ベルト状中間転写体ユニット7とから成る。
画像形成部10Y、10M、10C、10Bkは、垂直方向に縦列配置されている。感光体1Y、1M、1C、1Bkの図示左側方には無端ベルト状中間転写体ユニット7が配置されている。無端ベルト状中間転写体ユニット7は、ローラ71、72、73、74を巻回して回動可能な無端ベルト状中間転写体70、一次転写ローラ5Y、5M、5C、5Bk、及びクリーニング手段6bとから成る。
本発明の画像形成装置は電子写真複写機、レーザプリンター、LEDプリンター及び液晶シャッター式プリンター等の電子写真装置一般に適応するが、更に、電子写真技術を応用したディスプレー、記録、軽印刷、製版及びファクシミリ等の装置にも幅広く適用することができる。
次に、本発明の代表的な実施態様を示し本発明をさらに説明するが、無論、本発明の態様はこれらに限定されるわけではない。
尚、文中「部」とは「質量部」を表す。
〈感光体1の作製〉
〈基体1の作製〉
長さ362±0.2mmのアルミニウム合金製素管をNC施盤に装着し、ダイヤモンド焼結バイトにて、外径59.95mm、表面のRzが0.75μmになるように切削加工を行った。
この時の主軸回転数は5000rpm、バイトの送り速度は0.340mm/revからスタートし、1.5mm毎にバイトの送り速度を0.005mm/rev増加或いは減少させるプログラムにより行った。この時の素管のΔLは50μmであった。
ΔLは、(株)東京精密製サーフコム1400Dを用い、JIS’01規格、粗さ測定、測定長4.0mm、カットオフ0.8mm(ガウシアン)、測定速度0.3mm/secの測定を素管中央付近で行い、得た測定断面曲線から読み取った切削周期の最大値と最小値の差である。
(中間層の形成)
バインダー樹脂(N−1)1質量部をエタノール/n−プロピルアルコール/テトラヒドロフラン(45:20:35容量比)20質量部に加え攪拌溶解後、質量比で5%のメチルハイドロジェンポリシロキサンで表面処理済みのルチル型酸化チタン粒子4.2質量部を混合し、該混合液をビーズミルを用い分散した。この際、平均粒径0.1〜0.5mmを用い、充填率80%、周速設定4m/sec、ミル滞留時間3時間で分散し、中間層塗布液を作製した。同液を5μmフィルタで濾過した後、該中間層塗布液を上記で準備した「基体1」を洗浄した後の外周に浸漬塗布法で塗布し、乾燥膜厚2μmの「中間層」を形成した。
Figure 2012073571
〈電荷発生層塗布液〉
下記組成を混合し、循環式超音波ホモジナイザーRUS−600TCVP(株式会社日本精機製作所製、19.5kHz,600W)(略称:循環ホモジ)にて循環流量40L/Hで0.5時間、分散した。このようにして作製した電荷発生層塗布液を浸漬塗布法で中間層の上に塗布し、乾燥膜厚0.5μmの「電荷発生層」を形成した。
電荷発生物質:合成例2のCGM−2 24部
ポリビニルブチラール樹脂「エスレックBL−1」(積水化学社製) 12部
3−メチル−2−ブタノン/シクロヘキサノン=4/1(V/V) 400部
その上に下記の組成を混合した電荷輸送層塗布液を塗布して、110℃;60分加熱乾燥し、膜厚20μmの電荷輸送層を形成し感光体1を作製した。
〈電荷輸送層塗布液〉
電荷輸送物質:(例示化合物CTM−6) 200部
ポリカーボネート「ユーピロンZ300」(三菱瓦斯化学社製) 300部
2,6−ジ−t−ブチル−4−フェニルフェノール 5部
トルエン/テトラヒドロフラン=1/9(v/v) 2000部
感光体2〜11の作製
感光体1において、電荷発生物質を下記表1のように変更した以外は同様にして感光体2〜11を作製した。
感光体12(比較例)の作製
感光体1において、電荷発生物質を下記CGM−Rに変更した以外は同様にして感光体12を作製した。
Figure 2012073571
感光体13の作製
感光体1の作製において、主軸回転数2000rpmとし、ΔLが30μmの素管(基体2)を用いた感光体13を得た。
感光体14の作製
感光体1の作製において、主軸回転数750rpmとし、ΔLが10μmの素管(基体3)を用いた感光体14を得た。
感光体15の作製
感光体1の作製において、主軸回転数7000rpmとし、ΔLが70μmの素管(基体4)を用いた感光体15を得た。
感光体16の作製
感光体1の作製において、主軸回転数6000rpmとし、ΔLが60μmの素管(基体5)を用いた感光体16を得た。
感光体17
感光体1の作製において、主軸回転数10000rpmとし、ΔLが100μmの素管(基体6)を用いた感光体17を得た。
実施例18の作製
感光体1の作製において、バイトの送り速度を0.350mm/revに固定し、ΔLが3μmの素管(基体7)を用いた感光体18を得た。
感光体19の作製
感光体17の作製において、バイトの送り速度は0.340〜0.360mm/revの間を、0.350〜0.380mm/revの間に変更し、1.5mm毎に0.005mmずつ変化する増減を繰り返させるプログラムにより行い、ΔLが200μmの素管(基体8)を用いた感光体19を得た。
感光体20〜22の作製
感光体1の作製において、電荷輸送層の電荷輸送物質をCTM−6からCTM−8、10、13に代えた以外は同様にして感光体20〜22を作製した。
感光体23の作製
感光体1の作製において、基体9を用いた以外は実施例1の感光体と同様に感光体を作製した。
基体9の製造条件
旋盤の主軸回転数は4000rpm、アルミニウム合金製素管をCNC施盤に装着し、ダイヤモンド焼結バイトにて、表面のRzjisが0.75μmになるように切削加工を行い、基体9を得た。
この時、CNCのバイトの送りプログラムは、素管端部をスタートとして、バイト送り速度値は400μm/回転一定とし、加工距離が1.47mm、2.32mm、1.68mm、2.53mm、1.89mm、2.75mm、2.10mm、2.96mm、を繰り返す様に設定した。この時のΔLは8μmであった。
上記感光体1〜23を下記表1にまとめた。
Figure 2012073571
(性能評価)
性能評価は、基本的に図4の構成を有するコニカミノルタビジネステクノロジーズ(株)製bizhub PRO C6501改造機(像露光光源を405nmの半導体レーザーに変更)を用い、黒色(Bk)位置で、王子製紙(株)製「PODグロスコート(100g/m)」を使用して常温常濕(20℃、60%RH)で出力した画像の評価により行った。
(干渉による斜めスジ)
上記温湿度条件で、図5のハーフトーンの露光パターンを図示した説明図の露光パターンA及び露光パターンBを出力したハーフトーン画像の目視評価により干渉による斜めスジを評価した。
下記の基準にて評価した結果を表2に示す。
◎: 斜めスジが全く見られない
○: 斜めスジが僅かに見られるが、実使用上は問題無し
△: 斜めスジは全く見られないが、段差スジが僅かに見られる。実用上は問題なし。
×: 斜めスジが見られ、実使用上問題あり
(階調性)
上記温湿度条件で、白画像から黒ベタ画像まで60の階調段差を持つオリジナル画像を複写し、階調性を評価した。評価は階調段差の画像を十分な昼光条件下で目視評価し、有意性のある階調段差の合計段差数で評価した。
◎:階調性が21段差以上(良好)
○:階調性が12〜20段差(実用上問題なし)
△:階調性が8〜11段差(実用性の再検討要:階調性が重視されない画質では実用性あり)
×:階調性が7段差以下(実用上問題あり)
(2ドットライン)
上記温湿度条件で、べた黒の画像の中に、2ドットラインの白線を作製し、下記の基準で評価した。
◎:2ドットラインの白線が連続して再現されており、黒べたの画像濃度が1.2以上(良好)
○:2ドットラインの白線は連続して再現されているが、黒べたの画像濃度が1.0以上〜1.2未満(実用性に問題なし)
△:2ドットラインの白線は連続して再現されているが、太さが一部で平均値の1/3以下であり、黒べたの画像濃度が1.2未満〜1.0以上(実用性に問題なし)
×:2ドットラインの白線が切断されて再現されているか、又は2ドットラインの白線は連続して再現されていても、黒べたの画像濃度が1.0未満(実用性に問題有り)
上記のべた画像濃度は、マクベス社製RD−918を使用して測定。紙の反射濃度を「0」とした相対反射濃度で測定した。
Figure 2012073571
表2中、*3は干渉による斜めスジを表す。
上記、表2に示す性能評価の結果から明らかな如く、ΔLが10μm以上の条件を満たし、電荷発生層が本願発明に係わる多環キノン顔料を用いた感光体の組み合わせは本発明の目的を達成することが出来る。
1Y、1M、1C、1Bk 感光体
2Y、2M、2C、2Bk 帯電手段
3Y、3M、3C、3Bk 露光手段
4Y、4M、4C、4Bk 現像手段
10Y、10M、10C、10Bk 画像形成ユニット

Claims (4)

  1. 円筒状基体上に少なくとも電荷発生層、電荷輸送層を有する有機感光体において、該円筒状基体がその外周面に中心軸に沿って規則的に形成された凹凸加工形状を有し、該凹凸加工形状の加工周期の差(ΔL)が式1を満たし、且つ前記電荷発生層が多環キノン顔料を含有することを特徴とする有機感光体。
    式1 10μm≦ΔL
    (但しΔLは、円筒状基体の画像領域内において、中心軸方向での加工周期の差。)
  2. 前記多環キノン顔料が、ピランスロン顔料であることを特徴とする請求項1記載の有機感光体。
  3. 前記多環キノン顔料が、ジフタロイルピレン顔料であることを特徴とする請求項1記載の有機感光体。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の有機感光体を用いて、発振波長が350nm〜500nmのレーザー光による露光手段により静電潜像を形成する手段、該静電潜像をトナー現像する手段、形成されたトナー画像を画像支持体に転写する手段、転写後のトナー画像を定着する手段を、少なくとも有することを特徴とする画像形成装置。
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